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  • 朋也「軽音部? うんたん?」 4/27 火

自分用SSまとめ

朋也「軽音部? うんたん?」 4/27 火

最終更新:2011年06月11日 22:17

meteor089

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管理者のみ編集可

朋也「軽音部? うんたん?」

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139:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:35:34.39:1qYNd8dxO


4/27 火

憂「あ、お姉ちゃん、寝癖ついてるよ」

唯「え、どこ?」

憂「襟足近くがハネちゃってるぅ…ちょっと待ってね」

立ち止まり、鞄からクシを取り出した。
撫でつける様に、やさしく平沢の髪をといていく。

憂「これでよし」

唯「ありがとぉ、憂」

憂「うん」

憂「………」

俺をじっと見てくる憂ちゃん。

朋也「ん? なんだ?」

憂「岡崎さんは、髪さらさらですね」

朋也「そうかな」

憂「はい。なにかお手入れとかしてるんですか?」

朋也「いや、したことないよ」


140:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:35:55.90:cUBlBpOS0


憂「ナチュラルでそれですか…うらやましいです」

憂「キューティクルも生き生きしてて、ツヤもあるし…」

憂「あの、触ってみてもいいですか?」

朋也「ああ、いいけど」

身をかがめ、憂ちゃんに合わせる。

憂「じゃあ、失礼して…」

手ですくうようにして、側頭部に触れてきた。

憂「うわぁ、女の子みたいです…いいなぁ」

唯「岡崎くん、私も触っていい?」

朋也「ああ、いいけど」

俯いたまま答える。

唯「ほんとだ、さらさらだぁ」

憂「だよねぇ…」

ふたりして好き放題触っていた。

朋也「そろそろいいか」


141:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:37:12.54:1qYNd8dxO


憂「あ、はい。ありがとうございました」

朋也「ん…」

体勢を戻す。

唯「シャンプーはなに使ってるの?」

朋也「スーパーで買った適当なやつ」

唯「そうなの? ほんとに全然気を遣ってないんだね…」

唯「でもさ、卑怯だよっ、そんなの。私はケアしても寝癖つくのにさ」

朋也「そういわれてもな…」

唯「髪が綺麗な分、どこかにしわ寄せがきてなきゃだめだよっ」

唯「例えば、脇がめちゃくちゃ臭いとか」

朋也「そんな奴と登校したくないだろ…」

唯「でも、それくらいじゃないと納得できないよっ」

唯「だから、岡崎くんは脇が臭いことに決定ね」

朋也「決めつけるな…」

―――――――――――――――――――――


142:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:37:50.35:cUBlBpOS0


………。

―――――――――――――――――――――

昼。

春原「おい、平沢。そこの醤油取ってくれよ」

唯「いいよぉ」

唯「はい、どうぞ」

春原「お、サンキュ」

受け取って、納豆にそそいでいく。
全体に絡めると、それを混ぜて、ご飯の上に乗せた。

春原「やっぱ、ご飯には納豆が至高だよね」

ひとりごちて、口に運ぶ。

春原「お゛え゛ぇえええっ!」

朋也「うわ、きったねぇな、至高のゲロ吐くなよっ」

律「そうだぞっ、もらいゲロでもしたらどうすんだっ」

春原「ちがうよっ! これ、醤油じゃなくてソースだったんだよっ!」

春原「平沢、てめぇ、僕をハメやがったなっ!」


144:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:39:04.54:1qYNd8dxO


唯「あわわ、ごめん。でも、ラベルが貼ってなくてわかんなかったんだよ…」

唯「だから、とっさに濁ってる方を選んじゃった」

春原「その時点で確信犯だろっ!」

朋也「まぁ、受け取った時気づかなかったおまえも悪いよ」

朋也「だから、前向きに考えて、事態を好転させろよ」

朋也「このケチャップで中和させたりしてさ」

春原「最悪のトッピングですねっ!」

律「わははは!」

―――――――――――――――――――――

………。

―――――――――――――――――――――

放課後。
今日は最初からさわ子さんも交えた状態で活動が始まった。

春原「おまえら、昔いたアーティストで、芳野祐介って知ってる?」

春原「あの人さ、今この町にいるんだぜ」


146:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:40:27.11:cUBlBpOS0


澪「えぇ!?」
梓「えぇ!?」
さわ子「えぇ!?」

さわ子「春原、それ、ほんとなの…?」

春原「ほんとだよ。この前、名刺もらったし」

春原「え~っと…」

上着のポケットをまさぐる。

春原「これだよ」

一枚の名刺を取り出す。
長い間ポケットの中に入れられていたのだろう…しわくちゃになっていた。
最悪の保存状態だ。
にもかかわず、声を荒げて反応していた三人の注目を集め続けていた。

梓「本物ですか…?」

春原「間違いねぇよ。顔も一致してたし」

春原「な、岡崎」

朋也「いや、俺は顔のことはよく知らねぇけど」

澪「岡崎くんも、みたの?」

朋也「ああ。その時、俺もこいつと一緒に居合わせてたんだよ」


147:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:41:55.53:1qYNd8dxO


さわ子「ちょっとそれみせて」

春原「いいけど」

名刺を受け渡す。

さわ子「…電設会社、ね…」

さわ子さんは名刺を眺め、そう小さくこぼしていた。
その表情は、なぜか複雑そうだった。

梓「びっくりです…同じ町に住んでたなんて」

澪「うん。全然知らなかった…でも、なんか感動」

律「そういえば、おまえ、かなり芳野祐介好きだったもんな」

澪「今でも好きだっ」

律「さいですか」

梓「澪先輩も、芳野祐介好きだったんですね…意外です」

梓「あの人、ハードなロックを歌ってますからね」

梓「澪先輩が書くような感じの詩とも、ずいぶんとかけ離れてますし」

澪「って、梓も好きなのか?」

梓「はいっ、すごく好きですっ。いいですよね、芳野祐介の音楽は」


148:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:42:22.97:cUBlBpOS0


澪「うんうん、だよなぁ!」

澪「歌詞は激しいのに、聞いてると涙が出そうになるくらい胸を打ってきたりするしな!」

梓「ですよね! それに、ギターのテクもすごいですし!」

ファン魂に火がついたのか、話題が尽きることはなかった。
アルバムがどうだの、お気に入りの曲はなんだのと語り合っていた。

律「話についていけねぇよ…」

唯「私もだよ…」

紬「私も芳野祐介さんの事はちょっと知ってるけど、あそこまでコアじゃないなぁ」

律「にしても…さわちゃんもファンなの? ずっと名刺見てるけど」

さわ子「え? ああ、ファンっていうか、まぁ、ね…」

さわ子「あ、これ、ありがと、春原」

言って、春原に返す。

律「なに? なんかワケアリ?」

さわ子「いや、まぁ…なんでもないわよ」

梓「ところで、春原先輩は、どこで見かけたんですか?」

春原「商店街を抜けたあたりだったよ」


149:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:43:45.01:1qYNd8dxO


梓「あの辺かぁ…あんまり行かないからなぁ…」

澪「私も…」

春原「もしかして、会いたいの? おまえら」

梓「それは、できたらそうしたいですけど…でも…」

澪「うん…遠くから見るくらいでいいかな」

春原「なんでだよ。せっかくなんだから話しかければいいじゃん」

梓「だって…芳野祐介って…その…引退理由が少し特殊ですし…」

梓「まずいじゃないですか。ファンなんです、なんて言ったりしたら…」

春原「ああ、そのことね…」

春原「ま、そんなことなら、僕と岡崎がいれば問題なく近づけるんだけどね」

春原「もう、知らない仲じゃないし」

といっても、そこまで親しいわけでもないが。

澪「そ、そうなの? すごいね…」

春原「ふふん、まぁね」

褒められて気を良くしたのか、したり顔になっていた。


151:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:44:13.18:cUBlBpOS0


春原「なんだったら、今から探しに出る?」

春原「運よく見つけられたら、話しかけられるぜ?」

梓「い、行きたいです!」

澪「私も!」

律「おまえら、きのうちゃんと練習しろとか言ってなかったか?」

澪「い、今は緊急事態なんだから、しょうがないだろっ」

梓「そうですよっ」

律「めちゃ力強いな、おまえら…」

さわ子「…私も行くわ」

律「うえぇっ? さわちゃんもかよっ!? でも、いいの? 仕事ほっぽりだして」

さわ子「大丈夫。バレなければいいのよ」

さわ子「こんなこともあろうかと、用意しておいた衣装があるの」

立ち上がり、物置へ向かった。
そして、俺たちのよく見慣れた服を手に戻ってくる。

さわ子「これよ」

唯「あっ、光坂の制服だぁ」


153:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:45:49.52:1qYNd8dxO


さわ子「そうよ。これを着て、生徒に変装するの」

律「いや、変装っていうより、コスプレに近いんじゃ…」

さわ子「歳的な意味で言ってるなら、死ぬことになるわよ?」

律「とっても似合うと思いますっ」

さわ子「よろしい」

―――――――――――――――――――――

外へ出てきた俺たちは、早速芳野祐介を探し始めた。
といっても、闇雲に動き回っているわけじゃない。
琴吹の携帯…それも、なにか特殊な業務に使われているものらしいのだが…
それを使って、周辺の工事情報を集めてから、手分けして現場に当たっていた。

―――――――――――――――――――――

紬「あの中にいる?」

春原「いや、いないよ」

紬「そう…」

これで、回ってきたのも3件目。
まだ他の連中からも、目撃の連絡が来ない。

春原「今日は仕事ないのかもね」


155:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:46:28.59:cUBlBpOS0


春原「もう、このままフケちまって、どっか遊びにいかない?」

春原「僕とムギちゃんふたりでさ」

俺たちは、琴吹と組んでスリーマンセルで動いていた。
携帯という連絡手段を持ちあわせていないので、誰かしらと組む必要があったのだ。

春原「岡崎も、気ぃ利かせて帰るって言ってるしさっ」

朋也「そんなわけねぇよ、俺はいつだっておまえの死角に存在するんだからな」

春原「マジかよっ!? つーか、なにが目的だよっ!?」

朋也「おまえ、気づいたらティッシュ箱が自分から遠のいてることないか?」

朋也「そういうことだよ」

春原「あれ、おまえかよっ! めちゃくちゃうざい現象なんですけどっ!」

紬「くすくす」

―――――――――――――――――――――

一度全員で駅前に集まる。

律「全然いなかったんだけど」

唯「私たちがみてきた方面も全滅だったよ」

紬「こっちも、だめだったわ」


160:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:59:38.74:cUBlBpOS0


澪「この地区の外で仕事してるのかな…」

朋也「いや…」

一台の軽トラが停めてある。
その向こう側に、人の動く気配。

朋也「いた」

さわ子「どこ?」

朋也「あそこだよ。いこう」

俺たちは軽トラに近づいていった。

朋也「ちっす」

荷台に荷物を乗せ終えた作業員に声をかける。

春原「どもっ」

芳野「…ん?」

芳野「ああ…いつかの」

どうやら覚えていてくれたようだ。

芳野「どうした。今日はまた大道芸をしにきたのか」

春原「はい、そんな感じっすっ」


161:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:01:31.43:jpDSDOMkO


春原「それで、今日は、その仲間も連れてきてるんすよっ」

芳野「後ろのお嬢ちゃんたちか」

さわ子「お嬢ちゃんとはご挨拶ね」

さわ子さんが前に出る。

さわ子「久しぶりね、芳野祐介。私のこと、忘れたとは言わさないわよ」

春原「…へ?」

その場にいた全員が目を丸くする。

芳野「あー…すまん。どこかで会ったことあるか?」

さわ子「私よ、私っ!」

メガネを外し、頭を激しく振りながらエアギターを始める。
俺にはなにがなんだかさっぱりわからなかった。

芳野「まさか…あんた、キャサリンか。デスデビルの」

さわ子「はぁ…はぁ…ようやく思い出したようね…」

芳野「しかし…その制服…」

さわ子「あ、こ、これは…」

芳野「あんた…留年してたのか」


162:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:02:11.86:+UZ/pLeq0


ずるぅっ! 

さわ子「そ、そんなわけないでしょっ! 今は教師をやってるのっ!」

さわ子「それで、この子たちは、私の教え子よっ」

芳野「そうか…でも、なんで教師のあんたが制服なんだ」

さわ子「それについては言及しないで。深い事情があるのよ…」

芳野「そうなのか…まぁ、いいが」

春原「……どうなってんの」

それは俺も知りたい。

芳野「それで…俺になにか用があるのか」

さわ子「あるのは、私じゃなくて、この子たちのほうよ」

芳野「あん?」

さわ子「みんな、あんたが芳野祐介ってこと、知ってるの」

さわ子「かつてアーティストとして活動していた、ね」

俺たちがひた隠そうとしていたことを、さらりと言ってのけていた。
芳野祐介はどんな反応をするのだろうか…

芳野「…そうか」


164:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:03:57.64:jpDSDOMkO


芳野「………」

芳野「悪いが、俺はもう、昔の俺じゃない」

芳野「だから、あんたらの用向きには応えられない」

やはり、壁を作っていた。かつての自分に対して。

澪「ごめんなさい…」

秋山が、泣きそうな顔で、ぽつりと小さくつぶやいた。

澪「私、芳野さんの引退理由、知ってました」

澪「当時の事を思い出したくない気持ちも、大体想像できてました」

澪「それでも、この町にいるってことを聞いて、どうしても会いたくて…」

澪「こんな、押しかけるようなマネをして…」

澪「本当に、すみませんでした…」

梓「わ、私も同じです。自分のことばっかり考えちゃって…」

梓「でも、会えたらどうしても伝えたかったんです」

梓「ずっとファンだったこと…あ、今でも好きですけど…」

梓「うん…あと…芳野さんの歌に、何度も励まされたことを」


165:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:06:14.78:+UZ/pLeq0


澪「私も…そうです。落ち込んだ時、辛い時、悲しい時…」

澪「それだけじゃなくて、上手くいった時なんかも、聴いてました」

澪「歌詞にあるような、まっすぐな綺麗さにも、すごく感動しました」

澪「芳野さんの歌を聴くと、救われたような気持ちになるんです」

澪「だから、その…ありがとうございましたっ」

梓「あ、ありがとうございましたっ」

芳野「………」

投げかけられる言葉。ただじっと受け止める。

芳野「…いい生徒を持ったな」

ふたりに答えるでもなく、さわ子さんにそう言った。
その表情には、幾分の柔らかさがあるようだった。

さわ子「まぁね。みんな、私の自慢の生徒よ」

律「春原も?」

さわ子「ええ…多分」

春原「そこは断定してくれよっ!」

芳野「おまえらも、最初から知ってたのか」


166:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:08:07.62:jpDSDOMkO


朋也「ああ。悪かったよ、変な芝居につき合わせちまって」

芳野「いや…それなりに楽しかったからな」

ふ、と一度微笑む。

芳野「今の俺に、礼の言葉なんか受け取れはしない」

芳野「だが…」

芳野「その気持ちだけは、しっかりと噛み締めておく」

クサい言い方だったけど、この人が口にすると様になった。

芳野「名前は?」

澪「秋山澪です!」

梓「中野梓です!」

芳野「そうか」

芳野「澪、梓。君たちがいつまでも前を向いて歩いていけるよう…」

芳野「どんな逆境でも耐え抜いて、真っ直ぐ歩いていけるよう…」

芳野「この俺も祈ってる」

芳野「………」


167:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:08:48.70:+UZ/pLeq0


芳野「じゃあ、またな」

それだけ呟いて、去っていく。
車に乗り込み、エンジンをかける。
すぐにその音は遠ざかっていった。

春原「…どういうこと? 僕、なんか混乱してきたんですけど…」

さわ子「一度、部室に戻りましょう。そこで話してあげる」

―――――――――――――――――――――

さわ子「あんたらには話してなかったけど…」

さわ子「私、昔この学校の軽音部で、バンドやってたのよね」

春原「え? さわちゃんってここのOBなの?」

さわ子「そうよ」

春原「へぇ、じゃ、先輩じゃん」

さわ子「ええ、だから、今まで以上に慕いなさいよ」

春原「オッケー、わかったよ、さわちゃん」

さわ子「その、さわちゃん、っていうのが、慕ってるように見えないんだけどね…」

唯「ちなにみこれが当時のさわちゃんだよ」


168:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:09:43.05:+UZ/pLeq0


一枚の写真。
そこには、仰々しいメイクと衣装で不敵に笑うさわ子さんと、その仲間たちが写っていた。

さわ子「あ、こら、唯ちゃんっ、まだそんなもの…」

律「んで、これが音源な」

小さめのラジカセを手に持ち、再生ボタンを押した。
凶悪な音楽と、叫ぶような歌声が聞えてくる。

さわ子「こら、やめなさいっ」

平沢からは写真を奪い、部長からはラジカセを取り上げた。

春原「…さわちゃんって、けっこうヤバい人だったんだね」

さわ子「これは格好だけよ。中身は普通だったわよ」

そうだろうか。
この人の現在の性格を鑑みるに、当時もやっぱりスレていたんじゃなかろうか。

さわ子「あんたらふたりのほうがよっぽどヤンチャよ」

さわ子「すぐ喧嘩してくるんだからね。去年は大変だったわよ」

思い返してみれば、確かにそうだった。
よそで喧嘩してくるたび、学年主任に呼び出され、その都度この人がかばってくれていたのだが…
その時のはぐらかし方が妙に手馴れていたような…そんな気もする。
まるで、そんな立場に立たされたことがあるかのようにだ。
なら、やっぱり、この人も昔は無茶していたんだ。


171:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:12:15.12:jpDSDOMkO


俺たちに目をかけてくれるのも、そんな時代の自分と重ねてみているからなのかもしれない。

さわ子「ま、それはいいとして…芳野祐介だったわね」

梓「そうですよっ。どうやって知り合ったんですか?」

さわ子「対バンよ、対バン。この町のハコでずいぶん演ったわ」

梓「って、もしかして、芳野さんも、この町の出身なんですか?」

さわ子「そうよ。高校生の時に知り合ったんだけどね…私は光坂で、あっちは北高だったの」

梓「へぇ…」

澪「そうだったんですか…知りませんでした」

澪「公式プロフィールには、そういうこと書いてなかったですから」

律「よかったじゃん、マニア知識がひとつ増えてさ」

澪「うん…嬉しい…」

さわ子「まぁ、第一印象は最悪だったんだけどね」

さわ子「いきなり乱入してきて、マイク奪って、乗っ取ってくるし」

春原「…マジ?」

さわ子「大マジよ」


172:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:13:16.91:+UZ/pLeq0


俺もにわかには信じられない。
あのクールな印象からはかけ離れすぎていた。

さわ子「あの頃のあいつは、そりゃもう、ヤバイぐらい暴れまわってたんだから」

さわ子「そのせいで、いろんなバンドから恨み買って、敵作って…」

さわ子「それでも、ずっと歌い続けてたわ」

さわ子「そんな姿が、若い私には、かっこよく映ったんでしょうね」

さわ子「次第に興味を持つようになっていったの」

さわ子「そして、あるライブの後、思い切って話しかけてみたの」

さわ子「粗野で荒々しい奴かと思ってたんだけど、話してみると、意外とシャイな上に無口でね」

さわ子「それに加えて、無愛想で…そうね、ちょうど岡崎みたいな感じだったわ」

春原「こいつ、悪人顔だもんね」

朋也「黙れ」

さわ子さんは続ける。

さわ子「でも、言葉数は少なかったけど、音楽に対する情熱はすごく持ってるってことがわかったの」

さわ子「そこからよ、よく話すようになったのは」

そこまで言って、紅茶を飲み、一呼吸入れた。


173:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:13:53.44:+UZ/pLeq0


さわ子「…多分恋してたんでしょうね」

さわ子「気づいたら、あいつのことばかり考えるようになってたの」

さわ子「そして、3年生になって、進路も大方決めなきゃいけない時期がきて…」

さわ子「あいつにどうするか訊いてみたの」

さわ子「そしたら、卒業後は、上京して、プロのミュージシャンになるなんて言うのよ」

さわ子「それを聞いて、私も血がたぎったわ」

さわ子「じゃあ、自分もミュージシャンになって、こいつと同じ道を歩くぞ、って…」

さわ子「そう、思ったんだけど…」

さわ子「………」

さわ子「その後に続けて、『プロになれたら、好きな人と一緒になる』って、そう言ったの」

さわ子「聞けば、新任の女教師に惚れてるってことらしかったわ」

さわ子「失恋よ、失恋」

さわ子「そこで、私の恋は終わって、進む道も、てんで別方向に分かれちゃって…」

さわ子「それっきりになっちゃったのよ」

この人にそんな過去があったなんて知らなかった。
付き合いは長いつもりだったが、まだ踏み込めていなかった領域だ。


174:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:15:37.82:jpDSDOMkO


でも…今回、こんな話をしてくれるほどに、俺たちは想われている。
こそばゆいやら、うれしいやら…。

さわ子「ま、こんなとこかしら」

梓「先生…すごすぎます…尊敬ですっ」

澪「かっこいいです、先生っ」

紬「ドラマチックですね」

さわ子「そう? おほほほ、もっと褒めなさい」

律「ま、でも、要は、失恋しちゃったよ~って話だよな」

ビシッ ビシッ ビシッ

律「うぎゃっ痛っ、さわちゃ、痛いっ」

ビシッ ビシッ ビシッ

部長の額に容赦なくデコピンが次々に繰り出されていた。

唯「りっちゃんは一言多いよね」

律「唯にまともな突っ込みされるあたしって一体…」

額を押さえながら言う。攻撃はもう止んでいた。

さわ子「そうそう、これは余談なんだけどね…」


175:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:16:45.99:+UZ/pLeq0


ゆっくりと口を開く。

さわ子「あいつが好きだった先生っていうのが、この学校で教師をされてたのよ」

澪「え? だ、誰ですか?」

さわ子「あなたたちは知らないと思うわ。3年前に退職されてるからね」

さわ子「伊吹公子さんっていうんだけど…」

唯「え? 伊吹さん?」

唯「もしかして、ショートヘアで、おっとりした感じの人?」

さわ子「え、ええ…今はどうかしらないけど、髪はショートだったわ」

唯「じゃあ…やっぱり、あの伊吹さんだ。先生してたって言ってたし」

梓「ゆ、唯先輩、知り合いなんですか?」

唯「うん。私がよくいくパン屋さんの常連さんだから、会えばお喋りしてるよ」

さわ子「へぇ…世間は狭いものねぇ…」

澪「で、どんな人なんだ?」

唯「えっとね、綺麗で、優しくて、それで…」

話し始める平沢。
そこへ熱心に耳を傾ける秋山と中野。


176:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:18:24.24:jpDSDOMkO


人の繋がりとは、不思議なものだ。
どこでどう交差するかわからない。
今回のように、意外な交流があったりする。
小さい町だったから、とくにそれが顕著なのかもしれない。
…ふと、思う。
俺も、そんな人と人の繋がりの中に入っていっているのではないか。
あんなにも人付き合いが嫌だった、この俺がだ。
なんでだろう。なにが始まりだったろう。
思い起こせば、それは、やっぱり…平沢からだったように思う。

唯「でね、そのパンが爆発して、周りにチョコが飛び散ったんだよ」

澪「…話が脱線していってないか」

唯「あ、ごめん。えへへ」

無邪気に笑う平沢。
できることなら、その笑顔を、ずっとそばで見ていたいと…
そう思う。

朋也(…俺、こいつのこと、好きなのかな…)

よくわからなかった。
でも…一人の人間としては、間違いなく好きだった。

―――――――――――――――――――――


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