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朋也「軽音部? うんたん?」 4/28 水
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meteor089
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中見出し
朋也「軽音部? うんたん?」
177:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:19:12.24:+UZ/pLeq0
4/28 水
唯「ふぁ~…んん」
朋也「眠そうだな」
唯「うん…きのうは遅くまで漫画読んでたから、寝不足なんだぁ…」
唯「ふぁあ~…」
大きくあくび。
唯「ほんとはすぐにやめるつもりだったんだけどさ…」
唯「読んでる途中で2、3冊なくなってることに気づいて、探し始めちゃって…」
唯「続きが読めないってなると、逆にすごく読みたくなって、必死だったよ」
憂「鬼のような形相で探してたもんね、お姉ちゃん」
唯「うん、あの時の私は、触れるものすべてを傷つけてたよ」
唯「そう…自分さえも、ね」
悲しい過去を持っていそうに言うな。
唯「それで、やっとみつけたんだけど、その喜びで、全巻読破しちゃったんだよねぇ」
朋也「寸止めされると、逆に、ってやつか」
178:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:20:21.11:jpDSDOMkO
唯「そうそう、そんな感じ。これ、なにかに応用できないかなぁ」
憂「勉強は?」
唯「だめだめ、止められたら、そのままやめちゃうよ」
朋也「練習はどうだ。部活でさ。逆にやりたくなるんじゃないのか」
唯「おお!? それ、いいかもしれないねっ」
朋也「じゃあ、今日は春原の奴に、妨害させるな」
朋也「隣で発狂したように、唯~唯~って言わせてさ」
唯「それ、なんかすごくやだ…」
朋也「そうか?」
唯「うん。練習より先に、春原くんが嫌になっちゃうよ」
朋也「それもそうだな」
言いたい放題だった。
―――――――――――――――――――――
………。
―――――――――――――――――――――
179:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:21:49.43:jpDSDOMkO
昼。
春原「へへ…みろよ、手に入れてやったぜ」
その手の中にあるものは、パンだった。
今日のこいつは、定食の他にパンも買いに走っていたのだ。
今日のこいつは、定食の他にパンも買いに走っていたのだ。
春原「謎のパン…竜太サンドだ」
朋也「どうでもいいけど、おまえボロボロな」
春原「しょうがないだろ、紛争地帯に突っ込んでたんだからよ」
確かに、今日のパン売り場は、そう表現していいほどに混み合っていた。
なんでも、学食erの間では、先週の告知以来、竜太サンドの話題で持ちきりだったらしい。
俺はこいつに聞いて初めてその存在を知ったのだが。
なんでも、学食erの間では、先週の告知以来、竜太サンドの話題で持ちきりだったらしい。
俺はこいつに聞いて初めてその存在を知ったのだが。
春原「生還できただけでも奇跡なんだよ」
春原「僕の目の前で、何人も志半ばにして力尽きていったからね」
春原「今でも、その浮かばれない霊が成仏できずに彷徨ってるって話さ」
そんなパン売り場はない。
澪「れ、霊…?」
律「真に受けるなよ、澪…」
春原「だから、売り子のおばちゃんにたどり着けた時は、本当に嬉しかったよ」
180:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:22:12.11:+UZ/pLeq0
春原「もう、ゴールしてもいいよね…? って思わず口走っちゃったし」
自ら死亡フラグを立てていた。
律「でもさ、それって、竜田の誤植だろ。中身はどうせ普通のパンだよ」
春原「んなことねぇよっ! 竜太の味がするに決まってんだろっ」
律「いや、どんなだよ、それ…」
春原「それを今から解き明かしてやろうっていうんだろ」
意気揚々と包装紙を破り捨てる。
ぼろぼろぼろ
春原「げぇっ」
ぐちゃぐちゃになったパンが手にこぼれ落ちてきていた。
死亡フラグはパンに立っていたようで、しっかりここでイベントが起きていた。
死亡フラグはパンに立っていたようで、しっかりここでイベントが起きていた。
春原「あ…ああ…」
朋也「もみくちゃになりながら戻ってきたからだな」
律「はは、おまえらしいオチだよ」
春原「ちくしょーっ! ふざけやがってっ!」
ゴミ箱に向かって竜太の塊を遠投する。
181:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:23:22.84:jpDSDOMkO
べちゃっ
春原「あ、やべ…」
男子生徒「………」
ひとりの男子生徒の後頭部に直撃していた。
ゆっくりと振り返る。
ゆっくりと振り返る。
ラグビー部員「今の…てめぇか、春原」
ラグビー部員だった。
ラグビー部員「なんか叫んでたよなぁ? 俺がふざけてるとかなんとか…」
言いながら、どんどん近づいてくる。
春原「い、いや、違うんです、これは…」
ラグビー部員「言いわけはいいんだよっ! ちょっと顔かせやっ!」
首根っこを掴まれる。
春原「ひぃっ! 助けてくれ、岡崎っ」
朋也「それでさー、この前、春原とかいう奴がさー」
春原「他人のフリするなよっ」
春原「う…うわぁあああああああ」
182:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:23:45.55:+UZ/pLeq0
あああああああぁぁぁ…
引きずられ、消えていく。
この後、春原は両頬を押さえ、泣きながら戻ってきていた。
この後、春原は両頬を押さえ、泣きながら戻ってきていた。
―――――――――――――――――――――
………。
―――――――――――――――――――――
放課後。部室に集まり、いつものように茶会が始まった。
がちゃり
梓「すみません、ちょっと遅れま…」
梓「って、唯先輩、その席はだめですっ」
唯「え、ええっ?」
梓「ていっ!」
俺の隣に座っていた平沢を椅子から引っ張り降ろす中野。
唯「うわぁっ…」
唯「って、なんでぇ? 席決まってるわけじゃないのに…」
梓「この人の隣は危険だって言ったじゃないですかっ」
183:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:25:35.01:tTDNEF4XO
あずにゃんwwwwwww
184:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:26:45.14:jpDSDOMkO
唯「でも、いつも隣に座ってるあずにゃんはなんともないんだし…」
梓「そんなことないです! 常にいやらしい視線を感じてますっ」
朋也「おい…」
春原「おまえ、けっこうむっつりなんだね」
がんっ
春原「てぇな、あにすんだよっ」
朋也「すまん、故意だ」
春原「わざとで謝るくらいなら、最初からやらないでくれますかねぇっ」
律「まぁまぁ、梓。ここはひとつ、席替えしてみようじゃないか」
梓「え?」
律「いやさ、席決まってるわけじゃないっていっても、大体いつも同じじゃん?」
律「だからさ、ここいらでシャッフルしてみるのいいと思うんだよな」
紬「おもしろそうね」
律「だろん?」
澪「いや、そんなことより先に練習をだな…」
185:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:27:06.76:+UZ/pLeq0
梓「席替えなんて嫌ですっ! リスクが高すぎますっ」
律「でもさ、リターンもでかいぞ」
律「おまえは唯と岡崎を離したいんだろ?」
律「もしかしたら、端と端同士になって離れるかもしれないじゃん」
梓「で、でも…」
唯「私、やりたい」
梓「唯先輩…」
唯「あずにゃん、これで決まったら、私も文句言わないよ」
唯「だから、やろ?」
梓「うう…」
梓「………」
梓「…はい…わかりました」
律「よぅし、決まりだな。じゃ、クジ作るか」
春原「なんか、合コンみたいだよね、この人数で席替えってさ」
律「あんた、めちゃ俗っぽいな…」
186:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:28:16.82:jpDSDOMkO
―――――――――――――――――――――
全員クジを引き終わり、席が決まった。
俺の両隣には、秋山と平沢。
俺の対面に位置する春原の両隣には、部長と琴吹。
そして、議長席のような、先端の位置に中野。
そこは、元琴吹の席だった場所だ。
俺の両隣には、秋山と平沢。
俺の対面に位置する春原の両隣には、部長と琴吹。
そして、議長席のような、先端の位置に中野。
そこは、元琴吹の席だった場所だ。
唯「隣だねぇ、岡崎くん。教室とおんなじだよっ」
朋也「ん、ああ…だな」
澪「よ、よろしく…岡崎くん」
朋也「ああ…こちらこそ」
春原「ヒャッホウっ! ムギちゃんが隣だ!」
春原「…けど、部長もいるしな…右半身だけうれしいよ」
律「なんだと、こらっ! あたしの隣なんて、すべての男の夢だろうがっ」
律「全身の毛穴から変な液噴射しながら喜びに打ち震えろよっ!」
春原「あーあ、しかもここ、おまえがさっきまで座ってたとこだし…」
春原「なんか、生暖かくて、気持ち悪いんだよなぁ」
律「きぃいいっ、こいつはぁああっ! 心底むかつくぅううっ!」
187:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:28:37.57:+UZ/pLeq0
梓「こんなの、納得いきませんっ! やり直しましょうっ!」
唯「ええ~、ダメだよ、あずにゃん。もう決まったんだしぃ」
梓「唯先輩は黙っててくださいっ!」
唯「ひえっ、ご…ごめんなさい…」
律「あー、わかったよ、梓。あたしも、この金猿が隣なんて嫌だしな」
律「今日だけにしとくよ。次回からは自由席な。それでいいか?」
梓「…わかりました…それでいいです」
春原「じゃ、次は王様ゲームしようぜ」
律「王様ゲームぅ?」
春原「せっかく合コンっぽくなってきたんだし、やろうぜ」
律「うーん…ま、そうだな、おもしろそうだし、やるか」
唯「いいね、王様ゲーム。久しぶりだなぁ」
紬「噂には聞いたことがあるけど、私、やったことないなぁ…」
春原「大丈夫、僕が手取り足取り、優しく教えてあげるよ」
紬「ほんと?」
188:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:30:00.56:jpDSDOMkO
春原「うん、もちろんさ」
律「ムギ、めちゃ簡単だから、なにも教わらなくても大丈夫だぞ」
春原「てめぇ、なにムギちゃんにいらんこと吹き込んでくれてんだよっ」
律「それはおまえがやろうとしてたことだろがっ」
澪「わ、私はやらないぞ…っていうか、練習しなきゃだろ」
澪「遊んでる場合じゃ…」
律「おまえが王様になって、練習しろって命令すればいいじゃん」
律「そしたら、そこでゲーム終了でいいからさ。素直に言うこと聞くよ」
澪「…ほんとだな? 絶対、言う通りにしてもらうからなっ」
律「へいへい」
朋也「ああ、俺はやらないから、頭数に入れないでくれよ」
春原「なんでだよ、女の方が多いんだぜ?」
春原「王様になれば、あんなことや、こんなことが…」
春原「やべぇ、興奮してきたよっ!」
朋也「おまえ、今めちゃくちゃ引かれてるからな」
189:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:30:22.29:+UZ/pLeq0
春原「へ?」
春原は女性陣の冷たい視線を余すことなく集めていた。
春原「…こほん」
春原「まぁさ、こんな、みんなで盛り上がろうって時に、抜けることないだろ」
朋也「知るかよ…」
春原「ま、嫌ならいいけど。僕のハーレムが出来上がるだけだしね」
春原「むしろ、そっちの方が都合がいいかも、うひひ」
いやらしい笑みをこれでもかと浮かべる。
朋也(ったく、こいつは…)
春原の変態願望を押しつけられた奴には同情を禁じえない。
朋也(…待てよ)
それは、平沢にも回ってくる可能性があるんじゃないのか。
というか、普通にある。
………。
というか、普通にある。
………。
朋也「…いや、やっぱ、俺もやる」
春原「あん? なんだよ、いまさら遅ぇよ」
190:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:31:47.62:jpDSDOMkO
朋也「まだセーフだ。いいだろ、部長」
律「ああ、全然オッケー」
朋也「だそうだ」
春原「ふん、まぁ、いいけど」
これで少しは平沢に被害が及ぶ確率を下げられた。
よかった…
よかった…
朋也(って、なにほっとしてんだよ、俺は…)
なんで俺がここまで平沢のことを気にかけているんだ…。
別に、いいじゃないか。俺には関係のないことだ。
………。
でも…どうしても耐えられない。
別に、いいじゃないか。俺には関係のないことだ。
………。
でも…どうしても耐えられない。
朋也(はぁ…くそ…)
厄介な感情だった。
律「で、梓はどうすんの? ずっと黙ってたけど」
梓「…やってやるです」
めらめらと灯った憎悪の眼差しを俺に向けながら答える。
朋也(俺をピンポイントで狙ってくる気かよ…)
191:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:32:08.22:+UZ/pLeq0
だが、あくまでランダムなので、特定の個人を狙うなんて、まず無理だ。
そこは安心していいだろう。
そこは安心していいだろう。
律「うし、じゃ、全員参加だな。そんじゃ、番号クジ作るかぁ」
―――――――――――――――――――――
ストローで作った番号クジ。
部長が握り、中央に寄せる。
そして、各々クジを引いていった。
部長が握り、中央に寄せる。
そして、各々クジを引いていった。
「王様だ~れだ?」
皆一斉に手持ちのストローを確認した。
俺は4だった。
俺は4だった。
春原「きたぁあああああああっ!!!」
律「げっ、いきなり最悪な野郎がきたよ…」
春原「いくぜぇ…じゃあ、4番が王様の…」
朋也(げっ…)
春原「ほっぺたにチュウだっ!」
朋也「ぎゃぁああああああああああああ!!!」
春原「うわっ、どうしたんだよ、岡崎…」
193:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:33:18.03:jpDSDOMkO
春原「って、まさか…まさか…」
朋也「てめぇ、ふざけんなよ、春原っ! 俺にそんな気(け)はねぇっ!」
春原「おまえかよ…4番…」
律「わははは! いきなりキツいのいくからそういうことになるんだよ」
澪「岡崎くんと…春原くんが…キ、キキキス…ぁぁ…」
唯「ふんすっ、なんか興奮するね、ふんすっ」
紬「そういうのもアリなのね…なるほど…」
梓「…不潔」
にわかに外野が盛り上がり始めていたが…
対照的に、俺と春原は肩を落としてうなだれていた。
対照的に、俺と春原は肩を落としてうなだれていた。
朋也「…いくぞ、こら」
春原「おう…こい」
朋也「陽平、愛してる」
春原「ひぃっ」
朋也「あ、その顔大好き!」
春原「ひぃぃっ」
194:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:33:36.86:+UZ/pLeq0
朋也「次その顔したらキスするからな」
春原「ひぃぃぃっ」
朋也「あ、今した。ぶちゅっ」
ひいいいぃぃぃぃ…
BAD END
朋也(おえ゛…)
今の大惨事を目の当たりにして、きゃっきゃと騒ぎ出す女たち。
こっちはそれどころじゃなかった。
こっちはそれどころじゃなかった。
春原「うう…変な芝居入れないでくれよ…」
春原は涙を流してい泣いていた。
朋也「ああ…俺も、やってて吐き気がこみあげてきたよ…」
春原「うう…じゃあ、やるなよぉ…」
とぼとぼと自分の席に戻るふたり。
律「あんたら、ほんとはデキてんじゃないのぉ?」
唯「アヤシイよねぇ」
澪「あ…あうあう…」
195:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:34:48.47:jpDSDOMkO
紬「くすくす」
梓「…ふ、不潔です…」
朋也「忘れてくれ…」
律「あーあ、写メ撮っとけばよかった」
唯「あ、そうだね。見入っちゃってたよ」
朋也「保存しようとするな…」
春原「…早く次いこうぜ。ムギちゃんで中和しなきゃ、精神が持たねぇよ」
律「わはは。はいはい、わかったよ」
―――――――――――――――――――――
「王様だ~れだ?」
俺は6を引いた。
紬「あ、私だ」
唯「おお、ムギちゃんかぁ」
律「ムギは初心者だからなぁ、何がくるやら…」
春原「ムギちゃん、僕を引き当ててねっ」
196:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:35:11.23:+UZ/pLeq0
そういうゲームでもない。
紬「じゃあ…3番の人と、5番の人」
紬「正面から、愛しそうに抱き合って♪」
律「おお、大胆だな…で、だれだ、3と5は」
唯「私、3番だよ」
澪「私…5番」
紬「まぁ…これは、これは…うふふふ…ひひ」
唯「えへへ、よろしくね、澪ちゃん」
澪「う、うん…」
席を立ち、向かい合う。
身長差があり、視線を合わすのに、平沢が上目遣いになっていた。
身長差があり、視線を合わすのに、平沢が上目遣いになっていた。
春原「…なんか、周りにバラ描きたいね」
朋也「…ああ」
唯「澪ちゃん…」
澪「唯…」
ごくり…
197:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:36:36.01:jpDSDOMkO
唯「…好きっ」
澪「唯…唯っ!」
ひし、っと抱きしめあう。
唯「ああ、澪ちゃん、おっぱい大きいよ…」
澪「唯…すごくいい匂いがする…」
唯「澪ちゃん…」
澪「唯…」
目を閉じて、お互いの鼓動を感じ合っていた。
紬「…ゴッドジョブ」
ゴッド…神?
びしぃ、と親指を立てていた。
左手には、携帯を持ち、カメラのレンズを向けている。
ムービーでも撮っているんだろうか…。
びしぃ、と親指を立てていた。
左手には、携帯を持ち、カメラのレンズを向けている。
ムービーでも撮っているんだろうか…。
―――――――――――――――――――――
「王様だ~れだ?」
俺は5。
律「お、私だ」
198:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:37:00.52:+UZ/pLeq0
唯「りっちゃんかぁ、これは覚悟しなきゃかもね」
春原「なんだ、ハゲか」
律「な、てめ…」
律「………」
律「…後悔するなよ」
春原「あん?」
律「じゃ、いくぞ」
律「1番が…」
言って、素早く目だけ動かし、周りを確認していた。
律「いや、やっぱ、2番が…」
また、同じ動き。
律「うん…2番が、3番を…」
律「いや、やっぱ、4番かな…」
律「うんそうだ。2番が4番に、思いっきり左鉤突きを入れる!」
唯「ひだりかぎづき?」
200:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:38:12.11:jpDSDOMkO
朋也「打撃のことだ。つまり、殴れっていってるんだ」
唯「うえぇ!? な、殴るの!?」
律「さ、誰かな、2番と4番は~」
入れられる側に春原を狙っているんだろう。
あの、『後悔するな』という言動からしても、そのはずだ。
だが、そんなことが可能なのか…?
やけに余裕のある佇まいだ。
あの目の動き、何かを探っているように見えたが…
そこまで精度に自信があるということなのか…?
あの、『後悔するな』という言動からしても、そのはずだ。
だが、そんなことが可能なのか…?
やけに余裕のある佇まいだ。
あの目の動き、何かを探っているように見えたが…
そこまで精度に自信があるということなのか…?
紬「私、2番…」
春原「…4番…」
…どんぴしゃだった。
律「おおう、こりゃ、春原、死んだかなぁ?」
紬「ごめんね、春原くん…」
春原「いや…ムギちゃんになら、むしろ本望だよ」
席を立ち、向かい合う。
さっきの甘い雰囲気とは違い、殺気立った空気。
さっきの甘い雰囲気とは違い、殺気立った空気。
紬「ショラァッ!」
201:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:38:35.50:+UZ/pLeq0
ボグッ
春原「があああっ!」
メキメキィ
骨のきしむ音。
紬「おおお!!」
肘打ち、両手突き、手刀、貫手、肘振り上げ、手刀、鉄槌…
琴吹の連打は続く。
琴吹の連打は続く。
律「…煉獄」
中段膝蹴り、背足蹴り上げ、下段回し蹴り、中段廻し蹴り…
朋也(すげぇ…倒れることさえできない…)
そこにいた全員が、その連打に目が釘付けになっていた。
紬「おおお!!」
紬「あ゛あ!!」
バフゥ
拳が空を切る。
春原が事切れて、すとん、と床に倒れこんだからだ。
春原が事切れて、すとん、と床に倒れこんだからだ。
202:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:39:01.97:NWTOuQ4+0
喧嘩商売好きなんだなwwww
俺も大好きです
俺も大好きです
203:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:39:44.19:jpDSDOMkO
紬「はぁー…はぁー…」
どれだけの時間打ち込んでいたのだろう。
時間にして、それほどでもないのかもしれないが…
ずいぶんと長く感じられた。
それは、連打を受けた春原自信が一番感じていることだろう。
時間にして、それほどでもないのかもしれないが…
ずいぶんと長く感じられた。
それは、連打を受けた春原自信が一番感じていることだろう。
紬「あ、ご、ごめんなさい、春原くん、つい…」
春原を抱き起こし、安否を気遣っていた。
春原「あ…う…ムギちゃん…素敵な連打だったよ…」
春原「僕…幸せ…」
どうやら、かろうじて生きていたようだ。
にしても…
にしても…
朋也「部長…狙ったのか?」
律「ふ…まぁな。番号を指定した時、必ず表情に出るからな」
唯「りっちゃん、すごぉいっ! 遊びの達人だねっ」
律「おほほほ! まぁなぁ~」
澪「変なとこで突出してるからなぁ、律は…」
梓「律先輩、私にその技、伝授してくださいっ!」
204:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:40:10.07:+UZ/pLeq0
律「ばか者! 一朝一夕で身につくものではないっ!」
律「これは、私が踏み越えてきた数々の死線の中で、自然に身につけたものなのだ!」
律「おまえのような小娘には、まだ早いわっ!」
梓「う、うう…」
澪「大げさに言うな…遊んでただけだろ…」
―――――――――――――――――――――
「王様だ~れだ?」
6だった。
唯「あ、私だぁ」
律「唯か…正直、なにが来るか想像がつかん」
唯「えへへ、えっとね…」
唯「6番の人が、私を好きな人だと思って、愛の告白をしてください」
朋也(マジかよ…)
律「おお、なんか、おもしろそうだな、それ」
唯「んん? その他人事な口ぶり…りっちゃん、6番じゃないんだ?」
205:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:41:19.42:jpDSDOMkO
律「まぁな~。で、誰だ、6番は」
朋也「…俺だ」
唯「へ!?」
澪「え…」
紬「まぁ…」
律「うおぉっ、これは…まさかの二回目で、こんな内容」
律「しかも、相手は唯…かぁ~、持ってんなぁ、岡崎」
春原「これ、もうゲームじゃなくていいんじゃない?」
梓「ただのゲームですっ! 岡崎先輩も、その辺忘れないでくださいよっ!」
朋也「わかってるよ…」
朋也「あー…座ったままでいいか」
唯「う、うん…」
朋也「じゃあ…」
こほん、とひとつ咳払い。
朋也「明日朝起きたらさ…」
206:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:41:45.40:+UZ/pLeq0
朋也「俺たちが恋人同士になっていたら面白いと思わないか」
朋也「俺がおまえの彼氏で、おまえが俺の彼女だ」
朋也「きっと、楽しい学校生活になる」
朋也「そう思わないか」
唯「思わないよ。きっと、こんなぐだぐだな私に、腹が立つよ、岡崎くん」
朋也「そんなことない」
唯「どうして」
朋也「…俺は平沢が好きだから」
朋也「だから、絶対にそんなことはない」
唯「本当かな…自信ないよ…」
朋也「きっと楽しい。いや、俺が楽しくする」
唯「そんな…」
唯「岡崎くんだけが…頑張らないでよ」
唯「私にも…頑張らせてよ」
朋也「そっか…」
207:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:42:57.34:jpDSDOMkO
唯「うん…」
顔を伏せる平沢。
朋也「じゃあ、平沢…頷いてくれ、俺の問いかけに」
俺は、彼女をまっすぐ見据えてそう求めた。
唯「………」
朋也「平沢、俺の彼女になってくれ」
唯「………」
少しの間。
顔を上げることもなく、頷くこともなく…
ただ小さな声が聞えてきた。
よろしくお願いします…と。
顔を上げることもなく、頷くこともなく…
ただ小さな声が聞えてきた。
よろしくお願いします…と。
律「…わお」
春原「成立しちゃってるね」
梓「はい、そこまでそこまでっ!」
中野が俺と平沢の間に体を割りこませてくる。
そして、平沢と対面し、その肩をがしっと掴んだ。
そして、平沢と対面し、その肩をがしっと掴んだ。
梓「唯先輩、これ、演技ですよ!? わかってますか?」
208:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:43:18.41:+UZ/pLeq0
唯「う、うん…」
梓「それと…」
俺に向き直る中野。
梓「岡崎先輩、なんで唯先輩の名前使ってるんですか!」
朋也「いや、だって、平沢を好きな奴と想定するって話だったろ…」
梓「仮想好きな人なんだから、偽名使ってくださいよっ!」
梓「これじゃ、ほんとに唯輩に告白してるみたいじゃないですか!」
朋也「いや、そんなつもりは…」
梓「ふん、どうだか。あわよくばって考えてたんじゃないですか」
朋也「いや…」
梓「あと、唯先輩がOKしたのも、仮想空間での話ですからね!」
梓「現実だったら振られてますからっ」
梓「ふんっ」
ぷい、とそっぽを向いて、自分の席に戻っていった。
朋也(なんなんだよ…)
209:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:44:42.43:jpDSDOMkO
律「ははは、唯と付き合うには、まず梓に認められなきゃな」
朋也「…知るか」
―――――――――――――――――――――
「王様だ~れだ?」
2を引いた。俺じゃない。
梓「…来ました。私です」
律「お、梓か」
唯「あずにゃん、おてやわらかにね」
梓「………」
睨まれる。やはり、俺に狙いを定めてくるのか…。
梓「決めました。皆で岡崎先輩をタコりましょう」
朋也「って、それじゃ番号クジでやる意味ないだろっ」
律「そうだぞ。私だってちゃんと実力で春原を地獄に叩き落したんだからな」
春原「ちっ…でも、ある意味天国だったけど」
律「攻撃するなら、ルールに則った上でやれよ」
211:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:45:09.13:+UZ/pLeq0
それも嫌だが。
梓「…わかりました。じゃあ…」
梓「1番と…」
そわそわと全員の表情を窺っている。
部長の真似事なのだろう。
部長の真似事なのだろう。
梓「う…やっぱり、2番…」
梓「あう…4…いや5…6?」
混乱し始めていた。
梓「う…もう、7番と1番が、恋人つなぎしながら愛を囁いてくださいっ!」
大方、俺と春原を引き合わせて、屈辱を与えようとでも思ったんだろう。
もし外れても、部員同士なら罰ゲームにもならない。
だから、一発ギャグや、尻文字で自分の名前を書く、なんて露骨なものを避けたんだろう。
もし外れても、部員同士なら罰ゲームにもならない。
だから、一発ギャグや、尻文字で自分の名前を書く、なんて露骨なものを避けたんだろう。
梓「だ、誰ですか…?」
律「1…」
春原「…7」
春原と部長のどちらもが真っ青な顔をして、震える声でそう告げていた。
唯「あはは、おもしろい組み合わせだね」
212:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:46:19.56:jpDSDOMkO
律「ぜんっぜんおもしろくねぇよっ」
春原「ムギちゃん、これ、罰ゲームの類だから。僕の本心じゃないからね」
律「そりゃこっちのセリフだっ」
唯「いいから、ふたりとも、そろそろやんなきゃだよ」
律「くそ…」
春原「ちっ…」
立ち上がり、近づいていく。
そして、その手がぎゅっと握られた。
そして、その手がぎゅっと握られた。
律「…アンタ、カコイイヨ」
春原「…オマエモ、カワイイヨ」
律「アハハ」
春原「アハハ」
唯「カタコトじゃだめだよ。ちゃんとやらなきゃ」
唯「ルールは厳守しなきゃいけないんでしょ?」
律「うぐ…」
自分で課した掟が自分の首を絞めていた。
213:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:46:57.39:+UZ/pLeq0
律「あ、あんた、あれだよ、あの…」
律「そう、身長低くてさ、ヘタレで…ダサカッコイイよ」
春原「はは、おまえは、額とか残念だけど…デコカワイイよ」
律「あははは」
春原「ははは」
春原「ははは」
唯「…はぁ、りっちゃん、遊びの帝王だと思ってたのに…」
唯「あずにゃんにも、あんなにびしっと言ってたし…」
唯「それなのに、ルールのひとつさえ守れないんだね…」
律「う…わ、わかったよ…」
律「はぁ…」
律「あんたは、普段アホだけど…いざという時は頼りがいがあって…」
律「…かっこいいよ。漢だよ」
春原「お、おう。おまえも…よくみりゃ、顔も悪くないし…」
春原「か、かわいいと思うよ…」
春原「………」
律「………」
214:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:48:09.80:jpDSDOMkO
春原「ぐわぁああああっ!!」
律「のぉおおおおおおっ!!」
同時に手を離し、体をかきむしる。
春原「はぁ、はぁ、かゆい、かゆすぎるよっ!」
律「アレルギー反応だ! ヘタレアレルギー!」
床を転げ周り、ぎゃあぎゃあわめいていた。
紬「ふふ、行動がそっくり」
澪「だな。やっぱり、気が合うんじゃないか?」
―――――――――――――――――――――
「王様だ~れだ?」
朋也「おっ…俺だ」
春原「岡崎、僕とムギちゃんに、なんかエッチなの頼むよっ」
律「アホか、おまえはっ! 岡崎、こいつに罰ゲームくれてやれ!」
朋也(どうするかな…)
そもそも、俺は王様ゲーム自体に興味はない。
215:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:48:31.57:+UZ/pLeq0
朋也(そういえば…)
秋山がしきりに練習しようと訴えていたな…。
なら、ここで俺が切り上げてやるのも、悪くないかもしれない。
なら、ここで俺が切り上げてやるのも、悪くないかもしれない。
朋也「…よし、決めた。おまえら、練習しろ」
澪「え…岡崎くん…」
律「なぁんであんたがそれ言うんだよぉ」
唯「もうやめちゃうの?」
朋也「なんか、やらなきゃならないんだろ。よく知らねぇけど」
朋也「だろ? 秋山」
澪「え?…うんっ」
朋也「だったら、王様命令だ。練習、始めろよ」
律「うえぇ…つまんねー奴ぅ…」
唯「まだやりたいよぉ…」
朋也「中野、おまえも練習派だろ。何か言ってやれよ」
梓「え…あ…お、岡崎先輩に言われなくても、今言おうと思ってましたっ」
梓「こほん…律先輩、唯先輩、練習するべきですよ」
216:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:49:52.36:jpDSDOMkO
澪「うん。ちょうど一週できたしな」
律「まだおまえに回ってないじゃん」
澪「私に回っても、どうせ終わるんだから、同じことだろ」
律「ぶぅ~」
紬「それじゃ、今日はティータイムはお開きね」
唯「ムギちゃんが言うなら、しょうがないかぁ」
律「部長はあたしだぞっ」
澪「おまえは威厳がないからな」
律「なんだとっ」
春原「岡崎、まだ間に合う、最後に僕とムギちゃんを引き合わせてくれぇっ」
朋也「そんなに王様ゲームしたいなら、あのカメとサシでやれ」
朋也「あ、これは俺の個人的な命令だからな」
春原「プライベートでも主従関係なのかよっ!?」
律「わははは!」
澪「あの…岡崎くん」
217:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:50:42.26:+UZ/pLeq0
朋也「あん?」
澪「ありがとね。練習、するように言ってくれて」
朋也「いや、別に礼を言われることでもないだろ」
朋也「もとはといえば、俺たちがいたせいで始まったようなゲームだし」
澪「それでも、やっぱり、ありがとうだよ。私も、ちょっと楽しんじゃってたし」
朋也「そっか」
澪「うん」
朋也「まぁ、練習頑張れよ。俺が言えた義理じゃないけどさ」
澪「うん、ありがとう。頑張るよ」
言って、微笑んだ。
そして、俺に背を向け、準備に向かう。
そして、俺に背を向け、準備に向かう。
春原「くそぅ…ムギちゃんお持ち帰りする計画がパァだよ…」
朋也(まだ言ってんのか、こいつは…)
最後まで合コン気分の抜けない奴だった。
―――――――――――――――――――――