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朋也「軽音部? うんたん?」 4/30 金
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meteor089
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朋也「軽音部? うんたん?」
267:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 01:31:30.34:+UZ/pLeq0
4/30 金
唯「あ~…だるぅい~」
憂「お姉ちゃん、たった一日で休みボケしすぎだよ」
唯「だってぇ…もうゴールデンウィーク入ったって錯覚しちゃったんだもん…」
憂「あしたいけば、本物の連休がくるから、がんばろ?」
唯「う~…えいっ」
憂ちゃんに腕を回し、全体重を預ける平沢。
憂「な、なに? 重いよぉ、お姉ちゃん…」
唯「このまま進んで、学校まで運んでよぉ~」
憂「うぅ…わかったよ…私頑張るね…」
憂「よいしょ…よいしょ…」
懸命にずるずる引きずっていく。
唯「遅いよぉ~スピード上げてよぉ~」
憂「う、うん、わかったよ…よい…しょ…」
憂「あ…もうだめ…」
268:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 01:32:07.14:LXRyRTn+0
ええ話や。゚(゚´Д`゚)゚。
269:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 01:32:50.06:jpDSDOMkO
ぺたり、とその場にへたりこんでしまう。
朋也「自分で歩けよ、平沢」
朋也「ほら、憂ちゃん」
手を差し伸べる。
憂「あ、ありがとうございます」
その手を取って立ち上がる憂ちゃん。
平沢は崩れ落ちたまま微動だにしなかった。
平沢は崩れ落ちたまま微動だにしなかった。
唯「はひぃ…」
朋也「置いてくぞ」
唯「ああ…まってぇ」
のろのろ立ち上がり、追ってくる。
唯「岡崎くん、しがみついていい?」
朋也「だめ」
唯「けちぃ…」
―――――――――――――――――――――
270:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 01:33:09.99:+UZ/pLeq0
下駄箱まで足を運んでくる。
朋也「おい、平沢…そろそろ離せ」
唯「え~、教室まで連れてってくれてもいいじゃん…」
結局、坂を上ったあたりから、平沢を引きずってくることになってしまっていた。
あまりにもしつこかったので、俺のほうが折れてしまったのだ。
あまりにもしつこかったので、俺のほうが折れてしまったのだ。
朋也「ここまででいいだろ。さっさと靴履き替えろ」
唯「ぶぅ…」
声「…おはようございます」
…この声。
振り向く。
振り向く。
梓「………」
中野が引きつった笑顔をぴくぴくとひくつかせ、音もなく背後に立っていた。
…おまえは忍者の末裔か。
…おまえは忍者の末裔か。
唯「あ、あずにゃん、おはよぉ」
朋也「…よぅ」
梓「………」
眉間に寄った皺は消えそうにない。
272:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 01:34:35.22:jpDSDOMkO
また、いらぬ恨みを買ってしまったんだろうか…。
梓「…また、放課後に」
唯「うん、部活でね」
梓「それじゃ、失礼します」
言って、軽く会釈。
最後に俺をちらっと見て…
最後に俺をちらっと見て…
梓「…馬鹿」
ムッとした顔を向け、そう口が動いた気がした。
それも、一瞬のことだったので、定かではなかったが。
それも、一瞬のことだったので、定かではなかったが。
―――――――――――――――――――――
………。
―――――――――――――――――――――
昼。
唯「あぁ…刻(とき)が見える…」
平沢は未だにローテンションを引きずっていた。
唯「はぁ…むしろ生きる意味がわからない…」
273:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 01:35:00.28:+UZ/pLeq0
澪「どんどんひどくなっていってるな…」
和「唯、口からぼろぼろこぼれ落ちてるから、咀嚼する時だけは気合入れなさい」
唯「ああぅ…わかた…多分」
春原「はは、情けねぇなぁ。もっとピシッとしろよ」
律「おまえは今日も重役出勤だったくせに、えらぶんな」
春原「うるせぇっ! 元気があればなんでも出来るんだよっ!!」
律「うわっ、ばかっ、口の中に食べ物含んだまま叫ぶなよっ!」
律「内容物が飛び散ってんだろうがっ! 私に当たったらどうすんだよっ!」
春原「避ければいいじゃん」
律「おまえが飛ばさなきゃいいの!」
律「ったく…」
朋也「あ、部長、右肩んところ…」
律「ん?」
律「うひぃ、ちょっと被弾しちゃってるし…最悪…」
汚らしそうに、ばっばっと振り払っていた。
274:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 01:36:10.24:jpDSDOMkO
澪「唯、今日が山場だ。明日は4時間だし、ここさえ乗り切ってしまえば、あとは楽だぞ」
春原「そうそう、土曜なんて、あってないようなもんだしね」
律「そりゃ、おまえが大抵昼からしかこないからだろ」
唯「う~ん、わかっちゃいるけど、体がついてこないよぉ…」
紬「唯ちゃん、よかったら、これ食べて、元気出して?」
琴吹が弁当箱から高級そうなだんごを覗かせた。
唯「え? いいの?」
紬「うん、もちろん」
唯「やったぁ、それじゃ…あ~ん」
餌を待つヒナ鳥のように口を開けた。
紬「はい、あ~ん」
箸で平沢の口まで運ぶ琴吹。
澪「そこまでめんどくさがるのに、ちゃっかりもらうんだな…」
唯「むぐむぐ…おいひぃ~」
紬「ほんと? よかったぁ」
275:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 01:36:37.73:+UZ/pLeq0
律「しょうがねぇなぁ、私からもやるよ…このキンピラゴボウ」
春原「おまえ、またんなもん食ってんの」
律「うるせぇなぁ、りっちゃんキンピラは最高にうまいんだぞ」
唯「う~ん…一応もらっておこうかな…あ~ん」
また口を開けて待つ。
律「一応とはなんだ、一応とは」
言いながら、箸でひとかたまり摘んで、口に運ぶ。
唯「むぐむぐ…ぺっぺっ」
律「あーっ! てめぇ、唯!」
春原「ははは、だせぇ」
律「こぉの野郎ぉーっ!」
平沢に横からヘッドロックをかける部長。
唯「ご、ごめぇん、冗談だよ、おいしいよぉ」
律「80回以上噛んでから飲み込め、こらっ!」
唯「2回で許してぇ」
276:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 01:37:54.29:jpDSDOMkO
律「味が出る前に飲み込もうとしてるだろ、それっ!」
律「不味いって言いたいのかよぉ!」
ぎりぎりと締め付けていく。
唯「うわぁん、嘘、嘘だよ! 分子レベルまで噛み締めるから、許してぇ」
澪「まったく…もっと静かに食べられないのか」
唯「冷静なこと言ってないで、助けてよぉ、澪ちゃんっ」
紬「くすくす」
こうして、昼も騒がしく過ぎていった。
―――――――――――――――――――――
………。
―――――――――――――――――――――
放課後。
唯「………」
梓「唯先輩、どうしたんですか?」
平沢は机に突っ伏して、一言も発していなかった。
277:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 01:38:24.26:+UZ/pLeq0
律「なんか、連休前で、息切れしてるんだってさ」
梓「はぁ…」
紬「はい、唯ちゃん。ここ、置いておくね」
唯「ん…」
少し顔を上げる。
唯「ひゃっほうっ、今日はチーズケーキなんだねっ!」
ケーキを目の前にして、今まで伏せていた上体を勢いよく起こしていた。
澪「いきなり元気になったな…」
律「現金な奴…」
―――――――――――――――――――――
春原「おい、部長。ちょっとラジカセ貸してくんない?」
律「あん? どうすんだよ」
春原「これをかけようと思ってね」
ポケットからカセットテープを取り出す。
春原「ボンバヘッ聴きながら、ムギちゃんの用意してくれたお茶を飲む…」
279:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 01:39:53.66:jpDSDOMkO
春原「これ以上のくつろぎ方はこの世に存在しないね」
律「いや、いいけどさ…ボンバヘッってなによ?」
春原「かぁ、知らねぇのかよ、あの有名なHIPHOPの最高峰を」
春原「おまえ、それでも軽音部部長かよ」
律「いや、聞いた事ないからさ…みんな知ってるか?」
唯「知らなぁい」
澪「私も…」
紬「私も、ちょっと…」
梓「私も聞いたことないです」
春原「ええ、マジ? じゃ、この機会に知っておいたほうがいいよ」
春原「部長、ラジカセまだかよ」
律「物置にあるから、自分で取ってこい」
春原「ちっ、気の利かねぇ奴だな」
律「おまえのために動く道理なんかねぇよ」
春原は物置に入っていくと、ややあってラジカセを手に戻ってきた。
280:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 01:40:31.33:+UZ/pLeq0
春原「んじゃ、かけるよ」
テープを入れ、再生ボタンを押す。
流れてきたのは、古臭い歌謡ヒップホップ。
流れてきたのは、古臭い歌謡ヒップホップ。
朋也(ダッサ…こんなの聴かねぇだろ…)
春原「よくない? ボンバヘッ!」
律「ん、まぁ、なかなか…」
唯「ノリがいいよね」
澪「そうだな。普段、こういう曲はあんまり聞かないけど、いいかも」
紬「うん、なんか、親しみやすいなぁ」
梓「ちょっと古い感じしますけど…逆に新鮮でいいです」
春原「へへ、だろ?」
…意外と好評のようだった。
春原「おまえら、どんどんボンバヘッコピーして、いいバンドになれよ」
律「アホか。私たちの音楽性と違いすぎるわ」
梓「音楽性って…それも、プロみたいでちょっと大げさな気もしますけどね」
唯「でも、おもしろそうじゃない? ボンバヘッ時間とかやってみたらさ」
281:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 01:41:47.79:jpDSDOMkO
律「んなアレンジするかよ…澪だって、歌詞思いつかないだろ、そんなんじゃ」
澪「う~ん…頑張ればできるかも…」
律「できるんかい…」
唯「どんな感じ? 澪ちゃん」
澪「うん…えっと…」
澪「キミをみてると、いつもハートBON☆BAHE…とか…」
静まり返る室内。
澪「………」
律「じゃ、練習しよっか」
唯「そだね」
梓「やってやるです」
紬「頑張りましょうね」
春原「岡崎、せんべいちょっとわけてよ」
朋也「いいけど」
澪「ちょっと待てぇっ!」
282:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 01:42:13.64:+UZ/pLeq0
律「どうしたんだよ、澪。んな大声出しちゃって」
澪「なんでなかったことにされてるんだよっ!」
律「いや、だって、すげぇ微妙だったし…」
澪「仕方ないだろぉ! 即興だったんだからっ!」
律「にしてもなぁ…」
澪「うぅ…じゃあ、納得できるもの書いてきてやるっ」
澪「春原くん、後でテープダビングさせてっ!」
春原「あ、ああ、いいけど…」
律「澪ちゃ~ん、そこでまでしなくていいからなぁ~…」
―――――――――――――――――――――
練習が始まり、俺たちは暇になる。
今残っている茶を飲み干せば、退散を決め込むつもりだった。
今残っている茶を飲み干せば、退散を決め込むつもりだった。
春原「う~ん…まだか…」
春原がなにやらラジカセのアンテナをしきりに動かしていた。
朋也「なにやってんの、おまえ」
春原「みてわかんない? ラジオ聴こうとしてんだよ」
283:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 01:43:32.82:jpDSDOMkO
朋也「いや、わかるけどさ、なんで琴吹に向けてんの」
ちょうど、胸のあたりに照準を合わせているような…
春原「どうせなら、ムギちゃんのおっぱいを通った電波受信したいじゃん」
朋也「あ、そ…」
こいつは絶対アホだ。
春原「うぉおおおっきたきたぁっ!」
じりじりとラジカセが音を立て始める。
内容は、情報番組のようだった。
内容は、情報番組のようだった。
春原「ちっ、なんだよ、つまんねぇチャンネルだなぁ」
春原「せっかくムギちゃん通してんだから、ムギちゃんのおっぱい情報を事細かに伝えろよなぁ」
朋也「琴吹の前に、どっかのおっさんを5、6回経由してきたようだな」
春原「マジで? それ、やべぇよ」
春原「くそぉ、知りてぇえええ! ムギちゃんのおっぱい秘話っ!!」
がんっ
春原「イテぇっ!」
ドラムスティックが春原の顔面に直撃していた。
284:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 01:44:04.31:+UZ/pLeq0
律「変態発言はよそでやれ、アホっ!」
部長が投げ放った物のようだ。
春原「顔面狙うことないだろ、クソデコっ!」
律「黙れ、変態ヘタレ野郎っ!」
悪口の応酬が始まる。
平沢たちは部長を、俺は春原をなだめ、なんとか場を収めた。
平沢たちは部長を、俺は春原をなだめ、なんとか場を収めた。
律「ったくぅ…ムギもなんとか言ってやれよぉ」
律「こいつ、ムギにすげぇやらしいことしてたんだぜ?」
律「セクハラだよ、セクハラ」
春原「いや、そういうつもりじゃ…」
春原「ちょっとしたジョークだよ。ムギちゃんなら、わかってくれるよね?」
紬「えっと…もう少しで、立件できそうなの」
春原「前々から準備進めてたんすかっ!?」
律「わははは!」
―――――――――――――――――――――
結局、最後まで居座ってしまい、一緒に下校することになってしまっていた。
285:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 01:45:38.15:jpDSDOMkO
春原が寮に戻り、俺ひとりが女集団の中に残されたので、やはり少し離れて歩いた。
目の前では、平沢たちが楽しげに会話をしている。
部長と平沢がボケて、秋山と中野がつっこみを入れ、琴吹が笑う。
役割が大体決まっているのだろうか。よく見かける構図だった。
目の前では、平沢たちが楽しげに会話をしている。
部長と平沢がボケて、秋山と中野がつっこみを入れ、琴吹が笑う。
役割が大体決まっているのだろうか。よく見かける構図だった。
澪「岡崎くん」
話がひと段落ついたのか、輪から抜けて、秋山が俺に近寄ってきた。
他の奴らは、次の話題に移っているようだった。
他の奴らは、次の話題に移っているようだった。
朋也「なんだ」
澪「今ね、みんなで星座占いやってたんだけど…」
言って、持っていた携帯に目を落とす。
澪「よかったら、岡崎くんもやってみない?」
朋也「俺?」
澪「うん。興味ないかな、やっぱり…」
少し寂しそうな顔。
確かに、別段興味はなかったが…
こんな顔をされては、断る気にもなれない。
確かに、別段興味はなかったが…
こんな顔をされては、断る気にもなれない。
朋也「さそり座」
澪「え?」
286:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 01:45:59.63:+UZ/pLeq0
朋也「俺の星座だよ。占ってくれるんだろ」
澪「あ…うんっ」
表情をぱっと明るくして、携帯を操作する。
澪「えっとね…」
澪「今日のあなたは超絶好調☆誰にも止められない☆邪魔者はみんな叩き殺しちゃえ☆」
澪「…ということだそうです」
…どんな占いサイトだ。
澪「あはは…よかったね…すごく運いいみたいだよ…」
秋山もその結果に、とういうか、文章にうろたえているのか、声がうわずっていた。
朋也「ああ…みたいだな。まぁ、すでに今日も後半に入ってるけどさ」
澪「あはは…そうだね…」
朋也「はは…」
澪「あはは…」
意味もなく笑う俺たち。
澪「あの…相性占いもしてたんだけど…やってみる?」
287:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 01:48:54.72:jpDSDOMkO
口直しに、とでもいうように、そう訊いてきた。
朋也「相性って…俺と、誰を?」
澪「誰でもいいよ。名前と、誕生日を知ってる人なら」
澪「春原くんとか、どう?」
朋也「いや、あいつは、俺の中でまだ顔と名前が一致してないくらいの仲だしな」
朋也「相性なんて、どうでもいいよ」
澪「そ、そんな他人みたいな…ひどいなぁ…あんなに仲いいのに」
朋也「よくない」
澪「素直じゃないんだね」
朋也「本音だ」
澪「あはは…そういうことにしておくね」
澪「じゃあ、春原くん以外で、誰かいる?」
朋也「そうだな…」
俺の交友関係なんて、あいつを除けば、ほとんど無きに等しい。
改めて考えてみると、俺って、かなり寂しい奴なんじゃないだろうか…。
改めて考えてみると、俺って、かなり寂しい奴なんじゃないだろうか…。
澪「もし、よかったら…私たちの内の誰かでもいいよ」
288:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 01:49:33.45:+UZ/pLeq0
朋也「おまえでも?」
澪「え、わ、私? 私なんかで、いいの…?」
澪「岡崎くん、唯と仲いいし…その…相性知りたいんじゃないかなって…」
また平沢との疑惑が持ち上がってくるのか…。
これももう何度目だろうか。
まぁ、今となっては、俺自身、そんなに嫌でもなかったが…
これももう何度目だろうか。
まぁ、今となっては、俺自身、そんなに嫌でもなかったが…
朋也「おまえとにするよ」
だが、露骨に俺から近寄っていくのも、何か違う気がした。
第一、平沢は、その気がないとかつて言っていたこともあるのだ。
だから、今のままが一番いいと思う。
第一、平沢は、その気がないとかつて言っていたこともあるのだ。
だから、今のままが一番いいと思う。
澪「…う、うん、わかった…じゃあ、私とで…」
携帯の画面と向き合い、カチカチと入力していく。
澪「岡崎くん、誕生日は?」
朋也「10月30日」
澪「10月…30…」
俺の返答を聞くと、また画面に目を戻し、入力を始めた。
澪「名前の、ともや、ってこの字でいいかな?」
289:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 01:51:58.88:LXRyRTn+0
澪ちゃんかわええ
290:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 01:52:14.75:jpDSDOMkO
画面を俺に見せてくる。
朋也「ああ、いいよ」
澪「えっと…朋也っと…」
澪「血液型は?」
朋也「A型」
澪「Aっと…」
澪「それじゃあ…」
カチッと一押しする。
最後の入力が終わったようだ。
最後の入力が終わったようだ。
澪「あ…出てきた…」
幾ばくかの間があって、そう声を上げた。
澪「………」
画面をじっと見つめたまま何も言わない。
言い辛い結果だったんだろうか。
言い辛い結果だったんだろうか。
朋也「どうだったんだ」
澪「うん…えっと…」
291:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 01:53:17.59:+UZ/pLeq0
澪「…話す内、お互い、気を許し合えることがわかります」
澪「長年に渡って、良きパートナーとなれるでしょう…」
澪「…って、ことなんだけど…」
朋也「ふぅん、結構よさげじゃん」
澪「う、うん、そうだね…」
澪「それで…男女ペアだったから、もうひとつあるんだけど…」
男女ペア特有の相性…それは、やっぱり…
澪「あの…恋愛相性…なんだけど…」
…そうなるか。
澪「き、興味、あるかな…?」
頬を赤らめながら訊いてくる。
朋也「あ、ああ…まぁ、一応」
仮にも、秋山は美人の部類である女の子だ。
そんな奴との相性が気にならないと言ったら、それは嘘になる。
そんな奴との相性が気にならないと言ったら、それは嘘になる。
澪「じ、じゃあ、言うよ…えっと…」
澪「…お互いの精神的弱点を補い合い、成長できる恋愛が出来そうです」
292:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 01:55:19.55:jpDSDOMkO
澪「強さと繊細さを持ち合わせた理想のカップルとなれるでしょう…」
澪「………」
言い終わると、口をきゅっと結び、目を泳がせながら押し黙ってしまう。
朋也「あー…俺たち、相性いいみたいだな」
つとめて淡白な素振りを意識して、軽い口調で言った。
所詮アルゴリズムで弾き出された答えだ。
気負うことはないと、そう伝えたかったからだ。
所詮アルゴリズムで弾き出された答えだ。
気負うことはないと、そう伝えたかったからだ。
澪「う、うん、そうだね…」
俺の意思が通じたのか、秋山も笑顔を作ってそう返してくれた。
澪「あの…岡崎くんってさ…」
朋也「うん?」
澪「えっと…」
グサ
下腹部に違和感。
澪「あ…」
朋也「…ん?」
293:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 01:55:54.50:+UZ/pLeq0
秋山から視線を外し、下にさげていく。
…股間に枝が突き刺さっていた。
…股間に枝が突き刺さっていた。
朋也(なぜ…)
ゆっくりとその先に視線を這わせていくと、中野が呆れた顔で突っ立っていた。
梓「まったく、ちょっと目を離すとすぐふたりっきりになろうとする…」
梓「最低です」
朋也「いや、まずこの枝どけろよ」
言って、振り払う。
が、すぐにまた戻される。
が、すぐにまた戻される。
澪「あ、梓、やめなさい」
梓「だって、澪先輩がこのけだものに襲われてたから…」
澪「そんなことされてないから、やめなさい」
梓「…はい」
しぶしぶ枝を自然に還していた。
まぁ、ただ捨てただけなのだが。
まぁ、ただ捨てただけなのだが。
梓「岡崎先輩、後ろの方でこそこそといちゃつくのはやめてください」
朋也「んなことしてねぇって」
295:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 01:57:34.93:jpDSDOMkO
澪「そ、そうだぞ、ただ私が話しかけて…」
梓「澪先輩、だまされちゃだめですっ」
澪「はうっ…」
その迫力に気圧される秋山。
梓「気を許させて、そこから一気に畳み掛けるつもりなんですからっ」
梓「岡崎先輩、卑怯ですよ、こんな純情な澪先輩まで毒牙にかけようなんてっ」
朋也「ただトークしてただけだっての…」
梓「そんなに女の子とふたりっきりで話したいんですかっ」
朋也「いや、俺は…」
梓「そういうことなら…私…私が犠牲になるので、先輩たちに手を出さないでくださいっ」
朋也「じゃあ、おまえとならいちゃついてもいいってことかよ」
梓「な、なななっ…」
梓「…そ、それで岡崎先輩が大人しくなるなら…我慢しますです…」
澪「あ、梓…」
律「おーおー、敬語が雑になるくらい動揺しちゃって…」
296:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 01:58:02.00:+UZ/pLeq0
紬「あらあら、梓ちゃんったら…」
いつの間にやら部長と琴吹も集まってきていた。
律「まさか、梓まで攻略するなんてな…岡崎、おまえ、すげぇよっ」
梓「ななな、なに言ってるんですかっ! そんなことされた覚えありませんっ!」
律「だってさぁ、岡崎が他の女といちゃつくの嫌なんだろ?」
律「それで、今、独占しようとしてたじゃん」
梓「違いますっ! あくまで身代わりになろうとしてただけですっ!」
律「ふぅん、身代わりねぇ…いひひ」
梓「り、律先輩っ! 変な笑い方しないでくださいっ」
律「いやぁ、おもしろくなってきましたなぁ、ムギさんや」
紬「そうですねぇ、りっちゃんさん」
梓「む、ムギ先輩までっ…」
声「おお、すごぉいっ!」
前方で声。この場に居合わせた全員が前を向く。
唯「りっちゃんとトンちゃんの相性ばっちりだよっ…って、あれ?」
298:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 01:58:59.94:jpDSDOMkO
唯「なんでみんなそんな後ろの方にいるの?」
平沢がひとり、こちらを振り返ってきょとんとしていた。
律「あいつは…なにとあたしの相性占ってんだよ…」
唯「ほら、りっちゃんみてみて、トンちゃんとの相性!」
とてとて走ってくる。
唯「すごいフィーリングだよっ。よかったねっ」
唯「りっちゃん、私たち全員と相性微妙だったからっ」
律「それは言うなぁっ!」
バックを取り、チョークスリーパーをかける。
299:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 01:59:19.63:+UZ/pLeq0
唯「うわぁん、ごめんなさぁいっ」
騒ぎ出すふたり。
澪「…はぁ」
秋山が俺の隣でため息をついていた。
そういえば、中野が現れる前、なにか俺に言おうとしていたような…
そういえば、中野が現れる前、なにか俺に言おうとしていたような…
朋也「なぁ、さっきなにか言いかけてたけど、なんだったんだ」
澪「ん? うん…いいの、なんでもない」
朋也「あ、そ」
澪「うん…」
間が空いて、興がそがれてしまったんだろうか。
何を言おうとしていたのか…少しだけ気になった。
それは、こいつの横顔が、やたらと儚げにみえたからだろう。
物憂げな表情も、こいつなら絵になるものだと…
この時、俺は単純に感心していた。
何を言おうとしていたのか…少しだけ気になった。
それは、こいつの横顔が、やたらと儚げにみえたからだろう。
物憂げな表情も、こいつなら絵になるものだと…
この時、俺は単純に感心していた。
―――――――――――――――――――――