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朋也「軽音部? うんたん?」 5/1 土
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meteor089
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朋也「軽音部? うんたん?」
301:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 02:00:19.85:+UZ/pLeq0
5/1 土
唯「ふでぺーんふっふー♪ ぐふふ」
憂「お姉ちゃん、きのうとは別人のようにハイテンションだよね」
唯「まぁね~。明日からは黄金週間だしね~おもいっきりだらだらするんだぁ」
憂「でも、お父さんとお母さんが帰ってくるから、家族で出かけるんだよ?」
憂「話、聞いてたでしょ?」
唯「え? うん、まぁ…」
憂「忘れちゃってた?」
唯「いや、えっと…覚えてたよ…うん…」
声のトーンが落ち、濁したように答えていた。
唯「………」
俺の顔色を窺うように、ちらりと見上げてくる。
目が合っても、逸らそうとはしない。
その瞳には、なにか複雑な色をたたえていた。
…ああ、そうか。今、わかった。
平沢は、俺を気遣ってくれているのだ。
こいつには、うちの家庭環境を話していたから、それで。
目が合っても、逸らそうとはしない。
その瞳には、なにか複雑な色をたたえていた。
…ああ、そうか。今、わかった。
平沢は、俺を気遣ってくれているのだ。
こいつには、うちの家庭環境を話していたから、それで。
朋也(そういうことには敏感なんだよな、こいつは…)
302:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 02:01:48.40:jpDSDOMkO
俺は平沢の頭に手を乗せ、ぽむぽむと軽く触れた。
唯「…ん、なに? どうしたの?」
朋也「いや、なんでも」
唯「?」
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………。
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昼。
律「ったく、なんでネタ被らせてくんだよ、ばか」
春原「僕の方が先に食券買ってただろうがっ! おまえが加害者で、僕が被害者だっ」
律「ごちゃごちゃうっせぇやい、りっちゃんちゃぶ台返し食らわすぞっ!」
今回のいざこざは、ふたりが同じメニューを購入してきたことに端を発していた。
部長は普段、弁当食なのだが、気分を変えたかったらしく、今日は学食を利用していたのだ。
部長は普段、弁当食なのだが、気分を変えたかったらしく、今日は学食を利用していたのだ。
春原「んな言いにくい技、僕には通用しねぇってのっ」
律「なんだとぉ! じゃあ、食らわせてやるよっ」
腕まくりする部長。
303:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 02:03:25.90:jpDSDOMkO
律「死んでからあの世で後悔するんだなっ」
唯「まぁまぁ、落ち着きなよ」
平沢が肩にぽん、と手を乗せる。
唯「おんなじもの選ぶってことは、それだけ気が合うってことだよ。だから、仲良くしなきゃだめだよ?」
律「気も合わないし、仲良くもしねぇってのっ。あんまりおぞましいこと言うなよなぁ」
律「こんなヘタレなんかと一緒にされた日にゃ、くそ夢見悪ぃよ」
春原「あんだとっ! てめぇ、あとで便所裏こいやぁっ!」
朋也「それが男子便のことを指すなら、裏は女子便ってことになるな」
春原「えぇ? それ、マジ?」
そのつもりで言っていたようだ。
律「なんてとこ呼び出そうとしてんだ、この変態っ!」
春原「ち、ちが…そ、そうだ…体育館裏こいやぁっ!」
朋也「告白でもするのか? あそこ、告りスポットで有名だぞ」
春原「マジかよっ!?」
律「うわ…勘弁してよ…」
304:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 02:03:57.04:+UZ/pLeq0
春原「くそ、勘違いするなよ…えっと…えっと…」
朋也「校庭に生えてるでかい樹の下でいいんじゃないか。なんか伝説あるみたいだし」
春原「そ、そうか…じゃあ…」
春原「校庭にある伝説の樹の下までこいやぁっ!」
朋也「敬語のほうが丁寧で印象もよくなるし、来てくれる確率もあがるんじゃないか」
春原「そ、そっか、じゃあ…」
春原「校庭にある伝説の樹の下まで来てくださいっ!」
春原「って、こっちの方が告ろうとしてるようにみえるだろっ!」
朋也「成功したら、次は実家に呼び出せよっ」
ぐっと親指を立ててみせる。
春原「なんだよそのさわやかさはっ! つーか、展開早ぇよっ!」
律「最低…そんな目であたしをみてたんだ…キショ…」
春原「あ、てめぇ、勘違いすんなよ、こらっ!」
唯「春原くん、大胆だねっ」
春原「ああ? だから、違うって言ってん…」
305:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 02:04:34.82:+UZ/pLeq0
紬「頑張って、春原くんっ」
春原「って、え゛ぇえっ!? ムギちゃんまで…」
朋也「よかったじゃん、追い風吹いてるぞ。本人には拒否されてるけど」
春原「岡崎、頼むからもうおまえは喋らないでくれ…」
―――――――――――――――――――――
………。
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放課後。
紬「あの…ちょっとみんなに見てもらいたいものがあるんだけど…」
いつものように茶をすすっていると、琴吹がおもむろに口を開いた。
春原「うん? なにかな? もしかして、おっぱ…」
律「黙れ、変態っ」
ぽかっ
春原「ってぇな…」
律「それで、ムギ、なに? みせたいものってさ」
306:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 02:06:14.65:jpDSDOMkO
紬「うん…マンボウ改、なんだけど…」
律「マ、マンボウ改…?」
唯「ムギちゃん、なに、それ?」
紬「ほら、一年生の時に、クリスマスパーティーやったじゃない?」
紬「あの時、一発芸で私が披露した、あれの改良版なの」
唯「あ、ああ、なるほどねぇ~…」
澪「あ、あれか…」
とすると、二年前のことなんだろう。
俺と春原にはさっぱりわからない話だった。
俺と春原にはさっぱりわからない話だった。
梓「なんなんです? マンボウって」
…ああ、こいつもか。
澪「いや、口じゃちょっと説明しづらいっていうかだな…」
梓「そうなんですか?」
澪「ああ…」
律「しっかし、なんでまたそんなものを…」
紬「鏡みてたら、急に思い出しちゃって…」
307:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 02:06:34.38:+UZ/pLeq0
紬「それで、ひとりで思い出し笑いしてたら、新しい案が閃いちゃったの」
紬「で、完成型を今日みんなにみせるために、98429回は素振りしてきたのよ」
澪「す、素振りって、マンボウをか…?」
律「しかも、その回数かよ…」
唯「すごいポテンシャルを持ってるね…さすがムギちゃんだよ…」
紬「あ、ごめんなさい。そのくだりは嘘なの」
ずるぅっ!
天使のような笑顔で言われ、みな転けていた。
律「あ、そですか…」
紬「でも、マンボウ改が生まれたのは本当よ。みてくれるかな…?」
春原「僕は喜んで見るよっ」
紬「ほんとに?」
春原「うん。めちゃみたいよっ」
梓「私も興味あります」
唯「わ、私もあるかなぁ~…あはは~…」
308:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 02:08:04.65:jpDSDOMkO
澪「そ、そうだな、ある意味見てみたいかも…」
律「ほどほどにな、ムギ…」
紬「それじゃあ…」
ステージに登るようにして、俺たちの前に立つ。
目を閉じて、一度深呼吸…
腹を決めたのか、かっと見開いた。
目を閉じて、一度深呼吸…
腹を決めたのか、かっと見開いた。
紬「マンボウのマネっ」
口の中いっぱいに空気を含み、頬を膨らませ、手でヒレの部分を再現していた。
シュールだ…
シュールだ…
朋也(つーか…)
…顔がおもしろい。
梓「え…」
春原「はは…」
初見のこのふたりも、ある種ぶっ飛んだこのネタについていけていないようだった。
紬「…改っ!」
叫び、手で虎爪を作って腕をひねらせながら前に突き出した。
そこで動きを止め、微動だにしなくなった。
どうやら、ここで終わりのようだ。
そこで動きを止め、微動だにしなくなった。
どうやら、ここで終わりのようだ。
309:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 02:08:30.27:+UZ/pLeq0
………。
皆、唖然とした表情で、口をあけてぽかんとしていた。
皆、唖然とした表情で、口をあけてぽかんとしていた。
律「ムギ、今のは…?」
紬「威嚇よ」
体勢を元に戻し、一仕事やりとげたいい顔でそう答えた。
律「い、威嚇…」
澪「マンボウって威嚇するのか…?」
唯「っていうか、攻撃してたよね?」
律「ああ、こう、腕が敵にめり込んでたっていうかさ…」
律「マンボウの面影がまったく残ってない攻撃方法だったよな」
梓「絶対あのマンボウは生態系の頂点にいると思います」
次々にダメ出しされていく。
紬「…ダメ、だったかな…」
顔を伏せ、しょぼくれる琴吹。
春原「さ、最高だったよ、ムギちゃんっ!」
春原の苦し紛れの賛辞が飛ぶ。
310:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 02:09:49.78:jpDSDOMkO
律「あ、ああ、言うほど悪くなかったぞ、ムギっ」
澪「う、うん、再現度高かったぞっ」
唯「だよね、一瞬マンボウが陸で二足歩行してるのかと思っちゃったよっ」
梓「す、すごくハイレベルな芸でしたよ。二発目以降も十分ウケると思いますですっ」
それに続き、部員たちのフォローが入る。
紬「…よかったぁ♪」
その甲斐あってか、もとの明るい表情を取り戻していた。
紬「じゃあ、アンコールにこたえて、もう一回…」
律「い、いや、もういいよっ」
律「…っていうか、アンコールしてないし…」
小声で言う。
澪「そんなに連続してやったら、ムギの体がもたないだろ?」
澪「休憩したほうがいいぞ、うん」
紬「そう…?」
唯「アンコールには、りっちゃんが代わりにこたえてくれるんだって」
311:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 02:10:19.51:+UZ/pLeq0
律「私かいっ」
唯「がんばって、りっちゃん」
澪「がんばれ、おまえの腕の見せ所だぞ」
律「あたしゃ芸人かい…」
律「でも、急に言われてもなぁ…ネタが…」
梓「ムギ先輩に倣って、マネシリーズでいいんじゃないですか」
律「マネか…う~ん、それもそうだな。じゃあ、なにがいいかな…」
312:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 02:11:42.45:jpDSDOMkO
律「ウケるには、滑稽な生き物がいいだろうから…」
律「む…そこから導き出される答えはただ一つ…春原、ってことになるな」
春原「あんだと、てめぇっ」
朋也「それはやめといた方がいい。難易度が高すぎる」
春原「そうだよ、こいつに僕のマネなんかできるわけないからね」
春原「滑る前に、無難なのにしといたほうがいいぜ、ベイベ?」
朋也「春原を再現しようと思ったら、白目向いて、痙攣しながら泡吹かなきゃいけないからな」
春原「って、なんでだれかにヤられた後なんだよっ!」
律「わははは!」
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