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朋也「軽音部? うんたん?」 秋
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meteor089
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朋也「軽音部? うんたん?」
172:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:48:22.74:+UZ/pLeq0
文化祭が終わると、しばらくはまた部室に集まって、だらだらとした日々を送っていた。
あのライブですっきり引退したにも関わらず、だ。
中野は、受験勉強はいいのかと、口をすっぱくして言っていたのだが…
どこか俺たちの訪問を喜んでいる節があった。
楽しかった日常が、まだ続いていくことが嬉しかったのだろう。
それに、唯たちがいなくなれば、残された部員は中野のみになってしまう。
その寂しさもあったんじゃないかと思う。
そんな中野の心情を汲み取ってか、唯たちは足しげく部室に通い続けていた。
あのライブですっきり引退したにも関わらず、だ。
中野は、受験勉強はいいのかと、口をすっぱくして言っていたのだが…
どこか俺たちの訪問を喜んでいる節があった。
楽しかった日常が、まだ続いていくことが嬉しかったのだろう。
それに、唯たちがいなくなれば、残された部員は中野のみになってしまう。
その寂しさもあったんじゃないかと思う。
そんな中野の心情を汲み取ってか、唯たちは足しげく部室に通い続けていた。
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10月の末、俺は18歳の誕生日を迎えた。
その日は唯と二人で久しぶりにデートに出かけた。
そして、その最後には、平沢家で憂ちゃんが用意してくれた料理を三人で囲み、祝福してもらった。
プレゼントには、手作りのだんご大家族のぬいぐるみをもらった。
単純な作りだったので量産できたらしく、ふくろいっぱいに詰めて持ち帰った。
唯の誕生日には、俺も何か用意しておこう。
11月の27日らしいので、すぐにその日はやってくる。
金はなかったから、なにか俺も手作りの品を渡すしかなさそうだ。
なにがいいだろう…。
俺はそんなことばかり考えていた。
もうすぐ訪れるであろう別れの予感を胸の奥底に押し込めて。
その日は唯と二人で久しぶりにデートに出かけた。
そして、その最後には、平沢家で憂ちゃんが用意してくれた料理を三人で囲み、祝福してもらった。
プレゼントには、手作りのだんご大家族のぬいぐるみをもらった。
単純な作りだったので量産できたらしく、ふくろいっぱいに詰めて持ち帰った。
唯の誕生日には、俺も何か用意しておこう。
11月の27日らしいので、すぐにその日はやってくる。
金はなかったから、なにか俺も手作りの品を渡すしかなさそうだ。
なにがいいだろう…。
俺はそんなことばかり考えていた。
もうすぐ訪れるであろう別れの予感を胸の奥底に押し込めて。
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そして…唯の誕生日も過ぎていき、本格的な冬が来た。
誰もが緊張した面持ちで自分の将来を占っている。
当然、軽音部の面々も、そうなるかと思っていたのだが…
相も変わらず部室に顔を出し続け、いつも通りティータイムに興じていた。
といっても、ただだらけているわけじゃない。受験勉強の場を部室に移したのだ
誰もが緊張した面持ちで自分の将来を占っている。
当然、軽音部の面々も、そうなるかと思っていたのだが…
相も変わらず部室に顔を出し続け、いつも通りティータイムに興じていた。
といっても、ただだらけているわけじゃない。受験勉強の場を部室に移したのだ
173:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:48:56.26:+UZ/pLeq0
それは、中野のためだったのか、それともティータイムのためなのか…そのどちらもなのか。
この際、なんでもいい。この期に及んで、らしくいられるこいつらが、俺には頼もしく見えていた。
それは、俺自身の進路が不安定なまま、ひとつ場所に定まっていなかったからかもしれない。
目標もなく、目的もなく…ただ惰性で生きてきたような奴の末路なんていうのは、こんなものだ。
だからこそ、いつだって変わらない、普遍的な存在が、心のより所となりえるのだろう。
この際、なんでもいい。この期に及んで、らしくいられるこいつらが、俺には頼もしく見えていた。
それは、俺自身の進路が不安定なまま、ひとつ場所に定まっていなかったからかもしれない。
目標もなく、目的もなく…ただ惰性で生きてきたような奴の末路なんていうのは、こんなものだ。
だからこそ、いつだって変わらない、普遍的な存在が、心のより所となりえるのだろう。
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朋也「わははははっ!」
春原「笑うなっ」
朋也「誰だよ、おまえはよっ」
春原「自分で鏡を見たって違和感バリバリだよ」
春原「でも仕方ないだろ…就職難だって言うしさ」
朋也「おまえの田舎じゃ、関係ないんじゃないの?」
春原「どんな田舎を想像してくれてるんだよ…」
朋也「孤島」
春原「本州だよっ!」
春原「…というわけで、しばらくいなくなるな」
コートに身を包んだ春原が立ち上がる。
174:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:50:12.47:jpDSDOMkO
春原「ま、勝手に部屋を使うな、と言っても、使うんだろうから、何も言わないけどさ…」
春原「悪戯だけはすんなよ」
春原は今日から、田舎に帰る。
就職活動だった。そのために髪を黒く染め直していたのだ。
進学しないのであれば地元に帰って就職する…それは親との約束だったらしい。
そんなことを言い出された日、俺は現実を突きつけられた気がして、ショックだったのを覚えている。
そう…もう、馬鹿をしていられる時間は終わったのだ。
俺よか、春原はよっぽど切り替えが早くて…
俺は置いてきぼりだった。
今も、そう。
残り火に当たるようにして、じっとコタツに張りついていた。
就職活動だった。そのために髪を黒く染め直していたのだ。
進学しないのであれば地元に帰って就職する…それは親との約束だったらしい。
そんなことを言い出された日、俺は現実を突きつけられた気がして、ショックだったのを覚えている。
そう…もう、馬鹿をしていられる時間は終わったのだ。
俺よか、春原はよっぽど切り替えが早くて…
俺は置いてきぼりだった。
今も、そう。
残り火に当たるようにして、じっとコタツに張りついていた。
春原「決まり次第戻ってくるけどさ…」
春原「そん時はもう、卒業間際かな」
春原「まぁ、おまえも就職活動で忙しくなるのは一緒だからな…」
春原「きっと、あっという間だぞ」
春原「じゃあな、健闘を祈る」
春原が部屋を出ていく。
俺はぼーっとその背中を見送った。
何かしなければならないんだろうな…。
そんなことを考えながら。
俺はぼーっとその背中を見送った。
何かしなければならないんだろうな…。
そんなことを考えながら。
175:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:51:49.99:jpDSDOMkO
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翌日から俺は、就職部に通い始めた。
こんなところに世話になる生徒は他にいないのか、担当の教師以外に人はいなかった。
こんなところに世話になる生徒は他にいないのか、担当の教師以外に人はいなかった。
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教師「進学校であることのほうがネックになることがあるよ」
その老いた教師は言った。
教師「進学校の落ちこぼれよりも、レベルが低い学校で頑張っている人間の方が好まれる」
教師「単純にそれは内申で判断される。人間性の問題だからね」
教師「君はそこんところは自覚しておいた方がいいよ」
教師「ショックを受けないように」
教師「でも、ま、諦めることはない」
教師「そのうち、納得のいく仕事も見つかるよ」
朋也(春原も同じ苦労してんのかな…)
朋也(でも、あいつのことだからな…)
朋也(俺なんかより自分の立場を把握してんだろうな…)
朋也(よっぽど俺のほうが子供だ…)