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朋也「軽音部? うんたん?」 文化祭②
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meteor089
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朋也「軽音部? うんたん?」
124:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:03:13.40:jpDSDOMkO
ついに開演時間を迎え、アナウンスが流れた。
5分前にはすでに館内は満席となり、壁際の立ち見客も多くいた。
俺と春原もその中の一人だった。さわ子さんもそうだ。
春原の隣で、腕組みしながら見守っていた。
5分前にはすでに館内は満席となり、壁際の立ち見客も多くいた。
俺と春原もその中の一人だった。さわ子さんもそうだ。
春原の隣で、腕組みしながら見守っていた。
春原「さわちゃん、キツくなったら僕の体に寄りかかっていいよ」
さわ子「いやらしい感じがするから、遠慮しとくわ」
春原「い、いや、どさくさにまぎれておっぱい触ろうとか思ってないって」
さわ子「誰もそんなこと言ってないんだけど」
春原「ははっ、そ、そうだよね、誰だよ、おっぱいとか最初に言ったやつは」
おまえだ。
朋也「あ…」
幕が上がると、ステージの中央、こちらに背を向けてへたり込んでいる唯の後ろ姿が目に飛び込んできた。
朋也(転けたのか、あいつ…)
なんでまたアクションのないスタンバイ中に…
とはいえ、それが唯たる所以なのかもしれないが。
とはいえ、それが唯たる所以なのかもしれないが。
ガシャンっ
今度はギターを落としていた。
春原「おいおい、大丈夫なのかよ」
さわ子「…まぁ、ここからよ、ここから」
唯『すいませんねぇ…』
へりくだったMCを入れながら、ギターを肩にかける。
125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:03:38.96:+UZ/pLeq0
唯『あ…』
そこで気づく。
声「唯ーっ!」
声「平沢さーんっ!」
声「平沢ーっ!」
クラスメイトたちが…会場のほぼ全員が、同じ衣装を身に纏っていることに。
梓「……!」
中野も、秋山も部長も琴吹も、みんながキョロキョロと館内を見渡していた。
和『さぁみなさん、盛大な拍手を』
真鍋が軽音部の面々を横切り、ステージの中央へと躍り出た。
もちろん、同じTシャツを着てだ。
もちろん、同じTシャツを着てだ。
唯「………!」
梓「……!」
唯と中野が詰め寄って行く。
和「………」
なにか説明を求められているようだ。
126:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:06:23.50:jpDSDOMkO
おそらくこの演出についてだろう。
和「……」
館内最後方(こうほう)、出入り口に近い位置にいる俺たちを指さす。
その照準はさわ子さんに合っていた。
その照準はさわ子さんに合っていた。
さわ子「ブイ」
ピースサインで返していた。
唯「さわちゃんありがとーっ!」
梓「ありがとうございますっ」
ステージから肉声で届いてくる。
声「先生ーっ」
声「かっけーっ! さすが担任ぅ!」
声「さわ子先生マジヤベェーっ!」
クラスメイトもリスペクトの意を送っていた。
さわ子「くぅー、これよ、これっ」
快感が走ったのか、身を抱きしめて震えていた。
唯『えー…放課後…てぃーたいむです…ぐす』
127:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:06:55.88:+UZ/pLeq0
涙声でMCが始まった。
唯『えぇっと…ぐす…ぐしゅ』
感情が邪魔をしているのか、なかなか進行しない。
声「平沢ーっ、泣くなーっ」
声「頑張ってーっ、唯ちゃーんっ」
クラスメイト達から励ましの声が上がる。
声「唯ーっ! こんな序盤で泣くなっ! 俺はおまえをそんなヤワに育てた覚えはねぇーっ!」
声「ファイトですっ、唯ちゃんっ」
声「唯ちゃんっ、頑張ってくださいっ」
今のは古川一家の声援だろう。
唯『みんなありがとぉ…ぐづ…私たちの方がみんなにいろいろしてもらっちゃって…ぐずぅ』
唯『なんだか涙が出そうです…』
律『はは、もう泣いてるじゃねーか』
ちょっとしたお遊びトーク。
やはり、この部分も客受けがいいのか、笑いが起きていた。
やはり、この部分も客受けがいいのか、笑いが起きていた。
声「唯ーっ」
128:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:08:14.45:jpDSDOMkO
唯『ぐずぅ…』
声「きたないよー」
声「部長ナイス」
律『えっへん』
声「澪もなんか言ってー」
澪『あ、ありがとう…』
「きゃー澪ーーっ」
各地で黄色い歓声が上がり、フラッシュが焚かれる。
おそらく秋山澪ファンクラブの連中だろう。
といっても、以前のように独占欲旺盛で過激な一派はもういないらしく、今は穏健派が主流なんだとか。
真鍋から聞いた話だと、そういうことらしい。
おそらく秋山澪ファンクラブの連中だろう。
といっても、以前のように独占欲旺盛で過激な一派はもういないらしく、今は穏健派が主流なんだとか。
真鍋から聞いた話だと、そういうことらしい。
唯『それじゃあ一曲目いきますっ! ごはんはおかずっ』
ずるぅ!
初耳だった連中は例外なくずっこけていた。
俺はもう、何を演るかも、その曲順さえ知っていたので特に驚きはしなかった。
俺はもう、何を演るかも、その曲順さえ知っていたので特に驚きはしなかった。
唯『ではでは、聴いてください』
唯「………」
129:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:08:41.11:+UZ/pLeq0
メンバー同士、目で何かを確かめ合う。
律「ワン、ツー、スリー、フォーっ」
部長が音頭を取り、演奏が始まった。
唯『ごはんはすごいよなんでも合うよ ホカホカ…』
声「ふはは、やべぇーっ」
声「歌詞、歌詞っこれやべぇだろぉー」
男子生徒を中心にウケているようだった。
男は基本悪ふざけが大好きなのだ。
男は基本悪ふざけが大好きなのだ。
唯『私、前世は~関西人!』
「どないやね~ん!」
客席からも合いの手が入る。
もはや会場が一体となって歌っていた。
これがライブの醍醐味なんだろう、多分。
もはや会場が一体となって歌っていた。
これがライブの醍醐味なんだろう、多分。
唯『1・2・3・4、ゴ・ハ・ン!』
繰り返しのくだりに差し掛かる。
唯『1・2・3・4…』
ばっとマイクを宙に掲げる。
130:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:09:57.44:jpDSDOMkO
すると…
「ゴ・ハ・ン!」
唯が歌わなかった部分は、観客のハモリによって補完された。
唯『1・2…』
今度は二言発声しただけでマイクをこちら側に向けた。
が、タイミングが早すぎてリズムが掴めず、誰の声も上がらなかった。
が、タイミングが早すぎてリズムが掴めず、誰の声も上がらなかった。
さわ子「うんうん、あるわ、こういう事…」
経験者にとってはあるあるで共感できることなんだろうか。
「1・2・3・4・ゴ・ハ・ン!」
だが、最後には合いの手がきちんと決まり、無事演奏が終わった。
客席からの拍手は鳴り止まない。
まずまずの立ち上がりだといえるだろう。
客席からの拍手は鳴り止まない。
まずまずの立ち上がりだといえるだろう。
唯『えー…』
キィーン…
音が割れる。
唯『おおっと…』
ちょっとしたアクシデント。だが、これくらいなら問題ないはずだ。
131:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:10:45.00:+UZ/pLeq0
唯『ごはんはおかずでした。改めまして、放課後ティータイムです』
わっと歓声が上がる。その迫力に圧倒されたのか、少し後ずさる唯。
でもすぐにマイクへ戻った。
でもすぐにマイクへ戻った。
唯『私たち3年生のメンバーはみんな同じクラスなんですけど…』
唯『さっきまで演劇をやってて大変だったんですよぉ』
唯『りっちゃんの演技見てくれました? すごかったですよね』
声「田井中ー、おまえ格闘技やれよーっ」
声「才能あるぞーっ」
律『はは、テェンキュー』
唯『りっちゃん、なんかやってよ』
律『あん? なにをだよ』
唯『なんかジュリエッ斗のセリフ』
律『あー、ま、いいけど』
気だるげにドラムスティックを置き、マイクをスタンドからはずす。
律『ん、あー…どんな道をたどろうと、必ずお前は始めるさ――』
律『喧 嘩 商 売を』
133:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:11:58.74:jpDSDOMkO
声「おおおおおお!! かっけぇっ!!」
声「熱すぎるだろっ!!」
声「きゃあー抱いてぇ、りっちゃーーんっ!」
声「俺もりっちゃんみたいに強くなれるかなぁーっ?」
律『なれるよあたしの弟子だからな。お前才能あるよ』
声「うおぉおおおおおおおっ!!」
観客と掛け合いを繰り広げ、異様な盛り上がりを見せていた(主に男)。
唯『あ、それで、春原くんがロミ男だったんですよ』
声「しってるー」
声「ていうかへたれー」
春原「うっらぁーっ! なんだその温度差は、くらぁっ!」
声「怒ってる気がするー」
声「どっかにいるんじゃねー」
完全になめられていた。
春原「後でぶっ殺す…」
134:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:12:22.10:+UZ/pLeq0
唯『あはは…ん、ちなみに私は女子高生G役で、しまぶーに…』
紬『それ以上はまずいわよ、唯ちゃん』
琴吹が颯爽と割ってはいる。
唯『あ、そうだった…ふぅ、危なかった。ありがと、ムギちゃん』
紬『ううん、ちょっと保身も入ってたから』
声「やばそうだな、なんか」
声「自主規制ー、はははっ」
おそらく意味はわかっていなかっただろうが、黒さが垣間見えたことでウケていた。
唯『では、次の曲いきましょー…あ、ロミ男vsジュリエッ斗は、ムギちゃ…琴吹さんがシナリオを書きましたぁ』
紬『ふふ』
手を振る。
声「紬さーん、今度のトーナメント絶対勝ち抜いてくださーいっ!」
声「工藤をヤれますよ、紬さんならっ!」
紬『ありがとーっ。大丈夫、二度と心が折れないようにやってきたからーっ』
声「うおぉおおおおおっ!!」
136:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:13:39.06:jpDSDOMkO
…いったい何の話をしているんだろうか。
唯『あれ…次ってどの曲だっけ』
小声でメンバーに問いかけているんだろうが、ばっちりマイクに拾われていた。
律『だからどっかにメモを貼っとけって言っただろぉ?』
同じく部長も声が響く。
唯『どこかになくしちゃったみたいで…』
澪『落としたのか?』
秋山も。
唯『ポケットに入れたと思ったんだけどぉ…』
紬『あ、さっきTシャツに着替えたから…』
琴吹もだった。
唯『はっ! そうかっ!』
唯『うう…ああう…』
わたわたと慌てふためく。
その様子が可笑しくて、周りの連中に混じり、俺も思わず笑ってしまった。
その様子が可笑しくて、周りの連中に混じり、俺も思わず笑ってしまった。
―――――――――――――――――――――
137:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:14:34.97:+UZ/pLeq0
唯『…ふわふわたぁ~いむ』
後奏が鳴って、それが止むと、曲も終わった。
そして起こる大喝采。
そして起こる大喝采。
唯『ありがとうございまぁーす。じゃあ、この辺でメンバー紹介いってみたいと思いますっ』
唯『まずは、顧問のさわちゃんですっ』
さわ子「んな…なんで私?」
いきなりのことで面食らったのか、体勢が前のめりに崩れていた。
澪「………!」
秋山が唯に寄っていき、何かつぶやいていた。
唯『あ、山中先生です! 山中さわちゃん先生』
澪「………っ!」
今度は強めに言っているようだった。
唯「……!」
唯もはっとしている。
おそらくは、公の場で愛称を使ったことを咎められているんだろう。
おそらくは、公の場で愛称を使ったことを咎められているんだろう。
さわ子「ん…?」
138:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:15:51.81:jpDSDOMkO
スポットライトがさわ子さんに当たる。
さわ子「あはは…」
笑うしかないようだった。
唯『山中先生はいつも優しくしてくれて、私たちの部活を応援してくれていますっ』
さわ子「みんな輝いてるわよぉっ!」
口に手を添え、ステージに向かって檄を飛ばした。
やはりこの人は、やる時はやる人だった。
やはりこの人は、やる時はやる人だった。
唯『ありがとーございまーす』
壇上から手を振る部員たち。
さわ子さんも満足そうな面持ちだった。
さわ子さんも満足そうな面持ちだった。
唯『続いて、ベースは澪ちゃんです!』
「澪せんぱーいっ!」
「きゃー、澪先輩っ!」
澪「………」
一礼する。
澪『こんにちは。今日は私たちのライブを聴いて下さいまして、ありがとうございます』
140:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:16:54.48:+UZ/pLeq0
澪ちゃーんっ」
一気にフラッシュが上がる。
ファンクラブが創設されるだけあって、秋山人気は相当高い。
それも、同性からの支持が多いようだ。性格のよさがその結果に繋がっているんだろう。
ファンクラブが創設されるだけあって、秋山人気は相当高い。
それも、同性からの支持が多いようだ。性格のよさがその結果に繋がっているんだろう。
澪『私、ここにいるみんなと一緒にバンドをやってこれて…』
澪『最高ですっ!!』
少し溜めて、そこを強調して言った。
澪『最高ですっ!!』
同じセリフ。それでも飽きることなく歓声は上がり続けていた。
唯『あ、澪ちゃんにはファンクラブもあるんです。入りたい人は、公式ホームページを参照してください』
澪『って、そんながあるのか!?』
唯『うん、あるよ。図書館のパソコンが、立ち上げた瞬間そこにアクセスするよう悪戯されてたの、知らない?』
澪『し、知らないっ! は、早くその設定を直してくれっ』
唯『あはは、大丈夫だよ。和ちゃんが全部なんとかしてくれたみたいだから』
澪『そ、そうか…よかった』
唯『あ、みなさん和ちゃんは知ってますよね? この学校の生徒会長です』
141:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:18:47.24:jpDSDOMkO
唯『それで、和ちゃんは、私の幼馴染なんですけど、物知りで、頭がよくて、いつも勉強を…』
和「……!」
真鍋が袖から出て、何事か訴えている。
と、そこにスポットが当たった。
と、そこにスポットが当たった。
和「!」
逆光に目を細めながらそそくさと捌けていった。
唯『和ちゃんも一言どうぞ』
そう声をかけると、袖から手だけ出して次へいくよう指示を送っていた。
唯『えー…ん、じゃあ次は、キーボードのムギちゃんです』
かちゃっと音がする。琴吹がスタンドからマイクを取ったのだ。
紬『みなさん、こんにちは。私たちの演奏を聴いてくださいまして、ありがとうございますっ』
「せーのっ…ムギーーーーっ!」
「琴・吹! 琴・吹! 琴・吹!」
黄色い声援と荒々しい男の声が半々ずつ聞こえてきた。
春原「ヒューーゥ! ムギちゃん最高ゥ!」
春原もこの場から声援を送る。
142:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:19:39.38:+UZ/pLeq0
紬『ありがとーっ!』
大きく両手を振る。
紬『バンドって、すごく楽しいです! 今も、すっごく楽しいです! もう、ヴァーリトゥードです!』
言って、虚空にむかって突きを放った。
その衝撃波をマイクが拾い、ビュオっという音がしていた。
その衝撃波をマイクが拾い、ビュオっという音がしていた。
唯『ムギちゃん、落ち着いて』
紬『あ、つい興奮しちゃって…フー、暑いな…』
型を取り、息吹で呼吸を整えていた。
唯『ムギちゃんの淹れてくれるお茶は、とってもおいしくて、いつも楽しみなんですよぉ』
「あたしも飲みたーい」
「俺も飲みてぇーっ」
紬『いつでも部室にお越しください! 大歓迎ですからっ』
唯『部室にはトンちゃんもいるので会いに来てください』
「トンちゃんてー?」
「トーン! マジトン!」
唯『ああ、トンちゃんはねぇ、スッポンモドキって亀なんですけど、鼻がブタみたいで可愛いんですよぉ』
143:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:21:48.52:jpDSDOMkO
唯『ね? あずにゃんっ』
梓『え…あ、はい』
唯『ギターのあずにゃんです』
梓「……」
ガタッ キィーン…
急に振られて動揺したのか、マイクスタンドにギターをぶつけていた。
梓『ああ…すいません…』
唯『大丈夫?』
梓『大丈夫です。あ、すいません』
こちらに軽く頭を下げる。
梓『えっと…中野梓です。よろしくお願い、します…』
緊張しているのか、少し萎縮して見えた。
「梓ちゃーん!」
「あーずさーっ」
拍手が響く中、憂ちゃんと連れの子の声が微かに聞こえた。
144:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:22:11.28:+UZ/pLeq0
唯『あずにゃんは二年生なんだけど、ギターがすっごく上手くて、私もあずにゃんに教えてもらってます』
唯『あずにゃん、ありがとね』
拍手が起こる。
梓「………」
照れているのか、ギターを抱きかかえて小さくなっていた。
唯『次に、ドラムのりっちゃんです! 我が軽音部の部長です!』
律「………」
立ってマイクに近づく。
律『えー、みなさん、今日は軽音部のライブを聴いてくれまして、ありがとうございます』
「緊張してるー?」
「リラックスー、りっちゃーん」
律『…それではまだ未消化の曲がありますので楽しんでいってくださーい』
唯『え?』
梓『短っ』
唯「………?」
145:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:23:45.93:jpDSDOMkO
唯が部長に何か尋ねているようだった。
大方、本当にこれで終わっていいのか確認をとっているんだろう。
大方、本当にこれで終わっていいのか確認をとっているんだろう。
律「………」
部長が手を振って、巻いてくれ、と示していた。
唯『う~ん、まぁいいや…それじゃあ、次のメンバー紹介にいきます』
唯『といっても、正式な部員じゃないんですけど…でも、もはや正部員と比べても遜色がないこの二人組…』
唯『まずは、春原くん!』
春原「え? 僕?」
声を上げるやいなや、スポットライトで抜かれる。
春原「うおっ、まぶし」
唯『春原くんは、いつもいつも私たちを楽しく笑わせてくれます』
唯『もう、春原くんのツッコミがなかったら、私たちのボケが成立しないくらいのキーマンぶりです』
律『ただの道化だろー。ツッコミつついじられてるしなー』
春原「うっせー、デコっ」
律『あんだってぇ!?』
唯『このように、りっちゃんとは頻繁に口げんかするんですが、次の日になればふたりともケロっとしてるんです』
146:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:24:46.24:+UZ/pLeq0
唯『ほんとは、とっても仲良しなんだよね』
律『んなわけあるかーっ!』
春原「んなわけあるかーっ!」
春原「んなわけあるかーっ!」
唯『ほら、息もぴったり』
「フラグたってんじゃねー?」
「うらやましいぞー、春原ーっ」
律『変なこと言うなーっ』
春原「だれがんなデコなんか攻略するかってのっ!」
「ダブルツンデレーっ」
「デレてみろよー」
律『ざけんなーっ!』
春原「ざけんなーっ!」
春原「ざけんなーっ!」
唯『はい、コンビ芸ごちそうさまでした』
館内が笑いでどっと沸く。
律『………』
春原「………」
147:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:26:13.72:jpDSDOMkO
部長も春原も苦い顔をしていた。
本心ではどうかわからなかったが…いつだって表面上はこうなのだ。
本心ではどうかわからなかったが…いつだって表面上はこうなのだ。
唯『そして、次は、春原くんの親友でもある、朋也!』
春原を照らしていた光が俺に移る。
やっぱりというか…二人組と告げていた時点で来るとは思っていたが…
注目を浴びるのは、なかなかに恥ずかしいものがあった。
こんな大勢の注目を浴びる中で演奏できるあいつらはすごいと、肌で感じる。
やっぱりというか…二人組と告げていた時点で来るとは思っていたが…
注目を浴びるのは、なかなかに恥ずかしいものがあった。
こんな大勢の注目を浴びる中で演奏できるあいつらはすごいと、肌で感じる。
唯『朋也は、春原くんと一緒になって私たちのティータイムを盛り上げてくれます』
唯『見た目はすごくクールだけど、ほんとはすごくおもしろくて優しいんですよ』
「マジかよ…岡崎がか」
「信じらんねー。俺あいつに絡まれたことあるぜ」
「こえぇよなー、基本」
「でも最近変わった感じするぞー」
「確かになー」
意見は二つに割れていたが、悪評の方が優勢だった。
今までの行動を振り返ってみれば、それも仕方のないことだったが。
甘んじて受け入れよう。
今までの行動を振り返ってみれば、それも仕方のないことだったが。
甘んじて受け入れよう。
唯『そして…私は、そんな朋也を好きになって…朋也も私のことを好きだって言ってくれて…』
148:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:26:38.77:+UZ/pLeq0
唯『今、絶賛ラブラブカップルを満喫しています!』
朋也(ぐぁ…)
なんて恥ずかしいことをこんな公衆の面前で…
みろ、あんなにざわめいていた会場が水を打ったように静まってるじゃないか…
みろ、あんなにざわめいていた会場が水を打ったように静まってるじゃないか…
「てめぇーーっ、岡崎ぃっ!」
「ざっけんなよっ! 下の名前で呼んでもらってたのはそういうことか、こらっ!」
「岡崎くーん、マジ話なの? ちょっといいと思ってたのにぃ」
「ぶっ殺す!! 俺の唯ちゃんをよくも!!」
「小僧! 調子に乗るんじゃねぇぞーっ!
ああ…俺はここから生きて帰れるんだろうか…
敵を大勢作ってしまったような気がする…。
敵を大勢作ってしまったような気がする…。
梓『唯先輩、ノロケをMCに乗せないでくださいっ』
唯『えへへ、ごめんごめん…というわけで、次の曲ですっ』
澪『おい、自分の紹介してないぞ』
唯『うわぁ、そうだった、えへへ…』
紬『最後にギターの唯ちゃんです』
149:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:28:52.46:jpDSDOMkO
再び拍手と歓声に包まれる館内。
律『唯は見た目のまんまで、のんびりしててすっとぼけてるけど…』
紬『いつも全力で、一生懸命で…』
一言ずつ回していく。
澪『周りのみんなにもエネルギーをくれて…』
梓『とっても頼れる先輩です』
「唯ーっ」
「唯ちゃーんっ」
「岡崎の彼女ーっ」
野次が飛ぶ。
唯『おおっ…どうした、なにがあった?』
壇上では、唯が一人ずつメンバー全員に向き直っていた。
律『ほれ、早く次いけよ』
憂「おねえちゃーんっ!」
席を立ち、ぶんぶんと手を振る憂ちゃんの姿が客席の中に見えた。
150:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:29:30.60:+UZ/pLeq0
唯『おお、憂~っ』
唯も同じように返す。
秋生「唯ー、俺はここだっ!」
早苗「唯ちゃんっ、ずっと見てましたよっ」
渚「唯ちゃん、私もいますっ」
最前列で古河家の人々が総スタンディングしていた。
唯『ありがとー、でも、すごく近いところにいるから、いるのはわかってたよぅ』
秋生「足元ばっかりみてると足すくわれるぞ、てめぇーっ!」
唯『それは逆にありえないんじゃないかな…』
「唯ーっ」
「放課後ティータイムーっ」
「放課後ーっ」
「ティータイムも言ってあげてよー」
唯『あはは…みんなありがとう。それでは次の曲にいってみたいと思います』
唯『U&I!』
151:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:30:55.82:jpDSDOMkO
ドラムが叩かれ、演奏が走り出す。
唯『キミがいないと 何も できないよ キミのごはんが 食べたいよ…』
そこに唯の歌声が乗った。
唯『もし キミが 帰ってきたら とびきりの笑顔で 抱きつくよ…』
みんな静かに聴いている。
今までのアップテンポな曲と比べ、わりとおとなしめなメロディだったからだろう。
今までのアップテンポな曲と比べ、わりとおとなしめなメロディだったからだろう。
唯『晴れの日にも 雨の日も キミはそばに いてくれた…』
サビの部分に差し掛かると、観客席からライトが振られだした。
が、よくみるとそれは携帯のディスプレイが放つ光だった。
よく考えついたものだと、感心してしまう。
が、よくみるとそれは携帯のディスプレイが放つ光だった。
よく考えついたものだと、感心してしまう。
唯『目を閉じれば キミの笑顔 輝いてる…』
―――――――――――――――――――――
唯『…ふぅ』
曲が終わる。
「放課後ティータイムーっ」
「よかったよーっ」
「CD出してくれーっ」
152:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:31:26.37:+UZ/pLeq0
賞賛の声が途切れることなく上がり続ける。
唯『ありがとうー。それでは、次が最後の曲です』
「えーやだー」
「もっとやってー」
「延長ーっ!」
唯『もっと演奏していたいんだけど、時間が来ちゃいました』
「放課後ーっ」
「放課後ぉーーっ!」
「放課後に時間制限はなーいっ」
「おまえの持論はいいんだよっ」
唯『あははっ』
唯をはじめとして、軽音部メンバーの中に笑いが起こる。
唯『今日は、ありがとうございました』
唯『山中先生ー、Tシャツありがとーっ』
さわ子「ふふ」
154:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:32:50.54:jpDSDOMkO
ステージに手を振る。
唯『和ちゃん、いつもありがとうー』
ステージの袖を見て言う。
きっとそこには真鍋がいて、微笑んでいることだろう。
きっとそこには真鍋がいて、微笑んでいることだろう。
唯『憂、純ちゃん、ありがとうっ』
唯『朋也も、春原くんも、いろいろと手伝ってくれてありがとうっ』
春原「はは、ま、悪くないね、こういうのも」
朋也「だな」
唯『アッキー、早苗さん、渚ちゃん、昔からいつもありがとうっ』
秋生「これからも世話してやるぞっ! なんかあった時はすぐに駆けつけてやるっ!」
秋生「俺たちは家族だ、助けあっていくぞっ」
唯『ありがとう。そうだよね、もう、町も人も、みんな家族だよね。だんご大家族だよっ』
秋生「この町と、住人に幸あれっ」
オッサンが珍しくまともなセリフを吐いていた。
大げさな物言いだったが、あの人の口から聞くとなぜだかすんなり頷けた。
大げさな物言いだったが、あの人の口から聞くとなぜだかすんなり頷けた。
唯『クラスのみんなもありがとうっ』
155:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:33:48.49:+UZ/pLeq0
「平沢ーっ!」
「唯ーっ!」
「最高ーっ!」
唯『トンちゃんありがとーっ、部室ありがとーっ、ギー太ありがとーっ』
唯『みんなみんな本当にありがとーっ!!』
唯『放課後ティータイムは…いつまでも…いつまでも…』
唯『放課後ですっ!!』
ずるぅ!
律『は?』
梓『え?』
最後の最後で意味不明なオチが待っていた。さすが唯だ。
朋也(俺はその彼氏だぜ、すげぇだろ)
俺は迷わず拍手する。
すると、つられてか、静まり返った館内にパチパチとまばらな拍手が起きていた。
すると、つられてか、静まり返った館内にパチパチとまばらな拍手が起きていた。
唯『それでは最後の曲、聴いてください。時を刻む唄!』
演奏が始まり、キーボードの高い音が奏でられる。綺麗な旋律だった。
162:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:40:02.76:+UZ/pLeq0
澪『きみだけが過ぎ去った坂の途中は 暖かな日だまりがいくつもできてた…』
メインボーカルは秋山だった。今まではサブだったが、最後はメインで歌っている。
澪『僕ひとりがここで優しい 温かさを思い返してる…』
館内すべての人間がその曲に聴き入っていた。
茶化すような奴もいなければ、大げさに騒ぐような奴もいない。
そう、余計に動くことがためらわれるほどに集中していたのだ。
茶化すような奴もいなければ、大げさに騒ぐような奴もいない。
そう、余計に動くことがためらわれるほどに集中していたのだ。
澪『きみだけを きみだけを 好きでいたよ 風で目が滲んで 遠くなるよ…』
唯『いつまでも 覚えてる なにもかも変わっても ひとつだけ ひとつだけ ありふれたものだけど…』
唯『見せてやる 輝きに満ちたそのひとつだけ いつまでもいつまでも守っていく』
音が鳴り止む。
それは同時にライブの終了を意味していた。
すると、堰を切ったかのようにそこかしこで溢れ出す、咆哮に近い大歓声。
放課後ティータイム最後のステージは、多くの人間に讃えられながら、ゆっくりとその幕を閉じていった。
それは同時にライブの終了を意味していた。
すると、堰を切ったかのようにそこかしこで溢れ出す、咆哮に近い大歓声。
放課後ティータイム最後のステージは、多くの人間に讃えられながら、ゆっくりとその幕を閉じていった。
―――――――――――――――――――――
唯「大成功…だよね」
西日差し込む部室の壁際に、背を預けて座り込む部員一同。
ずっと放心状態にあったと思ったら、おもむろに唯が口を開いた。
ずっと放心状態にあったと思ったら、おもむろに唯が口を開いた。
澪「なんか…あっという間だったけどな」
163:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:41:43.47:jpDSDOMkO
紬「ちゃんと演奏できてたかぜんぜん覚えてないわ」
律「ていうか、Tシャツのサプライズでいきななり吹っ飛んだ」
梓「私もです。もうなにがなんだか…」
唯「…でも、すっごく楽しかったよねっ」
澪「今までで最高のライブだったな」
そう言ってのける秋山の声は、少し枯れていた。
それだけ出し尽くしたということなんだろう。
それだけ出し尽くしたということなんだろう。
律「みんなの演奏もばっちり合ってたし」
唯「合ってた合ってたぁっ…」
律「ギー太も喜んでるんじゃないか?」
唯「うんっ! エリザベスもねっ」
澪「エリザベスぅ~」
ベースに頬をすりよせる。今だけは飾らずに、心の赴くままだった。
梓「私のムッタンだってっ」
中野も同じく壁をとっぱらっていた。
律「おお、梓のギターはムッタンっていうのか」
164:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:42:26.31:+UZ/pLeq0
梓「ムスタングだから、ムッタンです」
紬「ふふふ、可愛い」
唯「ねぇねぇ、この後なにする?」
梓「とりあえずケーキが食べたいですっ」
律「おー、部費ならあるぞぉ」
紬「だめよぉ、私持ってきてるもんっ。まだストックがあるものっ」
唯「やったぁ、じゃあそれ食べてから次のこと考えようっ」
澪「次は…クリスマスパーティーだよな」
紬「その次はお正月ねっ」
梓「初詣に行きましょうっ」
澪「それから、次の新勧ライブかぁ」
朋也「………」
春原「………」
俺も、そしてきっと春原も、その会話のおかしさに気づいていた。
律「まぁた学校に泊り込んじゃおっかぁ?」
165:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:43:50.60:jpDSDOMkO
唯「今度はさわちゃんも誘おうよっ」
梓「いいですね、それっ」
律「夏になってもクーラーあるしぃ」
紬「合宿もあるしっ」
唯「楽しみだねぇ。その次はぁ…」
梓「えーっと、その次はですねー…」
律「って、次はないない」
そう…ないのだ。
このメンバーでいた軽音部の活動は、今日この日を以って終わってしまった。
そんなこと、当の本人たちが一番よくわかっているはずだった。
だから、少しでも引き伸ばそうとしたかったのだろう。その時が来てしまう瞬間を。
けど、そんな言葉だけのその場しのぎでは、何も変わらない。
だからこそ、部長が代表して、つかの間の夢を終わらせたのだ。
それは心苦しい役回りだったろう。その目には、はっきりと涙を浮かべていたのだから。
このメンバーでいた軽音部の活動は、今日この日を以って終わってしまった。
そんなこと、当の本人たちが一番よくわかっているはずだった。
だから、少しでも引き伸ばそうとしたかったのだろう。その時が来てしまう瞬間を。
けど、そんな言葉だけのその場しのぎでは、何も変わらない。
だからこそ、部長が代表して、つかの間の夢を終わらせたのだ。
それは心苦しい役回りだったろう。その目には、はっきりと涙を浮かべていたのだから。
唯「来年の文化祭は、もっともっと上手くなってるよ…」
唯も大粒の涙をこぼしながら、震える声で言った。
律「おまえ留年する気か? 高校でやる文化祭はもうないのっ」
唯「そっかぁ…それは残念だねぇ…」
167:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:44:47.51:+UZ/pLeq0
澪「ぅ…ひぅ…ぅう…」
秋山は膝を抱えてひたすら泣いていた。
紬「やだやだぁっ!」
子供のように足をばたつかせ、駄々をこねる琴吹。
こんな琴吹の姿は見たことがなかった。
こんな琴吹の姿は見たことがなかった。
梓「ムギ先輩、わがまま言わないで…」
梓「唯先輩も、子供みたいに泣かないでください」
唯「これは汗だよ…」
ぼろぼろとこぼれる涙。頬を伝い、しずくとなって下に落ちていた。
唯「ぐす…っうぅう…っぇん…」
律「みーおー。リコピ~ン」
澪「うっ…ふふっ…」
顔を上げる。
澪「律だって泣いてるくせに」
律「私のも汗だっ」
澪「ふふっ…あははっ」
168:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:46:00.29:jpDSDOMkO
律「はははっ」
梓「ほら、ムギ先輩も」
ハンカチを持って、泣き濡れた顔の琴吹に言う。
紬「梓ちゃん…ぐす…」
梓「はい」
紬「梓ちゃん…ぅぅ…あいがとぅ…」
梓「はい」
その顔をハンカチで丁寧に拭う。
梓「ムギ先輩、大丈夫ですから、落ち着いて」
紬「うう…ぐす…」
澪「よかったよなっ…本当によかったよなっ」
秋山がメンバーを正面から見据え、そう声をかけた。
紬「うんっ、とってもよかったっ」
中野に綺麗にしてもらった顔を、また涙で湿らせて、大きく答えていた。
澪「岡崎くんも、春原くんも、そう思ってくれるよねっ」
169:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:46:21.04:+UZ/pLeq0
朋也「ああ、もちろん」
春原「マジですげぇよかったよ。ボンバヘッよりも上回ってるかもしれないね」
それはこいつの中では最大級の評価だったろう。
梓「みなさんと演奏できて、幸せです」
唯「うう、ぐす…みんなぁーっ!」
ばっと手を広げる。その胸に部長と琴吹が飛び込んだ。
愛しそうに頬を寄せ合っている。
そして、中野と秋山もその輪に加わった。
愛しそうに頬を寄せ合っている。
そして、中野と秋山もその輪に加わった。
律「あ、ちょ、待てよ唯、鼻水が…」
唯「ムギちゃーんっ」
澪「あはは、鼻水…」
梓「汚いですよ…」
いつまでもいつまでも、誰も離れることはなかった。
―――――――――――――――――――――
がちゃり
さわ子「みんな、お疲れ様ーっ!」
170:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:47:31.20:jpDSDOMkO
勢いよく扉が開け放たれ、さわ子さんが入室してきた。
和「お疲れ様」
その後ろには、真鍋。
朋也「あ、さわ子さん。静かに頼むよ」
さわ子「なんでよ?」
朋也「ほら、そこ」
さわ子「あら…」
軽音部の部員たち。今は泣き疲れて眠ってしまっていた。
壁に背を預けたまま、すやすやと寝息を立てている。
壁に背を預けたまま、すやすやと寝息を立てている。
春原「そいつら、号泣してたんだよ、さっきまでね。いや、青春だね、ははっ」
171:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 10:47:49.81:+UZ/pLeq0
さわ子「なによ…そういうあんたも、ちょっと目の周り赤くなってない?」
春原「な、なってないよっ、僕がもらい泣きなんてあるわけなじゃん」
とはいうものの、俺は見ていた。こいつがひそかに目を拭っていたところを。
まぁ、言及したところで、素直に認めるわけもないが。
まぁ、言及したところで、素直に認めるわけもないが。
和「…幸せそうな顔」
真鍋が部員たちの寝顔を見て、感想を漏らす。
朋也「だよな」
本当に、その表情は幸福の中にあって…温もりを感じさせる輪を形成していた。
ずっと、みんなで手をつないだまま。
ずっと、みんなで手をつないだまま。
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