ヴィリーム里見八犬伝

OVA 幻想奇跡隊ミッドヴィリーム ~ヴィリーム里見八犬伝~


(プロローグ)

夏真っ盛りのある日、大空翠(リムファータ)をはじめとしたミッドヴィリームのメンバーは
阿久間真夜(リムビター)引率の下、千葉県館山市へ合宿に来ていた。
館山市のある南房総、そこはかの『南総里見八犬伝』の舞台となった場所。
そのモデルとなった里見氏ゆかりの地を見物したい衝動を抑え、一同は合宿に専念する。

一方彼女達の敵である東風谷奇跡団もまた、慰安旅行として館山市を訪れており
組織の名を広めるべく奇跡獣を生み出す。奇跡団が館山市に来ていた事に
驚きを隠せないヴィリーム達だったが、平和を守るために彼らと戦う事に。

その戦いの最中、何処からともなく8つの玉が現れヴィリーム達の身体の中へ入り込んでいく…。
その玉こそが、伝説の八犬士が持つ仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の霊玉だったのだ!

~これは、ヴィリームにとって一番長い夏の一週間…~

(第1巻)

奇跡団との戦闘中、突如としてヴィリーム達の体内に入り込んだ8つの霊玉。
その霊玉には里見八犬士の魂が定着していた。しかし、その八犬士達は

  • 見た目が少女!
  • 犬耳尻尾が生えている!!

と、本や博物館で見たものとは全く違った姿であった。

彼女達がヴィリームに接触した理由、それはかつて自分達が封印した
邪悪な存在が現世に蘇り、破壊の限りを尽くそうとしている。
奴らの脅威から館山市を、南房総の地を守るために助けを求めに来たのだ。
八犬士の申し出を受け入れた翠達は、早速街に出現した魔物を退治するために戦いへ赴く。


街に現れた魔物を次々と蹴散らしていくヴィリームの面々。
その活躍に館山市民は勇気付けられていく。
夕方には真夜の応援要請を受けた屠自古(リムテスラ)とキスメ(リムルクス)が合流。
フルメンバーが揃った事でますます意気が上がる彼女達。

今泉さんは突如魔物が現れたことに一抹の不安を感じ取っていた。
そこで別荘の裏手にある聖なる祠の様子を見に行くと
祠は原形をぎりぎり保っていたが、ボロボロに崩れかかっていた。
(実はキセキワニガメガホンの宣伝によって被害を受けていた。)
応急処置とお札を貼り直す事で何とか修復は完了、周囲に漂っていた邪気も消失する。

一方奇跡団の方も、魔物を相手取りながらヴィリームの行方を捜していたのだが
一緒にいたはずのキセキワニガメガホンの姿が見当たらない。
早苗達の懸命の捜索も空しく、その日は見つからずに終わってしまった。

その頃肝心のキセキワニガメガホンは自らの脳内に聞こえてくる謎の声に導かれて
今泉さんが修復した聖なる祠を訪れていた。

『主の力で祠を破壊せよ、さすれば我を縛る戒めは消える』

謎の言葉に従い、聖なる祠を破壊するキセキワニガメガホン。
そして破壊された祠の中から現れたのは・・・!!

~聞け!愚かな人間共よ! 我こそは、地獄の支配者なり!!~




(第2巻)

□里見八犬士
かつて南房総に跳梁跋扈した邪悪な存在と戦った伝説の戦士達。
肉体は既に無く、今はそれぞれが有していた霊玉に魂を移している。
容姿は全員犬耳尻尾の生えた少女(ヴィリームのメインメンバーより少し年上)で
現在語り継がれている『南総里見八犬伝』に登場する八犬士とは全くの別物。
この事について真夜は「『事実は小説よりも奇なり』ね」と語っている。
普段は身長30cmの手のひらサイズだが、魔物達との戦闘の際には
元の身長に戻ってヴィリーム達の傍から支援攻撃やアドバイスを送る。
また、何故か今泉さんと知遇があるようだ。

+メンバー
シンベエ
リムファータ(翠)に同調した仁の玉を持つ八犬士。
知勇に優れた完璧超人で、実力はかなりの物。
しかし何かと調子に乗りやすく、そこに漬け込まれて足元を掬われる事が多い。
だがファータと出会って、次第に考えを改めていく…

「ここは知勇溢れるこの私、シンベエさんにおーまかせってね!!」


ソースケ
リムブレイブ(椛)に同調した義の玉を持つ八犬士。
何かと調子に乗りやすいシンベエや、名前にコンプレックスを抱いてる
コブンゴ、短慮な行動を取りやすいドウセツをフォローするのが主な役目。
そのため、八犬士随一の苦労人である。

「皆さん。どうかシンベエとコブンゴとドウセツの手綱、上手く握って下さいね。」

ダイカク
リムウェール(リリーW)に同調した礼の玉を持つ八犬士。
古今の書物に精通した読書家で、リリーにも読書を積極的に薦める。

「読書は良いわよ、心が豊かになるし知識も高まる!!」

ケノ
リムフォール(静葉)に同調した智の玉を持つ八犬士。
冷静沈着で頭脳明晰、八犬士随一の策士として
ヴィリーム達をサポートしていく。また、洞察力や観察力に優れる
静葉と連携して更なる戦術(静葉曰く『静かなる戦術(サイレントタクティクス)』)を
編み出し、魔物達との戦いに役立てていく。

「策士であるあたしと、参謀格である貴女。何だか相性ばっちりね。」


ドウセツ
リムモルテ(リリーB)に同調した忠の玉を持つ八犬士。
炎を操る術の使い手。魔物達への復仇の一念のあまり
短気・短慮な行動を取る事が多く、ケノやモルテに諌められる場面も。

「何言ってんの!?ここで叩いて置かないと奴らが調子付いちゃうよ!」

ゲンパチ
リムグラース(チルノ)に同調した信の玉を持つ八犬士。
生前は捕り物の名人として名を馳せ、チルノにも
その技術を伝授するべく指導を行う。

「この技術が、いずれ役に立つときが来るよ!」

シノ
リムハピネス(てゐ)に同調した孝の玉を持つ八犬士。
容姿は男装の令嬢で、一人称は僕。宝刀・村雨丸の使い手。

「奴は僕を恨んでいる。ハピネス、付いて来る覚悟はあるかい?」

コブンゴ
リムセトネ(小傘)に同調した悌の玉を持つ八犬士。
(物理的な意味での)女子力が高いパワーファイターで一人称は俺。
また、名前に対して強いコンプレックスを抱いている。

「コブンゴが女の名前が何が悪い!俺は女だぁぁぁぁぁ!!」


□地獄の支配者・婆娑羅(ばさら)帝王
「人間よ、我を畏れよ!我に恐怖せよ!我に戦慄せよ!
 主らの怯える姿は…我にとって最良の糧となる!!」

「我には分かる、主らが人間共に希望を与えている事を。
 故に…主らを討てば希望の灯火もまた消える!!」

かつて南房総に跳梁跋扈した邪悪な存在達を統率し、人々を恐怖に陥れた
地獄の帝王。どこで生まれ、何のために南房総を荒らし回っていたのかは一切不明。
八犬士と「ある協力者」の活躍で聖なる祠に封印されるが
キセキワニメガホンを唆して祠を破壊させた事で完全に復活する。
現世に現れただけで空と大地と海が血のように暗い赤色に染まるほどの妖力を持ち
その豪腕から繰り出される鉄拳は高層ビルをも打ち砕き、妖力を用いて
エネルギー弾を放ったり、空を飛んだりも出来る。

復活後は館山市街地上空に自らの居城である『天空臥城』を呼び出し
房総半島の侵略を開始する。また、外敵の進入や房総半島からの脱出を阻止するべく
邪悪な結界を展開。これにより房総半島は完全な鎖国状態になる。

人々に希望を与える存在と言えるミッドヴィリームを最大の敵と認識。
東風谷奇跡団も一応ではあるが、彼の中で敵として認識されているようだ。

イメージとしては北斗の拳+ドラゴンボール÷2なキャラ。
結界によって隔離された房総半島は、ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟の
神戸市が隔離される展開から。


(第3巻)

館山市滞在5日目。
目を覚ました翠達が見たもの、それは血のように真っ赤な色に染まった空と大地と海…
そして破壊された聖なる祠を見て戦慄する今泉さんの姿であった。

「祠が…破壊されている!?」
「今泉さんの顔が青ざめてる…」
「いつもの先輩らしくないですよ、どうしたって言うんです!?」
「真夜ちゃん、屠自古ちゃん…この祠には『ある物』が封印されていたのよ」


それと同時にテレビのニュースは千葉県一帯に出現した魔物の侵略と
見えない壁によって千葉県から脱出できない事を恐怖しながら報道し
館山市民は市街地上空に現れた謎の建造物とそこから湧き出る魔物の存在に怯えていた。

「空が真っ赤っかなのですよー」
「空だけじゃないわ…大地も赤くなってる。」
「海も真っ赤になるなんて…わちき、ビックリだよ!」
『この張り詰めるかのような邪気…ついに『地獄の支配者』が復活してしまったのね…』
「ソースケさん、地獄の支配者って…?」
『かつてこの南房総の地を荒らしまわった邪悪な存在達を統率し
 人々を恐怖に陥れた帝王の事よ。私達と協力者さんが決死の覚悟で封印したはずなのに…』

「帝王だか何だか知らないけど、あたい達がやっつければ済む事だよ!!」
「ああ、チルノの言うとおりだ」

人々を救うために市街地に現れた魔物達と戦うヴィリーム。
そこに復活を遂げたばかりの婆娑羅(ばさら)帝王が宣戦を布告しに現れる。

「主らが幻想奇跡隊か…我が婆娑羅帝王だ。」
「あなたが…地獄の支配者…!」
「我には分かる、主らが人間共に希望を与えている事を。
 故に…主らを討てば希望の灯火もまた消える!!
 覚悟せよ、主らは我の最大の敵となった!!」

居城である『天空臥城』へと引き上げる婆娑羅帝王を追撃しようとした
ヴィリームであったが、そこに3人の刺客が現れる。

「残念だけどさ、そう簡単に帝王様の所に辿り着かれてもつまんないんだよね」
「そうさね、帝王様の前にまずは私らと戦ってもらおうか!?」
「貴女達幻想奇跡隊の実力、確かめさせてもらいます!!」

『ま、まさか奴らまで!?』
「シンベエさん…知ってるんですか?」
『ええ。あいつらは婆娑羅帝王の親衛隊…』

「「「轟 鬼 四 天 王 、推 参 ! ! !」」」

突如現れた婆娑羅帝王の親衛隊、轟鬼四天王にヴィリームは行く手を阻まれる。
しかし一瞬の隙をついてリムファータとリムビターが『天空臥城』を目指して突撃。
残った9人が殿(しんがり)として四天王の前に立ちはだかった。

「ほぉ、仲間を行かせるためにあえて殿を買って出るというのか」
「無謀というか、勇敢というか」
「いい話ね、感動的だわ、けど…」

「無意味なんかじゃない!!お前達を倒して、私達もファータ達に追いつく!!」

「…気に入った!!お前達、手出しは無用だよ!」
「こいつらは私達が直々に相手してやるからさ!」
「では、我らの用意した戦いの場に貴女達を案内しましょう」

かくして
一本角のホシグマVSリムブレイブ(椛)・リムグラース(チルノ)・リムテスラ(屠自古)
二本角のイブキVSリムウェール(リリーW)・リムモルテ(リリーB)・リムフォール(静葉)
隻腕のイバラキVSリムハピネス(てゐ)・リムセトネ(小傘)・リムルクス(キスメ)

の熾烈な戦いの幕が切って落とされた!!

四天王とブレイブ達が激戦を繰り広げていたのと同じ頃。
ファータとビターは『天空臥城』に突入、婆娑羅帝王の待つ天守閣を目指して
突き進んでいた。


「ねえシンベエさん、婆娑羅帝王ってどれだけ強かったの?」
『それは凄かったわ。満々たる軍隊をたった一人で吹き飛ばして
 規模の大きい集落でもあっという間に焼き尽くされちゃったんだから』

当時婆娑羅帝王と戦った事のあるシンベエから話を聞き、ファータもビターも覚悟を決める。

「帝王様!奴らが…この天守閣を目指して突き進んでいます!!」
「ならば丁度いい。彼奴らの相手は・・・」
「お待ちください帝王様!ここは私めが!」

天守閣を目指す二人の前に突如、キセキワニガメガホンが現れる。
どうやら封印を破壊した功績を称えられ、軍門に下ったようだ。

「どうして奇跡獣のあなたが婆娑羅帝王の味方を!?」
「決まってるぜ、奇跡団の連中より帝王様の方が強いからさ!!」
「…あの子(早苗)が知ったら、何て思うかしらね?」

所謂前哨戦という形でキセキワニガメガホンと戦うファータ達。
最後の障害となった彼を突破して、ついに天守閣に辿り着く。
そしてファータ達はついに婆娑羅帝王と対峙する。

「よくぞここまで辿り着いた、主らの仲間は四天王と戦っているようだな…
 なら主らの相手は我が直々にしよう。来るがよい!!」

圧倒的な婆娑羅帝王のパワーと城内に漂う妖気、そして連戦による疲弊で
ファータ達は大苦戦。もはやこれまでかと思われたその時…!

「そこまでよ!婆娑羅帝王!!」
「っ!?主はもしや…!?」
「こ、この声って…!?」

突如天守閣に乱入してきたのは、いつもと雰囲気と見た目が違う今泉さんだった!!

□帝王親衛隊・轟鬼四天王
「帝王様…」
「此度のご復活…」
「祝着至極にございます!!」


婆娑羅帝王に絶対の忠誠を誓う3人の戦士。帝王が封印されて以降は
人間社会に紛れ込み、今日まで生き抜いてきた。
メラメラさんが「四天王なのに…三人しかいないな?」と突っ込まれた際には
四人目は八犬士との戦いで殉死し、その四人目の墓前で
「三人になってしまったけど、これからもずっと四天王を名乗り続ける事を誓う」と
宣言したため…と、律儀に過去を語ってくれた。

一本角のホシグマ
「やあやあ遠からんものは音に聞け!近くば寄って目にも見よ!!
 我こそは帝王親衛隊・轟鬼四天王が一人、一本角のホシグマ!
 この一角の鋭さを恐れぬ命知らずは前に出よ!いざ尋常に、勝負!勝負ー!!」

四天王随一の力を持つ女傑。卑怯な手段を嫌う正々堂々とした性格で
配下の魔物達を全て遠ざけた上で、リムブレイブ(椛)・リムグラース(チルノ)・リムテスラ(屠自古)を連れて
自らが用意した決戦の舞台である空中闘技場(場所は千葉県船橋市上空)へ転移する。
武器は自らの身の丈よりも大きな大剣『斬岩剣』と己が強靭な肉体。
ブレイブ達3人を相手にしても全く遅れを取らず、それどころかますます
奮い立っていく。そんな中現れたのは奇跡団のブレイド・チックとマイクロ・チンであった。
彼女達は事前にホシグマに捕らわれ、闘技場地下の牢獄に幽閉されていたのだが
何とか脱獄に成功していたのだ。2人が戦列に加わり、数の上では完全優位になっているが
ホシグマにはその差を埋めるだけの圧倒的力がある。その力の差を打破するため
ブレイブはある賭けに出る。それは自らのミラクルパワーをマイクロ・チンの能力を用いて
限界ギリギリまで増幅、その後増幅された力を持って一太刀で決着を付けるつもりなのだ。

『そんな、危険すぎるよ!!』
「でもソースケさん、こうでもしないとあいつには勝てない!
 私はもう覚悟を決めている、だからソースケさんも…!」

あまりにも無謀な策に一旦はソースケも反対するが、ブレイブの覚悟を知り
自らの生命をブレイブに托す決意を固める。

「…行きますよリムブレイブ、マイクロ波光線放射!」

マイクロ・チンの能力によって増幅されるブレイブのミラクルパワー。
身体から溢れたそのパワーは、まるで陽炎のようである。

「奴(リムブレイブ)の力が急に高まった…何をするつもりだ!?」
「まさに一世一代の大勝負…乾坤一擲の一太刀、これに全てを賭ける!」
「まさか捨て身の一撃を!?…面白い、その勝負に乗ってやる!」


それぞれ相手に向かって突撃するブレイブとホシグマ、すれ違い様の一瞬に一撃が決まり
先に膝を突いたのはブレイブだった。

「嘘でしょ!?ブレイブ!」
「いや、まだだ…!」

驚愕するグラースに対し、まだ勝負は決まってないと悟るテスラ。

「ははは…相打ちと言いたいとこだけど、私の負けだね…ごふっ…!」

そう、最終的に倒れたのはホシグマの方だった。

「リムブレイブ、私を揺るがせたのは八犬士のコブンゴに続いて
 お前が2番目だよ…。あいつと再戦できなかったのが
 心残りだけど、お前達との勝負はどんな上等な酒よりも美味い
 最高の美酒だった。ふっ、ありがとな…」
「一本角のホシグマ、出来る事ならば…敵として出会いたくなかった。」
「そう言って貰えるだけで嬉しいよ。さぁ、はやく脱出しないと闘技場の消滅に巻き込まれるぞ?」
「しかし、貴女を置いて行くわけには…」
「私はいいよ、敗軍の将は兵を語らず…ってね。」

こうしてリムブレイブ達は一本角のホシグマを倒し、消滅していく空中闘技場から脱出。
そしてホシグマは友情に結ばれた仲間と忠誠を誓う主に別れを告げ、闘技場と運命を共にするのであった。

「帝王、さま…お別れのときが…来たようです…どうか、どうかご武運を…!
 …イブキ、イバラキ…ひとあしお先に、逝ってるよ…」

二本角のイブキ
「さぁ、いでよ我が戦友!我が友垣達よ! 全てを喰らい、ねじ伏せ、蹂躙するのだ!!
 これぞ百万鬼夜行の大軍勢!!お前達にこの進撃を止められるかな!?」

四天王の中では一番身の丈が小さく、見た目は幼女のように見える。
しかし繰り出される力は見た目以上のものがあり、油断の出来ない相手。
リムウェール(リリーW)・リムモルテ(リリーB)・リムフォール(静葉)と共に
自身が選んだ戦いの舞台、日本三大貿易港の一つである千葉港に転移。
そして自らの力で分身を作り出し、瞬く間に百万鬼夜行の大軍勢を結成する。

「ふふっ、いくら幻想奇跡隊といえど…この数の暴力に勝つ事が出来るかな?」
『フォール、戦いは数で決まるものじゃない…それをイブキに教えてあげましょう!』
「もちろんよ!」

フォールとケノが中心となって戦術を組み立て、それをウェールとダイカク
モルテとドウセツが形にしていく。戦いは当初フォール達が有利に進めていたが
イブキも倒された分だけまた分身を生み出していき、完全ないたちごっこ状態に。

「…そろそろ、疲れてきたんじゃないのか?」
「っ…!」
「おやおや図星のようだね?」

連戦によって少しずつではあるが疲労が蓄積していき、徐々に不利となっていくフォール達。
そこに現れたのは奇跡団のミセス・ウォッチとフォン・フォン、そして早苗。
どうやら3人とも先の転移に巻き込まれていたようだ。

『東風谷奇跡団ね?イブキを倒す為にあんた達の力を借りたいの!!』
「私達の力を?具体的は何をすれば…」

ケノ曰く
「分身…即ち百万鬼夜行の大軍勢はイブキに強力な一撃を加えれば消える。しかしそれを決めるにはその大軍勢を
 突破しなければならない。そのために奇跡団には大軍勢を引き付ける囮役をお願いしたい」
との事。

早苗はそれを承諾し、ミセス・ウォッチとフォン・フォンを伴い
イブキを挑発する。

「分身に任せて自分だけぬくぬくと戦いを見物してるなんて、情けないですねー」
「全く、それでも四天王なのかしら? 笑わせてくれるわ」
「ちょっと、挑発とはいえ言い過ぎなんじゃ…」
「…そこ動くなよお前ら、今から我が戦友達がそっちに行くからな!!」

計画通り、イブキは百万鬼夜行の大軍勢を早苗達に嗾ける。
フォール達は防備が手薄になった隙を突き、色彩を操る能力で
周囲の背景に同化して一気にイブキの懐に近づいていく。

「ん?幻想奇跡隊の連中が見当たらないな…まさか!!」
『そのまさかよイブキ!フォール、今よ!!』

渾身の思いを込めて放った掌底をまともに喰らい怯むイブキ。
その影響で百万鬼夜行の大軍勢は完全に消滅する。

「…流石は八犬士随一の策士・ケノ。ここまでやられるとは思っても見なかったよ。
 だがな、私にはまだこれがある!!」

そういうとイブキは瓢箪の酒をグイっと飲み干す。するとイブキの身体は
およそ40mクラスのサイズにまで巨大化。

「へっへー、切り札は最後まで取っておくもんだよ?」

「嘘…でしょ!?」
「こんな隠し玉があるなんて予想外ですよー」
「おおおお!まさに気分は巨人を駆逐せんとする兵士ですね!!」
「ちょっと、今の状況分かってるの!?」

まさに巨人同然の姿になったイブキはフォールと早苗を捕まえ

「リムフォール、そして東風谷早苗。お前達をまず丸呑みにしてやるよ」

そういうと2人はイブキの腹の中へ…
「いけませんね、このままじゃ消化されてしまいますよ」
「ケノさん、何か脱出の方法は?」
『そうね…一寸法師は腹の中から鬼を攻撃したっていうけど…』

ケノのこの一言から、早苗はミセス・ウォッチから万が一の事態に備えて托された
キャンディポットを用いてイブキの腹の中でアメソルジャーを生み出す。

「さぁて、残りはお前ら…っ!?は、腹が…!」

ウェール達を襲おうとした瞬間、突如苦しみ出すイブキ。
腹の中でフォールと早苗がアメソルジャーと共に暴れ始めたのだ。
いきなりの腹痛と嘔吐感に見舞われ、思わずフォール達を
吐き出してしまい、酒の効果が切れたのか元の大きさに戻ってしまった。

「うわぁ、唾液と胃液でベトベトですよ…」
『でもこれで何とか脱出できたわね。さあフィニッシュよ!』
「ええ、ウェール!モルテ!」
「はいですよー!」
「これで終わらせる!」

突然の腹痛と嘔吐感を受け、パワーが落ち切っていたイブキ。
「ヴィリーム・フォール・スケッチ」「ヴィリーム・ウェール・ジラーチ」
「ヴィリーム・モルテ・ジャッジ」を連続して喰らい、ついに倒れた。


「くっそぉ、完敗だよ…腹の中から攻撃してくるなんて思いも寄らなかった。
 …ああそっか、ホシグマも負けちまったか。」
「ホシグマが負けた…?」
「きっとブレイブ達がやってくれたのですよー」

掛替えの無い友人の1人が倒された事を察したイブキは消滅しかかっていた。

「大したもんだな幻想奇跡隊…そして東風谷奇跡団。逝く前に言っておくけど…
 婆娑羅帝王様はこんなもんじゃないよ? 早く館山に戻って、あのお方の恐ろしさを
 身をもって知るがいいさ。」
「脅しのつもりかしら?そんなもので私達は屈しないわよ」
「…へっ、百聞は一見に如かずさ。お前らが帝王様に倒される様…
 地獄で見届けてやるよ…!」

こうしてリムフォール達は二本角のイブキを倒し、一路館山市を目指す。
イブキは薄れ行く意識の中で、今までの事を振り返っていた…

「ほんと、いろいろあったよなぁ…

隻腕のイバラキ
「私の妖獣達は凶暴よ? あなた達に止められるかしら?」

四天王の参謀格。自分でも分からないほどの数多の妖獣を従えている。
里見八犬士・シノとの戦いで右腕を失っているがその身体的ハンデを物ともしない実力を持つ。
リムハピネス(てゐ)・リムセトネ(小傘)・リムルクス(キスメ)を、自らが従える
妖獣・大海亀(だいかいき・全長500mを超える巨大なウミガメ)の甲羅の上に案内する。
この大海亀は千葉県鴨川市近海を泳いでおり、海中に潜る事もあるが
その際には自らの周囲を泡に包むため、呼吸などの心配は無い。

「ちっ、奇跡獣相手とは勝手が違うよ!!」
『妖獣はあやかしに堕ちた獣だからね、無理も無いさ。』

奇跡獣相手とは勝手が違う妖獣との戦い。ルクスとセトネも果敢に立ち向かう。

「ふむ…中々にやるわね。こちらも本気を出さなければ!」

その言葉の後、戦いの舞台となっている大海亀が海中に潜り
イバラキは切り札を使う事に!

「獣魔…鎧装!!」

合図を聞いた妖獣達がイバラキの身体にくっつき、何と鎧に変化していく!!
これが彼女の本格的な戦闘形態なのだ。


「な、何だありゃ!?妖獣達が…イバラキの身体に!」
『獣魔鎧装…妖獣達がイバラキのために鎧に変化する技。
 まさかここで使ってくるなんてね』
「わちきビックリしたー」
「私も…」
『俺も初めてみた時にはビックリしたぜ』

「さぁ、こうなった以上本気で行かせて貰うわ!!」


獣魔鎧装状態のイバラキは失われた右腕も補われるため、通常の倍に匹敵する実力を見せる。
だが、彼女はなぜかハピネスへ狙いをつけて攻撃を行っていた。

「シノ…貴女がリムハピネスに同調しているのは分かってるわ!!」
『…感づいていたんだねイバラキ。僕が彼女と共にある事に。』
「ええ、傷が疼いた事ではっきり理解できた!」

「大変だよ、ハピネスが集中的に狙われてる!」
『あいつ、シノが同調してるのに気づいたんだ!!』
「コブンゴさん…何でシノさんが同調してるハピネスが狙われてるの?」
『ああ、イバラキはシノの村雨丸のせいで右腕を切り落とされてるんだ。
 あの時の恨みをまだ抱いてるってことだろうさ』

「ちっ、なんて執念だい! 右腕取られただけでここまで妬きになるなんてね!」
『それだけ彼女が僕と村雨丸を恨んでるって事さ』

一進一退の攻防が続く中、大海亀が海面に浮上。
その直後、周囲を飛行していた報道ヘリから奇跡団のレトロ・トラックと
ドクター・ブックスが飛び降りてきた。ミッドヴィリームが鴨川市近海で
魔物と戦っていると言うニュースを聞き、館山市のTV局が所有する報道ヘリに
無理を言って乗せて貰ったらしい。

「うぅ…ヘリコプター酔いが…」
「無理をするなレトロ・トラック。ここは我が引き受けよう」

一部がイバラキの鎧になっているとはいえ、周囲には未だ妖獣達が跋扈している。
そこでドクター・ブックスが妙計を披露、何と自らの能力で
妖獣達を操りイバラキに嗾けたのだ!!

「ど、どうしたのです!止めなさい!!」
「見て皆、あれ!」
『妖獣達がイバラキに攻撃を…』
「こいつは一体…あっ、ドクター・ブックスとレトロ・トラック!!
 お前達いつの間に大海亀の甲羅の上に!?」

「詳しい話は後でする、それよりも今は彼奴にフィニッシュを決めるチャンスであろう!」
『ハピネス、あいつ(ドクター・ブックス)の言う通りだ。この機を逃せばイバラキを倒すチャンスは…!』
「ああ、分かってる。…シノ、村雨丸を貸してくれるかい?」
『いいけど…何をするんだい?』


「っ、私の妖獣に何をしたかは知りませんが…報いを受けてもらいます!!」

妖獣達を操られた事に憤ったイバラキはドクター・ブックス目掛けて突進、
あわやここまでか思われたその時…シノから村雨丸を借り受けた
ハピネスがイバラキの前に立ちはだかった!!

「リムハピネス!いつの間に!?」
「この瞬間を待っていたのさ…!」

ハピネスが村雨丸を振りかざすと、突如周囲に雨が降り始めた。

「あれ…?わちきの怪我が…」
「回復していく…」

その雨を浴びたセトネとルクスの傷が忽ち癒えていく中…
「ぐっ、こ…この雨は…私にとって有害な…!!」
イバラキが何故か苦しんでいた。

『まさかシノ以外の奴が『破邪の雨』を発動させるなんて!
 ハピネス、やるじゃねぇか!!』

コブンゴはこの雨が村雨丸の力を引き出す事で発動する物である事を
知っており、それをシノ以外の人間が発動させた事に驚いていた。

『なるほどね、僕に同調する事が出来た君がこれを発動させられたのは当然の事だったんだ。』
「あんたがこの力を発動させて皆を救ってきたって事、シンベエから聞かされたからね」

邪悪なるものにダメージを与える破邪の雨をまともに受けたイバラキ。
ボロボロになった彼女は息も絶え絶えの状態だった。

「はぁ、はぁ…こんな、事って…ああ…ホシグマもイブキも…負けたというの…?」

戦友たる2人が先に逝ってしまった事を察してしまい、イバラキは驚愕する。
そんな彼女の前にハピネス達が近づいてきた。

「みごと、ね…このわたしを…たおすだなんて…
 さぁ、早、く…館山へ行きなさい。お友達が…まっ、て、るわよ?」
「イバラキさん、貴女はどうするの?」
「わたし?そうね…さきに逝った、2人のところにでも…
 大海亀、私を海のそこにあんないして…ね?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

「あれっ?様子が…」
「なんと!?大海亀が海中に潜ろうとしておるぞ!」
「早く脱出しないと、あたいらも海の底にご招待だよ!!」
「ええっ!?わちきそんなの嫌だよぉ!!」
『急ごうハピネス、僕達にはまだやらないといけない事がある』
「そうだね、ブレイブ達もホシグマとイブキを倒して館山に向かってる頃だろうから
 私らも早く行かないと…じゃあね、隻腕のイバラキ。あんたの事は忘れないよ」

こうしてリムハピネス達は隻腕のイバラキを倒し、大海亀の甲羅の上から離脱。
その後、魔物の襲撃に備えて鴨川市近海を航行していた千葉県警水上警察隊の警備艇に救助される。
イバラキは海中を進む大海亀の甲羅の上で、今まさに永久の眠りに付こうとしていた。

「帝王さま…先立つ不幸を、お許しください…」



今泉さんの正体。

□封印の監視者・今泉影狼

「我が名は影狼、今泉影狼!!地獄の支配者を封印せし陰陽師の血を引く者なり!!」

リムファータ達の危機に駆けつけた今泉さんの真の姿。
今泉家は婆娑羅帝王の封印を代々監視する使命を持つ一族。
初代当主は生まれ持った高い霊力を駆使して八犬士達と共に婆娑羅帝王を封じた
民間の陰陽師で『影狼』の名はその初代当主の名前であると同時に
代々監視者の使命を背負う者が名乗る名前でもある。
実は自らの持つ霊力が翠達の持つ力に反応した事で、彼女達がヴィリームで
ある事と、八犬士達がヴィリームと共にある事に気づいてしまっていた。
ちなみに今泉さんは婆娑羅帝王をして『霊力、見た目共に初代影狼に瓜二つ』と称される。

容姿は今泉家に伝わる陰陽師の装束に身を包み、お払い棒とお札で武装している。
頭頂部の髪が霊力で跳ねっ返りを起こし、遠目から見ると狼の耳が生えたように見える。

四天王戦は奇跡団との共闘要素も含めてみました。
千葉県、いや房総半島の命運を賭けた戦いも次回がクライマックスです。
果たしてミッドヴィリームと奇跡団は婆娑羅帝王を倒し、平和を取り戻す事が出来るのか?!
では、最終第4巻でお会いしましょう!!

(第4巻)

今泉さん=影狼の乱入、それは婆娑羅帝王が予想だにしてなかった事であった。
ざわめく天守閣、その隙をついて影狼はファータとビターの周囲に結界を貼る。
治癒の力を秘めた防御結界だ。

「今泉さん…その姿は…」
「今まで黙ってて御免なさい。私は婆娑羅帝王の監視を使命とする
 陰陽師の血族の生まれ…。私は復活した奴と戦う宿命にあるの。」
「戦う…宿命!?」
「2人は休んでいて。その間は私が戦うから」

驚きの表情を隠せないファータとビターを尻目に、婆娑羅帝王と戦う影狼。
2人は防御結界の中で傷を回復しながら影狼の戦いを見守る事しか出来なかった。

「主は似ている…初代影狼と。」
「私がご先祖様と!?」
「そうだ。その容姿、溢れ立つ霊力…その全てが憎き初代影狼に瓜二つだ。
それでこそ、主は我に倒されるに値する!!」
「ふざけないで!お前を討ち果たす事はご先祖様の悲願…
 それを今ここで果たす!!」
「無駄だぁぁぁぁっ!!」
「ぐっ!!?」

婆娑羅帝王が繰り出した強力な一撃を喰らい、影狼は壁に叩きつけられる。

『今泉様っ!!』
「わ、私は大丈夫よシンベエ…貴女はファータの事をお願い。」

叫ぶシンベエに影狼は答える。

「今泉さん…シンベエさんが見えるんですか?」
「ええ。私のご先祖様は八犬士の皆と一緒に婆娑羅帝王を封じた陰陽師だったの。
 だから自らの霊力で彼女達を視認する事が出来るのよ」

「我が一撃を受けながらも立ち上がるか…流石は今泉の血族。
 だが…これならばどうだ!!」

一進一退の攻防が続く中、天守閣に傷だらけのキセキワニガメガホンが入り込んできた。

「おのれミッドヴィリーム…ここで奴らの背後を突けば!!」

何と、奴は防御結界の中にいるファータとビターにバックアタックを仕掛けようとしたのだ!!

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

あわや結界が破壊されそうになったその瞬間、第2の乱入者が現れる。

「見つけたぞ、ワニガメガホン!!」

それは早苗達と別行動を取っていたキセキヨーヨードだった!

「っ、ワニガメガホン!!生きていたのね!」
「それに…ヨーヨードさん!?」

ワニガメガホンの気配に気づいたファータ達はヨーヨードの登場に驚く。

「間一髪だったな、奴はお前達の背後を突こうとしていたんだ」
「ちっ、まさかヨーヨード様がここで現れるとは!」
「貴様は姐さんを、トラック様達を、東風谷奇跡団を裏切り
 あまつさえあのような恐ろしい存在(婆娑羅帝王)の軍門に下った!
 もう貴様を同胞とは思わん!覚悟してもらうぞ!!」
「こっちだってヨーヨード様の事をもう上官とは思わないぜ!!」

ヨーヨードとワニガメガホン、奇跡獣同士の戦いが始まった。


「…ファータ、傷は大丈夫?」
「ええ、今泉さんの結界のおかげで何とか…」
「それじゃ、今まで休んでいた分の遅れを取り戻すわよ!」
「はいっ!!」

完全回復したファータとビターが戦列に復帰し、戦いは更に激化。

「ちぃっ!!完全に復活したか!」
「さぁ、勝負はここからよ!」
「ならば我も…本気を出さざるを得んようだな!!」

天守閣に漂う妖気が更に濃くなっていく。それを受けて
婆娑羅帝王がパワーアップする。

「っ!?2人とも気をつけて!婆娑羅帝王の力がさっきより高まってる!!」
「周囲の気配が重苦しい…」
「このプレッシャー…息が詰まりそうね」

「では…行くぞ!!」

パワーアップした婆娑羅帝王は圧倒的力で3人をねじ伏せる。
地獄の支配者の名は伊達ではないという事か…
と、そこに第3の乱入者が…。そう、四天王を倒した
ブレイブ達9人と奇跡団の面々が到着したのだ!!

「ただいま、ファータ…!」
「皆、無事だったんだね!」
「言ったでしょ、あたい達は絶対に勝ってくるって!!」

『今泉様、お久しぶりです』
『俺達も結構頑張ってたんですよ?』
「八犬士の皆…元気そうで良かったわ」

再会を喜び合うヴィリーム。そして八犬士と影狼。
一方奇跡団の方も…

「大人しくなさい、ワニガメガホン…!」
「くそっ、まさか捕まっちまうとは!」
「ヨーヨード、彼の処遇は貴方に一任します!」
「了解!でも姐さん達は…!?」
「我らは周囲の魔物達を蹴散らす!」
「悔しいけど、婆娑羅帝王の相手はヴィリームに任せるよ!!」

早苗はワニガメガホンの生殺与奪を完全にヨーヨードに任せるつもりのようだ。


「…四天王が倒されたのか…。幻想奇跡隊、主らの力は正しく底なしだな!
 それでこそだ、それでこそ打ち倒す価値がある・・・!」

ますます奮い立っていく婆娑羅帝王。

「物凄い気迫だ。まるでお爺様と稽古をしている時のように…」
「こ、怖いよ…!」
「縮こまってちゃ負けちゃうよセトネ!」
「グラースの言うとおりだ。それに私らは四天王にだって勝てたんだ。
 婆娑羅帝王にだって勝てる…!」
「そうですよー、やってやれない事はないですよー!」
「私達は千葉県に住む人達の思いを背負っている…」
「それに私らが負けちゃったら、幻想町だって危ないよ」
「なら尚の事、負けるわけには行かないわね」
「ファータ、ビター、行こう…!」
「もちろんよルクス、さぁファータ…号令をお願い」
「はい…皆、行くよ!」

こうして始まったミッドヴィリームと婆娑羅帝王のラストバトル!!
世界の未来を賭けた熱き戦いが今、始まる…!!

第4巻 Lastdays 未来を賭けた少女達の熱き戦い


OVA限定のリムファータのフォーム、そしてOVAの結末とリムヴォルフ誕生編の前半パート。

□リムファータ・インフィニット
満身創痍になりながら婆娑羅帝王と戦い、何度倒れても不屈の闘志で立ち上がるミッドヴィリーム。
そんな彼女達の勝利を信じる千葉県民の祈りと声援、そして八犬士達の願いが
ミラクルパワーに反応し、その思いを受け取ったメンバー全員がファータを
基本体に一心同体となって誕生した無限大の戦士。その力は傷ついた
影狼や奇跡団を癒し、魔物の大軍勢を一薙ぎに蹴散らす。
残った魔物達を影狼と奇跡団が足止めしている隙に
自らは婆娑羅帝王とのラストバトルに挑む。

見た目は通常のリムファータと同じだが、髪や服の色が銀色になっているのが特徴。

必殺技は『ヴィリーム・インフィニット・サンシャイン』。
両腕にミラクルパワーを集中させて、巨大なミラクルパワーの塊をぶつけて浄化する。
言わばストナーサンシャインのような技。



  • 諦めない心が起こした奇跡
11人のヴィリームが婆娑羅帝王と激突する。
しかし圧倒的なパワーの前に手も足も出ない。
だが、彼女達は何度倒されても立ち上がり、果敢に立ち向かっていく。

「何故だ、我と主らの力の差は歴然…何故何度も立ち上がる!?」

「決まってるよ、あたい達の勝利を信じてる人達がいるからさ!」
「その人達のためにも…」
「私達は絶対に、負けられないんだ!!」

メラメラさんは感じ取っていた。
ヴィリームの勝利を信じる千葉県民の祈りと声援、八犬士達の願いを。
そしてそれがミラクルパワーに反応した事を。

「私達は…この戦いに勝つ!」
「皆の思いを叶える為に!」
「何度倒されたって、その都度立ち上がってやる!」

「ええい、黙れ!!」

再び繰り出される強力な一撃。
無常にも吹き飛ばされるが、言葉通りに何度も立ち上がる。

「わちき達が負けたら、千葉県…いや、この世界が終わっちゃう!」
「だから…負けませんよー!」
「私たちの勝利を待っている人たちのためにも…!」

「そう…私達は…」
「絶対に…」

「「「「「「「「「「「絶対に、諦めない!!」」」」」」」」」」」

その言葉と共に、眩い光に包まれたヴィリーム達。
魔物達と交戦していた奇跡団と影狼も驚愕する。

「な、何なんですかこれ!!」
「もの凄いミラクルパワーの奔流を感じますぞ!」
「一体何が始まるというのだ!?」
「だ、第三次大戦?」
「姐さん、こんな時にぼけないで下さいよ!!」

(この光…力強いけど、それでいて優しく…温かい。正に『人の心の光』!)

眩いほどの光が収まると、そこには輝きに満ちた1人の戦士が…

「ぬぅ、一体何者だ!!」

「…奇跡を呼び起こす無限の力!ミッドヴィリーム11重合体(イレブン・イン・ワン)、リムファータ・インフィニット!」

「リ、リムファータ・インフィニットォ!?なんだいそりゃ!」
「どうやらヴィリーム11人分のミラクルパワーが集約されているようですぞ!!」
「そんな事があり得るっていうんですか!?」
「ありえますよ、諦めずに立ち上がってきた彼女達ならね」

「早苗の言うとおり…正に諦めない心が呼び起こした、最高の奇跡だな」

誕生!無限大の戦士
ついに降臨した無限大のヴィリーム、リムファータ・インフィニット。
メラメラと陽炎のように燃え立つミラクルパワーがその力強さを物語る。

「帝王様、数が減った分こちらが有利!!」
「後は我らにお任せを!!」
「すぐに蹴散らしてご覧に入れます!」

奇跡団と影狼の相手をしていた魔物達がファータに襲い掛かる。しかし…

「…はぁっ!!」

内に秘められたミラクルパワーを開放し、魔物達を一気に吹き飛ばす!!
そのパワーの反動で『天空臥城』の天守閣が崩壊、そしてそれを受けた
奇跡団と影狼の傷が忽ち回復していく・・・

「おお…傷が癒えていくでござる!!」
「これは正に魔物だけを倒すパワーって奴ですね」

(な、何だろう…私の中で、何かが目覚めようとしている…!)
ミラクルパワーの反動を受け、何かを感じ取った影狼。
これが後に新しい奇跡を呼ぶ事になるのだが…それはまた別の話。

「ぬぅ、ここでは手狭になるな。主との決着は別の場所で付ける!!」
半壊した『天空臥城』を飛び出し、空へと逃げ去った婆娑羅帝王。
それに合わせて残った魔物達が館山市街地に降り立っていく。

「ヴィリーム!ここは私達と彼女(影狼)に任せて、婆娑羅帝王を!!」
「私のご先祖様が果たせなかった悲願を…果たして!!」

「分かりました…!」
翼を広げ空に舞うファータ。物凄いスピードで飛翔し、婆娑羅帝王を追う。

  • 大決戦!リムファータ・インフィニットVS婆娑羅帝王
高度1万メートルの大空、ついに対峙したリムファータ・インフィニットと婆娑羅帝王。

「例え主らが一心同体になろうと無駄だ、我には勝てぬ」
「いいえ。この戦い…私達が勝ちます!!」
「ふっ…ほざけぇぇぇっ!!」

互いに拳をぶつけ、一進一退の攻防を見せる2人。
だが…以前のように終始婆娑羅帝王が優勢という訳ではなかった。
無限の力を持ったファータが徐々に押してきているのだ。

「な、何故だ…何故、我が押される!?」
「…私達は守るべきもののために戦っている。貴方はどうなの?」
「何…?」
「貴方は何故奪うばかりで、守るものを持たないの!?」
「守るものだと…?そんなもの、我は持たぬ!!」

ファータの疑問をバッサリと切り捨てる婆娑羅帝王。
渾身の鉄拳を放ち、ファータを吹き飛ばす!!

「我には我の正義がある! 主らにとかく言われる筋合いは無い!!」

「ならば…私達は私達の正義を持って、貴方を倒す!!」

結界に覆われた千葉県全域を飛びまわり戦う2人を、千葉県民は見守っていた。
無論、県民全てがヴィリームの勝利を願い、祈り、信じている。
その祈りが、ファータに戦う力を与えているのだ。

「馬鹿な…我が、こうも…!?」
あの地獄の支配者である婆娑羅帝王が疲労感に見舞われている。
それをファータは見逃さず、力を込めて最後の一撃を放った。


「ヴィリーム…インフィニット・サンシャイン!!」


両腕にミラクルパワーを集中させ、巨大なミラクルパワーの塊をぶつけるこのインフィニット・サンシャイン。
その名の如くに太陽のような輝きを発するソレは瞬く間に婆娑羅帝王を飲み込み、浄化した。

「そうか…これが、奇跡の力か…。それが呼び覚まされたのは人間共の…願い、祈り…信じる心…
 そして…人間共が暮らすこの世界…。幻想奇跡隊、ならばこの世界、かならず守れよ…!!」

それが婆娑羅帝王の最期の言葉であった

《エピローグ》

婆娑羅帝王を倒した事で、房総半島を覆っていた結界と館山市街地上空に
出現していた『天空臥城』が消え去り、それに伴い魔物達も何処へと姿を消し
千葉県に平和が戻った。そして…

出会いの時があれば、別れの時は必ず訪れる。

「まさか、真夜ちゃん達がミッドヴィリームだったなんてね」
「今泉さん、いつから気づいてたんですか?」
「霊力が貴女達の力に反応した事で何となく…かな?」
「今回ペナルティは何故か発生しなかったようだが…影狼、この事はくれぐれも他言無用でお願いする」
「ええ、分かってるわ」
「それと千葉県全域の復興は蘇我グループが一手に引き受ける事になったよ。
 で…先輩はこれからどうするんです?」
「そうね、封印の監視者としての使命は私の代で終わった事になるから…
 復興のお手伝いをしようと思うわ。お父さんやお爺ちゃんも協力してくれるって言うし。」
「なら…安心だね…」
「もちろん、一段落したら幻想町に戻る予定よ」


…その頃奇跡団は…

「ワニガメガホン、お前には復興作業の手伝いをしてもらうぞ」
「…俺を討つんじゃなかったのか?」
「姐さん達から助命願いがあってな。それに首領殿も『罪を憎んで奇跡獣を憎まず』と仰っていた。
 復興作業の手伝いはその罪の償いのためのものだ。しっかりやれよ」

あの後ワニガメガホンを討とうとしたヨーヨードだったが、レトロ・トラックらからの
助命願いと早苗の言葉を聞き、考えを改める。そして罪の償いとして
復興作業の手伝いを指示したのである。その後ワニガメガホンは今泉家に居候し
本格的に復興作業を支援していく。


そして翠達の身体から霊玉が分離し、八犬士達が再び眠りに付く時が…

『翠ちゃんと一緒に戦って私、何だか変われたような気がする。ありがとう!』
「私もシンベエさんに会えて本当に良かったと思ってます!」

『一時はどうなるかと思ったけど、無事に終わってよかったわ。
 椛ちゃん、ありがとう…!』
「こちらこそ、ソースケさん。」

『リリー、私と離れても読書をする事は忘れないようにね!』
「もちろんですよー、ダイカクさんもお元気で!!」

『静葉…あたし、貴女と別れるのが惜しいの。だって、貴女みたいな
 戦略家に今まで出会った事が無かったから。』
「私もケノさんと別れたくない。でも…始まりがあれば終わりがある。
 人の出会いは一期一会、だから…ケノさんと一緒に戦った事、忘れないわ」

『ブラック、あんたと一緒にいて悪い感じはしなかったよ』
「私もよドウセツ。…元気でね」

『チルノ…私が教えた全て、これからの戦いに役立ててね!』
「うん!あたい、ゲンパチの事…絶対に忘れないから!」

『てゐのこれからに、幸運がある事を願っているよ』
「ありがとねシノ。あんたにも幸いあらん事を…」

『小傘、お前は臆病な所を直せればもっと強くなれる!!
 挫けそうな時には、俺の事を思い出してくれよ!』
「コブンゴさん…ありがとう、わちき頑張るよ!」

勇敢なる少女達に別れを告げ、八つの霊玉は天に還っていった…。

「………」
「どうした大ちゃん?」
「あ、うん…婆娑羅帝王が言ってた事を思い出してたの」
「『ならばこの世界、必ず守れよ』…か。あいつに言われなくても
 私達はこれからも世界を守るために戦い続ける!」
「…ええ!!」

「じゃあ、私達も…」
「幻想町に帰りましょうか!!」

こうしてミッドヴィリームが館山市で過ごした一週間は終わりを告げた。
館山市民、いや千葉県民全ての心に…ヴィリームの雄姿は永遠に刻まれる事だろう。
そして新たなる決意と共に、彼女達は今日も戦い続ける!


+~fin~
ちなみに動物変身ペナルティが発生しなかったのは、八犬士の霊玉の力によるものです。
ビター、テスラ、ルクスはインフィニットと化していた時に霊玉の力の影響を受けています。