21世紀深夜アニメバトルロワイアル@ウィキ

シミュラークル

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シミュラークル ◆PuVQoZWfJc


とある宿泊施設の一室に二人の男女がいた。片方は背の高い、成人してから久しいような男。
片方は未だあどけなさが濃く残る女学生といった姿だった。

施設の構造と相まってあたかも営利によって情事に及ぼうとする物事を連想させるが
そこで行われたのは色事とは縁遠い、もしかすればその方がまだいいような「実験」であった。

「それでは、あの青年はもう一人のあなたに任せて、こちらも休息をとることにしましょうエンジェル」

自らがそう名付けた少女を彼、サイスマスターは呼んだ。エンジェルと呼ばれた、彼に本当の名を奪われた
少女、立華かなでは小さく返事をする。

「でも、本当にいいの?」と小さくエンジェルが聞き返す。
「私がもっと増えて島中にいけばきっと早く終わるわ」

ああ、とサイスマスターは小さく頷くと彼女の疑問に答える。

「だからですよ、これはこれで興味深い出来事なのですから、もう少しことの推移を観察しましょう」
折角ですしと付け加えると彼は何事か思い出したようにエンジェルを見る。

「そういえばあなたの持っているガードスキル、でしたか。アレの事をよく分かっていませんでしたね。
いい機会ですからこの際ここで把握しておきましょうか」

そう言うと、サイスマスターはエンジェルに先程と同じく分身するように言う。

「分かった、ガードスキル、harmonics」

うっすらとした輪郭がエンジェルから離れて実体化すると彼女と瓜二つ、というよりそのままもう一人の
立華かなでが現れる。

「一応、本体であるあなたに危害のないようこちらでやりますか。では始めましょう」

僅かに好奇の色を瞳に滲ませながら、サイスマスターは実験の開始を告げた。

「銃で撃たれたり、爆弾が来るときは、Distortionで防ぐの」

そう言ってエンジェルが同名のガードスキルを使用する。見た目の上では変化が分からないが試しに
オートマグで撃つと、エンジェルの額に当たった弾は硬質な音を立てあらぬ方向の壁に穴を開ける。

「でもあんまり大きい物は防ぎきれないから、そういう時は、Delayを使う」

目の前で消えたかと思えばいつの間にか自分の後ろにおり振り向けばまた消える。高速移動の能力らしい。
ちなみに今能力を使っているのは増えた方のエンジェルであり、説明は首輪がついた方、つまり本人が
行っている。

「それでこれがHandSonicとOverDrive、これはもう見たと思うけど」

もう一人のエンジェルが手の先に手甲剣から槍、ハサミと次々に出しては変化させ最後に出した花のような
物で壁を思い切り殴る。鈍い破砕音が響くと壁に大穴が空いている。

淡々とガードスキルの紹介を受けながらサイスマスターは眉ひとつ動かさなかったが、内心では見世物を楽しむ
子どものように嬉々としていた。エンジェルの警告後に使われたHowlingという音波攻撃らしきものを見たときも
それは変わらなかった。

(やはり素晴らしい。素材の段階でここまでならこの先どれほどの物にできるのか)
惜しむらくはこの素材が一つしかない希少品だと言うこと。そう思っていた。エンジェルが次の一言を
言ってしまうまでは。

「あとは、私を一人に戻すabsorbっていうのがあるんだけど、これはなるべく使いたくないの」

「何故です、分身を戻すだけではないのですか」
らしくもない素朴な疑問だった。内心興奮していたとはいえ間抜けな聞き方をした物だと彼は思った。

「この娘も私だから、分身っていうより、本当に「もうひとりの」私だから、戻そうとすると少し辛いの」
その言葉が、目の前の男の欲望を充分に満たしてしまうことは、エンジェルには分らなかった。

「なるほど、ではあまり増えた状態で戻そうとするとどうなるのですか」

サイスマスターの心臓の鼓動が早くなる、自分に急ぎ過ぎないようかろうじて自制を促す。
「分らない、でも一人に収まらなかったら、きっと私でなくなると思う」

それが何を意味するのか実際に確かめて見たかったが今は思い留まる。彼は務めて平静な声で最後の疑問を
口にする。

「しかし、そのアブソーブというのもさっきのハーモニクスも本体のあなたしか使えないと来れば
ある程度は仕方のないことなのではないですか」

しかしエンジェルは首を横に振る。それは彼の言葉を否定すると同時に彼にある幸福を予感させた。

「使われたことは無いけど、この娘もさっきの娘もガードスキルはみんな使えるの、『私』だから」

やはり、とサイスマスターは思った。これは言い換えれば彼女という道具は如何なる技術も用いずに
いくらでも増やすことができるということでもある。まさに打止めのない兵器だった。

「ふむ、それは興味深いですね。エンジェル、やって見て下さい。もしかすれば首輪も外れるかも知れません」
そう言って増えた方のエンジェルに促すと戸惑ったような表情を浮かべたが、ちらりと本体の方を見ると
アブソーブを使用する。だが小さく唱える声が聞こえた後は部屋はしん、と静まり返り何も起こらない。

エンジェルは二人して不思議そうに顔を見合わせているがサイスマスターの方は先程は違う表情でやはり、と思った。

「流石に話が上手すぎましたかね。エンジェル、ハーモニクスを使ってみなさい」
分身が使用するが、ガードスキルは発動しない。ようやく自分たちの身に起きたことに気付いたのか
二人のエンジェルはひどく動揺していた。

「どうやらハーモニクスもアブソーブも使えるのはあなただけのようですね。それが首輪のせいなのか、
それともまた別の要因の因るのかは分かりませんが、分身の方は使用できるガードスキルが制限されているようですね」

分かり難くはあったがどちらも心細そうな目の光を弱めている。

「まあそれでも充分な気もしますがね、エンジェル、とりあえず十人ほど分身して頂けますか。その方が安全でしょう」

本体の方がハーモニクスを使用するとしかし現れたのはたったの二人だけだった。サイスマスターは
やれやれといった態で頭を軽く降る。
「こちらもですか、貴女たちと先程の娘たちも含めて分身は五人が限度のようですね」

更に増えた分身達はそれぞれ別の表情を浮かべている。本体に比べて性格が別のようだ。

「まあ、自衛においては上々でしょう。エンジェル、授業はこれくらいにして、夜まで休むとしましょう」
自分の体の異常に納得が行かなかったが、エンジェルは渋々ガードスキルの講義を終了する。

(ふむ、制限がかけられているということはそれだけ彼女の力が危険だということになります。
これはいい土産になりそうですねえ)

口元に笑みを貼りつけたまま、彼は増えたエンジェルたちと共に夜を待つことにした。
ただ、彼は自分の小さな間違いに気付かなかった。追手として放たれた二人のエンジェルの内片方は既に
死亡しており、彼女が分身できる数は正しくは四人だった。

【1日目 G-3 宿泊施設 午前】

【立華かなで(A、本体)@Angel Beats!】
[状態]:健康、脇腹に刺し傷(縫合済み)、記憶喪失
[装備]:制服、エンジェルプレイヤー
[道具]:なし
[思考]
基本:マスターの命令に従い、参加者を駆逐する。――に会いたい。
1:マスターの命令に従う
2:――を探す為に学校に行きたい?

【サイスマスター@Phantom 〜Requiem for the Phantom〜】
[状態]:健康 、気分高騰
[装備]:白い普段着
[道具]:基本支給品×2、無線機、オートマグ@現実(残弾5+1発)、義体用の薬品セット@GUNSLINGER GIRL、ランダム支給品0〜1
立華かなでの分身×3人
[思考]
基本:どのような形であれ、このゲームに勝利する。
1:エンジェルの教育
2:アインを利用する。策を弄する。
3:適切な行動の為の情報を集める。

※アインとは今後の方針、緊急の連絡方法等を事前に決めました。
※かなでの分身の処遇については後の書き手さんにお任せします。
【立華かなで(D)@Angel Beats!】
[状態]:健康
[装備]:制服、エンジェルプレイヤー
[道具]:なし
[思考]
基本:マスターの命令に従い、参加者を駆逐する

【立華かなで(E)@Angel Beats!】
[状態]:健康
[装備]:制服、エンジェルプレイヤー
[道具]:なし
[思考]
基本:マスターの命令に従い、参加者を駆逐する

【立華かなで(F)@Angel Beats!】
[状態]:健康
[装備]:制服、エンジェルプレイヤー
[道具]:なし
[思考]
基本:マスターの命令に従い、参加者を駆逐する



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