アットウィキロゴ
ミリオンライブバトルロワイアル @ ウィキ
掲示板 掲示板 ページ検索 ページ検索 メニュー メニュー

ミリオンライブバトルロワイアル @ ウィキ

Cause of U

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集

Cause of U

「……かーれんー?」

太陽がだんだんと降り始めてきた頃。
風で揺れる茂みの影に向かって、一人の女性が声をかけた。

「り、律子さん……」
「あんた、そろそろ何かしら考えてくれた?けっこー時間あげた気がするんだけど」

その女性、秋月律子の言葉に、隠れていた可憐は小さく悲鳴をあげて顔を出す。
振り向いたその目線はさっきまでと変わらず揺れている。傍からみても、まだ『意志』決め切れてない事は容易にうかがえた。
律子は溜め息をつきそうになるものの、一旦抑える。とりあえずは、返答待ちだ。

「……あ、あの」

だが、帰ってきた言葉はイエスでもノーでもなく。

「もし、私が殺し合いなんてしない、なんて言ったら……律子さんは、どうするんですか…?」

弱々しい、問いかけ。

「……あんたねぇ」

それを聞いて、律子はさっき抑えたばかりの溜め息を遠慮なく吐いた。
自分の期待していた返答どころか、答えにすらなってないじゃないか、と。

「私がどう考えてるか、なんて関係ないでしょ?それで揺れるような考えじゃダメって言ってんのよ」
「ご、ごめんなさい……」

呆れながらも、諭す。
結局、彼女は彼女のままだ。日常だったらそれでもいいかもしれないが、今この状況ではそんな甘えはまかり通らない。
変わらないようなら、覚悟を決め切れないようなら。
一番良くない――じゃなくて、面倒な手段を取る事を考え始め、頭が痛くなる。
そんな律子に対し、可憐はおずおずと「でも」と呟き。

「……私、律子さんがどうしたいか、なんて事も、聞いてないですから……その……」

その言葉が呟かれた瞬間、律子はぴくりと反応し、その動きを止めた。

「ふーん……あんた、私に命握られてる癖して結構言うわねぇ?」
「ひっ!? ち、違いますぅぅ…ごめんなさい、ごめんなさい…!」

けれど、それも一瞬の事。
すぐにその表情は不敵に笑うものとなり、その手には変わらず銃が握られている。
その姿に、可憐は即座に委縮してしまった。

「ったく………」

すぐに折れた可憐の姿を見て、やれやれと言った風に悪態をつく。

(……ま、確かに言ってる事は一理あるんだけどね)

ただ、答えなかったのは割と痛いところを突かれたから、というのもあった。具体的な事は何も決めてないのだから。
まだ、様子見というスタンスを崩すような時期じゃないが、かといってこのままずっと有耶無耶にしておくと、いざという時に大きな失敗をする可能性もある。
これ以上何かに感情的になる前にも、ある程度覚悟はしておくべきだろう。

可憐の訴えも、まったくの的外れ、というわけじゃない。
むしろ、客観的に見ればごもっともだろう。命の手綱を握る相手が何を目的としているのか分からないのだ。不安になるのも無理はない。
勿論、そこで情をかけるつもりもないが。
可憐にこんな問いをした事に関して『余計な事をした』という感情はあるが、やってしまった以上は貫くべきだ。

(私が、どうするか……今のところ、生き残る以外に具体的な方針もないしねぇ)

律子が『生き残る』為に、どうするべきか。
単純に与えられた選択肢を取るなら、765プロ50人の中で、たった1人勝ち残り、生き残る事だろう。
というより、現状は他に何かできるかという見当もつかないのだ。

(首輪の解除方法もない、このイベントの管理者もどこにいるか分からない。
 下手したら、この島にはいない……ううん、その方が自然よね。わざわざ身を危険に晒す必要もない)

考えれば考えるほど、徹底された現状に頭を悩ませる。
もしかしたらあるかもしれない、用意されているかもしれない『穴』は未だに見つからない。律子が本格的に探してないから、かもしれないが。
けれど、仮に本腰入れて探したところでそう易々と見つかるとも思えない。
一人のアイドル――素人が、素人の考えで捜索し、それで見つかるようなものを遺すなど、『わざと』以外には考えられないだろう。
そして、そんな『わざと』なんて有情なものに期待して行動するのも、また馬鹿げている。
手さぐりの状態から、いつ殺されるかもわからない中探すリスクを考えれば、まだ今は最後の1人となった方がいくらか現実的だ。
勿論、それでさえも容易ではない。つくづくこの理不尽な現実が嫌になる。

(なんにせよ、今は反抗の手段はほぼ0……いつかは、見切りをつけなきゃねぇ)

かといって、考える事をやめれば待っているのは死だ。
とにかく、死んでしまえばすべてが終わりなのだから。
生き残る為には、最後の一人になるしかない。そしてそれはほぼ確実に、相対する誰かを殺さなければ、いけない。
この手を汚す――いつかしなければいけない事に対して、ひしひしと感じていた。


「……うーん」

可憐を待つ間、手持無沙汰になって、なんとなしにバッグに手を入れる。
取り出したのは、携帯端末。現在時刻とか、6時間毎の死者とか、いろんな情報が確認できる情報源。
特に見た理由があるわけではないけれど、時間を見て、結構な間時間を潰したな…と感じていた。

(ホント、手が込んでるわよねぇ)

その形は、一見するとタッチパネル型の携帯とも思えるのだが、その実、その形は多少は詳しい律子でも見たことのないものだ。
この為だけに、わざわざ50人分も作ったのだろうか。
否定はできない。というか、そうだろうと自然に納得している自身の思考を感じていた。

765プロダクションはシアターを設立してから、開催するイベントやらなんやらは妙に凝ってるものが多かった。
ドラマ物一つとっても、崩壊する街や浮遊するアイドル、どれだけ金をかけてるんだ…と思うギミックは非常に多い。
正直、孤島に連れてこられて殺し合いなんていうのも、発想はともかくとして、こうして開催できる事自体に関しては割と自然に納得していた。
まぁ、やろうと思えばやれるだろうな、といった具合に。

けれど、そう考えるとますます疑問に思う事もある。
勿論、その資金を最初から765プロだけで賄っていたわけではない。
特に最初の頃なんて、別の会社からある程度の資金援助があったとも聞く。
具体的にどこで、何があった、という話は知らないが……そういえば、カメラマンも今は専属に近いが、もともとは別の会社出身だったか。
こんな決して許される事ではない狂気の沙汰なイベント。他の会社は協力しているのだろうか、反発はしなかったのだろうか。
そもそもこのイベントはプロデューサーの独断?誰かの協力が……。

(……はぁ、また余計な事考えてる)

いけない、と自分の悪い癖を戒めた。
裏で何が起きてるのか、そんな事は今の自分には関係ない。
考えるべきことは、とにかく死なない事。生き残る事。
回りがどうあろうと関係ない。ルールに沿おうが何しようが、とにかく生き残って脱出する事だ。

もう一度、ちらりと画面を見る。時間は14時に近く、放送から2時間弱もこんなところで止まっていることを表していた。
元々何かを行う予定はなかったが、かといってこのままじっとしていてもいいものか、とも思う。
とはいえ、動きすぎは危険を招くだろう。特に今は、可憐の気持ちが固まっていない。
こんな状態で不用意に動き、誰かに襲われれば、彼女を―――

(って、何考えてるのよ私)

違う。そうなれば普通に見捨てればいいだけの話だ。ぼうっと考えてた頭を引き締める為、両頬をまたぱんぱんと叩く。
ただ、使える駒をそんな風に無駄にするのが勿体ないというだけの話。
せめて答えを聞いてから動き出したいところだが、当の彼女はご覧のとおり。
彼女もかれこれ1時間以上も悩んでいるわけだ。これ以上引き延ばしても、答えは得られそうにない。
しばしじっと見つめても気付かない、俯いてる彼女を見ながら、律子は一歩近づいた。

「可憐、立ちなさい」
「えっ…?」

声をかけると、可憐は呆気にとられた表情で顔をあげる。

「アンタどうせ、そこでうじうじしてたって何も浮かばないんでしょ?だったらまだ探索してた方がマシよ」
「あっ、そ、その…」

どうせここから、事態が好転する事はないだろう。
むしろ、ここでずっと燻らせていては、やがて可憐の思考はどんどんダメな方に落ちていくかもしれない。
ここで意思を決めさせるのが最善だろうが、それに固執してダメにしてしまっては意味がない。
腐ってしまうぐらいなら、連れまわしたうえで、捨て駒にさせた方がまだ有効活用できるというもの。

(様子見するにしても、場所ってもんがあるしね)

それに、様子見というスタンスを崩すつもりもないが、いつまでもこの道端で陣取るというのも分が悪い。
ろくに体力回復もできやしないし、日が落ちれば危険も増す。
暫く行動をしない、という方針を取るにしても、できれば室内……街中の家一つにでも陣取りたいところである。

「ま、とにかく南は危険……行ってみるなら北、かしらね。ほら、さっさと準備しなさい」

その際にどちらへ向かうか…というのは、最早考えるまでもない。
南は紗代子が殺し合いにのり、そしてあそこまで満身創痍になる程の存在がいる、可能性がある。
断定はできなくとも、そんな危険な可能性がある時点で避けるべきだ。

「はっ、はい……」

可憐は言われるがままに荷物を肩にかけ、立ち上がる。
相変わらず、その命令に従うだけの姿に変化はない。
むしろその方が、連れて行くうえで好都合である筈なのだが、どうにもすっきりしない。

彼女への問いは、このまま有耶無耶にするつもりもない。
いつかは、はっきりと答えを聞かないと、なにより律子の気が済まない。
とはいえ、それに固執して手駒を無駄にするのは非効率。
なにより自分が生き残るのが最優先……律子の頭の中で、まるで何かに言い訳するように言葉がぐるぐる循環している。

(あー、らしくない……私らしくないわ、まったく……)

妙に感情的になりつつあるというか、かき乱されている。
冷静にならなければ。思考の外に追いやれとしているつもりが、結局また頭の中に戻ってくる。
人間、気にするな気にするなと思えば思うほど、ドツボにはまっていくものだ。
袋小路に入りかけている思考は、彼女に良くない綻びのようなものが、生まれている、かもしれない。


ああもう、ほんとに。あなたのせいで。


【一日目/午後/D-3】

【秋月律子】
[状態]健康
[装備]防弾チョッキ、グロック19(12/15)
[所持品]支給品一式、不明支給品0~1
[思考・行動]
基本:不信。情にほだされないように、冷静な対応を。
1:現状は様子見。乗るべきと判断したら乗る。
2:とりあえず、様子見するために腰を落ち着けられる場所を探す。
3:紗代子と春香、ひいては南の街が危険? 少なくともそっちにはいかない。
4:可憐は……保留。


    *    *    *


――また、迷惑をかけてしまった。

律子の後ろをついてくるだけの少女は、そんな事を考えていた。
彼女に主導権を握られてから、ずっと迷惑をかけてばかり。
それは、用済みと思われ捨てられてしまうかも、という恐怖以上に、何か別の感情がふつふつと湧き上がっている。
そんな気持ちを抱くのは、彼女の甘えなのか、それとも―――



篠宮可憐
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]支給品一式、予備マガジン×3、ランダム支給品(0~1)
[思考・行動]
基本:私は……?
1:律子さんについていく
2:武器はとられちゃったけど……律子さんは怖い、のかな?
3:逃がしたロコの事も少し気になる


 五里霧中   時系列順に読む   アノコノエガオノタメダケニ 
 五里霧中   投下順に読む   "のろい" 
 夕風のメロディーはとうに絶え   秋月律子     
 篠宮可憐     


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー