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Day dream believer

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Day dream believer








キミと、二人きりでお酒を飲みたかったな。






 ◇  ◇  ◇






酒を飲むのに理由なんていらない。
ビール、ウイスキー、ワイン、日本酒、焼酎。
古今東西ありとあらゆる酒は飲む為にある。
だから、こうして酒を飲むことは悪くないのだ。

「ぷは~~~~~~!!!!」

それが絶賛殺し合い開催中の超絶危険な時間帯だとしても、飲みたい時に飲まないのは酒に失礼なのである。
酒は逃げないとか、状況考えろとか客観的判断としてどうなんだとか、そんな価値観なんてどっかのゴミ箱にでも投げ捨ててしまえ。
酒を飲む。それ以外の行動は不純物であり、唾棄すべきものだ。
飲んで、飲んで、飲んで、吐いて、吐いて、吐いて、ただひたすらに飲んで、吐いて。
これでは、アルコールの熱に浮かされたどうしようもない酔客だ。だが、それも悪くはないと感じてしまうのは、自分の何かが壊れてしまったからだろうか。
もっとも、そんな理屈などどうでもいいのだ。
こんなにも気分が悪い時はアルコールの熱で一度全てをリセットしなくてはやってられないのだから。

「っぐ、ん~~~~! はぁっ、んっ! ぁっ! うっ……!」

きらびやかなネオンが光り、絶えない繁栄をイメージしたカジノの場末のカウンターに百瀬莉緒はいた。
早い話が、アイドルの立場などお構いなしで酒に溺れて飲んだくれていた。
喉に入り込んでくる甘い熱が、痛い。
身体の全身に回る重みが、辛い。
まともな思考を許さないアルコールの誘惑が、苦い。

「おいしっ」

莉緒は現状に逆らわない。在るが儘に、今の自分の甘ったれた無様な姿を受け入れる。
ファンが見れば幻滅するだろう、プロデューサーが見れば飲み過ぎを咎めるだろう。
しかし、今の莉緒にはそんな背負うべき“重荷”は何処にも存在しない。
自由気まま、何も考えずにのんべんだらり。
下らぬ倫理など莉緒の頭からはとっくに忘却されている。

「……ホントは、二人で飲むはずだったんだけどね」

一升瓶をそのままラッパ飲みするのもさすがに限界が来たのか、支給品として入っていたグラスにとくとくと日本酒を注ぐ。
そして、一気にぐいっと口に入れる。美味しい、あっさりながらも酒の旨味を殺してない極上の味だ。

「あーあ、何で一人寂しく飲んでるんだろうねぇ、私は」

何気なく発した言葉には、悲しみと諦観と疲労が絶妙にミックスされシェイクされていた。
カクテルのような甘みと熱が言葉の端々に浮かんでいるとさえ錯覚してしまう。
自分は何を信じて、何を想って、何が好きで、何が見たくて――。

「ま、どーでもいいか」

――そんな、戯言じみた思いを巡らせた。
夢を見る年でもない癖に、何を人並みに悲しんでいるのか。
それとも、年を取り過ぎて耄碌が過ぎたのか、実に傑作だ。
今はただ、酒に浸って夢を捨てることに専念しよう。

「アイドルなんて空想だよねぇ。貫いた所で――何も残りはしないってわかってるのに」

そして、過ぎ去った思い出にサヨナラを。
気怠い感覚に身を任せ、享楽的に生きる。夢想家じゃあるまいし、何を意固地になっているのか。
それが、“人生”というものだろう。
胸の中に微かに囁いたキレイキレイな思いなんて忘れてしまえと吐き捨てて、莉緒は再び酒を注ぐ。



【一日目/朝/D-8 カジノ・バー】

【百瀬莉緒】
[状態]泥酔
[装備]なし
[所持品]支給品一式、世界の銘酒セット、不明支給品0~1
[思考・行動]
1:憔悴。酒を飲むことで“忘れる”。



【世界の銘酒セット】
言葉の通り、世界の銘酒が入っている。
ついでにおしゃれなグラスもついていて様になること間違いなし。



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