Evilution ◆Su10.RK3MU
【001】
繰り返し拳を叩きつけ、しまいには体ごと体当たりしてみても結局目の前の鉄扉はビクともしなかった。
どうにか開ける術はないかと探っても、厳重な宝物庫である部屋に内側から開けられる方法が用意されてるはずもない。
その上、ご丁寧なことに通路へと向かって両開きになる扉の前には重石となる物まで置かれているようだった。
閉じ込めて行ったきりのリルカが己の所業を省みて戻ってくるなどということもあるはずもなく。
時間にして三十分くらいだろうか、大きな溜息を吐くと竹露はようやくにして部屋から出ることを諦めた。
どうにか開ける術はないかと探っても、厳重な宝物庫である部屋に内側から開けられる方法が用意されてるはずもない。
その上、ご丁寧なことに通路へと向かって両開きになる扉の前には重石となる物まで置かれているようだった。
閉じ込めて行ったきりのリルカが己の所業を省みて戻ってくるなどということもあるはずもなく。
時間にして三十分くらいだろうか、大きな溜息を吐くと竹露はようやくにして部屋から出ることを諦めた。
「あ~あ、どうしようか……」
閉じ込められてしまってはどうしようもない。都合よく他の出入り口が見つかるなんてこともないだろう。
竹露はまた小さく嘆息すると、床に放り出していた懐中電灯を取り上げそれとなしに光を部屋の奥へと走らせる。
地下宝物庫の広さは大体学校の教室を二つ繋げたくらいだった。
天井が少し高く、部屋の左右にはその高さにあった棚が並び、中央には腰くらいの高さの机やショーケースが並んでいる。
そしてそのどこにも仰々しい装飾を施された箱や杯、彫像などが所狭しとひしめき合っていた。
どれも一見しただけで上階で見たものとは比べ物にならないほど高価であろうとわかるものばかりだ。
竹露はまた小さく嘆息すると、床に放り出していた懐中電灯を取り上げそれとなしに光を部屋の奥へと走らせる。
地下宝物庫の広さは大体学校の教室を二つ繋げたくらいだった。
天井が少し高く、部屋の左右にはその高さにあった棚が並び、中央には腰くらいの高さの机やショーケースが並んでいる。
そしてそのどこにも仰々しい装飾を施された箱や杯、彫像などが所狭しとひしめき合っていた。
どれも一見しただけで上階で見たものとは比べ物にならないほど高価であろうとわかるものばかりだ。
「……ごくり」
喉を鳴らし、竹露は手前にあった小さな箱を開けてみる。すると中には親指の先ほどの大きさの宝石がいくつも入っていた。
懐中電灯の光を吸い取って輝くそれらは果たしてサファイアだろうか、それともダイヤモンドだろうか。
知識のない竹露にわかるのは、おそらくこれらは自分が生涯通じて稼いだ金を払っても買えない物であろうということくらいだ。
見惚れるとこ半分、手に入れられぬものへの諦観を半分の溜息をつくと竹露は箱を閉め、その視線を部屋の奥へと向ける。
懐中電灯の光を吸い取って輝くそれらは果たしてサファイアだろうか、それともダイヤモンドだろうか。
知識のない竹露にわかるのは、おそらくこれらは自分が生涯通じて稼いだ金を払っても買えない物であろうということくらいだ。
見惚れるとこ半分、手に入れられぬものへの諦観を半分の溜息をつくと竹露は箱を閉め、その視線を部屋の奥へと向ける。
「う~ん……こっちは悪趣味……」
棚や机に並べられているものは、奥に向かうほど骸骨や悪魔などをモチーフにしたおどろおどろしいものになっていく。
羽を広げた悪魔の彫像。頭蓋骨の杯。眼球を縫い繋げたネックレス。苦悶の表情が描かれた油絵。
獣の腕の木乃伊。人の顔の形の染みが浮かんだ布。脱皮した蛇の皮。血のような赤が詰まった立方体。
吸血鬼が入っていそうな黒い棺桶。骨が山積みにされた猫車。複数の動物の四肢を縫い合わせた剥製のキメラ。
そして更に奥――部屋の一番奥に設けられたスペースに置かれたものらを見て竹露は小さな悲鳴を上げた。
羽を広げた悪魔の彫像。頭蓋骨の杯。眼球を縫い繋げたネックレス。苦悶の表情が描かれた油絵。
獣の腕の木乃伊。人の顔の形の染みが浮かんだ布。脱皮した蛇の皮。血のような赤が詰まった立方体。
吸血鬼が入っていそうな黒い棺桶。骨が山積みにされた猫車。複数の動物の四肢を縫い合わせた剥製のキメラ。
そして更に奥――部屋の一番奥に設けられたスペースに置かれたものらを見て竹露は小さな悲鳴を上げた。
「こ、これは……」
内側に棘のついた鉄の籠。天井から鎖で吊るされた鉤爪。刃に赤く錆の浮いた断頭台。手足を万力で挟む椅子。
歪な刃のついた人間大の鋸。焼き鏝に火かき棒。人の頭のサイズに合わされたカキ氷器のようなもの。
部屋の一番奥に並べられていたそれらは、どれもが拷問か処刑に使われるようなものばかりだった。
それも、刃や棘に染みた黒ずみを見るにどれも実際にその目的どおりに使用されていたと思われるものばかり。
どうしてこんなものがこんなところにあるのだろうか。
それはこの博物館の持ち主の趣味なのかもしれないし、もしかしたら以前は拷問展などしていたのかもしれない。
なんにせよ見ていて気分のいいものではない。竹露は懐中電灯の光を背けると、逃げるように扉の前へとかけ戻った。
歪な刃のついた人間大の鋸。焼き鏝に火かき棒。人の頭のサイズに合わされたカキ氷器のようなもの。
部屋の一番奥に並べられていたそれらは、どれもが拷問か処刑に使われるようなものばかりだった。
それも、刃や棘に染みた黒ずみを見るにどれも実際にその目的どおりに使用されていたと思われるものばかり。
どうしてこんなものがこんなところにあるのだろうか。
それはこの博物館の持ち主の趣味なのかもしれないし、もしかしたら以前は拷問展などしていたのかもしれない。
なんにせよ見ていて気分のいいものではない。竹露は懐中電灯の光を背けると、逃げるように扉の前へとかけ戻った。
【002】
「はぁ……なんでこんなことになってるんだろ」
閉じ込められてからもうどれほど経ったろうか。部屋の中には時計がないのでさっぱりわからないが、
待つことも怖がることにもとうとう飽きた竹露は、扉の前に座り込み唯一今できることである食事をしていた。
懐中電灯の仄かな明かりの中、背負い袋の中にあったミスタードーナツを愚痴を零しながら食べる。
細長い箱の中に入っていたのはオールドファッションをはじめとしたドーナツが10個。
パイや焼きドはなく、どれもオーソドックスな甘いドーナツばかりだ。
竹露ははじめにそのオールドファッションを頬張り、その次はゴールデンチョコレートに手を伸ばした。
三つ目は柔らかいシュガーレイズド。そしてフレンチクルーラー……と、続けてドーナツばかり食べるとさすがに喉が詰まる。
待つことも怖がることにもとうとう飽きた竹露は、扉の前に座り込み唯一今できることである食事をしていた。
懐中電灯の仄かな明かりの中、背負い袋の中にあったミスタードーナツを愚痴を零しながら食べる。
細長い箱の中に入っていたのはオールドファッションをはじめとしたドーナツが10個。
パイや焼きドはなく、どれもオーソドックスな甘いドーナツばかりだ。
竹露ははじめにそのオールドファッションを頬張り、その次はゴールデンチョコレートに手を伸ばした。
三つ目は柔らかいシュガーレイズド。そしてフレンチクルーラー……と、続けてドーナツばかり食べるとさすがに喉が詰まる。
「水、水と、……って何この匂い?」
ドーナツと併せて背負い袋の中にあった液体の入った瓶。その口を開いて竹露は異臭に顔をしかめた。
どこかで匂いを嗅いだことがあるような気はするが、これはなんだろうか?
お酒ではないと思う。じゃあなんだろう? そう考えて、少ししてガソリンの匂いだと思い至った。
どこかで匂いを嗅いだことがあるような気はするが、これはなんだろうか?
お酒ではないと思う。じゃあなんだろう? そう考えて、少ししてガソリンの匂いだと思い至った。
「他に飲み物はないし……あぁ、憂鬱になるぅ」
水だと思っていた瓶の中身はガソリンで、そしてその他に飲む物は――無論ガソリンも飲めるものではないが――なく、
竹露はもう何度目になるかわからない溜息を吐き、もう食べる気もなくなったドーナツを背負い袋に戻した。
竹露はもう何度目になるかわからない溜息を吐き、もう食べる気もなくなったドーナツを背負い袋に戻した。
「リルカはいつ戻ってくるんだろう……」
とうとうすることのなくなった竹露は、リルカが護身用に残していった槍を背負い袋から取り出し、
それを胸の前に抱えながら行ってしまったリルカのことを考えた。
彼女の目的は自分を守るということだ。
友達である彼女に守ってもらえるのは嬉しい。しかし、彼女の守るという行為はすなわち敵を“殺す”ということに他ならない。
自分がお荷物としてこんな風に避難させられている現状は取り合えず置いておくとして、
この外にいる自分達以外の者らが全て外道な悪漢ばかりだというのなら、心はこんなにもざわついていないだろう。
竹露が今一番不安とすることは、リルカが自分を優先することで他の悪くないもない人を殺してしまうかもしれないことだ。
それはないとは言い切れない。むしろ、彼女の苛烈さを思えば確実にあるとさえ言えてしまう。
そして、自分やれい子がここにいることを考えれば、望まずしてこれに巻き込まれた者もまた多数いるだろうと想像できる。
つまり――リルカが雨月竹露の生還を優先する限り、他の罪もない人達は諸共に虐殺されていくことになるのだ。
それを胸の前に抱えながら行ってしまったリルカのことを考えた。
彼女の目的は自分を守るということだ。
友達である彼女に守ってもらえるのは嬉しい。しかし、彼女の守るという行為はすなわち敵を“殺す”ということに他ならない。
自分がお荷物としてこんな風に避難させられている現状は取り合えず置いておくとして、
この外にいる自分達以外の者らが全て外道な悪漢ばかりだというのなら、心はこんなにもざわついていないだろう。
竹露が今一番不安とすることは、リルカが自分を優先することで他の悪くないもない人を殺してしまうかもしれないことだ。
それはないとは言い切れない。むしろ、彼女の苛烈さを思えば確実にあるとさえ言えてしまう。
そして、自分やれい子がここにいることを考えれば、望まずしてこれに巻き込まれた者もまた多数いるだろうと想像できる。
つまり――リルカが雨月竹露の生還を優先する限り、他の罪もない人達は諸共に虐殺されていくことになるのだ。
「やっぱりダメだ……どうにかしてリルカを止めないと」
再び立ち上がると、竹露は固く閉ざされた扉を見つめる。
友達であるリルカが不要な殺人を犯すのは見過ごせないし、そもそもじっと待っていられる性分でもなかった。
もう一度、この扉が開けないか挑戦しよう。そして出て行ったリルカを追おう。
そう決心すると竹露は今度は使える物がないかと部屋の中を見渡す。
手にしている槍は鋭いが、鉄扉には隙間がないのでこじ開けることはできそうもない。
閉じられた扉を開くにはなにかハンマーのような物が必要だ。体当たりよりも遥かに強烈な衝撃を与える物が。
そう考えて竹露は棚と机に並べられた品をひとつひとつ見てゆく。
手前の方にある宝石や美術品の類では用をなさない。では、奥の方にあった拷問や処刑用の道具ならどうだろう。
振り回せるかはともかく、大きな物がいくつかあったはずだと、竹露は再び奥へと足を進め――
友達であるリルカが不要な殺人を犯すのは見過ごせないし、そもそもじっと待っていられる性分でもなかった。
もう一度、この扉が開けないか挑戦しよう。そして出て行ったリルカを追おう。
そう決心すると竹露は今度は使える物がないかと部屋の中を見渡す。
手にしている槍は鋭いが、鉄扉には隙間がないのでこじ開けることはできそうもない。
閉じられた扉を開くにはなにかハンマーのような物が必要だ。体当たりよりも遥かに強烈な衝撃を与える物が。
そう考えて竹露は棚と机に並べられた品をひとつひとつ見てゆく。
手前の方にある宝石や美術品の類では用をなさない。では、奥の方にあった拷問や処刑用の道具ならどうだろう。
振り回せるかはともかく、大きな物がいくつかあったはずだと、竹露は再び奥へと足を進め――
「…………ん?」
そうしようとして、ある棚の前でピタリと立ち止まった。
「こんな箱、さっきはあったっけ?」
取り立てて豪奢な装飾が施されているわけではない。むしろ、この部屋の中にあるものの中では地味な部類だった。
大きさもそんなに大きくはない。しかしどこか“妙に気になる箱”だった。
大きさもそんなに大きくはない。しかしどこか“妙に気になる箱”だった。
「………………」
竹露は、まるで“操られているかのよう”にその箱へと手を伸ばすと、封印の為のシールを破き、蓋を開い――……
『――おーい。誰か中にいるの?』
開こうとしたが、その行動は突然聞こえてきた声に中断された。
どこから声が? 考えるまでもない。外からだ。
どこから声が? 考えるまでもない。外からだ。
「えっ? あ、はいっ! って、あぁ~っ!?」
驚いた竹露の手の中から箱が滑り落ち、床の上で箱が壊れ中に入っていた宝石が辺りに飛び散る。
高価そうなものを壊してしまったということもあるが、今こんなとこを誰かに見られたら泥棒だと思われかねない。
そんな風に思い、半ばパニックに陥った竹露は床に這い蹲ると飛び散った宝石を掻き集めはじめた。
高価そうなものを壊してしまったということもあるが、今こんなとこを誰かに見られたら泥棒だと思われかねない。
そんな風に思い、半ばパニックに陥った竹露は床に這い蹲ると飛び散った宝石を掻き集めはじめた。
『ん? 人の声が聞こえたような……』
「わっ! ちょ、ちょっと待ってって……!」
「わっ! ちょ、ちょっと待ってって……!」
扉の向こうで声と何かを動かす物音がする。どうやらやって来た人物は扉を開けてくれるらしい。
願ってもないことだが、こんな姿を見られては困る竹露は宝石を集める手を早める。
あらかた宝石を集めると適当に組み立てた箱の中へと突っ込み、蓋を被せて急いで元の棚へと戻した。
箱は壊れており、少し突けばまたバラバラになりそうだったがぱっと見には不自然なところはない。
ほっと胸を撫で下ろすと、竹露は犯行現場から逃れるようにそそくさと扉のほうへと向かった。
願ってもないことだが、こんな姿を見られては困る竹露は宝石を集める手を早める。
あらかた宝石を集めると適当に組み立てた箱の中へと突っ込み、蓋を被せて急いで元の棚へと戻した。
箱は壊れており、少し突けばまたバラバラになりそうだったがぱっと見には不自然なところはない。
ほっと胸を撫で下ろすと、竹露は犯行現場から逃れるようにそそくさと扉のほうへと向かった。
――実はこの時、このクレイマン博物館で一番“危険な宝石”が封印を解かれ、棚の下へと滑り込んだのだが、
それを知る者は、その封印を解いた竹露を含めてまだ誰もいない。
それを知る者は、その封印を解いた竹露を含めてまだ誰もいない。
【002】
殺し合いの儀が始まってよりしばらく、雨生龍之介とキャスターの二人は神社を離れ夜の街中を東に歩いていた。
愉悦と背徳の探求に興じるにはまず“工房”の存在が必須。なので一路、その候補地へと向かっているのだ。
愉悦と背徳の探求に興じるにはまず“工房”の存在が必須。なので一路、その候補地へと向かっているのだ。
「それにしてもここの博物館ってのはどんなものがあるのかなー?」
先刻、地図を広げた龍之介に対し、彼の従者であるキャスターは候補地を博物館と指し示した。
怪魔を呼び出すのに神霊の力が宿る神社は論外であるが、診療所や学校という場所も手近にあるのになぜ博物館なのか?
旦那と呼び慕うキャスターの判断に龍之介は疑問を呈した。
どちらも工房を構えるにあたって適した部屋が見つかりそうであるし、隠れ家とするのにも向いているように思える。
だがキャスターが言うには、普段あまり人の出入りが激しい場所は“気の風通し”がよく工房には向いてないらしい。
逆に、博物館も人の出入りはあるものの基本的には何かを保管維持する場所である。
ならば気の風通しに関しては心配の必要はない。博物館の内容にもよるが適した環境が見つけられるだろう。
これが彼の従者と先導者を兼任するキャスターの説明であった。
最善を求めるのであれば冬木の地で工房を構えたような下水道の貯留施設などが好ましいのだが、
唐突に召喚された二人がこの島における下水事情に明るいわけもなく、これは今後余裕があればということに落ち着いた。
怪魔を呼び出すのに神霊の力が宿る神社は論外であるが、診療所や学校という場所も手近にあるのになぜ博物館なのか?
旦那と呼び慕うキャスターの判断に龍之介は疑問を呈した。
どちらも工房を構えるにあたって適した部屋が見つかりそうであるし、隠れ家とするのにも向いているように思える。
だがキャスターが言うには、普段あまり人の出入りが激しい場所は“気の風通し”がよく工房には向いてないらしい。
逆に、博物館も人の出入りはあるものの基本的には何かを保管維持する場所である。
ならば気の風通しに関しては心配の必要はない。博物館の内容にもよるが適した環境が見つけられるだろう。
これが彼の従者と先導者を兼任するキャスターの説明であった。
最善を求めるのであれば冬木の地で工房を構えたような下水道の貯留施設などが好ましいのだが、
唐突に召喚された二人がこの島における下水事情に明るいわけもなく、これは今後余裕があればということに落ち着いた。
「ここを曲がれば……と、見えてきた。って、すごい立派な博物館じゃん」
「どうやら博物館を選んだ我々の判断は正しかったようです」
「どうやら博物館を選んだ我々の判断は正しかったようです」
目の前に現れた威容を誇る博物館を前に、龍之介とキャスターは自分達の判断に間違いがなかったと喜びをあらわにした。
そして子供のようにはしゃぐ龍之介と、父親の様にその背中を見守るキャスターは、中に入ってその喜びを更に確信へと変える。
そして子供のようにはしゃぐ龍之介と、父親の様にその背中を見守るキャスターは、中に入ってその喜びを更に確信へと変える。
「すっげー! いいじゃんこういうの。俺達の望むフィーリングにぴったしっていうかさー」
「確かに。私にも“馴染みの深いもの”があるようですし、工房を構えるにあたっては申し分ない所でしょう」
「確かに。私にも“馴染みの深いもの”があるようですし、工房を構えるにあたっては申し分ない所でしょう」
彼らは展示物のひとつひとつに反応しながら歩を奥へ奥へと進めて行く。
より陰の気が溜まる場所。より血を流すに相応しい場所。より人目を忍び隠れた行いをするのに適した場所。
それらを探す彼らが、この博物館の最奥にある地価宝物庫へと至るのにそれほどの多くの時間はかからなかった。
より陰の気が溜まる場所。より血を流すに相応しい場所。より人目を忍び隠れた行いをするのに適した場所。
それらを探す彼らが、この博物館の最奥にある地価宝物庫へと至るのにそれほどの多くの時間はかからなかった。
【003】
「よいしょっ……て、あ。女の子だ」
緊張してその瞬間を迎えた竹露の前に現れたのは、いかにも浮ついた“チャラい”といった風貌の青年だった。
重い扉を両手がかりで開けると、細身の青年はなんの警戒感もない足取りで部屋の中へと入ってくる。
重い扉を両手がかりで開けると、細身の青年はなんの警戒感もない足取りで部屋の中へと入ってくる。
「えーと、俺は雨生龍之介って言うんだけど。君は誰? ていうか、なんでこんなところに閉じ込められてるの?」
子供のような無邪気さを含んだ声で聞かれる。
一見の印象よりも悪い人でもないのかもしれないなどと思い、声の甘さに竹露は張り詰めていた警戒心を解きそうになるが、
しかし続けて入ってきた怪人物を見て緩みかかった警戒心はを最大限にまで跳ね上がった。
一見の印象よりも悪い人でもないのかもしれないなどと思い、声の甘さに竹露は張り詰めていた警戒心を解きそうになるが、
しかし続けて入ってきた怪人物を見て緩みかかった警戒心はを最大限にまで跳ね上がった。
「ほう……、ここはいい部屋ですね。少々手狭ですが、我々の工房とするには最適の環境です。それに――」
ゆったりとしたローブを纏った怪人物は、台詞を途中で区切るとぎょろりとむき出した目で竹露を睨め付ける。
チャラい青年はともかくとして、いかに鈍感な竹露にだってこの怪人物が尋常でないのは容易に察することができた。
青年よりも頭一つ以上ある大柄な体躯。肌の色は生気のない土気色をしているのにむき出しの目だけは爛々としている。
声色も脳が痺れるほどの気色悪さで、どう見てもゾンビ使いか、召喚されたゾンビそのものという風だ。
チャラい青年はともかくとして、いかに鈍感な竹露にだってこの怪人物が尋常でないのは容易に察することができた。
青年よりも頭一つ以上ある大柄な体躯。肌の色は生気のない土気色をしているのにむき出しの目だけは爛々としている。
声色も脳が痺れるほどの気色悪さで、どう見てもゾンビ使いか、召喚されたゾンビそのものという風だ。
「わ、私は雨月竹露。……あ、あんた達も《ゾンビ使い》なわけなの?」
もう間違いなく危険人物だと判定したにも関わらず、竹露は素直に名前を名乗った。
さて、彼らは次にどのような反応をするかと身構えたが、しかし彼らはぽかんと口を開けると互いに顔を見合わせるのだった。
さて、彼らは次にどのような反応をするかと身構えたが、しかし彼らはぽかんと口を開けると互いに顔を見合わせるのだった。
「…………ソンビってあれでしょ。死人が動き出すっていう。旦那ってそういうこともできちゃうわけ?」
「いえいえ。私は屍術などには全く。私が学び、そして行使できるのはこの友人より賜った本による召喚術のみです」
「だよねぇ」
「よもやこの様な女子が屍術を用いるとは、意外な出会いというものもあったものです」
「あ、そっか。『あんた達も』ってことは竹露ちゃんはゾンビ使いってわけなんだ」
「いえいえ。私は屍術などには全く。私が学び、そして行使できるのはこの友人より賜った本による召喚術のみです」
「だよねぇ」
「よもやこの様な女子が屍術を用いるとは、意外な出会いというものもあったものです」
「あ、そっか。『あんた達も』ってことは竹露ちゃんはゾンビ使いってわけなんだ」
顔を見合わせていた二人が今度は揃って竹露を見つめる。
その目の色は先ほどとは打って変わり好奇心の色がありありと浮かんでいた。
対して竹露は少しずつ奥へと身を引きながら、この状況をどう切り抜けるかを考えていた。
この二人は“敵”ではない。それ以上のおぞましい“何か”だ。
彼らが竹露に向ける視線はどう見ても人に向けるそれではなく、新しい玩具か檻の中のモルモットに対するものに他ならない。
例え言葉を交わさなくても、その視線だけで彼らを乗り越える。あるいは避けるべき障害と認定するには十分だった。
その目の色は先ほどとは打って変わり好奇心の色がありありと浮かんでいた。
対して竹露は少しずつ奥へと身を引きながら、この状況をどう切り抜けるかを考えていた。
この二人は“敵”ではない。それ以上のおぞましい“何か”だ。
彼らが竹露に向ける視線はどう見ても人に向けるそれではなく、新しい玩具か檻の中のモルモットに対するものに他ならない。
例え言葉を交わさなくても、その視線だけで彼らを乗り越える。あるいは避けるべき障害と認定するには十分だった。
「あー、なんだか警戒されてるみたいだけど。どうしようかキャスターの旦那?」
「そうですね。私はこの子供の言うゾンビというものに多少興味を引かれますが……」
「そうですね。私はこの子供の言うゾンビというものに多少興味を引かれますが……」
キャスターは大きな目で何かを探すように室内を見渡す。
「この子供の連れはどこでしょうか?」
「ねぇ、竹露ちゃんさぁ。もしかして君の相方ってゾンビだったりするの?
それで、そのゾンビに殺し合いを任せて自分はここで隠れていた……とか?」
「ねぇ、竹露ちゃんさぁ。もしかして君の相方ってゾンビだったりするの?
それで、そのゾンビに殺し合いを任せて自分はここで隠れていた……とか?」
問いかけられ、しかし竹露は言葉に詰まる。彼の推測は、経緯を無視すれば現状を正しく捉えていると言える。
だがしかし、ここでそれを素直に肯定するということは危険な二人を前に自分は無力であると白状することに他ならない。
もしそうすれば、二人は一切の懸念を捨てて竹露を憐れな子供として始末しにかかるだろう。
今竹露にできることは、できるだけハッタリをかましその間にこの二人から逃げ出す突破口を見つけることだ。
だが――この竹露の沈黙はあまりにも露骨で、雄弁すぎた。取り返しがつかないほどに。
だがしかし、ここでそれを素直に肯定するということは危険な二人を前に自分は無力であると白状することに他ならない。
もしそうすれば、二人は一切の懸念を捨てて竹露を憐れな子供として始末しにかかるだろう。
今竹露にできることは、できるだけハッタリをかましその間にこの二人から逃げ出す突破口を見つけることだ。
だが――この竹露の沈黙はあまりにも露骨で、雄弁すぎた。取り返しがつかないほどに。
「図星ってわけだ。じゃあ、とりあえず――」
鳥が羽ばたくような音が聞こえ、次の瞬間竹露の眼前に何かが飛来する。
それは龍之介がベルトに挿していた鉄扇だったのだが、不意を突かれた竹露には身をよじって避けるのが精一杯だった。
それは龍之介がベルトに挿していた鉄扇だったのだが、不意を突かれた竹露には身をよじって避けるのが精一杯だった。
「――最初の生贄になってもらおうか」
突進してくる龍之介に対し竹露は構えていた槍を突き出したが、無理な体勢から放ったそれは虚しく空を切る。
そして、――それが竹露のできた最後の抵抗らしい抵抗だった。
そして、――それが竹露のできた最後の抵抗らしい抵抗だった。
【004】
「竹露ちゃん、おまたせー」
言いながら戻ってくると、龍之介は上の事務所から調達してきた電動ドリルをギュンギュンと鳴らした。
対して、床に這いつくばった竹露はひゅうひゅうと擦れた呼吸を繰り返すだけで彼の言葉は耳に届いてないようだった。
対して、床に這いつくばった竹露はひゅうひゅうと擦れた呼吸を繰り返すだけで彼の言葉は耳に届いてないようだった。
あの後、龍之介は足を払って床に転がした竹露に革靴の爪先を何度も突き刺した。
身を捩って転がって逃げようとする彼女が動かなくなるまで執拗に繰り返し、最後には両の手首足首を踵で踏み折った。
そして身動きもままならなくなった彼女をこれからどうしようかと思案すること数分。
部屋の奥に“丁度いい”スペースを見つけた龍之介は彼女をそこまで引きずり、“工作”の為の準備を始めた。
途中、“穴を開ける”道具がないことに気づき上の事務所へと向かい――そして今戻ってきた所である。
身を捩って転がって逃げようとする彼女が動かなくなるまで執拗に繰り返し、最後には両の手首足首を踵で踏み折った。
そして身動きもままならなくなった彼女をこれからどうしようかと思案すること数分。
部屋の奥に“丁度いい”スペースを見つけた龍之介は彼女をそこまで引きずり、“工作”の為の準備を始めた。
途中、“穴を開ける”道具がないことに気づき上の事務所へと向かい――そして今戻ってきた所である。
「さてと、はじめようか」
床にうつ伏せに転がされた少女は裸に剥かれ、その上で目隠しをされている。
服を脱がしたのはただ作業の邪魔になるからで、目隠しは見えるよりも見えないほうが恐怖すると知っているからだ。
龍之介は身動きのできない竹露の背中に手を這わせると、肩胛骨の下角にドリルの先端を当てトリガーを引いた。
服を脱がしたのはただ作業の邪魔になるからで、目隠しは見えるよりも見えないほうが恐怖すると知っているからだ。
龍之介は身動きのできない竹露の背中に手を這わせると、肩胛骨の下角にドリルの先端を当てトリガーを引いた。
「ひ、ィィイイィィ……ッッ!!」
背中に穴を開けられた竹露が痛みに悲鳴を上げ背中を逸らす。
龍之介はそれを体重をかけて押さえつけると、失敗しないように丁寧にドリルの刃を進めた。
電動ドリルの刃は鋭く、固い肩胛骨も簡単に穿つことができるが、やりすぎて肺にまで刃が届いたり骨が割れては失敗だ。
龍之介はそれを体重をかけて押さえつけると、失敗しないように丁寧にドリルの刃を進めた。
電動ドリルの刃は鋭く、固い肩胛骨も簡単に穿つことができるが、やりすぎて肺にまで刃が届いたり骨が割れては失敗だ。
「OK。我ながらいい仕事する~♪」
両方の肩胛骨の下角に穴を穿つと、龍之介は口笛を吹いて電動ドリルを脇に置いた。
そして壁際にぶら下がっていた鎖を二本手繰り寄せると、その先端についていた鉤爪を今開けた穴に通す。
そして壁際にぶら下がっていた鎖を二本手繰り寄せると、その先端についていた鉤爪を今開けた穴に通す。
「あが……あががぅあああぁあああ……!!」
錆びついた鉤爪に身体の中を擦られる激しい痛みに悶え、竹露は嗚咽を漏らして身体を捻る。
だが龍之介はそんなことには取り合わず慣れた手つきで作業を進めると、もう片方の肩胛骨にも鉤爪のついた鎖を繋げた。
後は天井で滑車に巻きついている鎖を引けば、少女はこのままの姿で吊り上げられることだろう。
だが、工程はこれだけではなかった。
なにより、ただフックをかけた女の子を吊るすというだけでは芸がない。龍之介とキャスターはそんなものには満足しない。
だが龍之介はそんなことには取り合わず慣れた手つきで作業を進めると、もう片方の肩胛骨にも鉤爪のついた鎖を繋げた。
後は天井で滑車に巻きついている鎖を引けば、少女はこのままの姿で吊り上げられることだろう。
だが、工程はこれだけではなかった。
なにより、ただフックをかけた女の子を吊るすというだけでは芸がない。龍之介とキャスターはそんなものには満足しない。
「暴れると痛いからね~」
少女が暴れられないよう背中に圧し掛かると、龍之介はナイフを取り出して刃先を肩胛骨の内側へと当てた。
そしてそのままナイフを滑り込ませ、肩胛骨を背中から剥がすようにブチブチと筋肉を切ってゆく。
そしてそのままナイフを滑り込ませ、肩胛骨を背中から剥がすようにブチブチと筋肉を切ってゆく。
「うぇがあああおおああがあがががががああああぁぁぁぁあああああ!!!!」
今までとは比べ物にならない痛みに竹露の身体が魚のように跳ねる。
龍之介は流れ出る血で服が汚れるのも気にせずに、暴れる少女を全身を使って押さえつけ、肩胛骨を剥がす作業を続けた。
悪戦苦闘しながら左側の肩胛骨の下から3/4ほどを切り離すと、次は右側へと取り掛かる。
作業が終わる頃にはシャツもズボンも真っ赤に染まっていたが、しかし一仕事終えた龍之介の表情はとても満足げだった。
龍之介は流れ出る血で服が汚れるのも気にせずに、暴れる少女を全身を使って押さえつけ、肩胛骨を剥がす作業を続けた。
悪戦苦闘しながら左側の肩胛骨の下から3/4ほどを切り離すと、次は右側へと取り掛かる。
作業が終わる頃にはシャツもズボンも真っ赤に染まっていたが、しかし一仕事終えた龍之介の表情はとても満足げだった。
「よーし、後は吊るすだけだ」
一息つくと、龍之介は足元で荒い呼吸を繰り返す少女の身体を抱え上げ、壁際にもたれさせるように座らせる。
そして離れた場所で、いらない机をどけたり魔方陣を描いたりと工房を作る作業を進めていたキャスターを呼び寄せた。
そして離れた場所で、いらない机をどけたり魔方陣を描いたりと工房を作る作業を進めていたキャスターを呼び寄せた。
「ふむ。小娘を鎖に繋いだようですが、一体……」
「これは完成する瞬間が見物なんだ。今からこの鎖を旦那の力で思いっきり引っ張ってみてよ」
「これは完成する瞬間が見物なんだ。今からこの鎖を旦那の力で思いっきり引っ張ってみてよ」
龍之介から二本の鎖を手渡されたキャスターは少し当惑しているようだった。
青年は実に才能に溢れる若者ではあるが、しかしどう見ても今目の前にあるのは鎖を繋いだだけの少女にしか見えない。
鎖を引けば少女は壁に沿って吊り上げられるだろう。だがしかし、それでは何の変哲もなさすぎる。
青年は実に才能に溢れる若者ではあるが、しかしどう見ても今目の前にあるのは鎖を繋いだだけの少女にしか見えない。
鎖を引けば少女は壁に沿って吊り上げられるだろう。だがしかし、それでは何の変哲もなさすぎる。
「……ふむ。よろしいでしょう」
何の変哲もないが、しかし龍之介のことだから何か自分を驚かせてくれる仕掛けがあるに違いない。
愛弟子は自分の期待を裏切らないはず――と納得すると、キャスターは両手に握った鎖を力のままに引っ張った。
愛弟子は自分の期待を裏切らないはず――と納得すると、キャスターは両手に握った鎖を力のままに引っ張った。
「っ、ぁ、あごぉおうあああゔゔゔゔゔゔあああああおあああがあ゙あ゙あ゙ああああ゙あ゙ああァァアア!!!!」
少女の身体が絶叫とともに壁を天井まで駆け上る。
そして、同時にそこに“描かれたもの”を見てキャスターは感動に震えた。それはまさに彼の心を震わすに値する光景だった。
そして、同時にそこに“描かれたもの”を見てキャスターは感動に震えた。それはまさに彼の心を震わすに値する光景だった。
「リュウノスケ……貴殿は、なんという……なんということを」
「どう、気に入ってくれた? 俺達の勝利の天使」
「どう、気に入ってくれた? 俺達の勝利の天使」
吊り上げられた少女には、まるで熾天使(セラフィム)のような壁一面を覆う巨大な翼が生えていた。
それは壁面に描かれた血の翼である。
キャスターの怪力で引き上げられた少女の肩胛骨はその衝撃で左右に“開き”、そこから噴出した血が壁に翼を描いたのだ。
それは壁面に描かれた血の翼である。
キャスターの怪力で引き上げられた少女の肩胛骨はその衝撃で左右に“開き”、そこから噴出した血が壁に翼を描いたのだ。
「背徳的でありながらなんという崇高さ……これはまさしく我々を勝利に導く天使に相応しい」
「へっへー。一発目だからさ。俺達の気分を盛り立てるようなものがいいと思ったんだよね」
「へっへー。一発目だからさ。俺達の気分を盛り立てるようなものがいいと思ったんだよね」
キャスターは潤う瞳で龍之介を見ると、会心の笑みを浮かべる彼の肩を抱き寄せた。
彼は思う。果たして、聖ジャンヌ・ダルクを失って以来、これほどの“理解”と“祝福”を得られたことがあっただろうか。
姦計の内に死した後、世界に召され《座》について幾星霜。
聖杯戦争のサーヴァントとして呼ばれたその先には捜し求めていた聖ジャンヌ・ダルクの姿があり、そして自らの理解者がいた。
この巡りあわせを奇跡と言わずして何を奇跡と呼ぶのか。
死する前に積み重ねた悪逆非道は無駄ではなかったのだ。神への冒涜こそがジル・ド・レェをこの現在に導いたのである。
彼は思う。果たして、聖ジャンヌ・ダルクを失って以来、これほどの“理解”と“祝福”を得られたことがあっただろうか。
姦計の内に死した後、世界に召され《座》について幾星霜。
聖杯戦争のサーヴァントとして呼ばれたその先には捜し求めていた聖ジャンヌ・ダルクの姿があり、そして自らの理解者がいた。
この巡りあわせを奇跡と言わずして何を奇跡と呼ぶのか。
死する前に積み重ねた悪逆非道は無駄ではなかったのだ。神への冒涜こそがジル・ド・レェをこの現在に導いたのである。
「ありがとうリュウノスケ」
「なんだよ。そんな改まっちゃってさ。俺と旦那の仲じゃんか」
「なんだよ。そんな改まっちゃってさ。俺と旦那の仲じゃんか」
キャスターは首を振る。
「いいえ、このような時だからこそですよ。
あの八雲紫とやらの術に嵌り、私は十全の力を持って貴殿を守ることができなくなった。なのにあなたは私を慮ってくれた。
不幸中の幸いなことにジャンヌはまた私と同じ世界にいます。そしてリュウノスケという味方もまたここにいてくれている。
ならば、私にはこれ以上の望みはありません」
あの八雲紫とやらの術に嵌り、私は十全の力を持って貴殿を守ることができなくなった。なのにあなたは私を慮ってくれた。
不幸中の幸いなことにジャンヌはまた私と同じ世界にいます。そしてリュウノスケという味方もまたここにいてくれている。
ならば、私にはこれ以上の望みはありません」
キャスターは龍之介からそっと身体を離すと、その足元に跪いた。
「私は誓いましょう我がマスターよ! 私は貴殿の願いの為に戦い。必ずやこの戦いを勝ち残ってみせると!」
「旦那……」
「旦那……」
龍之介の胸にも熱いものがこみ上げる。
龍之介もまた同じだった。彼にとってもキャスターは初めての理解者であり、師であり、喜びを分かち合う友人だった。
龍之介もまた同じだった。彼にとってもキャスターは初めての理解者であり、師であり、喜びを分かち合う友人だった。
「俺も戦うよ。俺もあんたにとってのいいマスターであろうとする」
「リュウノスケ……ッ」
「リュウノスケ……ッ」
跪いたキャスターの前に屈むと龍之介はその手を取った。
そして二人で立ち上がると、新しい決心の漲る瞳を互いに交し合う。
そして二人で立ち上がると、新しい決心の漲る瞳を互いに交し合う。
そこに言葉はもうなかった。この時の彼らはもうそれ以上の言葉を必要とはしなかった。
互いが互いの全てを理解していたならばわざわざそんなものを交わす必要はもうなかったのだ。
互いが互いの全てを理解していたならばわざわざそんなものを交わす必要はもうなかったのだ。
そこは、蝋燭の灯が妖しく揺れ、真新しい血臭の漂う陰惨な儀式の現場でしかなかった。
そこにいたのは外道の限りを尽くす殺人鬼達でしかなかった。
そこにいたのは外道の限りを尽くす殺人鬼達でしかなかった。
しかし、彼らにとってそこは崇高な誓いの場であり、彼らの間に固く結ばれた友情があったこともまた確かな真実なのであった。
【雨月竹露@ゾンビ屋れい子 死亡】
【E-5/クレイマン博物館地下室/1日目-黎明】
【主:雨生龍之介@Fate/Zero】
[主従]:キャスター@Fate/Zero
[状態]:健康、令呪3画、服が血まみれ
[装備]:百合川サキのナイフ@ゾンビ屋れい子x8、鉄扇@うたわれるもの
背負い袋(基本支給品)、背負い袋(基本支給品)、破魔の紅薔薇@Fate/Zero
ミスタードーナツ@現実x6、ガソリンの入った瓶@現実、電動ドリル@現地調達
不明支給品x1(龍之介/キャスター)、不明支給品x1(竹露/リルカ)
[方針/行動]
基本方針:青髭の旦那と一緒にこの戦いを勝ち残る。
1:怪魔を呼ぶ為に必要な生贄を調達する。
2:八雲紫についての情報を集める。
3:殺せる相手は、いつも通り楽しく殺す。
[主従]:キャスター@Fate/Zero
[状態]:健康、令呪3画、服が血まみれ
[装備]:百合川サキのナイフ@ゾンビ屋れい子x8、鉄扇@うたわれるもの
背負い袋(基本支給品)、背負い袋(基本支給品)、破魔の紅薔薇@Fate/Zero
ミスタードーナツ@現実x6、ガソリンの入った瓶@現実、電動ドリル@現地調達
不明支給品x1(龍之介/キャスター)、不明支給品x1(竹露/リルカ)
[方針/行動]
基本方針:青髭の旦那と一緒にこの戦いを勝ち残る。
1:怪魔を呼ぶ為に必要な生贄を調達する。
2:八雲紫についての情報を集める。
3:殺せる相手は、いつも通り楽しく殺す。
[備考]
※参戦時期は巨大海魔召喚の直前です。
※参戦時期は巨大海魔召喚の直前です。
【従:キャスター@Fate/Zero】
[主従]:雨生龍之介@Fate/Zero
[状態]:魔力消費(小)
[装備]:螺湮城教本@Fate/Zero
[方針/行動]
基本方針:殺し合いを盛り上げつつ、八雲紫を出し抜く術を探す。
1:怪魔を呼ぶ為に必要な生贄を調達する。
2:八雲紫についての情報を集める。
3:螺湮城教本の制限を解きたい。
4:ゾンビ使いというものにやや興味を引かれている。
[主従]:雨生龍之介@Fate/Zero
[状態]:魔力消費(小)
[装備]:螺湮城教本@Fate/Zero
[方針/行動]
基本方針:殺し合いを盛り上げつつ、八雲紫を出し抜く術を探す。
1:怪魔を呼ぶ為に必要な生贄を調達する。
2:八雲紫についての情報を集める。
3:螺湮城教本の制限を解きたい。
4:ゾンビ使いというものにやや興味を引かれている。
[備考]
※参戦時期は巨大海魔召喚の直前です。
※参戦時期は巨大海魔召喚の直前です。
※魔女の石@ゾンビ屋れい子が棚の下に落ちています。
【百合川サキのナイフ】
雨生龍之介&キャスターに支給。
姫園れい子が召喚するゾンビ、百合川サキが愛用するナイフ。
刃渡りは15cmほどと小さめのナイフだが、研ぎ澄まされておりその切れ味は抜群。
複数本がセットになっており、投げナイフとして使うこともできる。
雨生龍之介&キャスターに支給。
姫園れい子が召喚するゾンビ、百合川サキが愛用するナイフ。
刃渡りは15cmほどと小さめのナイフだが、研ぎ澄まされておりその切れ味は抜群。
複数本がセットになっており、投げナイフとして使うこともできる。
【破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)】
雨月竹露&姫園リルカに支給。
ケイネス・エルメロイ・アーチボルトに召喚されたライダーであるディルムッド・オディナの持つ二槍の内の片方。
全体が赤い色をした長槍であり、その本領を発揮すると接触している魔力を打ち消すようになる。
雨月竹露&姫園リルカに支給。
ケイネス・エルメロイ・アーチボルトに召喚されたライダーであるディルムッド・オディナの持つ二槍の内の片方。
全体が赤い色をした長槍であり、その本領を発揮すると接触している魔力を打ち消すようになる。
【ミスタードーナツ】
雨月竹露&姫園リルカに支給。
お持ち帰り用のボックスに入った10個のドーナツ。内容は以下の通り。
「フレンチクルーラー」「エンゼルフレンチ」「オールドファッション」「ハニーディップ」「シュガーレイズド」
「チョコリング」「ダブルチョコレート」「ゴールデンチョコレート」「エンゼルクリーム」「ポン・デ・リング」
雨月竹露&姫園リルカに支給。
お持ち帰り用のボックスに入った10個のドーナツ。内容は以下の通り。
「フレンチクルーラー」「エンゼルフレンチ」「オールドファッション」「ハニーディップ」「シュガーレイズド」
「チョコリング」「ダブルチョコレート」「ゴールデンチョコレート」「エンゼルクリーム」「ポン・デ・リング」
【ガソリンの入った瓶】
雨月竹露&姫園リルカに支給。
透明なガラス瓶の中に入ったガソリン。
一見すると水が入ってるように見えるが、蓋を開ければ臭いですぐそうでないとわかる。
雨月竹露&姫園リルカに支給。
透明なガラス瓶の中に入ったガソリン。
一見すると水が入ってるように見えるが、蓋を開ければ臭いですぐそうでないとわかる。
【電動ドリル】
雨生龍之介が博物館に事務所で調達。
一般的な電動ドリル。充電式バッテリーがついており、コンセントのない場所でも使える。
雨生龍之介が博物館に事務所で調達。
一般的な電動ドリル。充電式バッテリーがついており、コンセントのない場所でも使える。
【魔女の石@ゾンビ屋れい子】
博物館の地下室に保管されていた。
魔女、カーミラ・エステバンの魂が封印された宝石(ネックレス)。
見た者の魂を乗っ取りその者に成り代わると非常に危険な為、クレイマン博物館で永らく封印されていた。
博物館の地下室に保管されていた。
魔女、カーミラ・エステバンの魂が封印された宝石(ネックレス)。
見た者の魂を乗っ取りその者に成り代わると非常に危険な為、クレイマン博物館で永らく封印されていた。
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