全ての動作に共通する話ではあるが、特に技を作る上で考えるべきことは「リスクとリターン」
強い技にはそれ相応のリスク、すなわち隙がなければ出し得技になってしまう
各通常技の主な役割は
①小攻撃(弱攻撃):リスク小リターン小リーチ短
②中攻撃:リスク中リターン中リーチ普通
③大攻撃(強攻撃):リスク大リターン大リーチ長
大雑把ではあるが、このようにリスクリターン、リーチ、ノックバック、ゲージ増加量、威力、基本的にはどれも比例して上がる
逆に技ごとにコンボ補正が設定されているゲームでは、かかる補正は反比例して軽くなっていく傾向にある
そのため、火力の高いコンボがしたい場合はリスクの高い技をコンボの始動にしたり、組み込んだりする必要がある
(補正がゆるゆるな場合や、コンボの終盤では小攻撃を刻む方が減る場合も多いが)
2または4ボタンのゲームでは中攻撃が存在しない場合が多いが、その場合は弱または強攻撃が、中攻撃の役割を兼ね備えている事が多い
遠近で出る技が変化するゲームも多く存在し、その場合近距離が上方向に強く発生が早い、遠距離は横方向に強めで発生が若干遅い傾向にある
・硬直差
この項目内における「硬直差」はガードされた時のみの話だが、本来は「相手の硬直から自分の硬直を引いた値」が硬直差の定義なのでヒット時も含む
しかし、地対地で通常技がヒットした場合の硬直差というのは、基本的にはガード時と同じか少しマシ程度で良いため、特に気にする必要はない
寧ろヒット時に有利Fが余分に取れてしまった場合は意図しない目押しコンボが生まれてしまい、最悪の場合永久コンボになる可能性がある
キャンセルが効くのであれば特に有利Fが取れなくてもコンボは可能になるため、不利なくらいでも問題はない
地対空ヒット時も同じように、特に画面端でキャンセルをかけずに繋がらないように通常技と通常技が繋がらないような形、空中受け身にかかる時間を含めて数十F有利程度で考えておけば良いだろう
(デフォルトで受け身は20Fかかるため、空中受け身を含めると含めないと寧ろ不利Fとなるため繋がらない)
ちなみにヒット時の硬直差は、ヒットストップやのけぞり時間を技ごとに細かく変更するのではなく、弱攻撃なら~F、中攻撃なら~F、強攻撃なら~Fと統一して、その上でアニメの枚数を変更することで調整するのが一般的
しかし性能に直接影響するわけではないため、そうしなければならないというわけではない(アニメの枚数が増えたり減ったりすれば全体動作の長さは変わる)
また、ヒットストップの長さは基本的に自分と相手で同じ値にするものであり、硬直差の調整に使用するものではない
〇立ち小攻撃(立ち弱攻撃)
発生の早さが共通した強み
連打キャンセルが可能な場合が多く、ヒット確認が簡単なためコンボの始動になりやすい
しかし役割が若干被っているしゃがみ小攻撃の方が下段だったりと、出番を奪われる事もしばしば
立ち小攻撃といってもゲーム、キャラによって多種多様な性能のものがあり、一概に語る事は出来ない
パターンはある程度決まっているため、他の項目同様場合分けしていく
しかしながら他の項目と同じように以下のパターンに収まらないものも沢山あるため、あくまでこういうものが多い、という程度に捉える方が良いだろう
・打点の高さ
打点が高いものほど咄嗟の対空として強い
頭より少し低いくらいでも十分対空として使用可能
小、中ジャンプや低空での空ダ等、対空が難しいムーブに対して発生の早さや隙の少なさで対抗出来る
逆に言えば、打点が高く発生の早い技でないと地対空では容易に落とせない
(上半身無敵等、高性能なものは除く)
しかし打点の高さ故にしゃがみに当たらないものも多い
また対空に使えるとは言っても頭と同じか、それ以上まで届くくらいでないと普通の軌道のジャンプ攻撃への対空としては頼りない
普通は他の対空技と使い分けて対処出来るため、対空として万能である必要は無い
リュウ(ストⅢ3rd)近距離立ち小P | リュウ(ストⅢ3rd)遠距離立ち小P | |
---|---|---|
![]() |
![]() |
|
発生 | 4F | 5F |
持続 | 3F | 3F |
全体動作 | 11F | 11F |
硬直差 | +3 | +4 |
キャンセル |
連打キャンセル、立ち遠小P、必殺技、超必 |
連打キャンセル、必殺技、超必 |
備考 | 小攻撃としては打点がかなり高く、咄嗟の対空に便利 動作が短くしゃがみにすかるため、しゃがみ小パンから立ち小パンをすかして投げるということも一応可能 画像はGM氏のリュウ |
打点は近距離版より若干低いが、それでも十分 |
・フレーム周り
小攻撃は発生F最速技であることが多い
この項目で述べたように過剰な早さの攻撃はバランスを壊す事も多いため、安易に速くし過ぎないように注意
オススメは4,5F
2~3F以下は単純に速い上に、mugenのリバサの仕様で無敵技として使えてしまう
6F以上は少し遅いため、4,5Fの小技相手に調整しているキャラに対して若干不利がつきやすい
1Fはmugenの仕様上ガード出来ない
ただし、小攻撃でも遠距離版だとそれなりにリーチの長いものが多数存在するため、その場合は6~8F程度のものが多くなる
また立ち小攻撃をガードさせた時の硬直差は、殆どのゲームで五分~微有利
どの程度有利Fが取れるかはゲームによって異なり、MUGENで考えてもシステムによってどの程度が許されるかは変化するが、2,3F有利が取れれば十分強いと言えるだろう
小攻撃をガードされて不利でも連打キャンセルがあれば固めが出来ない訳では無いが、発生F次第では小攻撃>小攻撃が連続ガードじゃなくなってしまうこともあるため、有利にしたくなければ最低でも五分にしておくのが無難だろう
連続ガードでなくなると無敵技で割り込む事が可能になるが慣れていないとそれは難しく、またよっぽど隙間が大きいわけでもないと暴れも通らないため、実質隙間が無駄に相手暴れ潰しになるという面倒な要素だけが残る可能性がある
・ノックバック
小攻撃は基本的には連打キャンセルがついており複数回刻めるものであるが、その刻める回数に関してはある程度の注意を払わなければならない
まず小攻撃を刻んでいるということはそもそもとして相手に触れているという事でもあるため、有利な状況であることはほぼ間違いない
その上で小攻撃を刻んでいる最中は相手の暴れを許さず(遅らせてキャンセルすることでいくらでも暴れを潰せる)、その中でこちらも崩しをいつでも仕掛けられるという状態
つまり刻める回数が増えれば増えるほど、圧倒的有利な時間が増えるという事になるのだ
また、沢山刻める=ノックバックが少ないということでもあり、それは当然の事ながら相手との距離がなかなか空かないということでもある
相手との距離が近ければ投げも当たりやすくなり、歩きまたはダッシュによる固め直しに必要な時間も短くなる
ややこしく感じてきたかもしれないが、要するに有利な状況で相手に近い位置をキープし続けられるということは、かなり強いということだけ理解していれば問題ない
いくら起き攻めや固めが全キャラ共通して強い行動だとしても、限度は存在する
そのため、商業ゲーでは多くの場合、小攻撃を刻めても2~4回程度で離れるようにノックバックを設定している
・下段
打点が低い故に立ち攻撃でも下段技になっているものもいくつか存在する
また当然だが、まともな小攻撃に中段のものはない
下段はしゃがみ攻撃、中段は立ちに近いモーションであることが多いのを利用し、立っている状態で下段を撃つ事で立ちガードを誘発させる事が可能
特にAIにはよく刺さるため、MUGENでは寧ろAI対策のために搭載しているというパターンが多い
立ち下段が連打キャンセル可能だと、ノックバックで距離が離れるまで立っているまま下段を出せるため、その分だけ中段のブラフとなり強い
逆に言えばそれ以外だとモーションが中段に似ているとか、発生が遅いから逆に中段に見えるとかでもないと、立ち下段の有用性はそこまで高くない
単純に下段が増えるという意味では十分価値はある
ユダ(AC北斗)近距離立ちB | |
---|---|
![]() |
|
発生 | 6F |
持続 | 4F |
全体動作 | 14F |
硬直差 | +2F |
キャンセル | 連打キャンセル、C・D攻撃、必殺技、超必、ブースト |
ガード方向 | 下段 |
備考 |
刻める立ち下段 |
・判定、リーチ
当然だが小攻撃に判定の強さ求めるのは、あまり良いことではない
空振っても殆ど隙がない小攻撃の判定が真っ赤だと、常識的な判定をつけている相手の主牽制を外側から連打しているだけで潰してしまう可能性がある
(アークのゲームは勿論例外)
よって攻撃判定は、基本的にはやられ判定と同じか、やられ判定より少し引っ込んでいる程度で構わない
多くのゲームで立ち小攻撃は一キャラ分届くか届かないかという程度が精々のリーチだが、他のキャラでは中攻撃に該当するほどのリーチを持つ小攻撃も存在する
kofの遠距離小キックや、一部の武器持ちキャラで見られる
弱攻撃なため隙も小さく、発生もリーチの割に遅くない(ものにもよる)
打点が高すぎるとほぼ対空専用となるが、真ん中辺りならしゃがみにも当たり、飛び防止にもなる
つまり、牽制技としてはかなり高性能
しかしkofの遠距離技なため基本キャンセルが効かず(一部効く場合もある)、リターンは高くない
あくまで、立ち回りで優位に立ちつつ細かくダメージを稼ぐための技
テリー(kof02um)遠距離立ち弱K | ケンシロウ(AC北斗)遠距離立ち弱B | |
---|---|---|
![]() |
![]() |
|
発生 | 6F | 7F |
持続 | 4F | 4F |
全体動作 | 18F | 15F |
硬直差 | -3F | +2F |
キャンセル | クイックmax発動、どこキャン時のみ | 連打キャンセル、C・D攻撃以上の通常技、必殺技、超必、ブースト |
備考 | 長くて早くて隙も短いと、牽制技としてはリターン以外の全てが揃っている高性能技 共通システムである小ジャンプや、通常のジャンプの始めを抑える効果もある これに近い性能のものを京、リョウも持っている 画像はKoopaKoot氏のテリー |
テリーの遠弱Kの強化版のような技 |
・ゲージ増加
通常技を空振りすることでゲージが増えるゲームも存在する(ストⅢ、cvs(全グルーヴではない)、アカツキ等)が、それは中攻撃以上の話であり、小攻撃では普通増加しない
しかしMUGENでは、カンフーマンが小攻撃でもゲージが溜まるせいで、多くのキャラが同じように小攻撃でゲージ溜め出来るようになってしまっている
ゲージ溜めの是非については特殊システムの項目でまた詳しく書く予定だが、小攻撃でゲージ溜めが出来てしまうと、一発一発の増加量は少なくても連打キャンセルで凄まじい勢いで増える上に、小攻撃の動作が短いため溜める際の隙が殆どなくなってしまう
よって、通常攻撃空振りでもゲージが溜まるのはまだ良いとしても、小攻撃でも溜まるのは避けた方が良いだろう
〇立ち中攻撃
リーチ、威力、隙等、多くのものがそのキャラの通常攻撃の中間的性能であり、主要牽制として用いられる事が多い
チェーンコンボ出来るキャラならキャンセルルートがまだあるため、ヒット確認や中段へのキャンセルが可能な場合が多いのも使いやすい所
・打点の高さ
打点が高ければ立ち小攻撃と同じく、対空として使用出来る
持続も威力も小攻撃よりは期待できるため、中距離以上で置くように使うと低空で突っ込んでくる相手に当たりやすい
ただし遠近どちらも対空に使える打点の高さを持つとは限らない上に発生も劣るため、小攻撃程は咄嗟に使えない
リュウ(ストⅢ3rd)遠距離立ち中P | アカツキ(アカツキ)近距離立ちB | |
---|---|---|
![]() |
![]() |
|
発生 | 5F | 5F |
持続 | 4F | 4F |
全体動作 | 18F | 24F |
硬直差 | +4F | -6F |
キャンセル | 不可 | 遠距離立ちB、遠距離立ちC、特殊技、必殺技、超必 |
備考 | 全体動作が短く、気軽に振れて優秀な技 更に空振り時もゲージが溜まるため、とりあえずで振り回しても十分強い |
判定も強く、真上への対空としてはかなり強い ただし近距離でしか出ないため、離れた相手への対空としては使えない 画像はみきた氏のアカツキ |
・判定、リーチ
中攻撃の判定の多くはやられ判定と同じか、やられ判定より少し攻撃判定が出ている程度で構わない
前述の通り、中攻撃は全体動作の長さの割にリーチが長く、牽制技として使いやすいものが多い
しかしチェーンのないゲームでの遠距離立ち攻撃は当ててもキャンセルルートが存在しないものも多く、その場合メイン牽制がキャンセル可能なしゃがみ版になることもよくある
アカツキ(アカツキ)遠距離立ちB | |
---|---|
![]() |
|
発生 | 7F |
持続 | 4F |
全体動作 | 25F |
硬直差 | -5F |
キャンセル | 5C、必殺技、超必 |
備考 | リーチの長さの割に発生が早く、また単発でも一応ヒット確認が可能 ガードされても隙消しが可能ととにかく便利 原作ではもっと薄い判定をしているが、MUGENでは都合上大きくなっている |
・ゲージ溜め
小攻撃で書いた通り、中攻撃以上の通常攻撃空振りでゲージが溜まるゲームも存在する
しかしその増加量は非常に少なく、小攻撃一発ヒット分と同じ程度
(小攻撃のゲージ増加量はゲームによって異なるが、非常に少ないのは間違いない)
それでも、攻撃判定を出しながらゲージを溜められるというのは大きい
〇立ち大攻撃(強攻撃)
リーチや威力等他の通常技よりも優れた部分も多いが、代わりに隙も大きいのが特徴
当たるとリターンが大きいからといって振り回していると、お咎めを食らう可能性が高い
チェーンの最終段(4ボタン以上ならそうとは限らない)でもあり、当ててもそのあとのキャンセルルートが限られるため、ヒット確認が難しい傾向にある
入れ込んでも隙の少ない特殊技や必殺技があると空振りさえしなければ特別危険な状況になることがなくなるため、長いリーチ、強い判定の塊のような牽制技を持っている場合は、そういった隙消し行為はなるべく出来ないようにした方が良いだろう
・判定、リーチ
他の通常技よりも強いものが多い
しかし隙やヒット確認の事を考えると、強攻撃よりも中攻撃の方が使用される機会が増えるというパターンは非常に多い
そのため、相手のリーチの上から殴ったり、判定が強い場合は置いておくような使い方が多くなる
また下半身無敵のものも存在し、立ち回りでしゃがみ攻撃を避けつつ攻撃したり、起き攻めを回避したりというように利用可能
ケン(ストⅢ3rd)遠距離立ち大K | 京(kof02um)遠距離立ち強K | ユダ(AC北斗)遠距離立ちD | |
---|---|---|---|
![]() |
![]() |
![]() |
|
発生 | 11F | 8F | 20F |
持続 | 6F | 5F | 2F |
全体動作 | 36F | 29F | 38F |
硬直差 | -4F | -4F | ±0F |
下半身無敵 | 無敵はないが、接地判定で薄い攻撃は回避しながら殴れる | 1F~? | 7~33F |
キャンセル | 不可 | 不可 | 2D、バニ、必殺技、超必(空振りキャンセル、ブーストキャンセル可能) |
備考 | 非常にリーチが長い牽制 ガードされてもノックバックが大きい上に不利Fも少ないため、普通の攻撃では殆ど反撃を食らわない 単発で1割以上持っていくため、コンボへ行けなくても十分ダメージを稼げるとかなり優秀な技 画像はGM氏のもの |
動き始めから下半身の判定が消えるため、しゃがみ中足や足払いが主牽制のキャラには非常に有効 遠距離技なので、近距離で起き攻めされたら当然発動出来ない |
設置技である地雷を破壊するために必要な、接地判定の技を狩れる リターンは5割以上~永久コンボ 吹き飛ばされた後の甘い起き攻め重ねにも有効 最初の6Fは後ろの足にも判定が残っているが、そもそも遠距離技なのであまり意味がない |
・打点の高さ
遠近で変化するものの遠距離版では斜め上に攻撃するものも多く見られ、昇龍等が届かない位置への対空手段として有効
ただし斜め上方向への攻撃なため、しゃがみ攻撃には大体一方的に負ける
・ノックバック
中攻撃と同じか、それよりも大きく離れる
コンボゲーではそこまで大きくノックバックしないが、ストやkofでは比べるとかなり大きく動く
通常攻撃に限らない話だが有利Fを取れる、または強攻撃から特殊技や必殺技にキャンセル出来るならノックバックは小さい方が有利な時間が長く取れるため強いが、不利Fでその後何も出来ないのならノックバックは大きい方が距離が離れて相手の攻撃が届かなくなるため強い
1.5キャラ分以上離れたら、もうそれはフレーム的には不利でも殆ど届く技がなくなるため、状況的には五分と言ってもいい
(20F以上不利では流石に届くものも出てくるが)
・ゲージ増加
ヒットで中攻撃と同じか、それ以上に溜まる
空振りでゲージが溜まるゲームでは、中攻撃同様大攻撃でも増加
その増加量は、全体動作の増加に伴い中攻撃よりも少し多くなる
ただし一発一発の隙が大きくなる上に、動作の短い中攻撃を連発するのと合計の増加量は大差なくなると、わざわざリスクの高い強攻撃でゲージを溜める意味が薄くなる
◯簡易まとめ
・通常技でもリスクリターンは考える必要がある
・立ち通常技の多くは上段。一部下段のものもあり、リーチの長さや見た目から下段として強い場合もある
・立ち弱攻撃はしゃがみに当たらないものが多いが、打点が高ければ咄嗟の対空として使える
・立ち中攻撃はリスクリターンを考えるとどちらも半分程度で、牽制技として優秀なものが多い
・立ち強攻撃は動作が長いものが多くリスクが高いが、判定が強いものやリターンの大きいものが多いため、振りどころによっては強力