ドロッチェは息を潜め、その影を待つ。
明らかにこちらに近づく足音はドロッチェの助けとなりうるのか、それとも――
明らかにこちらに近づく足音はドロッチェの助けとなりうるのか、それとも――
森は木陰で見晴らしが悪い分、相手の姿は見えにくい。
ドロッチェなら音を立てずにその場から逃れる事も可能だ。
ドロッチェなら音を立てずにその場から逃れる事も可能だ。
仮にこのゲームに乗っている愚者だと仮定しよう。
そして自分がこの木陰から出たら。
予測出来るのは、流血。
そして自分がこの木陰から出たら。
予測出来るのは、流血。
……だが、もしスピンだったら?
早くスピンとは合流したい。スピンか自分が、冷たい屍と化す前に。
ドロッチェはその僅かな可能性に賭けてみる事にした。
あの部屋の人数を思考に入れれば限りなくその影がスピンと言う確率は低いだろう。
しかしドロッチェは躊躇する事など出来ない。
早くスピンとは合流したい。スピンか自分が、冷たい屍と化す前に。
ドロッチェはその僅かな可能性に賭けてみる事にした。
あの部屋の人数を思考に入れれば限りなくその影がスピンと言う確率は低いだろう。
しかしドロッチェは躊躇する事など出来ない。
それがスピンかもしれないなら。
この安全地帯からドロッチェは普通に歩きだす。
無論、怪しまれない為だ。
相手の足音が速くなる。こちらに気付いたのだろう。
次はゲームには乗っていない事を主張しなければならない。
無論、怪しまれない為だ。
相手の足音が速くなる。こちらに気付いたのだろう。
次はゲームには乗っていない事を主張しなければならない。
「あ、――」
「大丈夫かい!?」
ドロッチェが話し出す前に、相手は心配し出す。
それが、彼がドロッチェに対する第一声だった。
人間の男。赤に近い茶髪を持っており、青い鎧を身につけている。
「大丈夫かい!?」
ドロッチェが話し出す前に、相手は心配し出す。
それが、彼がドロッチェに対する第一声だった。
人間の男。赤に近い茶髪を持っており、青い鎧を身につけている。
予測には入っていなかったその行為に、ドロッチェは戸惑う。
「え、ええ。私は別に何処も……」
「そうか、良かった……」
良い印象を与える為の芝居。
この典型的なお人よしタイプの相手なら、利用する事なら簡単だ。
まず、ドロッチェはスピンの事を聞き出す。
まだ時間は経っていないが、スピンと出会った可能性は捨てきれない。
「え、ええ。私は別に何処も……」
「そうか、良かった……」
良い印象を与える為の芝居。
この典型的なお人よしタイプの相手なら、利用する事なら簡単だ。
まず、ドロッチェはスピンの事を聞き出す。
まだ時間は経っていないが、スピンと出会った可能性は捨てきれない。
「スピン、と言う人を見ませんでしたか? 私と同じネズミです。」
「ううん、会っていないけど…確か、あのポーキーって奴に呼ばれていた黄色いネズミだよね?」
「ううん、会っていないけど…確か、あのポーキーって奴に呼ばれていた黄色いネズミだよね?」
この男はスピンに会っていない。
男をこの後どうするか。
男をこの後どうするか。
始末する。
最悪。自ら行う事も、しなければならない状況にする事も、避けなければいけない。
攻撃音と断末魔で確実に他の敵を引き付けてしまう事になる。
また、この男の力など知らない。
自分が屈する可能性もある。
最悪。自ら行う事も、しなければならない状況にする事も、避けなければいけない。
攻撃音と断末魔で確実に他の敵を引き付けてしまう事になる。
また、この男の力など知らない。
自分が屈する可能性もある。
ここで男とは別れる。
これは状況にも寄るが、最善とは言えない。
これは状況にも寄るが、最善とは言えない。
利用。
これしか無い。
ドロッチェ自身の生存率を高め、戦力も確実のものとなる―
これしか無い。
ドロッチェ自身の生存率を高め、戦力も確実のものとなる―
「貴方はこれからどうするのですか?」
ドロッチェは愛想の良い笑いをにっこりと見せながら、男に質問する。
「僕も人を捜しているんだ。
リリーナって言う、青い髪の女の子。」
ドロッチェが男を丸め込むには簡単過ぎた状況。
男もドロッチェも同じ目的。
「なら、一緒に捜しましょう。その方が安全だし、お互い相手を見つけやすいですよ?」
「そうだね。一人より何人かで捜した方が良いかな。」
ドロッチェは確信した。
この男は利用出来る。
ドロッチェは愛想の良い笑いをにっこりと見せながら、男に質問する。
「僕も人を捜しているんだ。
リリーナって言う、青い髪の女の子。」
ドロッチェが男を丸め込むには簡単過ぎた状況。
男もドロッチェも同じ目的。
「なら、一緒に捜しましょう。その方が安全だし、お互い相手を見つけやすいですよ?」
「そうだね。一人より何人かで捜した方が良いかな。」
ドロッチェは確信した。
この男は利用出来る。
スピンさえ見つければ後は見捨てれば良いのだ。
そして、脱出する。
そして、脱出する。
そうすればドロッチェ達とこのゲームとの繋がりが完全に絶たれるのだ。
はっきり言って不自然過ぎる。
そう都合良くばったり会うものだろうか。
ロイはその赤いシルクハットのネズミを疑わずにはいられなかった。
そう都合良くばったり会うものだろうか。
ロイはその赤いシルクハットのネズミを疑わずにはいられなかった。
普通の人間ならば騙されているだろうか。
相手の策略に入れば、目的に利用されるか、信用したところを殺される。
この状況だ。
誰だって戦力は欲しいものだろう。
相手の策略に入れば、目的に利用されるか、信用したところを殺される。
この状況だ。
誰だって戦力は欲しいものだろう。
…しかし、思い込みかもしれない。
本当にネズミはロイを騙すつもりなのだろうか。
今は様子を見るしか無い。
本当にネズミはロイを騙すつもりなのだろうか。
今は様子を見るしか無い。
「そういえば君の名前は?僕はロイ。」
「私はドロッチェ。さあ、早くスピンとリリーナさんを捜しましょう。」
「私はドロッチェ。さあ、早くスピンとリリーナさんを捜しましょう。」
悪意はあるのだろうか。
それこそ、この状況が見せた幻覚なのか。
だが、ドロッチェの口調は隙を見せようとしない。
やはり不自然だ。
ここは情報をなるべく集めなければならない。
それこそ、この状況が見せた幻覚なのか。
だが、ドロッチェの口調は隙を見せようとしない。
やはり不自然だ。
ここは情報をなるべく集めなければならない。
「そういえば、君の支給品は?」
「ああ、私は剣でした。」
ドロッチェはザックからロイが見慣れた剣を取り出す。
「光の剣か。」
ロイは自分のフライパンと比べる。
「それは、…フライパン?」
ドロッチェは呆然とその黒いものを見つめる。
そうだろう。
ドロッチェは剣。ロイは調理器具。
その支給品の差は歴然。
ロイにはあのポーキーに別の意味での怒りが更に沸き上がる。
「ああ、私は剣でした。」
ドロッチェはザックからロイが見慣れた剣を取り出す。
「光の剣か。」
ロイは自分のフライパンと比べる。
「それは、…フライパン?」
ドロッチェは呆然とその黒いものを見つめる。
そうだろう。
ドロッチェは剣。ロイは調理器具。
その支給品の差は歴然。
ロイにはあのポーキーに別の意味での怒りが更に沸き上がる。
「……じゃあ行こうか。まず目指す場所は……」
ドロッチェにとっては異様だろう。
突然、温和だった声が怒りが篭った声に変わるという事は。
突然、温和だった声が怒りが篭った声に変わるという事は。
【F-8…森 6時30分】
【ドロッチェ@星のカービィ】
[健康状態]:良好
[武装]:無し
[所持品]:支給品 光の剣(FE封印ver.)/新品・残り25発
[第一行動方針]:ロイを信用させて利用する
[第二行動方針]:スピンと合流
[最終行動方針]:スピンとゲームへの脱出
[健康状態]:良好
[武装]:無し
[所持品]:支給品 光の剣(FE封印ver.)/新品・残り25発
[第一行動方針]:ロイを信用させて利用する
[第二行動方針]:スピンと合流
[最終行動方針]:スピンとゲームへの脱出
【ロイ@FE封印 】
[健康状態]:良好 イライラ
[武装]:無し
[所持品]:支給品 フライパン@マリオRPG/新品
[第一行動方針]:ドロッチェの様子を見る
[第二行動方針]:リリーナを捜す
[最終行動方針]:リリーナを護る(後の事は考えていない)
[健康状態]:良好 イライラ
[武装]:無し
[所持品]:支給品 フライパン@マリオRPG/新品
[第一行動方針]:ドロッチェの様子を見る
[第二行動方針]:リリーナを捜す
[最終行動方針]:リリーナを護る(後の事は考えていない)
[備考]:二人とも現在北西の町に向かって移動開始。
| 『異文化交流』 | 投下順 | 『僕が望むのは』 |
| 『異文化交流』 | 時系列順 | 『僕が望むのは』 |
| 第二話 | ロイ | 『待っているのは希望なのかい?』 |
| 第二話 | ドロッチェ | 『待っているのは希望なのかい?』 |