閑静な住宅街に一人、着物と袴を着ている青年が立っていた。
この光景を他の人が見たとすれば大層な場違いのように思えるだろう。
しかし、江戸時代・徳川家綱が治める江戸で暮らしていた彼にとっては
この服装が当然なのである。
この光景を他の人が見たとすれば大層な場違いのように思えるだろう。
しかし、江戸時代・徳川家綱が治める江戸で暮らしていた彼にとっては
この服装が当然なのである。
「拙者は確か村雨城の元凶を倒し、江戸に帰還していたはずであったのに
如何様にしてこんな妙な場所へ迷い込んでしまったのでござるか……」
如何様にしてこんな妙な場所へ迷い込んでしまったのでござるか……」
しかし、どう思い起こしても村雨城があった地方から出たのを最後にぷつりと足取りが途絶えている。
鷹丸はこれまでの記憶を辿ろうとするがまるで見当がつかない。
それよりもあの珍妙な部屋で起こった惨劇を思い起こし、怒りがふつふつを
湧き上がってくるのを感じていた。
鷹丸はこれまでの記憶を辿ろうとするがまるで見当がつかない。
それよりもあの珍妙な部屋で起こった惨劇を思い起こし、怒りがふつふつを
湧き上がってくるのを感じていた。
「あの妙なカラクリに乗っていた“ぽうきい”とやら、絶対に許しはせぬ!
罪もなき女子を殺めるなど言語道断!何とかしてこの殺し合いを止めなくては」
罪もなき女子を殺めるなど言語道断!何とかしてこの殺し合いを止めなくては」
そう言った鷹丸は万が一の用心のために左手を添えて腰に差してある刀を抜こうとした。
しかし――
しかし――
「―――!刀が無くなっている?」
江戸を出た時までしっかり差していた彼の刀が忽然と消えていたのだ。
無論武士の魂ともいえる刀である。落とすようなことは絶対にありえない。
江戸を出た時までしっかり差していた彼の刀が忽然と消えていたのだ。
無論武士の魂ともいえる刀である。落とすようなことは絶対にありえない。
「だとすると、あの部屋にいた時にすでに盗られてしまったということか……」
鷹丸は拳を握り、一瞬の隙をつかれ刀を取られてしまったことを悔しがる。
「過ぎたことを悔やんでいてもし様が無い。何か武器を持たねばならんな」
ふと、鷹丸は背にしょっていたバックを見た。
「ここに何か刀……もしくは忍具が入っているかもしれぬな」
鷹丸がバックを肩から外し、中を調べようとした時
鷹丸は拳を握り、一瞬の隙をつかれ刀を取られてしまったことを悔しがる。
「過ぎたことを悔やんでいてもし様が無い。何か武器を持たねばならんな」
ふと、鷹丸は背にしょっていたバックを見た。
「ここに何か刀……もしくは忍具が入っているかもしれぬな」
鷹丸がバックを肩から外し、中を調べようとした時
「おや?向こう側に誰かいるでござるな……」
鷹丸の向こうに人陰がこっちに向かっているのが見えた。
「殺し合いに乗っていることも考えられる……用心して向かわねば」
向こうから来た人陰は近づいて来るに連れて、鮮明になってきた。だんだんと人陰と鷹丸との距離が
数メートル辺りの所まで縮まり、鷹丸は近づいて来た人物の姿を完全に確認できるようになった。
「――子供……?」
人陰の正体は鷹丸の腰くらいはある小さな子供であった。
だが、鷹丸の今まで見た子供とは完全に様子が違っていた。
鷹丸が今まで江戸の城内で見ていた子供はおかっぱ頭に、着物を着て、足には足袋と言う身なりであった。
しかし、鷹丸の前にいる子供は頭には黄色い兜のようなものをかぶり、
着物とは言えない見たこともない服(西洋の服だろうか?)を着て、足袋の代わりに西洋人の履き物に近い物を足に履いていた。
「お主は―――」
「鷹丸さん……ですか?」
鷹丸の向こうに人陰がこっちに向かっているのが見えた。
「殺し合いに乗っていることも考えられる……用心して向かわねば」
向こうから来た人陰は近づいて来るに連れて、鮮明になってきた。だんだんと人陰と鷹丸との距離が
数メートル辺りの所まで縮まり、鷹丸は近づいて来た人物の姿を完全に確認できるようになった。
「――子供……?」
人陰の正体は鷹丸の腰くらいはある小さな子供であった。
だが、鷹丸の今まで見た子供とは完全に様子が違っていた。
鷹丸が今まで江戸の城内で見ていた子供はおかっぱ頭に、着物を着て、足には足袋と言う身なりであった。
しかし、鷹丸の前にいる子供は頭には黄色い兜のようなものをかぶり、
着物とは言えない見たこともない服(西洋の服だろうか?)を着て、足袋の代わりに西洋人の履き物に近い物を足に履いていた。
「お主は―――」
「鷹丸さん……ですか?」
「拙者の名を知っているのか?」
鷹丸は少し驚いたような表情を見せた。無理もない。見知らぬ子供にいきなり名前を当てられたのだ。
もちろん鷹丸はこの子供とあったことは一度もなかった。
一瞬村雨城のの刺客ということも考えたが、よもや子供が自分を殺しにきたなどとは考えられないものであった。
「あ、はい!あなたをファミコンで何回も見てるんです」
少年は一瞬言葉を詰まらせたが、鷹丸の質問にこう答えた。
「“ふあみこん”?それは如何様な物でござるか?」
鷹丸には聞きなれない言葉だった。
当然のことながら当時の江戸にはテレビゲームは一切無い。
ましてや鷹丸は幕府お抱えの剣術指南役。遊戯とは程遠い存在であった。
「ええっと……何て説明したらいいんだろう。そうなんだよな……舞台江戸だからファミコンって物は無いし……」
少年は頭を抱えながら、鷹丸にどう説明すべきか悩む。
「あのう、長くなるし、難解な説明になるんですけど、いいですかね……?」
「拙者は一向に構わぬ」
「ありがとうございます。まずはファミコンってものなんですけどね………」
鷹丸は少し驚いたような表情を見せた。無理もない。見知らぬ子供にいきなり名前を当てられたのだ。
もちろん鷹丸はこの子供とあったことは一度もなかった。
一瞬村雨城のの刺客ということも考えたが、よもや子供が自分を殺しにきたなどとは考えられないものであった。
「あ、はい!あなたをファミコンで何回も見てるんです」
少年は一瞬言葉を詰まらせたが、鷹丸の質問にこう答えた。
「“ふあみこん”?それは如何様な物でござるか?」
鷹丸には聞きなれない言葉だった。
当然のことながら当時の江戸にはテレビゲームは一切無い。
ましてや鷹丸は幕府お抱えの剣術指南役。遊戯とは程遠い存在であった。
「ええっと……何て説明したらいいんだろう。そうなんだよな……舞台江戸だからファミコンって物は無いし……」
少年は頭を抱えながら、鷹丸にどう説明すべきか悩む。
「あのう、長くなるし、難解な説明になるんですけど、いいですかね……?」
「拙者は一向に構わぬ」
「ありがとうございます。まずはファミコンってものなんですけどね………」
少年は鷹丸にファミコンのことを思いつくままに話した。
テレビという動く絵が写る箱に差し込むこと。
コントローラーという操縦器で画面に映っている人物を動かせること。
何種類もあるカセットというものでいろいろな遊戯がやれること。
そして、何よりそれが何より面白い物だということ。
鷹丸はそれを真剣に聞いていた。自分の今まで聞いた事のない物ばかりであった。
その度に鷹丸は少年に何度も質問した。
そして、少年も鷹丸の質問に出来る限りのことを答えた。
それが何回も続いた。
テレビという動く絵が写る箱に差し込むこと。
コントローラーという操縦器で画面に映っている人物を動かせること。
何種類もあるカセットというものでいろいろな遊戯がやれること。
そして、何よりそれが何より面白い物だということ。
鷹丸はそれを真剣に聞いていた。自分の今まで聞いた事のない物ばかりであった。
その度に鷹丸は少年に何度も質問した。
そして、少年も鷹丸の質問に出来る限りのことを答えた。
それが何回も続いた。
「なるほど。“ふぁみこん”というものはテレビと言う絵を動かす箱にくっつけて、それを“こんとろーらー”
というもので飛んだり跳ねたりする遊戯なのでござるな?」
「……まぁ、ちょっと違うけどそんな感じの物です」
「しかし、拙者達はその世界にいるもので、他にも色々な世界が存在したとは……」
「信じて……くれますか?」
鷹丸の曇った表情に、少年は少し不安そうな表情を浮かべる。
「にわかには信じられぬが、村雨城の元凶は天から来たとされる者でござった。そのようなものが
あるのなら他の世界もあることも信じざるを得ないでござるよ」
「そうですか……ありがとうございます」
「礼には及ばん。おっと!そう言えばお主の名を聞いいていないな。名を何と申すのだ?」
「ぼくちんは、ナインボルトです」
「ないんぼると殿か。拙者に出来ることがあったら、何でも言って構わぬ」
「え?いいんですか?」
ナインボルトの質問に鷹丸は「左様」と頷く。
「じゃあ、お言葉に甘えて……鷹丸さん、ぼくちんと一緒に友達を捜してほしいんです。このゲームにも巻き込まれてるし、心配で」
「お主の友達がこの殺し合いに参加させられているのか。承知した。無論、拙者もお主に着いて行くつもりでござる。
お主の世界の話は実に興味深い。食べ物を保存できる氷の箱、空を飛ぶ鉄の乗り物、他にもそのような話を是非聞かせていただけぬか?」
「ええ、いいですよ」
「そう言えば、ないんぼると殿、何か刀のような物を持ってはおらぬか?拙者、不覚にも刀を盗られてしまったようなのでござる」
「刀……そう言えばこれが僕のバッグに入ってました」
「これは……?」
というもので飛んだり跳ねたりする遊戯なのでござるな?」
「……まぁ、ちょっと違うけどそんな感じの物です」
「しかし、拙者達はその世界にいるもので、他にも色々な世界が存在したとは……」
「信じて……くれますか?」
鷹丸の曇った表情に、少年は少し不安そうな表情を浮かべる。
「にわかには信じられぬが、村雨城の元凶は天から来たとされる者でござった。そのようなものが
あるのなら他の世界もあることも信じざるを得ないでござるよ」
「そうですか……ありがとうございます」
「礼には及ばん。おっと!そう言えばお主の名を聞いいていないな。名を何と申すのだ?」
「ぼくちんは、ナインボルトです」
「ないんぼると殿か。拙者に出来ることがあったら、何でも言って構わぬ」
「え?いいんですか?」
ナインボルトの質問に鷹丸は「左様」と頷く。
「じゃあ、お言葉に甘えて……鷹丸さん、ぼくちんと一緒に友達を捜してほしいんです。このゲームにも巻き込まれてるし、心配で」
「お主の友達がこの殺し合いに参加させられているのか。承知した。無論、拙者もお主に着いて行くつもりでござる。
お主の世界の話は実に興味深い。食べ物を保存できる氷の箱、空を飛ぶ鉄の乗り物、他にもそのような話を是非聞かせていただけぬか?」
「ええ、いいですよ」
「そう言えば、ないんぼると殿、何か刀のような物を持ってはおらぬか?拙者、不覚にも刀を盗られてしまったようなのでござる」
「刀……そう言えばこれが僕のバッグに入ってました」
「これは……?」
ナインボルトがデイバッグから取り出したそれは脇差ほどの光る小刀であった。
「これは、ビームソードって言うんです。見かけはただの小さな刀なんですけど、使用者の闘気を感じると剣先が伸びる刀なんです」
「なるほど……忍術の類の刀でござるか。それを拙者にくれるのか?」
「はい、鷹丸さんには刀の方が扱いやすいし、どうぞ」
ナインボルトは鷹丸に持っていたビームソードを手渡した。
「かたじけない。だが、流石に拙者だけ貰ってはまずい。拙者からもその代わりの物を渡さねば……ん?この筒の様な物は一体?」
鷹丸がバッグを探ると、灰色の細長いものが出てきた。
「これは!スーパースコープ!ちょっと貸して貰えませんか?」
「構わんよ」
鷹丸がナインボルトにスーパースコープを渡すと、ナインボルトはそれをまじまじと見た。
「あ!紙が貼られてある。ええっと……『スーパースコープ。エネルギー弾を発射できます。オモチャではありません。』これはゲーム世界の物なのか……。
鷹丸さん、ビームソードの代わりはこれで結構です」
「ないんぼると殿、その“すーぱーすこーぷ”なる物を扱ったことがあるのか?」
「はい、とは言ってもオモチャの方ですけど、何回も遊んだことがあるんで、大丈夫です」
「そうか。ないんぼると殿にとってはそちらの方が扱いやすいか」
「そうですね。ゲームの扱いには慣れてますから」
「さて、そろそろ参ろうか。ないんぼると殿の友達の身に何か起こったらいけないでござるからな」
「はい、行きましょう」
「これは、ビームソードって言うんです。見かけはただの小さな刀なんですけど、使用者の闘気を感じると剣先が伸びる刀なんです」
「なるほど……忍術の類の刀でござるか。それを拙者にくれるのか?」
「はい、鷹丸さんには刀の方が扱いやすいし、どうぞ」
ナインボルトは鷹丸に持っていたビームソードを手渡した。
「かたじけない。だが、流石に拙者だけ貰ってはまずい。拙者からもその代わりの物を渡さねば……ん?この筒の様な物は一体?」
鷹丸がバッグを探ると、灰色の細長いものが出てきた。
「これは!スーパースコープ!ちょっと貸して貰えませんか?」
「構わんよ」
鷹丸がナインボルトにスーパースコープを渡すと、ナインボルトはそれをまじまじと見た。
「あ!紙が貼られてある。ええっと……『スーパースコープ。エネルギー弾を発射できます。オモチャではありません。』これはゲーム世界の物なのか……。
鷹丸さん、ビームソードの代わりはこれで結構です」
「ないんぼると殿、その“すーぱーすこーぷ”なる物を扱ったことがあるのか?」
「はい、とは言ってもオモチャの方ですけど、何回も遊んだことがあるんで、大丈夫です」
「そうか。ないんぼると殿にとってはそちらの方が扱いやすいか」
「そうですね。ゲームの扱いには慣れてますから」
「さて、そろそろ参ろうか。ないんぼると殿の友達の身に何か起こったらいけないでござるからな」
「はい、行きましょう」
――決して出会うはずのない少年と青年は今、待ち受ける試練を乗り越えるため歩き出した。
片や、現代に近い世界に生きる少年、片や、江戸時代を剣で切り拓いてきた青年。
ブラウン管越しを越えて、大いなる暗闇に対抗しようとしていた。
片や、現代に近い世界に生きる少年、片や、江戸時代を剣で切り拓いてきた青年。
ブラウン管越しを越えて、大いなる暗闇に対抗しようとしていた。
――だが、少年は知らなかった。現実と虚構の狭間でゲームに乗っている友人がいることを。
少年は知らなかった。ゲームの人物であろうとも極限の状況で変貌することを。
少年は知らなかった。ゲームの人物であろうとも極限の状況で変貌することを。
――暗闇を消す朝日が、暗闇を隠していく。
それは理想が現実を絵の具で塗りつぶしていくようだった――
それは理想が現実を絵の具で塗りつぶしていくようだった――
【エリア2(D-5)/住宅街/一日目-早朝(6:30)】
【タカアンドボルト】
【名前:鷹丸@謎の村雨城】
[状態]:健康、未知の世界に興味
[装備]:ビームソード@スマブラDX(ナインボルトの支給品)
[所持品]:支給品一式、
[思考・状況]
第一行動方針:ナインボルトを守る
第二行動方針:協力者と合流する(ナインボルトの仲間とも合流する)
第三行動方針:時間が許すのなら、ナインボルトからもっと他の世界のことの話を聞きたい
最終行動方針:主催者を倒す
【タカアンドボルト】
【名前:鷹丸@謎の村雨城】
[状態]:健康、未知の世界に興味
[装備]:ビームソード@スマブラDX(ナインボルトの支給品)
[所持品]:支給品一式、
[思考・状況]
第一行動方針:ナインボルトを守る
第二行動方針:協力者と合流する(ナインボルトの仲間とも合流する)
第三行動方針:時間が許すのなら、ナインボルトからもっと他の世界のことの話を聞きたい
最終行動方針:主催者を倒す
【名前:ナインボルト@メイドインワリオ】
[状態]:健康、憧れのゲームの登場人物に会えてドキドキワクワク
[装備]:スーパースコープ@スマブラDX(鷹丸の支給品)
[所持品]:支給品一式 、不明支給品×1(本人は確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:ゲームには乗らない
第一行動方針:仲間と合流する(モナ、ワリオ、クライゴア、アシュリー優先)
第二行動方針:他のキャラにも会いたい。そしてそのキャラ達と力を合わせてゲームから脱出する
[状態]:健康、憧れのゲームの登場人物に会えてドキドキワクワク
[装備]:スーパースコープ@スマブラDX(鷹丸の支給品)
[所持品]:支給品一式 、不明支給品×1(本人は確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:ゲームには乗らない
第一行動方針:仲間と合流する(モナ、ワリオ、クライゴア、アシュリー優先)
第二行動方針:他のキャラにも会いたい。そしてそのキャラ達と力を合わせてゲームから脱出する
| 『煌めく闇の殺意』 | 投下順 | 『後れてきた者』 |
| 『決意は焔の玉より熱く』 | 時系列順 | 『後れてきた者』 |
| GAME START | 鷹丸 | 『知ってる人 知らない人』 |
| GAME START | ナインボルト | 『知ってる人 知らない人』 |