わんわん異聞+羊と犬とタイプライターのための補注
人物紹介
・■■■■■■。ヒトメス。一人称オレ。ヒツジのマダラに変装して諸国を旅してきた文筆家。
自称十六歳。実際は二十歳くらい。落ちてくる前は女子校出の女子大生だった。
ヒトメスとしては高身長で、声は高校時代テニスの硬球が当たる事故で潰れてハスキーボイスに。
(世界が六周くらい回った後の恋人に言わせれば、シしてる時の声は甲高くて可愛いとの事)
当然もてた(女に)。元隠れオタ。その外見と趣味から、恋をしても最初から諦める日々を送っていたら、ある日とつぜんこっちに落ちて来てしまった。
ホモが嫌いなのは本当で、「だってあれってちょー乙女の専売趣味っぽくね?」と恥ずかしがっているのが真相。耳年魔で実地に疎い。
最初の飼い主は老境のヤギで、読書家の優しい主人を喜ばせるために適当にヒト世界の漫画や小説の内容を語り聞かせたのがすべての始まり。
老人の死後、懇意の猫商人とつるんでペーパーブックの発行に成功する。
いずれ旅小説も書くつもりで商人にくっついて諸国を回る途中、犬の国を訪れた。
乗り合い場所で同席した軍人が、でかいガタイのくせに自分の書いた ベタなヒーロー小説のファンだと知り、たまたま最新刊を持っていると偽って
出来立ての生原稿を読ませ、その一喜一憂を見てニヨニヨしたのが2人の出会い。
その後の盗賊襲撃でスポンサーの猫商人と最新の生原稿を失い、裸一貫に なったところを犬軍人に「ならしばらく俺の知り合いの安宿に住めば」と救われる。
焼失した原稿を一言一句間違えず記憶から書き起こしたイヌに驚嘆し、 以後、作家としての正体をばらし、現在潜伏しながら次回作を執筆中。
その悪趣味な変装は、あまり外を出歩かないヒツジなら見破られにくい、という理由。
作り物のツノは質感でばれるからいっそ奇人を装って塗料で塗りつぶしている。
しかし嘘だ本当にあいつは悪趣味なんだという説が有力。
オタ的な発言の数々は、木を隠すには花火をあげろという理論の偽装の一貫だったが すっかり板についてしまった。
ツノの紫色は当人曰く「ラヴェンダー色なんだコレ。トキカケ、願掛け。うっへっへ」。
悲恋なんか嫌だから時を越える恋なんかするもんかという誓いの現れ。らしい。
しかし落ちてから二年半、「…三十まで未経験だったら魔法使いになれるんだっけ…?
でも今さらケモノにくれてやるのはどうかと…」と呟くこともある。 かなりハードなエロバイオレンスも書くくせに兎の国だけは行くまいと堅く誓っている。
・軍人。イヌ♂。一人称俺。
試作型にして、 初期型●●●●●●。栗毛。存命の「かいぞーにんげん」としてはおそらく年長組。
ヒトで言うと「あの人、二十台半ばくらいに見えるけど、 実はけっこう行ってるらしいわよ?」と街で噂されるくらいの年頃。
元々の肉体的超人度も、某じーきゅん本気モードの三分の一程度しかなかったが、
二度の職務上の大怪我を経て特殊戦闘員としての一線は退き、
今は「いざというときの予備」扱い。鼻の性能もかなりいいかげん。
最近はもっぱら諜報活動に専念している。専門は異種族の女性相手。
だからヒトに対してもそっち方面の禁忌感が薄い。
当人いわく「モテる気になればモテる」。ただし反動で、日常生活では 気の利かない・おせじのひとつもいえないボンクラ、でいたいらしい。
■■■■■■が思っているよりは、けっこうドライで酷くて大人である。
わりと最初から■■■■■■の種族も性別も気づいていたが、 とくに問題ないやと思ってスルーしていた。親しくなっていくにつれて
「あれ? ひょっとして俺の願望なんじゃね?」と思いはじめて、 確かめる勇気もないままずるずる来ている。ある意味、気が長く執念深い。
孤児になる前は軍人揃いの家系に生まれたため、某同僚と比べれば 境遇や職務内容をサバサバと割り切れている。
これまで■■■■■■に自分の素性や職務内容を話したことはないし これからも話す予定はない。
■■■■■■の連れだった猫商人を、密輸の咎で、盗賊の襲撃と見せて 抹殺したのはこいつと同僚たちである。焼失原稿の複製は無言の謝罪だった。
夢は退役してかわいい嫁さんとガキに囲まれる生活。たぶん叶わない。合掌。 彼のおかしな目は、作中の大人の事情のためにとってつけた物で
たいした設定はない。役に立ちそうでいて、突然肉屋のおやじが 超キュートな美少女になってる夢とかも視るので本当に役に立たない。
元文系オタに言わせれば「ラプラスの悪魔の出来損ない」「ダイヤモンド妄想アイ」。
ディン様あたりに扱わせれば仕組みや利用もできるかも知れないが 現時点ではちょっとうざいだけの白昼夢癖。似たような目を持ってた
同僚たちは大方すでに故人。改良の試行錯誤の途中、この世代の一部にのみ発現した代物で、上の世代にも改良型にも現時点では見られない模様。
という話でどうかひとつ。