猫耳少女と召使の物語@wiki保管庫(戎)

猫の宅急便 04

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猫の宅急便 4話



 一度自室に戻った私は、簡単なメイクをしてカタパルトで装備を整えていた。大好きなブランドの新作下着を付けるか一瞬迷ったけど、結局何時ものヤツに落ち着くのは緊張してるって事かも知れない。

「ご主人様そのシートは?何か凄く高そうなやつだね?」
 アマシュの心配を余所に、イツキが瞳をキラキラさせなら私の作業を見る。くくく、良い見立てだ!高い買物その一!

「翼竜操具専門店、ワイルドウィーゼルにオーダーメードしてたんだ!何か落ち物素材[かーぼん]を使用してて、重量は前の半分、強度と粘りは倍以上だぜ?」
 貯金の半分使ったけどね!
「おー!メルカバの機動が更に増すと言うのか!で、その尻尾に付いてるやつは?」

 高い買物その二!
「猫井に同じくオーダーメードしていた新型魔素伝導投射装置!」
「まそでんどうとうしゃそうち?」
「ワイバーンってのは沢山の魔素を感じる事は出来ても、それをドラゴンみたいに魔法として発射する事は出来ないの。で、この装置はワイバーンの捉えた魔素を操者に伝えてそれを錬成、外部に魔法陣を作り出して発射する事が出来る。しかし今までの装置はでかくて重かった」

「でもこの新型は尻尾に付けるだけだし、流線型で何より軽い!他のメーカーはスロットを設けて発射する魔法を選べたり、二十発連続発射出来たりするけど、メルカバの機動や運動を生かすには、やっぱ軽くないと!しかもトリガーは思念撃発式で、ドライバーの手を煩わせない!!魔法陣は照準しやすい正面投射パターンで、四発と言う少ない射数を命中精度でかb」
「アマシュー。圧縮空気の装填ってここ押してからだよね?」
「い、イツキ今私の事呼び捨てにしたー」
「う、うん・・・だめ?」
「イツキなら、、いーかな?」
「う、うん!」
「えへへー」
 ・・・・・・・。
 メルカバーー!!

<通達。三日月号だ!ワイバーン二匹とサラマンダー一匹を確認。コーディ・メルカバは先出して奴らを出迎えろ!勝手な真似はするなよ!?アマシュ・センチュリオンは肉薄射出。陣形を切り裂いてカタパルトを破壊しろ!>
 なる程、私は囮か!上等上等。
「行くわ!」
 私はメルカバに跨がる。シートは・・・ぴったりだ!流石オーダーメード!
「私がやろーかー?」
 アマシュが覗き込む。
「ううん。練習に調度良いし、イツキにお願いする」
「ご、ご主人様・・・」
「今日から本当の仲間よ?仲間を名前で呼ばないの?」
「こ、」
「コーディ」
 イツキの少し照れた表情。
「よく出来ました!」
 甲板からせり出した私は首を捻り正面を見る。目視距離に馬鹿デカイ船と三匹の翼竜。晴れ渡っていた空は萎み、曇天が姿を見せ始めている。

「行ってきます!」
 行ってらっしゃいと二人の出送り、私のガッツポーズ。
 発射の声はイツキの物。
 空気の炸裂。
 凄まじい加重。

 私は放物線の途中で楔を解き姿勢制御。一度短いロールを行い母船近くでメルカバを滞空させる。アルジの三匹は、メルカバと同じ小型高機動のスリヴァーを先頭に全く編隊を崩さず私を見据えている。
 ほーあのスリヴァーがリーダーか、しかし要注意は・・・。

「あの趣味の悪い、紅のサラマンダーがベテランか。ドライバーの鷹野郎が指示を出してる、前見なかった奴だ」
 きっと笑みを浮かべながら、私はメルカバの首元ぽんぽんと叩く。
「アイツが居なくたって!」
 私は二つの船が接触するのを確認し、高度を取り雲に隠れた。

 私は雲の中で、風に混じる様々な音に耳そばを立てる。センチュリオンの、サラマンダーにして更に高めの咆哮。あいつは獰猛な一族の中でも猛々しい性格で、射出前に必ず遠吠えをする。いくらアマシュが怒っても治らないそれは、何時しかそれは開戦の狼煙となっていた。

「まだか・・・」
 落ち着かず、手綱を握る力を強めたり弱めたり。メルカバに関しては、私の命令を無視して今にも風を叩き、飛び出してしまいそうだ。

 遅い!もう行くぞ!?

 メルカバの角度を落とし、太股に力を込めたその時耳に届く聞き馴れた長い咆哮。総毛立つ感覚に包まれた時には、既にメルカバは雲を切り裂いていた。

 一つになってしまうくらいメルカバに身体を密着。
 最高落下速度で掠める風は鏃より尚鋭い。
 ふと聞こえた相棒の咆哮に、私も喉を震わせ答えてやる。
 三騎がこちらを睨み付けた。は!遅ぇよ馬鹿め!

 射出されたセンチュリオンと交差し、編隊のど真ん中を切り裂き、海を踏み付け、水面に爪を断て、滑る様に回頭。お、紅いのはアマシュに付くか!良い反応だ!
 意識を集中。私一人じゃとても描けない、複雑な術式が現出する。
 出遅れた二匹に狙いを定め、力の解放を強くイメージ。
「バン!」
 硝子が割れる様な不快で美しい音と共に、箒サイズの氷柱が四本連続して発射された。流石新型!魔法陣形成後の流れに殆どタイムラグが無い!
 錐揉みして氷柱を回避した二匹が短く吠え、私達に突撃。来た!
「遊んでぇ」
 メルカバの翼を翻す。
 先導していた一匹が放った魔攻が紙一重で背中を過ぎる。
 続くスリヴァーの顎を宙返りついでに後ろ脚で引っ掻け、そのまま捻り海に叩き付けてやる。
「あげるっ!」
 それを踏み台に、再びメルカバが空を舞う。あは!ははは!
「あははははっ!凄いっ、私達凄いよメルカバ!」
 私はセックス以上の快感に笑いながら、流れる雲の隙間にアマシュを見る。

 月明かりの無い夜空よりなお暗い、真っ黒で、剣みたいに鋭い被膜を広げ、少女の断末魔に例えられる絶叫を上げたセンチュリオン。
 瞳も鼻も無いのっぺりとした面構えとは正反対に、ざっくりと裂けた口角からぼたぼたと炎を零し、凶々しい顎を全開にする。
 口内が真っ赤に燃える木炭みたいに光り輝く。
 爆発音と共に、はち切れんばかりに膨張した光から、三つの火球が連続発射。
 凄まじい速度で[三日月号]に吸い込まれるそれは、間髪で紅いサラマンダーが横から放った火球に阻まれ空中で四散した。
 鷹野郎はそのままの速度で短くバレルロール。
 途中で被膜を広げキャンセルしながらセンチュリオンを捕らえる。
 全力で風を叩きアマシュに突撃。
 センチュリオンが反応、びっしりと並んだ牙を剥く。
 それを宙返りで交わす紅いサラマンダーの口内には既に炎が練られている。
 しかしそれは、アマシュ自身の放った掌底がサラマンダーの鼻っ柱に直撃し、消えて失せた。

 肉薄戦闘。アマシュにぴったりで、そしてアマシュが最も得意とする領域。何せあの凶暴なサラマンダーノワールを手なずけたのも、あいつ自身の拳だってんだから頷ける。
 鷹野郎もまさかの[ドライバー自身による攻撃]に怯まず、離れ、肉薄し、まるで踊る様に食らい付いている。
「凄い・・・っと!」
 背後に感じた熱を私も宙返りで交わす。危ねっ!集中集中!
 そのまま捻り、鷹野郎の真似をする。面食らった敵に、私は弾丸突撃。遅い遅い!!
「もらったあぁぁぁ!!」

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