概要
ベスタクスのDJミキサー世界標準機。マイナー/モデルチェンジ版のPMC-05ProⅡ,Ⅲの他にも、サンプラー/ディレイ機能付きのSL、DVSを利用するユーザーに合わせて入出力が増えたDX、Q-BERTシグネチャー・モデルでのちの07Proのひな形になったProQなど多くのバリエーションがある。
各モデル説明
PMC-05Pro系
PMC-05Pro
PMC-05Proシリーズの初代モデル。
PMC-05のモデルチェンジ版として1995年(94年かも)に発売。価格は当時の定価で100.000円。US価格は当時サンフランシスコで働いていたDJ Top Billに拠れば「700ドル近く」らしい。
開発にはThe World Famous Beat JunkiesのDJ Rhettmatic、Melo-Dと
Invisibl Skratch PiklzのメンバーでもあるDJ Shortkutが携わった。DJ Rhettmaticによれば生産数は極小だとか。発売当初はフェイスプレートがグレーで、後にシャンパンゴールドになった。
※この機種は
ヘッドフォン・モニター出力でマスターの音を聴くことができず、そのままではスピーカーを使わない
ヘッドフォンだけのスクラッチ練習が出来ない。そのため、ステレオRCAオス→6.3㍉(あるいは3.5㍉)メス変換ケーブルを使い、ミキサーのLINE OUT部にRCA側、6.3㍉、もしくは3.5㍉側に
ヘッドフォンの端子を繋くとマスターの音を聴くことが出来る。
グレー
最初期のモデル。「生産数極小」とはこちらのカラーを指すと思われる。
シャンパンゴールド
後に発売されたモデル。上記グレーに比べて目にする機会は比較的多い。
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スペック表・PMC-05Pro |
Maker Vestax Company
Function
DJ Mixer (2 channel battle mixer)
Channels/Tracks
2 x stereo Channel
2 x mic Channel
Form Factor Tabletop
Signal Path Analog Hardware
Made In Japan
Dimensions 103 x 320 x 262 mm
Weight 3 kg
Power Source 15V DC
Connections
2 x Line In RCA (Phono, Cinch) Stereo
2 x Phono In RCA (Phono, Cinch) Stereo
2 x Mic In 1/4" Phone Jack (6.35mm) Mono
2 x Line Out RCA (Phono, Cinch) Stereo
価格
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PMC-05ProQ
PMC-05ProをベースにQ-BERTの意見を取り入れ
Vestaxのスタッフが手作業でカスタムしたモデル。変更点としては以下の通り。
モニターフェーダーの位置を変更
CUE以外にMASTERのモニタリングが可能に
PANのノブがロータリーからグラフィック(センタークリックは無し)に変更
マスターアウトのノブがロータリーからグラフィックに変更等、
後に登場する
PMC-07Proのひな形とも言えるレイアウトになっている。
オリジナル
1996年発売。IF・CF共にALPS製が搭載されている。後述の復刻版はIF・CF共にCF-PCVを搭載。
復刻版
復刻版は2001年にVESTAX TO THE CORE一周年で100台限定発売された。(ボトムプレート部がオレンジとブラックでそれぞれ50台ずつとの説あり。またもしそうならSN:0~50までがオレンジ、それ以降がブラックの可能性あり)
※2019年8月追記:復刻版の色とシリアルの関係性は無さそう(20番台と90番台でオレンジ×ブラックカラーが存在するため)
オリジナルはシャンパンゴールドのフェイスプレート、シルバーのボトムプレートだったが復刻版はレッドに近い濃いめのオレンジ、もしくはブラックのボトムプレート、ブラックのフェイスプレートになっている。
また海外ディストリビュータからそれぞれ数百台単位のオーダーで上記とは別に、フェイスプレートがスカイブルーとレッド(ボトムプレートは共にブラック)の仕様も販売されていた。限定数については上記とは別枠だそうです。
なお、海外ではサードパーティー製品で初代PMC-05Pro風カラーのトップパネルが発売されていた。(グレー、ブラックの2種。レッドとスカイブルーも存在した可能性あり。なお現在は全色販売終了ずみ)
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以下レビュー |
以下タンテ右翼より引用
復刻05proQ-BERTモデルの重要な欠陥について
※復刻版は復刻05proQ-BERTモデルを購入したキューベルト氏の報告によると、
- クロスフェーダーの切れが悪い
- Trimつまみをいじってもほとんど音量が変わらない
- 低音が異常に効き過ぎている
- ヘッドフォン出力のノイズが酷いといった欠陥が有ると報告されています。
※2013年3月20日追記
復刻版のレッドモデル(シリアルナンバーは028/100)を入手したので手持ちのPMC-07Pro(2013年1月メーカーメンテ済み)と比較しながら欠陥について調べてみました。
TRAKTOR AUDIO 6接続環境(タンテ→AUDIO6→ミキサーのLINE入力)と通常のアナログ接続環境で一時間ほど使用した結果、
- クロスフェーダーの切れが悪い - PMC-07Proに比べるとほんのわずかに感じる気がする。
- Trimつまみをいじってもほとんど音量が変わらない - 問題なく変化しました。
- 低音が異常に効き過ぎている - 効きすぎとまでは言わないが、確かに低音が強め(そういうセッティング?)調整は可能で問題なし。
- ヘッドフォン出力のノイズが酷い - 問題なし。むしろPMC-07Proの方がホワイトノイズがわずかに出ている。
今回入手・調査した個体はこのような結果でした。
※ただし、TRAKTOR SCRATCH接続環境(タンテ→AUDIO6→ミキサーのLINE入力)の状態でPHONO/LINE切り替えスイッチをPHONOにすると、欠陥として報告された通りの症状が確認出来ました。件の復刻版ProQは内・外の配線ミスが原因かもしれません。
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スペック表・PMC-05ProQ |
[仕様]
生産国:日本
サイズ:幅26cm、高さ10.5cm、奥行32cm
重量:3.3kg
価格
- 110,000円(オリジナル)
- 100,000円(復刻版)
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PMC-05ProⅡ系
PMC-05ProⅡ
1999年発売。PMC-05Proのマイナーチェンジ版。クロスフェーダーリバーススイッチの搭載、基盤のワンピース化(※PMC-05Proはツーピース)といった改良が施された。生産初期は日本製造で後に中国製造に。
フェイスプレートのカラーはシャンパンゴールド、レッド、ブラック、ブルー、ホワイトが存在する。またバリエーションとして初代05Proに似せたCLASSICが存在した。
※この機種は
ヘッドフォン・モニター出力でマスターの音を聴くことができず、そのままではスピーカーを使わない
ヘッドフォンだけのスクラッチ練習が出来ない。そのため、ステレオRCAオス→6.3㍉(あるいは3.5㍉)メス変換ケーブルを使い、ミキサーのLINE OUT部にRCA側、6.3㍉、もしくは3.5㍉側に
ヘッドフォンの端子を繋くとマスターの音を聴くことが出来る。
ガンメタリック
限定で生産カラー。非常に製造難度が高かったため少数が制作されたにとどまったそうな。
CLASSIC
2003年頃製作されたと思われる初代の復刻版。全世界100台限定、うち国内は50台限定だったらしい。ProⅡベースでリバーススイッチが見分けるポイント。フェイスプレートに隠れた本体左側にロータリースイッチを取り付け穴加工がされており、おそらくは05ProDの部品を流用したと思われる。
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スペック表・PMC-05ProⅡ |
■プログラムch数:2■フォノ入力数:2(RCA)■LINE入力数:2(RCA)■マイク入力数:2(1/4")■OUTPUT:2(RCA)■OUTPUTレベル:-10dB■ゲインまたはトリム:○■バランスコントロール:○■INPUT EQ:Hi、Low、2BAMD■OUTPUT EQ:×■AUXまたはEF:×
■トランスフォーマーボタン:×■INPUTフェーダータイプ:ダイヤル■内蔵エフェクツ:×■フェーダー形式:CF-05PRO(VCA)■EIAサイズ:4U■外形寸法:482W×176D×110H mm/4kg
価格
- 108,000円(当時)
- ¥52,500(税込・CLASSIC)
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PMC-05ProⅢ系
PMC-05ProⅢ
2003年?発売。PMC-05ProⅡのマイナーチェンジ版。モニターフェーダーの位置変更によりジャグリングプレイが容易になった他、SEND/RETURNの搭載、LOW EQが+12/-12dBから+12/-24dBに向上、
ヘッドフォンジャックが金属タイプに変更、PHONO/LINE切り替えスイッチがIS-05PRO2に変更、ロータリーノブの形状変更など、多数の改良が施された。
PMC-05ProⅢ
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スペック表・PMC-05ProⅢ |
■入力:LINE IN (RCA) x 2、PHONO IN (RCA) x 2、MIC IN (φ6.3PHONE) x 2
■出力:MASTER OUT (RCA) x 2
■イコライザー:各CHに3BAND / MICに2BAND
■交換用インプットフェーダー:IF-07PCV (\10,000)
■寸法/重量:262(W)×106(H)×370(D)mm/4.0kg
■電源:DC15V
価格
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PMC-05ProⅢVCA
2004年発売。PMC-05ProⅢのマイナーチェンジ版。クロスフェーダーの回路に使用されていたフォトカプラー部品の製造完了に合わせて心臓部の回路を変更した機種。2011年に生産完了になったが、2013年現在でも流通在庫が豊富に存在しており、新品の入手は容易。カラーはシルバーとブラック。
※2016年9月追記:メーカー破産に伴い現在は中古か流通在庫のみ。またVCAモデルで使用するAC-14 DMはすでに新品入手不可のため中古で購入の場合はアダプター付きか必ず確認すること。
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スペック表・PMC-05ProⅢVCA |
■入力
LINE IN (RCA) x 2,
PHONO IN (RCA) x 2,
MIC IN (φ6.3PHONE) x 2,
EFFECT RTN (RCA) x 1
■出力
MASTER OUT(RCA) x 2,
HEADPHONE OUT (φ6.3PHONE) x 1,
EFFECT SEND (RCA) x 1,
- イコライザー PGM 1 & PGM 2 : 2 BAND ISOLATOR,
- 周波数特性 25Hz~25kHz
- クロストーク ≧100dB
- S/N比 ≧75dB
- 寸法 / 重量 262(W) x 103(H)x 320(D)mm / 3.5kg
- 電 源 専用ACアダプター AC-14
■価格
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PMC-05ProⅢDX
PC DJ SOFTWARE対応
HIP HOP/SCRATCH系の定番モデルPMC-05Proシリーズの、PC DJ SOFTWAREに対応したモデルです。クラブ等プロの現場でのセッティングが非常に簡潔に行なえるだけでなく、ネクストプレーヤーへの受け渡しも、音切れすること無くスムーズに行なえます。
エラストマーブラックノブ採用
ロータリーボリュームのノブは正確で素早い操作に対応出来るエラストマーブラックノブを採用しました。
操作性、パフォーマンス性を向上
C.F.MONITORフェーダー、MASTER LEVELフェーダーの位置をスクラッチの際に邪魔にならない位置に配置。また片手で両方のインプットフェーダーを動かす際の操作性を考慮して、各インプットフェーダーの間隔を短くし、パフォーマンス性を向上しています。
PMC-05ProⅢにDVS用の入出力を増やしたバージョン。
フェイスプレートのカラーは、シルバー、レッド、ブラック(Power DJ's限定)、ホワイトが存在する。
※Input Select SWが壊れた場合DXだけ取り付けコネクタが2つあるためIS-05ProⅡは使用不可らしい。
※使用するAC-14アダプターはもう在庫が存在しないため中古購入時は必ず確認すること。
※ホワイトとレッドは画像が見つかりませんでした。
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スペック表・PMC-05ProⅢDX |
商品仕様 入力(リア)
- LINE IN:-10dBV(RCA L/R)×2
- PHONO IN:-42dBV(1KHz) (RCA L/R)×2
- MIC IN:-54dBV(φ6.3PHONE)×2
入力(フロント)
- EFFECT RCV: -10dBV(RCA L/R)×1
- PGM 1 DX IN(RCA L/R)×1
- PGM 2 DX IN(RCA L/R)×1
出力(リア)
- MASTER OUT:-10dBV(RCA L/R)×2
- LINE OUT:-10dBV(RCA L/R)×2(PARA)
出力(フロント)
- EFFECT SEND:-10dBV(RCA L/R)×1
- PGM 1 DX OUT(RCA L/R)×1
- PGM 2 DX OUT(RCA L/R)×1
- HEADPHONE OUT:160mW MAX(47Ω) (φ6.3PHONE)×1
イコライザー:各PGM CH、MIC CHに2BAND
交換用フェーダー:CF-PCV、IF-05PCV
電源:AC-14
消費電力:7W
寸法:262(W)×106(H)×320(D)mm
重量:4.0kg
価格
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PMC-05ProSL
2004年発売。PMC-05ProⅢにサンプラーとディレイ機能が追加されたバージョン。サンプラーはオーバーダビング可能(通常時23.8秒・オーバーダビング時11.9秒)で、別売りのフットペダル(TASCAM RC-30P)でコントロールすることも出来る。
■デジタルディレイ搭載。ディレイ音は、クロスフェーダーを動かしても残る為、スクラッチ音だけに、効果的にかけることができます。また、ディレイタイムの設定は、ツマミによる設定のほか、TAPによる入力も可能。
■オーバーダブモード時は、最大11.9秒までのサンプリングが可能。サンプリング音の再生は、プレイボタンを押す他に、グルーヴ感を出し易い「フェーダーを上げる操作」によるスタートも可能です。一度サンプリングしたバックトラックをループプレイさせながらの、オーバーダビングが無限にでき、また、オーバーダブのみの消去もできます。サンプリング録音スタートは、ボタン操作の他にフットスイッチも使用可能で、プレイ中、両手がふさがっている状態でのサンプリングスタートの時、とても便利です。(対応別売フットスイッチ:TASCAM RC-30P)
PMC-05Pro・から引き継がれている特徴
■C.F. MONITORフェーダー、MASTER LEVELフェーダーの位置をスクラッチの際に邪魔にならない位置に変更。また、片手で両方のインプットフェーダーを動かす際の操作性を考慮して、各インプットフェーダーの間隔を狭くし、パフォーマンス性を向上させました。
■MONITORをMASTER/MIX CUE、CUEからセレクトするMONITOR SELECTスイッチを搭載。本番前などに、
ヘッドフォン内でスクラッチをモニタリングすることができます。時間帯を気にせず練習することができます。
■各チャンネルには2バンドのシェルビングタイプイコライザーを搭載しています。可変範囲はHIが±12dBで、LOWは+12dB/-24dBです。
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スペック表・PMC-05ProSL |
■入力
LINE IN (RCA) x 2
PHONO IN (RCA) x 2
MIC IN (1/4inch PHONE) x1
■出力
MASTER OUT (RCA) x 2
HEADPHONE OUT (1/4inch PHONE) x 1
■イコライザー : 各PGM CHに2BAND
■交換用フェーダー : CF-PCV (\7,350) / IF-05PCV (\7,350)
■寸法/重量 262(W)×105(H)×370(D)mm/4.0Kg
■電源 DC15V 500mA (電源アダプター DC-15A DM \3,150)
■消費電力 : 7W
価格
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PMC-05ProSL VCA
2004年発売。05ProSLのVCAバージョン。
※使用するAC-14アダプターはもう在庫が存在しないため中古購入時は必ず確認すること。
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スペック表・PMC-05ProSL |
メーカー型番 : PMC-05ProSL VCA
入力 : LINE IN (RCA)×2、PHONO IN (RCA)×2、MIC IN (φ6.3PHONE)×2
出力 : MASTER OUT (RCA)×2、HEADPHONE OUT (φ6.3PHONE)×1
イコライザー : 各PGM CHに2BAND
交換用フェーダー(別売) : CF-PCV、IF-05PCV
電源 : AC-14
消費電力 : 7W
サイズ : 262(W)×106(H)×330(D)mm
重量 : 4.0kg
価格
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最終更新:2019年08月16日 20:26