アットウィキロゴ
私立仁科学園まとめ@ ウィキ
掲示板 掲示板 ページ検索 ページ検索 メニュー メニュー

私立仁科学園まとめ@ ウィキ

幸せ撲滅運動しないで先輩、出会いです!編

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集

幸せ撲滅運動しないで先輩、出会いです!編


378 名前:[[◆G9YgWqpN7Y]] [sage] 投稿日:2009/09/01(火) 11:29:18 ID:4X0g/c94

「それではこれで、失礼しましたー」
「失礼しましたー」

放課後の美術部、そこに珍しく部活動見学にきた一組の男女がいた。
その一組の男女の名は――なんだっけ?
ともかく、ごく自然に先輩、後輩と呼ばれるようになった二人が部活動見学から帰るところだ。
美術部について一通り説明した鈴絵が、見送りのためドアの近くにやってきている。
美術部には今のところ鈴絵しか部員がいない。おバカ3人組は予定通り逃げることにしたらしい。

「ええ、入部しなくてもいいからまた遊びに来て下さいね。先輩君、後輩ちゃん」

目を弓のようにし、ふわりと笑いながら、鈴絵は別れの挨拶をする。
それに対し、

「いやいや鈴絵部長の方が先輩ですから! なんで鈴絵部長まで先輩って呼ぶんですか! 」

先輩は思わず突っ込みを入れる。

「ふふふっ。いつもそう呼ばれてるから、つい……そういえばお名前なんでしたっけ」
「……おぼえて下さいよ? 俺の名前は――」
「先輩! 行きますよっ!」
「おっと甘いっ!――ととっ」
「あ……大丈夫? 部長としてはそんな無理して避けないでもいいと思いますよ」

急きょ露骨に腕を組もうとする後輩に対し、先輩は一瞬の判断で体を半歩ひねり回避。
しかし、体勢が悪かったのか僅かにバランスを崩す。
後輩は即断で先輩の肩へと手を伸ばす。狙いはそのまま抱きしめる格好になること。
しかし、先輩は反射的に避けようとしさらに上半身を逸らす。
結果、完全にバランスを崩した先輩は鈴絵に寄りかかる格好になっていた。

「あ、すいません鈴絵部長。いえこれはもう条件反射みたいなもので――」
「先輩! 行きますよっ!」
「わかったわかった。ええい、さりげなく手を引っ張るな。だからって組もうとするな!」

こうして後輩に引っ張られるような形で先輩は美術部を後にする。
その姿をにこにこと手を振りながら見送っていた鈴絵は二人が見えなくなるとふと溜息をついた。

「今回もきっとダメでしたわねぇ」
「だろうな」
「!! びっくりしますから気配消しながら近づかないでください。台先輩」

急に現れた台に対し、鈴絵は思わず半歩下がりつつ文句を言った。
それに対し、台は素直に頭を下げる。

「む、すまん。さっきまでカップルを尾行してたのでな」
「……なるほど。って、美術部放っておいてなにしていますか」
「俺たちはいないことがメリットだからな。美術部に貢献してると言える」
「……そうですか……はぁ」

鈴絵はさらに溜息を吐くと台をじと目で見上げる。
その不満げな様子を台は受け流しつつ言葉を続ける。

「それはともかく、俺の嫉妬メーターが微妙に反応したからここにやってきたわけだが、あの二人が原因か?」
「なんですか嫉妬メーターって。私にわかるわけがないじゃないですか」

呆れたようにいう鈴絵。台は何か考えるように視線を下に向けている。

「まあいいです。とりあえず中に入りましょうよ。ここに立っててもしょうがないですよ」
「ま、そうだな」

二人は中へと戻り、それぞれの椅子に着く。
しばらく二人とも絵を描く準備をしていたが、ふと鈴絵が話しかけた。

「そういえば、台先輩はあの二人を見てどう思います?」

鈴絵のどう、という抽象的な問いに台は的確に答える。

「そうだな……まだまだランクは低いな。要監視ではあるがそれ以上でもない」
「あれ? そうですか? 校内ではすでにバカップルって噂ですけど」
「将来的にはそうなるかもしれんが、まだまだ漫才コンビレベルだと見ている」
「へぇー、珍しくずいぶん辛口ですね」
「女の方がかなりの演技者、策士でな。そのせいで逆に先に進んでないような感じだ。
外堀はほぼ埋まっているからそれも時間の問題だとはいえるが……。
まったく、もっと進めば遠慮なくシメに行けるのだがな」
「それは行かなくていいですから」

つまらなそうに話す台に鈴絵はバッサリ切り捨てる。
台はしばらく無言でいたが、ふと鈴絵に尋ねた。

「そういえば部長はあの男の方をしっていたようだが?」
「先輩君ですか? どうしてそう思います?」
「なに、俺の説明をあっさり納得してたからな。
あれだけ噂されていれば、俺の言葉といえどそう簡単には信じないはずだ。
それに会話が初対面相手とも思えなかった」

その台の言葉に鈴絵は首を少しだけ傾け、軽く唸る。

「うーん。台先輩の観察眼だけは確かですから別に信用しますけどね。
ともかく何回か会ったことがありますよ」
「なるほど」

またしばらく無言の時間が過ぎる。
結局先に口を開いたのは鈴絵の方だった。

「……聞きたいですか?」
「そうだな」
「いいですよ」

鈴絵はかばんから水筒を取り出しお茶を出す。台の方は美術部に密かに置いてあるせんべいを開ける。
二人してずずっとお茶を飲みながら、鈴絵は話し始めた。

「そうですね、初めて会ったのが半年くらい前だったかな……」


■    ■    ■

朝の日課として境内の掃除をしている鈴絵は、その日も巫女装束姿で普通に掃除をしていた。
ふと人の気配を感じ階段の方へと目を向ける。
そこには一人の学生らしき人物がきょろきょろとあたりを見回しながら隠れるように歩いている。
何かに見つかってはいけないような感じで、周りを注意深く見まわしている。
なんというか、明らかに挙動不審。

「うーん」
しばらく考えてていた鈴絵だったがしばらくしてトコトコと近づくと、

「どうしました?」

声を掛ける。

「のわっ……あ、違ったか。良かった」
「? なんのことか分からないですけど挙動不審すぎですよ」
「……俺、そんなに挙動不審だったか」

バツが悪そうに顔を顰める少年。
その様子に軽い含み笑いを漏らす鈴絵。ふと少年の服装に気づく。

「あら、その制服、仁科学園のですね。登校には早いんじゃないかしら」
「ははは……ちょっと事情がありまして」

適当にごまかそうとする少年に首を傾げる鈴絵。
少年は誤魔化すためにさらに言葉を続ける。

「まあ、このまま行っても暇なんですけどね」
「なるほど。それなら神社の掃除、手伝っていきませんか」
「……そこでどうして"それなら"になりますか?」

鈴絵の唐突な提案に少年は思わずつっこむ。
それに対し、鈴絵は極真面目に答える。

「暇なら体を動かしたほうがいいですよ。ほら、健康にもいいですし」
「本当はそう言ってサボりたいだけなんじゃないですか?」
「違いますよ。あまりに挙動不審だったので、そのまま歩いてると職質されそうでしたので……」
「そこまで挙動不審でした!?」
「はい」

ずーんと微妙に落ち込んでるような少年に、鈴絵はさっさと箒を持たすと境内に戻る。
少年も迷ったようだが最後にはついてきた。
そしてついて行きながら口を開く。

「でも、時間忘れて遅刻したらまずいよな。いいわけにもならないし」
「そこは大丈夫です。私も生徒ですから」
「えっ?」
「えっ?」

なぜか微妙に凹んだ鈴絵だった。


■    ■    ■

「――そんな感じで先輩君とは会いましたね。それから何回か会ってますよ」

鈴絵は話し終えると、せんべいを一枚取りカリッと食べる。
それまで黙って聞いていた台は、ずずっとお茶を飲み干してから口を開く。

「一つ聞いていいか?」
「はい?」
「そのとき一緒に登校したか?」
「はい。そうですがなにか?」

その答えに、台は納得のいった顔になる。

「あー、なるほど。これで疑問は解決した」

その言葉に今度は鈴絵の方が不審の顔になる。

「えと、どういうことですか?」
「いや、なんでもない。部長には関係あるが関係ないことだ」
「どっちなんですか~!」

鈴絵は疑問の声を出すが台はすでにスルー。油絵を描くために移動する。

「うむ、今日はよく寝れそうだ」
「だからなんのことですかー!」

今日も美術部は微妙に騒がしいのだった。




タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最近更新されたスレッド
人気記事ランキング
ウィキ募集バナー