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創作部日常風景2

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創作部日常風景2


417 名前:[[◆YUcgEgI6jo]] [sage] 投稿日:2009/09/14(月) 22:53:56 ID:1yp8g6xO

放課後、教室の扉に『創作部活動中』という張り紙が貼ってある教室の中で、俺は机に向かって詩の創作に勤しんでいる。
机の上には珈琲入りの紙コップとノートのダブルコンボで、見るからに作家といった雰囲気を醸しだしている。我ながら少しナルシストだと思うが・・・・。
少し創作活動を休憩し、珈琲を飲もうとする。

瞬間、紙コップが何かに貫かれた・・・否、スプラッタされた。

最早俺の手には紙コップすらなく、制服は珈琲で濡れている。
呆然と立ち尽くす俺の横で、歓声とほくそ笑む声が聞こえた。

 「凄いやん!りっちゃん!粉々やに」
 「少し威力上げただけ・・・別に凄い事じゃない」
 「いや、それはもう兵器だな。軽くスプラッタだ」

 「待てコラ、オイ」

 珈琲まみれの服装の俺を見て、士乃が吹きかけた。殺意が湧いた。

 「や~、どうしても和君がやりたいゆうたき・・・」
 「ちょっ、士乃が言い出したんだろ!」

 士乃は笑を堪えながら弁解する。横にいる和を睨みつける。こちらは必死に士乃との共謀論を主張しているが、前々から俺に対しての悪戯の回数は、正直目に余る。

「和、お前か?」

 わざと声を低くして言い放った。ビクッとしてこちらの顔に目を向けた。険しい顔に気付いたのか、顔色は若干青ざめている。もし図星だったら『サッフォーの刑』にでもしてやろうか。いや、まだ生ぬるいから新開発した『てるよバーニング』でも試してみようか。

 「ちょっ、俺じゃないから!どー考えても士乃が怪しいでしょうよ!」
 「もー、和君嘘はいかんね~」
 「しらばっくれんな!ああ、この崇人の顔はヤバい!絶対『宮沢固め』する気だ!」
 「いや、もう少しランクは上だぞ」
 「嫌ぁぁぁ!!あれより上は駄目だー!!」

 いつか試した技をまだ引きずっていたのか。間違いは一応正しておく。
 構えをとって、ジリジリと和を教室の隅に追いやる。あまりの恐怖に和が悲鳴を上げる。
 後ろで士乃の堪えているような笑い声が聞こえる。多分こいつが主犯だろうが、もう引くに引けなくなってしまったから、気づいて無いふりをしておこう。

 「3つ数えろ。楽になる」
 「うわぁぁぁぁぁあぁぁあ!!!」

 「まって」

 飛び掛ろうとした瞬間に声がかかり、服を引っ張られ直前で中止を余儀なくされた。声のする自分の眼の前より少し下を見る。見れば、そこには少し小さめの女の子が立っている。

 「葎、どうした」
 「和君だけ悪いわけじゃない。士乃ちゃんと私も共犯」

 大体予想していた言葉が返ってきたところで士乃のほうを振り向く。ビックとして「さー、創作しよーと」と言ってそっぽを向いた。予想どうりの事だったので、溜息をついて葎の頭の上に手をポンと乗せる。

 「葎に言われちゃ仕方ないな。でもこいつらに手を貸すのは、もうやめる事」
 「・・・でも崇ちゃん、途中気づいてた」

 うっ、と言葉が詰まる。長い付き合いだからこちらの事も殆んど見透かされている。こんなのだから葎と正面から向き合うことが今になってつらい。
 それとも自分の思考が読みやすいのか、そんなステレオタイプな思考では物書きとしては平凡以下の作品しか創作できない。もっと精進せよ・・・・・そういう事かも知れない。

「まあ、そんなことより・・・・」

 溜息混じりに言って士乃のほうを向く。やや視線に気づいたようで、壷の出来を確かめるフリの独り言を焦ったかのように並べている。報復が来ることが分かっているのか後ずさりを始めている。
 懲らしめる道具は何にしようか、そう考えていると葎が何かを差し出した。

 「コレは?」
 「モデルガン。威力は弱めてる」

 ありがたい。そう言って拝借した。葎は昔からこの手の作りものは得意だが、少し色気というものが前々から足りないと思っていた。何せ私服がジャージな時点でどうかと思う。今度買い物を提案してやろうと、心の中で決めた。
 しかし、今は目の前の事に精一杯尽くさなければならない。再犯防止のために。

 「ちょっ、崇人!痛い事せんとってよ!」
 「威力は弱めらしい」
 「なら安心やね!ってちがうけん!」
 「問答無用!」

 そう言い放って、お仕置きを始めた。

崇人と士乃の乱闘風景を、葎はジっと見つめている。只手を貸すわけでもなく、上の空に近い状態で目の前の騒ぎの進行を見守る。

 「妬いてんの?」

 上の空に限りなく近い状態の葎に、和が話しかけてきた。他人の事に干渉して、笑いものにするなんて態度が、今の自分の心情には随分居心地が良いと葎は感じた。

 「そうかも」
 「やっぱ幼馴染だもんな。少しドライな感じだけどさ」
 「崇ちゃん、今は士乃ちゃんに夢中だもの」
 「あれは友情のたぐいだと思うけど?」

 確かに、二人には男女という概念が存在しない様に感じる。
 崇人は居心地が悪いモノを嫌がる癖がある。異性という概念が有る存在にとっては、ひどく奥手になってしまうというのが崇人の性だ。
 そう考えると自分にとっての態度は異性として認められているのか、そう考えると良い事なのだろうが、葎にとってはあまり面白くない。

 「こんなに思ってるのにっ」

 妬いている気持ちを荒立てるかのように、力強いが小さく嘆いた。
 こんな思いが無ければ良かったなんて、もう考えられないのだけれど。

 「まあ、チャンスは無いかもよ?、幼馴染」

 気遣うという行為とは百倍も遠い和の言葉に、葎は少し励まされたような気がした。
 無くてもいい。只一緒にいる風景を大事にしたいと、ずっと前に決めた事。それが再確認できただけで少しでも自信になった。

 「そうかもね」

 楽しげに笑いながら、前に起こる乱闘沙汰を観戦する。
 その風景が、葎の見つけた日常風景だった。






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