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幸せ撲滅運動解散編?

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幸せ撲滅運動解散編?


485 名前: [[◆G9YgWqpN7Y]] [sage] 投稿日:2009/11/07(土) 10:22:44 ID:eIjF7iw6

夕暮れの放課後、人気のない校舎裏に一組の男女が向き合っていた。
少年の方は極めて真剣な顔をして少女に向い、
少女は手を胸元で組み合わせ、少年を見つめている。

少年はごくりと唾を飲み込み、緊張で若干震える口を開く。

「俺……君の事が好きなんだ……!
 この気持ちを言葉で伝えようと思ってもうまく言えない……
 だから、ストレートに言うよ。……俺と付き合ってください」

その言葉に少女は顔を真っ赤にし、うつむき――そして顔をあげ少年を見る。
少女の唇が動く。

「はい……私もあなたが好きで――」

「ちょっと待ったああああああああ!!」

突如、複数の足音が聞こえたと思うと、怒号とともにやってくる三人組。
そう、もう言わずともわかるかもしれないが、
大型台中型那賀小型省の三人組が現れた。

告白しようとしていた少年はとっさに少女を後ろに庇い、3人組と対峙する。

大型台の怒号は続く。

「オラオラッ!! 俺達の目が届く所でカップルになろうとは、
 神が許しても俺が許さん! 今ここで別れれば許してやるがな!!」

続いて中型那賀は陰湿に嗤う。
「クククッ……久々の大物だ……さて、どうやって料理してやろうか?」

最後に小型省が言う。
「さあ! 台さん! 俺に命令してください! 俺にこいつをぼこぼこにする命令を!!」

三人はじりじりと近づいていく。
その圧迫感は恐怖となり、少年と少女へと襲いかかる。
その威圧に少女は思わず少年の服を握る。

少女の震えを感じ、少年は自分の中にある勇気を奮い立たせた。
少年は台に対峙し、体の震えを実感する。
恐怖でこれ以上体が動かないと錯覚してしまう。
しかし、少年はその恐怖を飲み込み、引くことなく台へと吠える。

「断る! 俺は、彼女が好きなんだ!! その気持ち、お前らになど折られはしない!」

その少年の宣言に台は不敵に笑う。

「はっはっはっ! いい宣言だ! だが! おまえはこれから後悔することになるぞ!」

台は腕を振り上げる。振り下ろせば少年の顔面に当たる距離。
その巨体から繰り出される打撃は相当なものだろう。
だが、少年は微動だにしない。ただ、少女を守るため、己の体を盾にする。

台は容赦なく少年へと振り下ろす。

それでも少年は少女を守るため動かない。


――当たる


しかし、少年は崩れない。ただ、立っている。
その表情は不可解だという顔で固定されている。
台の拳は少年に当たった。ただし当たっただけだ。
そこに痛みは感じない。むしろ触れているという解釈の方があっているだろう。

その台は拳をひき、言葉を発する。
「……ちっ……その気持ち、本物か?」

その問いと内面まで見透かすような視線に少年は力をこめて頷くと、
台は踵を返して後ろの二人に告げる。

「あー。今回も失敗だ、行くぞ。こいつは殺しても気持ちは変わらん」

那賀や省もため息をつくと言う。

「やはりカップルってのは手ごわいな……まだまだ勝つのは難しい」
「これで30連敗っすね。難しいっすねー」

そう言って、3人とも踵を返し、去ろうとした。


しかしそのとき――

それまで少年の後ろにいた少女が三人組へと声を掛ける。

「あの……?」
「なんだ?」
その言葉に立ち止まり、台は顔だけを向けて聞く。

少女は聞く。
「なんで、こんなことをするんですか?」

その問に台は、
「いつも公言してるだろ。ついこの間の新聞部のインタビューや放送部でも答えたよな」

と言う。

しかし、少女は言葉を続ける。
「でも……放送や、新聞を色々見ていると……それは理由にならない気がします」

どうやら、この少女、その手の類の物を結構読んでいるようだ。
少女は黙っている三人組に言葉を続ける。

「正直言って……リア充ですよね。皆さん」

続けて放たれた意外すぎるその言葉に、衝撃を受けたように固まる三人組。
少女の言葉に少年の方が思い出したように言葉を続ける。

「そういえば那賀さんの方はすでに彼女もちでしたよね」
「そうそう、台さんの方も美術部の部長さんと良い中だそうですし」
「この前、省さんがアーチェーリー部の部長さんと仲良くしてたと友達がいってましたね」

固まり続ける三人に対し、少年と少女は同時に告げる。

「「これってリア充ですよね?」」


なぜか風が通り過ぎた気がした。


そのまましばらく固まっていた三人組だったが、やがて唐突に走り出した。

「「「これで勝ったと思うなよおおおおお!!!」」」

なぜか捨て台詞を残しながら。





この場に残った少年と少女は、同時に尻もちをつくかのように座り込んだ。

少年は話す。
「……ははは、腰が抜けちゃったよ。怖かったなあ」

その少年に少女は言う。
「私も怖かった……でも、ありがとう。……これからよろしくね?」
「ああ、これからよろしく」

校舎裏に清々しい笑い声が響く。
こうしてまた、一組のカップルが誕生したようだった。

一方そのころ、美術室では三馬鹿会議が始まっていた。
珍しく、そこには馬鹿3人組しかいない。

台は、黒板にテーマを書き込み、告げる。
「今回のテーマは、"俺たちはリア充か!?" だ。
 リア充と決まればカップル撲滅運動は解散するしかない……わかったな!」

「「はい!」」
残る二人は揃って声をあげる。

「まずは那賀からだ! ……リア充決定!!」
「異議なし!」
「ちょっと待てー!!」

さっそくリア充認定された那賀は声を張り上げるが、二人は無視。
と、いうかぶつぶつ言っている。

「あの美人をあの面でゲットしてる時点で奇跡的なリア充だろ……」
「いつもいつもいつもいつも会うたびにべったりしやがってバカップルめっす……」
「おい、まて、ちょっとは人の話を聞け!」

しかし、那賀の抗議は無視。

続けて台は言う。

「さて、次は俺だが……どうだ?」

その問いに二人は悩む。

「そうだな……確かにあの部長をよく知らない奴らから見ればそうだろうな」
「そうっすねぇ……でも、あの部長っすからねぇ」
「伊達に天然悪女じゃないよな……。あれで騙された男が何人いるか……」
「しかも本人そのつもりは全くないのがまた危険っすよねぇ」
「そうそう、誰にでも無意識にそうしてるから性質が悪い」
「そのうち、気があると思いこんじまった男に何かされそうで怖いっすよねぇ」

おおむね、三人の男たちは同意見のようだ。

「よし、俺は恋愛関係においてリア充ではない。これは決定でいいな?」
「異議なし!」
「異議なし!」

最後に台が問い、決定された。

続けて台は言う。
「最後に省だが……アーチェリー部の部長だっけか?」
「そう見えったっすかねぇ?」

疑問形だが、若干嬉しそうな声を出す省。
はっきりいってきもい。

だが、そんな省を尻目に台は断言する。

「……あれに限ってそれはないな」
「どどど、どうしてっすか!!」

言葉に動揺が出ている省に対し、台は諭すように話しかける。

「あれは大のファザコンでな……まったくもって目はないぞ。
 将来の夢は? と聞かれて即"お父さんのお嫁さん! むしろ今すぐなりたい!"
 とか答えるレベルだぞ! あの年齢でだぞ!! 無理だ! 諦めろ!!!」

後半やや過熱気味に話した台だったが、額に浮かんだ汗をぬぐうと、告げる。

「よって、省もリア充ではない。いいか?」
「異議はない」
「やっぱりこういう扱いっすか……異議ないっす」

台はそれぞれの名前に×○×と書き、告げる。

「これで決まった。1:2の多数決で俺たちはリア充ではないことが証明された。
 よって引き続きカップル撲滅運動を続けることにする。いいな!」

「おう!」
「了解っす!」

三人の意志は固まった。再び三人は立ち上がる。
カップル撲滅という難題に挑むために……



そう、三人の戦いはこれからだ!!



終わり。



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