アットウィキロゴ
私立仁科学園まとめ@ ウィキ
掲示板 掲示板 ページ検索 ページ検索 メニュー メニュー

私立仁科学園まとめ@ ウィキ

Two birds

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集

Two birds

    272 名前:Two birds ◆JOjO5CPwM2 [sage] 投稿日:2009/07/22(水) 01:36:20 ID:iMrNoxuw

―――お前をすぐにでも地獄へ送ってやるぅぅぅ―――お前をすぐに…
がしゃっ、という音が狭い空間の中に響く。
趣味の悪い目覚まし時計の短い針が示す『6』ぴったしを確認して、俺はベッドから転げ落ちるかの様に降りる。
ドアノブに手をかけ、思春期の男子一人では大きすぎる程のリビングに俺は出た。唯一の父親が仕事で遠い異国で住み、日本で一人暮らしとはいえ、まるで豪邸だ。何度見てもそう思う。

「おはよ…」

帰ってくる返事は無い事を知りながら、俺はぼやけた視界のままテーブルに置いてあったクリームパンを手に取り、口の中に放り込みながら制服に着替える。

「まさに晴れ着…か」

170cm後半ある俺の体格には合ってないと言われても構わないのだが、今日から高校生なのだ。俺、小鳥遊雄一郎(たかなしゆういちろう)は。

◇◆◇◆◇◆

玄関から外に出て、朝の空気を吸う。
いつも吸い慣れた、そして通い慣れた道だ。趣味でしている散歩のコースと変わらない。

「…にしても、だ。少し早すぎたか?」

腕時計を見ると6時半。
確かに早すぎた気がしないでも無い。
だが早起きは三文の得という事だしな。

「…しかし、早起きしても得にはならん事もある訳だが。いや、それならば三文の損―――」
「邪魔だよっ!どいてどいてっ!」
「おわっ!?」

いきなり俺の朝の思考を止めた小さな影。
身長は150…それより更に下。
小学生の様な外見…なら良かった。
着てるのが、俺が今から行く学校の、女子の制服だったのだからな。

「…うはぁ、ちっさ…って、なんでアイツ急いでいたんだ…まぁ、良いか」

俺はさっきの見た目は小学生(仮)とは反比例するかの様に、ゆっくり学校へ向かった。

◇◆◇◆◇◆

長かった入学式が終わり、俺は教室内での軽い自己紹介を終え、休み時間を迎えていた。

(…にしても、俺の隣、誰なんだ?)

朝この教室に入っても俺の隣は居なかった。
学校には来たらしい。だが、何故か此処には居ない。

「不登校の奴とかなのか?」
「―――勝手に不登校にしないでよっ!」
「?」

何処からか聞こえてきた声。
でも、前には居ない。
後ろを振り返り、右、左をも見るが、それらしき人物は居ない。

「…空耳か?」
「下だよっ!し・た!」
「下…!?」

居た。こじんまりとまるで子猫の様な上目遣いで、藍色のセミロングの、あの時の小学生(仮)が居たのだ。

「本当に失礼すぎるよ!朝の時も、キミが居なかったらボクは更に早く着いたのに、更に見下し、見失うなんてっ!」
「いやいやいや!お前、あん時の小学生(仮)!?」
「小学生とかじゃ無い!ボクには『鷲ヶ谷和穂』って名前があるんだよ!?」
「知らねーよ!?てか、お前俺と本当にタメなのか!?」
「一緒じゃ無かったらココに居ないよ…」

そう言いながら鷲ヶ谷和穂(わしがやかずほ)は肩を落とす。
俺はそれに比例して、溜め息をつく。
ややこしい事になった、と。


「まぁ、別に良いけどさ、キミの隣、ボクだから」
「あぁ、やっぱか…つーか、なんでお前俺より早く来たのに居なかった?」

ギクッ、とした様に和穂は顔の色を青くし、しばらく考えた後、「あ、後回し!後回しだよ!」と言った。逃げたなこいつ。

「あ、そうだ。キミの名前は?」
「小鳥遊雄一郎だ」
「変な名字」
「言われ慣れてるさ。そんな事」
「ふーん。じゃあよろしく、雄一郎」

和穂が俺の方へと手を差し出す。
これはつまり…

「握手という事か?」
「そうだよ。キミが小鳥、ボクが鷲。繋がりがあるし、良いじゃん」

…そういう問題じゃねぇだろうがよ…
だが俺はここで空気を読まない男じゃあない。

「あぁ、よろしく。和穂」
そう言って握った和穂の手は俺よりかなり小さかった。



かくして、俺の高校生活は今スタートラインから飛び立った。
「鷲ヶ谷和穂」という大きな名前の小さな鳥と共に。

投下順に


前:school life 次:携帯

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最近更新されたスレッド
人気記事ランキング
ウィキ募集バナー