幸せ撲滅運動 美術部編、かも
303 名前:[[◆G9YgWqpN7Y]] [sage] 投稿日:2009/07/29(水) 01:05:14 ID:YMdSi62K
そのキャンバスには一つの風景が描かれていた。
この学園のグラウンド。そこに様々な人物が描かれている。
トラックを今にも走り出そうとしている男子学生。
野球の練習を行っている男子生徒。それを見ている女子生徒。
遠くではランニングを行っている生徒など。
まるで写真のように、いや、それ以上の躍動感を持って描かれている。
それを見た人にはそれぞれの人物の感情まで手に取るようにわかる。
そんな油絵が描かれていた。
この学園のグラウンド。そこに様々な人物が描かれている。
トラックを今にも走り出そうとしている男子学生。
野球の練習を行っている男子生徒。それを見ている女子生徒。
遠くではランニングを行っている生徒など。
まるで写真のように、いや、それ以上の躍動感を持って描かれている。
それを見た人にはそれぞれの人物の感情まで手に取るようにわかる。
そんな油絵が描かれていた。
――しかしそれもまだ、書きかけのままで。
その油絵を描いている人物、大型 台は、いったん手を止めると全体を確認するように眺めている。
しばらく時間が経ったであろうか。美術室の扉が開き、一人の女子生徒が入ってきた。
手には彫刻に使う様々な材料を持っている。
どちらかというとおっとりとした雰囲気を持つ少女は体を屈めその材料を部屋の端に降ろす。
髪の先のところをリボンでまとめた黒色のロングヘアーが揺れ、一瞬台から顔を隠す。
再び背を伸ばし、大型台の方に振り向く。
その目の色も黒、大きめの目は若干たれ目気味、身長は160cm程度。
出るとこは出てひっこむ所は引っ込む割とグラマラスな体形だが、
全体の雰囲気から美人というよりかわいいと形容する人が多い、そんな少女だった。
どちらかというとおっとりとした雰囲気を持つ少女は体を屈めその材料を部屋の端に降ろす。
髪の先のところをリボンでまとめた黒色のロングヘアーが揺れ、一瞬台から顔を隠す。
再び背を伸ばし、大型台の方に振り向く。
その目の色も黒、大きめの目は若干たれ目気味、身長は160cm程度。
出るとこは出てひっこむ所は引っ込む割とグラマラスな体形だが、
全体の雰囲気から美人というよりかわいいと形容する人が多い、そんな少女だった。
その少女はつかつかと台のそばに寄ってくる。あと一歩という所まで近づき、腕組みをし、口を開けた。
「台先輩、手伝ってくださいと何度もお願いしたはずですよ。結局私一人でやることになりましたよ」
その雰囲気通り、柔らかい口調のまま、台に対し抗議する。
その雰囲気通り、柔らかい口調のまま、台に対し抗議する。
「俺、不良だからそんなことはやらないし、今いいところだから絵を描き続ける」
「先輩、そんな変な言葉を使わないでください。それだから留年するのですよ」
「好きで留年してるからいいじゃないか。学費も自分で稼いでるから問題ないだろ?」
「先輩……好きで留年なんてしないで下さい。それに問題はあると思います」
「先輩、そんな変な言葉を使わないでください。それだから留年するのですよ」
「好きで留年してるからいいじゃないか。学費も自分で稼いでるから問題ないだろ?」
「先輩……好きで留年なんてしないで下さい。それに問題はあると思います」
しみじみと言う少女に対し、台は気まずくなったのかそっぽを向く。
少女はしばらく非難の目を向けていたが、ふと目を油絵に写す。
ふっと少女の口から感嘆の吐息が漏れた。
少女はしばらく非難の目を向けていたが、ふと目を油絵に写す。
ふっと少女の口から感嘆の吐息が漏れた。
「先輩、さすがですね」
「ほう、部長の目から見てもそう思うか?」
「ええ、人物は特に。それに比べると風景がやや弱いと思いますが」
「ほう、部長の目から見てもそう思うか?」
「ええ、人物は特に。それに比べると風景がやや弱いと思いますが」
部長、と呼ばれた少女はその描きかけの絵を端的に評した。
それに台も頷き、言う。
「そうだな、色々試してはいるがどうも風景に対するパンチが弱い。
まだまだ観察眼を鍛えないと描けないな」
それに台も頷き、言う。
「そうだな、色々試してはいるがどうも風景に対するパンチが弱い。
まだまだ観察眼を鍛えないと描けないな」
そこまでで言葉は止まり、無言の時間が流れる。いつもならそれで終わりのはず。
しかししばらくたっても少女が動かないことを確認し、台は少女へと問いかける。
しかししばらくたっても少女が動かないことを確認し、台は少女へと問いかける。
「それで、この絵以外のことで何がいいたい?」
その問いを待っていたかのように少女は口を再び開いた。
「一つ。今年の新入生をどう集めるか。去年は先輩達のせいで新入部員ほとんどいませんでした。
二つ。私に油絵について教える約束はどうなっているのか? 約束したっきり全く教えてもらってません。
三つ。先輩は今年卒業するつもりがあるのか? ないといったら殴ります」
二つ。私に油絵について教える約束はどうなっているのか? 約束したっきり全く教えてもらってません。
三つ。先輩は今年卒業するつもりがあるのか? ないといったら殴ります」
じっと見つめながらいう少女を前にして、不良はき然と答える。
実はちょっと背中に汗をかいているが悟られないようにする。
実はちょっと背中に汗をかいているが悟られないようにする。
「一つ。俺たちは隠れてるから鈴絵部長がやればいい。きっと野獣のような眼をした男どもが群がってくるぞ。性的な意味で。
二つ。今はこの絵を完成させることとカップル狩りで忙しい。もう少し後にしてくれ。
三つ、それは問いですらないよな?」
二つ。今はこの絵を完成させることとカップル狩りで忙しい。もう少し後にしてくれ。
三つ、それは問いですらないよな?」
その答えに鈴絵は深いため息をつく。
「結局私一人でやるしかないですか……。それに私との約束は完全にすっぽかす予定ですね?」
「まあ頑張ってくれ。もちろん新入生とカップル成立になったら全力でシメにいくからな」
「はいはい」
「まあ頑張ってくれ。もちろん新入生とカップル成立になったら全力でシメにいくからな」
「はいはい」
最後の台の言葉は軽く聞き流しながら鈴絵はもう一度溜息を吐く。
「文句をいいたそうだな」
「文句はいくらでもありますが、言っても治らないおバカさんなのでいいません」
「それがわかってるなら上等だ」
「そこは認めるところじゃありません……」
「文句はいくらでもありますが、言っても治らないおバカさんなのでいいません」
「それがわかってるなら上等だ」
「そこは認めるところじゃありません……」
そこまでで再び言葉が止まる。
鈴絵は今度こそ若干不貞腐れたような、諦めたような態度で自身のキャンバスに向かおうとする。
鈴絵は今度こそ若干不貞腐れたような、諦めたような態度で自身のキャンバスに向かおうとする。
その時、再び扉がひらいた。
そこから入ってきたのは一人の中等部の少女だった。
肩まで掛かる髪を茶色に染め、顔立ちは割と整っているが、釣り目がちで、鋭い雰囲気を纏った少女。
その少女は手にビニール袋を持っていて、台にぽんと手渡した。
肩まで掛かる髪を茶色に染め、顔立ちは割と整っているが、釣り目がちで、鋭い雰囲気を纏った少女。
その少女は手にビニール袋を持っていて、台にぽんと手渡した。
「兄貴、持ってきたぞ」
「おう、早かったな……ふむ、これなら上出来だ」
「そうか、じゃ、用事が済んだし行くからな」
「ああ」
「おう、早かったな……ふむ、これなら上出来だ」
「そうか、じゃ、用事が済んだし行くからな」
「ああ」
それだけ言って帰る少女。
それを目だけで見送った鈴絵は台に疑問の声をあげる。
それを目だけで見送った鈴絵は台に疑問の声をあげる。
「あの子、妹さんですか?」
「ああ、見るのは初めてか? 魅紗と言う」
「へぇー。あ、今、何を持ってきてもらったんですか?」
「見るか?」
「ああ、見るのは初めてか? 魅紗と言う」
「へぇー。あ、今、何を持ってきてもらったんですか?」
「見るか?」
台はビニールを広げ、鈴絵はその中を覗き込む。
「……双眼鏡? それにあんぱん?」
「ああ、カップル成立間近という奴らが現れたからな。これから張り込み作業をしなければならない」
「ああ、カップル成立間近という奴らが現れたからな。これから張り込み作業をしなければならない」
自信満々に言い切る台の前に鈴絵はつかつかと歩みよる。後一歩という所で鈴絵は再び口を開いた。
「……先輩、ひとついいですか?」
「なんだ? その笑顔が逆に怖いが」
「なんだ? その笑顔が逆に怖いが」
いい笑顔を浮かべる鈴絵に対し、台は一歩後ろに下がろうとし、
「殴ります」
しかし、間髪いれず渾身の右ストレートがみぞおちに叩き込まれた。
――これでまた、ある一組のカップルは救われたようだ
おわり