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不思議少女学園系 第二話

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不思議少女学園系

     174 名前:不思議少女学園系 ◆NN1orQGDus [sage] 投稿日:2009/07/26(日) 20:31:50

第二話「放課後」
1/2

 放課後ともなれば、帰宅部の生徒が足早に家路を急ぎます。
 勿論わたしもその一人です。
 いくら仁科学園が自由な校風といっても、閉鎖的で強い抑圧のせいでストレスを感じてしまう学校という施設には代わりがありません。
 ええ、そうです。
 輝かしい青春時代がストレスによって灰色に染められる前に心に潤いを与えなければならないのです。
 つまり、具体的に言えばポリス・アカデミーを見なければならないのです。
 勿論吹き替え版にかぎりますが。
 あのテーマを聞くと心が弾んでウキウキするのはわたしだけではない筈です。
 何度見ても面白いポリス・アカデミーは人類が産み出した至宝なのです。
 そんな訳で。
 今日もそそくさと下駄箱に向かう私だったりするのです。

「ちょっと待つのだわ!」

 ですが、いますね。邪魔をする人。
 見なくても声と口調で誰なのか解るのですが、聞き間違いという事に一縷の望みを託して振り替えると、やっぱり杏さんでした。

「今日という今日は付き合って貰うのだわ!」

 スタイルが良いのを自慢したいのか、杏さんは大きな胸を張ってビシィッとわたしを指差しました。

 なんか小憎たらしいので無視をしたいのですが、親友を想う気持ちがそれなりに強いわたしには出来ませんでした。
 ハッキリ言って不覚です。

「嫌ですよ。だって今日はポリス・アカデミーを見る日ですし」

「昨日もそう言ったのだわ! 友情とポリス・アカデミーのどっちが大事なのか解っているのかなのだわ!」

 そんな事決まっているじゃありませんか。ポリス・アカデミーに決まっています。
 初等部からの付き合いなのに、そんな事が解らない杏さんに涙が溢れてしまいそうです。
 ですが、泣きません。泣いたら負けなのです。

「大体ですね、杏さんに付き合っても良いことないじゃないですか」

 毅然と、優雅に、逞しく。
 わたしは堂々とない胸を張って反論したのですが、杏さんは鼻で笑いました。
 パリンと割れて粉々に砕けてしまいそうですね、友情が。
 ですが、杏さんはそんな事を夢にも思わないようです。

「今年の新入生はみんな受けっぽくて豊作なのだわ! 誘い受け遅い受け漢受けの見本市なのだわ! この喜びは友人と解りあうべきなのだわ!」

 だわだわ五月蝿い杏さんはクネクネと身体をくねらせて遠い世界に行ってしまいました。

2/2

 分かりやすく話をかいつまむと、杏さんは新入生の男子を視姦して楽しもうと私を誘ったのが一週間前。
 そんな感じです。
 顔を艶っぽく上気させて、表情に官能とか陶酔とかそこら辺をいろいろとごった煮にして悶え震えている杏さんは、端から見ると怪しい人です。
 自分の世界に入り込んでしまったのを幸いに、すたこらさっさと逃げ出すのがこの場での正義です。

 踵を返して走り出そうとしたのですが、無理でした。
 杏さんより怪しい人、具体的には血まみれの伊庭さんが、虚ろな瞳で徘徊していたからです。

「い、伊庭さん……?」

 伊庭さんは不良の巣窟と呼ばれている工業科の生徒で血まみれなのはおかしくありません。ですが、白いけど血で紅く染まっているエレキギターだかベースを持っているのに驚いてしまいました。

 記憶の糸を手繰り寄せると、試合に出れないから剣道部を出奔して、軽音楽部に駆け込んだと言うことをこの前聞いたような気がしました。
 あんまり関係ないので忘れていましたが。

「……軽音の部長がよぅ……部活でロックをヤるなんて言うからよぅ……どたまカチ割ってやった……ロックにたいするぅ……冒涜じゃねーかい……許せねえよな……」


 ブツブツと呟く伊庭くんの瞳に私は映っていませんが、取り敢えず昔取ったきねづかでベースだかエレキギターで頭をカチ割ったのは解りました。

 怖いですねえ、音楽性の違い。
 腐女子のカップリング論争と同じくらい怖いのかも知れません。

 兎に角なにより。
 今はポリス・アカデミーです。
 早く帰らなければならないのです。


 結論から言いますと。
 無事に早く帰宅出来たのですが、ポリス・アカデミーは見れませんでした。
 間違えてポリス・ストーリーを見てしまいました。
 ハマってしまいました。
 嬉しいですね、人類の至宝がポリス・アカデミーではなくてジャッキー・チェンに気づいて。
 嬉しすぎて泣いてしまいそうです、わたし。


――to be continued on the next time?




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