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[[前へ>挑戦者 その5]] ジャイアンはポケモンセンターで休憩を取っていた。  ポケモンセンターのジョーイはトレーナーにとって大切な存在である。 もちろんポケモンの体力回復、状態異常改善の手助けは ゲームでもおなじみである。 そしてこの世界ではトレーナーに様々な情報を与える存在でもあった。 ジャイアンはそれにより、リオルの覚える技を教えてもらった。 聞き覚えの無い技でも、質問すればジョーイは必ず答えてくれる。  「ありがとな、ジョーイさん!」 ジャイアンのお礼の言葉にジョーイは微笑んで答える。 (さて、あとはリオルがどれを使えるか……) ジャイアンは今書き留めたメモをもとに思考を巡らした。  この世界にはレベルという言葉が無い。 つまりレベルが数字としては表されていないと言うことだ。 そのポケモンがどのくらいの実力を持っているか、 それがこの世界においてのレベルなのだ。 例えば、ジャイアンは最初のうち ココドラに「アイアンテール」などを命令していた。 そしてその技がまだ使えないことを知った。 そこでゲーム内では比較的初期段階の習得技である「メタルクロー」を 使うようになったのである。 文字では難しい話だが、ジャイアンは本能で理解していた。 そして技のレパートリーは、戦いを積み重ねるにつれて 増えていくことにも気づいていた。 「また修行?」 スズナの呆れたような口調に、ジャイアンは真面目に頷く。 「よくやるわねぇ……まあいいことだけど。  ここのジムはあんたのポケモンじゃ厳しいだろうし……そうそう。  この町のジムはかくとうタイプらしいわよ」 ----  ――のび太の家 三人はここに集まっていた。 何故かドラえもんが失踪した今、 三人はこの町を仕切る中心的な存在となっている。 その三人とは、義雄〔苗字不明、漢字適当〕、金尾タメル、 ズル木〔名前不明〕の三人である。  「ドラえもんが失踪してからもう二日」 義雄の口調は絶望に満ちていた。 「ああ、もう何度も聞いたさ!」 ズル木は歯を食いしばって怒鳴る。「仕方ないじゃないか。 僕らがこの町を守らなきゃ」 「どうやって?」 金尾が口を挟む。 「僕らには何の道具もないよ。どうやってあんな怪物たちから町を守るのさ」  金尾が言った言葉。それが、三人が集会を開いた理由だった。  野生のポケモンたちが町へ侵入し始めていたのだ。 「ああ、せめて出木杉がいてくれればなぁ」 義雄はため息混じりに言う。  三人はしばらく何も言わなかった。  最後に出木杉が三人の前に現れたのは三日前。 その日、三人はのび太の家で発見した「あるもの」を考察すべく、 出木杉を呼んだのである。 話は四日前に遡る…… ----  「出木杉!これだよ」 四日前、義雄はのび太の部屋を開けざまにそう言った。  義雄の指先には質素なデザインのドラえもんの道具。タイムテレビがあった。 それは義雄がドラえもんの留守中にたまたま発見したものだった。  「さ、ドラえもんが来ないうちに速く!」  「何かわかったことがあったら言ってくれよ!」 その時の三人はすっかり出木杉に頼りっきりだった。  金尾がスイッチを押して、タイムテレビが起動した。 そこに写っていたのは朝の場面――のび太がドラえもんに起こされていた。 ポッポを見て驚くのび太。 「どうやら、この世界に始めてポケモンが現れたときのものらしいね」 出木杉は呟いていた。 やがて映像の中のドラえもんが、今ポケットを持ってないことを示した。 その後二人は部屋を出て、画面から消えた。 「ここまでなんだ……何かわかったことはある?出木杉?」 「…………」 「出木杉!? どうした?」 「ん、ああいや、なんでもないよ」 出木杉はそう答えた。  三人はその時、気づいていなかった。 出木杉が画面を見ながら、悪魔のような笑みを浮かべていたことに…… ----  三人は集会が無駄だったことに落胆していた。 結局いい案など何一つ思いつかないままである。  だが、三人が去り際に、好機は訪れた。 「やあ、みんな」 のび太の家の玄関があき、少年が現れる。  その姿に気づくと、三人は表情が徐々に変化していった。 落胆から、歓喜へと…… 「出木杉!」 一番玄関に近かったズル木が口をあんぐり開ける。 「戻ってきてくれたのか?」 「ああ。でも、すぐに行かなきゃなんだ。  君たちに頼みがある。それを伝えにね」 出木杉は三人に説いた。  ……その説明は、三人を驚愕させる。 「まさか、この現象を引き起こしたのが」 「あいつだなんて」 「これが真実なんだ」 出木杉は頷きながらはっきりと言う。 「そして、これから言うことを理解して実行してほしい」 出木杉はその計画を話し出した。  ――半日ほどの修行で、ジャイアンはリオルの戦い方を把握していた。 朝が来て、ジャイアンはジムの前で立っている。 スズナが隣で、買いだめした道具を持っている。 「回復用の道具は買えるだけ買ったわ」 スズナが告知した。 「よし、じゃあ行くか」 ジャイアンはジムの扉を開けた。 ----

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