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ドラーモン作大長編 その7 - (2006/12/17 (日) 11:35:30) の1つ前との変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
注:鬼畜出木杉
森の中
一人の女が走っていた。
特徴的な青い装束はアクア団のものだと分かるが、一般的な形と少し違う。
彼女はアクア団幹部、イズミ。
「まさか子供相手に遅れを取るとは……」
天気研究所で会った二人の子供。
彼らの連携に思わぬ敗北をしてしまい、こうして逃走している。
『次は必ず倒してやる』
イズミはそんな事を考えていた……そう、だから注意力も散漫だったのだ。
ふいにイズミの腰に何かが巻き付く。
「きゃぁっ!」
イズミはそのまま宙に持ち上げられる。
「こ、これは……つるのムチ……」
ホウエン地方ではお目にかからない珍しい技だ。
「野生の、ポケモンじゃ…ないわね」
「ご名答」
ぱちぱちと拍手の音がする。
暗闇から現われたのは10歳くらいの少年と、ムチを出しているモンジャラ。
「子供のいたずらは相手を見てからするものよ、私は……ああうっ!」
イズミの体を締め付ける力が増す。
「その子供に負けてこんなところを逃げ回ってるのは誰なんですか?」
少年が笑う。
「貴様……アクア団の幹部に対して……」
イズミが燃えるような目をして睨み付ける。
そんなイズミを冷ややかに見つめる少年の後ろから一人の少女が現われた。
----
注:鬼畜出木杉
「出木杉様、お呼びでしょうか」
「ああツツジ、待ってたよ。君も一緒にここにいてくれ」
『ツツジ?行方不明になったカナズミのジムリーダーがなぜ?』
イズミはツツジと出木杉という少年の関係がさっぱり分からず困惑する。
二時間後。
イズミをムチで拘束したまま、出木杉は何もせずにただ座っていた。
ツツジは出木杉の真意が分からず、ただ待っているだけだ。
「そろそろかな」
出木杉が宙に吊られているイズミを見上げる。
「出木杉様、いったい何が……」
ツツジは怪訝そうに質問する。
「このイズミって女は高飛車でプライドが高いんだ」
そう言って笑う出木杉の目は冷たい。
「そう、君と同じタイプなんだよ、ツツジ。こういうタイプには普通に言っても何も聞いてくれない」
そう言うと出木杉はどこからかステンレス製のボールを取り出した。
「だから話を聞いてくれるようにしないと」
出木杉の言葉と手に持つ容器の関係が分からずにツツジは首を傾げる。
「イズミさーん、元気ですかー!」
出木杉が上で縛られているイズミに声をかける。
「わ、わた……しを……、はな…せぇ…」
明らかにイズミの様子が変だ。
その様子を見てツツジも出木杉のやりたいことを理解した。
『出木杉様、容赦ないですわ……素敵……』
----
注:鬼畜出木杉
出木杉がモンジャラに命令し、イズミを出木杉の前に差し出す。
「苦しそうですね、イズミさん。何かご希望がありましたら遠慮なくおっしゃってください」
イズミは顔を紅潮させながら小さくつぶやく。
「……ィレ…」
「聞こえませんよ」
「…トイレに……」
出木杉がニヤリと笑い、ステンレスのボールを置いた。
「はい、トイレ」
イズミの目が憤怒で染まる。
「ボクの部下になってくれたら拘束を解いてあげるよ」
「そ、そんな取引……んんっ」
イズミの思考力はすっかり低下している。
とにかくこの場を切り抜けたいがために、つい口走ってしまった。
「部下にでも何でもなるからぁっ!」
「だぁめ」
出木杉がイズミのズボンと下着をまとめて勢い良くずり下げた。
「あっあぁぁぁっ!」
極限まで敏感になった部分が外気に触れ、ついに我慢していたものが放物線を描く。
「やぁぁっ、と、とまらないっ、んんんんんーーーっ!」
「はははは、ステンレスってすごい音出すよね」
自らを制御できずにいるイズミ、その目はすでにこの場を見ていない。
「『大人のくせに』こんなところでおしっこしちゃうなんて、だらしないなぁ」
イズミはアクア団本隊と再び合流した。
その心に新たな主人を抱いて……
----
カナズミシティ。
ドラえもんとしずかはデボン社長にお使いの達成を報告して、デボンコーポレーションを後にした。
トウカシティでのジム戦は二人の圧勝で終わった。
しずかのサーナイト、ドラエモンのヤミラミ&エアームドはすでにセンリのポケモン達を大きく上回っていたのだ。
ハジツゲへの寄り道、物拾いによる不思議なアメの入手。
しずかに関してはスネ夫との戦いによる経験蓄積も大きい。
「がくしゅうそうち、貰っちゃったね」
「それにみんなの分のポケナビもね。これさえあれば皆と連絡が取れるわ」
一休みするためポケモンセンターに寄った二人。
ポケモンを預ける際にジョーイが思い出したように声を上げた。
「ドラエモンさんとシズカさんですね、昼にユニオンルームで待ち合わせしたいとの連絡を受けております」
二人は顔を見合わせる。
「ん?もしかしてのび太くんかな?」
「じゃあどこかの町にいるのかしら!」
時間は昼前、二人はユニオンルームに入室した。
しばらく待つと、転送による光の柱が現れる。
「よう、二人とも元気か!」
二人の前に現れたのは意外な人物。
「じ、ジャイアン!!」
ジャイアンが通信を求めてくるとは意外だ。
「そっちは……カナズミか。俺はヒワマキにいるんだ」
----
「ヒワマキ……」
しずかがポケナビで地図を見ると、キンセツの川を渡った先の町の様だ。
「剛さん、のび太さんを見なかった?そっちの方にいるはずなんだけど……」
ジャイアンがにやりと笑う。
「ああ、我が心の友のび太くんだろ?お前達への伝言預かってるんだ」
「ジャイアン、のび太くんに会ったのかい!」
ドラえもんの目から涙があふれる。
二度も川に落ちる不運さもアレだが、それでも野垂れ死にしていないのは不幸中の幸いだ。
「のび太はここのジムバッジをゲットして、今キンセツに向かってるはずだ。空を飛んでるからもう着いてるはずだぜ」
ドラえもんはその話を聞いて大泣きに泣いた。
「うおーんおんおん、のび太くんが、のび太くんが…そんなに立派にぃぃぃ~」
「ドラちゃん、良かったわね」
しずかまでもらい泣きしている。
「つーことで確かに伝えたぜ、俺は先に行くからな!」
その時、しずかが重要なことを思い出す。
「確かスネ夫さんがキンセツに向かってるはず……」
それを聞いたドラえもんは顔を青くする。
「そうだ、スネ夫にインネン付けられてなきゃいいけど……」
しかしジャイアンはガハハと笑って答えた。
「ああ、心配するな。のび太がスネ夫ごときに負けるわけねーよ」
----
ジャイアンの妙な太鼓判に、不安ながらも納得する二人。
何がジャイアンののび太に対する評価を上げたのか、ドラえもんにはさっぱり分からないのだが。
「あ、ジャイアン!これ持っていって!」
ドラえもんが転送システムでジャイアンに道具を転送する。
「んー?なんだこりゃ」
「それはポケナビ。今度からはエントリーコールで連絡を取り合おうよ」
ジャイアンはひとしきり操作の説明を受け、ユニオンルームから消えた。
「ジャイアンはああ言ってたけど……」
「やっぱり心配だわ」
二人は顔を見合わせる。
「のび太くん(さん)だからねぇ…」
二人は急いでカナズミを後にする。
キンセツシティ。
のび太が到着したとき、キンセツではとある噂が持ちきりだった。
「よう、ジョギングマン。生きていたかい!」
のび太に気付いたギタリストのテリーがやってくる。
テリーの話では、キンセツに「露出ボーイ」が現れたらしいのだ。
キンセツ都市伝説
「露出ボーイ」
前から見ても横から見ても同じ髪型をしている少年が下半身全裸で走り回る。
昔、サイクリングロードで自転車を奪われた少年の霊だと言われている
「うーん、そんな変な髪型の奴なんているの?」
のび太の疑問はもっともである。
「さあな、大方アフロヘアーだったなんてオチじゃねえの?じゃあな」
----
テリーと別れたのび太。
その姿を物陰から見つめるのはスネ夫だった。
「のび太のやつ、相変わらずバカ面しやがって……」
あいつのペットのドラえもんには散々な目にあわされた。
仕返しにもならないが、奴でもいじめてウサ晴らしをしてやろう。
「やい、のび太!」
聞き知った声にのび太が振り向くと、そこには懐かしい友人がいた。
「スネ夫ー!元気だった?」
再会の喜びに駆け寄り、思わず手を取ろうとしたが、そんなのび太を力一杯突き飛ばすスネ夫。
「な、なにするんだよ!」
「今ボクはすごくムシャクシャしてるんだ!のび太、お前と遊んでやるよ」
そんなスネ夫をしげしげと見つめるのび太。
「前から見ても横から見ても同じ髪型……」
スネ夫の肩がビクンと震える。
「まさか、スネ夫が露出ボーイ……なんてことはないよね」
「のび太ァッ!お前コテンパンにしてやるよォォォッ!」
スネ夫の顔が般若のようになり、懐のモンスターボールに手を掛けた。
キンセツのギャラリーがそんな二人を見物に集まる。
後にキンセツ史に語られる事となる「ジョギングマンと露出ボーイ、真昼の決闘」である。
注:鬼畜出木杉
森の中
一人の女が走っていた。
特徴的な青い装束はアクア団のものだと分かるが、一般的な形と少し違う。
彼女はアクア団幹部、イズミ。
「まさか子供相手に遅れを取るとは……」
天気研究所で会った二人の子供。
彼らの連携に思わぬ敗北をしてしまい、こうして逃走している。
『次は必ず倒してやる』
イズミはそんな事を考えていた……そう、だから注意力も散漫だったのだ。
ふいにイズミの腰に何かが巻き付く。
「きゃぁっ!」
イズミはそのまま宙に持ち上げられる。
「こ、これは……つるのムチ……」
ホウエン地方ではお目にかからない珍しい技だ。
「野生の、ポケモンじゃ…ないわね」
「ご名答」
ぱちぱちと拍手の音がする。
暗闇から現われたのは10歳くらいの少年と、ムチを出しているモンジャラ。
「子供のいたずらは相手を見てからするものよ、私は……ああうっ!」
イズミの体を締め付ける力が増す。
「その子供に負けてこんなところを逃げ回ってるのは誰なんですか?」
少年が笑う。
「貴様……アクア団の幹部に対して……」
イズミが燃えるような目をして睨み付ける。
そんなイズミを冷ややかに見つめる少年の後ろから一人の少女が現われた。
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注:鬼畜出木杉
「出木杉様、お呼びでしょうか」
「ああツツジ、待ってたよ。君も一緒にここにいてくれ」
『ツツジ?行方不明になったカナズミのジムリーダーがなぜ?』
イズミはツツジと出木杉という少年の関係がさっぱり分からず困惑する。
二時間後。
イズミをムチで拘束したまま、出木杉は何もせずにただ座っていた。
ツツジは出木杉の真意が分からず、ただ待っているだけだ。
「そろそろかな」
出木杉が宙に吊られているイズミを見上げる。
「出木杉様、いったい何が……」
ツツジは怪訝そうに質問する。
「このイズミって女は高飛車でプライドが高いんだ」
そう言って笑う出木杉の目は冷たい。
「そう、君と同じタイプなんだよ、ツツジ。こういうタイプには普通に言っても何も聞いてくれない」
そう言うと出木杉はどこからかステンレス製のボールを取り出した。
「だから話を聞いてくれるようにしないと」
出木杉の言葉と手に持つ容器の関係が分からずにツツジは首を傾げる。
「イズミさーん、元気ですかー!」
出木杉が上で縛られているイズミに声をかける。
「わ、わた……しを……、はな…せぇ…」
明らかにイズミの様子が変だ。
その様子を見てツツジも出木杉のやりたいことを理解した。
『出木杉様、容赦ないですわ……素敵……』
----
注:鬼畜出木杉
出木杉がモンジャラに命令し、イズミを出木杉の前に差し出す。
「苦しそうですね、イズミさん。何かご希望がありましたら遠慮なくおっしゃってください」
イズミは顔を紅潮させながら小さくつぶやく。
「……ィレ…」
「聞こえませんよ」
「…トイレに……」
出木杉がニヤリと笑い、ステンレスのボールを置いた。
「はい、トイレ」
イズミの目が憤怒で染まる。
「ボクの部下になってくれたら拘束を解いてあげるよ」
「そ、そんな取引……んんっ」
イズミの思考力はすっかり低下している。
とにかくこの場を切り抜けたいがために、つい口走ってしまった。
「部下にでも何でもなるからぁっ!」
「だぁめ」
出木杉がイズミのズボンと下着をまとめて勢い良くずり下げた。
「あっあぁぁぁっ!」
極限まで敏感になった部分が外気に触れ、ついに我慢していたものが放物線を描く。
「やぁぁっ、と、とまらないっ、んんんんんーーーっ!」
「はははは、ステンレスってすごい音出すよね」
自らを制御できずにいるイズミ、その目はすでにこの場を見ていない。
「『大人のくせに』こんなところでおしっこしちゃうなんて、だらしないなぁ」
イズミはアクア団本隊と再び合流した。
その心に新たな主人を抱いて……
----
カナズミシティ。
ドラえもんとしずかはデボン社長にお使いの達成を報告して、デボンコーポレーションを後にした。
トウカシティでのジム戦は二人の圧勝で終わった。
しずかのサーナイト、ドラエモンのヤミラミ&エアームドはすでにセンリのポケモン達を大きく上回っていたのだ。
ハジツゲへの寄り道、物拾いによる不思議なアメの入手。
しずかに関してはスネ夫との戦いによる経験蓄積も大きい。
「がくしゅうそうち、貰っちゃったね」
「それにみんなの分のポケナビもね。これさえあれば皆と連絡が取れるわ」
一休みするためポケモンセンターに寄った二人。
ポケモンを預ける際にジョーイが思い出したように声を上げた。
「ドラエモンさんとシズカさんですね、昼にユニオンルームで待ち合わせしたいとの連絡を受けております」
二人は顔を見合わせる。
「ん?もしかしてのび太くんかな?」
「じゃあどこかの町にいるのかしら!」
時間は昼前、二人はユニオンルームに入室した。
しばらく待つと、転送による光の柱が現れる。
「よう、二人とも元気か!」
二人の前に現れたのは意外な人物。
「じ、ジャイアン!!」
ジャイアンが通信を求めてくるとは意外だ。
「そっちは……カナズミか。俺はヒワマキにいるんだ」
----
「ヒワマキ……」
しずかがポケナビで地図を見ると、キンセツの川を渡った先の町の様だ。
「剛さん、のび太さんを見なかった?そっちの方にいるはずなんだけど……」
ジャイアンがにやりと笑う。
「ああ、我が心の友のび太くんだろ?お前達への伝言預かってるんだ」
「ジャイアン、のび太くんに会ったのかい!」
ドラえもんの目から涙があふれる。
二度も川に落ちる不運さもアレだが、それでも野垂れ死にしていないのは不幸中の幸いだ。
「のび太はここのジムバッジをゲットして、今キンセツに向かってるはずだ。空を飛んでるからもう着いてるはずだぜ」
ドラえもんはその話を聞いて大泣きに泣いた。
「うおーんおんおん、のび太くんが、のび太くんが…そんなに立派にぃぃぃ~」
「ドラちゃん、良かったわね」
しずかまでもらい泣きしている。
「つーことで確かに伝えたぜ、俺は先に行くからな!」
その時、しずかが重要なことを思い出す。
「確かスネ夫さんがキンセツに向かってるはず……」
それを聞いたドラえもんは顔を青くする。
「そうだ、スネ夫にインネン付けられてなきゃいいけど……」
しかしジャイアンはガハハと笑って答えた。
「ああ、心配するな。のび太がスネ夫ごときに負けるわけねーよ」
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ジャイアンの妙な太鼓判に、不安ながらも納得する二人。
何がジャイアンののび太に対する評価を上げたのか、ドラえもんにはさっぱり分からないのだが。
「あ、ジャイアン!これ持っていって!」
ドラえもんが転送システムでジャイアンに道具を転送する。
「んー?なんだこりゃ」
「それはポケナビ。今度からはエントリーコールで連絡を取り合おうよ」
ジャイアンはひとしきり操作の説明を受け、ユニオンルームから消えた。
「ジャイアンはああ言ってたけど……」
「やっぱり心配だわ」
二人は顔を見合わせる。
「のび太くん(さん)だからねぇ…」
二人は急いでカナズミを後にする。
キンセツシティ。
のび太が到着したとき、キンセツではとある噂が持ちきりだった。
「よう、ジョギングマン。生きていたかい!」
のび太に気付いたギタリストのテリーがやってくる。
テリーの話では、キンセツに「露出ボーイ」が現れたらしいのだ。
キンセツ都市伝説
「露出ボーイ」
前から見ても横から見ても同じ髪型をしている少年が下半身全裸で走り回る。
昔、サイクリングロードで自転車を奪われた少年の霊だと言われている
「うーん、そんな変な髪型の奴なんているの?」
のび太の疑問はもっともである。
「さあな、大方アフロヘアーだったなんてオチじゃねえの?じゃあな」
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テリーと別れたのび太。
その姿を物陰から見つめるのはスネ夫だった。
「のび太のやつ、相変わらずバカ面しやがって……」
あいつのペットのドラえもんには散々な目にあわされた。
仕返しにもならないが、奴でもいじめてウサ晴らしをしてやろう。
「やい、のび太!」
聞き知った声にのび太が振り向くと、そこには懐かしい友人がいた。
「スネ夫ー!元気だった?」
再会の喜びに駆け寄り、思わず手を取ろうとしたが、そんなのび太を力一杯突き飛ばすスネ夫。
「な、なにするんだよ!」
「今ボクはすごくムシャクシャしてるんだ!のび太、お前と遊んでやるよ」
そんなスネ夫をしげしげと見つめるのび太。
「前から見ても横から見ても同じ髪型……」
スネ夫の肩がビクンと震える。
「まさか、スネ夫が露出ボーイ……なんてことはないよね」
「のび太ァッ!お前コテンパンにしてやるよォォォッ!」
スネ夫の顔が般若のようになり、懐のモンスターボールに手を掛けた。
キンセツのギャラリーがそんな二人を見物に集まる。
後にキンセツ史に語られる事となる「ジョギングマンと露出ボーイ、真昼の決闘」である。
----
衆人環視の中、二人はポケモンを繰り出した。
「いけ、ヌケニン!」
「頑張れ、ケッキング!」
スネ夫のヌケニンに対してのび太が出したのはケッキング。
「ケッキング、あくびだ!」
ケッキングのあくびがヌケニンの眠気を誘う。
「お、ボクの(もともとはジャイアンのだけど)ナマケロを進化させたんだな、のび太にしては上出来だけど……」
スネ夫のヌケニンは毒毒でケッキングを猛毒に侵す。
「そんな2ターンに1回しか動けない奴なんか恐くないぜ!」
次のターン、動けなくなったケッキングはヌケニンに砂をかけられてしまい、毒で体力を消耗する。
「なんだ、全然たいしたことないな」
余裕のスネ夫。
あくびの効果でヌケニンは眠ってしまったが、どうせ攻撃技は切り裂くか欲しがるが関の山だろう。
しかし、のび太のケッキングが覚えている攻撃技はただひとつ。
「ケッキング、だましうちだ!」
悪タイプ、しかも砂かけの影響を受けないだまし討ちがヌケニンにヒットする。
「な、なにいっ!」
「やった、倒したぞ!」
偶然なのか戦略なのか、とにかくヌケニンを撃破されてしまった。
スネ夫は歯噛みしながら2体目にテッカニンを出す。
----
ケッキングは動けないので、テッカニンは影分身で回避率を上げる。
「こいつで補助効果積んで全滅させてやるよ!」
加速で素早さが上がる。
「次は剣の舞だ!」
攻撃力まで上昇したテッカニン。
しかしまたもやのび太はスネ夫の想像を覆した。
「ケッキング、アンコール!」
「ええええええ!」
ギャラリー達も唸る。
皆は影分身後の積み技を予測したのび太の戦術に唸ったのだろう。
『いや、きりさくをアンコールして次にジュペッタだすつもりだったんだけど……』
のび太はケッキングを引っ込め、トロピウスを出した。
剣の舞を続けるテッカニンに対して空を飛んで攻撃、またもや一撃で倒してしまった。
「な、なんだこの展開は!のび太のくせに、のび太のくせに!」
スネ夫は怒り狂い、エースのゴルバットを繰り出した。
「あやしいひかりだ!」
ゴルバットの光を見たトロピウスが混乱し、自らを攻撃してしまう。
「ピー助、言うことを聞いてくれよ!」
そんなトロピウスにゴルバットのエアカッターが急所を直撃する。
トロピウスは再び自らを攻撃し、その巨体を沈めた。
「ピー助、ピー助……」
「ほら、さっさと次のポケモンを出せよ!ウスノロ!」
スネ夫の怒りはおさまらない。
----
のび太が次に出したのはドククラゲだ。
「のび太、色違いなんてお前にはもったいないな」
スネ夫がせせら笑う。
ドククラゲの素早さは早いが、ゴルバットを倒せる技は持っていない。
「ほら、何でもこいよ!まきつくのか?ようかいえきか?」
挑発するスネ夫にのび太が叫んだ。
「れいとうビーム!」
冷気の光線を受け、ゴルバットが凍り付く。
「ジャイアンから貰ったれいとうビームの技マシンを使ったんだ!」
「ぐぐ……ジャイアンの奴め、余計なことを!」
スネ夫の手持ちはジュカイン、マルノーム、そしてキノココ。
弱点を突かれずに戦えるのは皮肉にものび太から奪ったマルノームだけだった。
「マルノーム、お前の元主人をぎゃふんと言わせてやれ!」
冷凍ビームを耐えてのしかかり、マヒさせることに期待するしかない。
しかしのび太の偶然はスネ夫の期待を打ちのめした。
「そうだ、確かジュペッタに技マシンでサイコキネシスを覚えさせたんだっけ!」
渾身ののしかかりはジュペッタには効果がなかった……
結局終わってみればのび太の圧勝。
「ちきしょー、覚えてろよのび太!」
スネ夫は小悪党の捨て台詞を残して去っていく。
その目にはのび太に対する怒りとは別のものが秘められていた。
「ジャイアンめ、目の前にいなくてもボクの邪魔をするのか……許せない!」
----
サファリゾーン。
ジャイアンは草むらで必死の捜索をしていた。
冷凍ビームを持つラグラージ、火炎放射を覚えたバクーダ。
この2体のおかげで苦もなくヒワマキのジムリーダー・ナギを倒したジャイアンはサファリゾーンに来た。
ここにはある用事があったからである。
「はぁはぁ、なんで捕まんねーんだよ……」
これで四回目の挑戦、かれこれ100個以上サファリボールを投げていることになる。
「くそっ、手強い奴だぜ。そういやゲームでもなかなか捕まらなかったっけ」
そう思い返すジャイアンの前に新たなポケモンが現れた。
「へへ…いやがったな」
大きな角、青光りする硬い外殻。
男の子の夢、甲虫王者ム…ヘラクロスである。
「おーりゃー!」
ジャイアンはサファリボールを投げるが、ヘラクロスはすぐボールから出てしまう。
「このっ!このっ!」
何度も何度も挑戦するが捕まらない。
そしてヘラクロスは去り、ジャイアンは21度目の捕獲失敗を喫した。
「ああ捕まんねえ!どうなってんだよ全く!」
休憩所でイライラしているジャイアンに他の客も生きた心地がしない。
彼は毎回ここに現れ、辺りの物に当たり散らして帰っていくのだ。
たまらずに一人の男がジャイアンにアドバイスする。「あのー、もっと近づいてボールを投げれば……」
その言葉にジャイアンはポンと手を叩く。
「そうだった、近づけばよかったんだ!」
----
『こんだけ挑戦してて知らなかったのかよ!』
休憩所の利用者達は呆れながらも揃って胸を撫で下ろした。
ジャイアンは再び辺りの捜索を始めた。
「やべえな、残り歩数が少ないはずだ……こうなったら!」
ジャイアンはその場で目まぐるしく動きだした。
歩数節約の方向転換、端から見ればかなり異様な動きだ。
「うおおおおおっ!」
ジャイアンの動きがさらに素早くなってくる。
右後左右左前右前後左前……まるでファミコンの隠しコマンドを打ち込む指のようにジャイアンは動く!
「!…出たか!」
そのヘラクロスは今までで最も立派な角の個体だった。
ジャイアンはふらふらしながらそのヘラクロスと対峙する。
『近づく、近づく……』
本来は気付かれないように徐々に間合いを詰めなければならないのだろうが、生憎ジャイアンにそんな器用な事はできない。
「とにかく近づけばいいんだろ!」
ジャイアンは一気に間合いを詰める。
ヘラクロスはそんなジャイアンに驚いて思わず頭を下げた。
その角は突進してくるジャイアンの腹にめりこむ。
「はうっ!……か、カウンター」
ジャイアンは薄れゆく意識のなか、ヘラクロスにサファリボールを叩きつけた。
意識を失ったジャイアンのそばでヘラクロスを収めたボールの動きが止まる。
そしてサファリゾーンのアナウンスが挑戦終了を告げたのだった。
----
デコボコ山道。
出木杉、ツツジ、アスナの3人はとある岩山の傍にいた。
「出木杉様はこんなところに何の用があるのかしら?」
「知らないよ。けど出木杉様がこんな場所にただ遊びにくるとは思えないし」
そんな二人の会話を遮るように出木杉のポケナビが鳴る。
「ああ、イズミさん。……そうですか、わかりました。引き続き監視をお願いします」
ポケナビを切ると、岩山をジロジロと見て歩く。
「確かここらへんに……あったあった!」
出木杉が何やら印象のようなものをかざすと、岩山が割れて大きな穴が現れた。
「な、なんなの…これ」
「出木杉様、これは一体……」
驚く二人に出木杉が説明する。。
「ここはあのマグマ団のアジトだよ」
そう、比較的目立ちやすい場所にあるアクア団アジトと違い、マグマ団アジトの場所を知る人は少ない。
「さっきイズミから連絡があってね、彼らのボスはおくりびやまにいるそうだよ」
そう、出木杉は知っていた。
おくりびやまで二つの集団があるものを強奪しようとしていることを。
「となると、次はここでフラグを立てることになるんだが……それは僕がやろうと思ってね」
----
何を言っているか分からないが、とにかくすごい事なのだろう。
言いようのない神秘性を感じたツツジとアスナは、うっとりとした目で出木杉を見つめる。
「じゃあ用意したアレを出してください」
ツツジとアスナは十数個のモンスターボールを放り投げた。
現われたのはゴローンの大群。
出木杉に促されて次々と洞窟に消えていく。
「そんなことしたら感付かれてしまいますわ!」
心配したツツジが訴える。
しかし出木杉は中止しようともしない。
「ツツジ、このアジトには事もあろうに野生のゴローンが徘徊してるんだよ」
出木杉はにやにやと笑いながらインカムを付ける。
このインカムで受信機を付けたゴローン達に遠隔でも命令が可能だ。
「バカな組織だよねぇ。アジトの中に味方以外のポケモンを野放しにしているんだから」
出木杉がゆっくりと息を吸い込む。
ツツジとアスナは次に発せられる言葉を想像して身震いした。
「……だいばくはつ」
中で凄まじい衝撃音が響き、入り口から砂煙が吹き出した。
「これで帰るところがなくなったマツブサは『あそこ』に行くしかない。アオギリの奴はイズミが連れてくるだろう」
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