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出来杉 クリスマス編 - (2006/12/27 (水) 11:34:23) のソース

今日はクリスマス。
出来杉は降る雪を見ながら考えていた

(今日くらいは――)

しずか「待ちなさい!この変態!」

「う、ヴわぁああん」
出来杉は泣きながら逃げていた。

(な、な、なんでそんなに追ってくるんだよ。襲ったわけじゃない。ただ写真を撮っただけじゃなひか!)

それも犯罪だけどな。

何がいけなかったんだろうか。自分はただ欲望に忠実に生きただけなのに


だからそれが犯罪なんだって。

あれからどれだけ走ったかわからない。
後ろを振り向くともう追っ手の姿はなかった。どうやら逃げ切ったらしい
(よか…っ……た………)

気付くと出来杉は真っ白な地面にもたれ掛かっていた――

----

ぽっ
「んっ、んーー?」
(僕の眠りを妨げるのは誰だい?)

永遠の眠りにつくとこだった出来杉は目を開けた

するとそこにはリザードがいた。尾っぽの火で暖めてくれているのだ。
心配そうに出来杉を見ているリザード。

(リザード……そうだよな。諦めちゃダメだよな)

出来杉は震える体を起こして次の行動を考える。
まずこの冬を乗り越えねばならない。
何をすればいいか。考えに考えた末の結論が出た。

マッチ売りならぬリザード売りの出来杉の誕生だった――


「リ、リザード。リザードはいりませんか?」

しかし目の前を通る人たちはちらりと見るだけで笑って過ぎていく。

(やっぱり……ダメなのかな)
出来杉は茫然としながらリザードの尾を眺めていた。すると


尾の向こうに景色が見えてきた
(こ、これは!!)

出来杉はリザードの尾に目を集中させた

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リザードの尾の火から見えてきた景色では
出来杉としずかはアルバムを見ながら楽しく会話しているところだった。

「うふふふ。やっだーー出来杉さんったら。」

「おいおい。こんな簡単な問題間違っちゃダメじゃないか。しずかちゃんらしくもない!
右の写真こそが体育会の日に撮ったお風呂写真じゃないか。それが証拠に――ほら」

そう言って出来杉は2枚の写真をしずかに見せる
「左と違って右の写真のお尻には少しアザがあるだろ?」
「ええ。でもそれがどうかしたの?」

「これはね。君が体育会の時ピラミッドで倒れて
尻餅をついた時のアザなんだよ。よって体育会の日のお風呂写真は右…となるんだ」
「すごいわ、出来杉さん!でもよくアザができてるなんてことがわかったわね?」

「ああ。あの日大玉転がしの時にぺろーんとお尻を触ったら君が少し痛がっていたもんでね。
もしかして――と思ってその日お風呂写真を撮ったら案の定さ。」

「すごい推理力ね、出来杉さん!私そんなちょっとHで素敵な出来杉さんが大ーー好き」
「あはははは。困ったちゃんだなぁ。
正解しないとご褒美はあげないって言っただろ。次の問題に正解してからだよ」
「もおぅぅ。出来杉さんったら厳しいんだからあ」
「甘えたってダメだよ、しずかちゃん。次はこれさ!」
そう言うと出来杉は1枚の写真をしずかに見せた。

「これはある君の記念日に撮ったお風呂写真です!
さあ、何の記念日でしょう?」
・・・

ここで景色が途切れた――

----

「リ、リザード!もっとだ!もっと僕に続きを見せるんだ!」
出来杉はリザード売りなんてことを忘れ、続きをせがんだ。凄い形相だ

もうあれだ、般若だ。般若出来杉だ
「……」
リザードは黙って尾の火を強めた――

「えーー?何の記念日なのかしら」
しずかは考えていた。
しかし一向に答えは出てこない。

「……君にはがっかりだよ。しずかちゃん。そんなんじゃ僕の被写体は勤まらないよ?」
「そんな!出来杉さん、私を見捨てないで。お願いだから……」

泣くしずかのお尻を――じゃない、髪を撫でながら出来杉は言った。

「じゃあヒントだ、しずかちゃん。写真の左下にある排水溝の所を見てごらん。
何かが見えてくるはずだよ」

出来杉が指差す排水溝には赤い、粒のようなものが一つだけあった。
「これ――が?」
しずかは怪訝そうな顔をする。

「ふぅ。これは大ヒントだったのに……
IQサプリならぬIQお風呂でいったら98くらいのレベルだよ?仕方ない。じゃあ――」

出来杉は大ヒントを出した。

「8月5日。ここまで言えば君にもわかるかな?」

----

「そう、その日は君が――
と答えの前に解説をしようか。」

焦らすように名探偵出来杉は言った

「まずこの日の君の食事、ここにヒントが隠されている。」
出来杉は続けた

「そう、この日は普段とは違う食事が出たんだ。そのご飯つぶが君のほっぺにでも付いていたんだろうね
それが体を洗っている時に落ちたんだ」

「まさか!?」
しずかが赤い粒の正体に気付いたようだ

「そう、その食事とは――
お赤飯だったんだ!」

しずかの頬が赤くなる。

「もう、わかるよね?ご飯が赤飯に変わる特別な日――

その日は君の『げっ…あの日記念日』だったのさ!
たまたま撮りに行った日がそんな特別な日だったなんてね。僕もついてるぜぃ!」

自信満々に出来杉は言った。しかし

「違うの――違うのよ!」

しずかが口を開いた。

----

「確かに私に初めてあの日がきた時に出た食事は赤飯だった。
ママには恥ずかしいから止めてって言ったのに……」
「ほら、やっぱりそうじゃないか」
「違うのよ出来杉さん。私の初あの日は……

8月2日なのよ!」

「何だって!?」


なんつーー会話してんだコイツらは

驚いている出来杉をよそにしずかは続けた。
「痛かった。とても痛くてあの日はお風呂どころじゃなかったの……それでも体は流したけどね」
「くっ」
出来杉は唇を噛んだ
「恐らくそのご飯つぶはパパかママのでしょうね。
それが排水溝に引っ掛かっていたの。」
(しまった……)

「残念ね、出来杉さん。8月2日にお風呂を覗いたら――
私のピーーがピーーで血がピーーーーーーだったのにね!
がっかり、あなたにはがっかりよ出来杉さん!」
「くそぅ」

(ぼ、ぼくのしずかお風呂プロファイリングに誤りがあるなんて――)

「そんな私のあの日もわからない出来杉さんになんて興味はないわ。
さようなら、出来杉さん」

そう言うとしずかは背を向けた

----

出来杉は必死だった!

「待ってくれ、しずかちゃん!8月2日だね?
もう僕の頭に完全にインプットされたよ!
今度からは絶対間違えないさ。絶対間違えないから!
あれ、しずかちゃん?しずかちゃぁわーーーん!」


そこで景色は途切れた
・・・

出来杉はただ膝をついて涙を流していた。
「そうか、8月5日じゃなかったのか。僕もまだまだ甘い……な」


だからそれはアンタの妄想だって

そして――

写真の裏の5日の部分を2日に書き替えている出来杉の後ろから声がした


「この服は間違いありません。少女の証言と一致します」
出来杉が振り向くとそこには警官がいた。

「ノビノビタ……あなたを逮捕します」


リザード売りの出来杉はクリスマスの夜
静かにお縄についた――
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