微グロ描写注意
キャラのお名前を出すことをお許しいただいたシェンの方に、改めて御礼申し上げます
動画が再生される。最初は、画面は暗いまま。薄らと見えるのは床、広い部屋のようだ
やがて、徐々に画面に光がもたらされる。天井の照明が、ゆっくりとその光量を増やしていき、やがてその部屋全体を照らし出した
まず目に付くであろうものは、円の形に並べられたテーブルだった。中央に広く空間を空けたその様は、円卓の中央をくり抜いたようにも見える
ドーナツ状に配置されたそれらのテーブルの席に、何人もの人間が座っていた――――いや、座らされている、と言うべきか
大半は男性。中年から初老のものが多いが、若い者もいる。女性も何人か紛れていた
全員が拘束ベルトで椅子に縛り付けられ、猿ぐつわを噛まされて呻いている。歪んだ表情を、脂汗が伝う
並んでいる椅子はそれ自体が床にしっかりと固定されており、座っている者たちの身じろぎにも揺れることはなかった
彼ら彼女らの顔を、一人一人画面が映し出していく。画面下に、彼らの肩書きと名前を示すテロップが表示される
政治家や官僚、名の知れた企業の会長・重役といった者もいれば、傭兵部隊の司令官や犯罪組織の幹部に殺し屋など裏社会の者もいる
投資家・資産家・医者・弁護士・銀行家・自警団員・警察官・商人、いくつもの肩書きが提示されていく
この状況下では、それらはまるで意味を成さないものではあったが
画面が引く。部屋の上部へ。まるでカメラが浮遊しているかのような動き。テーブルの背後の空間がそれによって露わになる
いくつもの小さなテーブルが並んでいる。そこに、同じように拘束されて座らされている人影。全て合わせれば、数十人に届こうかという人数だ
そちらには、若い女性や子供や老人も多く見て取れる。まだ10にもなっていないのではというような幼い子供までも混じっている
恐怖を顔に貼りつけた彼らの間を、動き回る者たちがいた。逆五芒星を刻んだ衣服。機関兵たちが十数人
その中には、人とは思えぬ異様な姿をした者たちもいる。一つの身体に二つの頭と四本の腕を持つ男たちを除き、彼らの瞳は一様に鉛色だった
時折、拘束具を調べたり座らされている者らの様子を観察したりしながら、異形どもと機関兵らは忙しなく蠢いている
唯一、カメラの方を睨みつけている宙に浮かぶ人間の生首だけは、その場に静止していた。おそらく、この生首がカメラを浮遊させているのだろう
やがて、カメラが彼らの中央、くり抜かれた空間をクローズアップする。そこにはキッチンが存在していた。そう、調理器具一式に設備まで整った台所だ
その中に佇む、一つの影。それは、人間の上半身をさらに半分にしたほどの大きさの肉塊だった
襤褸切れのような黒布を胴体に巻いたそれは、額に巨大一つ目、オッドアイの義眼となった両目、右腕のみの隻腕、肌を覆う火傷跡
さらには、襤褸切れの下部から覗く、垂れ下がった脊椎と甲殻類を思わせる足という、およそ異形としか形容しようのない怪物であった
口を覆うマスク型人工呼吸器から漏れる不気味な呼吸音が響く。奇怪な足音と共に肉塊が動き出すと、周囲の者たちの動く音が消えた
「――――皆様、ようこそおいでくださいました。我々『
スクラップズ』一同、心より歓迎致します」
「本日、ご招待させていただきました方々は、『スクラップズ』への報復として、身の程知らずにも
カノッサ機関の兵らを襲撃・殺傷した」
「首謀者及び実行者の方々、並びにそのご家族・ご友人、その他関係者の皆々様でございます」
「『スクラップズ』一同、誠心誠意おもてなしをさせていただきますので、画面の前の皆様方ともども、どうかお楽しみください――――」
テーブルに拘束された者たちに、そしてカメラに向けて、肉塊は恭しく一礼して見せた
顔を上げ、首を一回転させてコキリと音を鳴らすと、肉塊は再びキッチンの中央へと戻り、火傷跡も生々しい右手を流し台の上に勢いよく置いた
「さて……長々とあいさつをしても盛り上がりに欠ける。早速始めるとしようか」
「我らが領地、ヴェンドゥラー産の食材だ……気に入ってもらえるといいがね」
肉塊の言葉を受け、周囲の者たちが動く。直後、キッチンの手前の床が開き、巨大な卓がせりあがってきた
そこに並べられたるもの、奇形としか思われぬ姿をした植物や昆虫や魚、得体のしれない肉塊や眼球、その他グロテスクな物体の数々
周囲から聞こえるうめき声が加速するが、肉塊は気にも留めない。身体から肉の触手を生やし、それらを操って調理の準備を進めていく
テーブルを乗り越えて、周囲にいた者のうち複数名が準備の手伝いにかかる。ピアスに塗れた男、青肌の少女、目を縫い閉じられた少女など
手際よくグロテスク極まる食材を運び、調理器具を並べていく。やがて準備が整ったらしい。肉塊の右腕が、肉切り包丁を握った
そこからの映像は、しばらくの間見る者の吐き気を誘うような調理風景を映し出す
異形どもが紫色の肉塊を焼き、得体のしれない臓器らしきものを煮込み、巨大な昆虫を揚げ、渦を巻いた植物を炒め、カラフルな魚を捌いていく
出来上がった料理というのもおこがましい物体を、肉塊の手下たちが皿に盛りつけて配膳していく。哀れな犠牲者たちは、必死にもがきそれから目を逸らす
「さて、まずはオードブルだ。猿ぐつわを外して差し上げろ」
肉塊の指示が飛び、機関兵らが円卓に縛り付けられている者たち口の拘束を解く。途端、彼らの口から様々な叫びが飛んだ
「貴様らァ!! よくもこんな真似を……こんなことしてどうなるかわかってるのか!!!」
「お、おい……冗談だろう、これは……私が、こんなことになるはずが……」「た、頼む、家族にだけは……家族には何の罪も……」
「お願い許してぇ!! 謝る、謝るからぁ……!!」「ちくしょう、殺してやる!! 化け物どもがあああああ!!!」
怒声、悲鳴、哀願、そのすべてが絶望の色をしていた。画面の中の部屋が、大音量に揺れる
それら一切を飲み込んで、機関兵らが手にした短機関銃の発する轟音がこだました。画面下に『空砲によるものです』とテロップが表示される
一際大きく悲鳴が上がり、空砲の音が止むと部屋は一度静まり返った。いや、口汚くわめきたてる男が一人
傭兵部隊の司令官とテロップが出ていた、屈強な男だ。その他裏社会の者たちは、まだ獰猛な光を保った瞳で肉塊男をねめつけている
不気味な色の液体に塗れた肉切り包丁を握ったまま、肉塊男が動き出した。ますます勢いを増す男の怒号に、包丁が振るわれる鋭い音が重なる
肉塊男の振るった包丁は、容赦なく男の鼻と頬肉を削ぎ落した。絶叫。鮮血の噴き出す音。周囲の者たちの悲鳴
落ちた血まみれの肉片を肉塊男の身体から伸びた肉塊が拾い上げ、調理器具の方へと伸びていった
本人は血を流して呻く男を単眼で睨みつつ、触手だけが器用に動いて削いだばかりの新鮮な肉を調理していく
やがて焼きあがった肉を、戻ってきた触手がその持ち主だった傭兵部隊司令官の前にかざした
「食え。お前の肉だ」
「が、げが……ぎ、やべ、ろ……」「ボスが食えって言ってんだよてめぇ!!」
擦り切れた着物にジャージズボンとスニーカーを着用し、胸にエンジンをめり込ませた痩せ細った男が背後から近づき、呻く司令官の髪と顎を掴んで口を開けさせる
触手が、司令官の口の中へと突き込まれる。エンジン男が無理矢理に司令官の顎を上下させる。傷口が広がり、さらに苦痛の呻きが加速する
やがて、自身の肉を飲み下させられた司令官の頭をエンジン男がテーブルに押し付けているのを尻目に、肉塊男が犠牲者たちを振り返る
「黙って目の前の物を食うか、後ろにいるお前たちの家族の肉を胃袋に詰め込まれるか、選べ」
恐怖や屈辱に身を震わせる彼らの腕の戒めのみを、機関兵らが慎重に解いていく。犯罪組織の幹部は、解かれた瞬間に機関兵に殴りかかろうとしたが
剥き出しの脳みそを透明なカプセルで覆い頭頂部にアンテナを突き立てた異形の男が、金属製の警棒でその腕を殴打して阻止した
「この状況下でも、抵抗を諦めない者もいる。よくよく見れば、彼らの瞳には絶望の奥にも救いを望むような色が残っている」
「何故、彼らは未だ願いを捨てないのか。死が恐ろしいからか。だとすれば死とは――――」
腕を抑えて悪態をつく犯罪組織の幹部を観察するように見つめながら、アンテナ男がわけのわからないことを呟き始める
それに構わず、肉塊男がさらに無言の圧力をかけると、悲痛に表情を歪めながら何人かがグロテスクな料理に用意されたナイフとフォークを伸ばし始める
口を付ける端から彼らはせき込み、口中に広がる冒涜的な味と食感に苦しんだ。あまりにおぞましい晩餐会が展開されていく
だが、まだそれを拒む者もいた。脂ぎった肌をした初老の男が、肉塊男に向けて声を発した
「き、貴様……き、聞け、貴様らは地下密輸トンネルを利用しているのだろう……」
「だが、それを続けていればいずれ限界がくる……お前たちとてわかっているだろう……」
「わしなら、それに口を利いてやることも出来る……だ、だからわしと家族だけは……!!」
肉塊男が初老の男へと向き直り、ゆっくりと接近する。自らのわずかな質量の身体で、男と自身の口元がカメラに映らないように隠し
初老の男の耳元に、首筋に生やした口を寄せた
初老の男が目を見開いた。肉塊男の囁きをカメラが捉えることはなかった
かくして、全ての抵抗は封じ込められる。惨劇は続行される
そこからは、惨たらしい映像が垂れ流され続けた。異形どもと機関兵が繰り返し脅しをかけ、『食事』を続けさせる
拒めば殴打され、代わりに後ろで縛られている家族の方に食べさせる。あるいは、本人の身体の一部を削ぎ落し、切り離してそれを調理する
泣き叫ぶ声も弱弱しく、晩餐会は続いていく。やがて、全員の瞳が絶望の色に濁り切った頃、肉塊男が声を発した
「さて……宴もたけなわではあるが、そろそろ終幕の準備をしよう」
機関兵らが動き出し、人質とされていた家族・友人らの拘束を解いていく。銃口はしっかりと向けたままだ
「お願いします、この子達だけは……!!」「みんなまだ小さいんです……!!」
震える幼子たちを庇い、自分たちも恐怖の中にありながら女性たちが我が子の命乞いをする
肉塊男は、それをじっとりと単眼で見つめた。しばしの間が空く
「おいカニバ、こっからどうするつもりだよ?」「この者らの処遇については我らにも伏せていたな?」
二つ頭と四本腕の男たちが、肉塊男――――『スクラップズ』首領、
カニバディールにそう問いかけた
カニバディールは、二つ頭の男たち・
デュアル兄弟を、そして自らの配下たる異形たちを振り返った
「(――――――)」
カニバディールの脳裏に、突如何かが過った。それは、踏みにじられた者たちであり、踏みにじる者たちであり
そして、それに抗う者たちでもあった。己が会ってきた、話してきた、殺し合ってきた相手、その中で己の中に生まれた変化
それら全てがこの肉の化け物の中でグルグルと回転した。やがて、それらが収束して、一つの問いを成した
なら、自分たちは何者であるのか
この脅威と驚異に満ち満ちた世界の中で、クズ鉄の如き汚れ切った命で這いずり回る自分たちは、なんだというのか
己の正義を貫く気高い者たち、己の理想に邁進し悪として振る舞う者たち、そんな者たちに対して、自分たちはなんなのか
今、眼前のか弱い命をすり潰そうとしている自分たちは、何者か
何故、そんなことを考えたのか、カニバディール自身にもわからなかった
当然、カメラがそんな心情を捉えることもなく。ただ、その肉塊が配下らに向かって言った言葉のみを映し出した
「……奪われる側の気持ちを考えたことはあるか?」
自分たちのボスの唐突な問いかけに、『スクラップズ』の面々が互いに顔を見合わせる
少しの間が空いた
「……一度たりともないな」
オーギュストが静かにそう言った
「あるわきゃねえだろ、んなもん」
ギュスターヴが事もなげに吐き捨てた
「ひっひっひ、まったくありゃあしやせんよおぉ」
スカーベッジがいつもの調子で答えた
「ねえですよ!! なんで俺をバカにしてる連中のことなんざ考える必要があるってんです!!?」
マサツネが唾を飛ばして叫んだ
「うっ、ううう……ごめんなさい、一回もないんですう……」
ネグティーが涙を滲ませながら震える声を発した
「ホッホッホッホ、考えようと思ったこともないでちゅよおおおおおおお」
オールドベビーが笑いながら返答した
「ウィーン……本機ニ、ソノヨウナ、思考パターンハ、組ミ込マレテ、オリマセン」
オートマーダーが抑揚のない声音で応答した
「ううん、ちっともないわ、ボス」
ベティーが満面の笑みで告げた
「ありはしない。それよりも、生きているものと死んでいるものの違いがどこにあるか、そちらのほうが興味深い」
ノーティヒアがゆらゆらと頭を揺らしながらそう漏らした
「考える必要なんてあるかい? 愛すべき苦痛の追及に比べれば、実に些末なことだよ」
美鈴が得意気な様子すら見せつつ述べた
全員から同じ答えが返ってきた。それが、カニバディールの疑問への答えだった
そうだ。我々はそういうものだった。自分たちの救いようのない本質は、ここに集約されているではないか
いつの間にか、呼吸器の奥の口元に薄笑いが浮かんでいた。どこまでも陰惨で、酷薄で、醜悪な笑み
「――――私もない。ただの一度もな……ヒューハッハハハ……!!」
自分たちは、こういうものだ。地獄に落ちるその時まで、そのままだ
この世界で何が起きていようと、それは同じことだ。最期の瞬間まで、自分たちは救えぬ悪党だ
そして、いつの日か打ち倒され、無様に死んでいくだろう。それでいい。それで構わない
己の中の何かを、カニバディールはかなぐり捨てた。自ら、邪悪としての己を選んだ
解放した人質らを振り返ると、火傷跡も生々しい右手で部屋の奥の扉を指した。扉が自動的に両側に開き、奥へ続く通路とその向こうの梯子が露わになる
「チャンスをやろう。この廊下を生きて進みきれば、解放してやる。あの梯子を登り切れば、そのまま逃げられるようになっている」
「戻ることは許さん。後退してくれば殺す。ただ進め。――――走れ!!!」
人質たちが、震える身体に鞭打って立ち上がり、扉を押し開けて走り出す。幼子の手を引き、拘束の痕跡の残る足を引きずり
向こうに見える梯子へと走っていく。カメラがそれを追って通路に侵入し、通路の様子を映し出す
その通路は、やけに広かった。その両側の壁をぶち破って、何かがその通路に流れ込んだ
触手。爪。牙。それらをめちゃくちゃに組み合わせたような、わけのわからない生物の群れ。ヴェンドゥラー製クリーチャー
化け物どもが我先に眼前の獲物へと群がった。鮮血が、肉片が、断末魔が、弾け飛ぶ
後方にいた者たちは停止し、混乱のままにただ元来た道を走り戻った。部屋へと駆けこんだ人質たちを、異形どもが出迎えた
カニバディールが通路に向かって人質を走らせた時点で、すでにわかっていたのだろう
機関兵から受け取った短機関銃を構えて、異形どもはそこに立っていた
「後退してくれば殺す。告げたとおりだ」
「ご愁傷様ぁ……ひぃっひっひっひっひっひっひ!!!」「ああ臨死の恍惚ぅ……うふふふふふふぅ……!!」
「あばよ、かわいそうな皆さん」「さらばだ、不幸な者どもよ」
カニバディールが大型拳銃で発砲し、先頭の女性を彼女が抱える子供もろとも貫いた
それを合図に、スカーベッジ、美鈴、デュアル兄弟らが短機関銃を乱射して、人質たちを次々に物言わぬ肉に変えた
銃撃を逃れて、何人かが転げるように部屋の中に入り込むが、そこにさらに異形どもが群がる
「む、む、無駄だ……」「ホッホッホッホッホ、たかいたかーい」「うえええええ……ごめんなさいいいいい……!!」
ブレインデッドが首に装着した首輪から丸い仕込み刃が飛び出し、人質らを首筋を裂いた。派手に鮮血が上がり、次々に倒れ伏す
飛びのいた者たちを、オールドベビーの電動ベビーカーから飛び出した触手型アームが掴みあげ、高い天井スレスレまで放り上げる
悲鳴を上げながら転落し、床に叩きつけられてさらに鮮血が飛び散る
腰を抜かしてへたり込む者たちを、ネグティーの先端の尖った蜘蛛型鉄製義足が踏み貫いていく
胸に首に腹に、容赦なく穴を穿たれ、力なくその身が崩れ落ちる
何人か混ざっていた若者などは決死の抵抗を試みる。だが、それを許すほど異形どもも甘くはない
「バカにしてんのか!? バカにしてんのか、てめぇら!!」「ウィーン、ガガガガガ!!」
「彼らはなぜ、まだ抵抗などを――――」「おいたはダメ、なのよー?」
マサツネが真っ先に飛び出して相手を斬り捨て、それに続いてオートマーダーのツルハシと義手が複数人を破壊する
後ろにいた残りの者たちがノーティヒアの警棒で首を折られ、ベティーの犬型
マインドに噛み殺される
縛られたまま、人質たちが惨殺されていく様を見させられ、あるいは聞かされて、円卓の者たちが声を上げる
あまりに悲痛で、言葉にもならぬ声。獣のような怒号を上げる者もいる
それら全てを平らげるように、カニバディールの声が響く
「お前たちのような連中でも、自分の身内はかわいいかね? ファニー・ゲーム・クラブで、みな同じようなことをしていただろうに」
「心配せずとも、すぐに後を追わせてやるさ。おい、『ミキサー』を用意しろ」
機関兵らが指示を受けて、手元の端末を操作する。金属の軋む音と共に、それが姿を現す
それは、文字通りミキサーの姿をしていた。ただ、そのサイズがあまりに巨大だった。大の大人が複数人、中に納まるほど
透明な筒の上部には大型のウインチが取り付けられており、複数本の大きなフックがぶら下がっていた
筒の底では、プロペラ状の刃が獲物を待ち受ける。生々しく残る、鮮血の跡と肉片
「恨み言は、いずれ地獄で再会した時に聞いてやる……それではごきげんよう、親愛なる隣人たちよ」
異形どもが、機関兵らが、円卓から数名を引きずり出す。ミキサーの上部のウインチを遠隔操作し、手元へと引き寄せる
フックが、引き出された者たちの背中に突き込まれ、巻き上げられていく――――
そこからが、クライマックスシーン。あまりに残虐な処刑映像が流される
円卓に座っていた者たちは片端から吊り上げられ、回転するミキサーの刃に足先から飲み込まれていった
原形を失くしていく彼らの断末魔は、もはや人の者とは思えぬ絶叫
吐き気を催す凶行を鮮明にカメラが映し出していく。それもやがて、終わりを迎える
最後の一人がこの世から消え失せると、ミキサーが停止する。部屋に訪れる静寂
「――――ハ、ハハ……ヒューハ、ヒュハッ、ヒュハーッハハ……」
カニバディールの笑い声が沈黙を破る。それに続いて、異形どもが、機関兵らが、笑う
笑う。哂う。嗤う。闇の中に、救いがたい罪人たちの哄笑がこだまして。やがて、画面が暗転した
画面下部に、『※撮影に使用した食材と肉はスタッフがおいしくいただきました』とテロップが表示され、動画が停止した
最終更新:2014年12月15日 22:46