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ナイトウィザード!クロスSS超☆保管庫
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ナイトウィザード!クロスSS超☆保管庫

第10話

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nwxss

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夕闇が辺りを支配し始めるころ、夕闇にまぎれて銀色の影が屋根を駆けて抜けていく。
どんどんと街を外れ、やがてたどり着いたのは、廃車置場。
そこには1人の、帽子とコートを着た男が立っていた。
その後ろには気絶させられ、倒れている、ソバカスの少女。
それを認め、銀色の影…銀之介が緊張と敵意をこめて言う。
「約束通り来たぞ。だから、唐子を返せ!」
「キシシシシ…連れねえよなあ。こっちはお前に会いたくてあの世から帰ってきたってのによぉ…」
そう言いながら、男は帽子を脱ぎ棄てる。
「な!?」
その姿に銀之介は驚愕する。
「父さん!?…いや、違う…」
父親にそっくりなひょろひょろの男。
銀之介は1度だけ、見たことがあった。かつて、彼の死をみとったときに。
男は、銀之介の父親が決して見せぬ下卑た笑みを浮かべて嘲笑う。
「おもしれえだろ?地獄から帰ってきて、姿を変えられるようになったんだ。人間の姿に、な。
この姿で行ったら、そこで寝ている嬢ちゃんはあっさり騙されてくれたぜ?」
その言葉で銀之介は確信する。目の前の男が、確かに自らの叔父であると。
かつて、凶暴な狼として生きざるを得なかった男であると。
「なんでなんだ!」
悲しみを込めて銀之介が叫ぶ。
「人間として生きられるようになったんなら、何でこんなことを…」
「ふざけんな!」
銀之介の言葉を遮り、否、答えるがごとく男が吠えた。
「俺を、てめえらみてえなクソ弱え生き物と一緒にすんな」
男がコートも脱ぎ棄てる。それと同時に身体が銀色の毛に覆われて、膨れ上がる。
「俺はな、超えたんだよ。人間どころか、狼人間すらもなあ…」
(なんだ…この感覚)
警戒し、構えを取りながら、銀之介は震える。
狼人間の鋭い感覚がとらえていた。男、否、オオカミから放たれる得体の知れない何か。
この場にいるだけで吐き気すら催すような、どす黒い気配。
「今の俺様はな」
狂気に満ちたその瞳を見て、自らも気づかぬそのうちに銀之介は確信する。
コイツは、目の前のコイツは、もはや人間ではないこと。
「化け物よ」
ニヤリと凶暴な笑みを浮かべて言う。
いつの間にか、空には赤き月が輝いていた。
「こいよ。この俺様が、直々にミンチにしてやるぜ」
「叔父さんが、何でそうなってしまったのか、僕には分らない」
銀之介が、再び悲しそうに呟く。
もはや、言葉では、どうしようもない。
「だけど、同情はしない」
それは優しい少年の決意。
「僕は、この街が好きだ。大切な想い出がたくさんあって、大切な人がいるこの街が。だから…」
誰よりも優しい狼であること、今だけ忘れることにする。これからの、戦いのために。
「それを壊そうとする奴は、誰であろうと、止めてみせる!」
ほぼ同時に2頭の狼が銀色の影へと変わる。
戦いが、始まった。

赤き月の光の下で、銀色が激しく交錯する。
人であり続けようとする狼と人であることを捨ててしまった狼。
2頭の獣はただ己の本能と経験にのみ従いその爪と牙をふるう。
人を遙かに上回る膂力と反射神経、どんな刃にも勝る爪と牙を持つ人狼に、技など必要ない。
超高速で行われる純粋な力のぶつけ合い。
そして、数分後―――

「キシシシシシ…ざまあねえなあ」
オオカミが嘲笑う。
「クソッ…なんで…」
全身を切り刻まれ、肘をついた銀之介が信じられないと言うように呟いた。
この数分間、確かに2人は、互角だった。互いの攻撃は確実に相手をとらえ、同じだけの傷を負わせた。
にも関わらず実際には銀之介が一方的に追いつめられていた。その理由はただ一つ。

傷が、再生しない。

狼人間には、異常なまでの生命力と再生能力が備わっている。
銀の弾丸で受けた傷でない限りは、恐るべき速度で回復するのだ。
だが、銀之介の傷は全く塞がる気配が無かった。
(これじゃあまるで…)
「まるで、アラキの野郎の魔法みたい、だろ?」
「な…!?」
下卑た笑みを浮かべたオオカミの言葉に、銀之介が驚いて顔を上げる。
その顔を見て、満足そうな表情で、手品の種明かしをする。
「こいつはなあ、呪いなんだよ」
呪い。普段滅多に聞くことのない単語に、銀之介が怪訝そうな表情を浮かべる。
「の、呪いだって…?」
「そう、呪いさ。俺様が、悪魔に魂を売った時に得た力よ」
オオカミがそう言った瞬間、銀之介の全身をいも虫が這いまわるような感覚が襲った。
それは決して外したことのない、銀之介の“嫌な予感”
オオカミの体から、吐き気のする何かが吹きあがるようにこぼれ出す。
「一思いになんて、つまらねえことは言わねえ」
その何かがオオカミの右腕に集まっていくのを感じる。
銀之介の全身の毛が逆立つ。
あれを喰らったら、ヤバい。
とっさに後ろへ飛び退り、全力で回避しようとする。
だが、それ以上のスピードでオオカミは距離を詰める。
「せいぜい苦しんで…ぶっ壊れてくれよ」
吐き気を催すような“瘴気”を銀之介へと叩き込んだ。

「ぐあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!????????」
痺れ、痛み、吐き気…ありとあらゆる嫌なものが銀之介の全身を襲う。
立ち上がることすらできず、銀之介はのたうちまわった。
その、のたうちまわる銀之介を踏みつけて、オオカミが言う。
「効くだろ?俺の呪いを全部叩きこんでやったからなあ」
銀之介は返事すら出来ない。
やがて、悲鳴が弱まり、ゼイゼイと荒い息だけが聞こえるようになる。
「お、そろそろかあ?」
(もう、駄目だ…)
銀之介の心が狼の闘争心を失う。後に残るのはお人好しの、青年の心。
(あれ…なんで…?)
だからこそ、薄れ行く意識の中で気付く。
(あんな所に、女の子…?)
なんにせよ。こんな所にいては危ない。
痛みで単純化した思考で、銀之介は叫ぶ。
まるで囁くように、弱々しい声で。
「逃げて…ここ…あぶな…」
うつろな目で、自らのはるか後方に立つ少女へ。

「なんだと!?」
銀之介の弱々しい呟きに、オオカミが慌ててそちらを見る。
月匣の中に入ってこれる、少女。
そんな奴はこの街には数えるほどしかいない。
「…《ヴォーティカルカノン》!」
少女の一撃が、オオカミを撃ち抜く。
貫通した傷をおさえ、オオカミは怒りと共にそちらを見る。自らのはるか後ろに立つ少女を。
「ちぇ…1発ではやっぱり仕留められないか」
「てめえ…」
赤き月に照らされて更に輝く赤い髪を揺らしながら、少女はどこか楽しげに、言う。
「来てやったわよ」
夜の闇を受けて、少女は不敵に笑う。当然だ。なぜなら彼女は夜に愛された種族。
「悪い狼を退治する、赤ずきんちゃんがね」
吸血鬼なのだから。

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