戦いは終わった。全ての元凶たる魔王は倒され、街に平和が戻った。
1つの事件が終わりを告げた。そして、事件が終わったのなら…異邦人は去らねばならない。
1つの事件が終わりを告げた。そして、事件が終わったのなら…異邦人は去らねばならない。
翌日、学園祭の振り替え休日。
「もう少しゆっくりしていけばいいのに」
倉地香が少しだけ寂しそうにいのりに言う。
「ごめんなさい。もう、帰らなくちゃいけないんです」
本当にすまなそうにいのりが答える。
あの後、最後の報告を終え、任務は晴れて完了した。
ウィザードの2人には労いと称賛の言葉と、十分な報酬が支払われ…同時に命令が下された。
「もう少しゆっくりしていけばいいのに」
倉地香が少しだけ寂しそうにいのりに言う。
「ごめんなさい。もう、帰らなくちゃいけないんです」
本当にすまなそうにいのりが答える。
あの後、最後の報告を終え、任務は晴れて完了した。
ウィザードの2人には労いと称賛の言葉と、十分な報酬が支払われ…同時に命令が下された。
ただちに帰還せよ、と。
この世界には本来いない存在であるウィザードがとどまれば、無用の混乱を招く。
だから、事件が解決したのならば即刻帰還せよ。それが、上の判断だった。
本来なら決して来るはずのない時間、1台の列車がやってくる。
ロンギヌス特別急行秋葉原ゆき。この世界とファー・ジ・アースを結ぶ特別列車。
この世界の人間が紛れ込まないようにウィザードで無いと乗り込めない仕組みにはなっているその列車の発車まで、あと少し。
「そう、残念ね。また、いつでも遊びにいらっしゃい。歓迎するから」
「…あはは。そのときはまた、何か厄介なことが起きてるってことですよ?」
倉地の言葉に困ったな~と言う笑顔を浮かべる。異世界間の行き来は、そんなに簡単にできることじゃない。
それがあるってことは…しなきゃならないほどヤバいことが起きてるってことなのだ。
だが、いのりの言葉に倉地は言い切る。
「あら。別に問題ないわよ」
は?と言う表情のいのりに、艶然とした笑みでさらに言葉を紡ぐ。
「たとえそうなっても、貴方がいれば、絶対に何とかしてくれるんでしょ?それにもし今度そう言う事があったら…今度はあたしも手伝ってあげるわ」
例え戦うことができなくたってやれることはある。
それに…
「あたしは、見てるだけって好きじゃないの。そ~いう面白そうなことがあったら、いつでも言ってちょうだい」
「…分りました!じゃあ、何かあった時は頼みますね!」
力強い倉地の言葉にいのりは笑顔で答え、握手をする。
「そう、それでこそいのりさんよ。それにしても…」
倉地がふと思い出してその言葉を口にする。
「本当はミニ三石ちゃんも来れれば良かったんだけどね。急だったからしょ~がないけど、こ~ゆうときに限って取材に行ってるなんて」
困ったものだと倉地がため息をつく。休みの日に突発的にどっかに取材に行って夜まで帰ってこないってのが習慣なのだ。
ミニ三石ちゃんこと…三石春美は。
「…あ、はい。そ、そですね…」
倉地が何気なく言った言葉にいのりがちょっとだけ暗い顔になる。
倉地には言えなかった。三石春美の正体を。言ったら多分悲しむから。
流石は魔王と言うべきか、この世界から消滅しわずかな残滓を残すだけの今の状態でも、存在としての春美はまだ残っていた。
多分、これからゆっくりと忘れられていくんだろうね、とは静の弁である。
「残念ですよね…」
本心からの言葉で、いのりが言う。確かに昨日の夜は怖かった。
だけど、それでも。1ヶ月の間、一緒に色々した記憶は無くならない。
そう、あの小うるさくて元気な突撃レポーター娘を、いのりは嫌いになりきれないでいた。
あんなじゃなければ友達になれた…いや、友達のままでいられたかも知れないのに。
「今度会う、そのときは…」
ポツリ、とごく小さな声で。
「…敵じゃなければいいなあ」
いのりが呟いたまごうことなき本音は、誰の耳にも入ること無く消えて言った。
だから、事件が解決したのならば即刻帰還せよ。それが、上の判断だった。
本来なら決して来るはずのない時間、1台の列車がやってくる。
ロンギヌス特別急行秋葉原ゆき。この世界とファー・ジ・アースを結ぶ特別列車。
この世界の人間が紛れ込まないようにウィザードで無いと乗り込めない仕組みにはなっているその列車の発車まで、あと少し。
「そう、残念ね。また、いつでも遊びにいらっしゃい。歓迎するから」
「…あはは。そのときはまた、何か厄介なことが起きてるってことですよ?」
倉地の言葉に困ったな~と言う笑顔を浮かべる。異世界間の行き来は、そんなに簡単にできることじゃない。
それがあるってことは…しなきゃならないほどヤバいことが起きてるってことなのだ。
だが、いのりの言葉に倉地は言い切る。
「あら。別に問題ないわよ」
は?と言う表情のいのりに、艶然とした笑みでさらに言葉を紡ぐ。
「たとえそうなっても、貴方がいれば、絶対に何とかしてくれるんでしょ?それにもし今度そう言う事があったら…今度はあたしも手伝ってあげるわ」
例え戦うことができなくたってやれることはある。
それに…
「あたしは、見てるだけって好きじゃないの。そ~いう面白そうなことがあったら、いつでも言ってちょうだい」
「…分りました!じゃあ、何かあった時は頼みますね!」
力強い倉地の言葉にいのりは笑顔で答え、握手をする。
「そう、それでこそいのりさんよ。それにしても…」
倉地がふと思い出してその言葉を口にする。
「本当はミニ三石ちゃんも来れれば良かったんだけどね。急だったからしょ~がないけど、こ~ゆうときに限って取材に行ってるなんて」
困ったものだと倉地がため息をつく。休みの日に突発的にどっかに取材に行って夜まで帰ってこないってのが習慣なのだ。
ミニ三石ちゃんこと…三石春美は。
「…あ、はい。そ、そですね…」
倉地が何気なく言った言葉にいのりがちょっとだけ暗い顔になる。
倉地には言えなかった。三石春美の正体を。言ったら多分悲しむから。
流石は魔王と言うべきか、この世界から消滅しわずかな残滓を残すだけの今の状態でも、存在としての春美はまだ残っていた。
多分、これからゆっくりと忘れられていくんだろうね、とは静の弁である。
「残念ですよね…」
本心からの言葉で、いのりが言う。確かに昨日の夜は怖かった。
だけど、それでも。1ヶ月の間、一緒に色々した記憶は無くならない。
そう、あの小うるさくて元気な突撃レポーター娘を、いのりは嫌いになりきれないでいた。
あんなじゃなければ友達になれた…いや、友達のままでいられたかも知れないのに。
「今度会う、そのときは…」
ポツリ、とごく小さな声で。
「…敵じゃなければいいなあ」
いのりが呟いたまごうことなき本音は、誰の耳にも入ること無く消えて言った。
「静さん…向こうに行っても元気でやってくださいね風邪とかには十分気をつけてくださいねそれとたまにはお手紙とかくださいねメールでもいいですから」
1ヶ月の間、様々な苦楽を共にした不思議研の部員にしてクラスメイトに、三石小夏は手を取って矢継ぎ早に話しかける。涙を流しながら。
今日、本人から電話で知らされたときは本当に驚いた。留学が昨日までで、今日はもう帰ることになってたなんて、知らなかったから。
「はい。気をつけます。ありがとうございました。1ヶ月間、楽しかったですよ。小夏さん」
にこやかな表情を崩さずに静が答える。
静にとってこの街に来たのは任務だからだ。だが、1ヶ月の滞在と学園生活は、確かに楽しかった。それも事実なのだ。
「はい。待ってます。あ、そういえば…」
コロッと立ち直り、そちらの方を見る。2人を見送りにきた、残りの2人。
「お二人とも、静さんといのりさんのお知り合いだったんですね。ちょっと驚きました」
1ヶ月の間、様々な苦楽を共にした不思議研の部員にしてクラスメイトに、三石小夏は手を取って矢継ぎ早に話しかける。涙を流しながら。
今日、本人から電話で知らされたときは本当に驚いた。留学が昨日までで、今日はもう帰ることになってたなんて、知らなかったから。
「はい。気をつけます。ありがとうございました。1ヶ月間、楽しかったですよ。小夏さん」
にこやかな表情を崩さずに静が答える。
静にとってこの街に来たのは任務だからだ。だが、1ヶ月の滞在と学園生活は、確かに楽しかった。それも事実なのだ。
「はい。待ってます。あ、そういえば…」
コロッと立ち直り、そちらの方を見る。2人を見送りにきた、残りの2人。
「お二人とも、静さんといのりさんのお知り合いだったんですね。ちょっと驚きました」
「いのりちゃん、静さん、向こうでも元気で頑張って。また、なんかあったら言ってくれ」
「2人とも、ありがとう!また、遊びに来てね!」
銀之介と唐子が口々に言う。その手は自然につながれている。
「ええ。何かあったらお願いします。多分これからも…色々あると思うんで」
静がちょっとだけ顔を曇らせる。この街の事件は解決したが、根本的な部分の問題は残っている。
プラーナが豊富なこの世界、侵入者はこれからも現れるだろう。
こちらの世界にいるウィザード級のものたちとのつきあいも含め、色々と考えていかなくてはならないだろう。
問題は、山積みなのだ。
「そういえば、銀之介はこれからどうするの?」
いのりが何気なく聞いた疑問に、唐子と銀之介が顔を見合わせる。
「ああ、それはね…」
「銀之介君はね…ホームステイしてこの街で暮らすって!」
銀之介の言葉をついで、唐子が嬉しそうに言う。。
「とりあえず、一人立ちできるめどが立つまでだけどね」
銀之介は決めていた。これからは、この街で暮らしていく。大切な人のいるこの街で。
「へえ~ホームステイですか?どんな人なんですか?」
興味シンシンと言った感じで小夏がたずねる。それに銀之介は頷いて答えた。
「飯波市に父さんの知り合いが住んでいるらしいんだ。それで事情を話したら、好きなだけ居ていいって」
「確か銀之介君のお父さんがアメリカで知り合った人だって言ってたよね。名前は…花丸さんだっけ?」
「花丸?」
倉地が怪訝そうに眉をひそめる。びみょ~に嫌な予感を感じて、銀之介に尋ねる。
「駒犬君…」
「なんですか?」
「その人…もしかして前原町に住んでたりする?」
「あれ?知ってるんですか?」
銀之介が不思議そうに尋ねる。
「このあと、2人を見送ったらその家を訪ねることになってるんです。と言っても詳しい場所は知らないんですけど」
「前原町駅にいけば分かるって言われたんだっけ。迎えに来てるのかな?でも時間の指定は無かったんだよね?」
「そう…」
銀之介と唐子の話を聞いて倉地は確信する。
「じゃあ、色々と大変だろうけど、頑張ってね」
ものすご~く同情をこめて、きょとんとしてる2人に、倉地が言った。
「2人とも、ありがとう!また、遊びに来てね!」
銀之介と唐子が口々に言う。その手は自然につながれている。
「ええ。何かあったらお願いします。多分これからも…色々あると思うんで」
静がちょっとだけ顔を曇らせる。この街の事件は解決したが、根本的な部分の問題は残っている。
プラーナが豊富なこの世界、侵入者はこれからも現れるだろう。
こちらの世界にいるウィザード級のものたちとのつきあいも含め、色々と考えていかなくてはならないだろう。
問題は、山積みなのだ。
「そういえば、銀之介はこれからどうするの?」
いのりが何気なく聞いた疑問に、唐子と銀之介が顔を見合わせる。
「ああ、それはね…」
「銀之介君はね…ホームステイしてこの街で暮らすって!」
銀之介の言葉をついで、唐子が嬉しそうに言う。。
「とりあえず、一人立ちできるめどが立つまでだけどね」
銀之介は決めていた。これからは、この街で暮らしていく。大切な人のいるこの街で。
「へえ~ホームステイですか?どんな人なんですか?」
興味シンシンと言った感じで小夏がたずねる。それに銀之介は頷いて答えた。
「飯波市に父さんの知り合いが住んでいるらしいんだ。それで事情を話したら、好きなだけ居ていいって」
「確か銀之介君のお父さんがアメリカで知り合った人だって言ってたよね。名前は…花丸さんだっけ?」
「花丸?」
倉地が怪訝そうに眉をひそめる。びみょ~に嫌な予感を感じて、銀之介に尋ねる。
「駒犬君…」
「なんですか?」
「その人…もしかして前原町に住んでたりする?」
「あれ?知ってるんですか?」
銀之介が不思議そうに尋ねる。
「このあと、2人を見送ったらその家を訪ねることになってるんです。と言っても詳しい場所は知らないんですけど」
「前原町駅にいけば分かるって言われたんだっけ。迎えに来てるのかな?でも時間の指定は無かったんだよね?」
「そう…」
銀之介と唐子の話を聞いて倉地は確信する。
「じゃあ、色々と大変だろうけど、頑張ってね」
ものすご~く同情をこめて、きょとんとしてる2人に、倉地が言った。
ピリリリリリ…
「あ、そろそろみたい」
「さて、そろそろみたいですね」
警笛の音を聞いて2人が電車に乗り込む。少しして、扉が閉まり、電車が動き出す。
「それじゃあ、またいつか!」
「それじゃ~ね!」
ブンブンと手を振ってお別れの挨拶をする。電車はすぐに加速して、駅のホームも見えなくなった。
「…でも、ちょっぴり残念だったね」
走り出した電車の席に座り、いのりが静に話しかける。
「何がだい?」
「サフィーちゃんのこと。お別れ、言えなかったなって」
不思議そうに問い返す静にいのりが溜息をもらす。
「さて、そろそろみたいですね」
警笛の音を聞いて2人が電車に乗り込む。少しして、扉が閉まり、電車が動き出す。
「それじゃあ、またいつか!」
「それじゃ~ね!」
ブンブンと手を振ってお別れの挨拶をする。電車はすぐに加速して、駅のホームも見えなくなった。
「…でも、ちょっぴり残念だったね」
走り出した電車の席に座り、いのりが静に話しかける。
「何がだい?」
「サフィーちゃんのこと。お別れ、言えなかったなって」
不思議そうに問い返す静にいのりが溜息をもらす。
『全部終わったから旅に出るでしゅ さよならは言わないでしゅ サファイア』
手紙を残し、サフィーは何処かへと消えていた。恐らくは夜のうちに経ったのだろう。
服とかの荷物も全部なくなっていた。
「しょうがないさ。あの子は…サフィーちゃんは根っからの風来坊みたいだしね。
それに、サフィーちゃんはデイウォーカーとして今までできなかったことだってできるようになったんだ。楽しんでくれればいいさ」
「え~?せんせい的にサフィーちゃんはそんなもんなの?」
何か悟ったように言う静に不満げにいのりは言う。
「昨日はあんなに必死だったのに」
「え?」
「『帰ってこい!サフィー!』いや~熱いね、青春だね。せんせいも若かったんだね~」
「んなっ!?」
「あんなにギュッと抱きしめて、ボロボロ泣いてたのに~」
「い、いのり君!そう言うのじゃないんだよ!」
いつもは冷静な静が真っ赤になる。
「ほら、あれはその…な、仲間!そう仲間を失いたくないってやつで…」
「いい雰囲気だったな~。思わずあたしはお邪魔虫だから退散しようかと思ったもん」
「だからあれはホッとしたって言うか…」
「けっこうお似合いだと思うよ。なんだかんだで息ぴったりだったしね~」
静の必死の言い訳も通じない。いのりのちょっぴりの嫉妬も含んだスーパーからかいタイムは東京に到着するまで続いたと言う。
服とかの荷物も全部なくなっていた。
「しょうがないさ。あの子は…サフィーちゃんは根っからの風来坊みたいだしね。
それに、サフィーちゃんはデイウォーカーとして今までできなかったことだってできるようになったんだ。楽しんでくれればいいさ」
「え~?せんせい的にサフィーちゃんはそんなもんなの?」
何か悟ったように言う静に不満げにいのりは言う。
「昨日はあんなに必死だったのに」
「え?」
「『帰ってこい!サフィー!』いや~熱いね、青春だね。せんせいも若かったんだね~」
「んなっ!?」
「あんなにギュッと抱きしめて、ボロボロ泣いてたのに~」
「い、いのり君!そう言うのじゃないんだよ!」
いつもは冷静な静が真っ赤になる。
「ほら、あれはその…な、仲間!そう仲間を失いたくないってやつで…」
「いい雰囲気だったな~。思わずあたしはお邪魔虫だから退散しようかと思ったもん」
「だからあれはホッとしたって言うか…」
「けっこうお似合いだと思うよ。なんだかんだで息ぴったりだったしね~」
静の必死の言い訳も通じない。いのりのちょっぴりの嫉妬も含んだスーパーからかいタイムは東京に到着するまで続いたと言う。
…ところで、話はちょこっとだけさかのぼる。
「静さん…もう帰っちゃうなんて…」
ぐるぐるメガネの少女、三石小夏がその話を聞かされたのは、今日の朝のことだった。
「本当に残念だな~」
溜息をつく。せっかく出来たお友達が帰ってしまうなんて。
これだけ寂しいのは、唐子が卒業して以来だ。
「…あれ?あの子…」
げっそりと溜息をつく小夏がその女の子に気づいたのは、本当に偶然だった。
駅の券売機で、なにやら首をかしげている…小さな女の子。確か駒犬先輩と一緒にいたような気がする。
「あの…どうしたんですか?」
根は親切な少女である小夏はその赤毛の女の子に話しかける。
「え?…ああ、切符が売ってないんでしゅよ。お金はこれで足りるはずなんでしゅけど」
流暢な日本語で話してはいるが、明らかに外国人の女の子は、小夏の方を向いて答える。
「切符が売って無い?」
小夏は首をかしげて、そのことに気づく。
その手には1万円札が握られている。子供料金ってのを考えるとちょっとその辺の駅までって話じゃなさそうだ。
「ああ、遠くの駅に行くんだったらこの券売機だと無理だと思いますよ」
遠距離用の券売機に案内し、お金を入れてあげながら、聞く。
「それで、お嬢ちゃんはどこまでの切符が欲しいのかな?」
その問いに、少女は笑顔で答える。
「え~と…東京の、秋葉原ってところでしゅ!」
「静さん…もう帰っちゃうなんて…」
ぐるぐるメガネの少女、三石小夏がその話を聞かされたのは、今日の朝のことだった。
「本当に残念だな~」
溜息をつく。せっかく出来たお友達が帰ってしまうなんて。
これだけ寂しいのは、唐子が卒業して以来だ。
「…あれ?あの子…」
げっそりと溜息をつく小夏がその女の子に気づいたのは、本当に偶然だった。
駅の券売機で、なにやら首をかしげている…小さな女の子。確か駒犬先輩と一緒にいたような気がする。
「あの…どうしたんですか?」
根は親切な少女である小夏はその赤毛の女の子に話しかける。
「え?…ああ、切符が売ってないんでしゅよ。お金はこれで足りるはずなんでしゅけど」
流暢な日本語で話してはいるが、明らかに外国人の女の子は、小夏の方を向いて答える。
「切符が売って無い?」
小夏は首をかしげて、そのことに気づく。
その手には1万円札が握られている。子供料金ってのを考えるとちょっとその辺の駅までって話じゃなさそうだ。
「ああ、遠くの駅に行くんだったらこの券売機だと無理だと思いますよ」
遠距離用の券売機に案内し、お金を入れてあげながら、聞く。
「それで、お嬢ちゃんはどこまでの切符が欲しいのかな?」
その問いに、少女は笑顔で答える。
「え~と…東京の、秋葉原ってところでしゅ!」
「ありがとうでしゅ。三石のお姉ちゃん」
「い~え。困ったときはお互いさまなんで気にしないでください」
少女が手を振る。それに手を振り返しながら、小夏はふと考えた。
(そ~言えば…なんであんな小さな子が一人で?)
かすかな不思議の香りをかぎとって考え始める小夏だったがすぐに気づく。
「あ!そうだ!静さんといのりさん!」
そうだ。元々見送りに来たんだった。うっかり忘れるところだった。
「大変!すぐに行かないと」
慌てて走り出した小夏は、すっぱりと先ほどまでの疑問を忘れ去っていた。
「い~え。困ったときはお互いさまなんで気にしないでください」
少女が手を振る。それに手を振り返しながら、小夏はふと考えた。
(そ~言えば…なんであんな小さな子が一人で?)
かすかな不思議の香りをかぎとって考え始める小夏だったがすぐに気づく。
「あ!そうだ!静さんといのりさん!」
そうだ。元々見送りに来たんだった。うっかり忘れるところだった。
「大変!すぐに行かないと」
慌てて走り出した小夏は、すっぱりと先ほどまでの疑問を忘れ去っていた。
「…さてと」
小夏がいなくなったのを確認して、赤毛の少女が歩き出す。
「ロンギヌスとやらの特別急行って、確かこっちのホームだったわよね?」
さて、どうすればバレずに乗り込めるだろうか。
そんなことを考えながら、知らず知らずの笑みを浮かべる。
昔、世界中を逃げ回ってた頃の感覚が蘇る。昼間の間に逃げるためにあちこちに潜りこんだりした記憶。
最もあの頃は最初っから切符を買おうとか思わなかったことを考えると丸くなったんだろう。多分。
「異世界ってどんなところなのかしら?」
したいようにする。やりたいようにやる。そのために…生き続ける。
それが、少女のやり方。永遠を退屈せずに暮らすために選んだ道。
「お楽しみは、これからよ」
そう言って笑う少女の口元で。
小夏がいなくなったのを確認して、赤毛の少女が歩き出す。
「ロンギヌスとやらの特別急行って、確かこっちのホームだったわよね?」
さて、どうすればバレずに乗り込めるだろうか。
そんなことを考えながら、知らず知らずの笑みを浮かべる。
昔、世界中を逃げ回ってた頃の感覚が蘇る。昼間の間に逃げるためにあちこちに潜りこんだりした記憶。
最もあの頃は最初っから切符を買おうとか思わなかったことを考えると丸くなったんだろう。多分。
「異世界ってどんなところなのかしら?」
したいようにする。やりたいようにやる。そのために…生き続ける。
それが、少女のやり方。永遠を退屈せずに暮らすために選んだ道。
「お楽しみは、これからよ」
そう言って笑う少女の口元で。
小さな牙がきらりと光った。