ついに、ガオームは倒された。だが、地球の危機は去らなかった。 絶体絶命の地球を、生命たちを救えるのか、ビーファイター?
今、最終決戦の幕が上がる──!
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ガオームの遺したジャマールホールにより、地球全土が天変地異に見舞われていた。
「助けてくれぇ──っ!!」「しっかりして、大丈夫!?」
「怖いよぉ!」「もう駄目だぁ!」「どうなってるの!?」「地球は終わりだぁっ!!」
地球科学研究所アースアカデミア。
向井「地球を丸ごと不毛の星と化す、ジャマールホールか……」
大作「ガオームめ…… とんでもない遺産を遺していきやがって」
老師グル「それだけのエネルギーを放出しているのじゃ。正面攻撃で破壊するのは、到底不可能じゃろう」
舞「そんな…… それじゃ、みすみす……」
拓也「ひょっとして、内部へ入り込めば?」
向井「内部って? まさかジャマールホールの!?」
大作「そうか! そこから中心核を叩けば」
舞「ジャマールホールそのものを、破壊できるかも! ……待って? そんなことしたら……」
老師グル「こちらも、次元のチリと化す可能性が高い」
大作「けど…… それしか方法がないなら……」
舞「やるしか…… あたしたちがやるしかないわ!」
拓也「そして、それができるのは俺たちビーファイターだけだ!」
海岸。前回、セントパピリアを捕らえたシャドーが佇んでいる。
シャドー「望み通り貴様の前で、ヤツと…… ブルービートと宿命の決着を着けてやる」
限界が近づいているシャドーの肉体に、苦痛が走る。
シャドー「うぁっ! ……あっ……! 必ず勝利をつかみ、貴様から永遠の命を手に入れてやる!」
セントパピリアは何も言わず、表情ひとつ変えない。
アースアカデミア支部長室の窓ガラスを破り、壁に羽根が突き刺さる。
拓也「セントパピリアの羽根!」
大作「おい、まさか!?」
舞「ブラックビートがここを突き止めて?」
羽根が光を放ち、シャドーの姿を映し出す。
拓也「シャドー!!」
シャドー「もはや、傷の痛みを分かち合う必要も無い。ひとり生き残るのはどちらか、雌雄を決する時がついに来たのだ」
舞「拓也……」
拓也「わかる…… 俺にもヤツの居場所が」
シャドー「さぁ来い、甲斐拓也、ブルービート! 待ってるぞ」
シャドーの姿が消える。
拓也「それにしても、こんな時に…… ダメだ! 今は地球を救うのが先だ。行こう、ジャマールホールの破壊へ!」
大作「いや…… そいつは俺たちの仕事だ」
舞「拓也はシャドーと、ブラックビートと戦って」
拓也「しかし!」
老師グル「ブラックビートをこのままにしておけば、恐らく第2のガオームに…… いや、それ以上の全次元にとっての脅威となるに違いない」
大作「ヤツとの決着が、拓也、お前の宿命なら」
舞「これがあたしたちの、宿命よ」
拓也「……」
老子グル「行け、拓也。今がその時だ、存分に戦って来い!」
向井「そして…… 帰って来い! 必ずここへ!」
拓也の肩を力強く抱く向井博士。
向井「わしは…… わしらは、いつまでも待っとる」
拓也「博士……」
向井「うん!」
拓也「グル……」
老師グル「うむ」
拓也「大作…… 舞……」
頷き合う拓也たち3人。
拓也「重甲!!」
拓也たちがインセクトアーマーを纏ってビーファイターとなり、さらにビートマシンに乗って出撃。メガヘラクレスがそのあとに続く。
3人「メガビートフォーメーション!!」
メガヘラクレスが3機のビートマシンを搭載し、最強形態のメガビートフォーメーションとなる。
ブルービート「ジースタッグ、レッドル…… 友よ、また逢おう。平和を取り戻した地球で、必ず!」
メガヘラクレスを降りるブルービート──
海岸で待ち構えるシャドーの前に、拓也が現れる。
シャドー「来たか。待ってたぞ、甲斐拓也」
拓也「シャドー…… ブラックビート!」
捕らわれの身のセントパピリア。
拓也「セントパピリア!?」
シャドー「甲斐拓也! 俺は貴様を倒す。そして永遠の命を得て、唯一絶対の存在になってやる。この島を出てくのはひとりだけ…… 俺だ」
拓也「俺は、俺が生み出したお前を倒す。そしてすべての戦いにピリオドを打つ! ほかの誰でもない、この俺自身の手で!」
シャドー「それはどうかな? 邪甲!!」
拓也「重甲!!」
シャドーがブラックビート、拓也がブラックビートとなる。ゆっくりと2人が歩み寄り、拳を重ねる。
大波が岩に押し寄せ、ひと際大きな波音があがる。
それを合図に、2人の戦いが始まる。激しいパンチ、キックの応酬。
セントパピリアが目を開く。
パピリア「この時を待っていた。今こそ見届けよう、お前たちの宿命を」
一方のジースタッグとレッドルは、2人のみでメガヘラクレスを駆る。
ジースタッグ「行くぞ!」
レッドル「OK!」
ジースタッグ「超高速移動!」
レッドル「フルパワー!」
メガヘラクレスが光と化し、ジャマールホールへと突入する。強烈な衝撃がメガヘラクレスを襲う。
ヘラクレス『気圧ガ…… 基本設定ガ違イマス エラーデス エラーデス』
ブルービートのスティンガーブレードと、ブラックビートのスティンガービュートの斬り合いで、火花が飛び散る。
ジャマールホールを突き進むメガヘラクレスはやがて、ホール内の中心部へと達する。
レッドル「あれよ! ジャマールホールの中心核だわ」
ジースタッグ「よし、標的ロックオン! メガビートキャノン!!」
しかし、メガビートキャノンは作動しない。
ジースタッグ「はっ……!? どうして撃てないんだ!?」
レッドル「どういうこと? メガヘラクレス!」
ヘラクレス『基本設定外ノタメ 射撃回路ガ破損シマシタ コレ以上 コノ空間ニ留マルト ホカニモ破損ガ出ル恐レガアリマス』
ブルービートとブラックビートはともにダメージを負い、煙を吹き上げながら戦いを続ける。
インプットマグナム、ジャミングマグナムの撃ち合い。セントパピリアはじっと、戦いを見守り続ける。
一方で、ジャマールホール内のメガヘラクレスにも危険が続いている。
ヘラクレス『危険デス メンテナンスガ必要デス』
ジースタッグ「俺がやる。ここを頼む」
レッドル「まさか…… 射撃回路のメンテナンスは、機外に出ないと不可能よ!」
ジースタッグ「ブルービートも死力を尽くして戦ってるはずだ。俺たちだけ引き下がるわけにはいかない」
単身ジースタッグが機外に出て、メンテナンスにとりかかる。
過酷なジャマールホールが、ジースタッグの体にじかにダメージを与え、火花が飛び散る。
ジースタッグ「ぐわぁっ! インセクトアーマーが……」
ヘラクレス『危険デス コレ以上ハ危険デス』
ジースタッグ「負けるもんか……!」
レッドル「がんばって、ジースタッグ……」
海岸では剣撃戦の末、鍔迫り合いを力で押し切ろうとしたブラックビートが、突如、全身から火花を吹き出す。
ブラックビート「がぁっ!? あぁっ……」
ブルービート「ブラックビート!」
ブラックビート「まだ俺は死なん……! 貴様を倒すまで…… 俺が俺になるまで! 食らえっ!!」
ブルービートの動揺の隙を突き、ブラックビートのジャミングマグナムが炸裂。
ブルービート「うわぁっ!!」
ヘラクレス『限界デス 限界デス』
ジースタッグ「もう少し…… もう少しだ」
メガヘラクレス内のコクピットが限界に対し、各部で爆発が起きる。
ヘラクレス『エンジン回路ショート タダチニ接続シテクダサイ 危険デス 危険デス』
海岸での戦い。銃撃の爆炎がやむ。ブルービートの最期か──と思いきや、炎の中から現れたのは、重甲超進化を遂げたスーパーブルービートの姿。
メガヘラクレスはコクピット内がボロボロになり、壁面には回路からちぎれた配線が剥き出しになっている。
レッドル「ひどい破損……」
ヘラクレス『危険デス タダチニ エンジン回路ヲ接続シテクダサイ』
レッドル「よぉし…… こうなったらインセクトアーマー自身を回路にして!」
壁から飛び出した配線を、レッドルが左右の手で握る。
レッドル「あぁ──っ! うぅっ──っ!!」
停電していたコクピット内装に再び光がともる。
ヘラクレス『エンジン回路 接続シマシタ』
レッドル「……やったわ!」
ジースタッグ「やったぞ、こっちもメンテナンス完了だ!」
スーパーブルービートはブラックビートの激しい銃撃の中、臆することなく突き進む。
ブルービート「スーパーファイナルブロー!!」
ビートイングラムが火を吹き、最強技スーパーファイナルブローがブラックビートに炸裂。
ジャミングマグナムが地面に落ちる。
ブラックビート「うわあぁぁ──っっ!!」
大爆発──!
ジースタッグがメガヘラクレスに乗り込む。
ジースタッグ「よし、OKだ!」
2人「メガビートキャノン!!」
メガヘラクレスの最強武器、メガビートキャノンが炸裂。ジャマールホールの中心核が爆発、消滅する。
ジースタッグ「やった……」
レッドル「やったぁ!」
ジースタッグ「やったぞ、レッドル!」
ジャマールホールによる地球上の大異変も、次々に回復する。
人々「良かったわねぇ!」「地球は救われた!」「やった!」「助かったんだ!」
スーパーファイナルブローを浴びて倒れ、ブラックビートは動かない。
重甲超進化を解いたブルービートがゆっくりと天を仰ぐ。
だが、倒れたと思われたブラックビートがかすかに手を動かし、ブルービートを睨みつける。
よろめきながらも立ち上がるブラックビートに、ブルービートが気付いた次の瞬間──
ブルービート「はっ……!?」
ブラックビート「むんっ!!」
スティンガービュートの切っ先がブルービートを貫く。
ブルービート「あぁっ!? あぁっ……!? あ…… あぁ──っ!?」
火花を吹きつつ、ブルービートが倒れる。
ブラックビート「やった…… これで俺は貴様に、いや、俺自身になれる! 勝った…… 勝った! 勝ったんだぁ!!」
だがブラックビートもまた、全身から火花と煙を吹き出す。
ブラックビート「ぐああぁぁ──っっ!?」
邪甲が解除され、シャドーが倒れる。
セントパピリアは無感情にその様子を見つめている。
シャドー「バカな…… 細胞が…… 体が崩れる……」
ブルービートの重甲も解除される。
拓也「……シャドー……」
血まみれの拓也が、必死に身を起こしてシャドーに駆け寄る。シャドーは苦痛に顔を歪め、倒れている。
シャドー「もはや、限界…… やはり、俺は出来損ないのクローンだった……」
拓也「シャドー……!」
シャドー「甲斐拓也、ブルービート…… 貴様が生み出した俺は…… 消えてなくなる…… 今、この瞬間…… 永久に……」
拓也「いや…… お前は…… お前との戦いは、消えない! 俺の、心の中だけに…… 生き続ける……!」
シャドー「……」
拓也「俺は、忘れない…… え…… 永久に…… シャドー!」
シャドーがかすかに笑みを浮かべ、事切れる。
その肉体が跡形もなく消滅し、ブラックコマンダーとネックレスだけが残る。
そして、拓也も力尽き、倒れる。
大作たちが海岸に駆けつける。
そこで目にしたものは、すでに動かなくなった拓也の姿──
一同「……」
大作「拓也……? 何寝てんだよ、お前……」
舞「冗談やめてよ、拓也……」
向井「……」
大作がブラックコマンダーとネックレスを見つける。
大作「そんな…… 痛みだけじゃなく、死まで分かち合ったってのか……?」
舞「ウソ…… ウソよ!」
大作「バカ野郎!! 目ぇ開けろよ、拓也! 約束したじゃねぇか! 忘れたのか!? 拓也…… 拓也ぁ!!」
舞「また逢おうって…… 平和になった地球でまた逢おうって約束したじゃない!? 拓也、目ぇ覚ましてぇ! 拓也ぁ!!」
大作「拓也ぁ、拓也ぁぁ!!」
向井「あぁ…… なんてことだ、なんてことだ、なんてことだ!! こんなことが、あっていいのか!? わしより若い者が…… 地球を救った、生命たちを助けた、その若者が、死ぬなんて…… そんなことがあっていいのか? そんなことが、あっていいのかぁ!?」
老師グル「……」
泣き崩れる大作と舞、向井博士。グルも何も言わず泣いている。
セントパピリアは解放され、空を舞っている。
パピリア「なぜ? どうして、そこまでして?」
セントパピリアの中を、拓也の魂が漂っている。
拓也「地球に…… ジャマールや、ジャマールホールで傷つき、倒れた地球の生命たちに、永遠の命を……! セントパピリア……」
パピリア「今わかった…… この次元に、地球に…… 拓也、あなたが必要だということが」
セントパピリアから拓也へと、光が注がれる。
皆が目を見張る中、拓也の傷が消え…… そして、ゆっくりと拓也が目を開く。
向井「あぁ……」
老師グル「おぉっ……!?」
舞「拓也……」
向井「おぉ、拓也ぁ!」
笑顔で立ち上がった拓也が、皆と喜びを分かち合う。
拓也「博士……! 舞!」
舞「拓也……!」
拓也「大作!」
大作「拓也!」
拓也「グル!」
老師グル「おぉ…… 拓也……!」
パピリア「地球は再生する。自らの力で、あなたたちの力で、きっと…… それを信ずるがゆえに、拓也…… あなたに命を!」
拓也「セントパピリア……」
皆が見上げる中、セントパピリアが光と化し、どこかへ飛び去って行く。
海岸にひとり立つ拓也が、シャドーの遺したネックレスを巻いたブラックコマンダーを手にする。
(シャドー『貴様が生み出した俺は…… 消えてなくなる…… 今、この瞬間…… 永久に……』)
ブラックコマンダーをしばし見つめ、激しく波打つ海へと放り投げる。
大作「拓也ぁ──!」
舞「拓也!」
大作と舞が駆けて来る。拓也が笑顔で駆け寄り、ハイタッチを交わし、拳を固く握り合う。
戦士たちの長く苦しい戦いが、今終わった…… それはまた、地球の再生の始まりでもあった。
ありがとう、昆虫たち! ありがとう、重甲ビーファイター!!
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最終更新:2024年07月14日 02:16