戦姫絶唱シンフォギアGXの最終回

キャロルの撃った光線を響とマリアが受け止める。
響「はぁぁぁ!!」
マリア「ジェネレーター!!」
響「エクス!ドラーーイブ!!」

虹色の光の奔流が空へ巻き上がり、暗雲を裂く。
そして、太陽の光と共にエクスドライブを発動させた6人の装者が舞い降りる。

エルフナイン「これが・・・奇跡の形・・・!」
洸「君!大丈夫か・・・」
エルフナインは苦しみながら涙を流す。
洸「涙・・・」



Episode 13 正義を信じて、握り締めて


マリア「単騎対六騎」
翼「錬金術師であるならば、彼我の戦力差を指折る必要もなかろう」
クリス「おまけに止めのエクスドライブ!これ以上はもうしまいだ!」
キャロル「ふん、奇跡を身に纏ったくらいでオレをどうにかできるつもりか?」
調「みんなで紡いだこの力を!」
切歌「奇跡の一言で片付けるデスか!」
キャロル「片付けるとも!!」
「奇跡など・・・あの日、蔓延する疫病より村を救ったオレの父親は中部によって研鑚を奇跡へとすり替えられた!」
「それどころか資格なき奇跡の代行者として焚刑の煤とされた!」
響「お父さんを・・・」
キャロル「万象に存在する摂理と術理、それらを隠す桜蔭を外し、
チフォージュ・シャトーに記すことがオレの使命・・・
すなわち、万象黙次録の完成だった、だったのに・・・」
響「キャロルちゃん・・・泣いて・・・」
キャロル「奇跡とは!蔓延る病魔に似た害悪だ!故にオレは殺すと誓った!
だからオレは奇跡を纏うものだけには負けられんのだ!!」
キャロルが指で掴んでいた石を放り投げると、
空と大地から、無数のアルカノイズが出現した。
翼「なにをしようと!?」


友里「まだ・・・キャロルは・・・」
藤堯「これ程までのアルカノイスを・・・」
弦十朗「チフォージュシャトーを失っったとしても世界を分解するだけなら不足は無いということか!」
緒川「この状況で僕たちに出来るのは・・・」
エルフナイン「うう・・・」
洸「響、響!」

響「その声、お父さん?」
洸「響!泣いている子が、ここにいる!」
響「・・・泣いている子には手を差し伸べなくちゃね!」

キャロル「何もかも壊れてしまえば!!」
アルカノイズが無人の町を攻撃し始めた。

響「翼さん!」
翼「分かってる、立花」
クリス「スクリューボールに付き合うのは初めてじゃねぇからな!」
マリア「その為に散開しつつ、アルカノイズを各個に打ち破る!」

響のガングニールの手槍が、
切歌と調の合体ギアが、
マリアのアガートラームの鞭が、
クリスのイチイバルの光弾が、
翼の二刀流の剣が、
次々にアルカノイズを倒していく。

切歌(あの子も私達と同じだったんデスね)
調(踏みにじられて、翻弄されて、それでも何とかしようともがき続けた)
マリア(違うのは、一人ぼっちだったこと。ただ、それだけ!)
クリス(救ってあげなきゃな、なんせアタシも救われた身だ!)
翼(そのためだったら、奇跡をまとい、何度だって立ち上がってみせる!
響(そのために私たちはこの戦いの空に歌を歌う!)

そして、アルカノイズは全滅した。

緒川「エクスドライブのパワーであれば!」
弦十朗「だが、同等のフォニックゲインを備えているのがキャロルだ!」

キャロルは空中で静止し、魔法陣を展開していた。
響「さっきのアルカノイズは時間稼ぎ!?」
クリス「残った思い出をまるごと焼却するつもりなのか!?」

キャロル「何もかも壊れてしまえ、世界も、奇跡も、オレの思い出も!」
キャロルは血涙を流していた。
その魔法陣からの衝撃波が響達を襲う。
マリア「救うと誓った!」
翼「おおとも!共に駆けるぞ、マリア!」
翼とマリアが胸を合わせ、アームドギアを展開しキャロルへ向かう。
キャロル「はぁぁ!」
キャロルは防御陣を展開し、その攻撃を受け止める。
キャロル「散れぇ!」
翼とマリアが弾き飛ばされた。

クリス「先輩!」
調「マリア!」

キャロルの持つダウルブラの糸がまき取られ、形をつむぎだす。
クリス「なんだ!?」
ダウルブラの糸は、碧色の獅子機となった。
キャロルはその中にいた。
キャロル「世界を無に帰す・・・なんだかどうでも良くなったが、そうでもしないと、へその下のうずきが収まらん」

クリス「仕掛けてくるぞ!」
獅子機の光線がビルを貫き、海にまで及ぶ。
クリス「あの威力、どこまで・・・」
調「だったらやられる前に」
切歌「やるまでデース!!」
クリス「おい!」
調と切歌が獅子機に挑むも、弾き飛ばされる。

マリア「あの鉄壁は錦穣!散発を繰り返すばかりでは突破できない!」
翼「ならばアームドギアにエクスドライブの全エネルギーを収束し、よろい通すまで!」
調「身を捨てて拾う、瞬間最大火力!」
切歌「ついでにその攻撃も同時収束デース!」
クリス「御託は後だ!マシマシが来るぞ!」
獅子機の光線を響が受け止める。
響「私が受け止めている間に!」
翼「やるぞ!」
翼達はアームドギアを解除して、
エネルギー弾に変えて、獅子機に投げつける。
その攻撃を受けた獅子機の一部が壊れ、キャロルの姿が露わになった。
キャロル「アームドギアが一振り足りなかったな、!?」
弾かれたアームドギアのエネルギーを響が収束している。
キャロル「奇跡は殺す!皆殺す!オレは奇跡の殺戮者に!!」
獅子機が響へ熱線を撃つ。
翼「立花!!」
熱線が響を覆う。
キャロル「ふっ・・・!?」
響は巨大な右腕としてアームドギアを展開し、
熱線を受け止め、振り払った。
響「繋ぐこの手が私のアームドギアだ!」
(当たると痛いこの拳、だけど未来は傷つけるだけじゃないと教えてくれた!)

キャロル「潰す・・・!こんな時に拒絶反応・・・!
キャロルの脳裏に父、イザークの思い出がよぎる。
キャロル(違う・・・これはオレを止めようとするパパの思い出・・・)
(認めるか!認めるのものか!!)
(全部燃やして力と変われーー!!)
イザークの思い出が燃やし尽くされる。

響のアームドギアが分解し、響を包むように再合体する。

響のアームドギアと獅子機の熱線がぶつかり合う。
響・キャロル「「はぁーー!!」」


翼「立花に力を!天羽々斬!」
クリス「イチイバル!」
調「シェルシャガナ!」
切歌「イガリマ!」
マリア「アガートラーム!」
翼達がエネルギーを響へ送る。
そのエネルギーを受けた響のアームドギアが獅子機の光線を押し込みだす。
響「はぁぁー!ガングニール!!」


GLORIOUS BREAK
響のアームドギアが獅子機の口へねじ込まれた。
キャロル「ふ、ふふ・・・」
獅子機がゆっくりと上昇していき、強い光が溢れ出す。


友里「行き場を失ったエネルギーが暴走しています!」
藤堯「被害予測!算出します!」
友里「エネルギー臨界点到達点まで後60秒!」
藤堯「このままでは半径12kmが爆心地となり、半径3kmまでの建造物は深刻な被害に見舞われます!」
緒川「まるで小型の太陽・・・」


キャロル「ふふ・・・お前に見せて、刻んでやろう、歌では何も救えない世界の真理を・・・」
響「あきらめない!奇跡だって手繰ってみせる!」
キャロル「奇跡は呪いだ・・・縋る者をとり殺す・・・」

友里「後20秒!」
獅子機が爆発を起こし、元の少女の体に戻ったキャロルが空中へ投げ出される。
響「キャロルちゃん!」
響はダウルダブラの糸に絡まれながらも、
キャロルへ手を伸ばす。

響「手を取るんだ!」
キャロル「ふふ・・・お前の歌で救えるものか・・・誰も救えるものかよーー!!」
響「それでも救う!抜刀!ダンスレイヴ!」
響はイグナイトモジュールを発動させ、糸を引きちぎり、尚手を伸ばす。
その姿に、エルフナイン、そしてイザークの幻影が重なる。
エルフナイン(キャロル!)
イザーク(キャロル、世界を知るんだ)
キャロル「パパ!」
イザーク(いつか人と人が分かり合うことこそが僕達に与えられた命題なんだ。
賢いキャロルには分かるよね、そしてそのためにどうすればいいのかを)
キャロル「パパ―――!!!」
キャロルが響の手を取った。
碧の獅子機が爆発を起こし、
響はエネルギーを収束し、自身とキャロルを守る。
そして――

弦十朗「そうか、未だキャロルの行方は知れないままか」
緒川「既に決着から七二時間が経過しています、
弦十朗「捜索打ち切り、帰投してくれ」
緒川「了解しました」
友里「保護された響ちゃんが無事だったことから、生存していると考えられますが・・・」
藤堯「気がかりなのは、キャロルの行方ばかりではありません」
エルフナインの病室に、未来と響達が集まっていた。

エルフナイン「来てくれて嬉しいです・・・毎日すみません・・・
未来「夏休みに入ったからだいじょーぶ」
エルフナイン「夏休み?」
調「楽しいんだって、夏休み」
切歌「私達も初めてデース」
響「早起きしなくていいし、夜更かしもし放題なんだよ」
未来「それは響のライフスタイル・・・」
クリス「あんま変なこと吹き込むじゃねーぞ」
響「夏休みには商店街でお祭りがあるんだ。焼きそば、綿あめ、たこ焼き、焼きいか!
ここだけの話、盛り上がってくるとマリアさんのギアからは盆踊りの曲が流れてくるんだよ♪」

エルフナイン「・・・本当ですか?」
マリア「本当なわけないでしょ!大体そういうのは、私より翼のギアの方がお似合いよ」

翼(セイヤ!)
翼のその姿を想像して、響達は笑い出すが、翼だけは苦笑いしている。
翼「成る程成る程・・・みんなが天羽々斬についてどう認識しているのか、よーく分かった・・・」

エルフナイン「ボクにもまだ知らないことがたくさんあるんですね・・・
世界や皆さんに知ることが出来たら、今よりずっと皆さんと仲良くできるでしょうか・・?」
響「・・・なれるよ!だから、早く元気にならなくちゃ!ねっ」


調「それじゃあまた明日ね」
切歌「ごきげんようデース!」
響達は病室から出る。
響「あー、私ちょっとトイレに・・・」
翼「・・・そうか」
響が一人でトイレに行った。
クリス「行くぞ」
切歌「戻ってくるのを待たないデスか?」
マリア「いいのよ・・・」
トイレで、響は一人泣いていた。未来も来ていた。
響「ごめん・・・私が泣いていたら、元気になるはずのエルフナインちゃんも元気になれないよね・・・」
「世の中、拳でどうにかなることって簡単な問題ばかりだ・・・
自分に出来るのが些細なことばかりで・・・ホントに悔しい・・・」
未来「そうかもしれない。だけどね、響が正しいと思って握った拳は特別だよ」
響「とくべつ・・・」
未来「世界で一番優しい拳だもの。いつかきっと嫌なことを全部解決してくれるんだから」
響「未来・・・ありがとう・・・やっぱり未来は私の陽だまりだ・・・」

夜、エルフナインの病室にキャロルが入ってきた。

エルフナイン「キャロル・・・」
キャロル「キャロル・・・それがオレの名前・・・」
エルフナイン「記憶障害・・・思い出の殆どを焼却したばっかりに・・・」
キャロル「全てが断片的で霞がかった様に輪郭が定まらない。
オレは一体何者なのだ?目を閉じると瞼に浮かぶお前なら知ってると思い、ここに来た」
エルフナイン「君は・・・もう一人のボク・・・」
キャロル「お前は・・・もう一人のオレ・・・」
エルフナイン「ええ、二人でパパの残した言葉を追いかけてきたんです」
キャロル「パパの言葉・・・そんな大切なこともオレは忘れて・・・
教えてくれ!こうしている間にもオレはどんどん・・・」
エルフナインが咳き込み、血を吐いた。
キャロル「お前!」
エルフナイン「順を追うと・・・一言で伝えられない・・・ボクの体もこんなだから・・・」
キャロル「オレだけでなく、お前も消えかかってるのだな・・・」
エルフナイン「世界を守れるなら、消えてもいいと思ってた」
「でも今はここから消えたくありません・・・!」
キャロル「なら、もう一度二人で!」
キャロルとエルフナインが唇を合わせる。

響達が病室に駆けつけると、エルフナインの姿は無く、キャロルだけが立っていた。
響「キャロル・・・ちゃん・・・?」
キャロルは首を横に振り、振り返る。その顔立ちはエルフナインのものだった。
エルフナイン「ボクは・・・」



響と洸は故郷の町へ戻っていた。
響「この町にはいい思い出なんて無いはずなのにね、
今じゃとても懐かしく感じちゃう」
洸「それは、あの頃よりも響が強くなったからじゃないかな」
響「え?」
洸「さて、俺も頑張らなくちゃ、な」
響「うん、お父さん!」
響・洸「「へいき、へっちゃらだ!」」


調と切歌はクリスの部屋で夏休みの宿題をやっていた。
調「楽しいはずの夏休みはどこへ・・・」
切歌「だけど、どうしてクリス先輩は余裕なんですか?」
クリスはアイスをつまみながら、ソファに寝転んでた。
クリス「いい機会だから教えてやる。こう見えて学校の成績は悪くない私だ」
切歌・調「「うっそー」」
クリス「・・・・・」
切歌「い、今のは調が言ったんデス!」
調「私を守ってくれる切ちゃんはどこへ行っちゃたの・・・!」
クリス「ちゃっちゃと宿題片付けろーー!!」


翼と緒川は空港に来ていた。
緒川「翼さん」
そこでマリアも待っていた。
マリア「たまさか私もイギリス行きなのよね」
翼「・・・たまさかね」
マリア「!やっぱりこの剣、可愛くない・・・」


空港の駐車場には、弦十朗と翼の父親の八紘がいた。
弦十朗「見送りに行かないとは父親失格じゃないか?」
八紘「私達はこれで充分だ。それより弦、今回の魔法少女事変、どう思う?」
弦十朗「米国の失墜に応じた欧州の台頭、あるいは・・・」

エルフナインがS・O・N・Gの司令室に駆け込む。
エルフナイン「遅くなりました!」
藤堯「遅刻だぞ」
エルフナイン「すみません!」
友里「早速解析の続きを始めましょうか」
解析しているのは、ウェル博士の残したメモリーカードだ。


洸は、かって飛び出した響の家に帰り、
響の母と顔を合わせていた。
洸「やり直したいんだ!みんなでもう一度、だから!」
洸が頭を下げ、手を差し出す。
響の母は一度その手を取ろうとしたが、手を下げた。
洸「勢いなんかで手を繋げないって・・・」
響が両手で二人の手を取った。
響「こうするのが正しいって信じて握ってる、
だから・・・簡単には離さないよ♪」



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最終更新:2018年11月15日 21:58