【あらすじ】
イースの時代から遡ること遥か昔。ドゥアール海の小さな大陸に有翼人の国・エルディーンがあった。
大いなる力を生み出す装置"太陽の仮面"の加護によって1000年と7か月に亘り栄えたエルディーンは、ある日原因不明の災厄により水没してしまった。
生き残った有翼人達は、太陽の仮面と共にセルセタ地方に移り住み、現地民と共存して祖国の知識・技術を授け、豊かな穀倉地帯に成長させた。
しかし、豊かさから来る驕りと欲望は次第に人々を堕落させ、いくつもの小国に分かれて争うまでに至ってしまった。そこに現れた殺戮王アレムはセルセタ全土を武力統一し、恐怖支配の下に人々は苦しみ続けた。
圧政に反旗を翻すべく立ち上がった勇者レファンスは、後に五忠臣と呼ばれる仲間たち…スラノ、タリム、ミーユ、ラディー、トリエと共にアレムとその軍勢を倒し、セルセタ王朝を開いた。
有翼人はレファンス王に太陽の仮面を託し、その力を制御するために"月の仮面"を造り、人と有翼人の調和的な共存により王朝は繁栄を極めた。
それから数百年後。イースの神官ファクトの血族でありながら魔に魅入られてしまった魔道士・ジーク=ファクトの侵略によって、長かった平和な時代は突如として終焉を迎えた。
ジークは軍事大国ロムンの力を得て王都に攻め入り、月の仮面を奪い、太陽の仮面を暴走させてしまった。追い詰められた五忠臣の末裔は、都市諸共仮面を地底深くに封印し、辺りは広大な樹海に覆い隠された。
イースを巡る冒険から2年。ドギと共にエステリアを再訪していたアドルは、ゴーバン、そしてミネアの街の人々との再会を喜ぶ間もなく、街に戻ってきていた占い師サラの導きにより、単身セルセタ地方へ渡った。
しかしそこには、野望を持った者達の魔手が伸びていた。太陽の仮面の力を狙う最後の有翼人・エルディール。彼に付き従うアレム王の末裔・闇の一族のグルーダ、バミー、ガディス。そして古代の財宝の独占を企むロムン帝国の隊長・レオ…。
アドルは辿り着いて間もなくレオに囚われクレリアの武具を奪われたが、地方で出会った自警団の女・カーナや闇の一族の反逆者・デュレンと協力しながら旅を続け、五忠臣より課された試練を乗り越えていく。
その途中、ロムン帝国の船を追って三度赴いたエステリアで、フィーナとレアから月の仮面を託され、ガディスを倒してセルセタに帰還。戻らずの遺跡で蘇った彼を再び倒し、その後の道中で月の仮面をグルーダに騙し取られてしまった。
全ての試練を乗り越え、英雄レファンスの墓前に辿り着いたアドルは、彼の魂の導きで太陽の仮面の封印を解く儀式を阻止しようとするもののバミーに阻まれ、倒したのも束の間、とうとう仮面は古代都市エル・ドラン共々浮上した。
その隙を突いてグルーダはエルディールを背後から刺してしまう。闇の一族の真の目的は、その始祖たるアレム王の復活であり、エルディールはその為に利用されたに過ぎなかったのだ。
彼は自らの過ちを詫びながら、自身を慕う少女・リーザに看取られて息を引き取り、その魂は五忠臣の元に導かれた。
ドギと共に古代都市を探索するアドルの前に、財宝を狙うレオらロムン軍が現れる。しかし、いくつもの罠によって部隊は全滅し、レオ自身も財宝は存在しないと知った瞬間罠にかかり、それも欲望の報いと悟りながら死んでいった。
グルーダを倒して月の仮面とクレリアの武具を取り戻したアドルは、レファンスによって護られ続けてきた最後の魔法"エル・ドラン"を受け、その力でクレリアの武具は究極の魔法金属エル・ドランの武具へと生まれ変わった。
そして五忠臣の加護を受けた月の仮面を携え、神殿の最深部「漆黒の間」に辿り着いたアドルの目の前で、アレムは完全な復活を遂げるのだった。
「……混沌の時空より、我はここに蘇った。どれほどの時が流れようと、我が怨念の潰える事は無い。この地上の、生きとし生ける者全てを、地獄の業火で焼き尽くしてくれるわ…!」
倒される度に、アレムは姿を変えていく。
「まさか…人間如きに、これほどの力があるとは…だがまだ終わりでは無い…! かくなる上は我が身諸共、貴様を地の底に引きずり込んでくれる!! 彷徨える我が一族の亡者共よ! 我が下に集えェェェェ!!!」
最後には太陽の仮面と一体化した不気味な姿に変わり果てるも、アドルは遂に彼を打ち破った。
アレム「またしても、光の前に屈するのかぁッ! ・・・ゥワアアアオオオオオッ!!」
断末魔の絶叫と共にアレムが消滅。
力を失った太陽の仮面が崩壊し、アドルは奈落へと落ちていく。
そこに幾筋もの光が射しこみ、レファンスの魂が語りかけてくる。
レファンス「全ては終わった。大いなる力は、本来あるべき時空の彼方へと回帰したのだ。古の我が都は、間もなく消滅する。使命を終えた、我々の魂と共に・・・」
アドルを取り巻いていたレファンスと五忠臣の魂が彼を光に包み、地上へと導く。
古代都市エル・ドランが、轟音と共に再び樹海の底へと沈んでいく。
それをありし日の丘から見ていたリーザ、カーナ、ドギ。
朝の日差しが丘を照らし出すと、3人の元にアドルがやって来た。
カーナ「まあ、アドルさん! 無事だったのね!」
ドギ「あーあ、浮かんできたばっかりだってのに、もうなくなっちまったな・・・」
リーザ「これで、全てが終わったのですね・・・いいえ。違うわ。過去の呪縛から解き放たれたこれからが、私達にとっての、本当の始まり・・・」
ドギ「そうだとも。あんなものがいつまでも残ってたら、危なっかしくて寝てもいられねえぜ。これでいいんだよ。これで」
カーナ「アドルさん、村に戻りましょう。みんな、あなたの事を心配してるはずよ」
丘を後にするアドル達。リーザも少し遅れて彼らについて行く。
デュレン「俺はここに残って、復興を手伝う事にするぜ。過去の話とはいえ、同じ一族の出身者として、何だか責任感じちまってな。
昔っから闇の一族ってのは、人々に忌み嫌われ、どこにも安住の地が無かったんだよ。確かに、奴らのやり方は間違っていた。だが、その気持ちだけは、分かるような気がするんだ」
フレア「アドル君。このビル君が一人前になるまでは、私もここに留まる事にするよ」
ティム「お兄ちゃん、また一緒に遊ぼうね。あれ? 何だか気乗りしないみたいだね。そんな事じゃ冒険家とは言えないよ。なんちゃって!」
ヴェヌスの村の女「私を覚えていますか? ヴェヌスの村でお会いしましたね。この子を見て下さい。額にあった賢者の刻印が消え、元の赤ん坊に戻ったんです。これからは、普通の親子として、暮らしていきます」
カーナ「あなたには、どんなにお礼を言っても足りないわね。これからは、犠牲になった多くの人達の分まで、頑張って生きていくわ」
リーザ「いつかまた、このセルセタを尋ねて下さい。その時は、きっと笑顔で迎えられると思います。どうかお元気で・・・あなたの事は、忘れません・・・」
アドルとドギは、船上から夕日を眺めていた。
ドギ「そろそろ、陸地が見えてくる頃か…あそこには俺の故郷…」
とある民家。
暖炉が赤々と燃える中、母親が子供達に物語の本を読み聞かせている。
母「さあ、今日はこの辺にしておきましょう」
「もっと聞きたいよー!」
「ねえねえ、次のお話は?」
母「また今度、読んであげますよ。まだまだ、沢山の冒険がありますからね」
「今読んでよー!」
本を畳む。
母「ごめんなさいねみんな。そろそろ夕食の支度をしなければ・・・」
子供達「えー!? やだよー!!」
母と少年は帰っていく姉弟を見送り、そして家に戻る。
深々と雪が降る夜のエステリア。
あれから、どれほどの時が流れただろう。
アドルの冒険は、数々の物語となって人々に夢と希望を与えていた。
ミネアの街も、バルバドの港も、あの頃より大きくなった。
向こうの山のサルモンの神殿とダームの塔も、昔と変わらない威容を持ってそびえ立っている。
やがて、朝日がエステリアを照らす。
雪を被ったロダの大樹が、朝日を浴びて煌く。
最終更新:2022年02月19日 11:57