【あらすじ】
プラフスキー粒子によってガンプラを自在に動かせるようになり、それを応用したシミュレーションバトル競技・ガンプラバトルが地球規模にまで発展した時代。
第2回ガンプラバトル選手権世界大会準優勝者イオリ・タケシの息子イオリ・セイは、高い製作スキルを持つものの操縦は苦手だった。
そんな彼と出会った異世界アリアンの少年アリーア・フォン・レイジ・アスナは、ガンプラはおろかガンダムシリーズの知識も皆無だが、操縦テクニックに関しては天才的なものがあった。
二人はユウキ・タツヤとのバトルを経て、本格的にガンプラバトルに打ち込んでいくようになる。
彼へのリベンジを果たすため世界大会地区予選決勝まで勝ち進んだものの、タツヤは突然棄権。収まりがつかない二人は彼とのフリーバトルで全てを出し尽くした末に敗退。
第7回世界大会の場にて、タツヤは三代目メイジン・カワグチの襲名を宣言。
その真意は、初代メイジンと同じ「"明るく楽しいガンプラ"の普及」を掲げ、二代目の唱える勝利至上主義を覆すためであり、予選決勝を棄権したその裏には、粒子発生装置の開発元PPSE社のアラン・アダムスの誘いがあった。
再戦に燃えるセイとレイジは、数々の強豪との激闘を乗り越え、その裏に仕組まれたPPSE会長マシタと秘書ベイカーによる執拗な妨害工作を振り切り、決勝へとコマを進めていく。
そして迎えた決勝戦。メイジンはマシタの毒牙にかかり、かつてアイラの自由を奪ったエンボディシステムによって操られてしまっていた。
彼の目を覚まさせるため戦いに応じ、勝利を掴んだ二人。VIPルームにマシタを見つけたその時、狼狽する彼の感情に反応してPPSEスタジアムの地下にあった大型アリスタが暴走。スタジアムを異変が襲った──。
大型アリスタの暴走の影響で、PPSEスタジアムのあらゆる場所から金色のプラフスキー粒子が漏れ出す。
レイジ「何だ!?」
セイ「プラフスキー粒子が、どこからか漏れてる!」
メイジン「ど…どういうことだ!?」
さらに粒子が結晶化し、ガラスが割れる。
フェリーニ&キララ&マオ「!?」
フェリーニ「粒子が物質化して!」
マオ「大事ですやん!」
結晶化が進み、ドームの照明が爆発。
珍庵「変異現象が、暴走してるのか…」
ラルさん「いかん!! このままでは、会場が倒壊する恐れがあるぞ!!」
タケシ「観客を避難させるんだ! 手伝ってくれ!!」
観客たちが一斉に避難。
リン子「非常口はこっちよー!!」
タケシ「皆さん!! 並んで!!」
ラルさん「慌てずに進んで下さい!!」
一方VIPルームでは…。
ベイカー「…会長! アリスタを止めて下さい!!」
マシタ「止まらないんだよベイカーちゃん! 光ったまま消えてくれないんだよぉ!! どうなっちゃってんのよ~!!」
会場地下の巨大アリスタが突如消滅し、粒子となって発生装置から放出される。
抱き合って声にならない声で叫ぶマシタとベイカー。
観客席を走るアイラ・チナ・ミサキ。
その時、周囲が宇宙空間に変わり…。
チナ「…宇宙!?」
レイジ「…! セイ! あのデカブツは何だ!?」
セイ「ユウキ先輩、あれは…」
メイジン「ああ、間違いない…宇宙要塞、ア・バオア・クーだ!」
ア・バオア・クーとその周囲の宇宙が、発生装置からドームを突き破ってスタジアムの外に映し出されている。
メイジン&セイ&レイジ「…」
余りの巨大さに驚く。
そこに駆けつけるアイラ・チナ・ミサキ。
チナ「イオリ君!」
アイラ「レイジ!」
セイ「委員長!」
レイジ「アイラ!」
「ミサキちゃん!」
一同「?」
マオ・キララ・フェリーニもやって来た。
ミサキ「マオ君!」
フェリーニ「何をやってる! ここは危険だ!」
キララ「早く避難しないと!」
セイ「はい!!」
マオ「こっちです!」
ミサキの手を握って走り出す。
フェリーニ「急げ!」
一同も避難。しかし…。
レイジ「…!!」
何かに足を取られた。
振り返って足元を見ると…。
レイジ「…お!? てめぇは…!」
マシタ「レ、レイジ王子! お助け下さい!! 宝物庫からアリスタを盗み出したことは謝ります!! ごめんなさい!!」
レイジ「お前、アリアンの人間なのか!?」
マシタ「そんなことより早く何とかして下さい!! 王子なんでしょ!?」
レイジ「…勝手なことばっかり…!!」
セイ「…レイジ! 早く逃げなきゃ!!」
「いけません」
ニルスとキャロライン、そして彼女の執事が現れた。
セイ「ニルス君!」
チナ「キャロちゃん!」
ニルス「会場地下にある、プラフスキー粒子の大型結晶体が、暴走しているのを目撃しました」
メイジン「何だって!?」
ニルス「このまま粒子放出と、変異現象が続けば、どれほどの惨事になるか、この僕にも予想不可能です」
GPベースを発生装置にセット。
ニルス「よし。まだ生きてる!」
セイ「ニルス君! 何を!?」
ニルス「決まっています。最悪の事態になる前に、結晶体を破壊するのです!」
ポケットから戦国アストレイを取り出す。
ニルス「生身で行くのは危険ですが、ガンプラを使って要塞の中心部に突入すれば…」
レイジ「OK! 乗ったぜニルス」
セイ「レイジ!」
マシタがレイジにヘッドロックをかけられもがいている。
ベイカー「…」
レイジ「尻尾を巻いて逃げるなんてゴメンだ! やれることがあんなら、俺はやるぜ!」
セイ「……わかった。僕も行くよ!」
フェリーニ「フッ。ここで逃げたら男が廃るか…キララ、お前らは逃げろ」
キララ「ハァ? 冗談言わないでよ」
チナ「私も行きます!」
アイラ「大会ベスト4の戦力、必要なんじゃない?」
キャロライン「私の実力を、思い知らせてあげますわ!!」
レイジ「……ヘッ、どいつもこいつも、バカばっかりだぜ!」
セイ「やろう、みんな!!」
一同「おうっ!!」
それそれが拳を上げる。
その頃、ルワンやグレコも観客の避難を手伝っていた。
レイジ「スタービルドストライク!」
セイ「ビルドガンダムMk-II!」
チナ「ベアッガイIII!」
アイラ「ミスサザビー!」
フェリーニ「ガンダムフェニーチェリナーシタ!」
キララ「ガーベラ・テトラ!」
ニルス「戦国アストレイ頑駄無!」
キャロライン「騎士ガンダム!」
レイジ「い・く・ぜぇぇぇぇ!!!」
それぞれのガンプラが、ア・バオア・クー目指して一斉に出撃。
マシタ「お願いします…お願いします…」
メイジン「くっ…! エクシアがこの状態では…!」
ダメージを受け、武器をも失ったアメイジングエクシアを見つめるメイジン。
「タツヤ!」
メイジン「!?」
アランがバッグを持ってやって来た。
メイジン「アラン!」
会場外。
観客の避難は終わっていた。
ラルさん「もう大丈夫ですよ!」
タケシ「念のため、会場から離れるようにして下さい!」
リン子「タケちゃん! ラルさん!」
タケシ「どうしたんだ!?」
リン子「セイたちの姿が見つからないの!」
タケシ「何だって!?」
リン子「レイジくんも、チナちゃんも!」
タケシ「ま、まさか!?」
ラルさん「まだ中にいるというのか!?」
スタジアム内。
ニルス「要塞に突入して、大型結晶体を破壊します!」
セイ&レイジ「了解!」
フェリーニ「…?」
ア・バオア・クーから何かが発進した。
ガンプラバトルシミュレーション用に開発されたPPSEの新製品・モック。
チナ「て、敵?」
セイ「…!? 対コンピュータ戦用の無人機!」
以前戦ったメガサイズモデルのザクIIを思い出した。
マシタ「あぁぁぁぁ!! この大会で大々的に発表する予定の、我が社の新製品がぁぁぁ!!」
キララ「ガンプラモドキ!?」
フェリーニ「パチモンかよ!」
モック部隊が攻撃を始める。
レイジ「来るぞ!」
フェリーニ「ここは俺たちに任せろ!!」
モックを迎撃するリナーシタ、そしてガーベラ・テトラ。
チナ「ごめんなさーい!!」
ベアッガイIIIがモックの射撃をかわし、ビームサーベルで撃墜。
アイラが自分専用に作った改造ガンプラ・ミスサザビーのスイートソードが、そして戦国アストレイの斧と木槌がモックを次々と撃墜。
ニルス「うおぉぉぉぉぉ!!」
勢いでモックを押す戦国アストレイに次々とモックが組み付いてくるが、木槌からのバーニア噴射で散り散りになる。
ニルス「はぁっ!!」
両肩のサムライソードを抜き、同時に放たれた×字の衝撃波が遠距離のモックを撃破。
しかし、すかさず別のモックが出現。
そこに、キャロラインの騎士ガンダムが割り込み、モックの胸部に炎の剣を突き立てる。
キャロライン「…!!」
ア・バオア・クーの周囲に群がる無数のモック。
キャロライン「何て数なの!?」
その一部を、一すじのビームが吹き飛ばす。
キャロライン「何!? 何!?」
フェリーニ「どうなってんだ!?」
レイジ「援軍?」
セイ「…! あれは!」
ビームを放ったのは…。
セイ「マオ君!!」
マオ「えらい遅なりました。これが真打! クロスボーン魔王です!!」
マオの新ガンプラ、クロスボーン魔王。
胸部のドクロの口が開き、ハイパーサテライトキャノンがモックを吹き飛ばし、ア・バオア・クーの外壁に直撃。
そして、一斉にア・バオア・クーへと肉迫する。
フェリーニ「レイジたちは、あの穴から中へ入れ!」
ニルス「入口は僕たちが死守します!」
セイ「了解!」
レイジ「突入する!!」
ベアッガイIIIとミスサザビーも両機の後を追い、リナーシタとガーベラ・テトラがそれを守る。
4機は突入に成功。
追撃を止めるガーベラ・テトラ。
クロスボーン魔王もハイパーサテライトキャノンを発射。
一方、力の盾が破壊され、騎士ガンダムがピンチに。
キャロライン「きゃぁぁぁぁぁっ!!」
そこに戦国アストレイが助けに入る。
ニルス「キャロライン!!」
キャロライン「ニルス!!」
その時、戦国アストレイが背中に攻撃を受け、鬼の盾を破壊されてしまう。
ニルス「くっ…!!」
リナーシタも次第に数に圧倒され、飛行形態に変形してその場を離脱。
フェリーニ「クソッ! キリがねぇ!!」
次々出撃するモックに押され、戦況は悪化しつつあった。
マオ「…! このままやと…」
「マオ!」
マオ「!?」
「諦めるのは早いで!」
マオの目の前に広がる爆発。
モックを撃破したのは…。
マオ「し…師匠!」
珍庵のマスターガンダムだった。
その背後から飛び出したガンプラは…。
フェリーニ「あのグフは…ラル大尉!!」
ラルさんの改造ガンプラ・グフR35。
ラルさん「珍庵!」
珍庵「うむ」
ラルさん「久々に、アレを使うぞ!」
珍庵「ぃよっしゃ!!」
グフがヒートロッドを射出し、マスターガンダムを蹴って高速回転。
ラルさん「うぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
紫の渦がモックを巻き込んでいく。
そこに高速で突っ込むマスターガンダム。
珍庵「ガンプラ心形流・究極奥義ィ!! 珍庵蹴りィィィィィィィィ!!!」
キックで渦の中心を突き抜けていくと、そこに「ガンプラ心形流」の文字が現れる。
爆風に耐えるクロスボーン魔王。
マオ「うぅっ!!」
ラルさん「とりゃぁぁっ!!」
両腕のバルカンを斉射。
珍庵「きぇぇぇあぁぁぁぁぁ!!」
両手から波動を放つ。
その活躍を見たキララとフェリーニは…。
キララ「何? このデタラメな強さ…」
フェリーニ「す、すっげぇ…! あれが"青い巨星"の、真の実力か!!」
マオ「師匠! 凄すぎます!!」
喜び合う珍庵、そしてラルさん。
キャロライン「一気に形勢逆転ですわね!!」
しかしその時…。
ニルス「…!?」
戦国アストレイと騎士ガンダムの頭上に光が。
ア・バオア・クーの外壁を突き破って巨大なビームが放たれ、モックが巻き込まれる。
ラルさん「何だ!?」
珍庵「このビームは一体…」
ビームが消える。
マオ「セイはん、今のんは…!?」
セイ「そ…そんな…」
レイジ「…!」
目の前には、破壊されたベアッガイIIIとミスサザビーが。
そこはビームの発射口だった。
その少し前に遡る。
ビルドMk-IIが先頭に立って自衛装置を破壊しつつ、4機はア・バオア・クー内部を進んでいく。
レイジ「セイ、どこまで行くんだ!?」
セイ「要塞の中心部だ!」
レイジ「よぉし!!」
その時、アイラは後方から粒子の流れを察知した。
アイラ「!…何!?」
正面を粒子の塊が包んでいく。
アイラ「ダメ!!」
チナ「!?」
アイラ「粒子の塊が!!」
チナ「!!」
眼前にはビームの発射口が。
しかもエネルギーチャージが完了し、今にも発射されようとしていた。
レイジ&セイ「!?」
アイラ「レイジ!!」
チナ「イオリ君!!」
ミスサザビー・ベアッガイIIIがビルドストライク・ビルドMk-IIを突き飛ばし、発射されたビームの直撃を受ける。
セイ「委員長!!」
レイジ「アイラ!!」
その時…。
レイジ&セイ「!!」
モック部隊が追撃をかけてきた。
迎撃するビルドMk-II。
セイ「委員長! 動ける!?」
レイジ「セイ!」
セイ「!?」
ビルドストライクもミスサザビーから借りたスイートソードでモックを撃ち落とす。
セイ「後ろ!!」
しかし、間もなく2射目のチャージが始まる。
チナ「行って! イオリ君!!」
セイ「…!」
アイラ「早く結晶を破壊しに!!」
レイジ「うるせぇ!!」
モックの追撃は止まらない。
その時…。
「燃え上がれ! エクシア!!」
レイジ&セイ「!?」
右肩にマントを付けたメイジンのアメイジングエクシアだった。
メイジン「トランザム!!」
エクシアがトランザムを発動し、目にもとまらぬ速さでモック部隊を撃破。
レイジ「ユウキ・タツヤか!?」
メイジン「ここは私たちに任せてもらおう!」
セイ「私たち!?」
タケシ「セイ!」
セイ「父さん!?」
タケシ「あれだけの粒子ビームを撃てたということは!」
タケシのガンプラはパーフェクトガンダム。
タケシ「あの砲台の向こうに、大型結晶体があるということだ!!」
肩のビームキャノンを発射し、発射口を破壊。
しかし、すぐさまモックが攻撃を再開する。
メイジン&タケシ「!」
パーフェクトガンダムのビームキャノンが一閃。
タケシ「ユウキ少年!」
メイジン「はい!」
トランザムを発動して切り込む。
タケシ「セイ! 彼女たちは私たちが守る! 2人は大型結晶体を叩け!!」
メイジン「頼んだぞ…レイジ君!」
チナ「お願い、イオリ君!」
アイラ「行って、レイジ!!」
レイジ「…セイ!」
セイ「行こう!」
爆炎の向こうへと突っ込むビルドストライク・ビルドMk-II。
ビーム砲台、そして扉を破壊し、突入した先には…。
レイジ「ん? 何だ!?」
ア・バオア・クーの中心…そしてこの事故の原因となった大型アリスタがあった。
セイ「粒子の嵐!?」
絶え間なく放出される粒子が、2機の進行を妨げる。
その凄まじさに、スイートソードが吹き飛ばされる。
レイジ「…進めねぇ…!!」
セイ「いいや!」
セイはビルドブースターMk-IIに操縦を切り替え、ビルドMk-IIから分離。
吹き飛ばされ、壁にたたきつけられるビルドMk-II本体。
そして、ブースターはすかさずビルドストライクに合体。
セイ「2人なら進める!!」
レイジ「よぉぉぉし!!」
セイ「RGシステム、完全開放!!」
一気に大型アリスタへと突っ込む。
セイ「ハイパァァァァ!!」
レイジ「ビルドォォォォ!!」
セイ&レイジ「ナックルゥゥゥゥゥゥ!!!」
全身が青白い光に包まれたビルドストライク。
左のハイパービルドナックルが大型アリスタに炸裂。
しかし、ダメージは与えたものの、左腕を失ってしまった。
レイジ&セイ「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
残った右の拳を、全力で叩きこむ。
そして、ついに大型アリスタの破壊に成功。
光の中で、喜び合いハイタッチを交わすレイジとセイ。
レイジ&セイ「よっしゃぁぁぁぁぁ!!!」
外の宇宙では、コントロールを失ったモックが次々と停止。
バトルフィールドも徐々に消滅していく。
タケシ「セイ…」
メイジン「やったか…」
チナ「イオリ君…」
アイラ「レイジ…」
フェリーニ「これは…」
マオ「粒子が、消えていきます…」
ラルさん「…よくやった! セイ君!! レイジ君!!」
両腕を失ったビルドストライク。
会場外にまで広がっていたフィールドが消えていき、雪のように降り注ぐ粒子。
ミサキ「…」
リン子「……セイ…レイジ君…タケちゃん……みんな…!」
会場内では…。
ニルス「セイ君!」
セイ「?」
ニルス「大型結晶体は?」
セイ「破壊したよ」
ニルス「そうですか…でも、少し残念です」
セイ「?」
ニルス「プラフスキー粒子が、大型結晶体から生成されていたとすれば、もう、二度と…」
「きゃああっ!!」
セイ&ニルス「?」
マシタが消えかかっていた。
キララ「な、何!?」
キャロライン「ひ、光ってる!!」
マシタ「アリスタが無くなったから、私も…アリアンに戻されるのか…」
ベイカー「!?」
マシタ「い、嫌だ! せっかくこの世界で成り上がったのに…こんなの嫌だぁぁぁぁ!!!」
ベイカー「!」
すかさずベイカーが飛びつく。
ベイカー「会長ぉっ!!」
二人そろってアリアンへ…。
アラン「き…消えた!?」
マオ「何ですのん!? 今の!」
セイは以前、目の前でレイジが突然消えたことを思い出した。
セイ「…! レイジ!!」
レイジ「?」
まだ無事だった。
セイ「はぁ…」
レイジ「じゃあ、そろそろやろうぜ!」
セイ「? やるって、何を?」
レイジ「約束が残ってんだろうが」
メイジンを見つめる。
メイジン(回想)「最高のバトルをしよう。世界中の人たちに、ガンプラの楽しさを感じてもらえるように…」
セイ「そうだね…そうだった!」
レイジ「ユウキ・タツヤはマシタとかいう野郎に操られてた。あんな決勝じゃ、勝った気にならねぇ!」
アイラ「まさか、戦う気!?」
チナ「何も、今やらなくても…」
レイジ「粒子が消えかかってる」
一同「?」
レイジ「もう二度とガンプラバトルができないかもしれない…だから…!」
セイ「わかった…やろう!」
メイジン「ああ。やろう!」
キララ「でも、ガンプラがそんな状態で…」
歩き出すフェリーニ。
キララ「…?」
リナーシタの両腕を差し出す。
フェリーニ「使え」
マオが差し出したのは、クロスボーン魔王のクロスボーンソード&ガン。
マオ「使うて下さい」
セイ「ありがとう…フェリーニさん、マオ君」
マオ「…」
アランはメイジンに、欠損した右腕と左膝装甲をケンプファーアメイジングのパーツで応急補修したアメイジングエクシアを差し出す。
アラン「今はこれが精一杯だよ」
メイジン「ありがとう、アラン」
何かを思いつき、その場を去るキララ。
セイ&レイジとメイジンの再戦の準備は整っていた。
Beginning plavsky particle dispersal.
髪をかき上げるメイジン。
粒子が放出され、満開の桜に彩られた森のバトルフィールドが現れる。
Field 3, Forest.
キララがビデオカメラを持って戻って来た。
キララ「…全世界のガンプラファンの皆さん。この映像が見えますか?」
各々がGPベースとガンプラをセット。
キララ「もしそうなら、この一戦を見逃がさないで下さい!」
Battle start.
レイジ「行くぜ!!」
セイ「うん!!」
両機が同時に発進。そして撃ち合いになる。
メイジン「!」
レイジ「!?」
熱狂する一同。
メイジン「ありがとう、イオリ君! レイジ君! 私はこの戦いを望んでいたぁぁぁっ!!」
レイジ「ああ!! 俺もだぁぁぁぁっ!!」
斬り結び、弾け飛ぶ両機。
セイ「…ありがとう、レイジ」
レイジ「何だよ?」
セイ「君と組まなきゃ、こんなバトルを味わうことはできなかった」
レイジ「?」
セイ「父さんのようになりたかったけど、僕は操縦が下手だから…」
レイジ「…セイは下手なんかじゃねぇよ」
セイ「!?」
レイジ「お前はガンプラが好き過ぎるから、バトルをして傷つけるのが嫌だった。だから迷って、操縦に集中できないでいた。足りないのは技術じゃなくて、何を失っても戦うという覚悟だ!」
セイ「…うん。その覚悟を、いろんな人に教えてもらった。ユウキ先輩、フェリーニさん、マオ君、ニルス君、アイラさん…」
チナを見遣る。
セイ「委員長には、自由な発想を教えてもらった。それ以上に、もっと大切なものも…」
チナ「セイ君…」
レイジの腕輪のアリスタが一部砕ける。
レイジ「そんだけもらってたらもう前に出れんだろ?」
セイ「できるかな?」
レイジ「やってみろよ!」
森に降り立つ両機。
操縦を代わり、深呼吸をするセイ。
セイ「…行きます!!」
両機の壮絶な斬り合いの最中、アリスタがまた砕けてしまう。
レイジ「そうだセイ…いいぞ!」
メイジン「…!」
勢いで吹っ飛ぶビルドストライク。
セイ「くっそぉぉぉぉ!!」
エクシアの射撃をかわして突っこんでいく。
ラルさん、タケシ、そしてレイジが見守る中、ビルドストライクはついにエクシアの懐に入り込んだ。
セイ「もらったぁぁぁっ!! …!?」
ビルドストライク、そしてエクシアが停止し、バトルフィールドが消えていく。
残された粒子を全て使い果たしたようだ。
セイ「…プラフスキー粒子が…」
近くで何かが光る。
セイ「!?」
一同「!?」
レイジが消えかかっていた。
セイ「レイジ!? …レイジ!!」
レイジ「…たまんねぇよな、ガンプラバトルは!」
セイ「…」
レイジ「最ッ高だぜ!」
セイ「……もちろんだよ…」
消えていくのを見ないようにと振り返る。
止まったままのビルドストライクとエクシア。
セイ「だから、ずっとやろう! 来年も、再来年も…ずっと一緒に!!」
答えないレイジ。
セイ「何で答えないんだよ…ずっと一緒に、ガンプラバトルをやるって願えよ! その石に祈れよ!!」
腕輪のアリスタは、かけら程度しか残っていなかった。
セイ「…」
レイジ「なあセイ…」
セイ「…」
レイジ「この前お前と戦って、俺はこう思ったんだ。強くなったお前とガンプラバトルがしてぇ。それが、今の俺の願いだ」
セイ「…レイジ…」
レイジ「…強くなれ」
沈黙の後、お互いが右手を掲げる。
レイジ「…約束だ!」
セイ「…うん…!」
アリスタが完全に消え、ハイタッチを交わした瞬間、レイジは消えてしまった。
それを見つめる一同。
最後の光の粒が、セイの掌に落ちてくる。
レイジ「約束だ、セイ…」
光が消え、拳を握り締めるセイ。
そして悲しみをこらえ、笑顔でドームの穴から空を見上げる。
セイ「レイジ…」
異世界アリアン。
レイジ「(また会えるさ、セイ…)」
故郷に戻ったレイジは、空を見ながらセイのことを想っていた。
レイジ「(そうさ。俺たちはいつでも繋がってんだから…)」
その時…。
「忘れ物よ」
レイジ「…!? な、何でお前がここにいんの!?」
一瞬恥ずかしくなり…。
アイラ「…決まってるでしょ!? 祈ったのよ…」
アイラの胸元には、まだアリスタのペンダントがあった。
レイジ「何だよ」
アイラ「…! どうして分からないの!? 鈍いにも程があるでしょ!!」
レイジ「何怒ってんだよ…」
アイラ「…レ…レ…レイジのバカぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
ギャンバルカンがリーオーを撃破。
キザっぽく決めるサザキと、それを見て喜ぶ妹・カオルコ。
近い将来、彼女もまた兄の後を追ってビルダーとなる…。
互いの改造ガンプラを見せ合い、笑い合う珍庵とマオ。
ミサキの旅館「竹屋」は今日も繁盛。
以前旅館を襲った地上げ屋の辰造たちもここで働いている。
キララの武道館ライブ。
陰から見守るフェリーニ。
とあるデパートの屋上。メイジンとアランが子供向けのガンプラ教室の講師をしている。
アリアン。ベイカーとマシタが路上でモックを売り込んでいる。
ニルスとキャロラインは、プラフスキー粒子の人工的な生成の成功に大喜び。
その様子がインターネットにも上がっていた。
第8回ガンプラバトル選手権第3ブロック日本代表予選会場。
チナ「(あれから…1年の時が過ぎて…)」
アナウンス「只今より、選手権国内予選第3ブロック、第7試合を始めます」
イオリ夫婦、ラルさん、そしてチナが観客席から見つめる先には…。
アナウンス「出場者は、第7回ガンプラバトル選手権世界大会優勝ビルダー、イオリ・セイ!」
会場が大きな歓声に包まれる。
セイ「(レイジ…僕は約束を守る。だから…いつか僕と…!)」
かつての激戦を経てさらなる改修が加えられたビルドストライク…その名もビルドストライクコスモスをセット。
セイ「ビルドストライクコスモス…イオリ・セイ、行きます!!」
発進し、宇宙を駆け抜けるビルドストライクコスモス。
RGシステムを発動し、銀河の向こうへと飛翔する。
最終更新:2022年01月17日 18:01