ニュー・ゲイムの手記(ブラックシープ商会)

 あのグリル帝国士官と、人間に対して友好的とはいえ魔族のパーティーが共闘せざるを得ないという点で、俺達が今から挑む相手がどのような集団であるかは察する事ができるだろう。
 そして軽く見まわしただけでも帝国大貴族の隠し子と囁かれる男、何やら訳ありの元勇者候補兄弟凄まじい騎獣を従えた男桜の国から来ためっぽう強い冒険者その一行の姿が垣間見える…。

 下手をすれば、世界を相手に戦えそうな者達。
 だがこれ程の戦力でようやく拮抗すると思われる、黒い羊の紋章を掲げる組織が今回俺達が戦う相手なのだ。

 その相手の名はブラックシープ商会
 元々はガイオウ共和国マフィアを起源とするが、絶縁や破門等で国を追い出された『流れ者』が集まり、密漁行為等で巨大化していった犯罪ギルドである。
 だがたとえ『はみ出し者』であっても、個々人が持つその戦闘力は決して侮れない。
 そこから更に『用心棒』としての魔族や、アッシュラ系の荒くれ者を引き込む事によって彼らの『軍事力』は雪だるま式に膨れ上がっていったのだ。

 こうして正規軍を相手にしても戦えるようになった彼らは、もはやまともな手段では止められない存在と化している。

 だが、まともな手段では止められないからこそ、まともでない方法…。
 すなわち多数の国々や、冒険者に賞金稼ぎ、そして勇者候補と呼ばれる者達を可能な限りかき集めた『連合軍』がここに結成されたのである。

 しかしそれでも今回は非常に厳しい戦いになるだろう。
 願わくば、仲間が誰一人として欠ける事のないよう微力を尽くそうと思う。

 ニュー・ゲイムの手記より-


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最終更新:2025年07月25日 11:59