ロクシア各国における亜人の地位

フラソヌール共和国出身の学者ライン・ローネによって書かれた書籍。
ロクシア各国における亜人間の人権状況や地位についてが調査され、まとめられている。
この書籍作成の為にライン・ローネは各国に赴いた。

この書籍には各国に赴いた際の経験が隅々まで書かれているが、本項では書籍内から抜粋した前文と、いくつかの国家の概要を載せる。

以下抜粋


+ 前文、そもそも亜人とは?
そもそも亜人とは?

ある「人」系種族を基準とし、半分、あるいは部分的に異なる特徴を持つ種族に対して用いられる呼称。
そのため「小人」や「巨人」のように「人」に何かの性質が加えられた名称となることも少なくない。

「人間」もまた他の「人」系種族からすれば「亜人」に該当する。
例えば有翼人の言葉において「無翼人」とも呼ばれる。有翼人の姿から翼をとると、人間そのものになるためである。


本書では我々人族を基準として人間と表記し、別種族を亜人と表記します。

+ 【エレメニウム共和国】
【エレメニウム共和国】
東ギールシクリヒト大陸西部に存在する大国。
亜人は獣人族が多数を占め、主に彼らは鉱山関係の労働をしているようだ。
エレメニウム共和国では宗教が基本的に禁止されており、正しき隣人の会は活動が許されているかは定かではない。

国家としての亜人排斥はないと言えよう。

しかし、過酷な奴隷制度によって過去には奴隷反乱もあり、肉体労働者に対しての権利は高いとは言えない。
亜人である獣人族の多くが鉱山関係の労働をしている事に対して指摘せざるを得ない。

また、この国の国民は魔力・魔法を嫌う傾向にある通り、魔力を持つイメージのあるエルフ族等に対しては否定的な感情も見られた。
国民の獣人などの亜人に対する感情は総合して否定的ではないが、種によってはやや否定的でもあると言えよう。

+ 【グリルグゥルデン帝国】
【グリルグゥルデン帝国】
西ギールシクリヒト大陸中部に存在する大国である。
国家として亜人排斥は行っていないとは言えるだろうが、亜人差別は存在している。
帝国としては眼が白いヴィラの民を半魔族と位置づけ迫害している面も存在する。
亜人としての迫害ではないが、帝国による多種族と位置付けた迫害は注視すべき面だろう。

この国では見世物小屋が存在し、人間、亜人においても珍しさがあるのならば見世物とされている。
人種ではおのずと亜人に希少性が存在するために、亜人の見世物が多い印象を受ける。
風紀を乱す等の理由で取り締まられ、数を減らしているが見世物小屋自体は存在している。

この国において正しき隣人の会は活動しており、亜人に対して否定、差別的な地域も存在する。
奴隷制度が存在する国家であり、亜人奴隷商人も存在する。
正しき隣人の会の活動が顕著な地域も見受けられた。
亜人系国民に対する隣人の会過激派との激突を警戒し、憲兵による正しき隣人の会の監視が行われている地域も存在する。

ただし、大国であるため地域によって亜人に対する感情は異なってくる。
過去にはグリル帝国憲兵の誤認で、亜人に大怪我を負わせた事件が亜人軽視として問題となった地域も存在することからも亜人に対する地域差が見て取れるだろう。

国民の亜人に対する感情は、正しき隣人の会の活動もあり、否定的な地域が多いように感じるが、地域によっては逆の地域もある。
グリルグゥルデン帝国は良くも悪くも大国であると感じる。

+ 【シードリア共和国】
【シードリア共和国】
リクレシア大陸北西部に位置する国家である。
亜人が多数を占める国家フォレエルフ共和国と関係を有しており、国家としての亜人排斥は存在していないと言えよう。
また、国内には亜人系の者も存在する。
国内亜人比率の記録がないためあくまでも私見だが、その数は多いように感じる。

同国の大統領マリア・マーメイド氏は穏健な人間であり、亜人軽視の傾向は見られない。
国家として信仰、思想には寛容な傾向にあるように見受けられ、正しき隣人の会も存在する。
活発な沿岸部においては人種の多様性が存在するが、北部の内陸地域等では人種多様性に乏しい傾向にあると感じる。
沿岸部で正しき隣人の会は活動が難しいだろうが、これらの北部内陸地域において正しき隣人の会の活動は可能だろう。

国民の亜人に対する感情は総合として肯定的であるように見受けられる。

+ 【フラソヌール共和国】
【フラソヌール共和国】
ユグレス大陸西部に存在する国家。
国家として亜人排斥は行っていないと言えるだろう。
私見であるがこの国は人間が多数を占めており、亜人は多くない印象を受ける。
この国家では熱心ではないが正しき隣人の会が活動している。

革命によって作られた国のため歴史は浅く、国家による亜人に対する歴史も同様に浅い。
ただし、人権についてはブリガニー王国支配下の時代を顧みて尊重されている傾向にあると感じる。

国民としては亜人に対する潜在的な否定感情が存在すると感じる。
これは正しき隣人の会の活動の影響というより、亜人に対する交流の乏しさに起因すると私は感じる。

国民の亜人に対する感情は潜在的にやや否定的であると感じる。

+ 【オートデザイス王国】
【オートデザイス王国】
東と西のカンモーレ海の中央に存在する島国。
国家としては亜人排斥を行っていないと言えるが、オートデザイス法議会では親ロゼルス派、反ロゼルス派の間で対立軸が存在し、亜人排斥の可能性は存在しないと言い切れない。
亜人種の数は少なくも多くもないといった印象を私は受けた。

この国は他国人に対して排他的ではない。
その為か、魔法と密接なフォレエルフ共和国の人間が見受けられた。
オートデザイス中央学園を訪れたが、ここではエルフなどの亜人が存在した。

ただし、オートデザイス法議会では親ロゼルス派が存在しており国家として亜人に対する否定的な感情が存在することは事実だろう。
この国では正しき隣人の会が活動しており、オートデザイス王国南西部では亜人に対する否定的な傾向が強いと感じた。
一方オートヴェルペニアなどの都市では亜人に対して肯定的な傾向を感じた。

国民の亜人に対する感情は、総合して都市部では肯定的であるように見受けられる。ただし地方によっては否定的な感情も見受けられた。
オートデザイス王国の行政機関であるオートデザイス法議会で、親ロゼルス派と反ロゼルス派の対立軸があることは注視すべき点だろう。

+ 【ロゼルス国】
【ロゼルス国】
ギールシクリヒト大陸北部に存在する国家である。
ロゼルス国は、最も亜人種に対して厳しい国家と言えよう。
この国では亜人種の人権は認めておらず、かつては国内の亜人は死刑と定められていた時代もある。
私もこの調査で私に同伴していた人間を隣国で待たせなければならなかった。
この同伴者は先祖に亜人が一人存在した為、入国で拒否された。
この国において、過去に亜人系の血が入っている人間には複雑な取り決めがあり、それらの人間が入国するには厳しい規定を通過しなければならないとのこと。

国家としては亜人排斥を主張しており、それを行っていると言えよう。
亜人排斥が行われているロゼルス国では国民の全てが人間である。

過去に亜人の侵略を受けた歴史を持ち、それが亜人に対して排斥を行う要因となっている。
歴史的に亜人に対する否定的な感情が根強く、また国民の多くが正しき隣人の会の会員となっている。

この国では正しき隣人の会の活動が顕著に見られる。
ロゼルス国の独立で正しき隣人の会が貢献した歴史があることが理由だろう。

亜人に対して徹底的な排斥を行う一方、国家として人間の人権は尊重し、国民による人間に対する差別は少ない国だと言えよう。

国民の亜人に対する感情はまず否定的であり、敵対感情も珍しくない。
強硬なものでは人間という種として亜人の存在そのものが敵対的であり、その存在は容認されるべきではないという考えが見受けられた。
穏健なものでは亜人の存在は容認するものの、人間とは違う種族であり、共に住むべきではないという考えが見受けられた。

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最終更新:2022年08月06日 06:22