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「Night of the primary color jungle (密林の夜)01_Brugmansia」


作者:本スレ 1-200

444 :オリキャラと名無しさん:2014/02/02(日) 03:49:55

こんばんは、 1-200 です
1-549様 のキャラクターをお借りしたクロスSSをろだにうpしました
同梱のテキストにも書いてありますが、以下の点にご注意願います

※複数作者様によるクロス設定( 設定スレ 2-037 )の世界観
※登場人物は 設定スレ 2-014 のアレスと、設定スレ 2-044(本スレ1-549様)のリコ様
※アレスが夜の街(風俗街です注意)を徘徊して色んな人に迷惑をかける話
※モブ女性が乱暴されたり、他にも女性に関する記述があるので注意
※その他にも暴力描写、胸糞な表現注意
※お借りしたキャラクターは作者様のイメージや設定からはずれる可能性が有ります
※登場する街は架空です
※いつものごとく厨モード、長文
※今回は前半のみ

もしよろしければお付き合い下さいませ


1.Brugmansia

アレスはこの国、正確にはこの都市が、なかなか気に入っている。
欧州の都市のような押し付けがましい伝統も無ければ、北欧のとりすました小奇麗さも無く、
かといって香港のような腰の据わった魔都の風格も無い。
ゴミゴミとした街並みはことごとく一貫性を欠いていて、その無関心さと計画性の無さは
訪れる者に強い心構えを要求しない。あらゆる事象を飲み込み曖昧にしてしまう、
それがこの不思議の国の中心たる都だ。

中でも面白いのはやはり歓楽街である。それも怪しく如何わしく下品な街である程よい。
そういう所はまさに汚物溜まりで、日が射し消毒された場所では決して見られないものがゴロゴロと転がっている。
歓楽街としては世界でも有数の規模と謳われるらしいこの街は、まさにアレスの好みだった。
母国にもそういう場所はあるが、規模と毒気は比較にならない。
露骨な広告と原色の看板、ギラギラとしたネオンの光。それらに負けない位けばけばしく着飾った夜の女達。
人々が放つ金と性への欲望が、街の光を吸収して極彩色の瘴気となり渦巻いている。
砂金で出来た巨大な不夜城は、当分アレスを飽きさせる事は無いだろう。

 ***

今夜も彼は、ジャケットや靴は勿論小物に至るまで、セミカジュアルではあるがハイブランド、
という出で立ちでこの街に現れた。
アレスはこういう街を歩く時、わざと高価な服と装飾品で全身を固める。
元々目立つ外見だが、殊更周囲を挑発するような身なりをして出かけるのだ。
十代の小僧がこのような服装をすると、えてして滑稽になりがちなものだが、不思議と彼にはそれが無かった。
決して育ちが良いとは言えないので「気品」は持ち合わせていないが、堂々とした風格と傲慢さを備えていて、
表面の華美さに負ける事が無い。さながら良家に生まれた不良息子といったところだ。
とはいえ、それはあくまでも雰囲気だけの話であって、実際の彼は奴隷の身である。
大金を持って夜の街で遊び歩くなど、本来は許されるものではない。だが彼はこうやって「ガス抜き」をしないと、
あっという間にストレスを溢れさせて任務に支障をきたす事になるのだ。
不必要な破壊や殺戮を行って現場を混乱させたり、直前になって任務を放棄する事もある。
コンビを組んで任務に臨んでいたルーシェルが燃やされかけて火傷を負った事もあり、
そうした後始末をいちいちするくらいなら、夜遊び歩く程度の事には目を瞑る、という事になったのだ。
GPSにより居場所は常に把握されているし、自爆回路がある限り逃亡の心配もほぼ無かった。

さて、このような出で立ちで一人歩きしていれば、当然、蜜の匂いに誘われる虫のごとく、
様々な種類の人間やトラブルがむこうから寄って来る事になる。
目立つ人間が目の前を通り過ぎるだけで腹が立つ、という輩(大抵は群れている)は今でもいるし、
金の匂いに敏感なブスの逆ナンにも対応しなければならない。女性を無視してはいけないのだ。
たとえそれが罵詈雑言であろうとも、とりあえず返答するのが男の嗜みである。
一番多いのは客引きの類だ。これは服装にかかわらず寄ってくるものだが、
どれだけふんだくれるかは彼らにとって重要なポイントである。
「金持ちアピールをしたくてしょうがない粋がったガキ」などはいいカモだ。
あらゆる種類の客引きが、時刻によっては五メートル歩くごとに声をかけてくる。
勿論アレスは経験上、客引きについて行って得をする事は皆無に等しいと知っている。
これはほぼ万国共通の掟と言っていい。だがあえてついて行っては騒ぎをおこし…を繰り返し、
この街に通い始めてたったの2、3度で、一部の連中の間で有名になってしまった。

もちろん単に好奇心の時もある。
オッパブオッパブと謎の単語を連呼する男に興味本位でついて行ってみると、
胸をはだけた女の体に触るだけという中途半端なサービスで、興醒めした。
さっさと出て行こうとすると、退店料などという意味不明な要求をされたので、
ポケットに入っていた100円玉をひとつ、店長らしき男の掌にめり込ませておいた。

ホスト崩れといった風采の中年男は、数人の女の写真をアレスに見せながら説明する。
本番は指名料込みで90分1万5千円から、人気のある女は指名料が高くなる。
金を払って指定された部屋へ行くと、予想通りの展開だった。女の他に数人の柄の悪い男がやって来て
さっきのは紹介料だからプレイ料金と部屋代は別だなんだと言いはじめる。
数分後。早々に出て行ってしまった客を不審に思った受付の男が部屋を訪れると、
手足を折られ顎を砕かれた仲間達が仲良く失神していた。
女は口にタオルを詰められ、性器に制汗剤のスプレー缶を突っ込まれて白目を剥いている。
更に性質の悪い事に、彼らがこの日稼いだ数十万円の現金が、灰皿の上でほとんど灰になっていた。
隠し撮り用のカメラまで壊されている。慌てて通りに出てみたが、犯人の男の姿は既にどこにもない。

だがこんな安易な客引きが出てくる界隈はまだまだ安全地帯と言ってよく、平和な方である。
この程度の事はアレスにとってはトラブルですらない。

少し裏通りに入れば、もう少し面白いものを見る事ができた。
表通りの喧騒がやや遠ざかり、派手な看板が減って、代わりに日本語とは違う文字の看板が増え始める界隈。
この街には国産暴力団とは違う勢力の連中も多い。アレスは日本の裏社会に精通しているわけではないが、
色々な反社会勢力の連中と付き合いがあるから分かる。主に大陸系のマフィアだろう。
そういう連中が支配する一帯は、あの馬鹿馬鹿しく緩みきった界隈と違い、張り詰めた空気が漂っている。
麻薬の売人であろう男達が周囲に鋭い目を光らせ、路地裏では下着に近い格好の女が、虚ろな目をして座り込んでいる。
コイン駐車場の隅で私刑にあっている爺がいた。数人の男に押さえつけられ、腕に注射針を打ち込まれて泣いている。
そんななんやかやを横目に、更にアレスは進んで行く。

 ***

いつの間にか、街娼が多い地域に入ったようだ。それもただの娼婦ではなく、男娼。
付近にはホテル街もあり、男達は煙草を吸ったりスマホをいじったりしながら、通りかかる客を値踏みする。
目ぼしい男を見つけて自分から声をかける奴もいれば、黙って選ばれるのを待っている奴もいる。

「あんたかっこいいね、外国人?日本語オーケー?」

若い男がアレスに声をかけてきた。
細身で、ハーフなのだろうか、日本人にしては目鼻立ちがはっきりしている。
染めているのが一目で分かるが、やや長めの髪はプラチナブロンドだ。
服装は貧乏臭いが小奇麗で、一般的な感覚ならまあまあの部類に入るだろう。

「あんたみたいないい男なら目一杯サービスするよ、どう?」

じっと見つめるアレスに脈有りと感じたのか、営業用の笑みを浮かべながら近付いて来る。
アレスは男をしばらく見下ろした後、ゆっくりと手を伸ばして髪に触れた。
いける、そう踏んだ男は、髪にやられた手に自分の手を添える。

「買ってくれたら好きなだけ触らせてやっからさ…」

止めを刺そうと、大きな手にキスしようとした。その時。

「い…ってえ、痛えよ!なにす…!」

いきなり髪を強く掴まれて引っ張られ、そのまま横へ押し退けられた。
警察呼ぶぞと抗議する金髪男に、アレスは踵を返しながら平坦な声で答える。

「金髪は嫌いなんだよ」

 ***

店から出た時、時刻はもう夜中だった。
酒はまずく女達も大した事はなかったが、yakuzaの知り合いが出来て一緒に騒いだ。
勘違いしている者も多いが、アレスのコミュニケーション能力は決して低くはない。
組織内部の人間には恐ろしく無愛想というだけだ。十代前半の頃から地元の歓楽街に出入りし、
柄の悪いガキどものリーダーのような事をやっていたので仲間は多い。
だが本質では人間を見下しているので、本物の友情が芽生えた相手はいなかった。

酒が入ったところで、そろそろ一発抜きたい頃合である。
適当な獲物を探して歩いているが、このあたりは来た事が無い。
うらぶれたホテルとうらぶれたスナックが並ぶ通りは陰気に薄暗く、とても静かだ。
どこからか下手なカラオケの声が聴こえ、放置された生ゴミが異臭を放っている。
繁華街の方へ戻ろうかと思案していると、十メートル程前のホテルの方から突然怒鳴り声が聞こえた。
続けて足音も荒く若い女が歩み出てきて、アレスは反射的に立ち止まる。
そして次の瞬間、アレスの目はその女に釘付けになった。

一言で言えば、白い。髪も肌も、闇夜に紛れる事はないのではないかと思う程白いのだ。
髪は白というよりは銀に近く、やや無造作に後頭部の上でまとめられている。
その銀色の細い後れ毛がかかるうなじも、周囲の女達が嫉妬に悶えるであろう程に白く艶かしい。
あれだけで、男なら皆骨抜きになることだろう。
だが何かが引っかかる。女にしては体格が良い。派手な爪がのった手も、女にしては逞しい。
むしろあれは――。

「おいリコ、待ってくれ、待ってくれよ」

女――多分男だが――を追うように、下着姿の小汚い中年男がホテルから走り出てきた。
口から泡を飛ばしながら、リコと呼ばれた女、いや男に向かって必死に何かを懇願している。
懇願される方は全く興味が無い様子で、電柱か何かを見るような無関心な視線を向けていた。
何とはなしにそのまま成り行きを見ていると、必死な男をよそに、リコが僅かにアレスの方を向いた。
見られている事には気付いていたのだろう。驚くでもなく、睨むでもない。
だがその顔を目にした瞬間、アレスの背中に緊張が走った。

瞳が赤い。まるでピジョンブラッドルビーのようだ。
あんな深い赤の瞳は人間には存在しない。この国では様々な色のカラーコンタクトが手軽に入手できるが、
あれは本物だと直感でわかる。
だとすれば、あれは人に似た別の生き物―バイオロイドの可能性もある。
仮にそうだとしたら、所属はどこだ?アレスが知る限り、欧州連合にはあんなバイオロイドはいない。
全くの第三者機関か、既に壊滅した「金の烏」か。金の烏の情報はあまり多くない。
バイオロイドの製造をしていたのは確認されているが、個体毎の詳細データは無い。
それとも、組織が今捕獲に躍起になっている「U01」の類か。

リコはしびれを切らしたらしい。中年男の顎を派手なブーツの爪先が捉え、わめき声がやんだ。
騒音の元が意識を失ったのを確認してから、ゆっくりとアレスの方に向き直る。
真正面から見ても非の打ち所の無い、整った顔だ。そしてその整った顔の表面は、厚い化粧に覆われていた。
服は本物のレザーを使った高級品だが、ゴチャゴチャとわけのわからない装飾がこれでもかというくらい付いている。
確かハラジュクにあんな服を売る店があった。世界的に有名な女性歌手も衣装を買いに来る店で、
高いものは百万単位だ。バッグもアクセサリーもたっぷりと金がかかっている。
うらぶれたホテル街には全く似つかわしくないような、それでいて下品な雰囲気にも違和感無く馴染んでしまうような、
相反する印象を併せ持つ不思議な雰囲気の男だ。
久しぶりに面白いものを見つけた。アレスは思わずほくそ笑まずにいられない。

「何か用かしらお兄さん?」
「……。」
「…なんだよ、何気取ってんだよサボテン頭が!」

うすら笑いを浮かべたまま黙っているアレスに、リコは声を荒らげる。
単独でアレスに喧嘩を売ってくる一般人は滅多にいない。人間でも力の差を測る本能は多少あるのだ。
リコはアレスより10cm以上背が低いが、全く恐れる様子もなく怒りをぶつけてくる。
化粧をしたり爪を塗ったりしてはいるが、やはりそれなりに場数を踏んでいると思って間違いないだろう。

「君ってさ、オカマなの?」

唐突な言葉に意表を突かれたのか、リコはハァ?という具合に眉をしかめた。
更に怒鳴り返すか、あしらうか、一瞬迷ったようだったが、返ってきた反応は後者だった。

「そうよ。オカマは珍しいかしら?」
「人外のオカマは初めて見たね」

リコは一瞬沈黙した後、フンと鼻で笑った。
なるほど、やはりアレもただ者ではないらしい。

「人外がこんな所でウリやってるわけ?」

歯に衣着せぬ物言いで突っ込んでくるサボテンを、リコは改めて見つめた。
つま先から頭(観葉植物のチランジアのようにも見える)まで仔細に眺め、もう一度顔を見る。
外見は普通の人間と相違点は無い。身長―1メートル87、体重、あの体格なら80キロはあるはずだが、
歩いていた時の足音から推測すると実際はもっと軽い。65キロ前後といったところだ。
体重を軽くする必要がある、即ち、飛行等の何らかの能力を有する可能性有り。
殺気は無し、視認できる範囲では武器の所持無し。距離はおよそ7メートル、何があっても対処可能。
バイオロイドだと仮定して、肉体年齢はおそらくまだ十代後半。粋がってはいるが、ガキだ。

「そうよ坊や。こんな所で遊んでないで、さっさとママの所に帰った方が身の為よ。
 それともオカマを試してみたいの?」

とりあえず金はありそうだ。馬鹿なのか狙っての事なのか、これ見よがしな服装ではあるが、
一朝一日で身につけた雰囲気ではない。客としては遊び慣れない堅物の方が楽だが、
うまくあしらえば搾り取れるだろう。

アレスは不敵な笑みを崩さずに答える。

「生憎ママもオカマも知らなくてね。あんたが教えてくれるならボク嬉しいなあ」

【To be continued】

※続きは、創作物スレ 2-483


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最終更新:2014年03月13日 20:54