黎明、草木も眠る時間に廃村を出た
りんご飴、彼の現在の目的は強者との出会いだ。
ワールドオーダーとの対話の前に確認した
参加者名簿には彼を喜ばせる名前が大量に載っていた。
ヴァイザーはもちろんの事、「
剣神龍次郎」「森茂」そして殺し屋組織の精鋭達と裏世界のビッグネームが揃っていた。
歓喜のあまり思わず舌なめずりをするりんご飴、全員と戦える機会を作ってくれたワールドオーダーに感謝してしまう。
もっとも
主催者の思い通りに動くのは癪だが…我慢できるハズもない。
「全員大人しく待ってろよ、今からこのりんご飴ちゃんが直々に遊びに行ってやるからよぉ!」
熱い交戦の時を今か今かと心待ちしながら、鬱蒼とした森の中を静かに駆け抜ける。
しかし意外に、その時は直ぐ彼に訪れた。
遠く前方に人影を発見、写真で何度か見た見覚えのある顔と筋骨隆々の体格。
間違いない悪党商会の始末人
半田主水、ヴァイザーや首領クラスと比べたら格は落ちるがメインディッシュの前哨戦としては不足はない相手だ。
懐から銃を取り出し素早く近づき、さっそく戦闘開始の宣言をする。
「よう!おっさん、あたしと遊ぼうぜ」
主水はその声に気付き、焦りながら叫んだ。
「お前は…りんご飴ッ!待て危険だ、こっちに近づいて来るな!」
警告に構わずりんご飴は主水との距離をさらに詰めた。
「ハッ、弱腰とはなぁ悪党商会のエースも底が知れるぜッ!危険だとォ?危険なのはお前の方だよォ、観念してこのりんご飴ちゃんと…ッ」
言葉を言い終わる前に、突然眼前にメタリックボディの巨人ロボが姿を現した。
「second target...... captured......」
電子音声が辺りに響くと同時にそのロボットは既にりんご飴に対して攻撃を仕掛けていた。
ロボットの指先から発射されるバスターミサイル、小型ではあるが直撃すれば普通の人間なら跡形もなく吹き飛んでしまうだろう。
不意を着かれたが反射的に避けの体勢を取るりんご飴。
超人的な身体能力で、寸前に迫るミサイルを避ける事ができたかに見えたが…
避けれるはずのミサイルがすぐさま方向を修正し再び彼を襲った。
「しまった、追尾機能か…」
爆発が起き、光が辺りを眩く包んだ
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どうやら少しの間、気を失っていた様だ、ミサイルを避けた所までは覚えているが…直後の記憶がない。
我ながら不甲斐ない…危うく命を失う所だった、死ぬのは恐ろしくないが
自分の認めた相手以外にくれてやるほど命の安売りをしてないぜ。
……………………
しかしこの宙に浮いてるような感覚はなんだ…?例えるなら誰かに担がれてい様な…
不思議に思ったりんご飴が目を開くと、むさ苦しい男の顔が飛び込んできた。
「うぉッ!!」
「気が付くのが早いな小娘、あの反射神経…さすがにヴァイザーを殺すと大言を吐くだけの実力はあるようだな
しかしまぁ体は女みたいに軽い、おかげで動きに支障は出てないがね、それにあのロボットも見かけ通り動きが鈍いし簡単に撒けた」
主水はりんご飴を担ぎ、森の中を駆けながら喋った。
「おいッ!放せおっさん!セクハラで訴えるぞコラァ!!」
ドスン、主水の肩から突然地面に落とされるりんご飴
「痛ってぇ!、嫁入り前の体を乱暴に扱うなって…」
「放せと言ったからだ、しかし命の恩人に対しておっさんはないと思うがねェ」
「命の恩人だァ…?そういえばミサイルが直撃する直前に誰かに抱えられたような…
もしかしておっさん、その刀でミサイルを撃ち落としてくれたのか…?しかし何故あたしを助けた…残忍な知能犯とも呼ばれるあんたがよォ」
「何故かだと…?、悪党商会の管理対象者である小娘が…
商会の管理外でどこの馬の骨とも分からぬ奴に殺されたとあっては、後で俺がドンに叱られるのでな。それに…」
りんご飴は何時の間にか管理対象などという物にされていることに内心イラッとした我慢して聞き返す。
「それに…?」
少し間を置いた後に主水は先ほどの続きを口にした。
「いつかお前を俺の店で働かせたいと思っていてな…」
それは、思わず「なんだこのおっさん!?」と言いたくなるほど、呆れた理由だった。
半田主水
悪の秘密結社『悪党商会』の幹部である。
創立時からのメンバーの一人で優秀な掃除人として悪党商会を支えてきた。
命令次第では誰でも殺す冷酷な始末人として畏怖され、決まった暗殺方法を使わずに毒殺・射殺・撲殺・事故偽装とTPOに応じて万能に暗殺を行っていた。
いつからか「残忍な知能犯」と呼ばれるようになったが、逆に命令外で人を殺すことはめったに無い。
ある時期から暗殺仕事から手を引き、対ヒーロー作戦立案幹部の一人として現場に立ち合い、指揮を執っている。
組織内でも人望が厚く、風貌に反して紳士的な人格と実力から次期社長であると噂されているが、本人にその気はない。
所謂、筋肉モリモリマッチョマンの見た目に反して彼の表の顔はメイド喫茶の店長である。
元々資金繰りに困っていた時期に嫌々始めた仕事だったが、接客とメイドのマネジメントに少しずつのめりこんでいき、今では本業以上に入れ込んでしまっている。
最近は不況で売上げが悪化し、どうしたものかと頭を悩ませていたが
女装をしたフリーの暗殺者(りんご飴)のウワサを耳にし、ある起死回生の妙案を思い付いた
それは彼とうまく交渉して自分の店でメイドとして働いてもらい、男の娘メイドという新サービスで客足を伸ばす事だった。
「返事はまた今度でいいさ、さて…と、体が動くなら逃げるんだな、今はお前の相手をしてる暇は無いんでね」
「アァン!?あたしを舐めてんのかッ!」
命を助けられた上に、相手にもされないと言うのでりんご飴の苛立ちが一層高まる。
「俺は戻ってあいつを倒す、このままあいつを放っておいたのではこの会場でのバランスが崩壊してししまう、巨体に備わる強大な力、強力な兵器…悪党商会の排除対象だ」
主水はりんご飴に背を向けて腰に差した刀を抜きだしながら言った。
「殺し合いの会場に来てまでバランスとか管理とか相変わらず悪党商会の連中は頭がおかしいねぇ
チッ、興が削がれたぜ、今回は見逃してやるが次に会った時は容赦しねーからなァ、だがよォ、いつかその甘さが命取りになる事を覚えておきな!」
りんご飴は銃を突きつけ威圧しながら、そう告げた。
「ふむ、人に助けられておいてそのふてぶてしさ益々気に入ったぞ」
こいつには何を言っても無駄だ…りんご飴はそう思った。
【Bー9 草原/黎明】
【りんご飴】
[状態]:疲労(小)
[装備]:ベレッタM92改(残り14発)
[道具]:基本支給品一式、ランダムアイテム1~2(確認済み)
[思考・行動]
基本方針:殺し合いの中でスリルを味わい尽くす。優勝には興味ないが主催者は殺す
1:参加者のワールドオーダーを殺す。ヴァイザーとはその後に遊ぶ
2:ワールドオーダーの情報を集め、それを基に攻略法を探す
3:
サイクロップスSP-N1と半田主水に借りを返す。
※ロワに於けるジョーカーの存在を知りましたが役割は理解していません
※ワールドオーダーによって『世界を繋ぐ者』という設定が加えられていました。元は殺し屋組織がいる世界出身です
※ジョーカーのカードと携帯電話はランダムアイテムに含まれていません。
【半田主水】
[状態]: 健康
[装備]:レーザーブレード「サミダレ」
[道具]:基本支給品一式、ランダムアイテム0~2(確認済み)
[思考・行動]
基本方針:悪党商会として、会場内のバランスを保つために動く
1:あのロボットを破壊する
2:ドンと再会し、命令を受ける
【レーザーブレード「サミダレ」】
弾圧される近未来のレジスタンスが通常攻撃の通用しない敵ロボット兵と対抗するために製作された秘密兵器
刀身の周りに高圧のレーザー粒子を纏わせることで強力な装甲を断ち切る
出力の問題から継続使用時間は数分しか持たない、エネルギーは3時間ほどで回復する。
刀身に使われている刀には旧時代の名工 九十九の作を使っている為、出力が切れている間も効果的に戦闘できる
emulated... emulated...
暗闇の中、微かに光る赤い眼は逃した獲物を探すために動く、まさにライオンや猛禽類の持つ野獣の眼光そのものだった
サイクロップスSP-N1
近未来の管理社会世界の都市国家「アーク・シッド」の管理コンピューター「Babylon」が開発したレジスタンス「RE-tune」鎮
圧用ロボットだ。
その強固な装甲はどんな銃火器をも寄せ付けず、搭載された兵器は何者でも前に立ちはだかる事を許さない。
それは考えず、ただプログラムの命令通り動くのみ
それの行動理由は常に一つ、反乱分子の抹殺だけ。
二人の熱源が観測範囲外に出た事を確認すると、記憶回路に逃がした二人の分析結果を記録する。
次に出会った時に確実に排除できるように。
個体名:不明
攻撃性C+ 知能B-
危険度B+ 成長性D
データ分析終了 次回排除可能
個体名:りんご飴
データ量不足
ターゲットを見失ったそれは新たな獲物を求めて再び会場をさまよい始めた。
【Cー10 草原/黎明】
【サイクロップスSP-N1】
[状態]: 健康
[装備]:バスターミサイル(残り4発)
[道具]:基本支給品一式、ランダムアイテム0~1
[思考・行動]
基本方針:反乱分子を抹殺する
1:次の標的を見つける
※通常兵器を外されない代わりに支給品が少なく設定されました。
※りんご飴、半田主水のデータを収集しました。
最終更新:2015年07月12日 02:33