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馬鹿で……あってくれ。で……電波?り……りょうほーですかあああ~(後編)

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馬鹿で……あってくれ。で……電波?り……りょうほーですかあああ~(後編) ◆wKs3a28q6Q


「パネェ! パネェっすよ琥珀さん!」

運が悪かった。
折角仕留めたと思ったのに、横槍を入れられた。
右手をやられたってだけでも深刻なのに、命も取られかねない状況になった。

しかし運は最悪ではなかった。
シスター服のクソ女は積極的に殺してくる気はないようだった。
それならば、逃げ切れば何とかなる。
逃げきってシスターに正体をばらされる前に仲間を増やせば問題なかった。
“狂ったシスターに撃たれた可哀想な女の子”として上手く立ち回れば、まだ希望も残っていた。
生きていた男がシスターに攻撃を仕掛けたのも、僥倖だったと言える。

しかしやはり運はなかった。
何を考えているのか、逃げる私をシスターでなく男が追撃してきたのだ。
逃がすまいとすることまでは分かるのだが、まさか唯一の武器であるバットを放ってくるなんて……
おかげで派手に転倒に、下着まで見られてしまった(清純派気取るためにつけてるダッサイやつだ)

それにしても、まさかバットを投げつけられた程度の痛みでバランスを崩し倒れるとは。
腕の痛みを堪えられたから撃たれても致命傷じゃなきゃ逃げられるとか思っていたけど、甘かったということか。
慣れない痛みは簡単に運動を阻害してくれた。
喧嘩慣れしていないことが、完全に足を引っ張る形となったと言えよう。
おかげで、もう逃げるのは無理だと思ってしまった。


「天罰とかマジパネェ! モノホンの神の使いじゃねーっすか!」
「天罰は、神が人間の行いを見咎めて行われる行為です。
 私自身の力ではございませんよ」

まあそれでも、やっぱり最悪ではないのだけど。
不幸中の幸い、それはシスターが私達を『味方』に引き込んだこと。
そして、男――白井慶一と名乗った――が、予想以上に阿呆だったということだ。

「白井様のお力の方が、よほど素晴らしいものだと思われます」

そう、白井は自らスキルの効果をペラペラ喋ってくれた。
頭の悪い解説のせいで理解するのに苦労したが、どうやら時間を巻き戻すことが出来るらしい。
それならば傷も治せるのではとシスター――こちらは琥珀愛子と名乗っていた――が提案したのだが、残念ながらそうはならなかった。
「自分の時間しか巻き戻せないのでは」という結論に落ち着いたが、白井は「多分そーいうことっすね」と言うだけだったので、真偽の程は定かではない。
それでも、相手のスキルの効果を知れたのは大きい。
寝首を掻いていく際の順番決めの参考にもなる。

「そーいやさ、俺は巻き戻し能力だったけど、二人はどんな能力だったの?」

この見た目以上に軽そうな頭には、私が光の玉を出した記憶は残っていないのだろうか。
とはいえ、思い出されでもしたら厄介なので、嘘は吐かないでおく。

「私のスキルは、光の玉を出して辺りを照らすことが出来ます。
 インターバルを置かないといけないようですので、今はお見せできませんが」
「インター……バル……?」

こいつ頭悪すぎるだろ。
まあ、その方が好都合か。
今はとりあえず、明度調整が出来ることなどは伏せておく。
いざという時に閃光の目潰しとして利用出来るかもしれないからね。

「琥珀さんは――」
「それより、お二人とも。支給品に傷の治療に使えるものはございませんか?」

……はぐらかした?
こいつ、私達にスキルを隠し通す気か?
まあでも確かに、私の怪我の治療は優先だろう。
スキルで治療が無理と分かった以上、もう支給品に救急セットがあるかどうかに賭けるしかない。

「えーっと……バットの他はこんなんしかねーっすね」

バックの中をひっくり返し、白井が言う。
見ると、見るからに怪しげな瓶に入った液体だった。
ラベルには、ポーションと書いてある。

「あ、これ取説じゃね?」
「貸して頂けないでしょうか」
「オーケーっす。うぃっす」

手渡された説明書を読み、琥珀が目を丸くする。
それから、瓶を手に取ると差し出してきた。

「これは……?」
「傷を癒す効果があるそうです。何でも、シノダユウ様とおっしゃる方が愛飲なさっていらしたのだとか」
「……ゲームの話ですか?」

鼻で笑いながらも、怪しい瓶を受け取る。
先程殺さなかったのだ、敢えて今毒を盛る真似はしまい。
飲んでも損はないはずだと、ぐいっと一気に飲み干した。


「なっ……!?」
「ッベ! マジヤッベ!」
「これは……奇跡、ですね……」

どういうことなのだろうか。
先程拾った千切れた指が浮き上がり、元あった位置に戻ってきたではないか。
そして光に包まれたと思ったら、指は元通りくっついていた。
痛みも完全に消え去り、グッパーグッパー開くことも普通に出来る。
ついでに尻の痛みも消え去っていた。
完全に、ファンタジーの産物だ。

「うっそ……」
「ッベーっすよこれ! マジパネェ。いやほんとパネェ」
「どうやら本当に、私達の常識を覆す世界にいるようですね……」

もう、決まりだ。
こんなもん、相手の機嫌を損ねないようヘーコラするしかないだろう。
男(なのか分からないけど)相手にそんなことをするなんてのはプライドが許さないが、
もはやそんな小さなことに拘ってられる状況ではない。
少なくとも、琥珀が先程銃を向けながら言っていたような、「皆で協力して殺し合いを中止に追い込む」なんてのは120%無理だ。

「それでも、私の為すべきことは代わりません。
 困っている方や道を誤っている方に手を差し伸べて、救済して差し上げる――
 それが、私の取るべき道なのです」
「パネェ! 琥珀さんカッケーっす!
 俺のことも許してくれたし、マジほんとシビれるっすよ!」

皆で助かるなんて無理。
無理なんだけど……銃を持った琥珀相手に、今この場で決別する勇気はないし、それは勇気でなく愚行だ。

「……って、救うべき対象相手に容赦0で撃ってきてましたけど?」
「花緒様を傷つけてしまわぬよう気を使ってしまった結果、白井様が殺されでもしてしまったら、それは不平等と言えるのではないでしょうか?
 それでは花緒様を贔屓してしまったことになります。
 贔屓や差別、言うならば不平等は何時如何なる状況でも不和・争いの元となるのです」
「……撃たなきゃ白井さんが殺されそうだから、とかでなく、平等に扱いたいから射撃したと?」
「はい。平等とは、何に置いても優先されるべきことなのですから」

完全電波さんだコレ。
ヤの付く自由業の人よりも街で会ったらヤバいパターンの人だったとは……
もしかして実は殺し合いに乗ってるんじゃないのかなーなんて軽い気持ちで聞いてみたら、とんでもない答えが帰ってきてしまった。
救う気なんてなかったことを誤魔化すための嘘だとしたらあまりにアレだし、マジで言っててもそれはそれでなんかアレだ。

「ですから私は、全ての人を平等に導かねばと考えているのです。
 お二方のように殺し合いに一度は乗ってしまわれた方でも、例外ではございません」
「うっは! 琥珀さんカッケーっす」
「ですから私は、ヨグス様も救って差し上げたいと考えています。
 このような無慈悲な行為に出てしまったという過ちを、正すことが平和に繋がる……
 それで始めて、私達自身もこの悪夢から救われるのではないでしょうか」
「っすね! パネェっす!」

お前絶対半分程しか分かってねーだろ。
同調した気分になって傀儡化かよ、おめでてーな。



「なるほど……それは分かりました。では、何か具体的な策が……?」
「ございません。どうしたら再びヨグス様と出会えるのかも、私には皆目見当もつきません。
 ですが、人というのは、古来より助けあって生きてきたものです。
 平等社会とは、個々が孤立した社会でなく、相互に助けあって弱者も強者も笑顔でいられる社会――」
「要するに、今後出会った人頼み、と」
「そういう言い方も可能かもしれませんね」

ああ、駄目だ。どうしても口調に刺が含まれてしまう。
もう少し猫を被った方がいいと分かりつつも、撃たれた恨みがついつい篭ってしまう。
その反動で、猫を被ると恐らく演技過剰になってしまうだろう。
既に本性を知られているのだ、それは警戒される元となるだけだと思われる。

「その相手も、仲間に引き入れられるとは限りませんよ」
「そか? 俺達みたいにバーンと倒してから琥珀さんの感動モノの話を聞かせりゃイチコロじゃね?」
「……そのバーンと倒すが難しいと思うんですけど。こっち、何だかんだで拳銃一丁ですよ」

日用品だけでなく銃も配られていると分かった以上、バットと金槌なんてのは戦力にならないのではなかろうか。
銃がよっぽどレアアイテムというなら話は別だけども。

「あ~~……確かにィ。俺ンとこには他に何も入ってなかったしなー」
「花緒様、何か金槌の他に有用なアイテムはございませんでしたでしょうか」
「ないですよ。あったらさっき使ってます」

残念ながら、私のバッグにも2つしか道具は入っていなかった。
なので隠すこともあるまいと、鞄の中を開いてみせる。
こうすることで、自然と残り一つの鞄の中身も公開する流れにしたのだ。

「琥珀さんは、何を配られたんですか?」

あるとしても、おそらくは拳銃よりもショボイものだろう。
もう一丁銃を持っているのなら、両手に持って私と白井に同時に突きつけてたはずだ。
それでも、近距離武器を持っている可能性がある。
私の金槌よりは、いい武器を持っていてもおかしくはない。
バットを持つ白井より、私がそれを貰い受ける方が自然な流れだ。
よほど重たいものでもない限りは、私がバットを譲られて白井にそれが行くなんてこともまずあるまい。

「黙秘させて頂きます」
「……は?」

しかし、返ってきたのは予想だにしない答えだった。

「申し訳ありませんが、こちらの切り札に使用させて頂く可能性もありますので、返答は控えさせて頂きます」
「ちょ、ちょっとちょっと! 私達は正直に教えましたよ!?」
「誠にありがとうございます。大変感謝しております」
「いや、お礼はいいですけど、それって不平等じゃないですか?」
「確かにィ」

あんだけアホみたいに平等平等言っておいて、この掌の返しっぷりは酷くないか。
一体どういうつもりだろうか。
仮に平等中毒が演技の類だったとしても、本性表してしまうには些か速すぎないか?

「お言葉ですが……私は、今は秘匿しておくことが、後々には私達皆のためになるのではないかと考えております」
「いや、それを琥珀さん一人が決めてしまうのはちょっと不平等なんじゃ……」
「確かにィ」
「それは……結果の平等ではなく、機会の平等を優先させて頂いているから、仕方がないとも言えます」

……は?
きか……なんだって?

「例えば……白井様。白井様は、何か特技をお持ちでしょうか?」
「あ、テトリスなら負けねーっすよ。マジ。
 俺メッチャつえーっすから。田中っちにも勝ったし」

誰だよ田中って。
というか、正直テトリス出来るというのが意外だ。
こいつ、頭を使うゲームも普通に出来たのか。
てっきりルールも分からずに速攻縦に積んでいって即死するタイプだとばかり思っていた。

「それでは……ご友人と交互に、テトリスをプレイしていると仮定させて頂きます」
「うぃ」
「想像して下さい。貴方は、テトリスをなさっています。
 それはもう素晴らしいテクニックを披露なさり、何十分も生き残り続けました」
「余裕っすよ。1時間でも行けるっす」

……本当に人並み以上に出来るのか、こいつ。
オチがあると思ったのに。
即死しないというだけで普通の人から見たら弱いとか、そういうの。

「しかし、ついにはゲームオーバーとなられます。
 すると、スコアは10000点とのことでした」
「そんな低くないっすよ。大体平均としては――」
「仮定の話ですので、10000点だと考えて頂けないでしょうか」

やっぱり馬鹿だこいつ。
余計なチャチャを入れないで、何が言いたいのかだとか、矛盾点はないかだとか、そういうことに注意を向けるべきだろうに。

「そして、続いてご友人がプレイをなされたとします。
 その御方は、5分と持たずにゲームオーバーとなってしまわれたとしましょう」
「超下手っすね。誰だろ、麻矢ちゃんかな」
「……とにかく、そこで白井様はスコアをそのご友人と比較しようとなされます」
「え、比較しなくても俺の勝ちって一目当然じゃないですか?」

お前はもういい黙ってろ。

「そうですね。しかし、不思議なことに、スコアはそのご友人も10000点でした。白井様はどう思われますか?」
「何スかそれ! 納得できねーっす!」
「平等だ、とは思われないでしょう?」
「そりゃそっすよ。むしろォ、何かこのゲーム麻矢ちゃん贔屓じゃねって感じがするっすね」
「そうです、つまりは、そういうことなのです」

なるほど、つまり……

「つまり……どういうこと?」
「俺もよくわかんねーっす」
「殺し合いに一時的にでも乗ることになさったお二方を、一度も乗らなかった私と完全に同等に扱うことは、今の例と同じだと言うことです。
 厳しいペナルティを与えようというのではございません。
 ただ、軽微なものとは言え一応差異を与えさせて頂くことで、このような『平等に扱うことによる不平等感』を払拭しようとさせて頂いているのです」
「へ~~~……なるほど……パネェっすね」

おいおい、何を納得しているんだ。
本当に、分かったうえで言っているのか?


「ということは、スキルカードの詳細も……」
「はい。黙秘させて頂きます」

ニッコリ笑って言うんじゃねーよ。
……まあ、いい。
私達を平等に扱わないのなら、そこに付け入る隙はある。
どうしようもない偽善者で、本当に全ての人に手を差し伸べだしたらそれこそ肉壁にしか使えなかった。
それどころか、唯一のまともな武器である銃を戦う気の無い奴が持つという状況になっていた。

しかし、実際は違う。
この女は、場合によっては『撃てる』のだ。
自身の考える平等のためならば、平気で誰かを攻撃できる。
こういう類は、ある意味強い。
日常生活においては危険人物極まりないし、今だって非常に危ない奴だが、利用価値は十分ある。

要するに、こいつの思考を誘導出来れば勝ちなのだ。
邪魔する相手を消したい時も、欲しいモノがある時も、何とかして『その行為の遂行こそが平等に繋がるのだ』と思わせられればいい。
場合によっては、白井を使って民主的に数の暴力で攻めるのもありだ。
白井の奴は簡単に扱えそうだし、有効利用でるかも知れない。

「分かって頂けて光栄です。それでは、そろそろ行きましょうか」

とにかく、こいつは電波さんだ。
真偽はともかく、こいつの行動基板は電波じみた平等信仰であるのは間違いない。
そして、おそらく馬鹿でもある。
あんな屁理屈みたいなことを心底信じているのか、それとも自分の都合のいいよう進めるために適当を抜かしたのか……
前者なら正真正銘踊らせやすいただの馬鹿電波だろうし、後者は後者で高度な理論で人を操る事ができぬから電波を装うしかなかった馬鹿と言える。

オーケー、いいわよ。上等じゃない。
だったらとことんそれを利用させてもらおう。
今までだって、散々男を利用し使い捨ててきたんだ。
その対象が電波な女になったところで、そんなに大きな違いはない。
この馬鹿電波も、そんなに賢いというわけではなさそうだし。
要するに、気付かれないよう心を誘導したらいいだけの話なのだから。

「私達が、全ての人に平等な救済をもたらすために――――」

私以外の全ての人に、平等な死をもたらすために――――





【一日目・深夜/E-07・森の中】
花緒璃乃
【状態】健康、服の裾が血濡れ
【装備】金槌
【スキル】光りあれ!
【所持品】基本支給品、アンドロメダ制マジカル消臭スプレー
【思考】
1:殺し合いに優勝する
2:アホ二人を上手く利用する

【白井慶一】
【状態】やや疲労(ハイになっていて忘れている程度)、襟元が血濡れ
【装備】金属バット
【スキル】<<]]巻き戻し
【所持品】基本支給品、篠田勇がかつて愛飲していたポーションが入っていた瓶
【思考】
1:琥珀さんパネエ!まじパネエ!俺もああいう風に人救いてえ!俺、ついていくっすよ!
2:でもやっぱ璃乃ちゃんの言ってたことも一理ある。俺達は騙し合い殺し合うべきなのかも……?

【琥珀愛子】
【状態】ヘルメット越しだったとはいえ、まだちょっと頭が痛い
【装備】デザートイーグル、ヘルメット(修道帽の下にこっそり装備中)
【スキル】復讐するは我にあり
【所持品】基本支給品、不明支給品×0~1(本人確認済み)
【思考】
1:全ての人を“平等に”導く(?)

※白井慶一の支給品であった『篠田勇がかつて愛飲していたポーション』は消費しました。

10:馬鹿で……あってくれ。で……電波?り……りょうほーですかあああ~(前編) 時系列順 11:せっかくだから今の内に自殺しとくか
10:馬鹿で……あってくれ。で……電波?り……りょうほーですかあああ~(前編) 投下順 11:せっかくだから今の内に自殺しとくか
10:馬鹿で……あってくれ。で……電波?り……りょうほーですかあああ~(前編) 花緒璃乃 26:目まぐるしく回る事態
10:馬鹿で……あってくれ。で……電波?り……りょうほーですかあああ~(前編) 白井慶一 26:目まぐるしく回る事態
10:馬鹿で……あってくれ。で……電波?り……りょうほーですかあああ~(前編) 琥珀愛子 26:目まぐるしく回る事態


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