美食神アカシア

登録日:2025/07/08 Tue 20:34:40
更新日:2025/07/18 Fri 17:20:25
所要時間:約 6 分で読めます






希望に満ちあふれた奴は…
それを絶望に変えてやらねば…

旨くならねェ…!!!



アカシアとは、『トリコ』の登場人物。
本項では彼に宿る「グルメ細胞の悪魔」にしてラスボスである「ネオ」についても同時に説明する。




【概要】

600年前、グルメクラゲとグルメクラゲから産出されるグルメ細胞の発見に伴い、グルメ時代を作り出した伝説の美食屋。
かつて世界を滅ぼしかけたグルメ戦争において、究極の食材「GOD」を世界中の指導者に分け与え、その究極の美味さによって争いを終結させたその多大な功績から、人々に「美食神」と讃えられた現人神。
実際に彼を祭神とするグルメ神社はグルメ世界遺産にも認定されている。
神の料理人フローゼとコンビを組んでおり、一龍次郎、三虎の三人を弟子に取り我が子のように育てていた。

遠い過去にこの世を去ったはずだったが、現代においては復活し、そして過去の伝承が嘘であったかのように下種な本性を露わにして、食の理想郷である『最果ての地』に至ろうとする。


【能力】



箸…フォーク…スプーン…
神は何で食事をすると思う?

"素手"だ!!


事実上のラスボスだけあって極めて強大。
全ての能力が高水準であり、八王単体となら互角以上に渡り合えるほど。
「グルメ細胞の悪魔」を使用していない状態で捕獲レベルは推定8000*1
さらに「グルメ細胞の悪魔『ネオ』」を捕食した際は捕獲レベル30000にまで跳ね上がり、尋常でない再生能力も獲得している。

主な技としては手づかみを有し、トリコのナイフやフォークと同様にグルメ細胞のエネルギーでできた光の手で敵を握りつぶす。
「ノッキング」「王食晩餐」「裏の世界(チャンネル)」などの技術にも世界最高水準で精通しており、ニトロが使用する「乾眠」も使用できる。

余談だが「手づかみで食べること」は「手から食物を五感で直接感じるため、最も美味しく食べる方法」として真面目に研究されている。
それゆえに「神は素手で食事する」ということなのだろう。

  • 美食の手(グルメハンド)
グルメ細胞を手に集中させて行うシンプルな掌打。

  • 美食の拳(グルメパンチ)
グルメ細胞の手による強力なパンチ。

  • 美食の鉄槌(グルメハンマー)
両腕を肥大化させ、ハンマーのように叩きつける「美食の拳」による強力な一撃。

  • 美食の仕置き(グルメスパンク)
「美食の拳」によるお仕置き。
超巨大な手形状のオーラを飛ばして攻撃する。
グルメ界の巨大大陸一つを覆うほどの規模。

  • 美食の連撃(グルメバイキング)
「美食の拳」による連続パンチ。

  • 神の掴み取り
グルメ細胞のエネルギーを具現化させた巨大な掌のエネルギーを地中から具現化、地面ごと対象を掴んで握り潰す。

  • 豪雨 王食晩餐
神の体から溢れる食欲が「王食晩餐」となって飛び出し、地球全体に降り注ぐ。
きわめて強力な奥義なのだが、作中のインフレが極まりすぎて「化石になった奥義」呼ばわりされた。

  • 「裏の世界」ハード
グルメ細胞の分裂スピードを最大限に引き上げることで、限りなく圧縮した「裏の世界」を作る。
外での1秒がこの空間内では1ヶ月の体感時間となる。
鹿王の空間に適応して進化した後は、八王全員の動きを止められるほどに強化された。


【性格】

美食神として高潔な精神を持つと伝承されているが、現在においては傲岸不遜にして極悪非道な人物。
聖人のような姿は偽りであり、実際には自らの食欲を満たすために裏で暗躍していた黒幕。
幼少期から抑えきれないほどの食欲を持ち、己の食欲をバケモノ呼ばわりした上で「溢れんばかりの食欲も感情も本当は自分の感情(もの)ではないのではないか」「自分の人生は食欲によってコントロールされている操り人形なのではないか」という疑念と尽きぬ食欲の衝動から逃れるように遮二無二走り続けた結果、地球上のすべての食材を食い尽くしてしまった。
だがその虚無感すらも、ネオの覚醒と干渉によってただのスタートラインでしかなかったと自覚。
以後は自分の正体を知り食欲を満たすために暗躍を開始し現在に至る。

世界中の権力者にGODを配布して戦争を止めたのも、彼らを傘下に加え、その子孫から莫大な資金を得るために過ぎなかった。
極めて自己中心的で、自分の食欲を満たすことしか考えておらず、他者すべてをそのための道具としか見てず、自分以外のGODに接触しようとする者達を食材に集る蠅扱いするクズへと堕ちている。


しかし実際は、この極悪非道な姿こそが偽り
実際は伝承通り、あるいは一龍たち三弟子が回想するような非常に人間としてできた人物。
「我々は常に命を大自然から分け与えられているからこそ、食を、命を分かち合わなければならない」という考えを持つ。
下種な悪党の様な言動や挙動も、全ては自身の中に巣食う「グルメ細胞の悪魔」ネオを自身が信頼を置く者に打倒させるべく、ネオの唯一の弱点である「怒り」を相手に与えてネオへの有効打を生み出そうとする過程に過ぎない。

……が、この作戦には重大な難点が非常に多い。
  • アカシアが性格も功績もガチの偉人であることもあり、誰かに殺意を抱かせるほどの怒りを覚えさせることが非常に難しい
  • 前述のとおりアカシア自身の実力が相当に高い上、作戦上手加減をすることもできない。
  • 作戦を紐解いてみると「アカシアによる手の込んだ自殺」であるため、協力者を得ることが非常に困難。
    そもそも事情を知ってしまえばアカシアに対して怒りようがない*2
  • さらに作戦自体が机上の空論であり*3、成功するかどうかは分からない上に失敗すると最悪地球や宇宙が滅ぶ可能性もある。*4

そして何よりも「アカシアの演技がちょっと下手」というところがあり、実際
  • 「私は神だ」と主張し傲慢に振舞うも、(演技の上での)人格がどんなに醜かろうとアカシアが神として崇められるほどの偉人であることは周知の事実なのでだれ一人怒るどころか否定もしない
  • 相手を煽る際は高頻度で「・・・」と若干言葉を詰まらせる。どんな罵倒を投げかけるかが即座に思いつかず、いちいち頭を回転させているのではないだろうか
  • 「フローゼへの愛情などなかった、ただ彼女を料理人として利用するための食欲に過ぎない」と主張するも、グルメ時代においては食欲最優先が当然なので逆に納得される
  • おそらくこの世界の人間を最も簡単にブチ切れさせられる食材を粗末にする行動を一切しない
  • フローゼを愛する三虎なら怒らせられるかと「いつもキスマークをつけて帰ってくる私に最高の料理を作ってくれた馬鹿な女」という趣旨の発言をするも「真意は訊かぬ」「茶番」と、(一応、怒りはしたが)あっさり嘘を見抜かれる*5

等々、何かとうまくいっていない描写が散見された*6

結果的には最初から善人であったのだが、NEO(組織の方)の行動、ペア以外のブルーニトロの言動、フローゼが復活しなかった理由、二狼殺害など善人とはいいがたい描写もいくつかあり、非道路線から修正したのでは?と思わせる部分もある。
共闘していたジョアに至っては正体から目的までよくわからないし…


【フルコース】

前菜 センター 捕獲レベル10000
スープ ペア 捕獲レベル6200
魚料理 アナザ 捕獲レベル7800
肉料理 ニュース 捕獲レベル6900
メインディッシュ GOD 捕獲レベル10000
サラダ エア 捕獲レベル6200
デザート アース 捕獲レベル6100
ドリンク アトム 捕獲レベル7000

詳細はアカシアのフルコース参照。
地球上、グルメ界に存在する究極の食材を集めたものであり、トリコをはじめとする多くの美食屋・料理人が自身のフルコースに加えようとする代物。

……だが、その正体は地球上の旨味がにじみ出た地球のフルコースであり、アカシア自身の「人生のフルコース」は存在しない。
アカシアは自身の適合食材*7を食べていないことから、自身のグルメ細胞に乗っ取られかけるという事態にまで発展した。


ネオ


生命(いのち)を…もっと旨みを…
もっと悲鳴を…
絶望を…もっと…

もっと もっともっと
もっともっともっともっともっとぉぉおおおお


推定捕獲レベル:22000

アカシアの中に潜む「黒」のグルメ細胞の悪魔にして、本作の真のラスボス。
無尽蔵の食欲を持つ究極の捕食生物であり、暗い黄緑色の肌と無表情の不気味な顔とぶつぶつが連なったような体が特徴。
元々は50億年以上前にニトロの祖先が飼育していた「益獣*8の1匹で、ニトロの管理の目を掻い潜って野生化した生物。
脱走前の最初期はガリガリに痩せ細った人間の子供のような小柄な風体だった。

実態は管理下時代の経験から生物の旨味が最も吹き出すのは「死ぬ時」であると認識し、獲物に死の絶望や恐怖から生じる極度の物理的・精神的ストレスを執拗に与えて旨味を高めて喰うことを好む一種の偏食家。
原理としては死の瞬間生物の脳内で大量生成するドーパミン等の快楽物質を旨味として知覚していたらしく、「死への悲鳴と絶望(=脳内快楽物質の量)が強ければ強いほど旨味が増す」と認識。
まともに仕事もできない鈍間であるのように長期に渡って擬態できるだけの高い知性もあったためか、作中世界の美食家達同様「旨味」の追及には余念がなく、やがて1匹の小動物を至近距離の位置を保ったまま三日三晩延々追い回し続けて、心身ともに極限まで疲弊させると共に最大限に絶望させてから喰らうといった陰湿でドス黒い食癖を獲得していった。

そして何より最も危険な最大の特徴はすべてを飲み込む漆黒の食欲。
たった1匹で数百万もの星々の生物を雑草一本すら残らず徹底的に食い尽くして完全な死の星に変えてしまう程で、おまけに猛烈な天変地異や食運などのエネルギーでも何でも食べてしまう。
これによりほぼあらゆる攻撃を「捕食」することで無効化する。

さらにネオに捕食されたものはエネルギー保存の法則を無視して完全にこの世から消滅し、排泄もしないため生態系のリソースに還元されないという特徴を持つ*9
実際はネオの捕食した生物はネオの胃袋の中に時間すら停止した状態で保存されており、吐き出させることで奪われたリソースやかつて絶滅した食材を宇宙に還元することができる。

さらに肉片を分裂体として生み出すこともでき、こちらも捕獲レベル4000の猛獣を一蹴するほどの強さである。
だが絶対無敵の生物という訳でもなく、超新星爆発に巻き込まれて死んでしまったこともある他、辿り着いた惑星に住む戦闘種族との争いに敗れて絶命するなど幾度か死ぬ機会があったとされる。
だが「グルメ細胞の悪魔」であるが故に完全に根絶することはできず、死の度に億年単位のスパンで復活。
大量捕食と星々の破壊を繰り返していた様子。

上記の「食癖」「無尽蔵の食欲」「事実上の不死身」の性質と合わせてブルーニトロからは宇宙を滅ぼす怪物として認識されており、ブルーニトロには「復活させたのち金の缶詰に封印」、アカシアには「復活させたのち自身と一体化し、人間界最強クラスの実力者を煽ることで怒りを込めた攻撃を喰らい、自分諸共完全消滅させる」という対処法を考案されていた。
これはネオが「怒り」の感情だけは非常に苦手な味としているからであり、自身の「息子」を殺されてガチギレした八王ギネスの猛攻を前脚ごと捕食した際はその時だけ食べた前脚を吐き戻している

……が、実はグルメ時代の倫理においては「迷惑」「厄介」でこそあれ「邪悪」であるとは言い難く*10*11、それを聞いた小松たちは(サニーがネオそのものをキショいと評したくらいで)まるでピクニックに行くかのような呑気なテンションで語り合ったり、トリコはギネスのマーキングからネオの情報を聞いてヤバイと前フリしたものの、あくまでそれは地球のフルコースに関してが主体でネオに関しては味くらいしか気にしていなかった*12
歴とした被害者の一人であるブルーニトロのペアですら「ネオが過去に行ったことは悪事でも何でもない。ただの食事だ」と語っている。

むしろ彼の悪行として扱われるのは「食材の異常な食べ過ぎと独り占め」「食べるだけ食べて排泄を行わず、自然にリソースを還元しない」点である*13*14
そして、最終的には食べていた食材をすべて吐き出させれたのち、トリコによって誰かと分かち合って食べる食事は独り占めして食べる食事よりも美味いということを教えられ和解した。

その後は節乃に引き取られて、トリコとリンの結婚式にも参列した。
この時はきちっと正装し、アカシアとお揃いのターバンを頭に巻いている。
肉料理「エンドマンモスのステーキ」はラスボス・ネオの肉と言っても過言ではないとの触れ込みで紹介され、ゼブラにからかわれると共にネオ当人も満更ではないのかデレデレになって照れていた
サニーからは照れ顔を気持ち悪がられた





追記・修正はアカシアのフルコースを食べてからお願いします。


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2025年07月18日 17:20

*1 八王のそれを上回り、地球上ではGODの10000に次ぐ。GODは捕獲難易度・調理難易度も含めて捕獲レベル10000の疑惑があるため、事実上地上最強の実力者とも考えられる。

*2 実際に相談したフローゼや一龍からは直接の協力を断られており、事実上の殺害依頼に一龍は「(貴方に向けて怒りを込めて殺すなんて)できるわけないでしょう…!」と涙ながらに拒否している

*3 ネオが満腹でないと成立しないため、『最果ての地』に向かうことも考えていた

*4 作戦を聞いていたペアもあまりの無謀さに期待半分と言ったところであり、キーとなったテイストチェンジに関してももうそれしか方法がないというタイミングで初めて協力したほど。

*5 そもそも「家族と一緒にグルメ界で活動しているアカシアと隠れて浮気できる女は何者だ?」という話になり、演技力以前に嘘の内容自体に無理がある。一部読者からは「キスマークってそれ猛獣の噛み痕か何かだろ」とネタにされるほど。

*6 読者から見ての非道ムーブはできているので「ネオに有効打を与え得るグルメ猛者達の怒りのツボがいまいちわかってない」という面が大きいか。読者は騙せていたので「演技力はあるけど、脚本作成能力がない」などとネタにされることも。

*7 自身の食欲の拠り所であり、同時に食欲そのものであるグルメ細胞と共存するための鍵。ここでいうものは「食に関するスタンスを完成させているかどうか」という精神的なものが大きく、三虎のフルコースのように必ずしも食材であるとは限らない。

*8 惑星にグルメ細胞を投与して惑星を育成する過程で、対象惑星とその在来生物に「絶対的捕食者が与える物理的な死への恐怖・絶望」という物理的ストレスを与えるために用いていた魔物(怪物)の総称。原理は野菜のストレス栽培の生物版。

*9 アカシアはこのことを疑問に思っており、ネオはもうお腹いっぱいなのではないかと考えていた

*10 実際にトリコたち人間も「ビックリアップル」を驚かすことでより美味しくしていたり、四獣本体にダメージを与え続けることで味を円熟させていたりするので、三日三晩死の絶望を与え続ける程度のことは調理法の範疇である。それを聞いたココも「悲鳴で旨みが増すとは知らなかったな」と感心していた。

*11 食欲に関しても「放っておくと○○を食い尽くす」などと紹介される猛獣はネオ以外にもちらほらと出ている。

*12 ネオの説明を聞いたスタージュンも「ヤバいって…なにがだトリコ?」と返しており、ネオの生態そのものにはそこまで危機感を持っていない様子であった。

*13 ネオの説明を聞いた小松もここを気にしており、「きっと本当に満足できる料理をまだ食べたことがないんじゃないですかね」と考察していた。

*14 トリコの中に潜んでいた3体目のグルメ細胞の悪魔である白鬼からも「食べすぎですよ 何十億年も…」と諌められていた。

*15 (親父がまた死にかけてる…