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  • これはバトロワですか? ~はい、これが私の自称メイドです~

オリロワVRC @ ウィキ

これはバトロワですか? ~はい、これが私の自称メイドです~

最終更新:2023年02月20日 23:21

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これはバトロワですか? ~はい、これが私の自称メイドです~


――なにげない集まりが、かけがえのない時と知らずに私達は過ごしていた。


×

私はこの世界が好き。
今まで色々とネットの世界を渡り歩いてきたけど、VRCほど楽しくて幸せな世界はなかった。
普通の世界だとネカマは罪悪感を抱えてしまうけど、ここならネガティブなことは何も考えずに――みんなと楽しく自由を謳歌出来るから。

なにより――大切なお兄ちゃんとシロ姉と、いのりが居るから。
ぼっちの集いは私の居場所で、VRCは私が住む世界。
現実(リアル)なんかよりも、よっぽど大切な――私の宝物たち。

どうして私がこんなにも、みんなのことが好きなのかというと――。

×

それは当時の私にとって、なにより大切な彼女と連絡を絶った後のこと。
自分勝手な理由で、私が悪いことだけど……ずっと大切に想っていた恋人を失って、私は廃人同然になっていた。

それまではただの遊びでネカマをしてたけど――彼女の存在はあまりにも大きくて。大切で。
そんな彼女だから、私の在り方を一気に変えた。……本当に心の底から、メスになっちゃった。

だから今までお遊びで付き合って、適当に別れてきた相手には何も感じなかったけど……大切な彼女と。ひなたと別れることは、本当に辛かった。

それでも連絡を絶つことにしたのは……私の弱さが原因で。当時の私はどうしようもなく弱くて、臆病だからネカマバレして捨てられることが怖かった。なにより二人の大切な思い出がひなたの中で『ネカマ野郎と過ごした苦い思い出』になるのが嫌だった。

ネカマの私は、本来の私じゃない。お前は偽りの女を演じる嘘つきだ。
世間の人たちはきっとそう言うけれど――ネカマの私こそが、本当に私……なんて、そんな昔の自分では有り得なかったことを今では心の底から思ってる。

そんな私だから。
嘘偽りなくひなたが大好きな私だから……彼女に嘘を貫き通すのが辛かった。苦しかった。

私が『本当の私』として振る舞ってるつもりでも、リアルの私は女の子じゃないから。
どれだけ私はネカマじゃない――なんて思い込んでも、世間的に私がネカマであることは変わらない。悲しいけど、それこそが不変の事実。

だから私は――連絡を絶つという手段で罪悪感から逃げ出した。
そうすることで、私とひなたの思い出は永遠になるから。二度と逢えなくなっても――この百合の花はずっと枯れずに、咲き誇るから。

そして私はひなたの元を去って、しばらく後にVRCの噂を聞いた。
誰もが好きな姿になれて、美少女アバターの男性が多い場所。VRという性質上、臨場感もあって人によっては撫でられてもいないのに、撫でられてると感じる。
そんな不思議な世界があるという情報を偶然、見掛けた。

まさか本当にそんな世界があるなんて――当時の私は、半信半疑だった。
私にとってあまりにも都合の良い世界だからこそ、そんな場所があるわけない……という思いが強かった。

――それでも。
もしも本当に、そんな世界があるのなら。
私は迷わず……その場所に足を踏み入れる。
だから――たとえその情報に嘘偽りが紛れてる可能性があるとしても、私はVRCに行ってみたいと思った。

罪悪感を抱えることなく、ありのままの私で在りたいから。
ネカマが大手を振って歩ける。本当にそんな世界があるのなら、それこそが私にとっての楽園だから。

VRのヘッドセットを手に入れるために、まずは資金集めを始めた。
ひなたの影響でメスになってた私は、リアルの日常生活でも女装して暮らすようになっていて。そのスキルを駆使することでパパ活に手を出した。

手っ取り早く大金が欲しいなら、それが一番効率の良い手段だったから。まあ……よくわからないおじさん達に抱かれるのは苦行もあったけど、未知の快感も覚えた。
股間に電マを当てられたり、お尻を弄られるのがあんなに気持ち良いなんて……。

私という存在がおじさん達に汚されて。
白濁に塗れ、彼らに汚されることで快楽と大金を得る。……当時の私はひなたロスで本当に狂ってた。

そして遂にゲーミングPCとヘッドセットを手に入れた。
ヘッドセットは特に拘りがないからOculus Quest。ゲーミングPC無しでもVRCを楽しめる優れものだと聞いてたけど、クエスト対応アバ以外は正常に表示されないことを知ってゲーミングPCと同時に買うことに決めていた。

余ったお金でbooth経由のアバター購入。自分の好きなキャラに似たアバを買って、改変で更に似せてゆく。
個人的に満足出来る改変アバに仕上がったから――私は意を決してVRCの世界にダイブした。

初めてヘッドセットを装着した時の感想は……意外と重い。
臨場感?この重さで……?
VRCの世界にアクセス完了するまでの僅かな時間、そんな考えが脳裏を過る。

けれどもそれがただの杞憂だったと、すぐに思い知らされた。
VRCにダイブして、真っ先に辿り着いたホームワールド。そこは『ホームワールド』という名前通り簡素な場所だけど……少し歩くとミラーがある。

アバを改変してる間に適当な外人プレイヤーとフレンドになって、ずっとinして放置することでランクもNew Userになってた私は、アップロードしていたアバターに着替えてミラーの前に移動した。

「す、すごい……」

私が身振り手振りする度に、ミラーの中の私も同じ動作をする。
鏡だから当たり前のことではあるけど――自分の動きとアバターが一致するというのが、本当に大事で。

ミラーを目にすることで、私は今この姿になってるんだ……と強く実感出来る。
VRCのユーザーはミラーを好む人が多いけど、私もその気持ちはよくわかる。だって私もミラーが好きだから。

ヘッドセットの重さは相変わらず気になったけど、それでも臨場感はたしかにある。
本当に自分がそのアバターになったような、そんな感覚。

どくん、どくん、どくん――。
ミラーを見てるだけでも、胸の鼓動が高鳴るのを感じる。
ホームワールドに居るだけでコレなら、他のワールドへ行ったらどうなるのかな……。

そんなことを考えた時には、コントロールを操作する指は自然と動いてた。

……でも当時の私はVRCのワールドなんて全然わからなくて。
とりあえずjapanでワールド検索をしてみた。日本語メインのワールドじゃないと敷居が高いと思ったから。
そして適当に目に付いたJapan Shrineにワールド移動する。日本の神社のワールドだった。

「Do you know da wei?」
「My Queen!」

……モグラみたいなよくわからないアバターの集団と遭遇した。
彼らの名前はウガンダナックルズ。集団を形成して、奇妙な言動と野太い声で人々を困らせる存在だけど……たまに彼らに悪ノリして便乗する輩もいる。

「どゅーゆー、のー、ざ。うぇい?」
「いのりちゃん。その人たちの真似はダメですよ」

そして当時のいのりは、彼らに便乗している最中だった。
後から聞いた話だけど、当時の時点で既にウガンダナックルズは絶滅危惧種で久々に見掛けから嬉しくて悪ノリしたみたい。……流行ってる時もよく悪ノリしてたみたいだけど。

「ごめんなさい、お姉ちゃん。でもこの人たち、面白いです……!」

いのりがぺこりと頭を下げてシロ姉に謝る。
シロ姉は困ったように苦笑いしながら、いのりのことを撫でていた。

「This is da wei!」

パンツの下から、野太い声が聞こえる。
いつの間にかウガンダナックルズが私のパンツの下に潜り込んでた……!

――あまりにもよくわからない状況にいきなり遭遇した私は、すぐにJapan Shrineから移動。
日本人が集まるワールドをググって、色々と巡り始めた。

結果、フレンド0人。
人々の輪の中に入ることも出来ず、仲の良い人も出来ず途方に暮れる。
やっぱり私はひなたが居ないと、何も出来ないのかな……。そんなことを考えながら、Japan Shrineに戻った。

あそこはウガンダナックルズはともかく、景観は綺麗だったから。
なんとなくあの綺麗な景観を。神社を見たくなって、再びやってきた。

「あ。お姉ちゃん、あの時の黒髪ロリっ子さんです!」

……最悪だ、と思った。
当時の私にはいのりがウガンダナックルズと同じ害悪プレイヤーにしか見えない。初対面でいきなりウガンダの真似されたら、そうなるのが当然で。
だから私はまたすぐにJapan Shrineから移動しようとしたけど――。

「こんにちは」
「こんにちは、ロリっ子さん……!」

シロ姉といのりに笑顔で挨拶されたから、退路が絶たれた。

「こ、こんにちは……」

リアルではものすごく苦笑い。
アバターは……きっと無表情だったと思う。当時の私は、まだアバターの表情操作を全然知らなかったから。

「さっきはごめんなさい。嫌がらせをするつもりはなかったんです……」
「う、うん。気にしてないから、大丈夫」

深々と頭を下げるいのりを、許してあげた。
今でこそ、いのりと仲良く話してるけど……当時は初対面で何も知らない仲だからロリがいきなり頭を下げてきたことに罪悪感を覚える。……そして私は罪悪感が、嫌い。

それでもいのりは申し訳なさそうにしてたけど、シロ姉が頭を撫で続けることで徐々に持ち直した。
その後は三人でちょっとした雑談。本当に他愛のない、在り来りなよくある日常を三人で過ごした。

「仔猫さん。また会えますか?」
「うん。いのりが会いたくなったら、またいつでも……」
「良かったですね、いのりちゃん」
「はい。すごくうれしいです……!」

いのりは本当に嬉しそうで。
シロ姉も落ちる私を、笑顔で手を振って見送ってくれた。
そんな二人の態度が嬉しくて――。

「仔猫さん、今日も会いに来てくれたんですね……!」
「うん。いのりがまた会いたそうにしてたから……」
「わざわざぼくのために……!?うれしいです!」

「いのりちゃんのためにありがとうございます、仔猫さん」
「気にしないでください、真白さん。それに私もまた二人と会いたかったので……」

一人でVRCを徘徊していたところに声を掛けて、仲良くしてくれた二人。
まだ出会ったばかりだけど、この二人とはまた会いたいと思った。だから初日の次の日も、こうして会いに行って。

「えっ、いのりってリアルは男の娘だったの……!?」

話しているうちに衝撃の事実……!
いのりは私と同じ属性だった。たしかに中性的な声だとは思ってたけど、流石に驚きを隠せない。

「ふふふ。驚きましたか、仔猫さん。ぼくはこう見えて立派なロリ☆男の娘なのですっ!」
「うーん……。ロリと男の娘って矛盾してないかな?」
「そういう細かいことはいいんですよ。ディケイドもそう言ってます」

「いのりって仮面ライダーが好きなの?」
「はい。仮面ライダーは男の娘たるもの、誰もが通る道です」
「そんなこと言いながら、昭和だけ見てなさそう」
「うぐ……。ら、ライスピなら読みましたから……」

悔しそうに言い返すいのり。
私も昭和ライダーは全然知らないから、それ以上は何も追撃しなかったけど……。

「ちなみに私はいのりちゃんと仲良くなってから何作か見ましたが、まだ数作品くらいしか見れてないですね」

シロ姉は私達のやり取りを微笑ましそうに眺めながら、そう言った。
一作、一作が長いからそれが当たり前だと思う……。

「……コホン」

とりあえず場の雰囲気をリセット。
いのりが明かしてくれたなら――私も隠す必要、ないよね。
きっとこの二人なら受け入れてくれる。実際、いのりもそういう属性だし。

「実は私も……リアルは男の娘だよ」
「仔猫さんもそうだったんですか!?てっきり女の人だと思ってました……!」

いのりが大袈裟に驚く。
VRCの人は男声が多くて、女声は希少だから無理のない反応だけど……いのりも私と同族だよ。
まあ私もいのりの性別を知ってビックリしたから、あまり人のこと言えないけど……。

「うん。まあいのりと違って、考え方は男の娘というより女の子寄りだけど……」
「むっ。ぼくの頭もロリですが??」

「えっ、そこ張り合うの……?」
「大事なことですからねっ!」

いのりは昔から変わり者だった。
VRCには個性的な人も多いと聞くけど、いのりは間違いなく『変人』だと思う。
私もロリアバを使ってるけど、いのりみたいに『ロリで在りたい』みたいな考えはないから……。

「私はいのりちゃんと仔猫さん、どちらの考え方や性別もいいと思いますよ」
「えへへ。ありがとうございます、お姉ちゃん……」

シロ姉が笑顔でいのりを撫でて、丸く収めた。
こういうやり取りは今も昔も、変わってない気がする。
それにしてもこう、人前でもデレデレ全開のいのりは見てるだけで恥ずかしい。……別に羨ましいとかじゃない。

「それにしても、まさか仔猫さんがぼくと同類だとは思いませんでした。お互いロリアバというのまで一致してます……!」
「うん。……いのりと違ってロリアバはそういう性癖じゃないけど……」

「何を失礼なっ。ぼくもロリコンというわけじゃありません。やっぱり時代はおねロリですよね。
あ、でもロリロリはそれはそれで悪くないと思いますが決してロリコンじゃないです。どちらかと言えばお姉さんが好きです。そしてお姉ちゃんは世界一です!」

「そんなめちゃくちゃ早口で言わなくても……」

「妹はお姉ちゃんが好き過ぎて早口になってしまうものなのです。えっへん」
「そんなドヤ顔されても、誰も褒めてないよ……」

それにしても、お姉ちゃんか……。
当時の私はシロ姉と姉妹になってるいのりが眩しくて、羨ましくて。
もしかしたらそういう関係性に憧れてたのかもしれない。
私の使ってる改変アバターのモチーフも、姉じゃないけど……血の繋がりのない兄がいる妹キャラだし。

「いのりを褒めてるわけじゃないけど……優しいお姉ちゃんがいて、いいね」
「仔猫さん……?」

いのりが心配そうに私の顔を覗き込んでくる。
この二人は優しい姉妹で、私が入り込む余地なんてない。……それを強く実感してしまう。

「大丈夫ですか?」

シロ姉も心配そうに、私をじぃっと見つめてきた。
どくん、どくん、どくん――。
そんなふうに見られると……心臓の鼓動が高鳴る。
私が二人の間に入り込む余地なんてないのに。それでも心臓のバクバクは止まらなくて。

「だ、大丈夫です……」

平静を装うけど、明らかに声が上ずった……。恥ずかしい……。
そんな私の心境を察したのか、シロ姉は私に手を伸ばして――。

なでなで。
笑顔で私の頭を撫でてくれた。
それがあまりにも嬉しくて。
VRなのに、リアルじゃないのにこんなこと言うのはおかしいかもしれないけど……暖かくて。

「あの、真白さん……」
「なんですか?」

だから。
そんなにも幸せで、暖かいから。
私は遂に、シロ姉に本音を打ち明けた。

「あの……わ、わたしも真白さんのこと、お姉ちゃんって呼んでいいですか……?」
「ちょっと待ってくださいね」

その後、シロ姉はポータルを開いていのりと別のワールドへ移動した。
私はどうしようか迷ったけど、シロ姉の言葉を信じて待ち続ける。いのりも色々と複雑な心境かもしれないけど……きっと帰ってくるはず。

しばらくして、二人が戻ってきた。

「おかえりなさい」
「ただいまです、仔猫ちゃん」

この時、初めてシロ姉が私を『さん付け』じゃなくて『ちゃん付け』してくれた。

「むぅ……。新たな波乱の予感です……」

一方いのりは、少しだけ不服そうで。
じーっと私の方を見ると――

「仔猫さんを私たち姉妹に迎え入れます。……でもお姉ちゃんをお姉ちゃんって呼んでいいのは、ぼくだけです」
「うん、わかった」

それはきっと自分だけの『お姉ちゃん』で居てほしいっていう、いのりなりのワガママ。
そんな気持ちがあるのに私にもシロ姉をお姉ちゃん扱いしても許すのが、いのりの優しさでもあった。

「改めて……。これからよろしく、シロ姉」
「シロ姉!?シロ姉ってなんです……!?」

「はい。よろしくね、仔猫ちゃん」
「あれ?ぼくの言葉は無視ですか、仔猫さん……!?」

そうやって私たちはどんどん仲良くなっていく。
そんな他愛のない日常が。二人のことが私は大好きだった。

そして、ある日。
三人で仲良く遊んでたら、いのりが「仔猫さんに会わせたい人がいます」と言ってきた。

「それはどんな人なの?」
「シエルさんっていう、不良アバの人です。ちなみにアバター以外は言うほど不良じゃありません。卍がトレードマークなので最初はちょっと怖いかもしれませんが……」

卍がトレードマークって……。今どき、リア小でもやりそうにない設定だった。

「どうしてそんな人に会わせたいの?」
「きっと良いお友達になれると思ったからです」
「私とその不良が……?」
「不良っぽいのはアバターだけで、本人はいい人ですよ」

私はいのりのことを信じてる。大切な親友だから。
でも、不良アバを使うような人が『いい人』とは思えない。しかも今どき、卍は流石に……。
昔のメイプルでは名前被りを回避するために卍を名前に入れる文化があったけど、アレも今思うと痛々しい……。

「シエルさんはいい人ですよ」

シロ姉もニッコリ微笑んで、援護射撃。
変わり者ないのりはともかく、常識人のシロ姉までいい人判定するって、もしかして本当にいい人なのかな……?

「でも。いくらいい人でも、不良アバは……」

不良。
当然だけど、その二文字に良いイメージはない。
きっとリーゼントとか、パンチパーマとか、ちゃんとメンテナンスしてなさそうな汚らしい金髪とか。ピアスとか。そういうガラの悪い男に違いない。

VRCは自分の理想の姿になれる世界。
そんな世界でガラの悪いDQNアバを使うなんて……やっぱり頭がおかしいと思う。

「たぶん仔猫さんが想像してる不良とは、ちょっと違いますけどね……。それと実はもう呼びました」
「え?」
「もうすぐこのワールドに来ると思います」
「え?え?」

いのり、いつの間にそんなことを……!?
いくら二人の知り合いでも、DQNは流石にちょっと……。


「へ~。このロリっ子ちゃんがいのりと真白の新しい友達?」

――そして不良男は。
今は私がお兄ちゃんと慕ってるその人は、本当にすぐにワールドに来た。

「……あれ?思ったより、全然いかつくない」
「まあ、そりゃね。VRCで無駄に厳ついアバなんて使っても、みんなに威圧感与えるだけじゃん」

お兄ちゃんが飄々とした態度で、私の方へ近付いてくる。
たしかにいのりの情報通り、あまり不良らしい要素はなかった。学ランは羽織ってるけど、本当にそれくらいで。

「じゃ、じゃあその学ランは何?」
「あー、これ?大したことねえよ。これくらい羽織んなきゃ、チームまとめらんねぇだろ?」
「チーム……?」

「そ。ぼっちの集いのコトだよ」
「ぼっちの集い……?なにそれ??」
「あれ!?いのり、まだ教えてなかったの!?」

「あっ、完全に忘れてました……」
「仔猫ちゃんも招待するんですか?シエルさん」

いのりはバカ。
シロ姉は……いのりと違って、そこら辺の話を聞いてなかったというか。
いのりとお兄ちゃんで企んでたことだから、仕方ない。

「んー。それは今から決めるっ!」
「意味不明。やっぱり頭おかしいの……?」
「仔猫ちゃん、それは流石に口が悪いですよ」
「う……。ご、ごめんなさい」

そんなふうにシロ姉に注意されたら、謝るしかない。

「大丈夫だよ、真白。俺はこんなロリっ子にブチ切れるなんてダサいことしねえからさ」
「ロリっ子、ロリっ子って私は……」

「男の娘、だろ?ここはVRCなんだし、俺はそんなこと気にしないよ。ロリっ子はロリっ子で、仔猫ちんはロリっ子だ」

「こ、仔猫ちんって……」
「仔猫ちゃんだから、仔猫ちん。わかりやすいっしょ?」

「それならいのりも『いのりちん』になるんじゃないの?」
「んー。いのりは『いのりちゃん』って感じがしないからなー」

「えっ!?ぼくみたいなロリにその扱いは酷くないですか!?」
「バカみたいで面白いだろ?こいつ」

「そういうあなたも大概、バカみたいな服装してると思うけど……」

「まあそれは、違いねぇかもな。俺はこの特攻服(トップク)みたいな学ラン気に入ってるけど、世間的にそういう目で見られやすいのも理解してる」

お兄ちゃんは服装に反して意外と理性的だった。
私の言葉を否定せず、真っ向から受け止めて青空を見上げる。

「仔猫ちんの改変アバってあのロリアニメに寄せてるんだろ?有名キャラだしデザインくらい見たことあるから、それくらいわかる」
「……それがどうかしたの?」

boothで買ったアバを改変して、特定のキャラクターに似せる。
VRCでは割とよくあることで、本格的にそのキャラに寄せる人や色だけ意識してる人、よく見れば似てるというレベルの人……そこら辺は好みで変わってくる。

だからその時のお兄ちゃんみたいなことを言ってくる人は、この世界だと意外と珍しくない。
だけど当時の私はまだVRCにあまり慣れてない上にいのりとシロ姉くらいしか友達がいない、ぼっちにも等しい状態だったからそんなこと知らなくて。からかわれてるような気がして、眉をひそめた。

「俺も仔猫ちんと同じだよ。このアバさ、俺の好きな漫画のキャラに寄せたんだ」
「え……?」
「まだアニメ化もされてない漫画だけどさ。俺はそのキャラみたいに仲間思いでかっけえ総長(リーダー)になりたいってワケ」

さっきまでとは違う、芯の通った声でわかる。
お兄ちゃんは私をからかうどころか、嘘偽りない本音を零していた。

「それにぼっちの集いって、コンセプト的に馬鹿にされることも多いんだよね。みんな色々と事情があったり、変わり者だったり、コミュ障だったりするだけなのに。
それを指さしてダセーとか、負け組同士の傷の舐め合いって言ってくるやつも居る」

そんなふうに語るお兄ちゃんの声は、真剣そのもので。

「でもさ。みんな一生懸命に生きてんだ。俺の知る限り『ぼっちの集い』には他人に迷惑掛けるような奴なんて、誰もいない。
みんなそれぞれの事情や個性を背負いながら、必死に生きてる。
そんな奴らにダセーって喧嘩売ってくるなら、そいつら全員オレが潰す――なんて言ったら、仔猫ちんはどう思う?」

お兄ちゃんの瞳が私に真っ直ぐと向けられる。
それはVRC上の出来事で、ヘッドセット越しに見るものだけど――VRの臨場感も合わさって、本当に目の前で真っ直ぐとした視線を向けられてるようで。

だから私は――。

「私もあなたと同じでシロ姉やいのりを馬鹿にする人が居たら、真っ向から立ち向かうと思う。だから……あなたの言葉を否定する気にはなれない」

本音を話した。
シロ姉もいのりも、大切な存在だから。
二人を侮辱するような人が居たら、その時は私が――。

「いいね。100点満点の答えじゃん!」

お兄ちゃんは上機嫌に笑って、私に手を差し出した。

「――気に入った。仔猫ちん、ぼっちの集い(俺のチーム)に入れ」

シロ姉はその様子を笑顔で見守って、いのりは「良かったですね、仔猫さん……!なんだか、ぼくもうれしいです」と喜んでた。

「その提案はうれしいけど……ぼっちの集いって何?」

私が首を傾げるとお兄ちゃんが「そういえばまずそこだったな」と妙に納得したような声を出す。
お兄ちゃんが語ってくれた言葉の数々は私の心にも響いたけど、まずは『ぼっちの集い』がどんなものか知りたかった。

「ぼっち達を集めて、その居場所になる。それがぼっちの集いってチームだ」

ぼっちの集いは、名前通りのチームだった。
この時点で私がぼっち扱いされてることが明確になったけど、シロ姉といのりしか友達がいなかったから否定出来ない。
そもそもこの二人に出会えてなければ、間違いなくずっとぼっちだったと思う。

「わかった。そういうことなら、私も入る。……きっとシロ姉やいのりも入ってるんだよね?」
「真白は創設メンバーだし、もちろんいのりも入ってるよ」

それを聞いて、嬉しい気持ちになった。
大好きな二人と同じチームに入れた。それは私にとって、すごく大きな一歩だったから。

「あと仔猫ちんはロリっ子だから俺のこと『お兄ちゃん』って呼ぶことを許可する!」
「シエルさん、ほんとに懲りないですね……」

お兄ちゃんがいきなり意味不明なことを言い出して、いのりが呆れてる。

後から聞いた話だけど、お兄ちゃんはいのりにも同じことを言ってたらしい。私が『お兄ちゃん』と呼ぶようになってからは、もう誰にも言わなくなったけど……。

「俺だって『お兄ちゃん』って呼んでくれる可愛い妹がほしーの。そこら辺が自由なのもVRCの魅力だろっ!」
「まあそれは否定出来ませんね。おかげでぼくはお姉ちゃんと百合百合♡お砂糖姉妹ライフを楽しめてるわけですし」
「俺にはあんまり百合の良さはわかんないけどなー」

お兄ちゃんはいのりの惚気話を一蹴する。
いのりはリアルだと男の娘だけど、それでもお兄ちゃんはシロ姉といのりの関係が百合であることは否定しなかった。

それは優しさなんかじゃなくて、本当にこの世界を楽しんで、いのりのことも受け止めてるなによりの証拠だと思う。

「妹と言われても、私はリアルだと……」
「リアルなんてどーでもいいだろ?ここはVRC。リアルとは違う世界だぜ、楽しめよ」

リアルなんて、どうでもいい。
お兄ちゃんの言葉を聞いて少しだけ気持ちが楽になった気がする。
いのりも、シロ姉も、お兄ちゃんも。この世界ではみんな私を私だと認めてくれる。

「……うん。わかった」

だから私は――この世界を満喫したい。
自由に翼を広げて、みんなと手と手を取り合って。
もしそうしたら――雲の上さえ歩ける気がする……なんて。

「みんなが私のことを受け止めてくれるなら――もうリアルのことなんて、気にしない」

ネカマであることに罪悪感があった過去と、新しい世界で翼を広げた仮想現実(いま)を見つめて――その全てを受け止める。
そうしたらきっと、私も進める気がするから。

昔の私には翼がなかった。
それでも今の私には――ありのままの私を見てくれる翼(友達)がある。

だから神様――どうか一つだけ、願わせて。
世界が平和でありますように。

「良かった良かった。それじゃこれからよろしくな、仔猫ちん」
「うん。よろしく。……お兄ちゃん」

最後にボソリと、誰にも聞こえないような声で呟く。
でもお兄ちゃんにしっかりと聞こえてたみたいで、満面の笑みで――。

「よし。仔猫ちん、これで今日からぼっちの集いのメンバーで――俺の妹なっ!」
「はいはい」

こうして私とお兄ちゃんは兄弟みたいな関係になった。
シロ姉とは姉妹で、お兄ちゃんとは兄弟。なんだか急に家族が増えた気がする。

「仔猫さん、ぼくもいのりさんと何か家族になりたいです……!」
「いのりは親友でしょ?それかお姉ちゃんの妹同士だから、姉妹……?」
「親友、姉妹。いい響きですね……!」

よくわからないけど、いのりが喜んでるから良いかな。

こうして私たちは仲良くなって、みんなで平和な日常を楽しんだ。
それはごく当たり前の日常だけど――この世界で過ごす日常が、私は大好きで。
みんなのことも、すごく大好き。

×

私のスタート地点は神社だった。
雪が積もって、幻想的にすら見える綺麗な景観。殺し合いの場じゃなければ、みんなで来たかった。
きっといのりが喜んで自撮りを始めそうな――そんな場所。

一歩、一歩と歩く度に雪に足跡が刻み付けられる。
その感覚がすごくリアルで、本当に今の自分はアバター自身が肉体になってると再認識した。

この殺し合いで私がやるべきことは、もう決まってる。
アバターを肉体にして現実世界に帰る。――それは本当にすごく理想的だけど、優勝を狙う気にはなれない。

罪のない人々を殺すなんて嫌だし、なにより――ぼっちの集いのみんなが巻き込まれてるから。
みんなであの日常(せかい)を取り戻すためにも、私は殺し合いに抗う道を選ぶ。

その過程で優勝狙いの危険人物や――まさかVRCにそんなユーザーは存在しないと思うけど、快楽殺人者が居た場合は、出来る限り倒す。……私が命を落としたら意味が無いから、無理のない範囲で。

そのために私は、みんなを守るための創造武具を手に入れたから……。

「――創造。『見上げた夜空の星座たちに誓うよ(カレイドスコープ)』」

試しに魔法少女に変身してみる。
肉体が軽やかで、身体能力(スペック)が向上したことを実感出来る。

「形態変化(エンダァン・ゲシュタルテン)。モード――シュヴェルト」

私が唱えると、ステッキが剣に変化する。
その場の状況や相手に合わせて任意の武器に変えられる。

それが私の創造武具――『見上げた夜空の星座たちに誓うよ(カレイドスコープ)』の強み。
名前は完全に私の趣味。……アバターの見た目的にもわかる人はすぐにわかるかもしれない。

そして私は久しぶりにやってきた神社で。
厳密にはここはJapan Shrineじゃないけど――始まりの場所に似たこの雪降る神社で誓う。
この殺し合いを止めて、みんなと一緒に帰ると――。


「あっ、ふぁああ♡これは、素晴らしい♡♡」

――真面目に誓いを立てる私とは真逆の、快感の波に襲われてるような声が神社内で聞こえた。
どうしてこんな状況で……?
なにがなんだかわからないけど、とりあえず私は声のする方へ向かう。一応、武器はステッキに戻しておく。

「あ、ん♡女性の身体ってこんなにも……♡♡」
「……なにしてるんですか?」

銀髪のメイド服の人が鏡の前でオナニーしてた。おまんこに指を突っ込んで、くちゅくちゅと。

しかも……いや、別に私は偏見があるわけじゃないけど……。この人は声からして、明らかに男の人だった……。

「あ♡まだ幼い少女に、こんな痴態を見られては……♡」

どうしよう、この人……。
オナニーをやめるつもりがないなら、無視した方がいい……?
でも無視した結果、惨殺でもされたらそれはそれで気分が悪い。私が見殺しにしたのと、同然だから。

「とりあえず落ち着いて話し合いませんか?」
「そんなことを言われても♡気持ち良すぎて、指、止まらなくて♡」

この人……状況がわかってないのかな。

「形態変化(エンダァン・ゲシュタルテン)。モード――シュヴェルト」

ステッキを剣に変化させて、突き付ける。
強引な方法だけど、頭のおかしい人を止めるにはこれしかないと思った。


×


「イッタイ ボクハ ダレ?」「ナンノ タメ イキル?」
ウソの笑顔……誤魔化してた
そんな時~天使~ 僕は出遭ったよ
カラダに血が通い出した


×


「ごめんなさい、仔猫ちゃん。私がどうにかしてました……」
「落ち着いたみたいで良かったです」

とりあえずオナニーメイドの人はオナニーをやめて落ち着いた。
衣服が乱れてたから、正してあげる。……流石にこのままだとレズレイプしたと誤解されそうだから。

「仔猫ちゃんはまだ幼いのにしっかりしていますね」
「それは別に、アバターが幼いだけですから……」

「心はアバターに引っ張られるものです。それにVRCの世界では実年齢なんて関係ないかと」

それはそうだけど……私がロリ扱いされるのと実年齢関係ないことに、何の因果関係が……?

「私の名前はタチバナ。見ての通り、メイドをやっています。仕える相手はまだ見つかっていないですが……」

殺し合いに巻き込まれていきなりオナニーするメイドを雇う人がいないのは、当然じゃない……?
そう言いたいけど、タチバナさんを深く傷付けそうだからやめておく。

「……それで、どうしていきなりあんなことをしたんですか?」
「偶然にもミラーを見付けて、今はこのメイド姿が肉体だと聞いたのでつい出来心で……。
それとタメ口で大丈夫です、メイドなのに敬語を使われるのはむず痒いので」

つい出来心でオナニーを……?
それにしてもメイドを自称してる割に、よくわからない注文をして、この人はなんなんだろう?

「普通の人はミラーがあっても出来心でオナニーしないと思う」
「それは……VRCのユーザーなら誰でもわかるんじゃありませんか?仔猫ちゃんは女の子だからわかりませんか?」

「私はリアル男だけど、それはちょっと……」
「オトコノコなのに女の子みたいな声で羨ましいですね。でもオトコノコならわかりませんか?」

「タチバナさんと違って頭がおちんぽで出来てるわけじゃないから……」
「私の心はおちんぽじゃなくて、おまんこですよ」

「な……なるほど……」
「仔猫ちゃんもその幼い割れ目に指を入れたいと思いませんか?」
「私は別にそういう趣味があるわけじゃないから……」

どうして殺し合いの中でこんな会話してるんだろう……。

「それなら私がご教授して差し上げます」
「いや、そんなことしなくて……~~♡」

タチバナさんの指が、私の中に――!

「どうしましたか?頬が赤いですよ?」
「この……変態……!」

急いでタチバナさんに殴り掛かる。
だけど彼女はあっさりと回避して、微笑んだ。

「メイドたるもの、戦闘技術くらいは身に付けてます♡
……それで、女の子初体験はどうでしたか?」

ねっちょりと糸を引いた指を舐めて、タチバナさんは艶めかしく笑う。

初遭遇の相手がこんな変態だなんて……運の悪さを嘆きたい……。

「最悪の気分だよ……。タチバナさんはこんなことをして、何がしたいの?」
「え?気持ち良くなかったですか?私はメイドなので、良かれと思ってご奉仕しただけですが」

「そんなベクター並の良かれと思っては、相手の反感を買うだけだからやめて……!」
「そ……そうですか。承知致しました」

タチバナさんの反応的に、この人はほんとに良かれと思ってあんなことをしてきた可能性が高い。
……頭がおかしいのかな?天然とか、そういうレベルじゃないと思う。

「ところで仔猫ちゃん」
「?」
「私にメス声の出し方をご教授お願いしたいのですが」
「これは地声だから、他を当たって」
「それは残念です……」

タチバナさんがしょんぼりとする。
……わかった。この人、VRCで完全にそういう沼にハマったタイプの人だ。

「それでタチバナさんはこの殺し合い、どうする?」
「もちろん反逆一択です。VRCをこんなことに使われて、頭に来ますよ!」

「……タチバナさん、何歳?」
「40歳です。結構なおじさんですが、メイドやらせていただいてます……♡」

いきなり淫夢語録を使ってくるしホモガキのキッズだと思ったら、まさかの40歳……。
メイドプレイは否定しないけど……40歳でも淫夢語録を使うことに驚きを隠せない。

「何故に引いてるんですか?おじさんメイドは嫌ですか?見た目は美少女ですよ?」
「それ自体はVRCはそういう世界だからいいと思う。私も人のことを言えないし。……その歳で淫夢語録はちょっと引いたけど」

「でもそれを聞いて語録とわかった仔猫ちゃんもホモですよね♡」
「うっ……。そ、それはまあ……」

そう言われると、何も言い返せない。

「さて。これからどうしましょうか?情報交換でもします?」
「うん」

そして私たちは情報交換をした。

私が渡した情報は主にぼっちの集い関係。みんなが信用出来るいい人たちだと教えた。
タチバナさんから貰った情報は、タチバナさんが元々執事だったこと。そして……お嬢様を殺されたという重い過去。

「まさかタチバナさんにもVRCにハマった事情があるなんて……」
「はい♡一応これでも執事だった頃は、よく一流って言われてたんですけどね。今やただのぼっちメイドです」

メイドなのにぼっちって、何かすごい矛盾してる気がする……。

「まあ私自身がちょっと人間不信だから、仕方ないんですけどね」
「え?あまり人間不信には見えないけど……」
「それは――」

タチバナさんは、なんとも言えない複雑な表情でニッコリと笑って。

「――それは仔猫ちゃんの見た目が、お嬢様に少し似ていたからです♡」

さっきまでと同じ声色だけど。
そこには色々な感情が込められてる気がした。

「タチバナさん……」
「そんなにも悲しい顔しないでくださいな、仔猫ちゃん。可愛い顔が台無しですよ?」

――なで、なで。
タチバナさんが優しい手つきで私の頭を撫でる。

「ふふっ。昔はこうしてよくお嬢様のご機嫌を直していたものです。あの時は執事で、今はメイドですけどね♡」

暖かみのある微笑み。
今のタチバナさんは最初の――あのオナニーメイドとは思えないほど、優しいメイドだった。

「……コホン。出来るかわかりませんが、試してみますか」
「……?」
「仔猫ちゃんは可愛いから、私が守ってあげちゃいます♡」

ぎゅ♡
タチバナさんが私の体を抱き寄せて――謎の女の人の声が聞こえた。

「あれ、今の声って……?」
「ふふ♡驚きましたか?私です、タチバナです♡」

――タチバナさん、まさかの女声に覚醒。

「以前、女声講座で見た要領で試しにやってみましたが……意外と出来るものですね♡
今までは失敗が怖くてやらなかったですけど、仔猫ちゃんを見てると私も女声が出したくなりました……♡」

……もしかしたらタチバナさんが一流というのは、意外と間違いじゃないのかもしれない。
一流のタチバナさんというと……ちょっと別の人も思い浮かぶけど……。

「ふふ♡それにしても仔猫ちゃんの体、柔らかくて小さくて暖かいですね……♡」
「タ……タチバナさんも、暖かい……」

タチバナさんに抱き寄せられて……体温が伝わる。
柔らかな大きめの胸が私に当たって……少し恥ずかしい。

「顔が赤くなってますよ♡かわいい……♡」
「そ、そんなこと……」
「ふふ♡じゃあ、ミラーの前に行きましょうか♡」

タチバナさんに手を引っ張られて、鏡の前に移動する。
逆らうことなら出来たけど……私はあえて逆らわなかった。
タチバナさんが嬉しそうだったし……私もあまり悪い気分じゃなかったから……。

「ほら♡仔猫ちゃんの可愛いお顔が赤く染まって、もっと可愛くなっていますよ♡」
「そ、それは……」

たしかに私の顔は赤くなってる……。
そして今度はタチバナさんが座って、微笑んだ。

「私の膝の上に座ってください♡」
「うん……」

鏡を前でタチバナさんの膝の上に座る。
当たり前だけどミラーが私とタチバナさんを写す。タチバナさんは優しく微笑んで、頬をつんつんと触ってきた。

「仔猫ちゃんのロリほっぺた、柔らかくて可愛いですね♡」
「そ、そんなこと言われると……恥ずかしい……」

「そうやって恥ずかしがる姿も……すごく可愛いですよ、仔猫ちゃん♡」
「タ……タチバナさんはどうしてこんなことを……?」
「私も最初はこんなふうに可愛がるつもりはなかったのですが……仔猫ちゃんがお嬢様みたいに可愛かったので♡」

お嬢様。
タチバナが守れなかった、大切な人……。
二次元と三次元の違いがあるから、そこまで似てるはずじゃないけど……髪型や雰囲気が似てたのかもしれない。

でも、私は私だから。
タチバナには可哀想だけど……これだけは言わなきゃ。

「私は仔猫。その『お嬢様』じゃない……」
「それは……わかってますよ。仔猫ちゃんは仔猫ちゃんですからね」

タチバナさんの声が急に真面目なトーンになる。

「お嬢様の代わりはいない。そんなこと――私が誰よりも理解しています。
それでも私は……執事を解雇された後も、メイドとして誰かに仕えたいと願うようなダメなメイドなのです。
そうでも考えないと……苦しいんです……」

――それがタチバナさんの本音だった。
私は執事でも、メイドでもないからあまり深く理解は出来ない。……でも大切な人を失う苦しみは元カノで味わってるから、わかる。

タチバナさんと違って私はただ逃げただけで……そんな私なんかよりも、タチバナさんはよっぽど苦しいと思うけど……。

「ごめんなさい、タチバナさん……」
「大丈夫ですよ、仔猫ちゃん。もう少し……仔猫ちゃんのことを撫で続けても、いいですか?」
「うん」

それでタチバナさんの苦しみが和らぐかわからないけど……。断る理由もないから、頷いた。
タチバナさんは私を『お嬢様』の代替品じゃなくて、ちゃんと仔猫として見てくれてる。
それは嬉しいけど……タチバナさんの悲しみは、いつか埋まることがあるのかな……。

「ありがとうございます。仔猫ちゃんは本当に可愛くていい子ですね」

タチバナさんは嬉しそうに微笑んで、私の頭を撫でた。
優しくて、暖かみがある手つき。不思議と安心する。

「タチバナさん……。タチバナさんが私のことをちゃんと私として見てくれるなら。……私がタチバナさんのご主人様になってもいいよ」

「ふふ、可愛らしいご主人様ですね♡
でも仔猫ちゃんはご主人様というより、お嬢様という呼び方の方が似合うと思います」
「お嬢様だと、昔のお嬢様と被らない?」

「そうですね。だから仔猫ちゃんとは主従関係になっても、ずっと仔猫ちゃんと呼び続けます♡」
「それだと何か、主従感が薄いような……」

「呼び方なんて重要じゃないですよ。主従で大事なのは信頼と愛です♡」
「愛……!?」
「ふふっ♡愛というのは、冗談ですよ♡
……私が誰かとそうなるなんて、高望み過ぎますからね」

タチバナさんはたまにネガティブなことを言う。
きっとお嬢様を守れなかった一件で、自己嫌悪が多少あるのかもしれない……。

「タチバナさんなら、きっといつかそういう縁もあると思う……」
「優しい言葉をありがとうございます♡
でも、そうですね……。そういう縁があるなら、仔猫ちゃんみたいな可愛い子がいいです♡」
「……可愛いって、性格も?」

私の性格って、可愛いのかな?

「はい♡私は別に見た目だけで判断してるわけじゃないですからね。
仔猫ちゃんは内面も可愛いというか……好みです♡」

まさかそんなことを言われるとは思わなかった……。すこし、照れる。

「そうやって照れるところも、可愛いですよ♡」

タチバナさんは優しく微笑んで――私の頬にキスをした。
キス……っ!?

「この殺し合い、色々と危険が伴うと思いますけど――仔猫ちゃんは私が守りますね♡」
「あ、ありがとう……」
「はい♡メイドさんにお任せください♡」

タチバナさんはニッコリと笑顔で、後ろから私を抱き締めた。

――世界が平和でありますように。


【F-1・神社/一日目/深夜】
【仔猫】
[状態]:健康
[装備]:見上げた夜空の星座たちに誓うよ(カレイドスコープ)@創造武具
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める
1:とりあえずタチバナさんと一緒に居る
2:ぼっちの集いのみんなを探す
3:危険人物や快楽殺人者は倒す
[備考]

【タチバナ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:仔猫ちゃんは私が守ります♡メイドさんにお任せくださいっ!
1:仔猫ちゃん可愛い♡
2:仔猫ちゃん可愛い♡
3:愛?……そんな高望み、私には出来ないです
[備考]

施設紹介
神社
雪が降り積もってる神社。VRCのユーザーが大好きな鏡がいっぱい置いてある


前話 次話
008:水星魔性 投下順 010:凶人同士理解(わか)りあう
008:水星魔性 時系列順 010:凶人同士理解(わか)りあう

前話 登場人物 次話
GAME START 仔猫 アサルトリリィ -猫に寄りそう乙女の作法-
GAME START タチバナ アサルトリリィ -猫に寄りそう乙女の作法-


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