(まだ着かないのか…やっぱり這っている動きだと遅くなっちゃうか)
現在、虎尾茶子は何とか商店街に向かって這い続けている
結局怪我を治す為には商店街に行くしかないと考えたのだ
実は高級住宅街の方に行って、治療用具を貰うというのも考えた、神社も近いだろうとも考えた、だがその場合、無事である薬品や包帯を探すのに手間がかかると考えたのだ
その点、商店街の薬局なら治療出来る手段は多い、地震で壊れていたとしても壊れていない物も多くあるはず
そう考えて、商店街に行く事を決めていた途中であった。
パァン!!
…銃声が響いたのは
…もしかしたらアイツが追ってくる可能性はあるんじゃないかと思っていた
でもこんなに早く来るとは…本当に…
「…逃げ切れると思っていたのかぁ?」
あのクソジジィがこんなにも早く…!!
薩摩は遠藤を撃った後…ふと考えた
何故3人が自分の素晴らしい計画に賛同してくれなかったのかを
…まずそもそも『この計画に穴があるから』という思考になるんだったらそもそもこんな計画を立てないだろう
では次にどんな考えに至ったのか?それは
『同志が少なかったからだ』
この計画を言っているのは今の所、自分一人だけだ
先の三人との接触で異能には色々な物がある事が分かった、戦闘に使える物もあれば、気づくのが難しい異能もあると
そういう異能を持つ人もいる可能性がある以上、一人だけで盛大に演説をしても多くの人の心を動かす事は無理かもしれないと考えた
ならば他の人と共に演説したらどうだろうか?
ましてや自分の異能の力が分かっていない人が共に演説すれば同じような人も賛同することが出来るかもしれない
放送室に早く行きたかったが…演説の成功率を上げた方が、計画が実現する可能性は増す
そしてその為に誰を使うか?簡単だ、逃がしたあの女を使えばいい
あの女は愚かにも血を流しながら逃げていた…追跡する事は容易いだろう
…その結果である、今、彼女は背後を取られてしまっている
「…さて、君にも改めて聞いておこう、俺の理念に賛同して、協力してくれるよね?そうすれば今逃げた事を不問にして同志として共に行動しよう…断ったら犯罪者としてあの2人と同じ場所に行く覚悟をしとけよ?」
この選択を突き付けるのはさっきまでと同じだ、違うのはもしこれでNOと言った場合、足を撃ち抜いて、木刀を取り上げて強制連行するつもりだ。そして放送の際に頭に銃を突き付けて演説させる
(…最悪だ)
逃げる前と異能の把握と怪我の状況は残念ながら変化していない、つまり今でも勝てる相手ではない
オマケに、今の牽制の銃は左腿を少し掠めて…血が流れている、勿論これは偶然である、本当は木刀を弾き飛ばし武器を奪うつもりであったのが下手だったためには全く別の場所に銃弾が飛んで偶然掠めただけである。
だがそれでも当たったという事実は立ち向かうという想いの喪失を促すのは充分であった
だからと言って計画に賛同するつもりは0だ、こんないかれたジジィの計画に賛同したら自分まで同じ奴と思われる、そんなのはごめんだ
「…いいよ、殺せば?」
彼女は観念したのだ、あの2人と同じように自分が命を終わらされる事を覚悟した
だからこの一言は単なる負け惜しみにすぎない
「あたしの命でこのパンデミックが終わるなら上等だ」
…そのはずだった
「…は?」
今の声は…何だ?
豆鉄砲をくらったような声を上げていて…振り向いてみて様子を見たら
本当に唖然としていた…それと同時に銃口も震えていた
「まさか…!!お前が女王感染者…!?」
そうだと言えばもしかしたら逃がしてもらえる…いや
…笑えてきた、もしかしてこの男、このパンデミックについて一番重要な事を考えていなかったのか!!
「残念ながら…分からないっス…あ~でももしかしたらそうかもしれませんね?そうじゃないかもしれませんが…どうでしょうか?撃ってみれば分かるのでは?このパンデミックが終わるかもしれませんがねぇ~」
彼女はいざという時は賢い知力を発揮する事が出来るのが特徴だ、たとえ頭が朦朧としたとしても生き残る思いを胸にその特徴を生かしたゆさぶりを仕掛けた、その結果…薩摩はかつてない程動揺していた、先程までの調子に乗っていた顔が嘘のようである。
そう、彼は気づかされた、彼の計画の重要な欠陥を…そもそも欠陥だらけ?それはそうだが
女王感染者を守ってパンデミックを日本に広める…その為に邪魔者は残らず撃つ
だがその為には女王感染者を早く知らなければならなかったのだ
そうでもなければどんな邪魔者でも銃で正気感染者を殺す事なんて出来ない…パンデミックが終わってしまうからだ
…この欠陥の問題は薩摩の何よりも愉しみとしている銃を簡単に撃つことが女王感染者を知る事が出来るまでは出来なくなってしまう事である。だからこの欠陥は他の欠陥と違いすぐ気づくことが出来た、いや、気づかされてしまったのだ。
そして今この男はこの瞬間茶子を殺すことは出来なくなってしまった
…元々彼は元々茶子を殺すつもりはなかった、先程説明したように、連れていくつもりだったからだ
だがこの時点での一番の問題は自分の望む世界を作る事に対しての大きな障害を気づかされたことによる動揺であった
(…今しかないね)
八柳新陰流の使い手として運動をしてきた事、剣道をしてきた事は伊達ではない
今のあの男は唖然として…恐らく今の私がどんな行動をしても気づかれないかもしれない…剣道の経験がそう自分に告げていた
だとしたらブッ倒すか?…いや、唖然としていたのが目を覚めたらもしかしたら拘束する為に腕や足を撃たれる可能性はあるよね?
…この負わされた傷の分ぶちのめしてやりたかったけど仕方ない、逃げよう
…どれだけ長い時間、気を取られていたのか、彼にはもう分からない
ただ、気がついたら、目の前に虎尾茶子はいなかった
「クソ、クソクソクソクソクソォォォォ!!」
今思えば手足を撃って拘束するぐらいは出来るはずだった
だが自分は呆然としたまま見逃してしまっていた
これではここに来た時間が無駄になってしまっただけではないか
…だがその考えはすぐに一瞬で吹っ飛んだ
「チクショォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオ!!何でだよォォォォォォォォ!!」
銃を撃つのに制限がかかってしまうという事実に対する怒りで
「クソクソクソクソクソがぁぁぁぁ!!」
近くにいたゾンビを指の銃で撃ちまくりながら怒り狂う、狂い続ける
「ハァ…ハァ…ハァ…」
4体ぐらい撃ち殺した後にようやく冷静さを取り戻した
…こうなるともし放送をしたとして、それに反発する奴が現れたとしても…殺す事は出来なくなってしまった、つまり力による服従を促せなくなってしまった
そんな状況で本当に特殊部隊に勝てるのか、考えなければいけなくなってしまった
…そもそも団結した所で勝てるのかを考えていないあたり、まだ計画の成功は諦めていないようだ…
一刻も早く女王感染者を知る必要が出てきた、だがそれはどうやればいいのか、見当がつかない、研究所に行けば分かるのか?ならそちらへ早く行くべきなのか?…仮に行った所で知識がまるでない俺に本当に分かるのか?
となるとそれまで放送は後回しなのか?…だが女王感染者を知る事が出来るまでに何人生き残れるのか?少なくなってしまっていたら…勝てなくなってしまうんじゃないか?
そして何より
それまで俺はゾンビしか撃てないのか?
結局何も考えずに邪魔な奴を、ムカつく奴を、撃ちたい奴を撃ちまくる快感はこの状況でも味わえないのか?
薩摩はもう狂い叫ばなかった、叫び疲れたのだ
ただ、近くにいた6人くらいのゾンビは全員原型もない程にハチの巣になってしまっていた
…こうして有頂天になっていた者に与えられし女王感染者を知る事が出来るまでのロスタイム、果たしていつまで続くのだろうか?
【D-4/草原/1日目・早朝】
【
薩摩 圭介】
[状態]:左頬にダメージ。計画の実現が難しい事が分かった事と銃を簡単に撃てなくなってしまった事に対してイラつきが止まらない
[道具]:拳銃(予備弾多数)
[方針]
基本.銃を撃つ。明日に向かって撃ち続け…たかったが考えなければいけなくなってしまった。
1.結局考えて銃を撃たなきゃいけないのかクソォォォォォ!!
2.放送施設へと向かう?それとも
研究所へ向かう?そもそも研究所ってどこだ?
3.協力者は保護、それと同時に今直面している問題を解決できる方法も話し合いたい
4.放送によって全生存者に団結と合流を促し、村を包囲する特殊部隊に対する“異能を用いた徹底抗戦”を呼びかける(女王感染者を知った後にした方が良いのかを考えている)
5.それから包囲網の突破によって村外へとバイオハザードを拡大させ、最終的には「自己防衛のために銃を自由に撃てる世界」を生み出す。
6.それまではゾンビ、もしくは確実に女王感染者じゃない人(もしかしたら特殊部隊の奴等なら…)を撃ち続けて気晴らしをする
[備考]
※交番に村の巡査部長の射殺死体が転がっています。
※薩摩の計画は穴だらけですが、当人は至って本気のようです…が、少しだけ穴を認識しましたが、諦めるつもりは毛頭ありません。
※放送施設が今も正常に機能するかも不明です
「…ザマァみろって奴っす」
長い間唖然としていたな、あのジジイ…どんだけ自分の計画が成功するって思ってたんだ、本当トリガーハッピーだな、今頃どう行動するのか考えてるんだろうなと思うと笑える…が、それと同時に
「この事をもし早く言っていたら臼井くんも遠藤君も無事でいれたのかもしれないと思うと…申し訳なかったなぁ」
けっこう後悔したと同時に…その二人のうち何方かが女王感染者だったら良かったのにな、とも思った…そしてゾンビ達も恐らくより八つ当たりで撃たれてしまうんだろうなぁ…と思うと申し訳ない気持ちにもなってしまう
だが今の自分にそういう事を考えている時間はないと考えて…少しでも早く着く為に這って動く事をやめない事にした
その後茶子は、先程は逃げる事に夢中で思いつかなかったが、服などを破いて包帯にして出血を抑える事で血の跡をなくしながら歩き続けて…ついに目的地である商店街に辿り着けたのであった
「…さて、まずはケガを治すためにしっかりした包帯を買いに薬局いこっか、その次はカバン…それから食べ物も集めようかな」
…こうして危険な狂人から逃げきれた者に与えられし商店街に危険人物が入ってくるまでのフリータイム、果たしていつまで続くのだろうか?
【E-4/商店街の入り口/1日目・早朝】
【
虎尾 茶子】
[状態]:左肩損傷、左腿から少し出血←服で縛って抑えています
[道具]:木刀
[方針]
基本.ゾンビ化された人は戻したいが殺しはしたくない
1.まずは薬局で傷を治してから…今後を考えようかな、それから食事もしておこうかな
2.神社に行って犬山はすみやその家族を保護する、食べ物も持って行こうかな?
3.自分にも異能が?…戦闘に使えると嬉しいっスね
4.あのクソジジィ、ザマァないっス…ゾンビ達や遠藤君達には本当に申し訳ないなぁ…
[備考]
※自分の異能にはまだ気づいていません。
最終更新:2023年02月13日 22:22