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アリス3

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■アリス3


703 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/07/27(木) 14:16:24 [ .IDGnam. ]

だれかアリスといっしょの後日談書いてくれないかな…


704 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/07/27(木) 14:27:03 [ 889dF94o ]

いいだしっぺの法則ってのを知っているかい?


710 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/07/27(木) 22:55:02 [ bqIsA/Uk ]

>>703
後日談。


「なぁ」
「なに?」

結局、俺は幻想郷に住んでいる。
アリスと一つ屋根の下、という暮らしにはもう慣れた。
が、彼女達の「弾幕ごっこ」はどうも俺の範疇を超えている。
輝石で盾を形作ることは出来るようになったけどまだまだ。だから…。

「空が飛びたい」
「…空を飛びたい?」

アリスは椅子に深く座りなおして珈琲を一口。
カップを傾ける時に目を瞑る癖が本当に可愛らしい。

「駄目か?」
「う~ん…」
「無理か?」
「…無理ね」

そう。俺は魔法が使えない。
輝石はそれ自体が優れたマジックアイテムだから俺にも使えるそうだ。

「ほら、箒とか、どうよ?」
「…アレは日々の修練の賜物。
それに魔理沙の箒自体は何の魔力も持ってないわ。
形から入るとイメージしやすいから使っているだけよ」
「…むむ」
「貴方の輝石と同じ。想えば想うだけ強くなる」
「…箒に力は無いんじゃなかったか?」
「解ってるじゃない。箒は『イメージすること』を助ける為のシンボルね」
「…むむ」
「解ってないのが解りやすい」
「さっき『解ってるじゃない』って…」
「解ってるかどうかが解らないってことは、結局解ってないのよ」
「…むむ」

アリスは口元に指を添えて楽しそうに笑った。可愛いぜコンチクショウ。
こっちに来てからはずっと彼女にからかわれっぱなしだ。嫌じゃないが。

「ふふ、えっと…そう。空を飛ぶのよね」
「やっぱ無理かな?」
「無理な訳ないわ。ヤル気も十分だし、先生は優秀だし」
「お、お願いします先生」

わざとらしくテーブルに両手をついて頭を下げる。
見えないが、アリスが笑ったのが解る。そう…俺にはちゃんと解る。
ふとアリスの手が俺の頬に触れた。頭を上げると目の前に彼女の顔…。

「先生とキスできる?」
「……は?」

アリス先生、ちょっとお顔がマジですよ。
そういうお顔はかなりグッと来ますよ先生。
『してやったり』って表情が隠しきれてないですよ先生。
まぁ何が言いたいかって言うと急展開についていけないけどキスは出来るよせん

「んっ…」
「ぅをふ」

空を飛ぶってそういう意味ではなくてですね先生ちょっと姿勢が姿勢なんでなんか卑猥ですよ先生少しだけ珈琲の味と香りがしましたよ先生いつもより大人っぽく見えてどきどきですよ先生…。
―――――――
           (Y)
      ,,..-ー7" `ヽー- ..,,
    /,,.-ー'"´ ̄ ̄`゙ー-'、ヽ、  
   /'"i´ |l⌒ヽ、__,ノ´⌒l| ヽ '., 
   l:::,.ゝ '、r-、__!r-、__,r-i_ノ_,.イ l 
   ',::`γ´ ハ  λ ハ  ゝ r'"i
    ヽ;:i レイ._,.レハノ.,_レヽノ i::ン   
     ノレ´ .i.-─   ─-i.  |'    
      7 从"  ¬. ".从  i     ちょっと危うくなってきたから
     〈./ ri.>r---,.イレ'ヽ  〉   続きはスキマの向こうでやってね?
    __ハ/⌒iイヽニンYー'、 ハイ<{       全く、女の子に手玉に取られてどうするの…。
-=ニ ̄:::::ヽゝ、ノY  rー'-、ノ:::::::: ̄ニ=-
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ー'" ̄ ̄ ̄
―――――――


711 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/07/27(木) 23:15:39 [ bqIsA/Uk ]

―――――――
           (Y)
      ,,..-ー7" `ヽー- ..,,
    /,,.-ー'"´ ̄ ̄`゙ー-'、ヽ、  
   /'"i´ |l⌒ヽ、__,ノ´⌒l| ヽ '., 
   l:::,.ゝ '、r-、__!r-、__,r-i_ノ_,.イ l 
   ',::`γ´ ハ  λ ハ  ゝ r'"i
    ヽ;:i レイ._,.レハノ.,_レヽノ i::ン   
     ノレ´ .i.-─   ─-i.  |'    
      7 从"  ¬. ".从  i     あらごめんなさい。早とちりだったみたい。
     〈./ ri.>r---,.イレ'ヽ  〉   お姉さんったら少しだけ勘違いしちゃったわ。
    __ハ/⌒iイヽニンYー'、 ハイ<{       健全な続きをどうぞ~。
-=ニ ̄:::::ヽゝ、ノY  rー'-、ノ:::::::: ̄ニ=-
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ー'" ̄ ̄ ̄
―――――――

「んふ…んっ…、…ぷは」
「ふは…えっと…アリス?」
「…これで飛べるかしら?」
「えと、…まぁ」

いやそれはもう今すぐにでも桜花結界を突き抜けて春満開の冥界へと舞い上がれそうな気分です先生!!

「『悪魔の口づけ』よ」
「…え?」
「ほら」
「ううををを!!?」

アリスが促すように軽くあごを動かすと、俺の身体は急に少しだけ宙に浮かんだ。
驚いた俺は思わず頬に添えてあるままの彼女の手を握ってしまう。

「自分で動けそう?」
「いやっ、あの、そのっ、アリスっ?」
「ちょっとだけ私の魔力を貸したの。まっすぐまっすぐ」
「待て待て待て手を離さないでってばばばばば!!」
「大丈夫。決して落ちると思わないことよ。私を信じて、ね?」
「いやそれは勿論大丈夫ですけどこれはそのなんというか」
「理屈は後。貴方なら出来る。信じてるわ。それ、いち、にの、さんっ」
「おをーっ!?」

落ちる!と思っちゃいけない!浮け!浮く!浮いたッ!!
手をバタつかせれば落ちずに空中でバランスが取れる。
気が付けば椅子の背の上数十センチ離れたところに立ってるぜ…。
これは感動する。

「…どう?」
「とってもおどろいてびっくりです」
「上々ね。ゆっくり降りてこれる?」
「うぅ~むむむ」

少しずつ高度が下がる。アリスは立ち上がって俺に手を差し伸べてくれた。
背伸びしたアリスの手を握れるまであと十五センチ!十センチ!七センチ!

「よしっ!」
「うおっ!」

アリス は ジャンプ して おれ の て を つかんだ 。
しかし おれ は その て を つよく にぎり かえして ひっぱり あげる !

「ひゃぁ!」

久しぶりに聞いたアリスの可愛い悲鳴。
アリスは驚いて俺に抱きつこうとしたがギリギリのところで堪えた。

「っと」

もう片方の手も取ってアリスを俺と同じ高さまで優しくエスコートする。
ふはは!決まったぜ、完璧に決まった!今の俺はカッコいいぞ!

「すごいじゃない!…まぁ出来ると思ってたけど、さ」
「うわははは!俺とアリスの愛のパワーがあればこのくらい」
「浮いただけよ?」
「…ハッ!」

少しくらいノってきてくれてもいいじゃないかアリス。
それが悔しいから抱き寄せる。そして嬉しいから強く抱き締める。

「ひゃ…」
「俺、飛べるようになれるかな?」

立っている高さが同じでも、アリスのほうが頭ひとつ分低い。
目を合わせようとするとどうしても見上げられる形になる。

「キスだけじゃ無理ね…」
「へ?」
「形式だけだけど、これは一種の取引だから」
「…むむ?」
「魂と魂の契約。与え、捧げ、尽くし、尽くす」
「…解りやすく」
「そうね…そう。愛のパワー。本当に、そうよ」
「…そうなのか?」
「そう。だから…もっと」
「もっと、って…」
「大丈夫。信じて…」

アリスはそう言って、静かに目を瞑った。


4スレ目 >>703-704>>710-711

───────────────────────────────────────────────────────────

後日談が止まらない…。続きを投下だぜ。



「無理のし過ぎね」
「悪い…」

身体が重たい。けど頭はどこかふわふわしていてとっても変な感じだ。
俺は半日以上ぶっ続けで飛び回った挙句、倒れてアリスの介抱を受けている。

「…ううん。無理をさせたのは私よ」
「いや、そんなことは…」
「いいの。私の所為にしてゆっくり休んで頂戴」
「心配させてごめん…」
「ふふふ。何だか色っぽい」
「…色っぽい?」

ひんやりとした手が俺の額に触れる。指先がそのまま頬を伝い、手の甲が首筋に触れる。
アリスは曖昧に笑うと、俺の頭をくしゃくしゃと撫でた。どうしてか、少し嬉しそうだ。

「目病み女と風邪引き男、ってやつよ」
「…?」
「まだボーっとする?」
「少し…かなり」
「もう一晩ね…。ゆっくり休むこと」
「うん…」

頬にまたひやり、とアリスの手が触れる。アリスは屈み込んで俺の額に軽くキスをした。
落ち着く。彼女の優しさがゆっくりと身体に浸透するようだ。静かに意識が遠退いて…。




そして静かに目が覚めた。どのくらい寝ていただろう…。
身体は依然重たいまま。けど指先や腕は動くようになっているみたいだ。

「アリス?」
「…ん」

何の気なしに呼んだつもりが、俺の胸の上から返事が返ってきた。
…寝てる。可愛い。…身体は起こせないか。勿体無い。抱きしめられないじゃないか。

「…アリス?」
「…うん」

アリスはふっと満足そうに笑った。綺麗でしなやかな手は布団を軽く握っている。
俺の夢を見ているなら…、いや、そうでなくても、この幸せそうな眠り姫は起こすまい。

「ありがとうな…」

髪を撫でると、アリスは小さく悶えて喉を鳴らした。
蜂蜜に黄金を溶かしたような金色の髪。細く引かれた形のいい眉。
整った目鼻のライン、桜色に染まった頬、小さな薄い唇…。
もういつから彼女のことが好きだったのかは思い出せない。
あの森で出会う前は他人だったなんて、もう絶対信じられないな…。
…俺がアリスを守れるようになってやる。アリスがいつまでも俺を信じられるように。
そう思うと腹の底に暖かいものが湧いてくる。彼女のためになら、何でも出来る力が…。

「あぁっ!」
「おわっ」

と、不意にアリスが跳ね起きた。それはもう凄い勢いで。
勢いあまって椅子の背もたれに背中をぶつけ、そのまま身を固めて動かない。

「あ、…あれ?」
「…おはよう」
「あ…うん。おはよ…」

俺の顔を見てパチクリと瞬きをするアリス。急に手を伸ばしてぺたぺたと俺に触れた。
アリスはいろんな感情が入り混じった複雑な顔をしている。…夢の中で何があったんだ。

「…どうした」
「えっと、えと…」
「深呼吸深呼吸」

手を握ってやると、かなり強く握り返してきた。
アリスは俺の手を胸元に当てて、ゆっくりと息を吸って、大きく溜息をついた。

「何の夢を見たんだろ…」
「それは俺が聞きたい」
「凄い変な感じ…」

アリスは両手で、俺の手を何度も握ったり擦ったりしながらキョロキョロしている。

「大丈夫か?」
「……うん」

やっと目が合った。じー、っと、何かを探すように俺の目を覗き込んでくる。
握られた手の指でゆっくり手の甲を撫でてあげると、アリスが徐々に脱力するのがわかった。

「何があった?」
「…契約の副作用かな」
「それって?」
「○○が弱ってるからだよ…」
「俺のせい?」
「私のせい…」

どうも要領を得ない。俺の理解力が乏しいだけかもしれないが。

「大丈夫か?」

もう一度尋ねると、アリスはゆるゆると首を振った。

「待って…」
「待つさ」

また、アリスの手に力がこもる。きゅう、という音が聞こえてきそうだ。

「体、もう動く?」
「まだあんまり…」

と、思ったが、俺の身体は全く抵抗なく普通に起き上がった。
さっきまで腕がようやく動かせる程度だったのが嘘のようだ。
アリスは小さく溜息をついて、握っていた手の力を緩めた。
まだ理解が出来ていない俺の姿を見てやっと安心したらしい。…失礼だな。

「なるほどね」
「どういうことだ…?」
「さっき、私のこと強く意識した?」
「さっきって?」
「私が…起きた時、私のこと考えてた?」
「えっと…まぁ、はい」
「そう。…不思議なこともあるのね」
「…説明よろしく」
「私の魔力が貴方に流れ込んだのよ、きっと」
「…どうして?」
「早く元気になって、って私が願ったからかな」
「そこで俺が、アリスのことを強く想ったから?」
「きっと…私の力になりたい、とか、願ったんでしょう?」
「いや、…いや、そのまんまだな。当たってます」
「やっぱりね。よかったぁ…」

そう言うと、アリスは大きく背伸びをした。
手を握ったままだったせいで、俺は引っぱられて体が傾く。
危うくベッドから落ちそうになったところで、横っ腹にアリスが抱きついてきた。

「おぉぅ?」
「素敵…」

アリスは俺の胸に頭をぐりぐりと摺り寄せてくる。…よく解らないが幸せ。

「アリス?」
「何だか疲れちゃったわ」
「あ、そうか。魔力が…」
「いいのよ。そんな瑣末なこと」
「でもなぁ、結局アリスが…」

そうだ。アリスは俺のために自分の魔力を削った。
俺の方が遠慮してたはずなのに…。これじゃあ意味がないじゃないか。

「それじゃあ、ここで眠ってもいい?」

顔を上げたアリスの瞳は潤んでいた。そんなことでいいのか…。
何故かアリスはすこぶる嬉しそうなんだ。俺、何かしたかな?

「あぁ…それは勿論」
「手、握っててね」
「…おういえ」

こんなことでいいんだろうか。
毎度毎度迷惑をかけてばかり…。人間ってのは無力だな。

「はぁ…大好き…」

…まぁいいか。そんな瑣末なことは。
今は彼女の側にいてあげるだけだ。
この埋め合わせはいつか必ずするよ。




おやすみ、アリス。

4スレ目 >>738-739

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740 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/07/29(土) 15:32:43 [ Cb3GsBLE ]

問題:『文中でアリスが非常に喜んだ理由を簡潔に述べなさい』

すまぬ、アリスの頭の回転が速すぎてよく解らない可能性大。
というか解らないと思うので気になったら訊いてね…。ちゃんと答えます。
寝ぼけたり慌てたり弱ったりするアリスかぁいいよぅ!…ごめんなさい精進します。


741 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/07/29(土) 17:37:40 [ VATAaZm. ]

なに?それはつまり、
アリスが何がそんなに嬉しいのか判るように、
顔を真っ赤にして、わたわたしながらも語ってくれるのか!?
そ れ は す ご い ! (ひゅ~ん…)←人形


750 名前: 後日談2 - 3/2 投稿日: 2006/07/29(土) 23:32:26 [ Cb3GsBLE ]

>>741
「そのっ、ほら、『魂と魂の契約』って言ったでしょ? それのことよ。
 両者の魂同士の了解のうちに契約内で魔力の給与が行われたってこと。
 はぁ…、これくらい解って欲しいわ。二人とも、口に出して魔力の取引を宣言した訳じゃないでしょう?
 つまり、私たちの両方が心の底から同じことを同じように強く望んだ、って意味で…。
 何が嬉しかったかっていうとその…、貴方が私のことを想ってくれてるのは勿論だし、何より私が…、
 …あー! もう! 怒るわ! 解ってるくせに! これ以上言わせると本当に怒るわよ! 全く。…大バカ」


4スレ目 >>740-741>>750

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戦利品を抱え、鬱蒼とした森の中を歩く。
別に世の中を悲観して森の奥で…というワケではない。ある所に届けものをする為に、である。
やがて、森の中に静かに佇む小さな一軒家が見えてきた。見慣れた扉を開け中に入る。
「こんちわっす。今日は面白い物を仕入れてきたぞ」
「…あらいらっしゃい。見せて貰えるかしら」
声の主はアリス・マーガトロイド。この家に住む人形遣いで魔女である。
しかし今日はどうも表情が渋い。はてどうしたのやら、と思っていると奥から別の声。
「おぅお前さんか、お久し振り」
「やぁ魔理沙。お邪魔してたのか」
声の主は霧雨魔理沙、同じ森に住む白黒魔砲使い。おそらくまたアリス宅に強引に押し掛けてお茶でもせがみに来たんだろう。
とにかくこの二名が顔を合わせると大概何かが起きる。以前似たような状況になった時は弾幕ごっこが勃発し、とばっちりを受けて危うくMy魂魄が吹き飛ぶところだったことがある。
その時は幸いにも竹林に住む某医師が色々とヤバい治療(通称「ドクターえーりんの密室個人授業(はぁと」)をしてくれたお陰で、たった一つしかない魂魄を繋ぎ止めることができた。
生きてるって素晴らしい。ありがとう先生!ボク、頑張って生きてくよ!
…とまぁそんな凄惨な過去は二百由旬の彼方に放り投げ、持ち込んだ荷物を開き反物を取り上げる。
「なんでも、クモの糸を魔力を込めて織り上げたって話だ。クモの糸は頑強だから、人形の素地とかにはいいんじゃないかな、と思ってな」
…魔力の込められた布はそれ自体が優れた魔力媒体として機能する。
例えばグリモワール等といった魔導書の表紙が紙でなく布なのも、本を媒体に魔法を行使する時に色々便利だかららしい、という話を人づてに聞いた覚えがある。
「へぇ、それはまた珍しい物を持ってきたのね…そう、折角だからお茶でも飲んでいかないかしら?
さっき茶菓子にクッキーも焼いたし。取り引きはそれが終わってからにしましょ」
「…何だお前、私の時と違って随分気前が良いじゃないか…アレか?愛しのダーリンにはとことん優しく、ってか?」
「無断で手土産一つ持たず人ん家に上がり込むどこぞの野魔砲使いと違って、きっちり等価交換をしてくれる相手なら、物腰が柔らかくなるのは当然じゃなくって?」
「こりゃまた手厳しいことで…」
しれっと受け流すアリスに、これまたしれっと返す魔理沙。いやまぁ彼女のダンナになった、ってつもりはまだないんですが…
それでもちゃんとお茶を出している辺り、何だかんだ言って結構気前が良いのかも知れない。多分。
「それはともかくアリス、悪いがクッキーもうちっと焼いてくれないか?」
「…は?私3枚くらいしか口にしてないんだけど?」
「いや…な、美味しかったんで私が全部食べちまった」
ハハ…と笑う魔理沙。机の上には恐らくクッキーが入っていただろうと思われる丸皿が、まっさらな皿地を晒して置いてあった。
所々に残るクッキーの欠片が、かつてそれが入っていたということを証明している。
「・・・・・・・・・!」
一刻の後、素晴らしい高さからの踵落としが、白黒の脳天に炸裂した。




お茶と茶菓子を楽しんだ後、魔理沙は手にした魔導書を読み、自分は上海&蓬莱と遊び、アリスは台所でティーセットの片付けに取り掛かった。
魔理沙はまだ時々頭を押さえてはうんうん唸っている。先ほどの一撃が相当効いているらしい。そりゃあ「めきょっ」とか「ぐしゃっ」とか、そんな感じの音がしたからなぁ。
因みに今日は彼女お気に入りの淡い水色の柄だったのだが、それを口にすると自分も魔理沙と同じ目に遭いかねないので黙っておく。
一方自分はシャンホラと「忠吉さんごっこ」で遊んでいた。言葉は拙いものの、その挙動は人間のそれと殆んど変わりない。
以前あまりにも可愛かったのでちょっとイタズラをしようとしたら、そのことがアリスに漏れて手酷く吊し上げられたことがある。迂濶に手は出さないようにしよう。
アリスはエプロンを身に付け、カップを拭いている。棚に並んでいるカップの数から察するに、どうも片付けは粗方終わっているらしい。
…と、その後姿を眺めていると、自分の脳裏にある「悪戯」が浮かんできた。
自分がとても小さい頃友達同士でよくやっていたものだ。それが、今になって何故か頭の中にむくむくと現れてきたのだ。
腰掛けていたソファーを立ち、台所に入る。
「なぁ、アリスー」
「ん?何かしら」
呼び掛けに無防備に振り返ったアリス。今こそ好機!千載一遇のチャンス!!


ぺろん
「ぅひゃう!?」
振り返った彼女の頬を、ぺろっ、と舐めてやった。可愛らしい悲鳴を上げて目を丸くするアリス。あまりにも予想した通りの反応に、笑みが止まらない。
しかし「ぅひゃう」ですってなんて可愛らしい声だこと。それにあのびっくりした表情。それだけでもう自分結界越えて冥界まですっ飛んでしまいそうですようはうはうは…
…と、既に気持ちだけは既に彼方へ飛んでっていると…

れろっ
「ぅをっ!?」
自分の頬をなぞる異様な感触に、思わず間抜けな声が出る。
視線を正面にやると、そこには「してやったり」というアリスの表情が。
…その瞬間、自分の中の大切な「何か」が音を立てて崩れていった。




…それから後はもう目も当てられない状況になった。
元々自分もアリスも負けず嫌いなところがあったのかも知れない。こちらが舐めれば、アリスも舐め返す、子どもレベルの低次元な争いが果てしなく続いた。
童心に還る、と表せば聞こえは良いかも知れないが、これはその域を超えた、もはや「幼児退行」と言っても差し支えない程度である。
しかし…
「ふぁッ!」
「ひうッ!」
「んひッ!」
「みゃん!」
…頬を舌でなぞる度に上がるアリスの可愛らしい悲鳴に、自分の悪心が徐々に頭をもたげていく。
そして遂に我慢できなくなった俺は、頬を舐める…と見せかけて
「ひぁッ…!?」
彼女の唇をなぞった。さて反撃がくる、そう思ってすぐに身構える…が
「…あぁれ?」
…反撃がこない。不思議に思い目を向けると、驚いた表情のまま凍り付いているアリスの顔があった。
不意打ちを受けて思考が止まっている、そんな感じがした。…これはひょっとして…
もう一度、唇をなぞる
「んぁ…ッ」
先程とは違う、艶を帯びた声が漏れる。…と、彼女の顔が一気に朱に染まっていく。
「バ…ババババカバカバカバカバカバカァッッ!!なななんであんなことするのよおッ!びっくりしちゃったじゃない!」
「スマンスマンスマン!!俺の出来心だったんだ!許してくれ!本当にスマンかったッッ!!」
真っ赤になってまくし立てる彼女にこれまた凄い勢いで謝る自分。と、アリスはすっかり赤くなった顔を伏せて
「…恥ずかしかったんだから…」
と呟いた。その可愛らしさ、いじらしさ。
ぷちん
張詰めていた自分の中の何かが、音を立てて切れてゆく。アリスの肩を掴み、顔を近付ける。
「ちょ…や…やめてよ…恥ずかしいって言ってるでしょ…」
「やだ、やめない」
弱気な抵抗を無視し、再び唇をなぞる…と見せかけ、舌を口の中に差し込んだ。そのまま肩を引き寄せる。
「や…そんな顔近付けないんんっ!んむぅっ!」
驚いた表情のアリス。身体が硬直したその隙に舌を更に奥まで差し込む。驚いたのか、放心したのか、彼女は全く動かない。
それを良いことに、自由に口内を動き回り、隅々まで舐め上げてゆく。
「んむっ、んっ、んーっ…ぷはぁッ!」
「んはッ!はぁ…はぁっ…」
やがて息が切れ、二人の顔が離れた。たっぷりと空気を吸い込み、呼吸を整える。
「はぁっ、はぁっ、んはぁ…
…バカァ…」
まだ落ち着かないらしく息を切らせながら、そうなじるアリス。
「悪い…ちょっと、辛抱できなかった…」
「…駄目、許さない…」
「本当に済まない…」
「…いきなりで驚いちゃったから…何もできなかったでしょ…」
「…は?」
何もできない?一体何を…言葉の真意が解らない。そのまま時間だけが流れていく。
やがて、
「…もう、落ち着いたわ。…だから…」
そこまで言い、彼女は顔を上げた。
目が、合う。
「もう一度、やりなおして…」
細い腕が背中にまわる。
「…なんだ、結局最初からしたかったんじゃないか」
それに応えて腰を抱き寄せる。
「…我侭かしら?」
「いえいえ、我侭お嬢様の言うことは何でも聞き届けますよ」
「…何か、嫌な言い方ね」
二人してクスリと笑う。
「だから、もう一回さっきのを、ね…んっ」
再び合わさる、唇。
落ち着いた、と言っていた通り、今度はアリスも用意が出来ていたのか、積極的に舌を絡めてくる。
もっと触れ合いたい、その想いが腰に回した腕に更に力を入れさせる。
「ん…んむ…ちゅ…あむ…ぴちゃ…くちゅ…」
「あむ…ん…ちゅ…ふ…んぁ…ちゅく…」
…耳朶を打つ煽情的な音、同調していく互いの鼓動、理性を蕩けさせる甘い香り。
その全てが自分の感情を昂ぶらせ、衝動となって沸き上がっていく。
もう止まらない、止められない…


…どれくらいの時間が過ぎたのだろうか。
「ん…ぷはぁ!」
「んはっ!はぁ…」
唇が、離れた。つ…と銀の糸がかかり、細くなって消えてゆく。
「はぁ…これで満足か、お嬢様?」
返事の代わりに、アリスはぽふ、と顔を胸に埋めてきた。そのまま顔をぐりぐりと押し付ける。照れ隠しだろうか、その行動がなんとも可愛らしい。
「そっか…さて、悪いけど…」
「ん…?」
顔を上げるアリス。
「…悪いが、もう止められそうにないかも知れない…」
正直、今背中を押されたら転がり落ちていく、そうなるという確信があった。だから尋ねた。最後の堤になるかもという可能性を考えて。
彼女はまた顔を伏せた。沈黙が流れる。一刻の間を置き、再びアリスは顔を上げた。
「いい…わよ…」
受諾の意思。
最後の堤防が崩れた。全ての枷を外され、感情だけが奔り始める。
こちらを見つめる目に、感じる既視感。あの夜、初めて彼女を求めた時と同じ視線。その瞳が、昂ぶりを更に加速させる。
欲しい
アリスが欲しいアリスの身体が欲しいアリスの心が欲しいアリスの全てが欲しい
欲しい欲しい欲しい欲しいほしいほしいほしいホシイホシイ


すっ…と目が細められる、抱き締める腕に更に力が入る。
もはや、この目にはアリス以外映らない、そんな気がした。









「…楽しそうだな?」
その声が聞こえるまでは。








視界が、開けた。
「!?」「わひっ!?」
思わず悲鳴が上がる。因みにこの可愛らしい悲鳴は、残念ながら自分のものなので悪しからず。
世界が急速に広がっていった。
整然と並べられた食器、同じく綺麗に揃えられた調理器具、焼き物に使うのであろう小さな窯、見覚えのあるテーブル、椅子、そしてアリス…
彼女を抱いたまま、寝起きのような焦点の定まらない思考で、しばらく呆然としていた。
急速に思考が覚醒する。確かに声がかけられた。しかもそれは間違いなく第三者から。
しかしここには俺とアリス以外は居ない。しかも人形はあんなにはっきりと喋らない。じゃあ誰が?


ゆっくりと視線を向ける。その先には、
見覚えのある、
帽子を被った、
白黒の人物が立っていた。




「ちょ…な…ままま魔理沙!?どどどうしてアンタがここに居るのよ!?」
凄い勢いでどもるアリス。完全に混乱している。多分自分がどんな体勢になってるのかも分かってない。
「どうしてって…私は端っからここに居たつもりなんだが?」
…あぁそうだね、確かに自分がアリス宅に来た時、魔理沙は自分に挨拶してきたんだよね。
しかも一緒にお茶も飲んでたんだよね。そうだったよね。そうなのかー。わはー。
「しかしまぁ面白いもんを見せて貰ったぜ。人前であれだけのスキンシップができるたぁ、お前ら双方無茶苦茶入れ込んでるんだな」
カカカ、と笑う魔理沙。完全に凍り付く俺とアリス。因みにどこぞの⑨の悪戯ではない、念の為。
「その上それだけじゃ飽き足らずにアレか。これじゃあ、人が居ない時は毎日昼間っからエキサイトしてるんだろうな」
もう全く動けない俺とアリス。なお、某鬼の冥土長の仕業ではない、念の為。
と、魔理沙がニヤリと笑った。さながら新しい悪戯を考え付いた子どもか、或いは悪魔のように。
「これはもう…」
箒を片手に、入り口に向かう。
「…特派員として、逃すワケにゃいかんだろう?」
しゅたっ、と挨拶をして出ていく魔理沙。少しして、箒が飛び立っていく姿が窓から見えた。
「………」
「………」
未だに硬直しきりの二名(なお、体勢はあの時のまま)。と、突然胸の中にあった感覚が消える。
直後、何者かが叫びながら凄いスピードで外に飛び出していく。
「MaaaaaaaaaRiiiiiiiiiSaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!」
…何かどす黒いオーラが見えたような気がしたが、気の所為ということにしておこう。
そのまま一人ぽつねんと残されていると、不意に何者かに裾を引っ張られた。
「…ん?どうしたんだ?…」



その後、魔理沙からこの事実を聞いたどこぞの烏天狗により「実録!新婚バカップル(注・結婚してません)の蕩けるような昼下がり!」という記事が大々的にスッパ抜かれ、
(版権的にも)色々ヤバいオーラらしきものを纏ったアリスが夜叉の形相で烏天狗を追い回したとか、
事の一部始終を見ていたシャンホラに同じことをして欲しい(キスだけど)とせがまれたとか、
森の外れに黒一色になった(元)白黒魔法使いが、ボロ雑巾になって倒れていたとかあるのだが、
それはまた別の話。


実録!新婚バカップルの蕩けるような昼下がり(取材・霧雨特派員)

…現在幻想郷でも一、二を争うネタの宝庫として当誌が独自に取材を続けている、アリス・マーガトロイドさんとAさん。
この二名の呆れるほどに甘い新婚生活(注・結婚してません)が、霧雨魔理沙特派員の突撃取材によって明らかになった。
霧雨特派員によると、二人は特派員が目の前に居るにも関わらず(検閲)というスキンシップをとり、
更に特派員の目の前で(スキマ維持法抵触)という極めて大胆な行為に及んだという。
霧雨特派員は「人前でアレだから、もし人が居なければもっと凄いことをしてるんじゃねえの?」と話しており、
この場に特派員が居合わせなかった場合は更に(スキマ送り)と思われる。
いずれにしろ、(良質な記事確保の為にも)この二人の仲が続くことを願い、今後の動向に注目したい。
なお、当誌では「実録・バカップルの全て」と称し、この二名について随時特集を組んで紹介する予定である。


霧雨魔理沙特派員の話

いやぁ驚いたぜ、まさか目の前であれだけ大胆なことをするとは。
ありゃあ大体2~3分ぐらい…いや、もっと続けてたんじゃねぇの。
しかも普段はクールで私につっけんどんな態度しか取らないあいつが、だぞ。まぁアレだ、「ゾッコン」ってヤツか(笑)
他人が居てあのザマだ、これで誰も居ないときはそれはもう毎日のように(黒塗り)
今は夜だから間違い無いな…いや、今の二人には朝も昼も夜も関係無いか、ハハハ。
そうそう、この前もな、二人で茶を飲んでるときにな、冗談で首筋にキスマークが残ってるぞ、って言うと、
アイツ真っ赤になって鏡を覗き込むんだぜ。そこから思うに、私はあの二人はもう相当凄い関係になってると見てるがね


4スレ目 >>829(うpろだ0043)>>837

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多少の無理は承知の上。やっぱ俺って、不可能を可能に…!



くいくいっ。
ソファーに座って外界から落ちてきたという小説を読んでいると、何者かが服を引っ張ってきた。
「アノネー、『チュー』シテホシイー」
「はいはい」
…「あの一件」以来、事の一部始終を見ていた人形がキスをせがんでくる、という嬉しいような困ったようなことが起きていた。
多分この二体は、この行為が何を意味するのか、ということは解っていない。ちょっとした遊び程度に思っているのであろう。
とはいえ、飛び切り可愛らしい人形だ、別に悪い気がするわけでもない。
「で、どこにして欲しいのかな」
「ントネー、ココー」
そう言って右の頬を向ける上海。そかそか、それじゃあ…

ちゅっ

「…はい、これでよろしいでしょうか?」
「ウン!」
飛び切りの笑顔で答える上海。こちらもつられてほにゃっと表情を崩す。
と、左腕に何かがぶら下がる感触。
「ホライモ、ホライモー!」
「はいはい、ちょっと待って頂戴ね…」
それを見ていた蓬莱もせがんできた。傍から見ると大の大人が人形と戯れている光景にしか見えない。
もしこれが元居た世界で他人に見られたなら、即日「変態」のレッテルを貼られるだろう。
しかしそんなことは気にならない。実際目の前に居るこの人形は小動物的に可愛いのであるし、第一ここは元居た世界とは違う。
恥も外聞も気にする必要はないのだ。っていうのは大げさか?まぁとにかく…
「で、蓬莱はどうして欲しいのかな?」
「ントネー、ンー」
「うおっ…と」
返答は何かが唇に触れる感触。
「…っと、こりゃ一本取られたな…」
「ズルイー!ホライダケズゥルイー!!」
駄々っ子のようにパタパタ転がる上海。このままじゃケンカになってしまいそうだな…
子どものケンカ、程度のものならまだ御の字なんだろうが、何せ曰くつきの人形である、
下手をすれば流れ弾でこちらの命も危ない。となると手段は一つ。子供だまし、と言われればそれまでかも知れないが。
「はいはい、じゃあ上海にも同じことをしてあげる。これで一緒でしょ?」
「シャンハーイ!」
とたんに駄々っ子を止める上海。現金なものである。
さっきの蓬莱と同じように上海の小さな口にキスをした後、おあいこになるように今度は蓬莱の頬にも軽く口を付ける。
これで双方二回ずつ回数も箇所もイーブン、文句は言えまい。
「よし、これで二人とも一緒、だろ?」
「ウン!」「エヘー」
胸元に飛び込んできたシャンホラ。その頭を優しく撫でてやる。
あーもう可愛いったらありゃあしない。子どもができた親ってこんな感じなのかしら。
と、そんな感慨に浸っているとまたも袖を引っ張られる。振り返ると
「ンー」
ワタシニモシテーとせがんでいる、そんな表情の人形が居た。やれやれ仕方ないなぁ…
…って、あれ?
「………」
…見なかったことにしよう。今胸元で甘えている人形、この子らより2~3回りは大きい人形だった。
というか俺とそう変わらないスケールじゃね?つかそもそもアリス宅にそんなでっかい人形なんてなかった筈だし。
そうだ、アレは俺の幻覚だ、そうなんだよ、そういうことにしとこうぜロスター…
そう強引に納得し、視線を元に戻す。あー可愛いなぁ~お人形さん…


ガッ!!ギリギリギリギリ…
「あぁぁだだだだだだだだだ!!!!ちょ、痛い!ムッチャ痛いんですけどちょっとッ!!」
万力でも使われているのかと思えるくらい、有り得ない力で引き伸ばされる頬。
「…この子らにはすこぶる優しくて、私に対する仕打ちは『アレ』なのかしら…?」
ちょっとアリスさんすんごい笑顔ですよてゆかあまりにも作りものっぽくてむしろ怖いですよその笑み。
「いやいや妖夢!そんな暴力的だとするものもしたくなくなあぁぁだだだだだだだだ割れる割れる割れる!!!!」
「何かしらぁ~?よく聞こえませんでしたわぁ~??」
「ヒギィィィィィィィィィィィッッッ!!!!」
追加注文でアイアンクローも頂戴し、意識が落ちるか否かの境界で徹底的に嬲られる俺。
そんな(さっきまでは)まったりと過ぎてゆく休日の午後。…あ、スズラン畑が見えら…
ついに意識を手放した俺が最後に挙げた断末魔は…
「コ、コンパロ~…」

4スレ目 >>847
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