「おい、○○。起きろ、朝だぞ」
ゆさゆさと揺さぶられる感覚。
「んー……あと5分だけお願いします」
「……」
「あと…5…f…Zzz……」
「あくまでも起きないつもりか。ならば……」
頭を両手で包まれる感触。
撫でるような力加減に眠り心地も最高潮。
しかし甘かった。
俺はコイツの特技を、すっかり忘れていたんだ。
「てい」
ごす、という音と共に額に襲い来る激痛。
お星様が見えたのは気のせいじゃない。
「ッ!!!!」
「起きたか。そろそろ朝御飯の支度も仕上がる。
着替えたら来るといい」
涙目で額を抑えている俺とは対称的に、慧音の顔は涼やかなまま。
くるりと踵を返すと、彼女はそのまま台所へと向かっていった。
まだ少しジンジンと痛む額をさすりながら思う。
里の寺子屋では宿題を忘れる子どもたちには正義の鉄額が見舞われるという噂だが。
……正直あの威力は勘弁願いたい。
枕元に置いてあった懐中時計を開けて時間を確認する。
……嗚呼、結構ギリギリじゃないか。
意識を一息で切り替え、仕事着に手を伸ばす。
冬の冷え込みも本格化しつつある今日この頃。
本当なら布団の中でゴロゴロしていたいのだが、そんな事をやった日にはこの家から追い出されかねない。
いそいそと着替えを済ませ、井戸水をくみ上げて顔を洗う。
凍りつくような冷たさが、僅かに残っていた眠気をキレイに消し去ってくれた。
手ぬぐいで水気を拭いながら、居間へと歩き出す。
程無くして味噌汁や焼き魚等といった典型的な朝ごはんの匂いが漂ってきた。
ちらりと台所を覗けば彼女が鼻歌交じりで味噌汁の味見をしている。
普段のお堅いイメージとは随分かけ離れたものではあるのだが……
(多分知ってるのは俺だけなんだよなー……)
もうちょっと愛想よくすれば男衆からは絶大な支持を得られるだろうに、という所まで考えて
(ああ、でもそうすると独り占めできねーや。却下)
思い浮かんだ情景を手で振り払う。
ご丁寧に毎朝玄関に放り投げこまれている(どこから入れに来るんだろうか)新聞を開きつつ、ご飯の完成を待つ。
「何々……今日は外界では"クリスマスイブ"とよばれる聖夜であり……」
ゴシップ感溢れる新聞から要点だけ抜き出すと
・今日は年に一度の特別な日(の前夜)
・本来はどこかの国の聖人様がどうたら
・今となっては恋人たちの祝宴の日だったり
・子どもたちには赤い洋服を着たサンタさんが贈り物を
・特別な人にプレゼントなどいかがでしょうか
・取材情報は私、射命丸 文まで。
……ということらしい。
「……はぁ」
溜息と共に新聞を閉じる。
何を隠そう、このクリスマスという知識を持ち出したのは俺だからだ。
スキマ妖怪の紫に頼んで一度外界をブラついた時……確か十年くらい前のこの時期だったか。
やたらと華やいだ祭のような雰囲気が気になり、外界の蔵書を読み漁り……
「持ち帰った知識をあの烏天狗に教えるべきではなかったかな」
もう一度、溜息をつく。
本来あのブン屋にはそういった大衆的な事の他にも、クリスマスの歴史や伝承なども伝えていたハズなのだが。
ここはもうさすが、と感心する所なんだろうか?
「どうした、朝から疲れた顔をして」
そうこうしている内に、鍋やら櫃を台車に載せて慧音がやってきた。
「ああ……アレみりゃわかるよ。俺の数少ない汚点かな」
苦笑いをしながらよそわれた茶碗を受け取り、顎をしゃくる。
新聞のめぼしい場所は読み漁ってしまったので慧音の所に放ってある。
「クリスマス……か。確か下界の聖人の生誕日だったか?」
「さすがだな。昔一度話しただけだったハズだが」
「私を甘く見ないでくれ……というのは冗談だがな。
紅魔館の連中はお前が伝聞するよりも前から似たような事をやっていたよ。
もっとも、昨今持て囃されるようなものではなく、随分と厳かなものだったが」
「へぇ……確かあそこの領主は外界の貴族の血を引いてるとかって話だしなぁ。それの繋がりかね」
「ま、それはさておき、メシだメシ」
「ああ、そうだな。教える側が遅刻するようでは面目が立たんぞ、○○」
「わーってるよ……いただきます」
「いただきます」
「……となるから、この掛算を使うわけだ。わかったかー?」
「はーい!」
「それじゃあ、こことここと……この問題やっとけ。
解けた奴は休憩しててよし。ただし、あんまり騒ぐなよ?」
生徒たちに課題を適当に与えた後、廊下に出る。
少し前から、"その日の最後の授業"を俺が受け持つことになっていた。
それを知ってか知らずか、子供達は比較的真面目に取り込んでくれている。
「慧音ー、そろそろ終わりにするから帰る支度を……」
カラカラ、と控え室の戸を開け「うわっ!?」
……見なかったことにしよう。
カラカラ、と戸を閉めようと「待て、待ってくれ!」
控え室に強引に連れ込まれた。
「……で」
「……」
「これは一体どういう了見なのかな慧音さん」
「こ、これは……クリスマスだし」
控え室のイスに座って一対一で面と向かって座る。嗚呼、何だか尋問みたいだ。
俺の目の前でしおらしくなっている慧音は……何故か真っ赤な服にヒゲと帽子をつけていた。
まさか慧音がこんなマネをするとは思ってもみなかった。
「……その、子供達が、喜ぶと思って……」
恥ずかしそうに俯いたまま、指をもじもじとする慧音。
「そういうことなら俺にも少しくらい相談をしてくれたっていいじゃないか」
俺だって教師の一人なんだぞ、と頬を膨らませる。
「す、すまない。話そうとは思っていたのだが……○○はこんな格好をするの、嫌だと思ってな」
「ああ……なんだ。そういう事か」
確かに俺はそういう面倒事は嫌いだが……
「子供達の為ならやぶさかではない。……ということで」
「何だ?」
「その服一式を寄越せ。俺も着る」
「ほ、本当か!?」
「男に二言はないんだぜ?」
「そうか……よし、待ってろ。もしもの事を思って二人分用意して……」
いそいそと荷物を漁る慧音の顔は、とても嬉しそうだった。
「それじゃ、いくぞ」
「ああ」
子供達のいる教室への戸を勢いよく開ける。
「いい子にしているかな!? 子供達」
「おじさん……誰?」
「私かい? 私は"サンタクロース"というんだ。
いい子にしている子供達に年に一度、プレゼントをあげているんだよ」
……ちなみに喋っているのは俺。声色を変えてしまえばどうとでもなるものである。
さすがに慧音が声を変えてもバレるので、彼女は俺の後ろで黙っている。
「プレゼント?」
「そうさ。今日は頑張って勉強している君たちにプレゼントだ。ほれ」
慧音があらかじめ用意していた袋から、菓子の詰まった小袋を取り出す。
子供達一人一人に手渡しをしていく。
反応はそれぞれ異なるが、皆嬉しそうだ。
「ありがとう、サンタさん!」
「ほっほ。これからもいい子でいるんだぞ?」
「はーい!」
「それから、○○先生と慧音先生からの伝言だ。
今日はもう終わりにしていいとさ。気をつけて帰るようにな」
「いいの!?」
「ああ。また明日、だそうだ」
わー、と歓声を上げながら、出ていく子供達を見送る。
両手には大事そうに小袋を抱えていた。
「……行ったみたいだな」
「そうだな。でも良かったのか? まだ授業も途中だったろうに」
「構わないさ。これくらいなら明日にでも取り戻せる」
「それならいいのだが……と、そうだ」
控え室に戻り、更に荷物をごそごそと漁る慧音。
「コレは○○の分だ」
ふわ、と首にかけられたモノ。
もこもこしていて、あたたかい。
「マフラー……か。これ、お前が?」
「何だ、私が編み物をするのは意外か?」
「いや、ありがとう、大事に使わせて貰うよ。しかし……困ったな」
「どうした?」
「折角いいものを貰ったのに、俺からお前に渡すものが……」
「渡すものが?」
「ないわけでも、ない」
右手にいつも嵌めていた指輪を、外す。
「それは……」
「指輪だよ」
「大事なモノなんじゃないのか?」
「大事だよ……だからこそ、意味があるのさ」
かちり、と音を立てて、二つに分離した。
「これ、俺の両親が使っていた結婚指輪なんだ。
ちょっと古びているのがアレだが……片方は、お前に嵌めてほしい」
す、と慧音に差し出す。
「え……」
予想外だったのか、困惑気味の顔。
「駄目か?」
「とんでもない! ……その、私なんかで、いいのか?」
「ああ。慧音だからこそ、受け取ってもらいたい」
「…本当に?」
「……まったく」
まだうろたえ気味の慧音の身体を抱きよせ、唇を重ねる。
驚きに目を見開き、顔を赤く染めながらも、彼女は抵抗をしなかった。
「んっ……」
「……これでもまだ、不安かな?」
「い、いや。ただ……もう少し、私を後押しさせる言葉をくれないか」
「……一緒に居て欲しい」
「まだ足りないよ」
「好きだ」
「まだだ」
「……愛してる」
「私もだ……」
再び、口づけを交わす。
「不束者だが……よろしくお願いするよ、○○」
11スレ目>483
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「○○、起きろ、朝だぞ。」
聞き慣れた声に反応して目をあけると、そこには
既に着替えを終えた慧音が、布団の横に座る形で
こちらを見下ろしている。
「ん……おはよ。」
寝起きで動かすのも億劫だったその口でなんとか答える。、
「おはよう。」
慧音は笑顔で答えてくれる。
が
「………Zzz」
再度夢の中にダイヴする俺。(現在の心境→ 睡眠欲>けーねスマイル)
「この状況で二度寝するな!」
先ほどまでの極上スマイルから一変、
否応なしに布団を引っぺがされ、起床を余儀なくされてしまった
そんな朝
「疲れが抜けていないのか?」
寺子屋に慧音を送る道中、そんな事を聞かれる。
「…分かる?」
「ああ。目の下にカラスよろしく黒いクマができているし、足取り
もおぼつかない。さらにあくびを1分間に6回も連発されれば、分から
ない方がおかしいだろ。」
誇張表現が目立ったが、とりあえず俺はそこまでひどい様のようだ
「寝ているときのいびきもすごい音量だ。近所迷惑になるんじゃ
ないかと思えるぞ。」
「なぁに、ギシアン時の慧音の嬌声の音量には勝てんよ。」
「っ/////!!」
頭突きをくらって俺の脳はすっかり覚醒した。
そして慧音は俺を置いて、すたすたと足早に寺子屋に行ってしまった
俺も仕事場に行こう……
ちなみに俺の仕事場は力が全てを物語る場所で、常時ガタイのいい
あんちゃん達でいっぱいである。
元々運動神経が鈍く部屋からほとんど出ない俺は、3日坊主どころか
3分で逃げ出したくなった程だ。
その代わりに給金は高い。里の中で数ある仕事の中でも、上位に入る
くらいの収入が得られる。
なぜそんな場所で働くことにしたかというと、だ。
「よ、お疲れ。」
仕事が終わって寺子屋から出てきた慧音に声をかける。
「先に帰っていてもよかったのに。」
今朝の事をひきずっているのか、いつもと違ってそっけない
「そう言うなって。ところでさ、ちょっと付き合ってくれよ」
「……?」
不審な顔をしつつも俺に着いてきてくれる慧音。徹頭徹尾ご立腹
というわけでもなさそうだ
俺は慧音を人通りの少ない裏路地に連れて行く
「何故わざわざこんな人通りの少ない所で?」
慧音は平常を保とうとしている。が、動揺しているのは手に取るように
分かる。まぁ、これからすることを考えたら無理も無いか。
「人に見られたら恥ずかしいからな。」
慧音は小声で「な…まぁ…○○がどうしてもというなら…////」
とか言っているように聞こえたが、無視してポケットから箱を
取り出す。
「ん。」
そして渡す
「私に…?」
慧音は中の指輪を見て驚く。そして、これ以上の幸福があるのか
ってくらいに喜んでくれた
あんなむさ苦しいところで働き始めたのは……
慧音の誕生日にプロポーズするためさ
10スレ目>>474
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○○さんの事好きですよね?
「あはは、やっぱり皆にはお見通しと言うわけか」
あれだけ露骨だと誰でも解ると思いますよ・・・当事者を除けば
「いやぁ、それは恥ずかしいな、少し自重しよう」
告白をして恋仲に成ろうとかは考えないのですか?
「確かに彼なら、好きでなくとも断る理由が無ければそういう関係にはなってくれるだろう、だがそれでは意味が無い」
と、言いますと?
「むしろ彼が私に惚れるぐらいではないと意味が無い、私は彼に夢中だからな、見事なまでの両想いが達成されるわけだ」
ではその思いを伝える予定はないと
「私からは、な・・・彼から言ってくれば私もだ、と応えるつもりだよ」
待ち続ける、という事ですか
「いや、待つと言うより無理矢理待ち合わせまでこじつけると言うか・・・惚れてくれるのを待つのではなく惚れさせるのだからな」
その間に他の女性に取られたらどうするつもりですか?
「それは私に魅力がないということだ・・・諦めるしかないのだろう」
結構あっさりですね
上白沢慧音さんの事好きですよね?
「ああ、その通り、俺は慧音を愛してる」
その想いを伝えるつもりはないのですか?
「今のところ無いな、慧音の方から恋仲になりたいというような告白があれば喜んで応じるが」
つまりいつまでも受身の姿勢で待つと?
「ああ、アイツが俺に惚れて向こうから告白してくるのを待つさ」
・・・ホントに似たもの同士というか・・・同類ですね
「ん?何の話だ?」
話を戻しますが、慧音から告白してくれば見事なまでに両想い達成されるとか考えてます?
「おお、お前サトリか何かか?まさにそうだよ、いや恥ずかしいなこりゃ」
そうですか・・・最後に一つ、○○さんは断る理由が無ければ女性を拒まないと聞きましたが
「あー・・・確かにそうだ、断る理由が無ければな」
ではここで私が貴方を求めたとして・・・応えてくれますか?
「うむむ・・・残念だが、今の俺には断る理由ができてしまっている」
慧音さんですか・・・
「ああ、今はあいつの事以外は考えられないからなぁ」
そうですか・・・それでは取材にご協力いただきありがとうございました
「おお、気を付けて帰れよ天狗娘」
後日この事が記事になるのだがそれはまた別の話
11スレ目>>263
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12月26日
外の世界ではクリスマスの後日。
しかし元々和色が強い(と思ってる)幻想郷ではクリスマスなんてどこ吹く風。
一部ではずいぶん騒がしかったり荒れたりしていそうではあったが俺の回りもどこ吹く風。
……だと思う。俺だけ集まりに呼ばれてないわけではないと思う。
みんな正月の方に力入れるんだろ、きっと。
そんなことを考えながら日課の乾布摩擦。
あばばばば、寒い。
体も心も。
「本当は俺以外の里の方々で宴会でもしてたんだったりしてー」
ゴシゴシ
「まじで」
ゴシゴシゴシ
「うそだと言ってよ、ブアァーヌィー!」
ゴシゴシゴシゴシ
「バーニィ誰やねん」
ゴシゴシゴシゴシゴシ
「あぁ、もう、あまりの寒さと寂しさに一人二役なんてやってしまった。
こんなのだから俺って避けられてる(気がする)んだよ、俺のバカ!バカ!」
「おはよう○○、楽しそうだな」
はっ、この声は!
独り言を言ってる間に接近しているのに気づかなかったとは、不覚。
振り向きざまに気をつけの姿勢、そしてお辞儀
「おはようございます!きゃいっ、上白沢先生!」
噛んだ。
「今日も精が出るな、元気でよろしい」
「ありがとうございます!いってらっしゃいませ!」
……あぁ、今日も先生とお話しちゃったぁ♪
何を隠そう乾布摩擦を始めた理由はこんな邪な理由なんだよぉー!
家の前に出て乾布摩擦をしていれば寺小屋に行く先生の進行ルート上に重なるわけだ。
我ながら完璧な作戦だ。
「あぁ、幸せってこういうのかぁ」
「いやいや、違うよ、それを感じるのは速すぎるよ音速とかそんなレベルじゃないよ」
「いやいやいや、俺は今幻想郷で一番しあわ…せぶしゅっ!」
一人ごちてる間に大分体が冷えてしまったようだ。
今日はもう先生も通り過ぎたことだし、また布団に入って寝ちゃえ。
思うが速いかすでに俺の体は家の中、寝室に向かってスキップ。
脱ぐ必要はないけど布団にルパンダーイブ!
「ほあああ!バカ、冷たい!」
すっかり自分の体温も抜け、冷え切った布団からあっという間に出てくる。
うぅ、外より布団の中に入るほうが寒いとは思わなかった。
もう今日はいいや、すっかり目が覚めてしまった。
そうだな、日も昇りきった頃に出かけようか。
里の人に先生と会話したことを自慢しに行くのだニョホホホ。
11スレ目>>516
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慧音先生と個人授業
先生は分からなくなったとき詳しく教えてくれるけど
それ以外のときは後ろに立って勉強姿を見ている
あぁ、先生に見られてる、ハァハァ
そんな時、答えの間違いを指摘され後ろから
慧音「ん、ここは違うぞ。」
その時、先生の豊満な胸が私の顔のすぐ隣に…
先生は問題の説明に夢中
そ~っと、手を伸ばす。
指先が胸の先端に軽く触れた瞬間
慧音「お、お前!何やってるんだ、勉強中だぞ!」
顔を紅く染めながら怒っている先生、かぁぃぃ。
慧音「悪い子にはお仕置きだ!尻を出せ!」
え?まさか、掘ってくれるの?
うっほほ~い。やったぁぁ。
と、思ったら
慧音「悪い子にはお尻ぺんぺんだ!」
そ、そんなぁ。掘ってもらえると思ったのにぃ。
パ~ン、パ~ン・・・
「せ、先生、こんなの嫌です。」
慧音「嫌じゃない!勉強中に変なことしようとした罰だ!」
「ち、違うんです。私…は。」
慧音「何が違うと言うんだ?」
「わた、私は、先生に、ほ、掘って、ほ、ほ、」
慧音「何だ?ハッキリ言ってみろ。」
「わ、私は先生に…ほ、掘って…もらいたい…。」
先生の手が止まった
慧音「え…あ…お、お前、な、な、ん、あ…。」
顔が真っ赤になって言葉につまってる。
慧音「‥‥‥ん、ん~…。」
後ろを向いて落ち着こうとしてるが目に見えて余計に慌てている
慧音「ん…う、お、お前の気持ちも、わ、分からんで…も、って私は何を言ってるんだぁ!
あ、うぅ、そ、それに、今日は、まん、満月じゃ、って、あわわわわわぁ…。」
そうとうパニックになってる。
慧音「お、落ち着け、落ち着け、せ…せいと、生徒の前では、生徒としての、あぁ違うぅ。
せ、先生としての門限…じゃなくて威厳を見せ付け…は言いすぎか、見せなくては。」
慧音「と、とにかくだ。今日の、べ、勉強は、あ…う…お、終わりだ!
つ、次は、満月、満月満月。満月の日にでも、あ、う、う、う、うわああぁぁん。教師失格だぁぁ!」
泣きながら帰ってしまった…。
あぁ、掘ってもらえなかったけど
あんな先生もかあぃぃなぁ。
次はちゃんと満月の日に教えてもらわないとね。
11スレ目>>597
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○「慧音、俺の為に、毎日味噌汁を作ってはくれないだろうか?」
慧「……馬鹿者。味噌汁などとうの昔から毎日作ってやっているだろうに」
○「ああ、それもそうか。それじゃあちょっと訂正だな。
共に生きるという歴史を、慧音と作っていきたい。これまでも、これからも、ずっとだ」
11スレ目>>667
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「好きだ」と言うことは実に容易い事だと思うんだ。
”友愛”と取れるからね。人間は往々にして大事な局面でさえも、
こうした打算を無意識下でしていることが多いんだ。本人さえ気づかぬ内に、ね。
「愛している」「ありがとう」という言葉も、心さえ込めていなければ気軽に言える。
ただ、その二つの言葉を、本心から面と向かって伝えるのは、
とても難しく……そして勇気がいることなんだ。
だから敢えて、今ここで言うよ。
慧音、君の事を愛している。
今までありがとう。そして、これからもよろしく。
11スレ目>>999
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1000への掛け橋を俺と埋めよう、慧音
12スレ目>>999
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「はら・・・へったorz」
そもそも財布さえ落さなければこんな状況にはならなかったんだ
しかも家と倉庫の鍵まで入ってる財布・・・釣り道具すら手に入らない
嗚呼、流石に山に入って木の実を拾うのも限界だよなぁ・・・
「チクショウ、こんなことなら知り合いの一人や二人作っとくんだった」
地面に跪いて今までの後悔やらざんげやら、これからどうしようかと言う脳内会議を頑張っていると
「おっさんがへんなことしてるー」
「小銭でも落としたんじゃねーの?」
「ちげーよ、彼女に振られて落ち込んでるんだよー」
何処からとも泣く子供の大群が現れ、一定の距離を保ちつつ俺をおちょくってきやがる
まぁそこの所俺は大人なので冷静に、気にも留めないわけだがね
「きっと「この豚めを踏んでください!!」とか言ったんだなー」
「そりゃふられるよねー」
「くそがきゃぁぁぁぁ黙って聞いてりゃ調子に乗りやがって!!俺は資本主義の豚か?ああ?」
「きゃーっ!おじさんがキレたー!」
「おい其処のガキ、残念ながら俺には振られるような女どころか顔見知りの人間すらいないんだよ糞ッ!いや、俺だって好きで引きこもってたわけじゃねぇんだぞ!
ちまちまと地味な仕事して!魚とって食いつないで!やっと俺もこのワケワカラン世界になじめたかなーとか思った矢先に財布落としてこの有様だ、わかるかコラ
外もここも!結局は金かチクショウ!外だったら日払いのバイトして何とかなったかもしらねーのによ、嗚呼、何で俺はこんな所で空腹に苦しんでいるのだろうか」
いつの間にかガキどもはひとりも居ない、ああ、また一人ぼっちか
話したら余計腹減った、糞、やっぱりいいことなんか何もないじゃ無いか
「成☆敗!」
ごずっ!
前頭部に激しい痛み、突然の出来事に瞬間的にパニックになる
しかし至近距離前方に姿を確認した瞬間、反射的に飛びのいた
ぶぉんと風を切る音がした、頭突き?
ちょっとまて、頭突きで風きり音ってどういうことだよおいおい
「貴様が不審者か、成程・・・見るからに悪人面だ」
「うるせぇ!生まれつきこんな顔なんだよっ!」
「・・・そんな顔の赤ん坊は怖いぞ?」
「ああそうだね!俺も今そう思ったよ!」
俺の目の前にいる、女性
薄い青の長い髪が、ふわりと風に舞っている
既に向こうは構えている
やるつもりらしい
正直頭突きは勘弁願いたい、だがどう見ても細身の女
其処まで強そうには見えんが・・・
素早い踏み込み、そしてジャブ
だが俺はちゃんと見ている
まずジャブをサイドにかわして―
首の横を過ぎたはずの拳、だがそれは違う
左肩を引っ張られる感覚、そう、既に肩をつかまれた
「なっ!?」
拳打ではない、それは肩を掴む為の偽装
「しまっ」
また頭突きか!?
目をつぶって衝撃に備えたのがいけなかった、俺は目を開いているべきだったのだ
腹部を貫いたのは、彼女の膝
腹が減りすぎて腹が痛いのだ、其処に膝蹴り・・・もう死ねるぜ、これは
踏鞴を踏みつつ、彼女との距離をとった
どう見ても細身の(ry
ああ、けしからん乳だ
よく見れば実にケシカラン乳がステップを踏むたびに揺れ(ry
嗚呼、何でか知らんが余計に腹が減った
俺をどう見れば不審者に見えるんだって話だ
長身イケメンまっちょー、三拍子揃って文句のつけようもないじゃ無いか
「・・・君、大丈夫か?」
「大丈夫なわけねぇだろ馬鹿女、こっちの言い分も聞かずにいきなり膝蹴りかますとはいい感じに頭いかれてんのか?」
「随分口が悪い奴だな、そういう口の悪さが誤解を生む原因でもあるんじゃないか?」
おいおい、俺に非があるってのか?だいたいなんだこの女は、いきなり出てきて頭突き膝蹴り説教
そもそも俺は何でこんなことしてるんだ?何でこんなにいらいらしてるんだっけ?
「おい、顔色が悪いぞ?大丈夫か?」
だから大丈夫じゃないって言ってんだろ、ああそうだった、俺お腹減ってるんだった
「なぁあんた、今までの事全部水に流して仲良くしようじゃ無いか、俺は腹が減ってしょうがないんだ」
「・・・まぁ・・・うん、一食ぐらいでいいなら、昼餉の残りぐらいはあるかも知れないが」
「何でもいい、出来れば米とかそういったものが食いたい、栄養価が高そうで腹にたまるもの」
「・・・解った、ついて来てくれ」
ホイホイついてきてよかったのかい?私はノンケだって構わずに食っちまうような女なんだぜ?
「おい、大丈夫か!?しっかりしろ!?」
「はっ!??・・・夢か」
「飯を食いながら夢が見れるのか、器用な奴だな」
俺の前には夢にまで見たご飯
4杯目のご飯と3杯目のお味噌汁
残り物が少なかったので彼女がわざわざ作ってくれたのだ
「むぐむぐ・・・・んぐんぐ・・・ぷはぁ、ご馳走様でした」
「随分腹が減っていたようだな」
「はい、ここ3日ほど何も口にしておらず・・・本当に助かりました・・・ええと」
「慧音、だ」
「慧音さん、本当にありがとうございます」
俺はなるだけ感謝の気持ちが届くようにと、頭を下げた
彼女はそれを見て、狐につままれたような奇妙な顔をする
「・・・なんだか、さっきと随分キャラが変わっているぞ、君はご飯を食べると性格が変わるのか?」
「ははは、先ほどは無礼なことばかり、失礼しました・・・空腹で気が立ってまして」
また頭を下げた、彼女は優しそうに笑っていた
嗚呼、なんていい女性だ
飯、しかもこんな綺麗な女の人の手作りのご飯、HAHAHA笑いが止まらんよ
もう頭突きとか膝蹴りとかもう忘れるわ、あれはこれでチャラですよ
「・・・君の、名前は?」
「え、あ、私は○○と言います」
「そうか、○○・・・そんなに気を張って話さなくてもいい、楽にしてくれ」
「・・・そうか、じゃあお言葉に甘えるよ、ええと・・・慧音さん」
「慧音で構わない、私も○○と呼ばせてもらう」
「解った・・・慧音、貴方にゃほんとに感謝してる、ありがとう」
一宿一般の恩とは言うが、まさにそれだ、頭突き等分差し引いても大きな仮だ
仮、否、これは恩だ
なんと言うか、食べさせてもらったこともなんだが、ちょろっとでも話をしてくれた事が、嬉しかった
「もう、行くのか?」
「はい、お金がなくても鍵さえ見付かれば何とかなりますから、いざとなったらどうにかして家に入りますよ」
空はオレンジ色に染まりだしていた
カラスも雀も、森へ帰っていく
俺も、家に帰らなきゃいけない
「それじゃあ・・・また、縁があったら」
「・・・○○、なんなら家に来てくれて構わないぞ」
「え、いや、ええと・・・そ、そうですね、どうしても入れなさそうなら、お世話になるかもです」
とりあえず、別れた
腹が膨れてまともな思考、こんな時間に魔法使いは動いてくれないだろう
それに、あんまり彼女に頼りすぎるのもよくない、依存しそうで怖かった
「さて」
とりあえずドアを蹴ってみる、悲しいかな硬い音がするだけだ
裏に回って窓を蹴ってみた、三日前に試したとおり、ヒビすら入らない
「こんな家、買うんじゃなかった」
この世界に来た時の全財産で買った家
妖怪の侵入を防ぐ結界つき♪とかいうから買ったのに
人まで入れないんじゃ意味ねーよorz
はぁ、怪しい狐女から買ったのは間違いだったな
「・・・野宿できそうな所を探さなきゃな」
なるべく明るくて、人気が多くて、里の真ん中
さほど寒くないし、大丈夫だろう
いい場所を探して日の暮れた里をふらふらと、うろついていた
そして
「やぁ、おかえり」
後ろから、声をかけられた
「慧、音・・・」
「やぁ、その様子だと駄目だった見たいだな」
「あはは、無駄に頑丈な家でね・・・」
「・・・・家に来るか?」
「いや、遠慮しとくよ」
「・・・居候も居るし、今更遠慮しなくていい、それよりも君を野宿させることの方が気になってしょうがなくてな」
「・・・そんな言われると、お言葉に甘えたくなっちゃいますよ?」
「ああ、好きにしてくれ、無理にとは言わんが・・・君さえよければ、泊まっていけないか」
思い込みかもしれない、ただ通りがかっただけかもしれない
もしかしたら、もしかしたら俺を探していてくれたのかもしれないなんて、期待をしてしまう
それでも、今は、なんでもいいから、嬉しい
「それじゃあ・・・帰ろうか」
「そう、ですね・・・それじゃあ・・・お世話になります」
財布をなくしたせいでとんでもない目にあった
野宿したり空腹に苦しんだり、木の実を拾いに入った山で妖怪に追いかけられたり
子供におちょくられて頭突きで膝蹴りだったり
でも、無くしたおかげで、知り合いが、増えるのなら、あんな目にあったことも、悪くないかもしれないと、思える
自分でもよく解らない展開になっているとは思うが、このよく解らん世界なら、何が起こっても不思議はない、そう自然に受け入れられそうだ
「居候が一人居るんだがな・・・まぁちょっとぶっきらぼうな所もあるが基本はいい奴なんだ」
「はぁ・・・?」
「まぁアレだ、喧嘩とかしないように頼むぞ」
「・・・?」
「おや、帰ってるみたいだな」
玄関にちょっと乱れた靴を見つけた
それは先客がいると言う事か、先ほど言ってった居候とはこの靴の主なのか
靴を、もう一度見た
小さい、慧音とそう違わないサイズ・・・女か
両手に花か、うふふ、ふひひ
「慧音ーお腹すい・・・た」
部屋に入った瞬間、タバコのにおい
縁側で胡坐をかいて座っている少女は、タバコを咥えている
なんか色々と抱いていたイメージが崩れたと言うかなんと言うか
「あんた、誰?」
「あ、ああ俺は、○○だ、今晩はお世話になる」
「・・・そういうわけだ妹紅、仲良くするんだぞ」
あ、見るからに不機嫌そうだ
なんと言うか仲良く出来るか不安になる奴だなぁ
「ふぅん・・・慧音、コイツとどういう関係?」
俺と慧音を交互に見て、ワケワカランことをぬかしやがった
「どういう?いや・・・なんと言うべきか・・・なぁ?」
確かに、どういう中かと問われたら、凄く返答に困る
俺が財布を落とした所から話を始めねばならん
「ええと・・・鍵が無くて家に入れないんだ、困っている所を慧音が助けてくれたと言うわけだ」
我ながら色々と断片的で何がなんだか
まぁ言いたい事は伝わったはずだ、はずだ
「・・・まぁいいや」
ふぅう、とタバコの煙を大きくはいた
家の外に向かって煙を吐くのは彼女なりの気遣いなのか
彼女、ええと・・・もこうって言ってたか
もこうはタバコに火をつけると・・・あ?
「あれ・・・?」
「んーどうし・・・ああ、これか」
もこうは人差し指を立てて
そこに、火が点った
慧音は困ったようにうなだれ、妹紅はニヤニヤと、哂っている
「○○、あれはだな、その」
「へぇ、便利な能力だな」
発火能力か、ライター要らずってのはいいなぁ
俺もああいう役立つ力があればなぁ、野宿とか楽になるなぁ
「・・・驚かないね」
「幻想郷に来てから、だいぶ驚きなれたみたいでね、それ位じゃ驚かないぜ」
「・・・」
宴会でとっておきの手品の反応がわるかった、そんな感じの落ち込みかた・・・いや、不貞腐れてるのか
「ほ、ほら、早く夕餉にしような!妹紅、手伝ってくれ!」
飯も食い終わり、特にやることも無いのんびりとした時間が
「ねぇ・・・ええと」
妹紅が俺に話しかけてきたのだが悲しいかなまだ名前を覚えられていないらしい
「○○だ、妹紅」
「あ、ああ・・・○○、あんた外の人間?」
「そうだ」
「こっちに来てどれ位?」
「半年ぐらいだな」
「こっちの住人は怖くない?」
「別に、変な力を持ってようが見た目は人間だろ」
そこで慧音がくすりと、笑った
「あ、いや、すまない・・・なるほど、性質より見かけか」
中身は簡単には知りえない、ならば外を見るしかない
何となく、外見でわかるもんだ
取繕ったカタチと、そうでないカタチは
「何となく解る、二人とも完全な人間じゃ無いことぐらいは」
「・・・」
「・・・結構鋭いね、まぁ変り者じゃなきゃこんな所には流れつかないか」
へんな奴に変り者扱いされてしまった、軽く傷つくぜ
「その、○○は、私たちがまともな人間じゃ無いと解っていて・・・」
「そもそもまともな人間ってなんだろうな」
「うわ、めんどくさいなんちゃって哲学見たいな事言い出したよこいつ」
妹紅がぎゃあぎゃあと五月蝿いが、せっかくなので放っておく
「ここって、幻想郷ってよ、そういうことひっくるめて何だかんだで共存できるすばらすぃー場所なんだって、へんな巫女が言ってた
そもそも、慧音や妹紅を見て、悪い奴には見えんし、怖くも無い・・・だから俺はここにいる」
そもそも人間じゃ無いからって怖がってたらここじゃ生きていけないだろう
相手の本性がぼんやり解る程度の能力
自らが変だと、周りが普通で俺が変、そう思っていた
だが幻想郷に来て、自分より変な奴しかいないことが、可笑しくて
「まだ出会ったばかりで、よく解らない事ばかりだけど・・・俺は二人を信用する」
「○○・・・・・・わ、私は、風呂にはいってくるなっ」
どたばたと、騒がしく入浴宣言をして、慧音がいってしまった
妹紅と、二人きりになった
「・・・あんたさ・・・いま慧音フラグ立ったよね」
「・・・ふらぐ?」
「あー・・・いや、わかんないならいいんだけど」
ふらぐ?フラグ?フラッグ?フロッグ?
俺がフラグについて脳内会議を開いていると
「・・・慧音は、半獣人だ」
「・・・それが、どうかしたのか?」
「もし、慧音の違う姿を見たとしても、怖がったりしないで欲しいな・・・なんてね」
最後に付け足した呟きが、あんたなら大丈夫か、と聞こえた気がした
たしかに、慧音の言った通りだ
ぶっきらぼうだけど、やさしい、いい奴
妹紅、か・・・仲良く出来るか不安だったが、杞憂だったみたいだ
「でもさ、今日あったばかりの俺に、何でそんな助言をくれるんだ?これからも濃い付き合いになるとは」
「勘だ、あんたは慧音と仲良くなれるさ」
「長年の勘ってやつか」
「まぁね、長く生きてると、少しはね」
俺の知らないぐらいの時間を、彼女は生きてきたのだろう
彼女の瞳の奥が、あまりに深くて
俺はまともに見る事が、出来なかった
「ふぅ、少し・・・逆上せてしまったな」
逃げるように風呂に入ったのだが・・・色々とぐるぐると考えていたら
「みず・・・」
頭がボーっとする、こういうときは表で涼むと気持ちいいんだが・・・この間そうやって風邪を引いたからなぁ
「うぉ!?」
「え?あ、○○・・・えと・・・喉が渇いたのか?」
「え、あ、ああ・・・まぁうん、そんなところだ」
正直、ドキッとしてしまった
うっすらとピンク色に染まった肌、いまだ少しばかりぬれたままの長い髪
風呂上りで暑いのか、着くずした服装、そのせいで見える谷間とか、谷間とか
「君もボーっとしてるな」
ボーっとしていた○○
声をかけたとたんに私のほうから、体ごと視線を変えてしまう
「?」
「な、なんでもない」
何かワルイコトでもしてしまったか?それとも
「なぁ○○、妖怪は・・・怖いか?」
恐らくまだのぼせているのだろう、柄にも無く、へんなことを聞いてしまう
でも、彼はきっと、私の望む答えをくれるのだと、期待してしまう
「・・・そうだな、妖怪人間問わず、俺に害をなすのが怖いな、妖怪でも友好的なら、怖くない」
ほら、彼はこういう人間だ
あってまだ一日経っていないのに、私は、彼が
「ふぁ・・・あー・・・もう寝るな、おやすみ」
「お、お休み○○・・・」
反射的に、手が出そうになった、待ってと、言ってしまいそうになった
「・・・なんだろうな、これは」
自らの内に湧いた、未知の感情、不思議な心地よさとじれったさ
「・・・私はこんなに惚れっぽかったのか?」
なんだかよく解らないが、一目ぼれという奴なのだろうか
いや、二目惚れぐらいか?
「人は人を、いつの間にか好きになる・・・か」
湯上りで幸いした、もしかしたら私は赤くなってるかも知れないから
私は、一杯の水を飲み、ほてった感情を、醒ました
「・・・はぁ」
深い、溜息をついてしまった
慧音の家に世話になってもう4日
財布も鍵も見付からず、家を買った狐女を捜して徘徊するが、まったく見付からない
俺の能力なんてハッタリを見破る程度の能力だしなぁ、使えねぇ
「・・・まだ飼える訳にも行かないし・・・どうしたもんか」
昼間のあそこには、居辛かった
妹紅は早々に何処かへ出かけて行ったし、慧音は学校(?)にいってしまったし
流石にあの家に一人だけ居るのは、何か嫌な違和感を感じてしまった
「・・・誰かのとこで時間が潰せたらなぁ」
そんな知人がいないから慧音の所でお世話になってるのにね、可笑しな話しだははは
嫌な考えはおいといて、どうしようか
「倉庫なら、壊しても大丈夫だろ・・・そもそも壊れるのか?」
俺は自分の家に戻り、釣具やらなんやらが入った倉庫の前に、立っている
「すぅぅぅぅううう」
大きく息を吸って、吐くと同時に、渾身の中段前蹴りをっ!!
ば、馬鹿な!?俺の前蹴りが・・・効かない!?
「は、はは、手加減してやればいい気になりおって、あまり調子に乗るなよ、小僧(倉庫」
半歩ほど、倉庫に近づいて、構えた
「我が真の力!しっかりとその目に刻むがいい!!」
ぐるん、ぶぉん、がしゃーん
俺の渾身後ろ回し蹴り
アルミ?薄い金属性のトビラは90度近く曲がって、見事に、破壊に成功した
「は、ははは!見たか我が力を!・・・・・・なんか予想以上にやっちゃったZE」
真っ昼間から倉庫相手に何やってるんだ俺は
我に帰ったとたん、凄く虚しくなった
「まったく君は、昼間から何をやってる」
こ、この声は!
「慧音・・・いつから其処に?」
「あまり調子に乗るなよ小僧、ぐらいから居たんだが・・・やはり気付いてなかったんだな」
ぐはっ!そんなに前から・・・orz
もうだめだ、穴があったら入れtじゃなかった入りたい
「えっと・・・昼飯は食べたのか?」
「え?ああ、そういえば忘れてたな」
「そ、そうか・・・こいつが無駄にならずにすみそうだ」
「?」
慧音は右手に持った風呂敷に包まれた何かを高く上げて、俺に見せ付けた
しかし俺はそれがなんだかさっぱり解らない
慧音は痺れを切らして、自らの口でその何か、の正体を
「べ、弁当だ!君が腹を減らしているのではないかと思って、その・・・」
ぐは、こ、これは
なんと言う破壊力!
頬を染めてもじもじ+手作りの弁当=神をも凌駕する破壊力
ここで注目して欲しいのがこのうつむき加減だ!
完全に伏せてしまうのではなく、潤んだ目や赤い頬、また、耳までよく見えるベストな傾き加減だ!
作者の私見を言わせて貰うなら、これは恐らく自然に生み出された、究極の美であると言えよう
普段はお姐さん系の性格にも拘らず、ここぞと言うときにか弱い女の子に戻る、それによって生ずる威力は筆舌に尽くしがたい
「○○?」
「はっ!?い、今なんか変なナレーションが!??」
「・・・もしかして、食べたくないか?」
「何言ってる、食べたくてうずうずしてるんだぜ!(即答」
「そ、そうか・・・えと、じゃあ食べよう」
とりあえず座れるような場所を探して、玄関の段差に座る事にした
・・・重箱?
2段の重箱?いや、上の段は二つに分かれて・・・ああなるほど、それがご飯ね
ってことは下の段が、おかずか
卵焼きを一つ、食べてみた
~青年食事中~
こ、これは、シャッキリポンとry
口の中に残るほのかな甘味とry
舌触りはまさに官能的なry
~青年食事中~
「・・ぷはぁ、ごちそーさま・・・美味かった」
「うむ、お粗末さまだ・・・いやぁ、アレだけ気持ちよく食べてもらうと、作った方としても嬉しいよ」
ただ食べただけなのだが、そう言ってもらえるとまぁ悪い気はしない
しかし・・・料理が美味いと言うのはイイコトだな
料理が出来ない女の子は嫌い?と聞かれたら嫌いとはいえないがね
むしろ下手でも一生懸命作ってくれるところに意味があるのではないかと
つまり料理の上手下手は関係なく誰が為に作ろうとするかが重要なのではなかろうか
「○○、君はボーっとする癖があるようだな」
「え、いや、そんなことは無いぜ、うむ」
俺がほうけている間に片付けてしまったらしく、もって来た時のような風呂敷包みになっていた
「・・・この後さ、時間ある?」
「あ・・・すまない、午後からも少し授業があるんだ」
「いやちょっと聞いただけだ、別に用があったわけじゃ無い」
「そ、そうか・・・じゃあ私は行くよ」
「・・・ああ、いってらっしゃい、頑張れよー」
彼女は少し歩いていって、突然に振り返った
夜までには帰ってくるんだぞ、と
俺はそれに対して、手を上げて、解ったと告げた
「・・・帰ってこい、か」
慧音が行ってから少したって、一つ言葉を、零した
慧音は俺が今日も帰るものだと思っている
俺もそれをありがたく思って、今日もあの家に世話になるのだろう
でもあそこは俺の家じゃ無い
あくまでも彼女、慧音の家だ
「帰るべき、場所か・・・」
一週間近く誰も立ち入っていない家を、見た
前までは当たり前のようにここに帰っていたのに、今では
「・・・はぁ、めんどくせえ」
倉庫から釣り道具やらなんやらを引っ張り出して
時間をつぶす事に・・・したんだが
「おーまた釣れた、あんたって釣り巧いんだね」
なぜか隣に座るヤンキー、あらため妹紅
「・・・」
「もう8匹目だ、あと一匹で一人3匹食べれるじゃん」
いや、コイツが竹林にいると知ってれば、近くの川まで来なかったんだ
ちょっと足を伸ばして湖まで行ったんだ
「・・・お前、見てて楽しいか?」
「ん?楽しいよ」
・・・初日とあまりに違うコイツの態度、馴れ馴れしげふんげふん、フレンドルィーな態度に、少し戸惑いつつも
「ほら、お前もやってみろよ」
「え?いや・・・わかんない」
こいつは釣りもしたこと無いのか
しょうがないのでとりあえず
「餌はついてるから、ほら、竿持って」
とりあえず竿を持たせた
だがほんとに何も知らないらしく、と言うか今まで横で見たただろ
「ほら、こうやって、下からゆっくりと、振り込みたいに」
「こ、こう?あ、おお・・・」
ぎこちないながらも何とか投げる事が出来たようだ
伸べ竿でこんなに苦戦する奴は始めてみたぜ
「あのウキをよく見て、沈んだら引っ張ってやれば」
「あっ・・・」
「?・・・あ、わ、悪い」
いつの間にか、と言うか最初からか
妹紅の腕を握って、いや、そういうつもりは無くただ純粋に教えようと思ってだなry
気にしてなかったのに、そういう態度を、とられると・・・余計に気になってしまうじゃ無いか
「・・・慧音の次は私のフラグ立てるつもりかって・・・」
「え?」
「な、なんでもないっ!」
なんなんだよまったく、ドイツもコイツもフランスもオランダもイタリアもセネガルも
「・・・妹紅、竿を立ててみろ」
「え?こ、こう?」
何も理解せず、ただ言われたまま竿を立てた妹紅
「う、わ!○○!?」
予想通り、上手く魚が掛かったようだ
「竿を高く上げて、手前に寄せろ」
竿が三日月のように曲がり、その引きは妹紅の手へと伝わっている、はずだ
「んー・・・よし、外れたぞ」
岸に引っ張りあげられた魚、針を外して妹紅に見せてやった
「・・・はは、人生で初めて魚を釣ったよ」
「お前長生きなんじゃないのかよ・・・釣りって、楽しいだろ?」
「うんっ!」
ああ、こいつの笑った顔、凄く可愛いんだな
いつもしかめっ面でいるけど、やっぱ可愛いなぁ、女の子なんだなぁ
やべ、妹ができたみたいな気持ちだ
釣った魚を手にはしゃぐを妹紅を眺めていて、妙な気分に陥った俺だった
「お、二人ともお帰り」
家に入ると慧音が出迎えてくれた
今から料理をしようというところだったのか、髪を後ろに束ねていた
「あ」
「ん?・・・あ・・・へ、変か?」
「いや・・・似合ってるな」
いかん、また変な方向に話しが行こうとしている
いつもの爽やかな感じの髪もいいんだが、サッパリした今の髪も、なかなかどうして
ごすっ
いきなり妹紅に足を踏まれた
「づぁっ、てめ「慧音!魚を釣ってきたから、料理するなら手伝うよ!」
「あ、ああ」
「もう腸は出してあるから」
妹紅は慧音の背中を押して、急ぐように台所へと行ってしまった
トビラ一枚向こうでは楽しそうな会話も聞こえて
「・・・今日は、疲れた」
でも、楽しかったな
慧音と昼飯を食べて、妹紅と釣りをして
「いかん、なんか馴染みはじめてるな・・・」
彼女たちがそういう性質なのもあるだろうが、俺もまたそれに甘んじている所もある
「・・・はぁ」
色々な思いを込めて、大きな溜息を吐いた
「びくとも、しないな」
俺はまた、俺の家にいた
相変わらず、なんと頑丈な事か
蹴っても叩いてもびくともしない
「長所だが短所だな」
冷蔵庫の中身が心配すぎる、出かけ際に机に置いた牛乳が怖い
・・・ちょっと開けたくなくなった
「○○」
「ん、慧音か」
またここで、昼飯を食べる
変な習慣になっていた
彼女も家で食べればいいのに、ここにきて、俺と飯を食う
彼女がなぜそうするのか、なぜ俺がそれを嬉しく思っているのか
「なぁ○○、この後は暇か?」
「・・・俺は今お前にその質問をしようとした」
聞く前に聞かれるとは、少し驚いた
しかし彼女の方から聞くということは、午後からは時間が有るんだろうな
「えと・・・暇なんだな?」
「ああ、暇だな」
「そう、か・・・だったら私に付き合ってくれ」
ほう、何処へ行こうと言うのか
買い物?荷物もち
はて、この狭い世界じゃ皆目見当つかない
「買い物と・・・ちょっと人に会うだけだ」
「うん、これもいいな」
「・・・慧音さん、これはどういうことでしょう」
俺は今、服屋に居る
何でか知らんが、慧音は俺に色々な服をあてて、うんうんと
「こっちはどうだ?あー、何か違うな」
「慧音・・・なぜ俺が服を買う必要がある」
「何故って・・・お前が服を持たないからだ」
「いや、家には入れれば」
「入れる見込みが無いからこうして」
「金ないし」
「出してやる、食費にしか使わないからな、貯えはあるぞ」
ま、まてっ!衣食住、これ全てを彼女にゆだねると言うのか!?
否!断じて否!踏み越えてはならない最後の一線だ!そこまでさせてしまったら、俺は・・・俺は・・・
唯の、ヒモじゃ無いかっ!
「そ、そうだ!俺用事を思い出してぐはげふっ」
慧音のレバーブローが、俺の横っ腹を貫いた
「・・・さぁ服を え ら ぼ う か 」
~青年試着中~
「ありがとーございましたー」
結局三着ほど、買わされ、買ってもらわされた
「もうお嫁にいけないめそめそ」
「何を言ってるんだ君は」
呆れたように、かのじょは
「ほら、まだ後一つ用事があるんだ」
俺の手を引いて、歩き出した
これじゃあまるで、カップルのデートだ
ぐは、恥ずかしすぎる、そんなの恥ずかしすぎる!
ああ、慧音の手柔らかくて小さくて・・・しまった!変に意識したら
「・・・○○の手は、大きいな」
はにかんで、楽しそうに、笑った
俺はそこで、諦めた
せっかくなのだから、この状況を存分に、楽しんだって罰は当たるまい
「慧音」
「ん?どうした」
「これじゃあまるで、俺たち・・・カップルみたいだな」
慧音は一瞬固まって、ぼんと音を立てて赤くなった
「ばばばばばばばばばかなここことをいって」
「手、離そうか?」
「なっ・・・・は、離さないで、くれ」
耳まで真っ赤にして、消え入るような声で、そう言った
俺はこの場で抱きしめてしまいたかったけど、人通りも多かったので、頑張って我慢した
「と、言うわけだ」
「・・・まぁ解ったが」
「なら、頼んだぞ、私はここで待ってるからな」
「・・・」
がらがら
「おじゃましまーす・・・」
小声で一応断りを入れて、屋敷に入った
慧音の言うとおりならば、ここに
「・・・どなたですか?」
「ああ、えっと・・・慧音の知り合い」
「ああ、先生の・・・それで、どういった御用で?」
かくかく
しかじか
「ええとつまり、求聞史紀の内容が気に食わないので書き直せと」
「ええ、頭突きがどうのとか、角がどうのとかキモくないとかなんか言ってたけど・・・」
「あはは、どうやら噂で伝わってしまったようですね」
「ええと・・・」
「阿求と申します、稗田阿求」
「俺は○○、外から流れついたんだ」
彼女、稗田阿求と名乗った
まだ10ぐらいの子供、だが大人びて・・・と言うより生き急ぐ様な
俺の能力ゆえか、彼女は長くないんだなぁと、感じてしまった
「貴方もこれに載せましょうか?異能を持った人間も載せてますよ」
見透かされて、と言うよりも、勘だな
今俺が少しだけ見せた驚きを、阿求は見逃さなかったらしい
カマかけられるとは、俺の力も役立たずな
「・・・表で慧音が待ってるからね、もう行くよ」
「先生には検討だけはしてあげます、って伝えてください」
このまま話しつづければ茶でも出てきそうな気配なので、早々に退散する事にした
阿求ちゃんは、俺に
「○○さん、最後に一つ」
「・・・なんだい?」
「慧音先生とは、どういったご関係でしょうか?」
意図が、掴めない
最初に知り合いと名乗ったそれとは全く違う意味の、関係だろう
だが俺には、明確にそれを指し示す事の出来る言葉を、持ち合わせていない
「・・・居候と、家主、ってところか、な?」
「・・・ふふ、また近いうちにきてくださいね、また同じ質問をしますから」
「?ああ、次はゆっくりと、お話でもしようか」
最後の、同じ質問を、と言う意味がまったく、解らない
彼女はいったい何を伝えようと言うのか
今の俺では、理解しようが無い
「お、お帰り○○」
「ああ」
入り口近くで、ぼうっと空を眺めていた
彼女は一人でいるときに何を考えていたのだろう
「どうだった?」
「検討だけはしておくとさ」
「そう、か・・・まぁ仕方無い」
慧音は俺に向かって、手を差し出した
帰ろう、と
今度は、その手を躊躇い無く握る事が、できた
どういう、関係
財布をなくした事がきっかけで、家に入れず、ふらふらしていた所を
彼女、慧音に、世話になって、今・・・俺たちの関係、か
「なぁ慧音」
「・・・なんだ?」
「俺さ、お前の家で生活し始めて、変な違和感を感じてたんだ」
「・・・」
「だけどさ、今は・・・お前の所が帰る家になって、それもやっぱり違和感があって、なんで俺がここに居るのかなぁって」
人付き合いは苦手だった
彼女の所も、3日もすれば居心地が悪くなって出て行くんだと、考えてた
俺は所詮根無し草みたいな奴で
なのになぜかそこは、居心地がよくて
「俺は、お前と一緒にいたいと、思っちまった、あの家から、お前の居る家から出て行きたくないな、何て思っちまった」
「○、○・・・それって」
「・・・お前が、好きなんだよ・・・これからも一緒にいたいんだ・・・慧音」
繋がっていた手、引き寄せて、抱きしめた
彼女の身体は、頼りないほどに軽く、柔らかかった
「私は、お前が・・・いつか出て行くんじゃないかと、出て行ったまま帰ってこないんじゃないかと、怖かった」
「・・・君が許すなら、ずっと傍に居る、いなくならない」
「・・・これからは毎日、君にお帰りなさいが言えるな」
「ははっ、そうだな、いってらっしゃいは俺が言わなきゃならないかな」
「このままヒモになるつもりか?」
「いやぁ流石にそれは・・・働くから安心してくれ」
きょろきょろと、周りに人が居ないのを確認して
「慧音」
「あ、んっ、んんっ・・・ぷぁっ」
唇を、重ねた
ただ触れる程度のキス
しかし、想いを伝えるには、十分だと、思う
それからしばらく
正確に言えば日が暮れるまで
抱き合ったまま、お互いのぬくもりを感じていた
「お腹すいた・・・慧音も○○も帰ってこない・・・お腹、す、いt(バタッ」
次の次の日ぐらい
「やぁ、遊びに来たよ」
「思ったよりお早いお越しですね、○○さん」
稗田家、縁側
今日はゆっくりと話が出来ますねと、彼女・・・阿求は言った
外の話を聞きたかったらしく、熱心にメモを取ったりしていた
「・・・そろそろ、帰るとするよ」
縁側から腰を上げ、玄関に向かって歩き出すと
「・・・ところで・・・先生とは、どういう関係なのでしょうか?」
正直、彼女は未来予知でもできるのではないかと思ってしまった
心でも読めるのか、それとも勘がいいのか
「・・・慧音と俺は・・・そうだな、恋人・・・だな」
「そうですか・・・幸せそうですね、それはとてもいいことです」
それではまたきてください、そう言っていた、俺はもう歩き出していたので、そこまでしか聞き取れなかった
きっと彼女は、あの質問の、正しい解答を知っていたのかも、しれない
そして俺は、あの質問を、答える義務があった
「運命ってのは、信じないんだがな」
でも、落としてしまった鍵と、出会ってしまった俺と、慧音
そして
「恋人、か」
俺は彼女の声が効きたくなったので、ゆっくりと、歩いて帰ることにした
夕日が全てをオレンジ色に染めて
まるで、彼女に誘われたときのようだ
「私の家に、泊まらないか?」
心臓が、止まるかと思った
「けい、ね?」
夕日を背に、彼女は
であったときの、再演のように
「まだ一月ほどしか経っていないのにな、出会った日は、こんな夕焼けだったなと、思い出していた」
俺は、慧音より少し、先に行き
手を、差し出した
「帰ろうか」
「・・・ああ」
慧音は俺の手をにぎり、俺も握り返した
夕日に染まった道、二人で並び、ゆっくりと、歩いていった
end
13スレ目>>417、432、477、489
うpろだ989,993,996,998
───────────────────────────────────────────────────────────
「ここにいたか○○」
「慧音先生どうしたんですか?明日はお休みのはずでしたが……」
「いや、用事というわけではないんだが……」
「?」
「その……だな、わ、私とデートしないか?」
「デートですか……へっ!?お、俺と慧音先生がですか!?」
(コクリ)
「え、えーとですね……」
「わ、私じゃダメか……?」
「そんなことないです!行きましょうデート!」
「そ、そうか!嬉しいぞ○○!」
「で、どこに行きましょうか」
「いい場所を知っているんだがそこでいいかな?」
「あっ、はい!」
~霧の湖~
「涼しいですね慧音先生」
「ここは夏でも涼しいからな」
「……」
「……あのだな、○○一つお願いがあるんだがいいか?」
「何でしょう?」
「ふ、二人っきりのときは……その……慧音でいいぞ」
「慧音先生」
「むぅ」
「冗談ですよ慧音」
「ふふっ、嬉しいな名前で呼ばれると」
「……んっ寝てしまったのか」
「起きたか○○」
「慧音、顔が近いです……ってひざまくらですか」
「よっかかられた状態では辛そうだったからな、だからこの状態にしたが……ダメだったか?」
「いや、十分楽な姿勢ですよ慧音」
「そうだ耳掃除をしてやろう」
「あ、ありがとうです」
カリカリカリカリカリカリ
「なかなかたまっているな、教室は埃っぽいか?」
「掃除はしてるんですけどね」
「ほらっ左が終わったぞ、右を向いてくれ」
モフッ
「……」
カリカリカリカリカリカリ
「よし、終わったぞ○○」
「……」
「どうした○○?」
「いや、なんかこの気持ち懐かしいと思ってな……」
「そうか……」
「……慧音、もうすこしこうしてていいか?」
「ああ、いいぞ」
「……私が眠ってしまったか」
「……すーすー……」
「○○め、いつのまにか私がひざまくらされているではないか」
「う~ん慧音……」
「私が出てくる夢か、いったいどんな夢を見ているのだろうな……」
「慧音……好きだ~……」
「なっ、何だって!?」
「……むぅ……ん、また寝てしまったか」
「ま、○○!今言ったことは本当か!?」
「何か言いましたか俺?」
「いや、覚えてないならいい。はぁ……」
「慧音のことが好きって言っただけですよ」
「!? あ、あのな○○、そういうことは簡単に……」
「慧音だから言うんです、他の人になんか言いませんよ」
「そ、そうか……ありがとう○○、私もお前のことが好きだぞ」
「ありがとう慧音」
「その……さっきのはプロポーズということでいいんだな?」
「ああ、いつか言おうと思ってたし」
「ふふ、いつの間に敬語じゃなくなったな」
「先生だったからな、敬語を使う癖ができてるんだよ、きっと」
「だったから?」
「今は俺の愛する奥さんだろ?」
「う、うむ、そうだな」
「だったら慧音もそんな堅苦しい言葉遣いしなくてもいいんだ」
「そうか……○○、これからもよろしくな」
「ああ、よろしくな」
>>うpろだ1095
───────────────────────────────────────────────────────────
上白沢塾弐千八年度一学期期末試験
1、次の空欄に入る言葉を書き込みなさい。
①、慧音先生の好きな人は( )である。
②、慧音先生は○○を( )しています。
③、○○と慧音先生は( )しあっています。
④、二人は( )です。
⑤、時々妹紅は( )になります。
○○「何これ・・・」
慧音「おお○○、百点を取ったのはお前だけだぞ、おめでとう」
○○「間違いなく皆呆れて何も書いてない筈だし俺も書いてない」
慧音「○○の答えなら空欄でも正解なのさ」
○○「はぁ・・・大体解答欄に当て嵌まる様な関係はほとんど無いだろう?
俺も慧音が好きだけど、こういう行き過ぎた嘘は・・・」
慧音「大丈夫だ○○」
○○「?」
慧音「今から事実にする」
○○「や、ちょ、待って・・・
ていうか満月なんだからせめて掘るとかで許してアッー!」
17スレ目>>137
───────────────────────────────────────────────────────────
静かな夜。空に浮かぶは満月。
里外れに向かう、数人の人影があった。
その彼らの前に、現れた影が一つ。
「待たれよ」
中心に居た人物を護るように前に出た人間達に構わず、ソレは口を開いた。
「此処より先は危険なり。今宵は満月。妖共が騒ぐ夜。引き返されよ」
だが、それを口にするその姿もまた、異形。
銀灰の体毛を持った、大柄な成人男性の大きさほどもある一匹の大犬であった。
ざわめいた人間達を押し留めるように、中心に居た人物――少女が前に進み出た。
「どうも、こんばんは」
「これは、阿求殿。どうなされました」
「慧音さんにお尋ねしたいことが在りまして」
「ああ、幻想郷縁起についてでありますか」
阿求の前までやってきて丁寧に座り、犬――彼、と言うべきか――は応じた。
「ええ、ご案内願えますか?」
「……ふむ、生業のことでありますしな」
「ありがとうございます。手土産がないわけでもありませんから」
「承知いたしました、我が主のところまでお送りいたしましょう。では、どうぞ」
今度は伏せの状態になり、阿求に乗るよう視線で告げる。
「それでは、失礼致します」
「あ、阿求様!?」
「大丈夫です。では、みなさんは先に帰られてください」
横座りで大犬の背に乗った阿求に告げられ、稗田の家人達は慌てる。
「し、しかし」
「帰りは私と慧音殿で必ず送り届けます。御安心を」
一見妖怪にしか見えないその姿に言われて家人達は戸惑ったようだが、くすくすと阿求が微笑って見せた。
「大丈夫です。二刻もかかりませんから」
「は、ですがならば、せめてこちらで待たせていただきたい」
「それでは、もう少し里に近いところでお待ちください」
彼は仰々しく頭を下げると、阿求を背に乗せて歩き出した。
「今宵は、仕事も少ないと申しておりました。幾らかは話を出来るでしょう」
「ありがとうございます。でも不思議ですね、その姿だとそういった喋り方になるのですか」
「私としては変わったつもりでもないのですが、そう受け取られるようです」
ゆっくりと歩きながら、そう言葉を交わす。
「間もなくであります……慧音殿!」
「うん、どうした……ふむ、阿求殿か、どうなされた」
仕事をしていた慧音が、阿求と彼の姿を見つけて近付いてくる。
頭には二本の角。彼女のもう一つの姿、白澤の形であった。
「少しお聞きしたいことがございまして」
「幻想郷縁起について、であるそうです。本日は仕事も些か少ないはずと、こちらまでお連れした次第であります」
恭しいまでの仕草で頭を下げる彼に微苦笑を向けて、慧音はその額を撫でる。
「仔細は承知した。では、少し待っていただいてよいだろうか」
「はい」
彼が姿勢を低くして、阿求が彼の背から降りる。
そして、慧音が歴史を紡ぐ様子を見守っていた。
「さて、失礼した。用とは何だろうか、このような満月の日に」
慧音と阿求が近くの岩に隣合って腰を下ろしたのを見て、彼は何か筒のような者を口に加えて持ってきた。
「慧音殿、その前にこれを」
「ああ、すまないな。阿求殿も如何かな。緑茶だが」
「いただきます」
予備のカップを被せた水筒を受け取り、慧音はカップに注いで阿求に渡した。
「さて、話の腰を折ってしまってすまない」
「いえいえ。話とは、彼のことについてです」
「私ですか?」
「ええ、幻想郷縁起に入れさせていただこうと思いまして」
その言葉に、ふむ、と慧音は形の良い顎に手を当てて少し考えるように苦笑した。
「確かに、それは今夜が相応しいな」
「そして、慧音殿に尋ねるのも。私もまた、半獣でありますから。そして、まだこの世界の理をよく知らない」
「外来人で、半獣……となると、やはり縁起には入れておきたいのです」
阿求はそう言って、慧音の足元に座る彼を改めて見た。よく見れば、彼の左後ろ足に大きな傷痕があるのがわかる。
ここに来て少しした頃、彼は妖怪に襲われ、慧音に助けられたものの左足に大怪我を負った。
そして。
「怪我の治りは悪くなかったのだがな。まさか呪が残るとは」
「しかも、後天性にしては珍しく完全な獣の姿ですからね」
我が家の家人達が恐れておりました、と阿求はくすくす笑う。
「申し訳ありません」
「いえいえ。貴方が獣人であることを知る人は少ないですし」
「一度言っておかねばならないのでしょうが、如何せん、まだ慣れませんで」
「まだ薄ぼんやりとしか物事を覚えていないらしい。まあ、時が経てばそういうこともなくなるのだろうが」
「家人には伝えておきましょう。それに、慧音さんと常に共に居るということが知れれば、警戒されることもないでしょうし」
「な、それは、その」
微かに動揺した慧音に微笑んで、阿求は足元の彼に尋ねる。
「貴方自身も、大人しいようですしね」
「そう取っていただけると幸いです。私はただ、慧音殿の為に在る者ですから」
「こ、こら」
「お熱いことで何よりです」
慌てる慧音と微笑い続ける阿求を交互に眺めて、しかし、と彼は口を開いた。
「呪などというものが、この世に在るとは露とも思いませんでした」
「……此処は幻想郷だから、な」
どこか哀しげな慧音を見上げて、彼は失言をしたと言うように、クウ、と喉を鳴らした。
そう、彼は人間なのである。いや、今となっては半人半獣。満月の夜にのみ、完全な大犬の姿になってしまう。
襲った妖怪が大犬のカタチであったからか。それはもう知る術はないけれど。
「……少し重い話にもなりそうですし、とりあえずはこちらを如何ですか?」
そう阿求が取り出したのは饅頭だった。それを見て、彼がピンと耳を立てる。
「疲れているときには良いでしょう」
「ありがたい」
阿求から二つ受け取って、慧音は尻尾をブンブンと振っている彼の鼻の上に饅頭を乗せた。
彼はじっと待っている。少し微笑って、慧音は、食べていいぞ、と告げた。
嬉しそうにぽんと一つ宙に浮かせ、器用に口の中に放り込む。
「……何だか私、凄いものを見た気がします」
「……いや、何だかつい」
尻尾をパタパタさせて饅頭を味わいながら、首を傾げている彼の姿に、思わず笑みが漏れる。
「そういえば、甘党って言ってましたっけ?」
「ええ、味覚は変わらないようで。今度御礼に何か作って持って参ります」
機嫌の良い彼に、今度は阿求が一つ渡した。礼を言って受け取って、また美味そうに食べ始める。
「少々物堅くなるが、基本的にはいつもの彼と変わらないよ」
「そうですね。行動も、しっかりしてるかと思ったら、やっぱりいつもの様子ですし」
クウ? ともう一度首を傾げた彼に、少女二人は声を出して笑った。
約束通り一刻半の後、無事に阿求を送り届けて、一人と一匹は帰り道を歩いていた。
不意に、彼は何かの匂いに気が付いたように、慧音の方を向く。
「慧音殿、それは?」
「ああ、竹林に落ちていたものだ。わかるか?」
「……教科書ですね。ああ、懐かしい。子供の頃のものと同じだ……」
鼻を鳴らして、彼は慧音が懐から出した本を眺め、目を細めた。
「……帰りたいか?」
「……今となっては、懐かしくはありますが」
首を振る彼の頭に手を乗せて、慧音は哀しそうな瞳で尋ねる。
「……私は、貴方を助けられなかった」
「仕方のないことです。それに貴女が来なければ、とうに僕は殺されていた」
口調が一瞬だけ、いつもの青年のものに戻る。違う、と慧音は首を振った。
「私は、貴方が危険な方に行くのに気が付いたのに、止めなかった。
何故止めなかったのかはわからない。だが、あの時止めていれば」
「慧音殿」
自らを責める慧音に、彼は声をかける。
「それを言うならば、私にも咎がある」
「何を」
「獣人になったと知った時、私を引き取ると言ってくださった時、私は嬉しかった」
目を細めて、彼は告げた。
「貴女の傍に在れるという事が。ずっと一緒に居れる事が。人間でなくなったことよりも、大事だった。
だがそれが、貴女を苦しめているのなら、私はどうしたら良いかと、今考えている」
目を閉じれば浮かんでくる。大犬の妖怪に襲われて、もう駄目だと思った瞬間のこと。
自分の名前を叫びながら、駆けつけてきてくれた慧音の姿。
裂かれた左足の感覚はほとんどもうなくて、血と共に命が抜け落ちるなんてこんなものかと思って。
だから、最期に見れたのが、この方の姿で良かったと、本気で思った。
気が付いたときには永遠亭で、一命は取りとめたが左足の後遺症と獣人の呪いが残ったことを知らされて。
その責任を感じたらしい慧音が、自分を引き取ると、面倒を見ると言ってくれた。
左足が不自由になったことよりも、獣人になってしまったことよりも、ただそのことが大事だったなんて。
本来ならば、口にしてはならないことだったかもしれないけど。
「軽蔑されても仕方が無いのかもしれない、私は――」
「貴方、は」
言葉を遮るように、慧音は地面に膝をついて、彼を抱きしめた。
「……慧音殿、服が汚れます」
彼の言葉に構わず、慧音は心情を告白する。
「貴方は、私を恨まないのか。私は人間の守護者などと言いながら護れなかったのに。
貴方が傷ついたのを奇貨として、貴方を傍に置こうとしているかもしれないというのに。それなのに」
泣きそうな声で、言葉で、彼女は告げ続けた。
「いや、そうに決まっている。私は貴方に傍に居て欲しかったのだ。私はあの時、薬師に貴方を治せるか尋ねなかった。
尋ねなかったのだ! 貴方を人間に戻せたかもしれないのに。私は私のエゴで、何も言わなかったのだ……!」
きつく結んだ目の端から、涙が零れ落ちていた。
生真面目な彼女の事、自分でさえも謀ることができないのだろう。
本来ならば口にせずとも良い言葉だから。真正に誤魔化しておかねばならないのは、彼女自身に対してだから。
この言葉で何よりも傷つくのは、何よりも彼女なのだから――
肩を震わせる彼女に、彼は少し迷った後、ぺロリと頬を舐めた。
「……っ?」
「……女性の泣き止ませ方も知らない無作法者で申し訳ない。本来なら、手で拭えばよいのだろうけれど」
どこか照れたように頭を巡らせて、それでも、と彼は続けた。
「貴女には、そんな顔をしないで欲しいのです。貴女がつみに思うことは何もない。
いや、むしろこの姿で貴方の傍に居られるなら――これ以上の僥倖はないのです。それを感謝したいほどで」
「貴方は、何を」
慧音の戸惑いに、彼は少し考えた後、意を決したように口を開いた。
「――私は、貴女をお慕いしています。たとえこの姿が、人であっても、獣であっても、妖であっても。
何一つ変わらぬ想いで、貴女の事を全力で、愛しています」
恭しいまでの態度で言われた言葉が、慧音の頭に浸透するまで、少し時間がかかった。
耳まで顔を紅くして、驚いたように彼の顔を見る。
「な、え、あ、何を……」
「上手い言葉を知らないので、こういう言い方しか出来ませんが」
言葉に迷うように、それでも選びながら、彼は言葉を紡ぐ。
「ですが、これが本心です。紛れも無い、この私の」
「……私、も」
さらに強く抱きしめて、慧音が彼に告げる。
「私もだ。私も、貴方のことを想っている。本当だ」
「……嬉しいです、慧音殿。ならば、真正にそうならば、一つお願いを」
「何だ? 何でも――」
「もう、自分を責めるような事はしないでください。貴女が悪い事ではないのですから」
「……努力、しよう」
そう体を離して、少し困ったように微笑んだ表情に、彼も微笑を――犬の形でも辛うじて判る程度に――返した。
「ようやく笑ってくれた。貴女は笑顔の方が素敵ですから」
「む、か、からかうな」
「そのつもりはないのですが。ああ、私も一つ謝っておかねばならないことが」
楽しそうにしていた彼が、すまなそうに鼻を鳴らす。
「……前と同じように、人に戻れば、このときのことはあまり覚えていないと思います」
「そうか……まあ、仕方がないな」
「それでも、想いは同じですから。貴女を慕っているのは、この私もあの私も変わりません」
「そ、そうか」
照れたまま立ち上がって歩き出した慧音の隣に、駆け足で近寄って彼は笑う。
「ええ、そうです。私はいつでも貴女の隣に」
「……ああ、うん。私も、そうしてもらえると、凄く嬉しい」
紅い顔を彼に向けて、慧音は輝くような微笑を、彼に送った。
帰って軽く湯浴みをして――彼は水浴びをしただけだったが――休みに入る。
「ほら、きちんと上掛けを被る」
「面目ありません……」
少し湿った毛皮のまま、彼は慧音が横になっている布団の隣に伏せた。
だが手招きされて、布団の上に伏せなおす。それでも戸惑うように顔を巡らせた。
「……慧音殿、やはり私は向こうで」
「そうやって風邪を引いたのはどこのどいつだ?」
「むう」
少し居心地悪そうにした後、彼は諦めて自分の前足の上に頭を乗せた。
以前、毛皮だからといつものように別室で掛け布団なしで寝ていたところ、朝になって風邪を引く破目になったのだった。
そう考えていると、唐突に、ぽす、と背中に感触があって、彼は顔を上げる。
「……湿ってますよ」
「いや、背中は乾いている。ふかふかだな」
慧音が彼の背中に頬を当てていた。もふもふと気持ち良さそうにしている。
「……暑いでしょうに」
「いや、心地良いぞ。うん、毎回こうしても良いくらいだな」
「……夏は暑いと思いますよ」
「冬はさぞ暖かいだろうな」
少しからかうような言葉をかけた後、慧音は彼の耳元に顔を寄せる。
「……ずっとこうしていてくれるんだな」
「貴女が望んでくれるならば、ずっと」
「……ありがとう」
慧音の言葉に笑んで、彼はもう一度、前足に顔を伏せた。
翌朝、少し陽が高くなった頃。
「ふ、あぁ……おはようございます、慧音さん。すみません、寝坊して」
目をこすりながら、着流しを身につけた一人の青年が台所の方に現れた。
「おはよう。いいさ、まだ慣れてないのだろう」
「はい。満月はこれで……三回目ですか」
左足を少し引き摺りながら、彼は慧音の隣まで近付く。
頭一つ分以上高い彼を見上げて、彼女は頷いた。
「そうだな。少し遅いが、朝餉にしよう。待っていてくれ」
「はい」
嬉しそうに頷いて、円状の卓の傍に彼は腰を下ろす。朝食の膳を用意して、慧音も彼の向かいに座った。
唱和して食べ始めてすぐに、彼が口を開く。
「すみません、例の如く、昨晩のこと、僕あまり覚えてなくて」
「そうか、まあ、それも慣れてくるさ」
「はい……慣れてきて、覚えていられるようになったら、僕も一人前ってことなんですかね」
「……完全に獣人になるのは抵抗があるか?」
少し間を置いて尋ねられた問いに、彼はあっさり、いいえ、と答えた。
「それはそれで。こういう数奇な人生と言うのも楽しそうですし」
それより、と彼は困惑した声で続ける。
「朝起きたとき、どうしてそこに寝ていたかくらいきちんと覚えていないと……服も着てないわけですし」
「ああ、まあ、そうだな」
互いに何となく照れたような気まずい雰囲気の後、ずず、と彼は空気を変えるように味噌汁を啜った。
「それに、朝ご飯を作るのを、満月の度に慧音さんにさせてしまっていては申し訳ないですから」
「それは別に良いのだけどな」
「それでも、ですよ。お世話になっているんですから」
「寺子屋も手伝ってくれているのだから、そこまで気にしなくても良いんだぞ?」
そう言われて、彼は少し照れたように頬をかいた。
「いえ、そもそも甲斐性も何もないですからね。傍に置いてもらえるんなら、出来ることはしたいんですよ」
「……そうか」
慧音もどこか嬉しそうに微笑んで、彼の言葉を受け入れた。
「……昨晩のこと、覚えてないんだったな」
「はい……でも、大事なことを話した気は、してます」
目を細めた彼に、そうだ、と慧音は微笑った。
「だから今度は、覚えているときに聞きたいな」
「はい、努力します。これでも、一生懸命思い出そうとしてるんですよ?」
「ああ、期待している」
微笑んだその表情に、彼は思わず見惚れて、紅くなったことを誤魔化すように、再び朝餉に手を伸ばした。
里では、時折仲の良い二人の姿が見られると言う。
美しい里の守護者と、彼女に寄り添うように歩く片足の悪い青年。
仲睦まじい様子を子供達にからかわれながら、里の者達に微笑ましく見守られながら。
幸せそうな様子を隠すこともなく過ごしていると言う。
そして満月の夜には、竹林にて歴史の神獣とその従者のように傍に伏す大犬の姿が見られるらしい。
らしい、というのは、それを見られる者が限られているから。
それでも、蓬莱人やら天狗やらが伝える様子は、彼女達が良いパートナーであることを窺わせるものがある。
ちなみに、パートナー、が別の単語に変わるのもそう遠くない日のことだろう、とは、二人をよく知る者達の言である。
うpろだ1266
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ゆさゆさと揺さぶられる感覚。
「んー……あと5分だけお願いします」
「……」
「あと…5…f…Zzz……」
「あくまでも起きないつもりか。ならば……」
頭を両手で包まれる感触。
撫でるような力加減に眠り心地も最高潮。
しかし甘かった。
俺はコイツの特技を、すっかり忘れていたんだ。
「てい」
ごす、という音と共に額に襲い来る激痛。
お星様が見えたのは気のせいじゃない。
「ッ!!!!」
「起きたか。そろそろ朝御飯の支度も仕上がる。
着替えたら来るといい」
涙目で額を抑えている俺とは対称的に、慧音の顔は涼やかなまま。
くるりと踵を返すと、彼女はそのまま台所へと向かっていった。
まだ少しジンジンと痛む額をさすりながら思う。
里の寺子屋では宿題を忘れる子どもたちには正義の鉄額が見舞われるという噂だが。
……正直あの威力は勘弁願いたい。
枕元に置いてあった懐中時計を開けて時間を確認する。
……嗚呼、結構ギリギリじゃないか。
意識を一息で切り替え、仕事着に手を伸ばす。
冬の冷え込みも本格化しつつある今日この頃。
本当なら布団の中でゴロゴロしていたいのだが、そんな事をやった日にはこの家から追い出されかねない。
いそいそと着替えを済ませ、井戸水をくみ上げて顔を洗う。
凍りつくような冷たさが、僅かに残っていた眠気をキレイに消し去ってくれた。
手ぬぐいで水気を拭いながら、居間へと歩き出す。
程無くして味噌汁や焼き魚等といった典型的な朝ごはんの匂いが漂ってきた。
ちらりと台所を覗けば彼女が鼻歌交じりで味噌汁の味見をしている。
普段のお堅いイメージとは随分かけ離れたものではあるのだが……
(多分知ってるのは俺だけなんだよなー……)
もうちょっと愛想よくすれば男衆からは絶大な支持を得られるだろうに、という所まで考えて
(ああ、でもそうすると独り占めできねーや。却下)
思い浮かんだ情景を手で振り払う。
ご丁寧に毎朝玄関に放り投げこまれている(どこから入れに来るんだろうか)新聞を開きつつ、ご飯の完成を待つ。
「何々……今日は外界では"クリスマスイブ"とよばれる聖夜であり……」
ゴシップ感溢れる新聞から要点だけ抜き出すと
・今日は年に一度の特別な日(の前夜)
・本来はどこかの国の聖人様がどうたら
・今となっては恋人たちの祝宴の日だったり
・子どもたちには赤い洋服を着たサンタさんが贈り物を
・特別な人にプレゼントなどいかがでしょうか
・取材情報は私、射命丸 文まで。
……ということらしい。
「……はぁ」
溜息と共に新聞を閉じる。
何を隠そう、このクリスマスという知識を持ち出したのは俺だからだ。
スキマ妖怪の紫に頼んで一度外界をブラついた時……確か十年くらい前のこの時期だったか。
やたらと華やいだ祭のような雰囲気が気になり、外界の蔵書を読み漁り……
「持ち帰った知識をあの烏天狗に教えるべきではなかったかな」
もう一度、溜息をつく。
本来あのブン屋にはそういった大衆的な事の他にも、クリスマスの歴史や伝承なども伝えていたハズなのだが。
ここはもうさすが、と感心する所なんだろうか?
「どうした、朝から疲れた顔をして」
そうこうしている内に、鍋やら櫃を台車に載せて慧音がやってきた。
「ああ……アレみりゃわかるよ。俺の数少ない汚点かな」
苦笑いをしながらよそわれた茶碗を受け取り、顎をしゃくる。
新聞のめぼしい場所は読み漁ってしまったので慧音の所に放ってある。
「クリスマス……か。確か下界の聖人の生誕日だったか?」
「さすがだな。昔一度話しただけだったハズだが」
「私を甘く見ないでくれ……というのは冗談だがな。
紅魔館の連中はお前が伝聞するよりも前から似たような事をやっていたよ。
もっとも、昨今持て囃されるようなものではなく、随分と厳かなものだったが」
「へぇ……確かあそこの領主は外界の貴族の血を引いてるとかって話だしなぁ。それの繋がりかね」
「ま、それはさておき、メシだメシ」
「ああ、そうだな。教える側が遅刻するようでは面目が立たんぞ、○○」
「わーってるよ……いただきます」
「いただきます」
「……となるから、この掛算を使うわけだ。わかったかー?」
「はーい!」
「それじゃあ、こことここと……この問題やっとけ。
解けた奴は休憩しててよし。ただし、あんまり騒ぐなよ?」
生徒たちに課題を適当に与えた後、廊下に出る。
少し前から、"その日の最後の授業"を俺が受け持つことになっていた。
それを知ってか知らずか、子供達は比較的真面目に取り込んでくれている。
「慧音ー、そろそろ終わりにするから帰る支度を……」
カラカラ、と控え室の戸を開け「うわっ!?」
……見なかったことにしよう。
カラカラ、と戸を閉めようと「待て、待ってくれ!」
控え室に強引に連れ込まれた。
「……で」
「……」
「これは一体どういう了見なのかな慧音さん」
「こ、これは……クリスマスだし」
控え室のイスに座って一対一で面と向かって座る。嗚呼、何だか尋問みたいだ。
俺の目の前でしおらしくなっている慧音は……何故か真っ赤な服にヒゲと帽子をつけていた。
まさか慧音がこんなマネをするとは思ってもみなかった。
「……その、子供達が、喜ぶと思って……」
恥ずかしそうに俯いたまま、指をもじもじとする慧音。
「そういうことなら俺にも少しくらい相談をしてくれたっていいじゃないか」
俺だって教師の一人なんだぞ、と頬を膨らませる。
「す、すまない。話そうとは思っていたのだが……○○はこんな格好をするの、嫌だと思ってな」
「ああ……なんだ。そういう事か」
確かに俺はそういう面倒事は嫌いだが……
「子供達の為ならやぶさかではない。……ということで」
「何だ?」
「その服一式を寄越せ。俺も着る」
「ほ、本当か!?」
「男に二言はないんだぜ?」
「そうか……よし、待ってろ。もしもの事を思って二人分用意して……」
いそいそと荷物を漁る慧音の顔は、とても嬉しそうだった。
「それじゃ、いくぞ」
「ああ」
子供達のいる教室への戸を勢いよく開ける。
「いい子にしているかな!? 子供達」
「おじさん……誰?」
「私かい? 私は"サンタクロース"というんだ。
いい子にしている子供達に年に一度、プレゼントをあげているんだよ」
……ちなみに喋っているのは俺。声色を変えてしまえばどうとでもなるものである。
さすがに慧音が声を変えてもバレるので、彼女は俺の後ろで黙っている。
「プレゼント?」
「そうさ。今日は頑張って勉強している君たちにプレゼントだ。ほれ」
慧音があらかじめ用意していた袋から、菓子の詰まった小袋を取り出す。
子供達一人一人に手渡しをしていく。
反応はそれぞれ異なるが、皆嬉しそうだ。
「ありがとう、サンタさん!」
「ほっほ。これからもいい子でいるんだぞ?」
「はーい!」
「それから、○○先生と慧音先生からの伝言だ。
今日はもう終わりにしていいとさ。気をつけて帰るようにな」
「いいの!?」
「ああ。また明日、だそうだ」
わー、と歓声を上げながら、出ていく子供達を見送る。
両手には大事そうに小袋を抱えていた。
「……行ったみたいだな」
「そうだな。でも良かったのか? まだ授業も途中だったろうに」
「構わないさ。これくらいなら明日にでも取り戻せる」
「それならいいのだが……と、そうだ」
控え室に戻り、更に荷物をごそごそと漁る慧音。
「コレは○○の分だ」
ふわ、と首にかけられたモノ。
もこもこしていて、あたたかい。
「マフラー……か。これ、お前が?」
「何だ、私が編み物をするのは意外か?」
「いや、ありがとう、大事に使わせて貰うよ。しかし……困ったな」
「どうした?」
「折角いいものを貰ったのに、俺からお前に渡すものが……」
「渡すものが?」
「ないわけでも、ない」
右手にいつも嵌めていた指輪を、外す。
「それは……」
「指輪だよ」
「大事なモノなんじゃないのか?」
「大事だよ……だからこそ、意味があるのさ」
かちり、と音を立てて、二つに分離した。
「これ、俺の両親が使っていた結婚指輪なんだ。
ちょっと古びているのがアレだが……片方は、お前に嵌めてほしい」
す、と慧音に差し出す。
「え……」
予想外だったのか、困惑気味の顔。
「駄目か?」
「とんでもない! ……その、私なんかで、いいのか?」
「ああ。慧音だからこそ、受け取ってもらいたい」
「…本当に?」
「……まったく」
まだうろたえ気味の慧音の身体を抱きよせ、唇を重ねる。
驚きに目を見開き、顔を赤く染めながらも、彼女は抵抗をしなかった。
「んっ……」
「……これでもまだ、不安かな?」
「い、いや。ただ……もう少し、私を後押しさせる言葉をくれないか」
「……一緒に居て欲しい」
「まだ足りないよ」
「好きだ」
「まだだ」
「……愛してる」
「私もだ……」
再び、口づけを交わす。
「不束者だが……よろしくお願いするよ、○○」
11スレ目>483
───────────────────────────────────────────────────────────
「○○、起きろ、朝だぞ。」
聞き慣れた声に反応して目をあけると、そこには
既に着替えを終えた慧音が、布団の横に座る形で
こちらを見下ろしている。
「ん……おはよ。」
寝起きで動かすのも億劫だったその口でなんとか答える。、
「おはよう。」
慧音は笑顔で答えてくれる。
が
「………Zzz」
再度夢の中にダイヴする俺。(現在の心境→ 睡眠欲>けーねスマイル)
「この状況で二度寝するな!」
先ほどまでの極上スマイルから一変、
否応なしに布団を引っぺがされ、起床を余儀なくされてしまった
そんな朝
「疲れが抜けていないのか?」
寺子屋に慧音を送る道中、そんな事を聞かれる。
「…分かる?」
「ああ。目の下にカラスよろしく黒いクマができているし、足取り
もおぼつかない。さらにあくびを1分間に6回も連発されれば、分から
ない方がおかしいだろ。」
誇張表現が目立ったが、とりあえず俺はそこまでひどい様のようだ
「寝ているときのいびきもすごい音量だ。近所迷惑になるんじゃ
ないかと思えるぞ。」
「なぁに、ギシアン時の慧音の嬌声の音量には勝てんよ。」
「っ/////!!」
頭突きをくらって俺の脳はすっかり覚醒した。
そして慧音は俺を置いて、すたすたと足早に寺子屋に行ってしまった
俺も仕事場に行こう……
ちなみに俺の仕事場は力が全てを物語る場所で、常時ガタイのいい
あんちゃん達でいっぱいである。
元々運動神経が鈍く部屋からほとんど出ない俺は、3日坊主どころか
3分で逃げ出したくなった程だ。
その代わりに給金は高い。里の中で数ある仕事の中でも、上位に入る
くらいの収入が得られる。
なぜそんな場所で働くことにしたかというと、だ。
「よ、お疲れ。」
仕事が終わって寺子屋から出てきた慧音に声をかける。
「先に帰っていてもよかったのに。」
今朝の事をひきずっているのか、いつもと違ってそっけない
「そう言うなって。ところでさ、ちょっと付き合ってくれよ」
「……?」
不審な顔をしつつも俺に着いてきてくれる慧音。徹頭徹尾ご立腹
というわけでもなさそうだ
俺は慧音を人通りの少ない裏路地に連れて行く
「何故わざわざこんな人通りの少ない所で?」
慧音は平常を保とうとしている。が、動揺しているのは手に取るように
分かる。まぁ、これからすることを考えたら無理も無いか。
「人に見られたら恥ずかしいからな。」
慧音は小声で「な…まぁ…○○がどうしてもというなら…////」
とか言っているように聞こえたが、無視してポケットから箱を
取り出す。
「ん。」
そして渡す
「私に…?」
慧音は中の指輪を見て驚く。そして、これ以上の幸福があるのか
ってくらいに喜んでくれた
あんなむさ苦しいところで働き始めたのは……
慧音の誕生日にプロポーズするためさ
10スレ目>>474
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○○さんの事好きですよね?
「あはは、やっぱり皆にはお見通しと言うわけか」
あれだけ露骨だと誰でも解ると思いますよ・・・当事者を除けば
「いやぁ、それは恥ずかしいな、少し自重しよう」
告白をして恋仲に成ろうとかは考えないのですか?
「確かに彼なら、好きでなくとも断る理由が無ければそういう関係にはなってくれるだろう、だがそれでは意味が無い」
と、言いますと?
「むしろ彼が私に惚れるぐらいではないと意味が無い、私は彼に夢中だからな、見事なまでの両想いが達成されるわけだ」
ではその思いを伝える予定はないと
「私からは、な・・・彼から言ってくれば私もだ、と応えるつもりだよ」
待ち続ける、という事ですか
「いや、待つと言うより無理矢理待ち合わせまでこじつけると言うか・・・惚れてくれるのを待つのではなく惚れさせるのだからな」
その間に他の女性に取られたらどうするつもりですか?
「それは私に魅力がないということだ・・・諦めるしかないのだろう」
結構あっさりですね
上白沢慧音さんの事好きですよね?
「ああ、その通り、俺は慧音を愛してる」
その想いを伝えるつもりはないのですか?
「今のところ無いな、慧音の方から恋仲になりたいというような告白があれば喜んで応じるが」
つまりいつまでも受身の姿勢で待つと?
「ああ、アイツが俺に惚れて向こうから告白してくるのを待つさ」
・・・ホントに似たもの同士というか・・・同類ですね
「ん?何の話だ?」
話を戻しますが、慧音から告白してくれば見事なまでに両想い達成されるとか考えてます?
「おお、お前サトリか何かか?まさにそうだよ、いや恥ずかしいなこりゃ」
そうですか・・・最後に一つ、○○さんは断る理由が無ければ女性を拒まないと聞きましたが
「あー・・・確かにそうだ、断る理由が無ければな」
ではここで私が貴方を求めたとして・・・応えてくれますか?
「うむむ・・・残念だが、今の俺には断る理由ができてしまっている」
慧音さんですか・・・
「ああ、今はあいつの事以外は考えられないからなぁ」
そうですか・・・それでは取材にご協力いただきありがとうございました
「おお、気を付けて帰れよ天狗娘」
後日この事が記事になるのだがそれはまた別の話
11スレ目>>263
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12月26日
外の世界ではクリスマスの後日。
しかし元々和色が強い(と思ってる)幻想郷ではクリスマスなんてどこ吹く風。
一部ではずいぶん騒がしかったり荒れたりしていそうではあったが俺の回りもどこ吹く風。
……だと思う。俺だけ集まりに呼ばれてないわけではないと思う。
みんな正月の方に力入れるんだろ、きっと。
そんなことを考えながら日課の乾布摩擦。
あばばばば、寒い。
体も心も。
「本当は俺以外の里の方々で宴会でもしてたんだったりしてー」
ゴシゴシ
「まじで」
ゴシゴシゴシ
「うそだと言ってよ、ブアァーヌィー!」
ゴシゴシゴシゴシ
「バーニィ誰やねん」
ゴシゴシゴシゴシゴシ
「あぁ、もう、あまりの寒さと寂しさに一人二役なんてやってしまった。
こんなのだから俺って避けられてる(気がする)んだよ、俺のバカ!バカ!」
「おはよう○○、楽しそうだな」
はっ、この声は!
独り言を言ってる間に接近しているのに気づかなかったとは、不覚。
振り向きざまに気をつけの姿勢、そしてお辞儀
「おはようございます!きゃいっ、上白沢先生!」
噛んだ。
「今日も精が出るな、元気でよろしい」
「ありがとうございます!いってらっしゃいませ!」
……あぁ、今日も先生とお話しちゃったぁ♪
何を隠そう乾布摩擦を始めた理由はこんな邪な理由なんだよぉー!
家の前に出て乾布摩擦をしていれば寺小屋に行く先生の進行ルート上に重なるわけだ。
我ながら完璧な作戦だ。
「あぁ、幸せってこういうのかぁ」
「いやいや、違うよ、それを感じるのは速すぎるよ音速とかそんなレベルじゃないよ」
「いやいやいや、俺は今幻想郷で一番しあわ…せぶしゅっ!」
一人ごちてる間に大分体が冷えてしまったようだ。
今日はもう先生も通り過ぎたことだし、また布団に入って寝ちゃえ。
思うが速いかすでに俺の体は家の中、寝室に向かってスキップ。
脱ぐ必要はないけど布団にルパンダーイブ!
「ほあああ!バカ、冷たい!」
すっかり自分の体温も抜け、冷え切った布団からあっという間に出てくる。
うぅ、外より布団の中に入るほうが寒いとは思わなかった。
もう今日はいいや、すっかり目が覚めてしまった。
そうだな、日も昇りきった頃に出かけようか。
里の人に先生と会話したことを自慢しに行くのだニョホホホ。
11スレ目>>516
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慧音先生と個人授業
先生は分からなくなったとき詳しく教えてくれるけど
それ以外のときは後ろに立って勉強姿を見ている
あぁ、先生に見られてる、ハァハァ
そんな時、答えの間違いを指摘され後ろから
慧音「ん、ここは違うぞ。」
その時、先生の豊満な胸が私の顔のすぐ隣に…
先生は問題の説明に夢中
そ~っと、手を伸ばす。
指先が胸の先端に軽く触れた瞬間
慧音「お、お前!何やってるんだ、勉強中だぞ!」
顔を紅く染めながら怒っている先生、かぁぃぃ。
慧音「悪い子にはお仕置きだ!尻を出せ!」
え?まさか、掘ってくれるの?
うっほほ~い。やったぁぁ。
と、思ったら
慧音「悪い子にはお尻ぺんぺんだ!」
そ、そんなぁ。掘ってもらえると思ったのにぃ。
パ~ン、パ~ン・・・
「せ、先生、こんなの嫌です。」
慧音「嫌じゃない!勉強中に変なことしようとした罰だ!」
「ち、違うんです。私…は。」
慧音「何が違うと言うんだ?」
「わた、私は、先生に、ほ、掘って、ほ、ほ、」
慧音「何だ?ハッキリ言ってみろ。」
「わ、私は先生に…ほ、掘って…もらいたい…。」
先生の手が止まった
慧音「え…あ…お、お前、な、な、ん、あ…。」
顔が真っ赤になって言葉につまってる。
慧音「‥‥‥ん、ん~…。」
後ろを向いて落ち着こうとしてるが目に見えて余計に慌てている
慧音「ん…う、お、お前の気持ちも、わ、分からんで…も、って私は何を言ってるんだぁ!
あ、うぅ、そ、それに、今日は、まん、満月じゃ、って、あわわわわわぁ…。」
そうとうパニックになってる。
慧音「お、落ち着け、落ち着け、せ…せいと、生徒の前では、生徒としての、あぁ違うぅ。
せ、先生としての門限…じゃなくて威厳を見せ付け…は言いすぎか、見せなくては。」
慧音「と、とにかくだ。今日の、べ、勉強は、あ…う…お、終わりだ!
つ、次は、満月、満月満月。満月の日にでも、あ、う、う、う、うわああぁぁん。教師失格だぁぁ!」
泣きながら帰ってしまった…。
あぁ、掘ってもらえなかったけど
あんな先生もかあぃぃなぁ。
次はちゃんと満月の日に教えてもらわないとね。
11スレ目>>597
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○「慧音、俺の為に、毎日味噌汁を作ってはくれないだろうか?」
慧「……馬鹿者。味噌汁などとうの昔から毎日作ってやっているだろうに」
○「ああ、それもそうか。それじゃあちょっと訂正だな。
共に生きるという歴史を、慧音と作っていきたい。これまでも、これからも、ずっとだ」
11スレ目>>667
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「好きだ」と言うことは実に容易い事だと思うんだ。
”友愛”と取れるからね。人間は往々にして大事な局面でさえも、
こうした打算を無意識下でしていることが多いんだ。本人さえ気づかぬ内に、ね。
「愛している」「ありがとう」という言葉も、心さえ込めていなければ気軽に言える。
ただ、その二つの言葉を、本心から面と向かって伝えるのは、
とても難しく……そして勇気がいることなんだ。
だから敢えて、今ここで言うよ。
慧音、君の事を愛している。
今までありがとう。そして、これからもよろしく。
11スレ目>>999
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1000への掛け橋を俺と埋めよう、慧音
12スレ目>>999
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「はら・・・へったorz」
そもそも財布さえ落さなければこんな状況にはならなかったんだ
しかも家と倉庫の鍵まで入ってる財布・・・釣り道具すら手に入らない
嗚呼、流石に山に入って木の実を拾うのも限界だよなぁ・・・
「チクショウ、こんなことなら知り合いの一人や二人作っとくんだった」
地面に跪いて今までの後悔やらざんげやら、これからどうしようかと言う脳内会議を頑張っていると
「おっさんがへんなことしてるー」
「小銭でも落としたんじゃねーの?」
「ちげーよ、彼女に振られて落ち込んでるんだよー」
何処からとも泣く子供の大群が現れ、一定の距離を保ちつつ俺をおちょくってきやがる
まぁそこの所俺は大人なので冷静に、気にも留めないわけだがね
「きっと「この豚めを踏んでください!!」とか言ったんだなー」
「そりゃふられるよねー」
「くそがきゃぁぁぁぁ黙って聞いてりゃ調子に乗りやがって!!俺は資本主義の豚か?ああ?」
「きゃーっ!おじさんがキレたー!」
「おい其処のガキ、残念ながら俺には振られるような女どころか顔見知りの人間すらいないんだよ糞ッ!いや、俺だって好きで引きこもってたわけじゃねぇんだぞ!
ちまちまと地味な仕事して!魚とって食いつないで!やっと俺もこのワケワカラン世界になじめたかなーとか思った矢先に財布落としてこの有様だ、わかるかコラ
外もここも!結局は金かチクショウ!外だったら日払いのバイトして何とかなったかもしらねーのによ、嗚呼、何で俺はこんな所で空腹に苦しんでいるのだろうか」
いつの間にかガキどもはひとりも居ない、ああ、また一人ぼっちか
話したら余計腹減った、糞、やっぱりいいことなんか何もないじゃ無いか
「成☆敗!」
ごずっ!
前頭部に激しい痛み、突然の出来事に瞬間的にパニックになる
しかし至近距離前方に姿を確認した瞬間、反射的に飛びのいた
ぶぉんと風を切る音がした、頭突き?
ちょっとまて、頭突きで風きり音ってどういうことだよおいおい
「貴様が不審者か、成程・・・見るからに悪人面だ」
「うるせぇ!生まれつきこんな顔なんだよっ!」
「・・・そんな顔の赤ん坊は怖いぞ?」
「ああそうだね!俺も今そう思ったよ!」
俺の目の前にいる、女性
薄い青の長い髪が、ふわりと風に舞っている
既に向こうは構えている
やるつもりらしい
正直頭突きは勘弁願いたい、だがどう見ても細身の女
其処まで強そうには見えんが・・・
素早い踏み込み、そしてジャブ
だが俺はちゃんと見ている
まずジャブをサイドにかわして―
首の横を過ぎたはずの拳、だがそれは違う
左肩を引っ張られる感覚、そう、既に肩をつかまれた
「なっ!?」
拳打ではない、それは肩を掴む為の偽装
「しまっ」
また頭突きか!?
目をつぶって衝撃に備えたのがいけなかった、俺は目を開いているべきだったのだ
腹部を貫いたのは、彼女の膝
腹が減りすぎて腹が痛いのだ、其処に膝蹴り・・・もう死ねるぜ、これは
踏鞴を踏みつつ、彼女との距離をとった
どう見ても細身の(ry
ああ、けしからん乳だ
よく見れば実にケシカラン乳がステップを踏むたびに揺れ(ry
嗚呼、何でか知らんが余計に腹が減った
俺をどう見れば不審者に見えるんだって話だ
長身イケメンまっちょー、三拍子揃って文句のつけようもないじゃ無いか
「・・・君、大丈夫か?」
「大丈夫なわけねぇだろ馬鹿女、こっちの言い分も聞かずにいきなり膝蹴りかますとはいい感じに頭いかれてんのか?」
「随分口が悪い奴だな、そういう口の悪さが誤解を生む原因でもあるんじゃないか?」
おいおい、俺に非があるってのか?だいたいなんだこの女は、いきなり出てきて頭突き膝蹴り説教
そもそも俺は何でこんなことしてるんだ?何でこんなにいらいらしてるんだっけ?
「おい、顔色が悪いぞ?大丈夫か?」
だから大丈夫じゃないって言ってんだろ、ああそうだった、俺お腹減ってるんだった
「なぁあんた、今までの事全部水に流して仲良くしようじゃ無いか、俺は腹が減ってしょうがないんだ」
「・・・まぁ・・・うん、一食ぐらいでいいなら、昼餉の残りぐらいはあるかも知れないが」
「何でもいい、出来れば米とかそういったものが食いたい、栄養価が高そうで腹にたまるもの」
「・・・解った、ついて来てくれ」
ホイホイついてきてよかったのかい?私はノンケだって構わずに食っちまうような女なんだぜ?
「おい、大丈夫か!?しっかりしろ!?」
「はっ!??・・・夢か」
「飯を食いながら夢が見れるのか、器用な奴だな」
俺の前には夢にまで見たご飯
4杯目のご飯と3杯目のお味噌汁
残り物が少なかったので彼女がわざわざ作ってくれたのだ
「むぐむぐ・・・・んぐんぐ・・・ぷはぁ、ご馳走様でした」
「随分腹が減っていたようだな」
「はい、ここ3日ほど何も口にしておらず・・・本当に助かりました・・・ええと」
「慧音、だ」
「慧音さん、本当にありがとうございます」
俺はなるだけ感謝の気持ちが届くようにと、頭を下げた
彼女はそれを見て、狐につままれたような奇妙な顔をする
「・・・なんだか、さっきと随分キャラが変わっているぞ、君はご飯を食べると性格が変わるのか?」
「ははは、先ほどは無礼なことばかり、失礼しました・・・空腹で気が立ってまして」
また頭を下げた、彼女は優しそうに笑っていた
嗚呼、なんていい女性だ
飯、しかもこんな綺麗な女の人の手作りのご飯、HAHAHA笑いが止まらんよ
もう頭突きとか膝蹴りとかもう忘れるわ、あれはこれでチャラですよ
「・・・君の、名前は?」
「え、あ、私は○○と言います」
「そうか、○○・・・そんなに気を張って話さなくてもいい、楽にしてくれ」
「・・・そうか、じゃあお言葉に甘えるよ、ええと・・・慧音さん」
「慧音で構わない、私も○○と呼ばせてもらう」
「解った・・・慧音、貴方にゃほんとに感謝してる、ありがとう」
一宿一般の恩とは言うが、まさにそれだ、頭突き等分差し引いても大きな仮だ
仮、否、これは恩だ
なんと言うか、食べさせてもらったこともなんだが、ちょろっとでも話をしてくれた事が、嬉しかった
「もう、行くのか?」
「はい、お金がなくても鍵さえ見付かれば何とかなりますから、いざとなったらどうにかして家に入りますよ」
空はオレンジ色に染まりだしていた
カラスも雀も、森へ帰っていく
俺も、家に帰らなきゃいけない
「それじゃあ・・・また、縁があったら」
「・・・○○、なんなら家に来てくれて構わないぞ」
「え、いや、ええと・・・そ、そうですね、どうしても入れなさそうなら、お世話になるかもです」
とりあえず、別れた
腹が膨れてまともな思考、こんな時間に魔法使いは動いてくれないだろう
それに、あんまり彼女に頼りすぎるのもよくない、依存しそうで怖かった
「さて」
とりあえずドアを蹴ってみる、悲しいかな硬い音がするだけだ
裏に回って窓を蹴ってみた、三日前に試したとおり、ヒビすら入らない
「こんな家、買うんじゃなかった」
この世界に来た時の全財産で買った家
妖怪の侵入を防ぐ結界つき♪とかいうから買ったのに
人まで入れないんじゃ意味ねーよorz
はぁ、怪しい狐女から買ったのは間違いだったな
「・・・野宿できそうな所を探さなきゃな」
なるべく明るくて、人気が多くて、里の真ん中
さほど寒くないし、大丈夫だろう
いい場所を探して日の暮れた里をふらふらと、うろついていた
そして
「やぁ、おかえり」
後ろから、声をかけられた
「慧、音・・・」
「やぁ、その様子だと駄目だった見たいだな」
「あはは、無駄に頑丈な家でね・・・」
「・・・・家に来るか?」
「いや、遠慮しとくよ」
「・・・居候も居るし、今更遠慮しなくていい、それよりも君を野宿させることの方が気になってしょうがなくてな」
「・・・そんな言われると、お言葉に甘えたくなっちゃいますよ?」
「ああ、好きにしてくれ、無理にとは言わんが・・・君さえよければ、泊まっていけないか」
思い込みかもしれない、ただ通りがかっただけかもしれない
もしかしたら、もしかしたら俺を探していてくれたのかもしれないなんて、期待をしてしまう
それでも、今は、なんでもいいから、嬉しい
「それじゃあ・・・帰ろうか」
「そう、ですね・・・それじゃあ・・・お世話になります」
財布をなくしたせいでとんでもない目にあった
野宿したり空腹に苦しんだり、木の実を拾いに入った山で妖怪に追いかけられたり
子供におちょくられて頭突きで膝蹴りだったり
でも、無くしたおかげで、知り合いが、増えるのなら、あんな目にあったことも、悪くないかもしれないと、思える
自分でもよく解らない展開になっているとは思うが、このよく解らん世界なら、何が起こっても不思議はない、そう自然に受け入れられそうだ
「居候が一人居るんだがな・・・まぁちょっとぶっきらぼうな所もあるが基本はいい奴なんだ」
「はぁ・・・?」
「まぁアレだ、喧嘩とかしないように頼むぞ」
「・・・?」
「おや、帰ってるみたいだな」
玄関にちょっと乱れた靴を見つけた
それは先客がいると言う事か、先ほど言ってった居候とはこの靴の主なのか
靴を、もう一度見た
小さい、慧音とそう違わないサイズ・・・女か
両手に花か、うふふ、ふひひ
「慧音ーお腹すい・・・た」
部屋に入った瞬間、タバコのにおい
縁側で胡坐をかいて座っている少女は、タバコを咥えている
なんか色々と抱いていたイメージが崩れたと言うかなんと言うか
「あんた、誰?」
「あ、ああ俺は、○○だ、今晩はお世話になる」
「・・・そういうわけだ妹紅、仲良くするんだぞ」
あ、見るからに不機嫌そうだ
なんと言うか仲良く出来るか不安になる奴だなぁ
「ふぅん・・・慧音、コイツとどういう関係?」
俺と慧音を交互に見て、ワケワカランことをぬかしやがった
「どういう?いや・・・なんと言うべきか・・・なぁ?」
確かに、どういう中かと問われたら、凄く返答に困る
俺が財布を落とした所から話を始めねばならん
「ええと・・・鍵が無くて家に入れないんだ、困っている所を慧音が助けてくれたと言うわけだ」
我ながら色々と断片的で何がなんだか
まぁ言いたい事は伝わったはずだ、はずだ
「・・・まぁいいや」
ふぅう、とタバコの煙を大きくはいた
家の外に向かって煙を吐くのは彼女なりの気遣いなのか
彼女、ええと・・・もこうって言ってたか
もこうはタバコに火をつけると・・・あ?
「あれ・・・?」
「んーどうし・・・ああ、これか」
もこうは人差し指を立てて
そこに、火が点った
慧音は困ったようにうなだれ、妹紅はニヤニヤと、哂っている
「○○、あれはだな、その」
「へぇ、便利な能力だな」
発火能力か、ライター要らずってのはいいなぁ
俺もああいう役立つ力があればなぁ、野宿とか楽になるなぁ
「・・・驚かないね」
「幻想郷に来てから、だいぶ驚きなれたみたいでね、それ位じゃ驚かないぜ」
「・・・」
宴会でとっておきの手品の反応がわるかった、そんな感じの落ち込みかた・・・いや、不貞腐れてるのか
「ほ、ほら、早く夕餉にしような!妹紅、手伝ってくれ!」
飯も食い終わり、特にやることも無いのんびりとした時間が
「ねぇ・・・ええと」
妹紅が俺に話しかけてきたのだが悲しいかなまだ名前を覚えられていないらしい
「○○だ、妹紅」
「あ、ああ・・・○○、あんた外の人間?」
「そうだ」
「こっちに来てどれ位?」
「半年ぐらいだな」
「こっちの住人は怖くない?」
「別に、変な力を持ってようが見た目は人間だろ」
そこで慧音がくすりと、笑った
「あ、いや、すまない・・・なるほど、性質より見かけか」
中身は簡単には知りえない、ならば外を見るしかない
何となく、外見でわかるもんだ
取繕ったカタチと、そうでないカタチは
「何となく解る、二人とも完全な人間じゃ無いことぐらいは」
「・・・」
「・・・結構鋭いね、まぁ変り者じゃなきゃこんな所には流れつかないか」
へんな奴に変り者扱いされてしまった、軽く傷つくぜ
「その、○○は、私たちがまともな人間じゃ無いと解っていて・・・」
「そもそもまともな人間ってなんだろうな」
「うわ、めんどくさいなんちゃって哲学見たいな事言い出したよこいつ」
妹紅がぎゃあぎゃあと五月蝿いが、せっかくなので放っておく
「ここって、幻想郷ってよ、そういうことひっくるめて何だかんだで共存できるすばらすぃー場所なんだって、へんな巫女が言ってた
そもそも、慧音や妹紅を見て、悪い奴には見えんし、怖くも無い・・・だから俺はここにいる」
そもそも人間じゃ無いからって怖がってたらここじゃ生きていけないだろう
相手の本性がぼんやり解る程度の能力
自らが変だと、周りが普通で俺が変、そう思っていた
だが幻想郷に来て、自分より変な奴しかいないことが、可笑しくて
「まだ出会ったばかりで、よく解らない事ばかりだけど・・・俺は二人を信用する」
「○○・・・・・・わ、私は、風呂にはいってくるなっ」
どたばたと、騒がしく入浴宣言をして、慧音がいってしまった
妹紅と、二人きりになった
「・・・あんたさ・・・いま慧音フラグ立ったよね」
「・・・ふらぐ?」
「あー・・・いや、わかんないならいいんだけど」
ふらぐ?フラグ?フラッグ?フロッグ?
俺がフラグについて脳内会議を開いていると
「・・・慧音は、半獣人だ」
「・・・それが、どうかしたのか?」
「もし、慧音の違う姿を見たとしても、怖がったりしないで欲しいな・・・なんてね」
最後に付け足した呟きが、あんたなら大丈夫か、と聞こえた気がした
たしかに、慧音の言った通りだ
ぶっきらぼうだけど、やさしい、いい奴
妹紅、か・・・仲良く出来るか不安だったが、杞憂だったみたいだ
「でもさ、今日あったばかりの俺に、何でそんな助言をくれるんだ?これからも濃い付き合いになるとは」
「勘だ、あんたは慧音と仲良くなれるさ」
「長年の勘ってやつか」
「まぁね、長く生きてると、少しはね」
俺の知らないぐらいの時間を、彼女は生きてきたのだろう
彼女の瞳の奥が、あまりに深くて
俺はまともに見る事が、出来なかった
「ふぅ、少し・・・逆上せてしまったな」
逃げるように風呂に入ったのだが・・・色々とぐるぐると考えていたら
「みず・・・」
頭がボーっとする、こういうときは表で涼むと気持ちいいんだが・・・この間そうやって風邪を引いたからなぁ
「うぉ!?」
「え?あ、○○・・・えと・・・喉が渇いたのか?」
「え、あ、ああ・・・まぁうん、そんなところだ」
正直、ドキッとしてしまった
うっすらとピンク色に染まった肌、いまだ少しばかりぬれたままの長い髪
風呂上りで暑いのか、着くずした服装、そのせいで見える谷間とか、谷間とか
「君もボーっとしてるな」
ボーっとしていた○○
声をかけたとたんに私のほうから、体ごと視線を変えてしまう
「?」
「な、なんでもない」
何かワルイコトでもしてしまったか?それとも
「なぁ○○、妖怪は・・・怖いか?」
恐らくまだのぼせているのだろう、柄にも無く、へんなことを聞いてしまう
でも、彼はきっと、私の望む答えをくれるのだと、期待してしまう
「・・・そうだな、妖怪人間問わず、俺に害をなすのが怖いな、妖怪でも友好的なら、怖くない」
ほら、彼はこういう人間だ
あってまだ一日経っていないのに、私は、彼が
「ふぁ・・・あー・・・もう寝るな、おやすみ」
「お、お休み○○・・・」
反射的に、手が出そうになった、待ってと、言ってしまいそうになった
「・・・なんだろうな、これは」
自らの内に湧いた、未知の感情、不思議な心地よさとじれったさ
「・・・私はこんなに惚れっぽかったのか?」
なんだかよく解らないが、一目ぼれという奴なのだろうか
いや、二目惚れぐらいか?
「人は人を、いつの間にか好きになる・・・か」
湯上りで幸いした、もしかしたら私は赤くなってるかも知れないから
私は、一杯の水を飲み、ほてった感情を、醒ました
「・・・はぁ」
深い、溜息をついてしまった
慧音の家に世話になってもう4日
財布も鍵も見付からず、家を買った狐女を捜して徘徊するが、まったく見付からない
俺の能力なんてハッタリを見破る程度の能力だしなぁ、使えねぇ
「・・・まだ飼える訳にも行かないし・・・どうしたもんか」
昼間のあそこには、居辛かった
妹紅は早々に何処かへ出かけて行ったし、慧音は学校(?)にいってしまったし
流石にあの家に一人だけ居るのは、何か嫌な違和感を感じてしまった
「・・・誰かのとこで時間が潰せたらなぁ」
そんな知人がいないから慧音の所でお世話になってるのにね、可笑しな話しだははは
嫌な考えはおいといて、どうしようか
「倉庫なら、壊しても大丈夫だろ・・・そもそも壊れるのか?」
俺は自分の家に戻り、釣具やらなんやらが入った倉庫の前に、立っている
「すぅぅぅぅううう」
大きく息を吸って、吐くと同時に、渾身の中段前蹴りをっ!!
ば、馬鹿な!?俺の前蹴りが・・・効かない!?
「は、はは、手加減してやればいい気になりおって、あまり調子に乗るなよ、小僧(倉庫」
半歩ほど、倉庫に近づいて、構えた
「我が真の力!しっかりとその目に刻むがいい!!」
ぐるん、ぶぉん、がしゃーん
俺の渾身後ろ回し蹴り
アルミ?薄い金属性のトビラは90度近く曲がって、見事に、破壊に成功した
「は、ははは!見たか我が力を!・・・・・・なんか予想以上にやっちゃったZE」
真っ昼間から倉庫相手に何やってるんだ俺は
我に帰ったとたん、凄く虚しくなった
「まったく君は、昼間から何をやってる」
こ、この声は!
「慧音・・・いつから其処に?」
「あまり調子に乗るなよ小僧、ぐらいから居たんだが・・・やはり気付いてなかったんだな」
ぐはっ!そんなに前から・・・orz
もうだめだ、穴があったら入れtじゃなかった入りたい
「えっと・・・昼飯は食べたのか?」
「え?ああ、そういえば忘れてたな」
「そ、そうか・・・こいつが無駄にならずにすみそうだ」
「?」
慧音は右手に持った風呂敷に包まれた何かを高く上げて、俺に見せ付けた
しかし俺はそれがなんだかさっぱり解らない
慧音は痺れを切らして、自らの口でその何か、の正体を
「べ、弁当だ!君が腹を減らしているのではないかと思って、その・・・」
ぐは、こ、これは
なんと言う破壊力!
頬を染めてもじもじ+手作りの弁当=神をも凌駕する破壊力
ここで注目して欲しいのがこのうつむき加減だ!
完全に伏せてしまうのではなく、潤んだ目や赤い頬、また、耳までよく見えるベストな傾き加減だ!
作者の私見を言わせて貰うなら、これは恐らく自然に生み出された、究極の美であると言えよう
普段はお姐さん系の性格にも拘らず、ここぞと言うときにか弱い女の子に戻る、それによって生ずる威力は筆舌に尽くしがたい
「○○?」
「はっ!?い、今なんか変なナレーションが!??」
「・・・もしかして、食べたくないか?」
「何言ってる、食べたくてうずうずしてるんだぜ!(即答」
「そ、そうか・・・えと、じゃあ食べよう」
とりあえず座れるような場所を探して、玄関の段差に座る事にした
・・・重箱?
2段の重箱?いや、上の段は二つに分かれて・・・ああなるほど、それがご飯ね
ってことは下の段が、おかずか
卵焼きを一つ、食べてみた
~青年食事中~
こ、これは、シャッキリポンとry
口の中に残るほのかな甘味とry
舌触りはまさに官能的なry
~青年食事中~
「・・ぷはぁ、ごちそーさま・・・美味かった」
「うむ、お粗末さまだ・・・いやぁ、アレだけ気持ちよく食べてもらうと、作った方としても嬉しいよ」
ただ食べただけなのだが、そう言ってもらえるとまぁ悪い気はしない
しかし・・・料理が美味いと言うのはイイコトだな
料理が出来ない女の子は嫌い?と聞かれたら嫌いとはいえないがね
むしろ下手でも一生懸命作ってくれるところに意味があるのではないかと
つまり料理の上手下手は関係なく誰が為に作ろうとするかが重要なのではなかろうか
「○○、君はボーっとする癖があるようだな」
「え、いや、そんなことは無いぜ、うむ」
俺がほうけている間に片付けてしまったらしく、もって来た時のような風呂敷包みになっていた
「・・・この後さ、時間ある?」
「あ・・・すまない、午後からも少し授業があるんだ」
「いやちょっと聞いただけだ、別に用があったわけじゃ無い」
「そ、そうか・・・じゃあ私は行くよ」
「・・・ああ、いってらっしゃい、頑張れよー」
彼女は少し歩いていって、突然に振り返った
夜までには帰ってくるんだぞ、と
俺はそれに対して、手を上げて、解ったと告げた
「・・・帰ってこい、か」
慧音が行ってから少したって、一つ言葉を、零した
慧音は俺が今日も帰るものだと思っている
俺もそれをありがたく思って、今日もあの家に世話になるのだろう
でもあそこは俺の家じゃ無い
あくまでも彼女、慧音の家だ
「帰るべき、場所か・・・」
一週間近く誰も立ち入っていない家を、見た
前までは当たり前のようにここに帰っていたのに、今では
「・・・はぁ、めんどくせえ」
倉庫から釣り道具やらなんやらを引っ張り出して
時間をつぶす事に・・・したんだが
「おーまた釣れた、あんたって釣り巧いんだね」
なぜか隣に座るヤンキー、あらため妹紅
「・・・」
「もう8匹目だ、あと一匹で一人3匹食べれるじゃん」
いや、コイツが竹林にいると知ってれば、近くの川まで来なかったんだ
ちょっと足を伸ばして湖まで行ったんだ
「・・・お前、見てて楽しいか?」
「ん?楽しいよ」
・・・初日とあまりに違うコイツの態度、馴れ馴れしげふんげふん、フレンドルィーな態度に、少し戸惑いつつも
「ほら、お前もやってみろよ」
「え?いや・・・わかんない」
こいつは釣りもしたこと無いのか
しょうがないのでとりあえず
「餌はついてるから、ほら、竿持って」
とりあえず竿を持たせた
だがほんとに何も知らないらしく、と言うか今まで横で見たただろ
「ほら、こうやって、下からゆっくりと、振り込みたいに」
「こ、こう?あ、おお・・・」
ぎこちないながらも何とか投げる事が出来たようだ
伸べ竿でこんなに苦戦する奴は始めてみたぜ
「あのウキをよく見て、沈んだら引っ張ってやれば」
「あっ・・・」
「?・・・あ、わ、悪い」
いつの間にか、と言うか最初からか
妹紅の腕を握って、いや、そういうつもりは無くただ純粋に教えようと思ってだなry
気にしてなかったのに、そういう態度を、とられると・・・余計に気になってしまうじゃ無いか
「・・・慧音の次は私のフラグ立てるつもりかって・・・」
「え?」
「な、なんでもないっ!」
なんなんだよまったく、ドイツもコイツもフランスもオランダもイタリアもセネガルも
「・・・妹紅、竿を立ててみろ」
「え?こ、こう?」
何も理解せず、ただ言われたまま竿を立てた妹紅
「う、わ!○○!?」
予想通り、上手く魚が掛かったようだ
「竿を高く上げて、手前に寄せろ」
竿が三日月のように曲がり、その引きは妹紅の手へと伝わっている、はずだ
「んー・・・よし、外れたぞ」
岸に引っ張りあげられた魚、針を外して妹紅に見せてやった
「・・・はは、人生で初めて魚を釣ったよ」
「お前長生きなんじゃないのかよ・・・釣りって、楽しいだろ?」
「うんっ!」
ああ、こいつの笑った顔、凄く可愛いんだな
いつもしかめっ面でいるけど、やっぱ可愛いなぁ、女の子なんだなぁ
やべ、妹ができたみたいな気持ちだ
釣った魚を手にはしゃぐを妹紅を眺めていて、妙な気分に陥った俺だった
「お、二人ともお帰り」
家に入ると慧音が出迎えてくれた
今から料理をしようというところだったのか、髪を後ろに束ねていた
「あ」
「ん?・・・あ・・・へ、変か?」
「いや・・・似合ってるな」
いかん、また変な方向に話しが行こうとしている
いつもの爽やかな感じの髪もいいんだが、サッパリした今の髪も、なかなかどうして
ごすっ
いきなり妹紅に足を踏まれた
「づぁっ、てめ「慧音!魚を釣ってきたから、料理するなら手伝うよ!」
「あ、ああ」
「もう腸は出してあるから」
妹紅は慧音の背中を押して、急ぐように台所へと行ってしまった
トビラ一枚向こうでは楽しそうな会話も聞こえて
「・・・今日は、疲れた」
でも、楽しかったな
慧音と昼飯を食べて、妹紅と釣りをして
「いかん、なんか馴染みはじめてるな・・・」
彼女たちがそういう性質なのもあるだろうが、俺もまたそれに甘んじている所もある
「・・・はぁ」
色々な思いを込めて、大きな溜息を吐いた
「びくとも、しないな」
俺はまた、俺の家にいた
相変わらず、なんと頑丈な事か
蹴っても叩いてもびくともしない
「長所だが短所だな」
冷蔵庫の中身が心配すぎる、出かけ際に机に置いた牛乳が怖い
・・・ちょっと開けたくなくなった
「○○」
「ん、慧音か」
またここで、昼飯を食べる
変な習慣になっていた
彼女も家で食べればいいのに、ここにきて、俺と飯を食う
彼女がなぜそうするのか、なぜ俺がそれを嬉しく思っているのか
「なぁ○○、この後は暇か?」
「・・・俺は今お前にその質問をしようとした」
聞く前に聞かれるとは、少し驚いた
しかし彼女の方から聞くということは、午後からは時間が有るんだろうな
「えと・・・暇なんだな?」
「ああ、暇だな」
「そう、か・・・だったら私に付き合ってくれ」
ほう、何処へ行こうと言うのか
買い物?荷物もち
はて、この狭い世界じゃ皆目見当つかない
「買い物と・・・ちょっと人に会うだけだ」
「うん、これもいいな」
「・・・慧音さん、これはどういうことでしょう」
俺は今、服屋に居る
何でか知らんが、慧音は俺に色々な服をあてて、うんうんと
「こっちはどうだ?あー、何か違うな」
「慧音・・・なぜ俺が服を買う必要がある」
「何故って・・・お前が服を持たないからだ」
「いや、家には入れれば」
「入れる見込みが無いからこうして」
「金ないし」
「出してやる、食費にしか使わないからな、貯えはあるぞ」
ま、まてっ!衣食住、これ全てを彼女にゆだねると言うのか!?
否!断じて否!踏み越えてはならない最後の一線だ!そこまでさせてしまったら、俺は・・・俺は・・・
唯の、ヒモじゃ無いかっ!
「そ、そうだ!俺用事を思い出してぐはげふっ」
慧音のレバーブローが、俺の横っ腹を貫いた
「・・・さぁ服を え ら ぼ う か 」
~青年試着中~
「ありがとーございましたー」
結局三着ほど、買わされ、買ってもらわされた
「もうお嫁にいけないめそめそ」
「何を言ってるんだ君は」
呆れたように、かのじょは
「ほら、まだ後一つ用事があるんだ」
俺の手を引いて、歩き出した
これじゃあまるで、カップルのデートだ
ぐは、恥ずかしすぎる、そんなの恥ずかしすぎる!
ああ、慧音の手柔らかくて小さくて・・・しまった!変に意識したら
「・・・○○の手は、大きいな」
はにかんで、楽しそうに、笑った
俺はそこで、諦めた
せっかくなのだから、この状況を存分に、楽しんだって罰は当たるまい
「慧音」
「ん?どうした」
「これじゃあまるで、俺たち・・・カップルみたいだな」
慧音は一瞬固まって、ぼんと音を立てて赤くなった
「ばばばばばばばばばかなここことをいって」
「手、離そうか?」
「なっ・・・・は、離さないで、くれ」
耳まで真っ赤にして、消え入るような声で、そう言った
俺はこの場で抱きしめてしまいたかったけど、人通りも多かったので、頑張って我慢した
「と、言うわけだ」
「・・・まぁ解ったが」
「なら、頼んだぞ、私はここで待ってるからな」
「・・・」
がらがら
「おじゃましまーす・・・」
小声で一応断りを入れて、屋敷に入った
慧音の言うとおりならば、ここに
「・・・どなたですか?」
「ああ、えっと・・・慧音の知り合い」
「ああ、先生の・・・それで、どういった御用で?」
かくかく
しかじか
「ええとつまり、求聞史紀の内容が気に食わないので書き直せと」
「ええ、頭突きがどうのとか、角がどうのとかキモくないとかなんか言ってたけど・・・」
「あはは、どうやら噂で伝わってしまったようですね」
「ええと・・・」
「阿求と申します、稗田阿求」
「俺は○○、外から流れついたんだ」
彼女、稗田阿求と名乗った
まだ10ぐらいの子供、だが大人びて・・・と言うより生き急ぐ様な
俺の能力ゆえか、彼女は長くないんだなぁと、感じてしまった
「貴方もこれに載せましょうか?異能を持った人間も載せてますよ」
見透かされて、と言うよりも、勘だな
今俺が少しだけ見せた驚きを、阿求は見逃さなかったらしい
カマかけられるとは、俺の力も役立たずな
「・・・表で慧音が待ってるからね、もう行くよ」
「先生には検討だけはしてあげます、って伝えてください」
このまま話しつづければ茶でも出てきそうな気配なので、早々に退散する事にした
阿求ちゃんは、俺に
「○○さん、最後に一つ」
「・・・なんだい?」
「慧音先生とは、どういったご関係でしょうか?」
意図が、掴めない
最初に知り合いと名乗ったそれとは全く違う意味の、関係だろう
だが俺には、明確にそれを指し示す事の出来る言葉を、持ち合わせていない
「・・・居候と、家主、ってところか、な?」
「・・・ふふ、また近いうちにきてくださいね、また同じ質問をしますから」
「?ああ、次はゆっくりと、お話でもしようか」
最後の、同じ質問を、と言う意味がまったく、解らない
彼女はいったい何を伝えようと言うのか
今の俺では、理解しようが無い
「お、お帰り○○」
「ああ」
入り口近くで、ぼうっと空を眺めていた
彼女は一人でいるときに何を考えていたのだろう
「どうだった?」
「検討だけはしておくとさ」
「そう、か・・・まぁ仕方無い」
慧音は俺に向かって、手を差し出した
帰ろう、と
今度は、その手を躊躇い無く握る事が、できた
どういう、関係
財布をなくした事がきっかけで、家に入れず、ふらふらしていた所を
彼女、慧音に、世話になって、今・・・俺たちの関係、か
「なぁ慧音」
「・・・なんだ?」
「俺さ、お前の家で生活し始めて、変な違和感を感じてたんだ」
「・・・」
「だけどさ、今は・・・お前の所が帰る家になって、それもやっぱり違和感があって、なんで俺がここに居るのかなぁって」
人付き合いは苦手だった
彼女の所も、3日もすれば居心地が悪くなって出て行くんだと、考えてた
俺は所詮根無し草みたいな奴で
なのになぜかそこは、居心地がよくて
「俺は、お前と一緒にいたいと、思っちまった、あの家から、お前の居る家から出て行きたくないな、何て思っちまった」
「○、○・・・それって」
「・・・お前が、好きなんだよ・・・これからも一緒にいたいんだ・・・慧音」
繋がっていた手、引き寄せて、抱きしめた
彼女の身体は、頼りないほどに軽く、柔らかかった
「私は、お前が・・・いつか出て行くんじゃないかと、出て行ったまま帰ってこないんじゃないかと、怖かった」
「・・・君が許すなら、ずっと傍に居る、いなくならない」
「・・・これからは毎日、君にお帰りなさいが言えるな」
「ははっ、そうだな、いってらっしゃいは俺が言わなきゃならないかな」
「このままヒモになるつもりか?」
「いやぁ流石にそれは・・・働くから安心してくれ」
きょろきょろと、周りに人が居ないのを確認して
「慧音」
「あ、んっ、んんっ・・・ぷぁっ」
唇を、重ねた
ただ触れる程度のキス
しかし、想いを伝えるには、十分だと、思う
それからしばらく
正確に言えば日が暮れるまで
抱き合ったまま、お互いのぬくもりを感じていた
「お腹すいた・・・慧音も○○も帰ってこない・・・お腹、す、いt(バタッ」
次の次の日ぐらい
「やぁ、遊びに来たよ」
「思ったよりお早いお越しですね、○○さん」
稗田家、縁側
今日はゆっくりと話が出来ますねと、彼女・・・阿求は言った
外の話を聞きたかったらしく、熱心にメモを取ったりしていた
「・・・そろそろ、帰るとするよ」
縁側から腰を上げ、玄関に向かって歩き出すと
「・・・ところで・・・先生とは、どういう関係なのでしょうか?」
正直、彼女は未来予知でもできるのではないかと思ってしまった
心でも読めるのか、それとも勘がいいのか
「・・・慧音と俺は・・・そうだな、恋人・・・だな」
「そうですか・・・幸せそうですね、それはとてもいいことです」
それではまたきてください、そう言っていた、俺はもう歩き出していたので、そこまでしか聞き取れなかった
きっと彼女は、あの質問の、正しい解答を知っていたのかも、しれない
そして俺は、あの質問を、答える義務があった
「運命ってのは、信じないんだがな」
でも、落としてしまった鍵と、出会ってしまった俺と、慧音
そして
「恋人、か」
俺は彼女の声が効きたくなったので、ゆっくりと、歩いて帰ることにした
夕日が全てをオレンジ色に染めて
まるで、彼女に誘われたときのようだ
「私の家に、泊まらないか?」
心臓が、止まるかと思った
「けい、ね?」
夕日を背に、彼女は
であったときの、再演のように
「まだ一月ほどしか経っていないのにな、出会った日は、こんな夕焼けだったなと、思い出していた」
俺は、慧音より少し、先に行き
手を、差し出した
「帰ろうか」
「・・・ああ」
慧音は俺の手をにぎり、俺も握り返した
夕日に染まった道、二人で並び、ゆっくりと、歩いていった
end
13スレ目>>417、432、477、489
うpろだ989,993,996,998
───────────────────────────────────────────────────────────
「ここにいたか○○」
「慧音先生どうしたんですか?明日はお休みのはずでしたが……」
「いや、用事というわけではないんだが……」
「?」
「その……だな、わ、私とデートしないか?」
「デートですか……へっ!?お、俺と慧音先生がですか!?」
(コクリ)
「え、えーとですね……」
「わ、私じゃダメか……?」
「そんなことないです!行きましょうデート!」
「そ、そうか!嬉しいぞ○○!」
「で、どこに行きましょうか」
「いい場所を知っているんだがそこでいいかな?」
「あっ、はい!」
~霧の湖~
「涼しいですね慧音先生」
「ここは夏でも涼しいからな」
「……」
「……あのだな、○○一つお願いがあるんだがいいか?」
「何でしょう?」
「ふ、二人っきりのときは……その……慧音でいいぞ」
「慧音先生」
「むぅ」
「冗談ですよ慧音」
「ふふっ、嬉しいな名前で呼ばれると」
「……んっ寝てしまったのか」
「起きたか○○」
「慧音、顔が近いです……ってひざまくらですか」
「よっかかられた状態では辛そうだったからな、だからこの状態にしたが……ダメだったか?」
「いや、十分楽な姿勢ですよ慧音」
「そうだ耳掃除をしてやろう」
「あ、ありがとうです」
カリカリカリカリカリカリ
「なかなかたまっているな、教室は埃っぽいか?」
「掃除はしてるんですけどね」
「ほらっ左が終わったぞ、右を向いてくれ」
モフッ
「……」
カリカリカリカリカリカリ
「よし、終わったぞ○○」
「……」
「どうした○○?」
「いや、なんかこの気持ち懐かしいと思ってな……」
「そうか……」
「……慧音、もうすこしこうしてていいか?」
「ああ、いいぞ」
「……私が眠ってしまったか」
「……すーすー……」
「○○め、いつのまにか私がひざまくらされているではないか」
「う~ん慧音……」
「私が出てくる夢か、いったいどんな夢を見ているのだろうな……」
「慧音……好きだ~……」
「なっ、何だって!?」
「……むぅ……ん、また寝てしまったか」
「ま、○○!今言ったことは本当か!?」
「何か言いましたか俺?」
「いや、覚えてないならいい。はぁ……」
「慧音のことが好きって言っただけですよ」
「!? あ、あのな○○、そういうことは簡単に……」
「慧音だから言うんです、他の人になんか言いませんよ」
「そ、そうか……ありがとう○○、私もお前のことが好きだぞ」
「ありがとう慧音」
「その……さっきのはプロポーズということでいいんだな?」
「ああ、いつか言おうと思ってたし」
「ふふ、いつの間に敬語じゃなくなったな」
「先生だったからな、敬語を使う癖ができてるんだよ、きっと」
「だったから?」
「今は俺の愛する奥さんだろ?」
「う、うむ、そうだな」
「だったら慧音もそんな堅苦しい言葉遣いしなくてもいいんだ」
「そうか……○○、これからもよろしくな」
「ああ、よろしくな」
>>うpろだ1095
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上白沢塾弐千八年度一学期期末試験
1、次の空欄に入る言葉を書き込みなさい。
①、慧音先生の好きな人は( )である。
②、慧音先生は○○を( )しています。
③、○○と慧音先生は( )しあっています。
④、二人は( )です。
⑤、時々妹紅は( )になります。
○○「何これ・・・」
慧音「おお○○、百点を取ったのはお前だけだぞ、おめでとう」
○○「間違いなく皆呆れて何も書いてない筈だし俺も書いてない」
慧音「○○の答えなら空欄でも正解なのさ」
○○「はぁ・・・大体解答欄に当て嵌まる様な関係はほとんど無いだろう?
俺も慧音が好きだけど、こういう行き過ぎた嘘は・・・」
慧音「大丈夫だ○○」
○○「?」
慧音「今から事実にする」
○○「や、ちょ、待って・・・
ていうか満月なんだからせめて掘るとかで許してアッー!」
17スレ目>>137
───────────────────────────────────────────────────────────
静かな夜。空に浮かぶは満月。
里外れに向かう、数人の人影があった。
その彼らの前に、現れた影が一つ。
「待たれよ」
中心に居た人物を護るように前に出た人間達に構わず、ソレは口を開いた。
「此処より先は危険なり。今宵は満月。妖共が騒ぐ夜。引き返されよ」
だが、それを口にするその姿もまた、異形。
銀灰の体毛を持った、大柄な成人男性の大きさほどもある一匹の大犬であった。
ざわめいた人間達を押し留めるように、中心に居た人物――少女が前に進み出た。
「どうも、こんばんは」
「これは、阿求殿。どうなされました」
「慧音さんにお尋ねしたいことが在りまして」
「ああ、幻想郷縁起についてでありますか」
阿求の前までやってきて丁寧に座り、犬――彼、と言うべきか――は応じた。
「ええ、ご案内願えますか?」
「……ふむ、生業のことでありますしな」
「ありがとうございます。手土産がないわけでもありませんから」
「承知いたしました、我が主のところまでお送りいたしましょう。では、どうぞ」
今度は伏せの状態になり、阿求に乗るよう視線で告げる。
「それでは、失礼致します」
「あ、阿求様!?」
「大丈夫です。では、みなさんは先に帰られてください」
横座りで大犬の背に乗った阿求に告げられ、稗田の家人達は慌てる。
「し、しかし」
「帰りは私と慧音殿で必ず送り届けます。御安心を」
一見妖怪にしか見えないその姿に言われて家人達は戸惑ったようだが、くすくすと阿求が微笑って見せた。
「大丈夫です。二刻もかかりませんから」
「は、ですがならば、せめてこちらで待たせていただきたい」
「それでは、もう少し里に近いところでお待ちください」
彼は仰々しく頭を下げると、阿求を背に乗せて歩き出した。
「今宵は、仕事も少ないと申しておりました。幾らかは話を出来るでしょう」
「ありがとうございます。でも不思議ですね、その姿だとそういった喋り方になるのですか」
「私としては変わったつもりでもないのですが、そう受け取られるようです」
ゆっくりと歩きながら、そう言葉を交わす。
「間もなくであります……慧音殿!」
「うん、どうした……ふむ、阿求殿か、どうなされた」
仕事をしていた慧音が、阿求と彼の姿を見つけて近付いてくる。
頭には二本の角。彼女のもう一つの姿、白澤の形であった。
「少しお聞きしたいことがございまして」
「幻想郷縁起について、であるそうです。本日は仕事も些か少ないはずと、こちらまでお連れした次第であります」
恭しいまでの仕草で頭を下げる彼に微苦笑を向けて、慧音はその額を撫でる。
「仔細は承知した。では、少し待っていただいてよいだろうか」
「はい」
彼が姿勢を低くして、阿求が彼の背から降りる。
そして、慧音が歴史を紡ぐ様子を見守っていた。
「さて、失礼した。用とは何だろうか、このような満月の日に」
慧音と阿求が近くの岩に隣合って腰を下ろしたのを見て、彼は何か筒のような者を口に加えて持ってきた。
「慧音殿、その前にこれを」
「ああ、すまないな。阿求殿も如何かな。緑茶だが」
「いただきます」
予備のカップを被せた水筒を受け取り、慧音はカップに注いで阿求に渡した。
「さて、話の腰を折ってしまってすまない」
「いえいえ。話とは、彼のことについてです」
「私ですか?」
「ええ、幻想郷縁起に入れさせていただこうと思いまして」
その言葉に、ふむ、と慧音は形の良い顎に手を当てて少し考えるように苦笑した。
「確かに、それは今夜が相応しいな」
「そして、慧音殿に尋ねるのも。私もまた、半獣でありますから。そして、まだこの世界の理をよく知らない」
「外来人で、半獣……となると、やはり縁起には入れておきたいのです」
阿求はそう言って、慧音の足元に座る彼を改めて見た。よく見れば、彼の左後ろ足に大きな傷痕があるのがわかる。
ここに来て少しした頃、彼は妖怪に襲われ、慧音に助けられたものの左足に大怪我を負った。
そして。
「怪我の治りは悪くなかったのだがな。まさか呪が残るとは」
「しかも、後天性にしては珍しく完全な獣の姿ですからね」
我が家の家人達が恐れておりました、と阿求はくすくす笑う。
「申し訳ありません」
「いえいえ。貴方が獣人であることを知る人は少ないですし」
「一度言っておかねばならないのでしょうが、如何せん、まだ慣れませんで」
「まだ薄ぼんやりとしか物事を覚えていないらしい。まあ、時が経てばそういうこともなくなるのだろうが」
「家人には伝えておきましょう。それに、慧音さんと常に共に居るということが知れれば、警戒されることもないでしょうし」
「な、それは、その」
微かに動揺した慧音に微笑んで、阿求は足元の彼に尋ねる。
「貴方自身も、大人しいようですしね」
「そう取っていただけると幸いです。私はただ、慧音殿の為に在る者ですから」
「こ、こら」
「お熱いことで何よりです」
慌てる慧音と微笑い続ける阿求を交互に眺めて、しかし、と彼は口を開いた。
「呪などというものが、この世に在るとは露とも思いませんでした」
「……此処は幻想郷だから、な」
どこか哀しげな慧音を見上げて、彼は失言をしたと言うように、クウ、と喉を鳴らした。
そう、彼は人間なのである。いや、今となっては半人半獣。満月の夜にのみ、完全な大犬の姿になってしまう。
襲った妖怪が大犬のカタチであったからか。それはもう知る術はないけれど。
「……少し重い話にもなりそうですし、とりあえずはこちらを如何ですか?」
そう阿求が取り出したのは饅頭だった。それを見て、彼がピンと耳を立てる。
「疲れているときには良いでしょう」
「ありがたい」
阿求から二つ受け取って、慧音は尻尾をブンブンと振っている彼の鼻の上に饅頭を乗せた。
彼はじっと待っている。少し微笑って、慧音は、食べていいぞ、と告げた。
嬉しそうにぽんと一つ宙に浮かせ、器用に口の中に放り込む。
「……何だか私、凄いものを見た気がします」
「……いや、何だかつい」
尻尾をパタパタさせて饅頭を味わいながら、首を傾げている彼の姿に、思わず笑みが漏れる。
「そういえば、甘党って言ってましたっけ?」
「ええ、味覚は変わらないようで。今度御礼に何か作って持って参ります」
機嫌の良い彼に、今度は阿求が一つ渡した。礼を言って受け取って、また美味そうに食べ始める。
「少々物堅くなるが、基本的にはいつもの彼と変わらないよ」
「そうですね。行動も、しっかりしてるかと思ったら、やっぱりいつもの様子ですし」
クウ? ともう一度首を傾げた彼に、少女二人は声を出して笑った。
約束通り一刻半の後、無事に阿求を送り届けて、一人と一匹は帰り道を歩いていた。
不意に、彼は何かの匂いに気が付いたように、慧音の方を向く。
「慧音殿、それは?」
「ああ、竹林に落ちていたものだ。わかるか?」
「……教科書ですね。ああ、懐かしい。子供の頃のものと同じだ……」
鼻を鳴らして、彼は慧音が懐から出した本を眺め、目を細めた。
「……帰りたいか?」
「……今となっては、懐かしくはありますが」
首を振る彼の頭に手を乗せて、慧音は哀しそうな瞳で尋ねる。
「……私は、貴方を助けられなかった」
「仕方のないことです。それに貴女が来なければ、とうに僕は殺されていた」
口調が一瞬だけ、いつもの青年のものに戻る。違う、と慧音は首を振った。
「私は、貴方が危険な方に行くのに気が付いたのに、止めなかった。
何故止めなかったのかはわからない。だが、あの時止めていれば」
「慧音殿」
自らを責める慧音に、彼は声をかける。
「それを言うならば、私にも咎がある」
「何を」
「獣人になったと知った時、私を引き取ると言ってくださった時、私は嬉しかった」
目を細めて、彼は告げた。
「貴女の傍に在れるという事が。ずっと一緒に居れる事が。人間でなくなったことよりも、大事だった。
だがそれが、貴女を苦しめているのなら、私はどうしたら良いかと、今考えている」
目を閉じれば浮かんでくる。大犬の妖怪に襲われて、もう駄目だと思った瞬間のこと。
自分の名前を叫びながら、駆けつけてきてくれた慧音の姿。
裂かれた左足の感覚はほとんどもうなくて、血と共に命が抜け落ちるなんてこんなものかと思って。
だから、最期に見れたのが、この方の姿で良かったと、本気で思った。
気が付いたときには永遠亭で、一命は取りとめたが左足の後遺症と獣人の呪いが残ったことを知らされて。
その責任を感じたらしい慧音が、自分を引き取ると、面倒を見ると言ってくれた。
左足が不自由になったことよりも、獣人になってしまったことよりも、ただそのことが大事だったなんて。
本来ならば、口にしてはならないことだったかもしれないけど。
「軽蔑されても仕方が無いのかもしれない、私は――」
「貴方、は」
言葉を遮るように、慧音は地面に膝をついて、彼を抱きしめた。
「……慧音殿、服が汚れます」
彼の言葉に構わず、慧音は心情を告白する。
「貴方は、私を恨まないのか。私は人間の守護者などと言いながら護れなかったのに。
貴方が傷ついたのを奇貨として、貴方を傍に置こうとしているかもしれないというのに。それなのに」
泣きそうな声で、言葉で、彼女は告げ続けた。
「いや、そうに決まっている。私は貴方に傍に居て欲しかったのだ。私はあの時、薬師に貴方を治せるか尋ねなかった。
尋ねなかったのだ! 貴方を人間に戻せたかもしれないのに。私は私のエゴで、何も言わなかったのだ……!」
きつく結んだ目の端から、涙が零れ落ちていた。
生真面目な彼女の事、自分でさえも謀ることができないのだろう。
本来ならば口にせずとも良い言葉だから。真正に誤魔化しておかねばならないのは、彼女自身に対してだから。
この言葉で何よりも傷つくのは、何よりも彼女なのだから――
肩を震わせる彼女に、彼は少し迷った後、ぺロリと頬を舐めた。
「……っ?」
「……女性の泣き止ませ方も知らない無作法者で申し訳ない。本来なら、手で拭えばよいのだろうけれど」
どこか照れたように頭を巡らせて、それでも、と彼は続けた。
「貴女には、そんな顔をしないで欲しいのです。貴女がつみに思うことは何もない。
いや、むしろこの姿で貴方の傍に居られるなら――これ以上の僥倖はないのです。それを感謝したいほどで」
「貴方は、何を」
慧音の戸惑いに、彼は少し考えた後、意を決したように口を開いた。
「――私は、貴女をお慕いしています。たとえこの姿が、人であっても、獣であっても、妖であっても。
何一つ変わらぬ想いで、貴女の事を全力で、愛しています」
恭しいまでの態度で言われた言葉が、慧音の頭に浸透するまで、少し時間がかかった。
耳まで顔を紅くして、驚いたように彼の顔を見る。
「な、え、あ、何を……」
「上手い言葉を知らないので、こういう言い方しか出来ませんが」
言葉に迷うように、それでも選びながら、彼は言葉を紡ぐ。
「ですが、これが本心です。紛れも無い、この私の」
「……私、も」
さらに強く抱きしめて、慧音が彼に告げる。
「私もだ。私も、貴方のことを想っている。本当だ」
「……嬉しいです、慧音殿。ならば、真正にそうならば、一つお願いを」
「何だ? 何でも――」
「もう、自分を責めるような事はしないでください。貴女が悪い事ではないのですから」
「……努力、しよう」
そう体を離して、少し困ったように微笑んだ表情に、彼も微笑を――犬の形でも辛うじて判る程度に――返した。
「ようやく笑ってくれた。貴女は笑顔の方が素敵ですから」
「む、か、からかうな」
「そのつもりはないのですが。ああ、私も一つ謝っておかねばならないことが」
楽しそうにしていた彼が、すまなそうに鼻を鳴らす。
「……前と同じように、人に戻れば、このときのことはあまり覚えていないと思います」
「そうか……まあ、仕方がないな」
「それでも、想いは同じですから。貴女を慕っているのは、この私もあの私も変わりません」
「そ、そうか」
照れたまま立ち上がって歩き出した慧音の隣に、駆け足で近寄って彼は笑う。
「ええ、そうです。私はいつでも貴女の隣に」
「……ああ、うん。私も、そうしてもらえると、凄く嬉しい」
紅い顔を彼に向けて、慧音は輝くような微笑を、彼に送った。
帰って軽く湯浴みをして――彼は水浴びをしただけだったが――休みに入る。
「ほら、きちんと上掛けを被る」
「面目ありません……」
少し湿った毛皮のまま、彼は慧音が横になっている布団の隣に伏せた。
だが手招きされて、布団の上に伏せなおす。それでも戸惑うように顔を巡らせた。
「……慧音殿、やはり私は向こうで」
「そうやって風邪を引いたのはどこのどいつだ?」
「むう」
少し居心地悪そうにした後、彼は諦めて自分の前足の上に頭を乗せた。
以前、毛皮だからといつものように別室で掛け布団なしで寝ていたところ、朝になって風邪を引く破目になったのだった。
そう考えていると、唐突に、ぽす、と背中に感触があって、彼は顔を上げる。
「……湿ってますよ」
「いや、背中は乾いている。ふかふかだな」
慧音が彼の背中に頬を当てていた。もふもふと気持ち良さそうにしている。
「……暑いでしょうに」
「いや、心地良いぞ。うん、毎回こうしても良いくらいだな」
「……夏は暑いと思いますよ」
「冬はさぞ暖かいだろうな」
少しからかうような言葉をかけた後、慧音は彼の耳元に顔を寄せる。
「……ずっとこうしていてくれるんだな」
「貴女が望んでくれるならば、ずっと」
「……ありがとう」
慧音の言葉に笑んで、彼はもう一度、前足に顔を伏せた。
翌朝、少し陽が高くなった頃。
「ふ、あぁ……おはようございます、慧音さん。すみません、寝坊して」
目をこすりながら、着流しを身につけた一人の青年が台所の方に現れた。
「おはよう。いいさ、まだ慣れてないのだろう」
「はい。満月はこれで……三回目ですか」
左足を少し引き摺りながら、彼は慧音の隣まで近付く。
頭一つ分以上高い彼を見上げて、彼女は頷いた。
「そうだな。少し遅いが、朝餉にしよう。待っていてくれ」
「はい」
嬉しそうに頷いて、円状の卓の傍に彼は腰を下ろす。朝食の膳を用意して、慧音も彼の向かいに座った。
唱和して食べ始めてすぐに、彼が口を開く。
「すみません、例の如く、昨晩のこと、僕あまり覚えてなくて」
「そうか、まあ、それも慣れてくるさ」
「はい……慣れてきて、覚えていられるようになったら、僕も一人前ってことなんですかね」
「……完全に獣人になるのは抵抗があるか?」
少し間を置いて尋ねられた問いに、彼はあっさり、いいえ、と答えた。
「それはそれで。こういう数奇な人生と言うのも楽しそうですし」
それより、と彼は困惑した声で続ける。
「朝起きたとき、どうしてそこに寝ていたかくらいきちんと覚えていないと……服も着てないわけですし」
「ああ、まあ、そうだな」
互いに何となく照れたような気まずい雰囲気の後、ずず、と彼は空気を変えるように味噌汁を啜った。
「それに、朝ご飯を作るのを、満月の度に慧音さんにさせてしまっていては申し訳ないですから」
「それは別に良いのだけどな」
「それでも、ですよ。お世話になっているんですから」
「寺子屋も手伝ってくれているのだから、そこまで気にしなくても良いんだぞ?」
そう言われて、彼は少し照れたように頬をかいた。
「いえ、そもそも甲斐性も何もないですからね。傍に置いてもらえるんなら、出来ることはしたいんですよ」
「……そうか」
慧音もどこか嬉しそうに微笑んで、彼の言葉を受け入れた。
「……昨晩のこと、覚えてないんだったな」
「はい……でも、大事なことを話した気は、してます」
目を細めた彼に、そうだ、と慧音は微笑った。
「だから今度は、覚えているときに聞きたいな」
「はい、努力します。これでも、一生懸命思い出そうとしてるんですよ?」
「ああ、期待している」
微笑んだその表情に、彼は思わず見惚れて、紅くなったことを誤魔化すように、再び朝餉に手を伸ばした。
里では、時折仲の良い二人の姿が見られると言う。
美しい里の守護者と、彼女に寄り添うように歩く片足の悪い青年。
仲睦まじい様子を子供達にからかわれながら、里の者達に微笑ましく見守られながら。
幸せそうな様子を隠すこともなく過ごしていると言う。
そして満月の夜には、竹林にて歴史の神獣とその従者のように傍に伏す大犬の姿が見られるらしい。
らしい、というのは、それを見られる者が限られているから。
それでも、蓬莱人やら天狗やらが伝える様子は、彼女達が良いパートナーであることを窺わせるものがある。
ちなみに、パートナー、が別の単語に変わるのもそう遠くない日のことだろう、とは、二人をよく知る者達の言である。
うpろだ1266
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