愛しい○○へ。
あなたがこの手紙を読んでいる頃、
私たちはもうあなたの傍にはいないのだと思います。
あなたがその事をすでに知っているかどうかは分かりませんが、
どちらにしろまず最初に謝っておきます。
ごめんなさい。
このごめんなさいにはたくさんの意味があります。
あなたが朝目覚めた時、二人してあなたの両脇にいられなくなった事。
あなたに美味しい食べ物を運んであげられなくなってしまった事。(これは私たちだけの役得だったのに)
あなたを一日中連れ回して遊べなくなった事。
あなたと三人でご飯を食べれなくなった事。
あなたと、一緒に生きていけなくなった事。
本当にごめんなさい。
私たちは、あなたとの約束をたくさんたくさん破ってしまった。
そんな私たちを、あなたは許してくれるでしょうか。
許してくれなくてもいい。
ただ、最後にお願いを聞いてください――――
◆
「ああもう、あの馬鹿姉妹め・・・・・!!」
足がもつれてうまく走れないのがもどかしい。
冬を感じさせる冷たい風が頬を突き刺す。
いつもなら何なく走り抜けてきた山道も、焦っている今となってはただの障害物だ。
そう―――静葉と穣子と走り遊んできた、見知った山道。
「くそ・・・・!」
間に合わないかもしれない。
でも、最悪の状況だけは考えてはならない。
・・・あの二人がもういないかもしれないなんて、ことは、
「ったく・・・!どこまで人を振り回せば気が済むんだよ!」
悪態をつきながら全速力で走る俺の手には、くしゃくしゃになった手紙。
・・・朝、俺の枕元に、二人の代わりに置いてあったものだった。
いつもの二人からは想像も出来ない礼儀正しい言葉と、その内容。
・・・あいつらが今いるかいないかなんて関係ない。
それを目にした瞬間、俺はいつも三人で遊んでいたあの山へ駆け出していた。
「勝手に振り回しといて、急にこんな手紙だけ残しやがって・・・!!」
まさかあの二人は、俺がこんなもので納得するとでも思ったんだろうか。
だとしたら俺への理解が圧倒的に足りない。
たとえ手紙でなく直接この事を伝えられたとしても、俺は絶対に納得なんかしないだろう。
何故なら。
俺が二人と過ごしてきた時間は、こんなもので説明できるほど軽くない。
しかも理由もなく消えるなんて、俺が追いかけてくる事を予想していなかったとしか思えない。
・・・・あいつらは秋を司る神だ。
秋が終われば彼女たちの季節も終わる。
でも。
それからどうなるかなんて知らないんだ。
役目を終えた彼女らがその後どうなるのか。
このままここにい続けるのか。
・・・・もしくは、消え去ってしまうのか。
それとも、こんな手紙しか残せないほど、彼女たちに何かあったんだとしたら・・・・?
あの文面からするとあり得る。
『もう一緒に生きていけない』・・・・・もう、一生会えない?
「・・・・っ」
頭を駆け巡るのは最悪の予想ばかりだ。
冗談じゃない。
急にこんな事言われて納得できる奴があるか。
しかも、一番伝えたい事があるのに、何も言わず消えやがって、・・・・・!
「―――」
・・・そういえば、俺はあいつらの事をほとんど何も知らない。
知っていれば、今も慌てる事無く・・・・いや、二人が消えないですむ方法をどうにか探せたかもしれないのに。
自分の無知さに頭が痛くなる。
謝りたいのはむしろこっちの方なんだよ!
・・・いや、今はそれは重要じゃない。
今は急がなくてはならないのだ。
一瞬でも早く、一歩でも多く走る。走り続ける。
突然俺の前に現れて、俺の日常をひっかきまわして、退屈なんてさせないほど騒いでいたあの姉妹のもとへ。
いつのまにかいるのが当たり前になっていた。
うるさいと思ってても、それが俺の普通になりつつあった。
むしろ、両脇にいなければ違和感を感じるくらいに。
・・・だから、この短い秋の中、伝えなくちゃならない事をいつまでも忘れていた。
お願いだから、消えるなんて言わないでくれ。
もし別れなくちゃいけないとしても、さよならさえ言わせずに去るのは反則だ。
だから、頼むから、静葉、穣子―――――俺はお前たちと―――――――
「あ、遅かったね○○」
「私お腹すいたなー」
「って普通にお茶していらっしゃるぅぅぅぅぅぅ!!!!!??????」
こけた。
盛大に。
先生先生、鼻がとんでもなく痛いです。
これは顔面スライディングした俺が悪いのでしょうか、それともそこでセレブにお茶してるあのクソ姉妹どもが悪いんでしょうかいや絶対あっちのほうが悪いですよね。
いやぶん殴ってもイイヨネ?
HAHAHA向こうのお花畑にゆうかりんが見えるよ・・・・あっちの三途の川でこまっちゃんが手招きしてる・・・
ところでゆうかりんて誰だ。
こまっちゃんとかこ○ったさんのパクリかそーなのかー。
とか何とかうなってたら後ろからデカイ衝撃がきた。
そのまま顔面からダイブ、地面とキスする俺。
・・・ファーストですが何か?
「ほっ・・・星が見えたスター・・・っ」
「落ち着きなさいよ○○」
「そうだよ○○、それ新しいギャグ?言っとくけど面白くないよ」
・・・どうやら俺を後ろから叩きなすったのはこのふてぶてしい神様たちらしい。
ああやべえムカつく殴りてえ。
お前のファーストキスを奪ってやろうかお相手はもちろん石畳で!
「悪いけど、ファーストキスはもうとっくに奪われちゃったよ?・・・○○に」
「んなっ!?てかお前人の心を読んだなっ!?」
「だって思ってること筒抜けだったしー」
てへ、と小悪魔っぽく舌を出す穣子。
・・・このヤロー俺をからかいやがって。
「何○○、穣子の初めてを奪ったの?それは聞き捨てならないなぁ」
「・・・静葉も悪ノリするなオマエ姉だろ一応」
「いや、姉として、だよ。これもね」
静葉は静葉で変な笑いを浮かべている。
そして静かに俺を起こしてくれた。
ああ、これが俺の日常だ・・・・・・・じゃなくて。
「・・・・お前ら、これはいったいどういうことだ」
手に持っていた手紙を突き出す。
握り締めすぎていたそれはすでによれよれで、字を見ることもかなわなかった。
「・・・ああ、それね」
「よかった、ちゃんと読んでくれたんだ」
「・・・読んだからここにいるんだろ」
この手紙に書かれていた、最後のお願い。
それは、最後にこの山へ・・・三人で遊んだ場所に来て、いつまでも私たちを忘れないでほしい。
そういったものだった。
「ったく・・・いたからいいものの・・・」
「あ、いないと思った?」
「やっぱりあれは失敗だったかな、穣子?あれだともう私たちが死んじゃったみたいだし。
呼び出すだけにしては、凝りすぎてたよやっぱ」
「みたい、じゃなくて・・・本当にそう思ったんだよ!!」
俯いたまま、大声で怒鳴りつける。
・・・今までの不安を全て吐露するかのように。
悲鳴のような大声は、山の中とても大きく響いた。
「、あ・・・」
弱弱しく穣子が声を漏らす。
見ると、彼女は今にも泣きそうな顔をしていた。
・・・ったく、泣きたいのはこっちだっていうのに。
そんな顔されちゃ、何も言えない。
「・・・心配、したんだからな。お前たちが、もうどこにもいないんじゃないかって・・・」
思わず安心して息をつく。
今は、彼女たちの安否を確認できただけで十分だった。
「・・・ごめん、なさい。○○」
静葉が、穣子の手を握って静かに俯いた。
「・・・でも、本当だよ。私たちが、ここからいなくなるのは」
「・・・秋が、終わったからか?」
木々の美しい紅葉はもう散り去った。
これからは、白銀の世界が冷たい山を覆う季節。
「そう。・・・だから、手紙を出したの」
「○○に、お別れを言いたかったから・・・・」
「・・・そうか」
俺の心中は穏やかではない。
できるなら引き止めたい。ここで喚いてでも、冬になっても傍にいてもらいたい。
だがそれとは裏腹に、俺の口はすんなりとこの状況を受け入れていた。
受け入れざるを、えなかった。
「これから、どこに行くんだ?」
「・・・しばらくは山篭り。次の秋になるまで、○○とは会えない、かも」
「そうか・・・まあ、元気でやってろ。俺はお前たちにまた会えるってだけで、嬉しいから」
「○○・・・っ」
そうだ。
また会えるんじゃないか。
消え去らないだけ、本当によかった。
・・・もし彼女たちが消え去るというのなら、俺は何としてでも止めただろうから。
どんな手段を使ってでも。
「・・・俺は、待ってるから」
「・・・・っ!」
ふいに。
二人分の重量が、俺に体当たりしてきた。
バランスを崩して転びそうになるけれども、なんとか立て直す。
・・・そしてそのまま、冬の冷たい風から守るように、二人を優しく包み込んだ。
俺は何も言わない。
二人のほうも、俺の腕の中で、何も、言わない。
・・・小さな嗚咽を漏らしてるものだから、何も言えない。
「○○・・・っ、約束、してくれる?」
「・・・ああ、なんだ?」
「お願い、だから・・・」
二人の瞳が一斉にこちらを向いた。
見上げてくるその潤んだ瞳と視線がぶつかる。
「・・・どうか、泣かないでいて」
自分たちが泣いているくせに、・・・・よく言う。
「○○が泣いてても・・・私たちにはもう、その涙を拭ってあげることもできないから」
「あなたを独りで泣かせるなんて、できないから」
「だからどうか・・・泣かないで」
「私たち、二人とも・・・きっとここへ帰ってくるから」
「○○がどこに行ってても、探しに行くから」
「絶対、見つけ出すよ」
「・・・これからも変わらずに、○○のこと、愛してるよ」
「私は神様そのものだから、○○に誓うね」
・・・・わかったから、そんなに急いで言うなよ。
まだ心の準備もできていないっていうのに。
お別れの言葉なんだから、・・・もっと、猶予が欲しい。
離れたくない。
・・・離れたく、ないんだ。
「あなただけを、○○だけを愛しているから」
「永遠に、それこそ季節が何度巡ろうとも」
「・・・別れ際にこんなこというのって反則かな」
「そう、かな・・・でも許して。
しばらくは○○に触れることもできない私たちが、心くらい独占したっていいでしょう?」
離したくない。
一年後なんて待っていられない。
・・・告白、されたっていうのに、こんなに愛しい二人を離せるものか。
「・・・さよならの仕方なんて思いつかないね」
「そうだね、私たち今までお別れとかしたことなかったし」
「・・・静葉、穣子・・・・っ!」
でも、離さなくちゃいけないから。
だから泣きたいんだ。
大切なものをこの手から離してしまう、なんて。
「「だから、私たちに言えるのはただひとつ」」
「・・・待っててね、○○」
「どうか、一年後。紅葉の美しい季節まで」
「私たちには、その約束だけで十分だから」
頷く。
涙が溢れてきてもう何も言えないけど、それでも頷く。
・・・これは悲しいからじゃない。
嬉しいから。二人のその言葉が、何よりも希望だから。
―――会えないのは寂しい、けれど。
その言葉と、貰った想いを胸に、
・・・離したくなかった二つの手を、離した。
つなぎ続けたかった手。淡く消える感触。
その瞬間、
――――またね、ばいばい。
そんな、かすかに聞こえた声。
でももうどこを探しても、彼女たちはいないのだ。
影も形も残らない。
あの二人の神様は、一年後の秋まで、俺の前に現れることはないだろう。
・・・ただ。
二人が立っていた場所には、小さな秋の名残を感じさせるかのように、紅い紅葉がひとつ、静かに落ちていた。
>>うpろだ558
───────────────────────────────────────────────────────────
「紅 葉 狩 り だ っ !」
熱い野郎共の魂の叫びが鳴り響く。
ここ幻想郷において、紅葉狩りは決して静かなイベントではない。文字通り狩るのだ。
「秋静葉様を探せぇぇ!」
静かな環境を好む神だけあって、祭事に顕れる事はなかったのだが
「姉さんを祭りに参加させたらほっぺにキスくらいしてあげようか?」
などと芋焼酎でグデグデになった穣子が口走ったせいで、大々的にお祭騒ぎとなってしまったのだ
ちなみに、俺は参加なんてしない。
この日は静葉と二人きりで過ごす
嫉妬深い神とのお付き合いで、妹のキス…死ぬからな
8スレ目 >>837
───────────────────────────────────────────────────────────
もう終わりにしましょう
静葉は、やたらあっさりと別れを告げてきた。
「始まりあれば終わりあり。終わらないものはなく、枯れない植物もない。枯れない花なんて、あの大妖怪しか持ち得ないものよ
恋の花は、散る運命。
花は散り、終焉を迎えるからこそ美しいの
だから〇〇、人と神の違いがお互いを苦しめる前に別れましょう
美しい思い出だけを抱き締めて、本当の幸せを見つけて」
「恋の花は散ってしまうなら、愛の花束だ。
枯れるはずもない、紅葉の花束で静葉を愛することを誓う
終わりはそれこそ、俺の命の炎が終焉を迎えるまで」
「後悔するわよ」
「いや、今別れたほうが後悔する」
「〇〇は本当にバカね」
「お互い様だろ」
――百年後――
綺麗な紅葉ね。
そうね、まるで桜吹雪の中みたい
そういえば知ってる?神が恋した幻想郷のお話
そう、この木の下にはね……
10スレ目>>551
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「聞いてよ〇〇、穣子ったらねぇ」
自分以外が妹の悪口を言ったら、激怒するくせに……とはもちろん口にしない。
口は災いのもと。神を相手にするときはなおさら気を使わなきゃならない。
「そうなんだ、確かに葡萄も可愛いけどリボンはとても可愛いからね」
妹を貶すことは、張り合う姉を貶すことなので、神経をつかう。だけど……
「ふふっありがとっ!」
満面の笑顔で、頬擦りしてくれるならこんな苦労何ともない
「ふふ~っ……あれ?ちょっと耳カス溜まっているじゃない。 綺麗にしてあげるから横になりなさい」
そういうと、正座して健康的な太ももをぱしぱしと叩いたのだ。
うつ伏せで膝枕を使いたい欲望を押し殺して、静かに従う。
「落ち葉が蓄まるのは、腐葉土として新たな命を育むためであって~~耳カスは百害あって一利なし!」
何か説教されている気がするけど、圧倒的な心地よさに勝てるはずもない。
「はい、逆の耳ね。反対むいて!」
ぐりっと向けられた視線の先は純白のトライアングル。
流行のドロワーズではないぴたりとフィットした布から目が離せない。
有無を言わせず耳に棒が入り込み、身動きを封じた
「ちょっと~。 鼻息くすぐったいわ」
口で息をすると、大切なところに直撃です。 勘弁してください。
ばれたら死ねます。
「こちょこちょこちょ~~っと、はい終了 ちゃんと身綺麗にね」
ふう、天国と地獄は去った
と、思っていたのだが
「あっ!お姉ちゃん!私の〇〇に何してるのよっ」
「だめねぇ穣子は。芋臭い田舎娘より私のほうがいいに決まってるじゃない」
「ムキー!そんなお姉ちゃんこそ――」
いつものパターン。三十六計逃げるにしかず。
「「〇〇はどう思う?!」」
だけど、逃げられないのもいつものパターンだ。
さて、今日はどうはぐらかそうか……
気難しい女神と付き合うのは、こんなにも大変なことなのだ
9スレ目 >>940
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「彼女の好きなところ?」
いきなりそう聞かれた俺、こと○○は正直な話、答えに詰まってしまった。
そんな、好きなところなんて聞かれても……なぁ?
「長くなるけれども良いのか?」などと聞き返すと、烏天狗は「かまいませんよ」と返事をした。
ふむ……じゃあ話すとしようか……。
まずはあの黄金を解して作ったような神々しく美しい金の髪だろう。
この世の黄金をかき集めても足りないほどに美しい、神のような美しさだ。神なんだけれどもね。
あの黄金の髪のすばらしさといったら自分の語彙に表現できるものが無いのが悔やまれるくらいだ。
当然紅い髪飾りも美しい。
山の一部……山の季節の終焉を象徴するような物悲しさを内包しつつも炎の様な真紅につつまれたそれは黄金とぴったりとマッチしている。
何よりその黄金の髪の毛の波の打ち方といったらもうあまりのすばらしさに絶句してしまうほどだ。
顔の輪郭、造詣すら神がかっている、神なんだけども。
美しい、と言うことはバランスが崩れていないという事なんだけれども、ようするに平均的?なんだけれども。
でもその平均のレベルが恐ろしく、いや神の様な高さなんだ。まぁ、女神様だから当然だよね。
そしてパーツ一つ一つの完成度もすばらしい。
1000年の時を経ても透明な琥珀の様な眼、月並みな言葉しか出てこないけれども珠の様な肌、
厚みのある、優しさと母性に僅かなエロスの入り混じった唇、すっと通りつつも自己主張の少ない鼻、思わずしゃぶりつきたくなる可愛らしい耳たぶ。
身体も本当に素晴らしい。
何?そう言う関係になったのか?だと?バ、馬鹿野郎まだ……その……あぁもううっせぇ!!
もう帰れ!天狗帰れよ!帰れよ!!かーえーれー!!
「あ、静葉さん」
「……え゛?」
なんて言っている所を、ちょうど話題の中心人物、いや、中心女神に見られ、聞かれてしまった。
「あ……あの……」
う、うをぅ!?その頬が紅葉の如く紅潮していく様もすさまじく可愛らしい!!あ、あぁヤバイ!俺のハートがエクステンド!
あうあうと口をパクパクとさせてしまう俺は、多分傍から見ると金魚の様なそんな動きだっただろう。
「ちょうど今、彼――○○さんから貴女の好きなところを聞いていてですね」
「え、えぇ……そうなんですか」
話を聞く様も可愛いなァ……じゃなくて、シャ、シャラーップ!!
「お……終わった俺の人生……」
多分ドン引きである。
いくらなんでも自分の見ているところで耳たぶしゃぶりたいなんて言われたら引く。俺ならひくから判る。誰だって引く。
……一回アリスの前で
「アリスの指と言う指を一日25時間しゃぶりつくし隊総勢一名推参!即解散!」
等と言ったら酷い目にあったから判る。
だが勘違いしないで欲しい。しゃぶりたいのと恋愛感情は違うのだ。
そこの見物してる町人(まちんちゅ)諸君!どうせ君らだって
「白玉楼のお庭番の蚊注射(如何なるものかは某には不明)しゃぶりたいよぉぉぉ~」
とか言ってるんだろう?もしくは
「慧音先生の角しゃぶりたいよぉぉぉ~」か「スキマ妖怪の靴下しゃぶりたいよぉ~」等と言っているだろう?
でも多分○○(俺に非ず)は俺の嫁!などと言っているはずだ!そうだ!きっとそうだ!!
だが彼女に対する感情は違う、これはしゃぶりたいと言う衝動とかじゃなくもう彼女の為なら死ねる、いや!死なない!
人と神?種族の違いが何だ!
寿命なんて勇気と根性で如何にでもなる!如何にでもならないのだったら発明で如何にかする!
最悪竜殺しの人みたいに竜ぶっ(そこまでよ!)してその血で作ったため池に入って不死身にでもなってやるさ!
伊達に黒歴史ノート増産してねぇぜ、寿命を越える方法ならここではたくさんありそうだしな!!愛情はパワーだぜ!!」
「その、途中から……声、出てますよ?」
あぁ、この澄んだ清流の様な声、本当良い。
もうこの声だけで村中の米食い尽くせる。愛してる。
「……参考までに、どこら辺から?」
「スキマ妖怪の~の辺りからですねぇ。変態丸出しですね」
烏天狗がにやつきながら答える。帰れ!畜生!!
明日の一面は多分こうなるだろう……
【変態、ついに逮捕!!
昨日、幻想郷の女性のパーツをしゃぶりたいなどと抜かしていた男がついに捕まり、四季映姫様の所に書類送検された。
裁判は後日行われる模様。恐らく地獄逝き。ご冥福を祈りたくは無い
友人の証言 「あいつならやってくれると信じてました!!やったな相棒!!」
友人Bの証言 「多分あいつ『映姫様の冠しゃぶりたいよぉ~とか言うんじゃないの?』」】
「ふ……ふふふ……人生終わった……」
ガクリ、と膝を付く。
「えぇと……ご愁傷様です」
哀れみたっぷりな烏天狗。
何とも言わない静葉さん。その表情を見ることは今の俺には出来ない。
「あぁ……こうなったら全部言うさ……
外の世界からここに入ってきて、最初に貴女を見たときに既に俺の心は貴女に奪われていた!
季節の神?人間の寿命?そんな物じゃあ俺の気持ちは止められない、好きだ、好きじゃないとかではなく、もう愛している!
もう貴女抜きでの生活なんて考えられない、いや、もう俺は……俺は……!!」
言葉が詰まる。
今までしてきた変態行為の数々が走馬灯のように頭をよぎる。
こんな変態の一世一代の告白を受けてくれるとは想わない。だが、もう引き返せない――
言おうとする度に口の中の酸素が毒となり、喉を焼く幻覚に追いやられる。
幻覚の痛みに涙が出てくる。泣くな、男の泣くときは親と伴侶に死なれたときだけだ。
一押し二金三男。押しと勢いだけでもう当たるしかない。当たって砕けろ!!
「俺は……俺は……俺は貴女があれば生きていけるッ!!!」
「「え、えぇ!?!?」」
言った、ついに言ってしまった。
天狗と静葉さんは予想外も予想外と言う顔をしている。
あぁ、この美しい顔を見れるのもコレが最後か……フフ……あばよ、幻想郷。
喉を焼く、焦りと言う名の毒はすっかりその毒を潜め、ついに言った、と言う達成感が身をつつむ。
足が震えているのは武者震いだ、決して臆病になりガクガク震えているとかそう言う事ではない。
涙も流れては居ない!コレは心の汗なのだ……ダメだ、泣きそう。
「もし貴女さえ良ければ……俺一緒に暮らしませんか?
冬の寒さも、夏の暑さもどうにかしましょう。
偽りの季節が嫌ならば俺が他の季節を忘れさせましょう。
秋が来たら、秋の美しさを一緒に満喫しましょう」
「……はい」
「ふ……判ってましたよ。えぇ。断られる事ぐら……え、えぇ!?」
「……そう何度も言せないで下さい。一緒に……暮らしましょう?」
……美しい。
生憎絵心なんてものはお母ちゃんの胎内に忘れてきているので、
この表情を書き記せないのが残念であるが、この女神の顔は俺の心に焼きついた。
「さっきの言葉……信じますね?私を、置いて逝かないで下さいね。」
ほんわか、とした優しい笑顔。
その笑顔に、俺は何度目か判らないが――惚れ直してしまった。
「任せてください、俺は大事な人に嘘を付く趣味は無いですよ?」
ドン、と胸を張る。変態で馬鹿な俺が唯一人に誇れるところだ。
「よろしくお願いします、○○さん」
「こちらこそ、静葉さん」
秋の訪れには、まだ時間が有る。
季節の移り変わりの時間は、その季節を楽しむための時間なのだろう。
まだ肌寒い春も、暑い夏も、寒い冬も、過ごしやすい秋を待つスパイスになってくれるはずだ。
ことしの秋は、何時もより素晴らしく、過ごしやすいものになる。
そんな確信を抱いて、俺は彼女と抱擁を交わした。
うpろだ1222
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あなたがこの手紙を読んでいる頃、
私たちはもうあなたの傍にはいないのだと思います。
あなたがその事をすでに知っているかどうかは分かりませんが、
どちらにしろまず最初に謝っておきます。
ごめんなさい。
このごめんなさいにはたくさんの意味があります。
あなたが朝目覚めた時、二人してあなたの両脇にいられなくなった事。
あなたに美味しい食べ物を運んであげられなくなってしまった事。(これは私たちだけの役得だったのに)
あなたを一日中連れ回して遊べなくなった事。
あなたと三人でご飯を食べれなくなった事。
あなたと、一緒に生きていけなくなった事。
本当にごめんなさい。
私たちは、あなたとの約束をたくさんたくさん破ってしまった。
そんな私たちを、あなたは許してくれるでしょうか。
許してくれなくてもいい。
ただ、最後にお願いを聞いてください――――
◆
「ああもう、あの馬鹿姉妹め・・・・・!!」
足がもつれてうまく走れないのがもどかしい。
冬を感じさせる冷たい風が頬を突き刺す。
いつもなら何なく走り抜けてきた山道も、焦っている今となってはただの障害物だ。
そう―――静葉と穣子と走り遊んできた、見知った山道。
「くそ・・・・!」
間に合わないかもしれない。
でも、最悪の状況だけは考えてはならない。
・・・あの二人がもういないかもしれないなんて、ことは、
「ったく・・・!どこまで人を振り回せば気が済むんだよ!」
悪態をつきながら全速力で走る俺の手には、くしゃくしゃになった手紙。
・・・朝、俺の枕元に、二人の代わりに置いてあったものだった。
いつもの二人からは想像も出来ない礼儀正しい言葉と、その内容。
・・・あいつらが今いるかいないかなんて関係ない。
それを目にした瞬間、俺はいつも三人で遊んでいたあの山へ駆け出していた。
「勝手に振り回しといて、急にこんな手紙だけ残しやがって・・・!!」
まさかあの二人は、俺がこんなもので納得するとでも思ったんだろうか。
だとしたら俺への理解が圧倒的に足りない。
たとえ手紙でなく直接この事を伝えられたとしても、俺は絶対に納得なんかしないだろう。
何故なら。
俺が二人と過ごしてきた時間は、こんなもので説明できるほど軽くない。
しかも理由もなく消えるなんて、俺が追いかけてくる事を予想していなかったとしか思えない。
・・・・あいつらは秋を司る神だ。
秋が終われば彼女たちの季節も終わる。
でも。
それからどうなるかなんて知らないんだ。
役目を終えた彼女らがその後どうなるのか。
このままここにい続けるのか。
・・・・もしくは、消え去ってしまうのか。
それとも、こんな手紙しか残せないほど、彼女たちに何かあったんだとしたら・・・・?
あの文面からするとあり得る。
『もう一緒に生きていけない』・・・・・もう、一生会えない?
「・・・・っ」
頭を駆け巡るのは最悪の予想ばかりだ。
冗談じゃない。
急にこんな事言われて納得できる奴があるか。
しかも、一番伝えたい事があるのに、何も言わず消えやがって、・・・・・!
「―――」
・・・そういえば、俺はあいつらの事をほとんど何も知らない。
知っていれば、今も慌てる事無く・・・・いや、二人が消えないですむ方法をどうにか探せたかもしれないのに。
自分の無知さに頭が痛くなる。
謝りたいのはむしろこっちの方なんだよ!
・・・いや、今はそれは重要じゃない。
今は急がなくてはならないのだ。
一瞬でも早く、一歩でも多く走る。走り続ける。
突然俺の前に現れて、俺の日常をひっかきまわして、退屈なんてさせないほど騒いでいたあの姉妹のもとへ。
いつのまにかいるのが当たり前になっていた。
うるさいと思ってても、それが俺の普通になりつつあった。
むしろ、両脇にいなければ違和感を感じるくらいに。
・・・だから、この短い秋の中、伝えなくちゃならない事をいつまでも忘れていた。
お願いだから、消えるなんて言わないでくれ。
もし別れなくちゃいけないとしても、さよならさえ言わせずに去るのは反則だ。
だから、頼むから、静葉、穣子―――――俺はお前たちと―――――――
「あ、遅かったね○○」
「私お腹すいたなー」
「って普通にお茶していらっしゃるぅぅぅぅぅぅ!!!!!??????」
こけた。
盛大に。
先生先生、鼻がとんでもなく痛いです。
これは顔面スライディングした俺が悪いのでしょうか、それともそこでセレブにお茶してるあのクソ姉妹どもが悪いんでしょうかいや絶対あっちのほうが悪いですよね。
いやぶん殴ってもイイヨネ?
HAHAHA向こうのお花畑にゆうかりんが見えるよ・・・・あっちの三途の川でこまっちゃんが手招きしてる・・・
ところでゆうかりんて誰だ。
こまっちゃんとかこ○ったさんのパクリかそーなのかー。
とか何とかうなってたら後ろからデカイ衝撃がきた。
そのまま顔面からダイブ、地面とキスする俺。
・・・ファーストですが何か?
「ほっ・・・星が見えたスター・・・っ」
「落ち着きなさいよ○○」
「そうだよ○○、それ新しいギャグ?言っとくけど面白くないよ」
・・・どうやら俺を後ろから叩きなすったのはこのふてぶてしい神様たちらしい。
ああやべえムカつく殴りてえ。
お前のファーストキスを奪ってやろうかお相手はもちろん石畳で!
「悪いけど、ファーストキスはもうとっくに奪われちゃったよ?・・・○○に」
「んなっ!?てかお前人の心を読んだなっ!?」
「だって思ってること筒抜けだったしー」
てへ、と小悪魔っぽく舌を出す穣子。
・・・このヤロー俺をからかいやがって。
「何○○、穣子の初めてを奪ったの?それは聞き捨てならないなぁ」
「・・・静葉も悪ノリするなオマエ姉だろ一応」
「いや、姉として、だよ。これもね」
静葉は静葉で変な笑いを浮かべている。
そして静かに俺を起こしてくれた。
ああ、これが俺の日常だ・・・・・・・じゃなくて。
「・・・・お前ら、これはいったいどういうことだ」
手に持っていた手紙を突き出す。
握り締めすぎていたそれはすでによれよれで、字を見ることもかなわなかった。
「・・・ああ、それね」
「よかった、ちゃんと読んでくれたんだ」
「・・・読んだからここにいるんだろ」
この手紙に書かれていた、最後のお願い。
それは、最後にこの山へ・・・三人で遊んだ場所に来て、いつまでも私たちを忘れないでほしい。
そういったものだった。
「ったく・・・いたからいいものの・・・」
「あ、いないと思った?」
「やっぱりあれは失敗だったかな、穣子?あれだともう私たちが死んじゃったみたいだし。
呼び出すだけにしては、凝りすぎてたよやっぱ」
「みたい、じゃなくて・・・本当にそう思ったんだよ!!」
俯いたまま、大声で怒鳴りつける。
・・・今までの不安を全て吐露するかのように。
悲鳴のような大声は、山の中とても大きく響いた。
「、あ・・・」
弱弱しく穣子が声を漏らす。
見ると、彼女は今にも泣きそうな顔をしていた。
・・・ったく、泣きたいのはこっちだっていうのに。
そんな顔されちゃ、何も言えない。
「・・・心配、したんだからな。お前たちが、もうどこにもいないんじゃないかって・・・」
思わず安心して息をつく。
今は、彼女たちの安否を確認できただけで十分だった。
「・・・ごめん、なさい。○○」
静葉が、穣子の手を握って静かに俯いた。
「・・・でも、本当だよ。私たちが、ここからいなくなるのは」
「・・・秋が、終わったからか?」
木々の美しい紅葉はもう散り去った。
これからは、白銀の世界が冷たい山を覆う季節。
「そう。・・・だから、手紙を出したの」
「○○に、お別れを言いたかったから・・・・」
「・・・そうか」
俺の心中は穏やかではない。
できるなら引き止めたい。ここで喚いてでも、冬になっても傍にいてもらいたい。
だがそれとは裏腹に、俺の口はすんなりとこの状況を受け入れていた。
受け入れざるを、えなかった。
「これから、どこに行くんだ?」
「・・・しばらくは山篭り。次の秋になるまで、○○とは会えない、かも」
「そうか・・・まあ、元気でやってろ。俺はお前たちにまた会えるってだけで、嬉しいから」
「○○・・・っ」
そうだ。
また会えるんじゃないか。
消え去らないだけ、本当によかった。
・・・もし彼女たちが消え去るというのなら、俺は何としてでも止めただろうから。
どんな手段を使ってでも。
「・・・俺は、待ってるから」
「・・・・っ!」
ふいに。
二人分の重量が、俺に体当たりしてきた。
バランスを崩して転びそうになるけれども、なんとか立て直す。
・・・そしてそのまま、冬の冷たい風から守るように、二人を優しく包み込んだ。
俺は何も言わない。
二人のほうも、俺の腕の中で、何も、言わない。
・・・小さな嗚咽を漏らしてるものだから、何も言えない。
「○○・・・っ、約束、してくれる?」
「・・・ああ、なんだ?」
「お願い、だから・・・」
二人の瞳が一斉にこちらを向いた。
見上げてくるその潤んだ瞳と視線がぶつかる。
「・・・どうか、泣かないでいて」
自分たちが泣いているくせに、・・・・よく言う。
「○○が泣いてても・・・私たちにはもう、その涙を拭ってあげることもできないから」
「あなたを独りで泣かせるなんて、できないから」
「だからどうか・・・泣かないで」
「私たち、二人とも・・・きっとここへ帰ってくるから」
「○○がどこに行ってても、探しに行くから」
「絶対、見つけ出すよ」
「・・・これからも変わらずに、○○のこと、愛してるよ」
「私は神様そのものだから、○○に誓うね」
・・・・わかったから、そんなに急いで言うなよ。
まだ心の準備もできていないっていうのに。
お別れの言葉なんだから、・・・もっと、猶予が欲しい。
離れたくない。
・・・離れたく、ないんだ。
「あなただけを、○○だけを愛しているから」
「永遠に、それこそ季節が何度巡ろうとも」
「・・・別れ際にこんなこというのって反則かな」
「そう、かな・・・でも許して。
しばらくは○○に触れることもできない私たちが、心くらい独占したっていいでしょう?」
離したくない。
一年後なんて待っていられない。
・・・告白、されたっていうのに、こんなに愛しい二人を離せるものか。
「・・・さよならの仕方なんて思いつかないね」
「そうだね、私たち今までお別れとかしたことなかったし」
「・・・静葉、穣子・・・・っ!」
でも、離さなくちゃいけないから。
だから泣きたいんだ。
大切なものをこの手から離してしまう、なんて。
「「だから、私たちに言えるのはただひとつ」」
「・・・待っててね、○○」
「どうか、一年後。紅葉の美しい季節まで」
「私たちには、その約束だけで十分だから」
頷く。
涙が溢れてきてもう何も言えないけど、それでも頷く。
・・・これは悲しいからじゃない。
嬉しいから。二人のその言葉が、何よりも希望だから。
―――会えないのは寂しい、けれど。
その言葉と、貰った想いを胸に、
・・・離したくなかった二つの手を、離した。
つなぎ続けたかった手。淡く消える感触。
その瞬間、
――――またね、ばいばい。
そんな、かすかに聞こえた声。
でももうどこを探しても、彼女たちはいないのだ。
影も形も残らない。
あの二人の神様は、一年後の秋まで、俺の前に現れることはないだろう。
・・・ただ。
二人が立っていた場所には、小さな秋の名残を感じさせるかのように、紅い紅葉がひとつ、静かに落ちていた。
>>うpろだ558
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「紅 葉 狩 り だ っ !」
熱い野郎共の魂の叫びが鳴り響く。
ここ幻想郷において、紅葉狩りは決して静かなイベントではない。文字通り狩るのだ。
「秋静葉様を探せぇぇ!」
静かな環境を好む神だけあって、祭事に顕れる事はなかったのだが
「姉さんを祭りに参加させたらほっぺにキスくらいしてあげようか?」
などと芋焼酎でグデグデになった穣子が口走ったせいで、大々的にお祭騒ぎとなってしまったのだ
ちなみに、俺は参加なんてしない。
この日は静葉と二人きりで過ごす
嫉妬深い神とのお付き合いで、妹のキス…死ぬからな
8スレ目 >>837
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もう終わりにしましょう
静葉は、やたらあっさりと別れを告げてきた。
「始まりあれば終わりあり。終わらないものはなく、枯れない植物もない。枯れない花なんて、あの大妖怪しか持ち得ないものよ
恋の花は、散る運命。
花は散り、終焉を迎えるからこそ美しいの
だから〇〇、人と神の違いがお互いを苦しめる前に別れましょう
美しい思い出だけを抱き締めて、本当の幸せを見つけて」
「恋の花は散ってしまうなら、愛の花束だ。
枯れるはずもない、紅葉の花束で静葉を愛することを誓う
終わりはそれこそ、俺の命の炎が終焉を迎えるまで」
「後悔するわよ」
「いや、今別れたほうが後悔する」
「〇〇は本当にバカね」
「お互い様だろ」
――百年後――
綺麗な紅葉ね。
そうね、まるで桜吹雪の中みたい
そういえば知ってる?神が恋した幻想郷のお話
そう、この木の下にはね……
10スレ目>>551
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「聞いてよ〇〇、穣子ったらねぇ」
自分以外が妹の悪口を言ったら、激怒するくせに……とはもちろん口にしない。
口は災いのもと。神を相手にするときはなおさら気を使わなきゃならない。
「そうなんだ、確かに葡萄も可愛いけどリボンはとても可愛いからね」
妹を貶すことは、張り合う姉を貶すことなので、神経をつかう。だけど……
「ふふっありがとっ!」
満面の笑顔で、頬擦りしてくれるならこんな苦労何ともない
「ふふ~っ……あれ?ちょっと耳カス溜まっているじゃない。 綺麗にしてあげるから横になりなさい」
そういうと、正座して健康的な太ももをぱしぱしと叩いたのだ。
うつ伏せで膝枕を使いたい欲望を押し殺して、静かに従う。
「落ち葉が蓄まるのは、腐葉土として新たな命を育むためであって~~耳カスは百害あって一利なし!」
何か説教されている気がするけど、圧倒的な心地よさに勝てるはずもない。
「はい、逆の耳ね。反対むいて!」
ぐりっと向けられた視線の先は純白のトライアングル。
流行のドロワーズではないぴたりとフィットした布から目が離せない。
有無を言わせず耳に棒が入り込み、身動きを封じた
「ちょっと~。 鼻息くすぐったいわ」
口で息をすると、大切なところに直撃です。 勘弁してください。
ばれたら死ねます。
「こちょこちょこちょ~~っと、はい終了 ちゃんと身綺麗にね」
ふう、天国と地獄は去った
と、思っていたのだが
「あっ!お姉ちゃん!私の〇〇に何してるのよっ」
「だめねぇ穣子は。芋臭い田舎娘より私のほうがいいに決まってるじゃない」
「ムキー!そんなお姉ちゃんこそ――」
いつものパターン。三十六計逃げるにしかず。
「「〇〇はどう思う?!」」
だけど、逃げられないのもいつものパターンだ。
さて、今日はどうはぐらかそうか……
気難しい女神と付き合うのは、こんなにも大変なことなのだ
9スレ目 >>940
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「彼女の好きなところ?」
いきなりそう聞かれた俺、こと○○は正直な話、答えに詰まってしまった。
そんな、好きなところなんて聞かれても……なぁ?
「長くなるけれども良いのか?」などと聞き返すと、烏天狗は「かまいませんよ」と返事をした。
ふむ……じゃあ話すとしようか……。
まずはあの黄金を解して作ったような神々しく美しい金の髪だろう。
この世の黄金をかき集めても足りないほどに美しい、神のような美しさだ。神なんだけれどもね。
あの黄金の髪のすばらしさといったら自分の語彙に表現できるものが無いのが悔やまれるくらいだ。
当然紅い髪飾りも美しい。
山の一部……山の季節の終焉を象徴するような物悲しさを内包しつつも炎の様な真紅につつまれたそれは黄金とぴったりとマッチしている。
何よりその黄金の髪の毛の波の打ち方といったらもうあまりのすばらしさに絶句してしまうほどだ。
顔の輪郭、造詣すら神がかっている、神なんだけども。
美しい、と言うことはバランスが崩れていないという事なんだけれども、ようするに平均的?なんだけれども。
でもその平均のレベルが恐ろしく、いや神の様な高さなんだ。まぁ、女神様だから当然だよね。
そしてパーツ一つ一つの完成度もすばらしい。
1000年の時を経ても透明な琥珀の様な眼、月並みな言葉しか出てこないけれども珠の様な肌、
厚みのある、優しさと母性に僅かなエロスの入り混じった唇、すっと通りつつも自己主張の少ない鼻、思わずしゃぶりつきたくなる可愛らしい耳たぶ。
身体も本当に素晴らしい。
何?そう言う関係になったのか?だと?バ、馬鹿野郎まだ……その……あぁもううっせぇ!!
もう帰れ!天狗帰れよ!帰れよ!!かーえーれー!!
「あ、静葉さん」
「……え゛?」
なんて言っている所を、ちょうど話題の中心人物、いや、中心女神に見られ、聞かれてしまった。
「あ……あの……」
う、うをぅ!?その頬が紅葉の如く紅潮していく様もすさまじく可愛らしい!!あ、あぁヤバイ!俺のハートがエクステンド!
あうあうと口をパクパクとさせてしまう俺は、多分傍から見ると金魚の様なそんな動きだっただろう。
「ちょうど今、彼――○○さんから貴女の好きなところを聞いていてですね」
「え、えぇ……そうなんですか」
話を聞く様も可愛いなァ……じゃなくて、シャ、シャラーップ!!
「お……終わった俺の人生……」
多分ドン引きである。
いくらなんでも自分の見ているところで耳たぶしゃぶりたいなんて言われたら引く。俺ならひくから判る。誰だって引く。
……一回アリスの前で
「アリスの指と言う指を一日25時間しゃぶりつくし隊総勢一名推参!即解散!」
等と言ったら酷い目にあったから判る。
だが勘違いしないで欲しい。しゃぶりたいのと恋愛感情は違うのだ。
そこの見物してる町人(まちんちゅ)諸君!どうせ君らだって
「白玉楼のお庭番の蚊注射(如何なるものかは某には不明)しゃぶりたいよぉぉぉ~」
とか言ってるんだろう?もしくは
「慧音先生の角しゃぶりたいよぉぉぉ~」か「スキマ妖怪の靴下しゃぶりたいよぉ~」等と言っているだろう?
でも多分○○(俺に非ず)は俺の嫁!などと言っているはずだ!そうだ!きっとそうだ!!
だが彼女に対する感情は違う、これはしゃぶりたいと言う衝動とかじゃなくもう彼女の為なら死ねる、いや!死なない!
人と神?種族の違いが何だ!
寿命なんて勇気と根性で如何にでもなる!如何にでもならないのだったら発明で如何にかする!
最悪竜殺しの人みたいに竜ぶっ(そこまでよ!)してその血で作ったため池に入って不死身にでもなってやるさ!
伊達に黒歴史ノート増産してねぇぜ、寿命を越える方法ならここではたくさんありそうだしな!!愛情はパワーだぜ!!」
「その、途中から……声、出てますよ?」
あぁ、この澄んだ清流の様な声、本当良い。
もうこの声だけで村中の米食い尽くせる。愛してる。
「……参考までに、どこら辺から?」
「スキマ妖怪の~の辺りからですねぇ。変態丸出しですね」
烏天狗がにやつきながら答える。帰れ!畜生!!
明日の一面は多分こうなるだろう……
【変態、ついに逮捕!!
昨日、幻想郷の女性のパーツをしゃぶりたいなどと抜かしていた男がついに捕まり、四季映姫様の所に書類送検された。
裁判は後日行われる模様。恐らく地獄逝き。ご冥福を祈りたくは無い
友人の証言 「あいつならやってくれると信じてました!!やったな相棒!!」
友人Bの証言 「多分あいつ『映姫様の冠しゃぶりたいよぉ~とか言うんじゃないの?』」】
「ふ……ふふふ……人生終わった……」
ガクリ、と膝を付く。
「えぇと……ご愁傷様です」
哀れみたっぷりな烏天狗。
何とも言わない静葉さん。その表情を見ることは今の俺には出来ない。
「あぁ……こうなったら全部言うさ……
外の世界からここに入ってきて、最初に貴女を見たときに既に俺の心は貴女に奪われていた!
季節の神?人間の寿命?そんな物じゃあ俺の気持ちは止められない、好きだ、好きじゃないとかではなく、もう愛している!
もう貴女抜きでの生活なんて考えられない、いや、もう俺は……俺は……!!」
言葉が詰まる。
今までしてきた変態行為の数々が走馬灯のように頭をよぎる。
こんな変態の一世一代の告白を受けてくれるとは想わない。だが、もう引き返せない――
言おうとする度に口の中の酸素が毒となり、喉を焼く幻覚に追いやられる。
幻覚の痛みに涙が出てくる。泣くな、男の泣くときは親と伴侶に死なれたときだけだ。
一押し二金三男。押しと勢いだけでもう当たるしかない。当たって砕けろ!!
「俺は……俺は……俺は貴女があれば生きていけるッ!!!」
「「え、えぇ!?!?」」
言った、ついに言ってしまった。
天狗と静葉さんは予想外も予想外と言う顔をしている。
あぁ、この美しい顔を見れるのもコレが最後か……フフ……あばよ、幻想郷。
喉を焼く、焦りと言う名の毒はすっかりその毒を潜め、ついに言った、と言う達成感が身をつつむ。
足が震えているのは武者震いだ、決して臆病になりガクガク震えているとかそう言う事ではない。
涙も流れては居ない!コレは心の汗なのだ……ダメだ、泣きそう。
「もし貴女さえ良ければ……俺一緒に暮らしませんか?
冬の寒さも、夏の暑さもどうにかしましょう。
偽りの季節が嫌ならば俺が他の季節を忘れさせましょう。
秋が来たら、秋の美しさを一緒に満喫しましょう」
「……はい」
「ふ……判ってましたよ。えぇ。断られる事ぐら……え、えぇ!?」
「……そう何度も言せないで下さい。一緒に……暮らしましょう?」
……美しい。
生憎絵心なんてものはお母ちゃんの胎内に忘れてきているので、
この表情を書き記せないのが残念であるが、この女神の顔は俺の心に焼きついた。
「さっきの言葉……信じますね?私を、置いて逝かないで下さいね。」
ほんわか、とした優しい笑顔。
その笑顔に、俺は何度目か判らないが――惚れ直してしまった。
「任せてください、俺は大事な人に嘘を付く趣味は無いですよ?」
ドン、と胸を張る。変態で馬鹿な俺が唯一人に誇れるところだ。
「よろしくお願いします、○○さん」
「こちらこそ、静葉さん」
秋の訪れには、まだ時間が有る。
季節の移り変わりの時間は、その季節を楽しむための時間なのだろう。
まだ肌寒い春も、暑い夏も、寒い冬も、過ごしやすい秋を待つスパイスになってくれるはずだ。
ことしの秋は、何時もより素晴らしく、過ごしやすいものになる。
そんな確信を抱いて、俺は彼女と抱擁を交わした。
うpろだ1222
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