OSK日本歌劇団と宝塚歌劇団の違い

同じ「女性歌劇」の劇団である、宝塚歌劇団との違いを、相違点と類似点(または共通点)としてまとめてみます。

大前提として、OSKも宝塚もそれぞれ「一興業形態に過ぎない」ということです。派生劇団も含め、どれが「正しい歌劇」ということはありません。

「宝塚とOSKの違いが分からない」「やっていることが同じ」等と言われることもしばしばありますが、両劇団には多くの違いと魅力があります。ぜひ、たくさん見比べていただきたいと思いますし、両劇団は刺激し合って、歌劇文化をより高めて欲しいと思います。

歴史

共通点

軍楽隊ブーム→少年少女音楽隊ブーム→少女歌劇ブームの中で、客寄せの出し物として誕生。

相違点

(※正確には、その当時の劇団名とするべきですが、分かりやすさを優先し、宝塚・OSKという呼称を用いています)

宝塚歌劇団が、一貫して阪急電鉄を親会社に、兵庫県宝塚市を本拠地としているのに対し、OSKは何度も親会社及び本拠地が変わっている。

宝塚は、三越少年音楽隊や白木屋少女音楽隊の成功を受けて、温泉地の客寄せのアトラクションとして1914年(大正3年)に誕生しました。

その宝塚の成功を受けて、宝塚のスタッフを招聘して1922年(大正11年)に誕生したOSKの方が、8年後発なのは歴史的事実です。しかし、OSK(正確には松竹楽劇部)の成功があって、1928年(昭和3年)に東京版の東京松竹楽劇部が生まれました。その東京松竹楽劇部(後のSKD)から、水の江瀧子という大スターが、1931年(昭和6年)に歌劇史上初の「ショートカットの男役」となるや一世を風靡し、今日まで続く男役スタイルが誕生しました。無論、宝塚(門田芦子ら)やOSK(アーサー美鈴ら)も追随します。

したがって、三越少年音楽隊・白木屋少女音楽隊の成功→宝塚の誕生・成功→松竹楽劇部(のちOSK)の誕生・成功→東京松竹楽劇部(のちSKD)の誕生→断髪の男役・男装の麗人の誕生・大ヒット→(現在へ)と、互いに影響しあって、今日まで続いているのもまた、歴史的事実であります。

女性だけの芸能なのも、短髪の男役がいるのも、今は無き少女音楽隊やSKDが発祥です。安易に「○○は宝塚/OSKのパクり」と言うのは、歌劇の歴史を踏まえれば、非常に乱暴な言い方です。

さらに後述するように、現在でもスタッフが一部共通しているのですから、「似ている部分があって当たり前」なのです。

養成制度

類似点

(現在は)二年制、厳しい上下関係・清掃・序列制度がある。

相違点

そもそもの位置付けとして、OSK日本歌劇団研修所(日本歌劇学校を踏襲)は、「本科・研究科」の二年制で、劇団員はプロです。一方、宝塚音楽学校は劇団と一体であった歴史的背景から「予科・本科」の二年制で、劇団員は「研究科」であり、生徒と呼ばれます。一定の年数を経て、タレント契約となります。

一年生の髪型にも厳格なルールがあるのは類似していますが、思考過程が異なります。OSK研修所の本科生は「早変わりの練習」という意味もあり、ハーフアップで通学し、おだんごに直し、さらにハーフアップに戻して帰宅します。一方、宝塚音楽学校の予科生は、「崩れない髪型の練習」という意味で、『海老天』と通称される硬い三つ編みです。

※宝塚音楽学校の三つ編みについて補足:
昭和後期の写真では、太く肩下まで垂れた三つ編みです。令和2年(2020年)に、海老天の三つ編みも廃止と報道されており、時代に応じた指導がなされています。

宝塚音楽学校は、原則、卒業生全員が宝塚歌劇団に入団しています。一方、OSK研修所は募集要項にある通り、入団試験の結果次第で可否が決まります。

スターシステム

共通点

男役の「トップスター」がいる。
OSK日本歌劇団歴代トップスター

相違点

OSKでは長らく「トップ娘役」「二番手男役」は固定されていませんでした

例えば2012年度劇団員名簿では、序列最上位の娘役は朝香さんですが、同年夏の南座公演でヒロイン:カトリーヌ役を演じたのは序列2位の牧名さんでした。前年には、朝香さんがヒロイン:浮舟役を演じています。

同様に2019年度劇団員名簿の序列最上位の娘役は舞美さんですが、同年夏の南座公演のヒロインは5位の城月さんでした。舞美さんは、なんと外部の出演者を迎え、夜の部の座長をされていました。

このように、演目や公演形態に応じ、柔軟に配役することができ、「トップコンビ」という概念は希薄なものとなっていました。

令和3年(2021年)より、「娘役トップスター」の地位が明確化され、初代として舞美りらさん・千咲えみさんの二人が就任されました。

他方、宝塚は、本公演ではトップスターが絶対に主演(※轟理事の出演時を除く)で、トップ娘役が原則として相手役(恋人や妻等)、二番手男役がストーリー上重要な役というパターンが固定されています。梅田芸術劇場やバウホール等、他の公演ではもう少し柔軟ですが…。

OSKの豊富なアレンジも、宝塚の安定的なパターンもそれぞれの良さがありますね。

OSKでは、宝塚でいうところの「路線」の要件も曖昧です。具体的に、○○で主演、○○を実施などはなく、年一回更新される名簿の序列が上がっていくこと、様々な主演機会が増えること等が、スター候補生の特徴と言える程度です。この序列も成績や実績が反映され、トップスター以外は、上位でも変動することが起こり得ます。

したがって、「番手」と「序列」は必ずしも一致しません。

公演システム等

類似点

(現在は)特になし。

相違点

宝塚は各組が、宝塚大劇場・東京宝塚劇場という専属劇場での「本公演」をメインに、本公演と本公演の間に、宝塚バウホール、大阪・東京・神奈川の主要劇場や全国ツアーを組んでいます。

OSKは、現在は、春の松竹座「春のおどり」公演と10月頃の「たけふ菊人形」公演以外は、固定されたパターンがありません。

1967年(昭和42年)に大阪劇場の興業打ち切り以降、1987年(昭和62年)に近鉄劇場での公演を再開するまでの間、大都市中心部での公演がありませんでした。年に1度の近鉄劇場公演と、年2~4回程度のあやめ池公演、そして全国各地の旅館・温泉などでのショーや外部出演が複雑に組み合わさっていました。

一時解散後、2004年(平成16年)に松竹座「春のおどり」公演復活後は、「大阪のレビュー劇団」としてのアイデンティティを意識してか、大阪中心部での公演が多くなっています。

松竹座以外で、大阪中心部において複数回公演を行っているのは「近鉄アート館」「大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)」「ABCホール」「大丸心斎橋劇場」があります。

また、京都「南座」、東京「新橋演舞場」「三越劇場」「博品館劇場」での公演があります。

宝塚の大劇場・東宝劇場の2000人規模ではなく、松竹座や南座でも1000人台のキャパシティですので、客席との距離感や花道の位置も異なります。したがってレビューの構成や制作者側の着意も全く異なるものになります。

規模

類似点

(現在は)特になし。

相違点

宝塚は、一組あたり約80名で、全員が本公演に出演する。ただし「その他大勢」の方は、出演場面が著しく少なく、上級生でも台詞が数個ということもある。さらに下級生では、技量や肥満等が原因で、本公演以外の作品への出演機会が無い方もいる。

OSKは松竹系列劇場での公演で約40名、たけふ菊人形で約20名弱、その他の劇場公演で約10名強、角座やイベントでは約5名です。

したがって、「その他大勢」になることはできず、ステージの規模と役目に応じた技量が、常に求められます。残念ながら、出演機会が著しく少ない方もいらっしゃいます。

また、宝塚のような人海戦術は取れないため、早変わりが活用されています。平成19年(2007年)に結成されたチェリーガールズは、「機動性の高いユニット」として、見事な早変わりを得意としていました。

娘役の扱い

類似点

特になし。

相違点

OSKでは、娘役のみの場面もある。娘役が群舞のセンターとなり、男役を率いることもある。序列(令和3年以降非公表)が男役娘役混合であるため、娘役が座長になることも珍しくない。

しかし、宝塚との最大の違いは、娘役の「旬の時期」「活躍期間の長さ」です。

宝塚では、トップ娘役の候補者は早期に抜擢され、入団3~7年程度でトップ就任、入団5~10年程度で退団となってしまう。例えば入団10年で退団した南風まいさん(元星組)のように、『戦争と平和』で大劇場で実質的な主演をするのが退団の餞になってしまう。また3~7年程度でトップ就任できなければ、上級生での就任はまずあり得ないため、活躍の場が減るよりは、潔く退団する方も多い。

OSKでは、平成2年に入団した湖上芽映さんのように多くの先輩娘役スターを飛び越して近鉄劇場ヒロインを務め、入団8年で退団するような例は稀です。

過去も今も上位の娘役たちは、入団10年前後の方が多いです。

かつて『シンデレラの階段』というドキュメンタリーで、密着取材を受けた初々しい本科生が若木志帆さん、生駒山の野外公演や入団試験に向き合う美貌の研究科生が北原沙織さんでした。…取材から16年後の一時解散時、娘役序列2位(全体3位)の若木さんと4位(同6位)の北原さん、お二人がOSK存続の会に残留し、再出発したOSKを牽引し、ともに在団約18年で退団されたことを思うと、感動的なものがあります。

OSKの娘役は活躍期間が長く、男役を引き立てるだけでなく、力強くしなやかに、少女から成熟した大人の女性まで、芸の力で自在に表現できるのが魅力です。

令和3年より、「娘役トップスター」(※男役の相手役に過ぎない「トップ娘役」ではない)の地位が明確化され、さらなる活躍に期待大です。

ラインダンスの扱い

共通点

ショーの演目で、必ず実施する。

相違点

宝塚歌劇団では、有望なスター候補生(いわゆる路線)は、早々に出演しなくなります。
一方、OSKではスター候補生の登竜門であり、センターで誰よりも脚を上げて踊ることが求められています。若手男役が「ロケットボーイ」を務めることも珍しくありません。OSKはこのラインダンスにおける脚あげ速度・回数を誇りにしています。

一時解散から復活した平成16年(2004年)『第1回 春のおどり』では、研修生含め30名強しかいない事情もあり、若手だけでなくスター級の団員やベテランも総出でラインダンスを披露しました。

チェリーガールズ初代リーダーの春咲さん曰く「脚上げてナンボ」。

日本物の扱い

共通点

『春のおどり』『秋のおどり』(※宝塚は、『をどり/踊り』表記が混在)を中心に、日舞を西洋音楽で踊るショーを上演する、女性歌劇独特の演目。

両劇団とも減少傾向にある一方、和化粧や日舞要素が少ない「和風ミュージカル」は増加傾向。

相違点

宝塚の減少傾向は顕著だが、OSKは、旧近鉄劇場や松竹系列劇場でのメイン公演でも多く上演している。

以下に、OSKは松竹系列の1000人規模での劇場又は近鉄劇場、宝塚は本公演を対象とし、ショー(レビュー)と芝居(ミュージカル)に区分して比較します。

ご覧の通り、『春のおどり』復活以降、OSKはほぼ毎年、日本物レビューを上演しており、宝塚歌劇団とは明確な違いが生じています。

OSKは平成29年(2017年)12月から、道頓堀角座→心斎橋角座にて、外国人向けノンバーバルショー『REVUE JAPAN』の常打ち公演を実施中(※日本人も観劇可能)。小規模かつ劇場の条件上制約も多い中、本格的な日本物レビューとなっています。この他に、中小劇場での和風ミュージカルにも、多く取り組んでいます。

かつて松竹を親会社としていた時期に、歌舞伎と合同公演を行ったことがあります。

また、OSKは歴史上、必ずしも格式ある劇場での公演だけでなく、旅館や(80年代にブームだった)地方博覧会等のショー、そして有名歌手公演の応援出演を引き受けてきました。また、たけふ菊人形公演では、長年、菊人形の主題(大河ドラマ、地域史)に沿った「和」の演目を披露してきました。こうした場所で好まれる「日本らしいもの」に加え、劇団員がOSKの誇りを持って「芸の品格」を、ともに真摯に受け継いできた結果、今日、ステージの大小・格式を問わずOSKは日本物に強みがあるのだと言えましょう。

なお、宝塚は、平成15年(2003年)月組『花の宝塚風土記』のサブタイトルを最後に『春の踊り』の、平成22年(2010年)星組『花の宝塚絵巻』のサブタイトルを最後に『秋の踊り』の、それぞれ名称自体を使用していません。

年度 OSK 宝塚
昭和62 夢見桜ラプソディ 雪組:宝塚をどり讃歌 星組:紫子
63 花組:宝塚をどり讃歌88' 花組:春ふたたび、雪組:たまゆらの記、月組:恋と汽笛と銀時計
平成元 相生橋夢物語 星組:春の踊り 月組:新源氏物語
2 雪組:天守に花匂いたつ、月組:川霧の橋
3 大津皇子 雪組:花幻抄
4 雪組:この恋は雲の涯まで、雪組:忠臣蔵
5 星組:宝寿頌、月組:花扇抄
6 天上の虹 星組:若き日の唄は忘れじ、雪組:雪之丞変化
7 雪組:あかねさす紫の花
8 花組:花は花なり
9 星組:誠の群像、雪組:春櫻賦
10 雪組:浅茅が宿
11
12 花組:源氏物語 あさきゆめみし
13 月組:いますみれ花咲く 星組:花の業平
14
15 春のおどり 夢燦々 月組:花の宝塚風土記 花組:野風の笛
16 春:桜咲く国、秋:なにわ祭りファンタジー 花組:飛翔無限 雪組:スサノオ、月組:飛鳥夕映え
17 春:平安☆レジェンド 星組:長崎しぐれ坂
18 春:義経桜絵巻、秋:なにわ祭り抄 踊る道頓堀 宙組:維新回天・龍馬伝!
19 春:桜・舞・橋、レ:源氏千年夢絵巻 ~ロマンス~(南座) 星組:さくら
20 春:お祝い道中、レ:源氏千年夢絵巻 ~輪舞曲~(南座) 月組:夢の浮橋
21 レ:桜颱風 真夏の京も桜満開(南座) 雪組:風の錦絵
22 レ:みやこ浪漫 RYOMA(南座) 星組:花の宝塚絵巻
23 春:さくら桜サクラ、虹:安土ロマネスク(南座)
24 春:桜舞う九重に 雪組:JIN
25 春:桜絵草子(日生+松竹座) 星組:宝塚ジャポニズム
26 春:桜花抄(+夏:新橋) 月組:宝塚絵草子 雪組:一夢庵風流記 前田慶次
27 春:浪花今昔門出賑 雪組:星逢一夜、花組:新源氏物語
28 春:花の夢 恋は満開(+夏:新橋) 花組:雪華抄
29 春:桜鏡 ~夢幻義経譚~(+夏:新橋) 雪組:幕末太陽傳
30 春:桜ごよみ 夢草子(+夏:新橋) 宙組:白鷺の城 星:ANOTHER WORLD
31 春:春爛漫桐生祝祭(+新橋) 月組:夢現無双、雪組:壬生義士伝
令和2 春:ツクヨミ(+新橋)、サ:陰陽師(南座) 月組:WELCOME TO TAKARAZUKA 月組:桜嵐記
3 春:ツクヨミ(+新橋) 月組:桜嵐記、星組:柳生忍法帖
4 春:光(+新橋)、レ:陰陽師(南座) 雪組:夢介千両みやげ

【凡例】
春・夏・秋・虹:春のおどり、夏のおどり、秋のおどり、虹のおどり
レ:レビュー in KYOTO
サ:OSK SUMMER SPECIAL
新橋:新橋演舞場
日生:日生劇場
+:松竹座公演以降の続演。
特記なければ松竹座公演を指す。
※鬘や衣装、メイク、設定等が伝統的な日本物様式ではない作品は除外しています。近年増加傾向にある「和風ミュージカル」として、OSK『魔剣士』『闇の貴公子』『新・闇の貴公子』『桜彦翔る!』『海神別荘』、宝塚『MAHOROBA』『るろうに剣心』『NOBUNAGA』『桜華に舞え』『邪馬台国の風』『MESSIAH』『元禄バロックロック』など。

衣装について

類似点

着回しも見所のひとつで、過去の公演で○○さんが着ていた衣装、リフォーム等を探して楽しむ。

数十年近く着回されることも珍しくない。

相違点

宝塚は、宝塚衣装部こと「(株)宝塚舞台 衣装課」が担当している。トップスター・トップ娘役は新調が多い。特に、任田幾英や有村淳がデザイナーとして著名。

OSKは、近鉄傘下時代に衣装(と音源)を保有していた「(株)近鉄レジャーサービス」より引き継いでいます。

また、松竹系列劇場での公演では「(株)松竹衣装」が担当しています(参考:松竹衣装 過去のお芝居の公演情報)。松竹衣装は、日本物の着付けやセンスが抜群です。

この他、大阪市TOP MODE JAPAN(村山明子)による製作→納入や、「(株)東京衣装」からのレンタルがあります。

ポスター等を見比べる限り、トップスターも含めて、衣装の着回しの頻度は、宝塚とは比べ物にならない位多いのが現実です。しかし、OSKは同じ衣装でも、演出や振付により、似た場面にならないところが、素晴らしいです。

私設ファンクラブ等による応援

類似点

私設ファンクラブ(いわゆる会)があり、トークイベント(いわゆるお茶会)や観劇会(いわゆる総見)を実施している。

相違点

宝塚の私設ファンクラブは、劇団非公認で、ファンリーダーが勝手にやってるもの(という建前)ですが、OSKは楊さんのファンクラブHPがあるところからも、ある程度公認されているようです。
宝塚に比し、ファンクラブの活動規模も小さく、退団公演でもない限り、大規模な入り出待ちもなく、観劇時に目立つようなことはありません。OSKは、宝塚が花の受け入れを辞退して以降も、公演時に贈られた花を劇場ロビー等に飾っており、その中にはファンクラブの方から贈られたものもありました。

2019年現在、劇団員を通じて購入したチケットは売り上げの最大10%を劇団員が受け取れると公表されています。また、キャスティングについても、チケット売り上げを受け観客動員を考慮していることも明らかになっています。(関西テレビ2019年6月25日放送:Webアーカイブhttps://www.ktv.jp/runner/backnumber/20190625.html

宝塚歌劇団では、(ポストカード・ブロマイド等の公式個人グッズ売り上げ、手紙の数、入出待ち人数等が人気の指標になると信じられているものの)、給与システムも含めてこのような明確な事情が公表されたことはありません。宝塚が「街やシステムも含めた全てが夢の国」なら、OSKは「現実世界にある夢の舞台」と言えましょう。

公式ファンクラブ

共通点

公式ファンクラブ「宝塚友の会」「桜の会」を有する。

相違点

宝塚は、もともと(1950年代以前)は、バレエ等の経験者を1年制で音楽学校に入学させていました。高度成長期前ですから、バレエや日舞等の芸事をできるのは、かなり裕福な家庭の令嬢に限定されます。こうした人脈もあって、社会的に地位のある男性ファンによる「愛宝会」があります。愛宝会は劇団員への表彰を行っており、劇団公認の存在です。長らく、政治家の櫻内義雄氏(衆議院議長ほか)が会長を務め、現在の会長は倉林公夫氏(株式会社FS総合研究所 代表取締役 社長)です。

こうした劇団外でのバックアップ体制・ネットワークが、1974年のベルばらブームを機に、1980年代~90年代にかけて東京通年公演体制の確立(東京宝塚劇場の専用化、代替公演用地の確保)、放送チャンネルの開局など、日本全国及び海外への発信力を高めていく足掛かりとなったのは疑いの余地はありません。

一方のOSKは、芸に邁進するストイックさから、戦後のレビュー黄金時代にも部外のスポンサー(パトロン)と積極的にかかわってきませんでした。このことは90年史p.133でも触れらています。遅まきながら、「大阪商工会議」や公益財団法人「関西大阪21世紀協会」等から後援を受けるようになりました。学生へのダンス教室のスポンサーは「象印マホービン」(本社:大阪府大阪市)ですし、公演スポンサーに「味覚糖」(本社:大阪府大阪市)がついたこともあります。着実に、在阪企業から支援・支持を受け、大阪の劇団としての地位を盤石にしつつあります。

なお、2017年には「岡山OSK日本歌劇団後援会」も立ち上げられています。


派生劇団等

共通点

特になし。

相違点

OSKの前身である、松竹楽劇部の東京版が、東京松竹楽劇部で、のちのSKDです。

1960年代~1996年まで存在した、那須ロイヤルダンシングチームのショーにも、振付の大谷盛雄・奥山賀津子ら、音楽の中川昌ら、OSKおなじみの先生方が多数参加されています。資料が少ないのですが、写真を見る限り、当時のOSKによく似ています。

その後、親会社であった近畿日本鉄道(近鉄)の支援打ちきり後、劇団員は複数の団体に分かれました。『存続の会』は、結果的に劇団の正統な後継団体として合意し、今日のOSKとして存続しています。

和倉温泉加賀屋専属の『雪月花歌劇団』は、この一時解散時にOGがかなり移籍し、その後は公演ごとにオーディションをしているようですが、こちらも15年余りにわたって継続しています。OSKでお馴染みの、演出家北林佐和子らが参加されています。残念ながらコロナ禍で活動を長期休止中です。

元トップ那月峻主宰の『歌劇ビジュー』は兵庫県を中心にスター級のOGが出演し、敬天(あつたか:恋香うつる)が脚本や演出を手掛けていました。平成26年(2014年)に敬天氏が逝去し、平成28年(2016年)1月の公演を最後に、舞台公演が途絶えています。

そして、『ハウステンボス歌劇団』(現:ザ・レビュー・ハウステンボス)に、『雪月花歌劇団』から複数のOSK OGが移籍し、活躍されています。なにより、発足当初は、OSKの楽曲が多数使われていました。ただし、劇団員やスタッフの経歴にOSK出身と明記しないなど、OSKファン視点では、もやもやするものがあります。

このように、OSKからは歴史上、派生劇団・影響を与えたプロ劇団がいくつもあります。「女性歌劇」という文化を広く根付かせたことは、OGの奮闘も含めて、誇るべき歴史です。

セカンドキャリア

共通点

少女歌劇には「花嫁学校」としての側面があり、
芸能活動を続ける方もいれば、他の職業に就かれる方
結婚して家庭に入られる方がいる。

相違点

OSKの宝塚との大きな違いな一つが、入団年齢の上限です。
近鉄傘下時代には、上限が20歳(専門・短大卒、大学中退)まで、
それ以降は23歳未満(大卒)までとなっています。

そのため、入団前に取得した資格や経験を活かし、
舞あかりさんのように保母資格(保育士資格)を有したダンス講師として
専門技能を生かした活動をされる方や、
京極遥さんのように看護師として働きながら、レビュー普及活動を続ける方
もいらっしゃいます。
宝塚に比べて全国的な知名度が劣り「元OSK」の肩書だけでは通用しないのもまた現実で
その分、セカンドキャリアが多様性に富んでいます。

宝塚音楽学校で、高卒資格が取得できるようになったのはごく近年のことで
退団後、一般社会からのブランクがかなり開いた状態で
進学や再就職をしなければなりません。
OGの華陽子さん(元花組娘役スター、池田銀行イメガ)は
退団直後”バスの乗り方が分からなかった”と話されています。
芸能人、あるいは市井の社会人として、
きちんとセカンドキャリアを送っている方も多数いらっしゃいますが
劇団の知名度があるがゆえに
露出の多さに比し活動実態が乏しく「元宝塚歌劇団」しか肩書の無いOG、
「宝塚の暴露話」や「一般社会とズレている話」を披露するしかないOG
の姿には残念な気持ちになります。

女性の社会進出が進み、
華やかな舞台の次は、結婚しておしまい、
ではなくなったのですから、各方面での両OGの活動・活躍に期待します。

プロ野球

※下記の経緯から、現在の活動についてはOSK日本歌劇団とプロ野球を参照

共通点

かつては、親会社が歌劇団と球団を保有。

相違点

阪急では、小林一三の遺訓であり歌劇団と球団を手放してはならないとされてきました。
しかし、阪急の「二大お荷物」として、昭和63年(1988年)をもって球団をオリエンタルリース(現オリックス)へ売却。
同時期から歌劇団の東京進出を本格化させ、遊園地も手放しながらも
歌劇団の知名度、ブランド力(高級・令嬢イメージ)を向上させて「孝行娘」にし、今日の隆盛を築き上げました。

近鉄は長年にわたり散漫経営が続きました。
リーグ優勝を何度も果たしてきましたが、選手の待遇は劣悪だったとされます
(詳しい話は、OBの金村義明氏が「貧乏球団」の思い出をよく披露なさっています)。

Jリーグ発足の危機感から1990年代前半に各球団がマスコットやダンスパフォーマンスを充実させていますが、
これをOSK団員が「バファローズギャル」「OSKチアリーディングチーム」として担当していました。
OSKはいわば「本業」以外の近鉄傘下の旅館等のショーを手掛け、これらの収入が重要でした。
近鉄時代末期のあやめ池遊園地は、OSK観劇料が安く、それでもガラガラであり、
心配したファンからは値上げするよう声があった程です。
宝塚がブランドイメージを作り上げたのと対照的に、マーケティング戦略を誤ったとしか言えません。

2000年代に入り、いよいよ近鉄本社・近鉄レジャーサービスの経営が厳しくなると、
平成15年に近鉄の支援打ち切りでOSKが一時解散の憂き目にあい(そこからの奇跡の復活は、語るまでもないでしょう)、
翌平成16年には近鉄・オリックス合併を端緒に、球界再編騒動が巻き起こりました。

そう、現在の『オリックス•バファローズ』は、両歌劇団の親会社2社をルーツとしています。
歌劇史の面からも、大変興味深い結びつきだと思います。

関係者

OSK日本歌劇団

演出家 横澤英雄(横沢秀雄) 父横沢三郎が、『東京セネタース』『阪急ブレーブス』選手

宝塚歌劇団

野球と少女歌劇が大正~昭和初期に勃興したのを反映し、
黎明期から婚姻による結びつきがあることに驚嘆します。

横澤英雄 演出家 OSKに同じ。
春日花子 5期生 明治大学、大阪毎日野球団の投手を経て『毎日オリオンズ』監督の湯浅禎夫と結婚。
花野春子 12期生 横沢三郎と結婚。
尾上さくら 20期生 横沢三郎の妹、横澤英雄の妹。
代々木ゆかり 26期生 『読売ジャイアンツ』選手のち監督の川上哲治と結婚。
草間淑江 29期生 『南海ホークス』選手のち監督の鶴岡一人と結婚。
歌園いすゞ 42期生 『大阪タイガース』他選手:河津憲一と結婚。
瀬戸みちる 44期生 『中日ドラゴンズ』『ロッテ•オリオンズ』選手:江藤慎一と結婚。
多麻可津美 54期生 『大洋ホエールズ』『南海ホークス』選手:伊藤勲と結婚
白川亜樹 65期生 在団中に『阪急ブレーブス』投手:山沖之彦と婚約し大きなニュースとなり寿退団。
秋月志保 70期生 『広島東洋カープ』選手のち監督:野村謙二郎の姉。
松波美鶴 73期生 『阪急ブレーブス』選手:高井保弘と結婚。
はやせ翔馬 74期生 江藤慎一夫妻の娘。
鈴奈美央•沙也 76期生 双子姉妹。河津憲一夫妻の娘。
琴まりえ 83期生 『広島東洋カープ』投手:今井啓介と結婚。
芹香斗亜 93期生 宙組に在団中。山沖之彦夫妻の娘。
麻央侑希 94期生 『読売ジャイアンツ』選手、『ヤクルトスワローズ』『西武ライオンズ』監督の広岡達郎の孫娘。
暁千星 98期生 星組に在団中。『南海ホークス』投手:山内和宏の娘。
姫歌ひな乃 99期生 笘篠誠治夫妻の娘。元子役、退団後は「笘篠ひとみ」。
妃純凛 100期生 月組に在団中。『近鉄バファローズ』他投手:太田幸司の娘。
草薙稀月 101期生 『中日ドラゴンズ』選手:松永幸男の娘。
大路りせ 105期生 宙組に在団中。『阪急ブレーブス』他選手:風岡尚幸の娘。

(参考)松竹歌劇団

小倉みね子 1期生 『大阪タイガース』他選手の小島利男と結婚。
瞳はるか 『西武ライオンズ』選手:笘篠誠治と結婚。

オリンピック

共通点

両劇団とも、オリンピックに直接・間接的に関与している

相違点

令和3年(2021年)の東京オリンピック開会式に宝塚OGの真矢みきさんが出演され、さらに閉会式で現役スターが国歌を斉唱したことは記憶に新しいと思います。「兵庫県の劇団」がどうして「東京」オリンピックに?というツッコミは、宝塚が昭和9年(1934年)から中断を挟みながらも90年弱公演を続けてきたので、東京に縁がある存在であることによると理解しています。
遡ること令和2年(2020年)には、花組『ダンス・オリンピア』や、星組『Ray』中の五輪を想起させる場面、そして月組『Welcome to Takarazuka』の訪日客をターゲットにした日舞レビューなど、劇団全体でオリンピックの機運を盛り上げようとしていた姿がうかがえます。

一方のOSKは、OGの石崎共美(55期、在団時の芸名:津田馨)氏がアーティスティック・スイミング(旧シンクロナイズド・スイミング)の振付家をしています。また、令和3年の東京五輪では、OGの八洲承子さんが、奈良県斑鳩町で聖火ランナーを務めています。

「宝塚落ち」について

今日、宝塚歌劇団の付属機関である宝塚音楽学校は20倍前後の高い倍率があり、言い換えれば不合格になる方も非常に多いです。出身スクールにまとめましたが、OSK劇団員には宝塚受験スクールに在籍していた方も少なくありません。

一方、元々ミュージカル女優やダンサー、教員(幼稚園、小学校)志望の方が転向されたケースもあります。専門学校や、大学•短大時代に歌劇を志した方は「宝塚落ち」になりようがありません。

当然のことながら、OSKが大好きで、あるいは一日も早くプロになるべく、中卒•高校中退(すなわち宝塚への受験機会がまだある状態)で、OSKに入所(入学)する方もいらっしゃいます。

また体格に関して、宝塚歌劇団では、娘役なら公称160cm、男役なら公称170cm前後の痩身な団員が多く「粒ぞろい」な印象です。他方、OSKは宝塚基準では「規格外」の体格ながら、機敏で魅力的な方が多い印象です。

「宝塚落ち」が、舞台人として劣っていると言うことは全く無く、それぞれの劇団の雰囲気や規格に合うか合わないか、なのです。

そして「宝塚落ち」と言う挫折を経験した方は、それでもなお「歌劇が好き」「舞台が好き」と言う気持ちと向き合い、OSKに根を張り、『雑草魂』と呼ばれる力強く熱い舞台姿を魅せてくれます。
(67期OGの方のブログ記事を、ぜひご覧下さい→https://ameblo.jp/tomo461127/entry-12775786756.html

出身スクール一覧を見れば、同時期に通っていた方同士、「宝塚受験」としては明暗が分かれたことでしょう。しかし、楊さんのように奮起してOSKトップスターに上り詰め、歌劇史や松竹カレンダーに名を残すこともあるのです。一緒に努力した仲間同士の友情は続き、OSKや宝塚公演相互に目撃情報もあります。優劣や勝敗を煽るのではなく、それぞれの場所で努力なさっていることに敬意を表すべきでしょう。

なお、宝塚音楽学校受験の有無とは別に、同校附属の別科やコドモアテネ出身者もいます。

「宝塚落ち」を公表されている方

  • 洋あおい
  • 楊琳
  • 翼和希

共通するスタッフ

※加筆予定
宝塚所属・出身の方をOSKは多く受け入れていますが、その逆はほぼ無い傾向にあります。

演出家

  • 横澤英雄(宝塚所属→出身、OSKでは横沢秀雄名義も)
  • 中村一徳(宝塚所属)
  • 荻田浩一(宝塚出身)

振付家

日舞

  • 山村友五郎(旧芸名:山村若※六世宗家)(宝塚音楽学校講師、植田紳爾の長男)
  • 藤間豊宏(宝塚音楽学校講師)
  • 花柳寿楽
  • 飛鳥峯王
  • 藤間瑛乾
  • 尾上菊之丞
  • 西川箕乃助

洋舞

  • 山田卓
  • 大谷盛雄
  • 名倉加代子
  • 中川久美
  • 内田喜隆
  • 小沢周三
  • 関根玲子
  • 羽山紀代美(宝塚出身)
  • 麻咲梨乃(宝塚出身)
  • 藍エリナ(宝塚出身)
  • 尚すみれ(宝塚出身)
  • 仲本智代(宝塚出身(荻代彩乃)、宝塚音楽学校講師、OSK92期:羽那舞の母)
  • れい美花(宝塚出身(麗美花))
  • 上島雪夫 ※OSKでは演出も
  • 桜木涼介
  • 平澤智 ※OSKでは演出も
  • 鳥居かほり
最終更新:2023年01月07日 20:00