"親友"のために ◆iCiFbtU8SE
『これから君達には殺し合いをしてもらうでやんす』
先ほどのホールで、俺の親友である亀田くんは確かにそう言った。
(今度は一体何を企んでるんだ……?)
俺は亀田くんの狙いが何か考えようとして――――すぐに止めた。正直言って亀田くんの狙いなんて俺にとってはどうでもいい。
(俺は亀田くんの命令に従うだけ……。従わざるをえないんだから)
俺、三橋 一郎(ミハシ イチロウ)は亀田くんに利用されるために体を機械化された所謂サイボーグである。
いや、少し違うか。利用されているとはいえ死んだ俺を復活させてくれたのは紛れもなく亀田くんなのだから……。
亀田くんは崖から足を滑らし死んだ俺の遺体を回収。唐沢博士という人と共に俺をサイボーグとして生き返らせてくれた。
その目的はプロペラ団という組織への復讐。そして世界をネオプロペラ団と称した自分の組織で支配するためである。
俺は亀田くんのその野望を打ち砕くために挑み――――負けたのだ。
その後は亀田くんに逆らえないように体をさらに改造されて、亀田くんの率いるネオプロペラ団の手伝いをさせられている。
いや、少し違うか。利用されているとはいえ死んだ俺を復活させてくれたのは紛れもなく亀田くんなのだから……。
亀田くんは崖から足を滑らし死んだ俺の遺体を回収。唐沢博士という人と共に俺をサイボーグとして生き返らせてくれた。
その目的はプロペラ団という組織への復讐。そして世界をネオプロペラ団と称した自分の組織で支配するためである。
俺は亀田くんのその野望を打ち砕くために挑み――――負けたのだ。
その後は亀田くんに逆らえないように体をさらに改造されて、亀田くんの率いるネオプロペラ団の手伝いをさせられている。
(俺が埋蔵金なんて掘り当てたからだよなー)
掘り当てた埋蔵金のほとんどは亀田くんに持って行かれ、ガンダーロボの製作にあてられていたらしい。
そんな資金にものを言わせて出来たガンダーロボの強さは――先の戦いの通りである。ヒーローと自称していたブラウンという人をあっという間に殺してしまった。
俺だってミサイルまで持って挑んで負けたんだ。当然の結果ってやつだ。
そんな資金にものを言わせて出来たガンダーロボの強さは――先の戦いの通りである。ヒーローと自称していたブラウンという人をあっという間に殺してしまった。
俺だってミサイルまで持って挑んで負けたんだ。当然の結果ってやつだ。
(ははははっ、それにしても馬鹿だよなあの人もあの子供も)
首輪を爆破された少年とブラウンと名乗ったあの男を思い出して笑いがこみ上げる。
亀田くんに歯向かうなんて愚かにもほどがある。黙って彼の言うとおりにしていればあと少しばかり生きていられただろうに。
俺も亀田くんに負けてすぐの頃は抵抗ばかりしていた。プログラムで行動をコントロールされていたのだが、悪いことは嫌いだった俺は必死になってそのコントロールから逃れようとした。
抗って抗って、なんとか亀田くんの悪事を止めようともした。
だがサイボーグの俺がプログラムに完璧に抗えるわけもない。できる限りのささやかな抵抗も亀田くんは気に入らなかったようで、あとでこっぴどく"お仕置き"された。
辛かった、苦しかった。多分人間だったらすぐに死んでいただろう仕打ちを何回も、何十回も、何百回も、いや何千回も受けた。それでも俺は抗った。
亀田くんに歯向かうなんて愚かにもほどがある。黙って彼の言うとおりにしていればあと少しばかり生きていられただろうに。
俺も亀田くんに負けてすぐの頃は抵抗ばかりしていた。プログラムで行動をコントロールされていたのだが、悪いことは嫌いだった俺は必死になってそのコントロールから逃れようとした。
抗って抗って、なんとか亀田くんの悪事を止めようともした。
だがサイボーグの俺がプログラムに完璧に抗えるわけもない。できる限りのささやかな抵抗も亀田くんは気に入らなかったようで、あとでこっぴどく"お仕置き"された。
辛かった、苦しかった。多分人間だったらすぐに死んでいただろう仕打ちを何回も、何十回も、何百回も、いや何千回も受けた。それでも俺は抗った。
――いつか亀田くんが、高校時代の親友が戻ってくると信じて。
――だが、いつだったか抵抗するのに疲れてしまった俺は亀田くんの命令通りに作戦を遂行した。
するとどうだろう。亀田くんは笑いながら「ありがとう、さすがは親友の一郎くんでやんす」と笑顔で褒めてくれたのだ。
その時ようやく俺は気づいたのだ。今までなんて馬鹿なことを繰り返してきたのだろうと。
亀田くんに逆らっていたからあんな痛くて苦しい思いをいっぱいしてきたんだ。
なら亀田くんに従ってれば苦しいことも痛いことからも解放されるんじゃないか。亀田くんは俺のことを"親友"として扱ってくれるんじゃないか。
なぜ今まで気づかなかったんだろうと俺は後悔した。亀田くんにも泣いて謝った。今まで逆らってきてごめん、と。
するとどうだろう。亀田くんは笑いながら「ありがとう、さすがは親友の一郎くんでやんす」と笑顔で褒めてくれたのだ。
その時ようやく俺は気づいたのだ。今までなんて馬鹿なことを繰り返してきたのだろうと。
亀田くんに逆らっていたからあんな痛くて苦しい思いをいっぱいしてきたんだ。
なら亀田くんに従ってれば苦しいことも痛いことからも解放されるんじゃないか。亀田くんは俺のことを"親友"として扱ってくれるんじゃないか。
なぜ今まで気づかなかったんだろうと俺は後悔した。亀田くんにも泣いて謝った。今まで逆らってきてごめん、と。
「いいでやんすよ。一郎くんは友達でやんす、親友でやんす。だから今までのことは水に流すのでやんす」
亀田くんはそう言って笑いながら愚かだった俺を親友として許してくれたのだ。そして俺は亀田くんに協力することを誓い、ネオプロペラ団の一員として、亀田くんの親友として働いている。
そう、俺が逆らわない限り亀田くんは俺のことを親友として扱ってくれる。ならば俺がこのゲームでやることはただ一つ。とてもシンプルな答えだ。
そう、俺が逆らわない限り亀田くんは俺のことを親友として扱ってくれる。ならば俺がこのゲームでやることはただ一つ。とてもシンプルな答えだ。
「殺し合いに積極的に参加して、このゲームが円滑に進むようにする」
それが俺の役目だ。亀田くんの親友として、この俺ができること。
そうと決まれば話は早い。早速殺し合いに参加するための準備を整えるとしよう。まずはお腹のパネルを開いて自身のパーツの確認から始めることにした。
そうと決まれば話は早い。早速殺し合いに参加するための準備を整えるとしよう。まずはお腹のパネルを開いて自身のパーツの確認から始めることにした。
(パワーに走力、共に問題なし。しかも豪力のオマケ付きか。亀田くんも粋な計らいをしてくれるじゃないか)
豪力――それは亀田くんが直々に作ってくれた強化パーツである。これを装備すれば普通の人間では考えられないほどのパワーが出せるようになるのだ。
この殺し合いを有利に進めるにはもってこいのパーツだ。
この殺し合いを有利に進めるにはもってこいのパーツだ。
(特殊能力が減っているが――まぁ豪力があればなんとかなるだろう)
俺はお腹のパネルを閉じて、今度はデイパックの中身の確認を始める。デイパックの中にはご飯と水の他に予備バッテリーが入っていた。
ご飯や水は俺にとって人間の真似事にしかならないから予備バッテリーでエネルギーの補給を行えということか。
さらに手を入れてごそごそと中身を確認していくと、なんだか妙な感触の物に手が触れる。思い切ってそれを掴んで引っ張り出してみた。
ご飯や水は俺にとって人間の真似事にしかならないから予備バッテリーでエネルギーの補給を行えということか。
さらに手を入れてごそごそと中身を確認していくと、なんだか妙な感触の物に手が触れる。思い切ってそれを掴んで引っ張り出してみた。
「うわっ! なんだこれ……?」
その禍々しい見た目を持った物体を見て俺は思わず声をあげて驚いた。まるで本物の鬼から手を切り取ったものみたいだった。
始めはただの模型だとがっかりしたのだが、触って爪の感触などを確かめているうちに、武器として十分使えるものだとわかり俺は右手にそいつを装着した。
近くにあった木に向かって右手を振るう。豪力の力もあってか、いとも容易くまるでプリンをスプーンで掬うかのようにあっさりと木を切断してしまった。
始めはただの模型だとがっかりしたのだが、触って爪の感触などを確かめているうちに、武器として十分使えるものだとわかり俺は右手にそいつを装着した。
近くにあった木に向かって右手を振るう。豪力の力もあってか、いとも容易くまるでプリンをスプーンで掬うかのようにあっさりと木を切断してしまった。
「当たりってわけだな。亀田くん、ありがとう」
ランダムで支給されると言っていたが、亀田くんは俺に配慮してくれたらしい。お陰でとても強力な支給品を手に入れることができた。
最後に地図を取り出して辺りを見回してみる。だが目印になるようなものは残念ながら周りにはなかったので場所の特定はできなかった。
最後に地図を取り出して辺りを見回してみる。だが目印になるようなものは残念ながら周りにはなかったので場所の特定はできなかった。
「……まぁ今はまだ狙って人を探さなくてもいいか」
まだこの殺人ゲームは始まったばかり、適当に歩いていても誰か参加者に会うだろう。人の集まる場所を狙って襲撃するのはゲーム中盤から後半でも遅くは無い。
「さて、そろそろ行くか」
俺は荷物をデイパックにしまうと歩き出した。亀田くんの命令に従って多くの人を殺すために。
(悪いことは嫌なんだけど、亀田くんには逆らえないしなぁ)
人殺しなんてしたくはない、それが本音ではある。でも俺は亀田くんの命令を聞くしかないのだ。
――亀田くんの"親友"として……。
* * *
【E-5/1日目/深夜】
【三橋 一郎(主人公)@パワポケ1&3】
[状態]:健康 エネルギー100%
[装備]:鬼の手、パワーと走力の+パーツ一式、豪力
[道具]:支給品一式、予備バッテリー
[参戦時期]亀田の乗るガンダーロボと対決して敗北。亀田に従わされしばらく経ってから
[思考]
基本:亀田の命令に従いバトルロワイヤルを円滑に進めるために行動する
1:参加者を積極的に探して殺す
2:もしも相手がマーダーならば協力してもいい
3:亀田に対する恐怖心
【三橋 一郎(主人公)@パワポケ1&3】
[状態]:健康 エネルギー100%
[装備]:鬼の手、パワーと走力の+パーツ一式、豪力
[道具]:支給品一式、予備バッテリー
[参戦時期]亀田の乗るガンダーロボと対決して敗北。亀田に従わされしばらく経ってから
[思考]
基本:亀田の命令に従いバトルロワイヤルを円滑に進めるために行動する
1:参加者を積極的に探して殺す
2:もしも相手がマーダーならば協力してもいい
3:亀田に対する恐怖心
※今回の事件を起こした亀田とネオプロペラ団率いる亀田を同一人物だと思っています
※たかゆきと同じように頭に直接爆弾がしかけられています
※バッテリーも鬼の手も完全にランダムの支給品で、それが亀田の餞別だと思っています
※パーツの合計はパワーが豪力込みでB、走力がCですが、あくまで目安として考えてください
※たかゆきと同じように頭に直接爆弾がしかけられています
※バッテリーも鬼の手も完全にランダムの支給品で、それが亀田の餞別だと思っています
※パーツの合計はパワーが豪力込みでB、走力がCですが、あくまで目安として考えてください
【豪力@パワポケシリーズ】
パワーが+30されるサイボーグ用パーツ。亀田が直々に一郎にプレゼントするため作ったものらしい。
パワーが+30されるサイボーグ用パーツ。亀田が直々に一郎にプレゼントするため作ったものらしい。
【鬼の手@パワポケ7裏】
大正時代編最強の武器。格闘レベルが高いと凄まじい威力を発揮。
それがガンダーロボとも殴り合いをした一郎に渡ったわけだがはたしてどうなるか……。
大正時代編最強の武器。格闘レベルが高いと凄まじい威力を発揮。
それがガンダーロボとも殴り合いをした一郎に渡ったわけだがはたしてどうなるか……。
【予備バッテリー@パワポケ3】
エネルギーが0になっても100まで補給してくれる命綱。ランダム支給品なのだが運良く一郎はGET
エネルギーが0になっても100まで補給してくれる命綱。ランダム支給品なのだが運良く一郎はGET
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