FALLEN GIRLS Ⅱ ◆7WJp/yel/Y
「は、ははは……あー、おかし」
「なんやねんいきなり笑いだして」
「なんやねんいきなり笑いだして」
事務室のソファーに腰かけて二人は僅かに出た涙を裾で拭う。
数十秒ほど笑いをおさめることに時間をかける。
事務室はソファーと作業用の机、そして監視カメラと意外と広い作りになっている。
数十秒ほど笑いをおさめることに時間をかける。
事務室はソファーと作業用の机、そして監視カメラと意外と広い作りになっている。
「……なんやえらい荒れとるなぁ」
「三橋って奴が漁ったんでしょうね」
「そう言えば、朱里。なんで三橋さんのこと知ってるの?」
「三橋って奴が漁ったんでしょうね」
「そう言えば、朱里。なんで三橋さんのこと知ってるの?」
意外そうな顔と声で和那は朱里を見る。
朱里は眉をひそめ機嫌の悪そうな声で答える。
あまり良い関係とは言えないようだ。
朱里は眉をひそめ機嫌の悪そうな声で答える。
あまり良い関係とは言えないようだ。
「殺し合いに乗ってるそうよ。……まあ、アンタも知ってるけど」
「あー、まあ朱里が来るまでどつきあったし。って、そう言えばなんで朱里はそれを知ってんの?」
「これでここに連絡した時に、ね」
「あー、まあ朱里が来るまでどつきあったし。って、そう言えばなんで朱里はそれを知ってんの?」
「これでここに連絡した時に、ね」
朱里はデイパックから名刺大の厚みのある機械を隣に座っている和那の膝に放り投げる。
少し慌てた様子で和那は受け取り、それをじっと眺めて確かめるように呟く。
少し慌てた様子で和那は受け取り、それをじっと眺めて確かめるように呟く。
「ケータイ……?」
「その中に入ってた番号の一つがここでね。それで掛けたら三橋で出たってわけ。
殺し合いに乗らないとアンタや紫杏を殺すーとか言う意味不明な脅しかけられたわ」
「あー、これで進藤ちゃんや曽根村さんに電話したんか」
「……知ってたの?」
「その中に入ってた番号の一つがここでね。それで掛けたら三橋で出たってわけ。
殺し合いに乗らないとアンタや紫杏を殺すーとか言う意味不明な脅しかけられたわ」
「あー、これで進藤ちゃんや曽根村さんに電話したんか」
「……知ってたの?」
少しだけ、朱里の声の調子が沈み和那からも目を逸らす。
殺し合いに乗っていた、と言うことに負い目を感じているのだろう。
殺し合いに乗っていた、と言うことに負い目を感じているのだろう。
「ああ、構わへん構わへん。幸いっていうんかな、死んだ人も怪我した人も居らんし。
ほら、あれや。大事なんはこれからのことやーってよく言うやろ?」
「べ、別に後悔とかそういうわけじゃ……!」
「照れへんでもええって。それよりはよメシでも食お。お腹ペコペコやねん」
ほら、あれや。大事なんはこれからのことやーってよく言うやろ?」
「べ、別に後悔とかそういうわけじゃ……!」
「照れへんでもええって。それよりはよメシでも食お。お腹ペコペコやねん」
大げさに腹を押さえて、机の上に置かれていたカップ麺を眺める。
しょうゆ、塩、味噌、トンコツと何でも揃っているが和那はとりあえずと言った様子で塩を手に取った。
しょうゆ、塩、味噌、トンコツと何でも揃っているが和那はとりあえずと言った様子で塩を手に取った。
「朱里は何にするー? 色々あるでー」
「私は……しょうゆでいいわ」
「りょーかい」
「私は……しょうゆでいいわ」
「りょーかい」
その言葉を聞くと魔法瓶に手を伸ばして素早くお湯を注いで行く。
流れるような手慣れた動作だ。
そして、いつの間にか他のカップ麺から抜き取った大量のかやくを入れていく。
和那の突然の行動に驚いたのか朱里が目を大きく見開く。
流れるような手慣れた動作だ。
そして、いつの間にか他のカップ麺から抜き取った大量のかやくを入れていく。
和那の突然の行動に驚いたのか朱里が目を大きく見開く。
「な、何やってんの、アンタ?」
「んー、どうにもすきっ腹で……かやく大量に入れて補おうと」
「なら二個食べればいいじゃない」
「阿呆! 乙女がそんなカロリー無視できるかい!」
「……って言うか、それって美味しいの?」
「よう知らんけど、まあ具沢山でお得度高いやん」
「んー、どうにもすきっ腹で……かやく大量に入れて補おうと」
「なら二個食べればいいじゃない」
「阿呆! 乙女がそんなカロリー無視できるかい!」
「……って言うか、それって美味しいの?」
「よう知らんけど、まあ具沢山でお得度高いやん」
無茶苦茶な論理を言いながら和那はソファーに腰掛ける。
朱里としてはそのようなマニュアルから逸脱した冒険をする気にはならない。
朱里は大人しく平均水量平均時間で行くことにする。
未来の可能性の一つにそんなえり好みすら出来なくなることを知らずに。
朱里としてはそのようなマニュアルから逸脱した冒険をする気にはならない。
朱里は大人しく平均水量平均時間で行くことにする。
未来の可能性の一つにそんなえり好みすら出来なくなることを知らずに。
「お、出来たみたいやで」
「少し早くない?」
「そうか? まあ、少々構わんやろ」
「……よっぽどお腹空いてるのね」
「あー、どうにも疲れやすくてな……なんかいつもより疲れやすいわ、歳かな?」
「言ってなさいよ」
「少し早くない?」
「そうか? まあ、少々構わんやろ」
「……よっぽどお腹空いてるのね」
「あー、どうにも疲れやすくてな……なんかいつもより疲れやすいわ、歳かな?」
「言ってなさいよ」
カップ麺と同じ場所に仕舞われていた割り箸を取り出して、蓋を開ける。
その瞬間、湯気が顔に当たり思わず頭を下げる。
いずれにしろ美味しそうなものだと言うことは確かだ。
割り箸を二つに割り、同じタイミングで麺を啜る。
その瞬間、湯気が顔に当たり思わず頭を下げる。
いずれにしろ美味しそうなものだと言うことは確かだ。
割り箸を二つに割り、同じタイミングで麺を啜る。
「おお、美味い」
「そうね」
「けど、ちょっとスープが少ないんがなー」
「……かやくを入れ過ぎなのよ」
「んー、まあ美味いから別にええか」
「アンタが構わないって言うのなら別に良いけど……それよりこれからどうするかよ」
「そうね」
「けど、ちょっとスープが少ないんがなー」
「……かやくを入れ過ぎなのよ」
「んー、まあ美味いから別にええか」
「アンタが構わないって言うのなら別に良いけど……それよりこれからどうするかよ」
まったりとした空気の中で朱里が真剣な顔で切り出す。
和那は麺をすすりながら目だけを動かして朱里の話を聞く。
そんな呑気な和那に特に注意をするわけでもなく、朱里はラーメンを啜りながら話を続ける。
和那は麺をすすりながら目だけを動かして朱里の話を聞く。
そんな呑気な和那に特に注意をするわけでもなく、朱里はラーメンを啜りながら話を続ける。
「一先ず紫杏と合流ね。悪いけど他の奴を信用は出来ないわ」
「んー、確かに紫杏は心配やな。あれでも一応ただの女子高生やし」
「んー、確かに紫杏は心配やな。あれでも一応ただの女子高生やし」
神条紫杏、朱里がいま最も安否の確認を急ぎたい人物。
朱里が命に代えてでも守ると決めた、ただ一人の人間だ。
紫杏は朱里のことを友達だと思っているようだが、やはり朱里からすると主従の関係だ。
主が紫杏で従者が朱里、やはりそれが一番しっくりと来る。
そして、その紫杏は殺し合いに乗っている可能性が高い。
自身の能力と現状を考えた結果、生き残る可能性が殺し合いに高いから乗った。
神条紫杏と言う女はそれを平然と考え、平然と実行に移せる一面を持っている。
朱里が命に代えてでも守ると決めた、ただ一人の人間だ。
紫杏は朱里のことを友達だと思っているようだが、やはり朱里からすると主従の関係だ。
主が紫杏で従者が朱里、やはりそれが一番しっくりと来る。
そして、その紫杏は殺し合いに乗っている可能性が高い。
自身の能力と現状を考えた結果、生き残る可能性が殺し合いに高いから乗った。
神条紫杏と言う女はそれを平然と考え、平然と実行に移せる一面を持っている。
だからこそ朱里が紫杏に入れ込むのだが、やはりそれは少しマズイ。
和那を殺したくない、と朱里ははっきりと認識してしまった。
殺し合いに乗る手伝いは出来ない。
となれば、残された手段は説得しかない。
骨は折れるだろうが、やるしかない。
覚悟をきめて、話を次に進める。
和那を殺したくない、と朱里ははっきりと認識してしまった。
殺し合いに乗る手伝いは出来ない。
となれば、残された手段は説得しかない。
骨は折れるだろうが、やるしかない。
覚悟をきめて、話を次に進める。
「その後は……とりあえず首輪ね。
紫杏もさすがに工学系には詳しくないからこれは私が担当するしかないわね」
「おー、頼りになるのー!」
「茶化すんじゃないわよ、大事な話なんだから。
とりあえず、方針らしい方針なんてこんなものでしょ……あと、アイツも探すの?」
「あったり前や! もちろん十波君だけとちゃうで! 全員で生きて帰るんや!」
「はいはい……でも、正直意外ね。
私はなんだかんだでアンタはかなりドライな奴だと思ってたんだけど」
紫杏もさすがに工学系には詳しくないからこれは私が担当するしかないわね」
「おー、頼りになるのー!」
「茶化すんじゃないわよ、大事な話なんだから。
とりあえず、方針らしい方針なんてこんなものでしょ……あと、アイツも探すの?」
「あったり前や! もちろん十波君だけとちゃうで! 全員で生きて帰るんや!」
「はいはい……でも、正直意外ね。
私はなんだかんだでアンタはかなりドライな奴だと思ってたんだけど」
朱里の描く和那は、馬鹿ではあるが人の感情の機微には鋭くそれを計算して動くタイプの人間だ。
いわゆる世渡りの上手いタイプ。
夢もあまり見ず、人は汚い部分を持っていることを知っているはず。
なのに、全員で生きて帰る、という言葉を放つのはひどく意外だった。
いわゆる世渡りの上手いタイプ。
夢もあまり見ず、人は汚い部分を持っていることを知っているはず。
なのに、全員で生きて帰る、という言葉を放つのはひどく意外だった。
「……これは全部あのメガネの所為やろ。
殺し合いに乗った奴を心からなんて恨めんわ、しゃあない部分が大きすぎる。
もちろん、だからって全部許せるわけやない。
知り合い殺されたらうちもキレるし、多分思いっきりぶん殴らな気が済まん。
でも、それだけや。間違ったと認めて立ち直ろうとするんやったら喜んで助けたる。
それでええと思うんや。憎んだり憎まれたりとか……そんなん、辛いだけや。
まあ、あのメガネの場合は話は別やけどな。
警察にぶち込むぐらいはしたるわ。
悪どいことやって、刑務所から出てきたら死ぬまで思いっきりぶん殴り続けるけどな!」
「ふーん……」
殺し合いに乗った奴を心からなんて恨めんわ、しゃあない部分が大きすぎる。
もちろん、だからって全部許せるわけやない。
知り合い殺されたらうちもキレるし、多分思いっきりぶん殴らな気が済まん。
でも、それだけや。間違ったと認めて立ち直ろうとするんやったら喜んで助けたる。
それでええと思うんや。憎んだり憎まれたりとか……そんなん、辛いだけや。
まあ、あのメガネの場合は話は別やけどな。
警察にぶち込むぐらいはしたるわ。
悪どいことやって、刑務所から出てきたら死ぬまで思いっきりぶん殴り続けるけどな!」
「ふーん……」
正直、甘い話だなと朱里は思う。
簡単に立ち直れるわけがないし、そんなことをしていたら時間がいくらあっても足りない。
だけど和那の気持ちは分かる。
和那は妥協したくないのだろう。
喧嘩の最中に喋った『ハッピーエンド以外お断り』という言葉。
きっとそれが和那が動く理由の根っこになっているのだろう。
実際はまだ六時間しか経っていないというのに相当数の人間が死んでいるのだ。
たとえ運よく生き残ってもハッピーエンドなんて口が裂けても言えない。
彼女はどんなに辛いことがあっても、和那自身の力が及ぶ限りハッピーエンドを目指すだろう。
簡単に立ち直れるわけがないし、そんなことをしていたら時間がいくらあっても足りない。
だけど和那の気持ちは分かる。
和那は妥協したくないのだろう。
喧嘩の最中に喋った『ハッピーエンド以外お断り』という言葉。
きっとそれが和那が動く理由の根っこになっているのだろう。
実際はまだ六時間しか経っていないというのに相当数の人間が死んでいるのだ。
たとえ運よく生き残ってもハッピーエンドなんて口が裂けても言えない。
彼女はどんなに辛いことがあっても、和那自身の力が及ぶ限りハッピーエンドを目指すだろう。
「まあ、良いんじゃない。ところでアンタは面白い情報でもないの?」
「あ、あるであるで!」
「あ、あるであるで!」
嬉しそうに声を上げる和那、その様子は人懐っこい大型犬を思わせる。
そんなことを朱里が思っているのを気付いていないようで、嬉々として口を開く。
そんなことを朱里が思っているのを気付いていないようで、嬉々として口を開く。
「なんでもなぁ、あのメガネはタイムマシンをもっとるらしいで!」
「………………………………………………………はあ?」
「………………………………………………………はあ?」
空いた口がふさがらない、とはこういうことを言うのだろう。
タイムマシン、実にファンタジーだ。
そんなものがあるわけがない、現実にネコ型ロボットは作られる気配すらないのだ。
その代わりと言わんばかりに殺人機械、アンドロイドは大量に作られているが。
と言うか、多分ネコ型ロボットが作られるのはずっと後だろう。
高性能AIを搭載するならメイドロボよりも戦略兵器の方が先に作られる。
それは歴史を振り返れば簡単に分かることだ。
タイムマシン、実にファンタジーだ。
そんなものがあるわけがない、現実にネコ型ロボットは作られる気配すらないのだ。
その代わりと言わんばかりに殺人機械、アンドロイドは大量に作られているが。
と言うか、多分ネコ型ロボットが作られるのはずっと後だろう。
高性能AIを搭載するならメイドロボよりも戦略兵器の方が先に作られる。
それは歴史を振り返れば簡単に分かることだ。
「なにそれ頭湧いてるんじゃない?」
「き、きついなぁ。でもでも、たぶんマジやで? 現にうちが五人も昔の人と会ったんやから」
「馬鹿にされてんじゃないの?」
「き、きついなぁ。でもでも、たぶんマジやで? 現にうちが五人も昔の人と会ったんやから」
「馬鹿にされてんじゃないの?」
朱里に取りつく島もない。
端からあり得ないと言う考えで話を進めるのだからそれも仕方ない。
と言うより、よっぽどのことがなければ向こうがからかっていると思うのが普通とも言える。
端からあり得ないと言う考えで話を進めるのだからそれも仕方ない。
と言うより、よっぽどのことがなければ向こうがからかっていると思うのが普通とも言える。
「いや、でもやで、よー考えてみ。
あり得んことが続いてるんやから、それぐらいのことがあってもおかしゅうないやろ」
「あり得ないものはあり得ません」
「ほら、超能力かもしれへんで? ジャジメントかて全部知ってるわけやないんやろ?」
「そんなヤバいのがあれば目につくわよ……多分」
「いや、でもタイムマシン的な力があれば未来から来たってことだってあり得るやろ?」
「うっ……!」
「それに皆が皆うちと会ったとき口裏合わせとる様子はなかったで。
第一、二人に至ってはうちにそのことを教えた人と会ってもおらへんかった」
「……でもねぇ」
あり得んことが続いてるんやから、それぐらいのことがあってもおかしゅうないやろ」
「あり得ないものはあり得ません」
「ほら、超能力かもしれへんで? ジャジメントかて全部知ってるわけやないんやろ?」
「そんなヤバいのがあれば目につくわよ……多分」
「いや、でもタイムマシン的な力があれば未来から来たってことだってあり得るやろ?」
「うっ……!」
「それに皆が皆うちと会ったとき口裏合わせとる様子はなかったで。
第一、二人に至ってはうちにそのことを教えた人と会ってもおらへんかった」
「……でもねぇ」
確かに和那の言い分も通らないわけではない。
同時に変な理論をでっち上げる人間の言葉を鵜呑みして、辺りの人間からはあまり触れられないようにされている可能性も同じくらいある。
正直な話なら朱里は和那が痛い人間だと思われている可能性の方が高いと思っている。
同時に変な理論をでっち上げる人間の言葉を鵜呑みして、辺りの人間からはあまり触れられないようにされている可能性も同じくらいある。
正直な話なら朱里は和那が痛い人間だと思われている可能性の方が高いと思っている。
だが、だからと言って流してもいい話題ではない。
全くあり得ないということ言い切ることが出来ない。
そして、和那はここに来る前に曽根村と言う男と進藤と言う女に出会ったとも言っていた。
つまり二人組が同時に質問されて、タイムマシンの存在を認めたということだ。
鼻で笑うことも出来ない。
出来ないが、やはり信じることは理性が拒む。
全くあり得ないということ言い切ることが出来ない。
そして、和那はここに来る前に曽根村と言う男と進藤と言う女に出会ったとも言っていた。
つまり二人組が同時に質問されて、タイムマシンの存在を認めたということだ。
鼻で笑うことも出来ない。
出来ないが、やはり信じることは理性が拒む。
「……まあ、考える余地がないわけじゃないわね。今は置いておくけど」
「冷たいなあ……んで、どうするんや?」
「あんたの口ぶりだと仲間が居るのよね」
「居るでー! 八神さんに真央に走太くん!」
「ふぅん……」
「冷たいなあ……んで、どうするんや?」
「あんたの口ぶりだと仲間が居るのよね」
「居るでー! 八神さんに真央に走太くん!」
「ふぅん……」
真央と言うのは恐らく黒猫のことだろう。
確か和那は『真央と走太くんを襲った』と言っていた。
それに真央、マオ、つまり猫だ。
安直ではあるが黒猫という肩書きに合う。
あの正義の味方を自称する女なら殺し合いになんて乗らないだろう。
信用は出来る、出来るがやはり和那や紫杏ほどではない。
だが、残りの二人はどうか分からない。
一方は子供だから、なんて言い捨てれるわけがない。
子供は簡単に残酷になれる。純粋で我儘な子供はある意味殺し合いに向いてると言えなくもない。
最初に亀田に反抗したような子供の方が少ないのだ。
大人も安全とは言えない、騙すことに慣れているのだから。
ただ、大人は勝手に考えすぎてくれるから楽だ。
確か和那は『真央と走太くんを襲った』と言っていた。
それに真央、マオ、つまり猫だ。
安直ではあるが黒猫という肩書きに合う。
あの正義の味方を自称する女なら殺し合いになんて乗らないだろう。
信用は出来る、出来るがやはり和那や紫杏ほどではない。
だが、残りの二人はどうか分からない。
一方は子供だから、なんて言い捨てれるわけがない。
子供は簡単に残酷になれる。純粋で我儘な子供はある意味殺し合いに向いてると言えなくもない。
最初に亀田に反抗したような子供の方が少ないのだ。
大人も安全とは言えない、騙すことに慣れているのだから。
ただ、大人は勝手に考えすぎてくれるから楽だ。
「とりあえず、紫杏を探しましょ。それから考えたんで良いでしょ」
「せやな、んじゃさっさとメシ食おうか」
「せやな、んじゃさっさとメシ食おうか」
和那の言葉に朱里は頷き、同時に二人はカップを持ち上げて流し込むように具とスープを胃に収めていく。
真面目な話、乙女のやることではない。
花も恥じらうどころかゴミ漁りの鴉もビックリの荒々しさだ。
カップ麺と割り箸、その他のゴミは片付けずに無遠慮に机の上に置いておく。
どうせ亀田の用意した会場だ。
わざわざ綺麗にするのも馬鹿らしい。
真面目な話、乙女のやることではない。
花も恥じらうどころかゴミ漁りの鴉もビックリの荒々しさだ。
カップ麺と割り箸、その他のゴミは片付けずに無遠慮に机の上に置いておく。
どうせ亀田の用意した会場だ。
わざわざ綺麗にするのも馬鹿らしい。
「さ、行くわよ。アンタが居れば車なんかよりよっぽど便利だから助かるわ、少し怖いけど」
「悪い、それ出来へん」
「……はぁ?」
「なんや、ひどい疲れるんよ。いつもは歩くよりも楽なぐらいやのに。
正直、今も三橋さんと朱里との喧嘩で結構動き回ったさかい眠りたいぐらいお疲れやで」
「……ふぅん。しょうがないわね、歩いて行くわよ」
「悪い、それ出来へん」
「……はぁ?」
「なんや、ひどい疲れるんよ。いつもは歩くよりも楽なぐらいやのに。
正直、今も三橋さんと朱里との喧嘩で結構動き回ったさかい眠りたいぐらいお疲れやで」
「……ふぅん。しょうがないわね、歩いて行くわよ」
ここで和那が嘘をつくわけもない。
先ほどの食事は情報交換も兼ねていたから問題ない。だが、移動時間を延ばす意味はない。
無駄な時間を惜しいことぐらい和那も分かるだろう。
恐らく本気で疲れを感じているのだ。
先ほどの食事は情報交換も兼ねていたから問題ない。だが、移動時間を延ばす意味はない。
無駄な時間を惜しいことぐらい和那も分かるだろう。
恐らく本気で疲れを感じているのだ。
「カズ、これ持ってなさい」
「っと……棒か。へえ、結構頑丈なええ奴やん」
「っと……棒か。へえ、結構頑丈なええ奴やん」
六尺棒を手渡すと感触を確かめると、満足そうにほほ笑んだ。
これで戦闘は楽になった。
朱里が危険になったとも言えるが、和那の疲れが酷いと言う言葉が本当ならば体力を抑える必要がある。
ならば、全身自体が凶器の朱里よりも、天才とは言えただの人である和那が武器を持つのは当然だ。
これで戦闘は楽になった。
朱里が危険になったとも言えるが、和那の疲れが酷いと言う言葉が本当ならば体力を抑える必要がある。
ならば、全身自体が凶器の朱里よりも、天才とは言えただの人である和那が武器を持つのは当然だ。
「後は、道具を一つに纏めておきましょう。無駄な荷物は邪魔よ」
「つまり、じゃんけんやな!」
「……なに言ってんの?」
「じゃんけんで荷物持ちを決める、これは常識やろ、常識!」
「……まあ、別にいいけど」
「おっしゃ、いくでー! 最初はグー、じゃんけん、ぽん!」
「つまり、じゃんけんやな!」
「……なに言ってんの?」
「じゃんけんで荷物持ちを決める、これは常識やろ、常識!」
「……まあ、別にいいけど」
「おっしゃ、いくでー! 最初はグー、じゃんけん、ぽん!」
和那が出した手はグー、朱里が出した手はパー。
結果は朱里の大勝利。
ニコリともせずにデイパックの口を開き、和那のデイパックに物を詰め込んでいく。
支給品一式、携帯電話、塩素系合成洗剤、酸性洗剤、油、ライター。
これですべて。
そのデイパックを見るからにしょげている和那へと押しつけるように投げつける。
結果は朱里の大勝利。
ニコリともせずにデイパックの口を開き、和那のデイパックに物を詰め込んでいく。
支給品一式、携帯電話、塩素系合成洗剤、酸性洗剤、油、ライター。
これですべて。
そのデイパックを見るからにしょげている和那へと押しつけるように投げつける。
「問題は色々あるわ……首輪とか面倒くさいことのこの上ないわね」
「……ま、大丈夫やろ!
なんてたってうちらは地上最強のコンビ、ファーレンガールズやからな!」
「……ま、大丈夫やろ!
なんてたってうちらは地上最強のコンビ、ファーレンガールズやからな!」
その言葉にピタリと足を止める。
その様子に和那は先ほどはしょげていた顔を、どうした、と言わんばかりに上から眺めてくる。
朱里は額をぴくぴくと痙攣させながら、ゆっくりと口を開いた。
不自然に頬が吊り上っているのがまた不気味だ。
その様子に和那は先ほどはしょげていた顔を、どうした、と言わんばかりに上から眺めてくる。
朱里は額をぴくぴくと痙攣させながら、ゆっくりと口を開いた。
不自然に頬が吊り上っているのがまた不気味だ。
「……ちょっと待ちなさいよアンタ! それ、意味分かって――――――――――――
◆ ◆ ◆
水族館に満たされたのは、爆音。
水族館に広がったのは、閃光。
崩れていく。
魚を鑑賞する、と言う趣をもった娯楽施設は無惨にも崩れていく。
端目から見れば、何が起こったのか理解できなかっただろう。
沈んでいくのだ、巨大な水族館が地中へと。
見るものが見れば『奇跡だ』と呻くだろう。
見るものが見れば『秘密基地だ!』と喜びを露わにするだろう
見るものが見れば『爆発か……』と冷静に分析するだろう。
そう、これは奇跡でも基地の変形でもない。
人が起こした夢のない破壊行動、爆発。
それは『トンネルバスター』という兵器が起こした一つの施設と二人の人間を巻き込んだ一つの爆発。
◆ ◆ ◆
三橋一郎は大きな窓を鬼の手でぶち破り、そこから外へと出る。
足場は安定している。
西側の窓のため、ここをまっすぐに進めば病院やホテルへとたどり着けるはずだ。
『逃走経路』を確かめて、ようやく準備完了。
そして、壊した窓から階下、つまり地下へと目がけてライターを投げ込み猛ダッシュで離れる。
足場は安定している。
西側の窓のため、ここをまっすぐに進めば病院やホテルへとたどり着けるはずだ。
『逃走経路』を確かめて、ようやく準備完了。
そして、壊した窓から階下、つまり地下へと目がけてライターを投げ込み猛ダッシュで離れる。
その瞬間――――爆音が響き、水族館が沈んでいった。
それは支給品、トンネルバスターの仕業。
無色無臭の空気と混じり合うことによって非常に高い爆発性を持つガス。
三橋に勝手は一切分からないが、それが強力な兵器であることは説明書を読むことで理解した。
そして、ライターを用意し、ガスの充満した地下へと放り投げる。
轟音と共に建物を支えていた柱が崩壊し、さらにトンネルバスター自体の威力で地面を壊していく。
綺麗に水族館が地面へと沈みこんでいく。
ある意味壮観だった。
これに巻き込まれたら生きて出ることは不可能だ。
予想以上に強力だ、つくづく自分が手に入れて良かったと思わせる支給品だ。
無色無臭の空気と混じり合うことによって非常に高い爆発性を持つガス。
三橋に勝手は一切分からないが、それが強力な兵器であることは説明書を読むことで理解した。
そして、ライターを用意し、ガスの充満した地下へと放り投げる。
轟音と共に建物を支えていた柱が崩壊し、さらにトンネルバスター自体の威力で地面を壊していく。
綺麗に水族館が地面へと沈みこんでいく。
ある意味壮観だった。
これに巻き込まれたら生きて出ることは不可能だ。
予想以上に強力だ、つくづく自分が手に入れて良かったと思わせる支給品だ。
あの少女から支給品を奪えなかったのは非常に残念ではあるが、贅沢は言ってられない。
わけの分からない動き方をする少女を確実に殺せて良かったとも考えるべきだ。
しかも、音から判断するに少女は直前に誰かと殺し合っていた。
事務室に入っているのが見えたことから和解したようだが、そんなことは関係ない。
トンネルバスターを使って殺す人間が増えただけだ。
わけの分からない動き方をする少女を確実に殺せて良かったとも考えるべきだ。
しかも、音から判断するに少女は直前に誰かと殺し合っていた。
事務室に入っているのが見えたことから和解したようだが、そんなことは関係ない。
トンネルバスターを使って殺す人間が増えただけだ。
「これで……五人目か」
ポツリ、と呟く。
一人目は名も知らぬ青年、二人目はアルベルト、三人目は鋼、四人目と五人目は大江和那と顔も名前も知らない人間。
僅か八時間の間で五人もの人間に手をかけた。
それなのに普通に動けているということが三橋自身にも少しだけ意外だった。
びくびくと怯えることもなく、驚くほど冷静に物を考えて動いている。
一人目は名も知らぬ青年、二人目はアルベルト、三人目は鋼、四人目と五人目は大江和那と顔も名前も知らない人間。
僅か八時間の間で五人もの人間に手をかけた。
それなのに普通に動けているということが三橋自身にも少しだけ意外だった。
びくびくと怯えることもなく、驚くほど冷静に物を考えて動いている。
「これも、亀田くんの仕業かな……」
頭に浮かんだのは亀田によって体内に埋め込まれた回路のことだ。
これは思考を縛ることはできないが、身体を自由に動かすことが出来ると言う回路。
絶対服従回路とでも言うべきか。
そんなものがあるのなら、思考を誘導する回路があってもおかしくはない。
それを埋め込まれたのではないかと三橋は疑ったのだ。
これは思考を縛ることはできないが、身体を自由に動かすことが出来ると言う回路。
絶対服従回路とでも言うべきか。
そんなものがあるのなら、思考を誘導する回路があってもおかしくはない。
それを埋め込まれたのではないかと三橋は疑ったのだ。
「……はは、でも、それはないな」
そんな物があるのならとっくに使っているはずだ。
使っているのなら使っているで、人を殺したときに抱く嫌な気持ちを覚える意味も分からない。
だから、これは自分自身の意志で選んだ行動だ。
亀田の思いに応えたいと言う三橋自身の意志で、五人の人間を殺したのだ。
使っているのなら使っているで、人を殺したときに抱く嫌な気持ちを覚える意味も分からない。
だから、これは自分自身の意志で選んだ行動だ。
亀田の思いに応えたいと言う三橋自身の意志で、五人の人間を殺したのだ。
三橋は少しだけ沈んだ水族館を見る。
この惨状は自分の仕業。
沈んだ水族館には三つの死体が埋まっている。
大江和那の死体と、鋼毅の死体と、名も顔も知らぬ人間の死体。
その全てがお魚さんの仲間入りだ。
この惨状は自分の仕業。
沈んだ水族館には三つの死体が埋まっている。
大江和那の死体と、鋼毅の死体と、名も顔も知らぬ人間の死体。
その全てがお魚さんの仲間入りだ。
次に鬼の手に目を移し、自分のやったことを再確認する。
血に染まりさらに禍々しさを増した鬼の手。
武器と言うものは血を吸うことで妖艶な雰囲気を放つのだと三橋は初めて知った。
正しい使用法をしてこそ道具は輝くと言うことなのだろう。
血に染まりさらに禍々しさを増した鬼の手。
武器と言うものは血を吸うことで妖艶な雰囲気を放つのだと三橋は初めて知った。
正しい使用法をしてこそ道具は輝くと言うことなのだろう。
僅かに考え込む。
思えばこの仕事をしてから考えることが多くなった。
思えばこの仕事をしてから考えることが多くなった。
(……殺すだけだ、今はとにかくそれだけを考えよう)
眠れば悪夢にうなされるだろう。
だが、しっかりと仕事をこなせば亀田の感謝の言葉で幸せになれる。
だが、しっかりと仕事をこなせば亀田の感謝の言葉で幸せになれる。
三橋は僅かに俯いた後、すぐにそこを立ち去った。
【H-6/水族館付近/一日目/午前】
【三橋一郎@パワプロクンポケット3】
[状態]:打撲 エネルギー70%
[装備]:鬼の手、パワーと走力の+パーツ一式、豪力
[道具]:支給品一式×2、予備バッテリー
[参戦時期]亀田の乗るガンダーロボと対決して敗北。亀田に従わされしばらく経ってから
[思考]
基本:亀田の命令に従いバトルロワイヤルを円滑に進めるために行動する。
1:少しだけ休んでから移動する。
2:参加者を積極的に探して殺す。
3:もしも相手がマーダーならば協力してもいい。
4:亀田に対する恐怖心。
[備考]
※萩原(名前は知らない)は死んだと思っています。
※大江和那と浜野朱里(名前と姿が一致しない)が死んだと思っています。
※大江和那の能力の詳細を一切知りません
※トンネルバスターは一回分です
【三橋一郎@パワプロクンポケット3】
[状態]:打撲 エネルギー70%
[装備]:鬼の手、パワーと走力の+パーツ一式、豪力
[道具]:支給品一式×2、予備バッテリー
[参戦時期]亀田の乗るガンダーロボと対決して敗北。亀田に従わされしばらく経ってから
[思考]
基本:亀田の命令に従いバトルロワイヤルを円滑に進めるために行動する。
1:少しだけ休んでから移動する。
2:参加者を積極的に探して殺す。
3:もしも相手がマーダーならば協力してもいい。
4:亀田に対する恐怖心。
[備考]
※萩原(名前は知らない)は死んだと思っています。
※大江和那と浜野朱里(名前と姿が一致しない)が死んだと思っています。
※大江和那の能力の詳細を一切知りません
※トンネルバスターは一回分です
【トンネルバスター@パワプロクンポケット10(11?)】
浜野朱里の体内に内蔵された高性能の爆破兵器。
無色無臭のガスで人間が察知するのはまず不可能。
威力は強大で廃ビルとは言えその半分を狙って壊すことが出来る。
平地で単純に爆破させるよりも建築物を壊して二次災害を起こす方が強い。
取り扱いも楽で場所を選ぶことを除けば便利な兵器である。
ただし、ガスは朱里の尻から出る。
今回は缶に詰め込み支給した。
浜野朱里の体内に内蔵された高性能の爆破兵器。
無色無臭のガスで人間が察知するのはまず不可能。
威力は強大で廃ビルとは言えその半分を狙って壊すことが出来る。
平地で単純に爆破させるよりも建築物を壊して二次災害を起こす方が強い。
取り扱いも楽で場所を選ぶことを除けば便利な兵器である。
ただし、ガスは朱里の尻から出る。
今回は缶に詰め込み支給した。
◆ ◆ ◆
「朱里ぃぃぃ!!」
和那は大声で叫びながら積み重なった瓦礫を紙切れのように吹き飛ばしていく。
これも重力を操る能力の応用。
強く瓦礫も自分自身だと思いこめば、自分が落ちて行く方向に吹き飛ぶ。
これは普通に使うよりも集中しなければいけないため、疲労が大きいが構った事ではない。
六尺棒をテコの原理で上手く使いながら探索を続ける。
これも重力を操る能力の応用。
強く瓦礫も自分自身だと思いこめば、自分が落ちて行く方向に吹き飛ぶ。
これは普通に使うよりも集中しなければいけないため、疲労が大きいが構った事ではない。
六尺棒をテコの原理で上手く使いながら探索を続ける。
あの時、朱里が何か言おうとした瞬間、凄まじい音と同時に地面が沈んでいった。
如何に優れたアンドロイドであろうと、足場が崩れてしまえばなにも出来はしない。
しかし、和那は確かに感じた。
自分の背中に痛いほどに叩きつけられた平手を。
そのおかげで速く反応出来た。
和那は思わず地面が崩れた瞬間に能力を使い、瓦礫の下敷きになることは免れたのだ。
最も直撃を免れただけで、水族館の瓦解に巻き込まれ怪我を負っている。
それでも生きている、和那は生きている。
動けるのなら、朱里を探すしかない。
僅かに涙で潤む目を拭いもせずに瓦礫を退けていく。
大きな瓦礫が少ないのがせめてもの救いだ。
如何に優れたアンドロイドであろうと、足場が崩れてしまえばなにも出来はしない。
しかし、和那は確かに感じた。
自分の背中に痛いほどに叩きつけられた平手を。
そのおかげで速く反応出来た。
和那は思わず地面が崩れた瞬間に能力を使い、瓦礫の下敷きになることは免れたのだ。
最も直撃を免れただけで、水族館の瓦解に巻き込まれ怪我を負っている。
それでも生きている、和那は生きている。
動けるのなら、朱里を探すしかない。
僅かに涙で潤む目を拭いもせずに瓦礫を退けていく。
大きな瓦礫が少ないのがせめてもの救いだ。
「うっさいわねぇ……」
数分ほど朱里の名前を叫びながら探索を続けていると、何処からか声が聞こえる。
その声を和那が間違えるわけもない。
不機嫌そうな高い声色、ここ一年間毎日聞いていた声だ。
間違えるわけがない。
間違えるほど和那は薄情な人間ではないのだ。
その声を和那が間違えるわけもない。
不機嫌そうな高い声色、ここ一年間毎日聞いていた声だ。
間違えるわけがない。
間違えるほど和那は薄情な人間ではないのだ。
「朱里!」
今まで以上の大声で呼びかけ、声のする方向へと駆ける。
瓦礫が積み重なった影に朱里が倒れていた。
顔をしかめているものの、声を出せることから大事ではないと思いほっと息をつく。
瓦礫が積み重なった影に朱里が倒れていた。
顔をしかめているものの、声を出せることから大事ではないと思いほっと息をつく。
「あんまり大声出さないでよ、うるさいから」
「え、あ、いや、その、すまん」
「……で、なんでアンタはこんな所に居るの?」
「そら、朱里が心配で――――」
「あー、良いから、そう言うの。私は……まあ、もういいから」
「……朱里? ……って、な!?」
「え、あ、いや、その、すまん」
「……で、なんでアンタはこんな所に居るの?」
「そら、朱里が心配で――――」
「あー、良いから、そう言うの。私は……まあ、もういいから」
「……朱里? ……って、な!?」
和那は朱里の顔から胴体に視線を下げていく。
そこに異様な見覚えのない物体があった。
朱里の身体のちょうど真ん中に一本の短い、しかし確かな鉄筋のようなものが刺さっている。
それに気づいているはずなのに、朱里は何ともないように話をしている。
そこに異様な見覚えのない物体があった。
朱里の身体のちょうど真ん中に一本の短い、しかし確かな鉄筋のようなものが刺さっている。
それに気づいているはずなのに、朱里は何ともないように話をしている。
「多分、下の階に爆弾仕込んだわね。瓦礫に巻き込まれるとはまだまだ甘い」
「……嘘やろ、朱里」
「本当よ、爆発なら何回かやったことあるんだから」
「そっちやないわアホ!」
「……だからうるさいって言ってるでしょ」
「どうなっとるんか分かっとるんか!?」
「分かってるわ、わかってるから、聞きなさい」
「……嘘やろ、朱里」
「本当よ、爆発なら何回かやったことあるんだから」
「そっちやないわアホ!」
「……だからうるさいって言ってるでしょ」
「どうなっとるんか分かっとるんか!?」
「分かってるわ、わかってるから、聞きなさい」
端目から見ればひどくおかしな光景だろう。
煤で汚れているとはいえ比較的軽症な和那がうろたえ、瓦礫にサンドイッチされ鉄筋で貫かれた朱里が落ち着きを払っている。
普通ならばどちらもうろたえるものだろう。
だと言うのに、朱里は相変わらず平然とした口調で和那を諭すように言葉を続ける。
煤で汚れているとはいえ比較的軽症な和那がうろたえ、瓦礫にサンドイッチされ鉄筋で貫かれた朱里が落ち着きを払っている。
普通ならばどちらもうろたえるものだろう。
だと言うのに、朱里は相変わらず平然とした口調で和那を諭すように言葉を続ける。
「……多分、下手人は三橋ね。超能力者って可能性はあるけど十中八九支給品でしょ。
数は……分かんないわね。アンタはさっき言ってた仲間と合流しなさい」
「朱里はどうすんねん!」
「あー、私は……まあ、なんとかするわよ。なんとか」
「なんとかってなんやねん!」
「聞きなさい!」
「……!」
数は……分かんないわね。アンタはさっき言ってた仲間と合流しなさい」
「朱里はどうすんねん!」
「あー、私は……まあ、なんとかするわよ。なんとか」
「なんとかってなんやねん!」
「聞きなさい!」
「……!」
落ち着いた声から一転、大声で和那を諌める。
「……アンタ、言ったわよね。皆で帰る、って。なら、三橋を止めてみなさいよ。
それさえ出来ないならアンタはただのホラ吹きに過ぎないわよ」
「せ、せやかて朱里が……!」
「私は大丈夫よ、ちょっと最近アンタ私のこと舐めてない?
言っとくけどね、こんな怪我なんて軽傷よ軽傷。足がなくなって初めて重傷って言うのよ。
幸いと言うか私は頑丈だから、って言うかこれぐらい喋れてる時点で察しなさい」
「……」
「ほら、早く行きなさいよ。アンタならこの島一周するのですら二十分もかからないでしょ?
その体力温存するためにも、こんなところでこんなことやってる場合じゃないでしょ」
「……すまん、朱里。パッとやってパッと帰ってくるさかい」
「駄目駄目、手抜きせずにじっくりとやりなさいよ。
あと、紫杏を探すことも忘れないでよ!」
それさえ出来ないならアンタはただのホラ吹きに過ぎないわよ」
「せ、せやかて朱里が……!」
「私は大丈夫よ、ちょっと最近アンタ私のこと舐めてない?
言っとくけどね、こんな怪我なんて軽傷よ軽傷。足がなくなって初めて重傷って言うのよ。
幸いと言うか私は頑丈だから、って言うかこれぐらい喋れてる時点で察しなさい」
「……」
「ほら、早く行きなさいよ。アンタならこの島一周するのですら二十分もかからないでしょ?
その体力温存するためにも、こんなところでこんなことやってる場合じゃないでしょ」
「……すまん、朱里。パッとやってパッと帰ってくるさかい」
「駄目駄目、手抜きせずにじっくりとやりなさいよ。
あと、紫杏を探すことも忘れないでよ!」
ここで初めて朱里は笑い、じたばたと手を動かす。
和那は笑いもしなければ、その姿を見もしない。
ただ、俯いた状態で立ち尽くしていた。
それを十数秒ほど続けていたが、和那の体が急に中へと浮いていく。
急スピードだ、どんどんと和那の体が瓦解した水族館から離れていく。
和那は笑いもしなければ、その姿を見もしない。
ただ、俯いた状態で立ち尽くしていた。
それを十数秒ほど続けていたが、和那の体が急に中へと浮いていく。
急スピードだ、どんどんと和那の体が瓦解した水族館から離れていく。
空へと、そう、空へと落ちていく。
高さにして約50メートル、これほどの長距離落下は和那は滅多にしない。
恐怖心は不思議となかった。
きっと、空が綺麗に晴上がっている所為だろう。
本当に晴上がっている。
雲と言う遮るもののない、気を失いそうなほど真っ青な空と、東の空に堂々とまばやく太陽。
どこまでも落ちていけそうだ。
恐怖心は不思議となかった。
きっと、空が綺麗に晴上がっている所為だろう。
本当に晴上がっている。
雲と言う遮るもののない、気を失いそうなほど真っ青な空と、東の空に堂々とまばやく太陽。
どこまでも落ちていけそうだ。
少しだけ、何処までも広がる空を呆ける様に眺めた後、涙が零れた。
何故、涙が流れているのかは理解している。
それは大切な親友を失ってしまったから。
和那だって馬鹿ではない、朱里の言葉がすべて嘘だってことぐらいは分かっている。
だけど朱里は先に行けと言った。
それは大切な親友を失ってしまったから。
和那だって馬鹿ではない、朱里の言葉がすべて嘘だってことぐらいは分かっている。
だけど朱里は先に行けと言った。
「……行こか」
ぽつりと呟き、手元の六尺棒をぎしりと音が鳴るほどに強く握りしめて重力の方向を変化させる。
先ほどまで顔が圧で痛いほどに猛スピードで落下していところを、一瞬の間もなく逆方向へと落下する。
急な重圧で思わず胃の中のものを吐き出しそうになるが、ぐっと噛みしめて
そして地面から約五メートル、その瞬間に重力の方向の変更を交互に行っていく。
地面に身体を打ちつけないためとはいえ、やはり少し体は辛いところがある。
先ほどまで顔が圧で痛いほどに猛スピードで落下していところを、一瞬の間もなく逆方向へと落下する。
急な重圧で思わず胃の中のものを吐き出しそうになるが、ぐっと噛みしめて
そして地面から約五メートル、その瞬間に重力の方向の変更を交互に行っていく。
地面に身体を打ちつけないためとはいえ、やはり少し体は辛いところがある。
ゆっくりと立ち上がるが、身体を起き上がるよりも早く膝が抜ける。
「なっ……!?」
頭が痛む。
身体が、ではない。頭が痛むのだ。
こんなことは初めてのことだ。
いや、思い返してみると初めてではないことに和那は気付く。
これはあの夜の時と同じ。
朱里との喧嘩で一矢報いた時と同じ感覚。
頭がぐらぐらと揺らされているような感覚と体に力が全く入らない現状。
気絶する!、とここでようやく気付いた。
疲れだけだからと思って甘く見ていた。
体中に残る痛みとガンガン揺らされる意識。
身体が、ではない。頭が痛むのだ。
こんなことは初めてのことだ。
いや、思い返してみると初めてではないことに和那は気付く。
これはあの夜の時と同じ。
朱里との喧嘩で一矢報いた時と同じ感覚。
頭がぐらぐらと揺らされているような感覚と体に力が全く入らない現状。
気絶する!、とここでようやく気付いた。
疲れだけだからと思って甘く見ていた。
体中に残る痛みとガンガン揺らされる意識。
(せ、せや、せめて携帯で連絡を……!)
朱里が詰め込んだデイパックの中にある携帯電話の存在を思い出し、破くようにデイパックの口を開ける。
ひっくり返すようにして中を漁っていく、出てくるものは食料や水やメモ用紙と言った要らないものばかり。
ようやく見つけた
ひっくり返すようにして中を漁っていく、出てくるものは食料や水やメモ用紙と言った要らないものばかり。
ようやく見つけた
「電話帳……! 病……い……ん……」
だが、そこまで。
携帯を開いたまま、沈んだ水族館をバックにして。
和那は半強制的に意識を手放してしまった。
携帯を開いたまま、沈んだ水族館をバックにして。
和那は半強制的に意識を手放してしまった。
【G-6/水族館/一日目/午前】
【大江和那@パワプロクンポケット10】
[状態]:全身打撲、疲労(大)、気絶
[装備]:六尺棒
[道具]:支給品一式×2、不明支給品1~3、携帯電話、塩素系合成洗剤、酸性洗剤、油、ライター
[思考]
基本:バトルロワイヤルを止める。
1:……………(気絶中)
2:朱里ぃ……
3:病院へと戻る。
【備考】
※重力操作にかけられた制限の存在に漠然と気付きました。
【大江和那@パワプロクンポケット10】
[状態]:全身打撲、疲労(大)、気絶
[装備]:六尺棒
[道具]:支給品一式×2、不明支給品1~3、携帯電話、塩素系合成洗剤、酸性洗剤、油、ライター
[思考]
基本:バトルロワイヤルを止める。
1:……………(気絶中)
2:朱里ぃ……
3:病院へと戻る。
【備考】
※重力操作にかけられた制限の存在に漠然と気付きました。
○ ○ ○
カズの気配が消える。
どうやら足音がしないことから重力操作で立ち去ったらしい。
馬鹿なカズ、無駄な体力の消費を避けるべきなのに。
しかし、体中からずきずきと鈍い痛みが広がって辛いことこの上ない。
上半身、というか口は簡単に動くのに下半身は既に動かないということは回路のショートだろう。
人間で言うなら脊髄の損傷か。
しかも、なんだか視界がふらふらと揺れているような気がする。
……何度考えても致命的な傷だ、そのうち死んでしまうと言う怪我の典型だ。
ぺらぺらと喋ったのも少し不味かったかも知れない。
ふむ……カズに嘘をついてしまったか。
まあ、嘘も方便と言う奴だ。
悪いことには違いないが、カズもそのうち納得してくれるだろう。
紫杏……どうしているのだろうか?
頭のいい紫杏はきっと悩んでいるだろう。
紫杏をサポートするのもカズに任せてしまったのも申し訳のないことの一つだ。
不思議とさっぱりとした気持ちで満たされていく。
そのことに申し訳がない気持ちも出てくる。
姉妹の亡骸を越えて今まで生きてきたのに、その命を自分勝手な理由で捨ててしまった。
怒っているだろうか?
私としてはやはり姉妹は大事な人たちだ。
その人たちを裏切ったとも取れなくもない行動だ。
駄目だ、ネガティブになり過ぎている。
逆に考えてみよう、私が姉妹の立場だとしたら、どう思う?
……許すな、きっと許す。
喜ぶかどうかは微妙だが、多分許す。
悪いことをしたわけではない。
私は後悔なんてせずに、私がしたいと思ったことをやった。
うん、後悔もない。
後は死ぬだけだ。
死ぬことは怖いが、あのままジャジメントの手駒として生きるのも嫌なものがある。
そう言えば、死んだ後はどうなっているのだろうか?
死後の世界とかいう奴があるのだろうか?
それなら、姉妹に会って謝ろう、死んでしまって御免、って。
その後、胸を張って友達が出来たと言おう。
それとも、天国ではなく来世とかいう奴に直行なのだろうか?
ならば、もし来世なんてものがあって、アンドロイドにもそれがあるのなら。
どうか、次は皆でただの人間に―――――
【浜野朱里@パワプロクンポケット10 死亡】
【残り40人】
【残り40人】
※水族館が沈没しました。
※浜野朱里の死体と鋼毅の死体は水族館に埋まっています。
※浜野朱里の死体と鋼毅の死体は水族館に埋まっています。
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