作品
倦怠の顛末
「本日もよろしくお願い致します、ご主人様」
きっちりと三つ指をつき、けだるげな主の前にかしずく
わたしは この人の 『奴隷』 なのだ
主が言葉を発するまで その場から動けない
黙って伏したまま これからの時間に 心を震わせる
つと、主は私のオトガイに指をかけた
「おまえも、ずいぶんいろんなことができるようになったな」
「……ご主人様の躾のたまものでございます」
その言葉にウソはない
この人との関係がなければ 今の私はいない
私との関係がなければ 今のこの人もまた存在しないが
『秘密』という言葉がすべてを表す私たち
隠微で耽美で退廃的
陳腐な表現に満ちながら非現実めいた時間
私と主は それらを 共有して 今に至る
「……そろそろ、次に進もうか」
「よろしく、お願いいたします」
『次』が何をさすのか 私は知らなかった
それによって 築き上げたモノがいかに変質するかも
また 知らなかった
最初は 潤滑された綿棒だった
それが私の排泄器官を犯す
淫らな声をあげて 私は 絶頂を得た
次は 主の指だった
一本、二本と増やされていくたび
おぞけと快楽が私の中枢を麻痺させ
いつしか真っ白な世界を彷徨っていた
感じやすい私を 主はおもしろがる
はしたない女だと罵りながら どんどん趣向を凝らしていく
指だったものは玩具へ 玩具だったものが日用品へ
「……飽きた」
何をされても 喜ぶ忌まわしい身体を眺めて
主はついに恐れていた言葉を吐いた
「どう……すれば……よろしいのですか……」
『棄てないでください』とは言えない私の精一杯の矜持
「考えておく」
その日はそれで終わった
けれど 一日後に主から連絡が入る
――腕をいれてみたい、両腕だ
――出来るようになるまでおまえとは会わない
もはや私には 『努力』 しか残されていない
そうして すべてが変わっていった
それは隠微さなどかけらもない
それは耽美な香りなど少しもしない
快楽を覚える余裕すらない
強いて言うならば体育会系シゴキ行為
忍耐と根性がものをいう世界
息を吐く 吸う また吐く
それに合わせて指をいれる 増やす さらに増やす
手のひらが入る ゆっくりと伸ばす さらに広げる
握り拳をつくる まわす 奥へ向かう
私は身体をおりまげて 主の指示を口ずさみながら
ゆっくりと じっくりと その場所を 押し広げていく
もう まるきり そう まるきり
一人むなしいサーカスのような 世界
そうして念願の日
主の隣には別の奴隷が立っていた
私はがんじがらめに拘束されて
主の為の努力を その新しい奴隷によって証明された
「よく頑張ったな」
以前と変わらないその言葉がそらぞらしく響く
「ありがとうございます」
やはり変わらない言葉を返し 冷ややかに主を見る
倦怠はとうに始まっていた
主が『次へ』と呟いた瞬間にはおそらく
気付かなかった私が愚かで
気付かせなかったこの人も愚かで
主は私の『戒め』を解き
新しい奴隷と連れだって帰って行った
残されたのは
主が残した 括約筋矯正のレクチャー本
そうして 私の心と身体に息づいて
消えようもない 退廃的な快楽の刻印
身体がもとにもどったら
私はまた新しい主を捜すだろう
愚かな顛末が待っているのだとしても
とうに引き返せなくなっている
おそらく 私だけではなく
主も 主の新しい奴隷も
この世界に生きる 誰もが
後戻りできないぬかるみを進んでいるのだ
112-115 名前:倦怠の顛末[sage] 投稿日:2006/05/31(水) 03:49:28 ID:bkMAlgUh
【コメント】
153 名前:大山デブ子の娘 ◆666.SaoPvk [] 投稿日:2006/06/09(金) 21:47:02 ID:4ogUa97p
>>112-115
顔を真赤にして読みました。
665 名前:名前はいらない[sage] 投稿日:2006/06/10(土) 16:04:02 ID:O+zQHESB
『倦怠の顛末』を書きました。
感想つけてくれた方、ありがとう。
チャンプの方、おめでとう。
ギャグにしたかったのに全然だめでした。
ガムバリマス。
逆襲
くやしい 恥ずかしい
聞こえます 肛門が割り開かれる音
めり めり めりり
きまぐれな うんこの逆襲が始まり
私の中に むりやり押し入ってきます
やめて やめて!
いたあい いたあい!
「嫌ですやめません」
したたる 血
したたる 涙
したたる ・・・
ありえない
こんなのって ありえない
くやしい くやしい 恥ずかしい
うんこの逆襲は---
なぜ なぜこんなにも
残酷なのでしょう
あ あああ!!!
116 名前:名前はいらない[sage] 投稿日:2006/06/01(木) 21:54:01 ID:1Mzv8psC
【コメント】
153 名前:大山デブ子の娘 ◆666.SaoPvk [] 投稿日:2006/06/09(金) 21:47:02 ID:4ogUa97p
>>116
汚い。何故か悦痴
664 名前:名前はいらない[sage] 投稿日:2006/06/10(土) 05:20:05 ID:6YBCdZ2a
「逆襲」書きました。大山デブ子の娘さん、ありがとうございました。もっと滅茶苦茶に
書けばよかった。チャンピオンさん、おめでとうさんです。
ソープランドに雨が降る
裸電球の板の間。
鬱蒼とした木のベンチがふたつ。
無造作に突っ立ってるのっぽの灰皿。
ソープランドの殺風景な待ち合いに、俺たち高校の同期、
四人してガン首そろえて、石でも食ったように黙りこくっ
ている。
待ち合いからは襖間を開け放した八畳間が丸見えで、薄暗
く敷いてある万年床、まるい卓袱台、古びただけの安物の
和箪笥、ふたりのソープ嬢が無愛想に佇んでいる。
八畳間の奥手はやはり開け放たれた障子の向こう、離れへ
続く中庭の一部が垣間見えて、
縁側が
しずかな雨に濡れている。
ふたりのソープ嬢は小柄な、若作りのおかっぱ風のショー
トカットで、瓜ふたつの顔格好。自称二十九と二十七歳の
姉妹だというが、姉妹はともかく、年齢はどうも信じられ
ない。ふたりとも散々にいらん苦労を重ねたためか、眉間
や下目蓋にふかく刻まれた皺が、暗がりのなかでもくっき
り見て取れる。
彼女らは俺たちと視線すら合わせない。
姉は地味な色模様のキャミに小さめのパンティ。犬のよう
なちいさな乳首が透けて見えるが、エレンディラの面貌は
どうしても感じられない。
妹は今どき高校生でも着ないようなアイビー風のカーディ
ガンを素肌に羽織って、万年床から上半身を出して、持病
の偏頭痛が止まないふうで前頭部を押えたまま顔をしかめ
ている。妹のあまりの無防備さに、ヤマナカが怪訝そうに
つぶやく。
…あれは、ああいうプレイなのか?
いや、違うだろう。看病を装って襲わせる肚とは思えない
ほど、彼女らは俺たちに無頓着で、いくら話しかけても、
ぶっきらぼうな短い返答ばかりがかえってくる。
ソープランドに来てからこの方、俺の可愛いタクティクス
はずっと萎みっぱなしだ。
姉が俺たちを呼ぶ。サトケンは旧知の間柄らしく、かるく
世間話を交わしながら、縁側の濡れた下駄をつっかけて、
姉のさす蛇の目傘に身をかがめ、離れに消えていく。
…そう。…そう。今みんなといるとこ。タバさんも来ない?
気付くと横ではオザワが携帯で、真面目一辺倒のタバタを
呼び出そうとしている。
…タバさん、来るかなあ。ソープランドの看板見ただけで
怒って帰っちゃうんじゃない?
…いや、きっと大丈夫だから。…あ?うん。花見澤町の外
れ。電停で待ち合わせしようよ。…タバさん、きっと気に
入ると思うよ。
ヤマナカは意を決したように、八畳間に闖入し、妹の肩を
抱きかかえようとする。妹は一見迷惑そうに顔をしかめた
まま、左手で髪を掻きあげながら、右手でヤマナカの股間
をまさぐり始める。あらかじめ決められたシナリオがそこ
には存在しているみたいだ。
無口なヤマナカと無言の妹。パントマイムの舞台でも観る
かのように、四本の腕がおおきな弧をえがく。
サトケンが晴れやかな表情で戻ってきて、ベンチにどっか
と腰かける。そんなにチョメチョメが巧いのか、と訊ねる
と、サトケンは煙草を満足そうにふかしながら、
…ああ、言ってなかったか。すっきりすんだぜ、腸内洗浄。
ここは、石鹸浣腸のソープなんだよ。
1リットルくらいの石鹸水を勢いよく直腸に流しこみ、腸
をきれいにするんだという。身も心もかるくなって、
…これが意外と病みつきになるんだ。
と言う。
釈然としないまま、姉が無表情に俺たちを呼ぶ。ヤマナカ
の番だったはずだが、ヤマナカは妹とふたり、ミミズのパ
ントマイムをやけに必死に演じてる真っ最中で、オザワは
タバタを迎えに座を外したばかりだ。あるいは途中で酒を
のんでしまって、もう戻ってこないかもしれない。
…じゃあ、ケツに石鹸流してもらいにいきますか。
…いきましょう。
サトケンがニカッと爽やかに笑い、卓袱台に置かれたお茶
をすすりに立ち上がる。俺は雨に濡れた縁側を横ぎり、雨
に濡れた下駄をつっかけて、姉のさす蛇の目傘に身をかが
める。
離れへつづく中庭は、地下を掘って造られた、狭く四角く
切り取られた夜空のフレームで、そこから雨がしずかに、
雨漏りのように落ちてくる。
径の両脇の地面が、ぼうっと緑の光芒を放っている。点在
する光り苔の群れだ。雨にうたれて緑色の光がそれとは気
付かないくらいに明滅する。
見上げるとサクラの巨木が一本突っ立ってて、雨に無数の
花弁を散らせている。満開のサクラだ、五月も終わりだと
いうのに。
…このサクラは…北海道よりおそいんだね…。
…これから春なのよ、ここは。
隆起する光り苔の間を縫って、いくつものちいさな花筏が
流れていく。離れはしずかな雨に霞んで押し黙っていて、
俺は肛門が少しだけむず痒くなる。
俺は、満開のサクラと、みどりに光る苔の群生と、けして
美しくはない姉の横顔を、いつまでも見比べている。
117-120 名前:ソープランドに雨が降る[sage] 投稿日:2006/06/02(金) 00:27:07 ID:w3fxwx4X
【コメント】
666 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [sage] 投稿日:2006/06/10(土) 21:30:26 ID:Tf/owXAl
『ソープランドに雨が降る』を書きました。
ちょうど夢にでてきたのを、ほぼそのまま書いたんだけど、冗長だったね。
年代記
アポロ計画が最初の成功を収めた頃アメリカはベトコンのケツを掘るのに忙しかった
多段式ロケットで人間を月まで吹き飛ばしたのもM16とAK47が死体安置所の在庫を積み増し続けたのも中国人が花火を発明したおかげだ
アメリカの建国記念日には中国人に感謝を捧げるべきなのだ
アポロ計画とベトナム戦争はほぼ同時期にスタートしたがどちらも膨大な金を必要とした
ニューヨークヤンキースの選手を古生代からツタンカーメンの生まれる時代まで雇えるくらいの金がかかった
それだけの金が費やされたにも関わらず、アメリカが手にしたのは少量の砂や石、そして共産党政権だった
どちらも日本円に直せば王将で餃子と生ビールを一品ずつ頼むくらいの価値にしかならない
アメリカ政府はビートルズの経済的生産効率を見習うべきだったのだ
しかしながら物より思い出とはよく言ったものでどちらもハリウッド映画になった
良くも悪くも1960年代は星条旗の大盤振る舞いの年だったのだ
星条旗が掲げられた回数で観客の拍手の量が増減する映画業界に置いてはこれ以上の素材は他にない
バットでGIが罪もないベトナム人を撲殺していようが月のウサギをソテーにしていようがそんなことに意味や価値など無いのだ
1960年代のセックスシンボルは間違いなくアメリカだったのだ
多くの有名人が暗殺され、学生が殺し合い、核実験がブームになった
血生臭く、埃臭く、それでも成功は続いた
アナル拡張プレイが世間一般に広がったのもこの時期である
なぜならヒッピーがドラッグを隠す場所といえば肛門であったからだ
刑務所での肛門検査を通過するためにより奥へ、より深くと開発競争が繰り広げられ
それがホモセクシャルの広がりとともに徐々に性的遊行へと変化を遂げていったのだ
これもまたアメリカ人の努力と中国人の発案によるものである
ウッドストックではジミ・ヘンドリックスアナル拡張賛美が話題となりギターが肛門に挿入された参加者が病院に次々と担ぎ込まれた
一方でアポロ計画もベトナム戦争も1960年代の競争を経過すると金がなくなったという単純明快な理由で集結し、学生も就職した
アナル拡張だけはその手軽さと経済的負担の少なさから細々と続けられた
122 名前:年代記[sage] 投稿日:2006/06/02(金) 16:45:51 ID:tLMRRX2V
【コメント】
153 名前:大山デブ子の娘 ◆666.SaoPvk [] 投稿日:2006/06/09(金) 21:47:02 ID:4ogUa97p
>>122
ふ~む
広場
キャタピラに轢かれて挽き肉
人肉ハンバーグ レア 激ナマ ヒクヒク
動いてるし すべてをさらけ出しても
おれはまだ生きているの うそ すこし隠してる
破裂した腎臓はあなたに
断ち切れないシナプスはおれのために
ちょっとだけ
とっておく
宇宙みたいな力にのしかかられて
それが うれしいみたい
受け入れる このカラダ
そのためには準備が どうしても必要だった
それでおれはおれみたいではなくなるが そうしておれは
おれのことを一顧だにしなかった大きな力を包み込む
テレビ、見た?
おれは体内に天体の運行を飼う
人々はうつむいているが知っているでしょう
人間にはもはやカラダにさえよりどころがない
できることには果てがなく 目的がない
ごみみたいだね? 未知なんてさ
おれの上を通り過ぎたキャタピラは 世界の方向をちょっと変えた
それはだんだん大きくなっている おれの受け入れた力は
世界の方向を変えた
それがおれにはうれしいみたい
がまんしているのに ヒクッ ヒクッ と動いてしまう
123 名前:広場[sage] 投稿日:2006/06/03(土) 03:53:56 ID:OmjOwMQz
【コメント】
155 名前:詩情主義者メレ ◆nSTTCnvWTw [] 投稿日:2006/06/09(金) 23:31:59 ID:/jbXPzDd
>123「広場」
お題に沿っているのかどうかよくわからないが・・・。
しかし言葉が質感と質量をともなって眼前に現れるということではこれが一番だった。
ただ、語りすぎではあるし(説明的ではないにしろ)、冒頭の描写はどんな漫画雑誌を見ても
一作品はこんなのがありそうってくらい陳腐だ。
亜空の声
公団の最上階の油染みた踊場で
プリーツスカートをたくしあげ赤いアトムパンツをずりおろす
手摺に黒いマニキュアと指を掛け顎は空に突き出す
背骨は反り白いヒップに蒙古斑
ふくらはぎは奮えてる
ニューバランスが刻む
それをシャガミ見とれてた
ただそれだけ
ぽっかりあいたくうき
125-127 名前:亜空の声 ◆8HAMY6FOAU [sage] 投稿日:2006/06/03(土) 23:39:03 ID:9mbCT4mT
【コメント】
146 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:2006/06/06(火) 00:37:07 ID:fPiLGGbk
>>125 情景自体はアダルトのイメージビデオっぽいんだけど、余計なことば
がほとんどないせいで、乾いた独特の感じが出ているよね。
661 名前: ◆YAPoo/LC/g [sage] 投稿日:2006/06/10(土) 01:29:23 ID:bNo44JNf
亜空の声を投稿しました
審査員さんありがとうございますデス
はじめての投稿でドキドキしました~
ども
ぺこり
【得点】 1点(準チャンプ作品)
涙
ぽろぽろ
飲み屋街を転がってゆく
酔っ払った男の
紳士的な影を拾う
駅前
迎えにきた君が聞く
すると
きりきり
指が笑う
横を仮面がひるがえり
うつむいて笑う
深夜のスナック
うすい沈黙の皮膜を
するする
通り抜け
水槽に映る唇が
破線を解いて
ぽろぽろ
まるいウミを描く
128,131-132 名前:涙[sage] 投稿日:2006/06/03(土) 23:58:18 ID:AvUFjlUC
花器
グッチャ、、、グッチャ、、、
薄明かりの中鋸を引く男一人
ッッ、、、ゴト、、、
彼女の下半身だけ持ち上げて 分娩台に結わいつける
湿った海 血の臭い
芸術と愛の狭間で綱渡り
彼女にふさわしい花は何だろう?
ハウスから調達してきた花達を眺めては手に取りまた離し 手に取りまた離し 一向にイメージに重ならない
時間が無いんだ 僕の中からシンデレラが居なくなってしまわない為に
唇をグッと結び 花を手に取る男
そして一輪ずつ最愛の彼女の尻の穴に挿していく
白いその肌に咲く
白いチューリップ、カラー、胡蝶蘭etc...
一杯まで広がった穴に咲く綺麗な華々は男が捧げた感謝の気持ち
きれいだ、、、手を止めたとき一人ぼそりと呟いた
129 名前:花器[sage] 投稿日:2006/06/03(土) 23:58:41 ID:VCaCbgfk
【コメント】
709 名前:南国[sage] 投稿日:2006/06/11(日) 13:16:56 ID:Xk/pHXbd
遅くなりましたが、「花器」を書いた者です。読んでくださった方、それと点を入れて下さった霧都さん、ありがとうございました。
今回書いた詩は、『最愛の人を失った芸術家が考える「彼流の彼女のためにできること」』という設定で、テーマと絡めて書いてみました。
しかし、イメージを膨らませるまでに時間がかかり過ぎてしまい、最後の1時間で書いたために、主人公の心状や行動が掴み辛い作品になってしまいました。
更に、テーマについて。「アナル拡張」まではクリアしていますが、「プレイ」の方は描写がない。すみません、うっかりしてました。
以後気を付けますので、今回は勘弁してください。
最後に、長くなりましたが読んでいただきありがとうございました。
【得点】 1点(準チャンプ作品)
最終更新:2006年09月03日 19:34