作品
明け方の色
いつだったか妹が
僕のことをママと呼んだ
僕はシニガミだよ
何度も言って聞かせて納得させた
ずっと昔の話で
妹は覚えていないだろうから
シニガミは死んだ
それから僕はずっと
腰が曲がったきりだ
おかしくて
どうにかなりそうで
ベッドで転がっているうちに
体がふっと軽くなった
僕が関わると駄目なんです
どうしても駄目なんです
小さい頃に見た
赤と青との小さな諍い
溜池は汚くて
水というより僕の唾がほとんどなのに
妹は笑ってた
シニガミは死んだんだよ
好きだった人に何度も言って聞かせた
地球儀を噛み砕いて
かわりにボトルシップをもらった
色んな事を覚えているけど
泣いた数より笑った数の方が多いはず
だから残った涙で
溺死させたい
頭の中で地球が回る
ぐるぐるまわる
酒くさい涙を
止める事が出来ない
89 名前:明け方の色 1/2[sage] 投稿日:04/05/01 01:31 ID:1RF/1Tav
90 名前:明け方の色 2/2[sage] 投稿日:04/05/01 01:32 ID:1RF/1Tav
【コメント】
123 名前:なみなみお ◆mCFk32Woec [sage] 投稿日:04/05/04 05:46 ID:0Xn4HD5k
>89-90(正直、読み取れないところがあったんだけれど。)
これは上手だ。ママとシニガミの背反を僕で止揚してるし、
「ベッドで転がっているうちに/体がふっと軽くなった」なんか、
なかなか書けるもんじゃないと思う。最終連も大衆的かつ静と動があっていい。
好きだ。(「赤と青との小さな諍い」がよくわからなんだ。色がいさかうとはどういうことだろうか。)
129 名前:ななほし ◆k9WiFDM/7U [] 投稿日:04/05/05 00:09 ID:2bPEkm1P
1点 >89 :明け方の色 1/2 :04/05/01 01:31 ID:1RF/1Tav
ゴンドラの運河のように運んでいく言葉のさざ浪。視界は霧の中……
【得点】 2点
- なみなみお ◆mCFk32Woec:1点
- ななほし ◆k9WiFDM/7U:1点
憧憬
墜落した底は明るかった
明るくて眩しくて
ああ まるで アア マルデ
眩しくて白いシーツの上で僕は呟く
上昇した飛行機は落ちるべきで
墜落した僕は浮上すべきなのか
あの 首輪の様な轍は僕の首にあるべきで
あの 刻まれた刺青は僕の腕にあるべきで
眩しくて白い天上の下で僕は憧れる
僕の麗しき神様は
今日も僕だけを嫌ってる
91 名前:憧憬[sage] 投稿日:04/05/01 13:41 ID:3XoGCMxR
【コメント】
120 名前:MUJINA[mistyage@nifty.ne.jp] 投稿日:04/05/04 01:26 ID:EPzoYAcO
<<91憧憬
作者の年齢が気になる。死への無邪気な憧憬は10代、20代を思わせるし、こなれた
表現は30代、40代のようでもある。
123 名前:なみなみお ◆mCFk32Woec [sage] 投稿日:04/05/04 05:46 ID:0Xn4HD5k
>91僕基準ですが、とってもおしい、いい詩だと思った。「繊細な音」を出したら、もっともっと引き込まれたやもしれぬ。
沈黙
空を覆ってる
太陽はもう見えない
誰も上を見なくなった
まがいものの光に集まってる
何をしてても
どこにいても
ひしひしと伝わってくる
作りものの笑顔が夢を売ってる
見向きもしない
後ろに立ってるのをみんな知ってるから
肩にかかる手
首筋を伝う氷の感触
気のせいだって判ってても
なんの慰めにもなりはしない
食べるものがなくなった
灰色の雪が落ちてくる
氷が世界を塗り変えてる
92 名前:沈黙[] 投稿日:04/05/01 18:51 ID:CELaUbK3
【コメント】
123 名前:なみなみお ◆mCFk32Woec [sage] 投稿日:04/05/04 05:46 ID:0Xn4HD5k
>92沈黙っていう言葉は、もっとも詩人らしい言葉だと思う。
この詩は、なんていうか、凄く現代的という感じがする。世界の嘘っぱちに絶望しもはや沈黙の抗議で街を歩いてるのかな。それで、世界が氷に閉ざされるという。作者は燃えている。と感じた。
死ねない身体
インターネットで戦場の惨殺映像を見る
緊張しながら
音は消して見る
ナイフで切り離される首
自分の激しい鼓動を感じながら
「屠る」という言葉が浮かぶ
家畜の死と人の死を重ねる自分がいる
逃避かもしれない
激しい鼓動は続いている
グローバリズム経済の現実を批判する本の
レビューを見て涙ぐむ
システムに押し潰される人々は確かに存在する
胸が苦しい
涙が止まらない
つま先を抱えてうずくまる
思考と身体が乖離している
感情は身体を操る
日常は感情を覆い隠す
「屠る」という言葉が浮かぶ自分に傷つく
涙を流すのは生存への欲求ではないか?
涙を絞め殺せば死ねるだろうか
相変わらず宙に浮いた考えだと言われるだろうか
殺される人と自ら死ぬ人と
どちらが苦しいかということを
私は測らない
しかし身体の傷は
失われた命は
戻らないのだから
私は自分の復元力を呪うべきだ
人を傷つけたくないと思っているのに
書くべきでないようなことをなぜ書くか
殺人者のメンタリティーと同化して
サンプルを提出するほどの
自分しかないのなら
「激しい死に目が止まる人は
緩慢な死にも注意しなくてはならない」
93 名前:死ねない身体 (1/2)[] 投稿日:04/05/01 22:40 ID:zNAauIG8
94 名前:死ねない身体 (2/2)[] 投稿日:04/05/01 22:41 ID:zNAauIG8
【コメント】
124 名前:なみなみお ◆mCFk32Woec [sage] 投稿日:04/05/04 05:48 ID:0Xn4HD5k
>93死者の驕りを思い出した。
インターネットを介して、自分の魂の死(死ではないと思うんだけれど)をかんじ、
だけれど体や本能だけは、死ぬことができないという、悶々としたものが伝わった。
人間機械論とか、そういうものに興味があるような、、、。でも最後には、警句で終わるっていう。
132 名前:シオン ◆poetsyov/2 [] 投稿日:04/05/05 21:50 ID:SLYzLhBR
【1点】
>>93-94 死ねない身体
困ったことに納得してしまいました。
【得点】 1点
寓話
ひまわりの顔をした医者が
メスを握りしめ
河川敷で
草野球をしていた。
吐く息は朝に溶け込み
内臓が飛び散ったままの白衣が
うす青くそまっていた。
ちかくの公園では
医者の息子が
父の高級ゴルフクラブを振り回し
ひつじたちを撲殺する遊びに興じていて
まだグラグラ揺れる乳歯を
揺らしてはしゃいでいた。
医者が勤めていた
半島の岬の突端にある病院では
カラフルな管を体中から蛸のように伸ばしていた患者たちが
硬く清潔な寝台の上に立ちあがり
むきだしの配管にビニール紐を結んで
強度をたしかめていた。
満面の笑みで。
まっくらな森の奥にある医者の家では
生理中の妻が
ポニー型の木馬にまたがって
近所の奥様連と談笑しながら
遊戯室を貫くつるつるの棒を
夫のペニスにみたてて
激しく擦り、
艶かしいため息を
檸檬ティーに吐いていた。
夏の終わりに吹く風が
ブランコを激しく揺らして
夜になると
帰宅した親子3人が
笠をかけられた
裸電球のひかりに浮かぶ
テーブルの上で
血まみれのひまわり(顔)を
物音一つたてずに
窒息するほど押し付けあっていた。
そのころ、
夜勤のナースたちは
病院裏の岸壁で
愚痴を罵りあいながら
死体を椅子にみたてて
腰掛け、
煙草を吹かしていた。
ナースたちは
煙草を吸い尽くすと
きょう死んだ患者たちを一体、一体
音頭をとりながら
暗黒の海に放りなげていた
ラベンダーが咲いた満月が
海面に口を赤く綻ばせていた。
日が明けて、朝になると
ナースたちの白衣は
丸められて
病院の屋上で燃やされていた。
もはや自殺する患者も
白衣を脱ぎ捨てたナースたちもいない
病院の駐車場で
ひまわりの顔をした医者とその家族は
円環になって手を繋ぎ
屋上を見あげ
いっせいに
枯れていった。
潮風に
翻弄されながら飛んできた
煤に汚れたビニール袋が
屋上の巨大な
喚起口に吸い付いて
病院が
崩れると
静かに
静かに
死神が訪れた
95 名前:寓話[] 投稿日:04/05/01 22:58 ID:a1jF50kq
96 名前:寓話[] 投稿日:04/05/01 22:59 ID:a1jF50kq
97 名前:寓話[] 投稿日:04/05/01 22:59 ID:a1jF50kq
【コメント】
124 名前:なみなみお ◆mCFk32Woec [sage] 投稿日:04/05/04 05:48 ID:0Xn4HD5k
>95-97上の詩に呼応するかのように、書くべきでないようなことを書いてる。
浅はかではあるのだけれど、医者というモラルをこてんぱんにしてるのはパンクを感じる。
陰鬱な感じがよくでていると思います。
129 名前:ななほし ◆k9WiFDM/7U [] 投稿日:04/05/05 00:09 ID:2bPEkm1P
3点 >95 :寓話 :04/05/01 22:58 ID:a1jF50kq
一番詩を読んだ感じがした。
131 名前:丸。[] 投稿日:04/05/05 10:29 ID:/yizaL9E
採点できないですが、>>95 寓話はすごくよかったです。
怖いくらい読み人を詩の中の世界に入っていかせるような
すごくお腹いっぱいって言える詩だと思いました。
132 名前:シオン ◆poetsyov/2 [] 投稿日:04/05/05 21:50 ID:SLYzLhBR
【1点】
>>95-97 寓話
口の悪い言い方ですみませんけど、吐き気がしました。
279 名前:なみなみお ◆mCFk32Woec [] 投稿日:04/05/07(金) 08:27 ID:Ix+B7y0B
チャンプ・準チャンプおめでとう。
今回は、「童話」を書いた。
準チャンプに入りたかった。
点数くれた人ありがとう。
どういう詩かというと、
自分でもよくわからない。
とにかく、できるだけ、悪い自分を出してみた。
【得点】 4点
- ななほし ◆k9WiFDM/7U:3点
- シオン ◆poetsyov/2:1点
XIII -死神- 正位置
いつも すぐ側にいて
恋するように じっと 見つめている。
怒りや悲しみの中で平然を装わなければならぬ人
泣叫ぶこともなく ただ堪えているだけの あわれな人
諦めることも 甘えることも 己に許さない人
本当はやるせない気持ちでいっぱいの人々を
死神は 解放しようとする。
夜が明けるたび 毎日が死の連続であれば
常に 誕生の喜びに沸き返るだろう。
どんなにつまらないと感じる日々でも
永続する記憶は、振り返ると珠玉の思い出になっているのだ。
川の流れは途切れることなく続くけれど
一滴づつの水が 透明な
世界を内包する生命であるように
生きているということが
時間を紡ぐということが
死の連続で出来ている。
夜明けに生まれ
日没に死ぬ
目覚めるために 眠る
毎夜
毎世
生まれては 眠り
幾度も繰返して
ひとはそうやって生きて行く。
蒸発し大気に溶け 霧となって薄れる命も
箱の中に押し込められた命も
目的も見出せず 白昼を彷徨う虚ろな心も
ひと粒づつの輝く玉石であると気付かせるため
流れの節目に、死神は鎌を振り降ろす。
人々の苦しみに憐憫の情を抱き
けなげな生きざまに 恍惚として。
98 名前:XIII -死神- 正位置 1/2[sage] 投稿日:04/05/02 22:33 ID:dGOywYn+
99 名前:XIII -死神- 正位置 2/2[sage] 投稿日:04/05/02 22:34 ID:dGOywYn+
【コメント】
120 名前:MUJINA[mistyage@nifty.ne.jp] 投稿日:04/05/04 01:26 ID:EPzoYAcO
<<98Ⅷ―死神―正位置
第四連「川の流れは―」はよいのだが、それをもっと詩的にイメージ化してほしかった。
124 名前:なみなみお ◆mCFk32Woec [sage] 投稿日:04/05/04 05:48 ID:0Xn4HD5k
>98-99THAT‘S死神!というかんじ。
けなげな人間を死神は好くという。。。ああ、生きるって無常だ。
129 名前:ななほし ◆k9WiFDM/7U [] 投稿日:04/05/05 00:09 ID:2bPEkm1P
2点 >98 :XIII -死神- 正位置 1/2 :04/05/02 22:33 ID:dGOywYn+
やっぱり正攻法。……言葉のリズムが軽くもなく、重苦しくもない。…なぁ。
132 名前:シオン ◆poetsyov/2 [] 投稿日:04/05/05 21:50 ID:SLYzLhBR
【2点】
>>98-99 XIII -死神- 正位置
神としての死神が尊く感じられました。
278 名前:散華楽 ◆DummymO2O6 [sage] 投稿日:04/05/07(金) 06:04 ID:tz2I+7i1
チャンプ・準チャンプの方々、おめでとうです!
審査してくださった皆さんも、読んでれた皆さんも、ありがとうでした。
私は「XIII -死神- 正位置」を書きました。
カードの解釈はいろいろあるけれど、「こんな風に読める日もある」
ってことで、穏やかな死神さんを書いてみました。
正直言って、お題に対してベタなアイテムで投稿してしまったので
相手にしてもらえないかもと思ってました。
でも4点もいただけてうれしいですヽ(´∀`)ノ♪
【得点】 4点
- ななほし ◆k9WiFDM/7U:2点
- シオン ◆poetsyov/2:2点
オメガくん
死神になれないのはすでに分かっているから
せめてこれだけでも 死神を拝むこと、そして叶える言霊
街は壊れていく女優は老けていく
せめて俺だけでも まるでそう、指先ひとつの創世記
えがいてしまえ 静かな未来
崇めたままの 死神様へ
とどいてしまえ わくわくしちゃうよ
せめてもの仕返しがすぐにできると言うなら
君はいかないでよ 孤独にはなれないんだ、君に解って欲しいのは
人は崩れていく 自由はぶれていく
だから逝かないでよ 外はもう、結末書けない小説家
かさねてしまえ 密かな肢体
隠したままの 死神様よ
のぞいておくれ すぐすぐにでも
死神になれないのはすでに分かっているから
かなえてしまえ 綺麗な未来
称える白さ すべては正しい
意外と近い?わくわくしちゃうよわくわくしちゃうよ
(おめーがくたばれ)
100 名前:オメガくん[sage] 投稿日:04/05/03 00:02 ID:RBNhq6E2
【コメント】
124 名前:なみなみお ◆mCFk32Woec [sage] 投稿日:04/05/04 05:48 ID:0Xn4HD5k
>100なんていったらいいのか。。。よくわからない。。。
ごめん。。。「おめーがくたばれ」というのが響きましたよ。
129 名前:ななほし ◆k9WiFDM/7U [] 投稿日:04/05/05 00:09 ID:2bPEkm1P
1点 >100 :オメガくん :04/05/03 00:02 ID:RBNhq6E2
面白いんだが……。アイデアだけのような気がして……。
【得点】 1点
死神たち
死神よ
夜よ
星はまだ
お前の言葉か
八人の死神たちよ
シモンズは神よりも多くの殺人の初めの死神と
有史以来ただのひとりも殺していない死神と
死と死と死に埋もれた一月の夜の死神と
ニートアの鉄鋼馬車を皆殺しの死神と
少女の純白を何よりも望んだ死神と
ゴルゴダの丘で唖を殺した死神と
嗚咽と慟哭の灯台守の死神
そして愛してから殺す死神
繰り返した多くの殺人の中で意識など最初から無かったバニー・シモンズの射殺劇
七人の死神たちは委ねられた運命を遂行する事が出来ず立ち尽くすばかりで
ただの人間としての警察官アーク・ウェルダーは昨晩のヒンキーパンクの夜の夢を想像中に
実弾をその手に真昼の真空のほこりを払うそれは単に誤射だったが二度目の決着でもあった
小鳩よ笑うな
朝が来るまで
知っているかい
夜に神は寂しすぎた
103 名前:名前はいらない[sage] 投稿日:04/05/03 14:04 ID:Jo5sucnt
104 名前:名前はいらない[sage] 投稿日:04/05/03 14:07 ID:Jo5sucnt
【コメント】
120 名前:MUJINA[mistyage@nifty.ne.jp] 投稿日:04/05/04 01:26 ID:EPzoYAcO
<<103死神たち
はっきり言って意味が良くわからん。何となく雰囲気のある詩。わからないのは、私の鑑賞力のなさかも。
124 名前:なみなみお ◆mCFk32Woec [sage] 投稿日:04/05/04 05:48 ID:0Xn4HD5k
>103セブンを思い出しました。
読んだけどわからず。ところどころ切れ味のある言葉があるような。
129 名前:ななほし ◆k9WiFDM/7U [] 投稿日:04/05/05 00:09 ID:2bPEkm1P
1点 >103 :名前はいらない :04/05/03 14:04 ID:Jo5sucnt
8人の死神がイメージにならなかったので、感動もいまいち。神は昼間の存在は新鮮
【得点】 1点
最終更新:2007年05月16日 02:20