[Chapter 33] ギコ
もう一度、モララーとの対決が始まった。
さっきのモララーとは違い、なんだか動きがぎこちなくなってきていた。
「あの研究者どもめ…俺の戦闘能力値を落としやがったな」
「…俺にとっては好都合だなゴルァ」
しかしそれでもモララーはしぶとかった。
何度も攻撃をかわされ、何度もつば迫り合いとなった。
空中でも攻撃、そして身をかわす。
そして取っ組み合いとなって落ちる。
地上では他のみんなが集まってきている。
みんな生還したらしい。
他のAIは、彼らの手によって潰されたはずだ。
全てはみんなを守るために。
しぃのために。
例え全てが嘘だったとしても、俺は別に構わない。
しぃが俺を信頼してくれている限りは、永遠に…
ビルの天辺のガラスを突き破りつつもまだ落ち行く。
モララーは自分の剣を落としている。そして能力値を0にされたらしく、刃向かう気力もなくなったようだ。
「とどめだゴルァ!!!」
俺は力いっぱい、しぃの剣を、振り下ろした。
[Chapter 34] フサギコ
青白い爆炎が広がる。
ギコがついに奴を倒したのだ。
『やったぞー!』『ギコ万歳!』『よっしゃ!』
他のみんなが歓喜に湧いている。
しかしそれも束の間だ。
地面が崩れだした。
街を制御する者がいなくなった今、この街が夢の終わりと共に崩れ去ろうとしているのだ。
「みんな落ちるぞ!気を付けろ!」
全員落下していく。恐らくこれでログアウトとなるはずだ。
[Chapter 35] ギコ
落ちていく。
街が消え去っていく。
物がプログラムの一部となっては消えていく。
俺の胸元からしぃの珠が飛び出す。
その珠はしぃに戻った。そして俺と同じような人間に近い姿となって具現化した。
俺は必死でしぃの手を取ろうとしたが、そのしぃの手もプログラムとなって消え去っていく。
「しぃ…!」
「…ありがとう」
しぃはそう言うと、完全にプログラムとなって消えてしまった。
「しぃーーー!!!」
俺は泣き叫びながら、崩れゆく世界をログアウトした。
To be continued...?
最終更新:2012年08月02日 16:13